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特開2024-147046運用計画立案システム、運用計画立案方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147046
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】運用計画立案システム、運用計画立案方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241008BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/00 170
H02J3/00 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059811
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石戸 優美子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 由泰
(72)【発明者】
【氏名】野村 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】寺山 ひかる
【テーマコード(参考)】
5G066
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G066AA02
5G066AA03
5G066HA17
5G066HB06
5G066HB09
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】時間帯や設備稼働の連続性・整合性を考慮しつつ、低負荷処理でエネルギー生成設備や蓄エネルギー設備の運用計画を立案することができる運用計画立案システム及び方法を提供する。
【解決手段】設備の運用計画を立案する運用計画立案システム100において、プロセッサ150は、設備情報と、外部環境情報と、需要情報と、ユーザ入力情報とを、入力情報として受け付け、ユーザの要求に基づいて所定の期間の計画範囲における各時刻についてそれぞれ設備の運用計画を立案するための初期値を生成し、入力情報および前記初期値を用いた最適化計算により、設備の運転計画を立案する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備の運用計画を立案する運用計画立案システムであって、
処理部を備え、
前記処理部は、設備情報と、外部環境情報と、需要情報と、ユーザ入力情報とを入力情報として受け付け、
ユーザの要求に基づいて所定の期間の計画範囲における各時刻についてそれぞれ前記設備の運用計画を立案するための初期値を生成し、
前記入力情報および前記初期値を用いた最適化計算により、前記設備の運転計画を立案することを特徴とする運用計画立案システム。
【請求項2】
請求項1に記載の運用計画立案システムであって、
前記処理部に接続され、前記処理部で実行されるプログラムおよび前記入力情報が格納された情報格納テーブルを記憶する記憶装置を備えることを特徴とする運用計画立案システム。
【請求項3】
請求項1に記載の運用計画立案システムであって、
前記処理部は、モデリングにより所定の目的関数を生成し、
当該生成した目的関数に基づいて、前記最適化計算を実行することを特徴とする運用計画立案システム。
【請求項4】
請求項1に記載の運用計画立案システムであって、
前記処理部は、機械学習した設備優先度に基づいて、前記初期値を生成することを特徴とする運用計画立案システム。
【請求項5】
請求項1に記載の運用計画立案システムであって、
前記設備は、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備を含み、
前記運用計画は、需要家にエネルギーを供給するための前記エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の運用に関する計画を含むことを特徴とする運用計画立案システム。
【請求項6】
請求項1に記載の運用計画立案システムであって、
前記設備情報は、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の種類、台数、エネルギー生成効率、設備容量、最低出力の少なくともいずれかを含むことを特徴とする運用計画立案システム。
【請求項7】
請求項1に記載の運用計画立案システムであって、
前記外部環境情報は、天候情報、買電単価情報の少なくともいずれかを含むことを特徴とする運用計画立案システム。
【請求項8】
請求項1に記載の運用計画立案システムであって、
前記ユーザ入力情報は、前記設備の稼働優先順位に関する情報を含むことを特徴とする運用計画立案システム。
【請求項9】
設備の運用計画を立案する運用計画立案方法であって、
(a)設備情報と、外部環境情報と、需要情報と、ユーザ入力情報とを入力情報として受け付けるステップと、
(b)ユーザの要求に基づいて所定の期間の計画範囲における各時刻についてそれぞれ前記設備の運用計画を立案するための初期値を生成するステップと、
(c)前記入力情報および前記初期値を用いた最適化計算により、前記設備の運転計画を出力するステップと、
を有することを特徴とする運用計画立案方法。
【請求項10】
請求項9に記載の運用計画立案方法であって、
(d)モデリングにより所定の目的関数を生成するステップと、
(e)前記(d)ステップで生成した目的関数に基づいて、前記最適化計算を実行するステップと、
を有することを特徴とする運用計画立案方法。
【請求項11】
請求項9に記載の運用計画立案方法であって、
前記(b)ステップにおいて、機械学習した設備優先度に基づいて、前記初期値を生成することを特徴とする運用計画立案方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運用計画立案システムの構成とその方法に係り、特に、エネルギー生成設備や蓄エネルギー設備の運用計画立案に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電力自由化に伴い、複数のエネルギー生成設備および蓄エネルギー設備を有し、生成したエネルギーを自らが所有する設備等で消費するほか、時間帯によって余剰分を売却し、不足分を購入して、所有の設備群を運用するエネルギー供給兼需要家が多く現れた。
【0003】
これらエネルギー供給兼需要家にとって、太陽光発電設備を含む再生可能エネルギー生成設備の能力や売電・買電価格等といった、季時に伴い変化する外界環境のもと、自らが所有するエネルギー生成設備および蓄エネルギー設備をいつ、どの程度の負荷で稼働させるかの決定は、設備運用コストを大きく左右する問題である。
【0004】
しかしながら、複数のエネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の稼働計画を低負荷処理で立案することは困難である。
【0005】
本技術分野の背景技術として、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1では、稼働計画を発電機の起動停止問題に限ったとしても、例えば火力発電機10台で24時間の起動停止の全組合せ数は10の72乗にもなり、1つの計画を1マイクロ秒で評価できたとしても全ての計画を評価するためには10の59乗の年数を要することなり、事実上全数チェックして、最適解を求めることは不可能であるという背景を指摘したうえで、火力発電機の起動停止計画問題を組合せ問題から実数変数の二次計画法、線形計画法で最適解を求める問題と緩和し、さらに起動停止の初期値を与えることで、電力の需要予測及び各種の制約を満たす複数の発電機の起動計画を好適且つ低処理負荷で生成する技術を提示している。
【0006】
また、特許文献2には、最適解を得るまでの時間を短縮することができるエネルギーマネジメントシステム、電力需給計画最適化方法および電力需給計画最適化プログラムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-188590号公報
【特許文献2】特開2016-40997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の技術は、エネルギー生成設備の起動停止計画を立案するにとどまり、季時に伴い変化する外界環境のもと、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備をいつ、どの程度の負荷で稼働させるかといった詳細を計画立案する方法を与えていない。
【0009】
しかしながら、エネルギーの生成量と消費量の過不足に応じて常にエネルギー調達・販売を行うエネルギー供給兼需要家にとっては、エネルギー生成設備でどの時刻にどれだけの負荷で設備を稼働するか、また、蓄エネルギー設備でどの時刻にどれだけのエネルギー量を蓄積・放出するかの詳細は、運用コストに大きな差を生じさせる問題である。
【0010】
さらに、特許文献1の技術は、1日以上の時間幅を持った連続的な運用計画を効率的に立案する方法を与えていない。
【0011】
より具体的には、特許文献1の技術では、各設備の起動停止に関する初期値を電力需要の時系列の予測値に基づいて与え、この初期値を反復計算で改善していくことにより起動停止最適計画を立案する方法を与えているものの、各時刻における起動停止変数の初期値およびその後の反復計算において、その前後の計画の影響がほとんど考慮されていない。
【0012】
しかしながら、有限の容量の蓄エネルギー設備を所有するエネルギー供給兼需要家にとっては、1日以上の時間幅を持った計画期間において、どの時刻に置いてエネルギーを蓄積し、どの時刻に置いてエネルギーを放出するかが互いに干渉するため、計画期間にわたり整合性を持った計画立案が必要である。
【0013】
また、エネルギー生成設備についても、1日以上の時間幅を持った連続的な運用計画が必要である。その背景として、多くのエネルギー生成設備において、ある時刻にとりうる稼働負荷やエネルギー生成効率は、その直前の時刻の稼働負荷の影響を受ける。起動停止を短時間で繰り返すと効率が落ちるが、安定して同じ稼働負荷で運用すると効率が安定する場合や、前の時刻の稼働負荷によってエネルギー効率が変化するヒステリシス特性を有する場合を含む。
【0014】
さらに、買電単価などエネルギー調達費用や、太陽光発電などといった外界環境も1日以上の時間幅の計画範囲における時間帯により大きく変化する。これらの事情から、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の最適運用計画を立案するためには、時間帯や設備稼働の連続性・整合性を考慮して計画立案する技術が必要であるが、特許文献1はこれを与えていない。
【0015】
また、上記特許文献2の技術においても、設備の稼動優先順位などの設備稼働の連続性・整合性が十分に考慮されておらず、設備運用計画の精度の点で改善の余地がある。
【0016】
そこで、本発明の目的は、時間帯や設備稼働の連続性・整合性を考慮しつつ、低負荷処理でエネルギー生成設備や蓄エネルギー設備の運用計画を立案することができる運用計画立案システムおよび運用計画立案方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明は、設備の運用計画を立案する運用計画立案システムであって、処理部を備え、前記処理部は、設備情報と、外部環境情報と、需要情報と、ユーザ入力情報とを入力情報として受け付け、ユーザの要求に基づいて所定の期間の計画範囲における各時刻についてそれぞれ前記設備の運用計画を立案するための初期値を生成し、前記入力情報および前記初期値を用いた最適化計算により、前記設備の運転計画を立案することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、設備の運用計画を立案する運用計画立案方法であって、(a)設備情報と、外部環境情報と、需要情報と、ユーザ入力情報とを入力情報として受け付けるステップと、(b)ユーザの要求に基づいて所定の期間の計画範囲における各時刻についてそれぞれ前記設備の運用計画を立案するための初期値を生成するステップと、(c)前記入力情報および前記初期値を用いた最適化計算により、前記設備の運転計画を出力するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、時間帯や設備稼働の連続性・整合性を考慮しつつ、低負荷処理でエネルギー生成設備や蓄エネルギー設備の運用計画を立案することができる運用計画立案システムおよび運用計画立案方法を実現することができる。
【0020】
これにより、1日以上の時間幅を持った計画期間において、エネルギー生成設備や蓄エネルギー設備をいつ、どの程度の負荷で稼働させるかといった詳細を含む運用計画を高速かつ高精度に提供することができる。
【0021】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例1に係る運用計画立案システムを示すブロック図である。
図2図1の設備構成情報格納テーブル121の一例を示す図である。
図3図1の設備カタログ情報格納テーブル122の一例を示す図である。
図4図1の外部環境情報格納テーブル123の一例を示す図である。
図5図1の需要情報格納テーブル124の一例を示す図である。
図6図1のユーザ入力情報格納テーブル125の一例を示す図である。
図7図1の運用計画立案システム100が出力するユーザ入力情報入力画面の一例を示す図である。
図8】本発明の実施例1に係る運用計画立案方法におけるメインルーチンの処理を示すフローチャートである。
図9図8のモデル生成処理の一例を示すフローチャートである。
図10図8の初期値生成処理の一例を示すフローチャートである。
図11図8の最適化実行処理の一例を示すフローチャートである。
図12図10の初期値リストの一例を示す図である。
図13】本発明の実施例2に係る機械学習した設備優先度に基づく初期値生成の例を示す図である。
図14】本発明の実施例2に係る機械学習した設備優先度に基づく初期値生成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
【実施例0024】
図1から図12を参照して、本発明の実施例1に係る運用計画立案システムおよび運用計画立案方法について説明する。
【0025】
図1は、本実施例の運用計画立案システムを示すブロック図である。図1には、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の最適運用計画立案システム100(以下、単に「最適運用計画立案システム」と呼ぶ)の構成例を示している。
【0026】
本実施例の最適運用計画立案システム100は、時間帯や設備稼働の連続性・整合性を考慮して、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備をいつ、どの程度の負荷で稼働させるかといった詳細を含むエネルギー生成設備および蓄エネルギー設備運用計画を低負荷処理で計画立案するためのシステムである。
【0027】
最適運用計画立案システム100は、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の最適運用計画立案装置101(以下、単に「最適運用計画立案装置」と呼ぶ)と、ネットワーク190とを有する。ネットワーク190には、制御装置191を介して、発電設備や蓄電設備192が接続されている。最適運用計画立案装置101は、ネットワーク190および制御装置191を介して、発電設備や蓄電設備192と相互通信可能に構成されている。
【0028】
最適運用計画立案装置101は、記憶装置110、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)等で構成されるプロセッサ150、RAM(Random Access Memory)165、入力装置170、出力装置175、記録媒体読取装置180、及び通信インターフェース185を有する。
【0029】
記憶装置110は、時間帯や設備稼働の連続性・整合性を考慮して、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備(発電設備・蓄電設備192)をいつ、どの程度の負荷で稼働させるかといった詳細を含むエネルギー生成設備および蓄エネルギー設備運用計画を低負荷処理で計画立案するために必要な情報を記憶する装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの装置である。記憶装置110は、フラッシュメモリなどを用いたSSD(Solid State Drive)であっても良い。
【0030】
記憶装置110は、テーブル120として、設備構成情報格納テーブル121、設備カタログ情報格納テーブル122、外部環境情報格納テーブル123、需要情報格納テーブル124、ユーザ入力情報格納テーブル125を少なくとも有する。
【0031】
また、記憶装置110は、プログラム130として、モデル生成プログラム131、最適化エンジンプログラム132、ユーザ入力情報取得プログラム133、初期値生成プログラム134を少なくとも有する。
【0032】
プロセッサ150は、プログラム実行などを行う演算装置であり、モデル生成部151、初期値生成部152、最適計画立案部153、ユーザ入力取得部154からなる。
【0033】
RAM165は、プロセッサ150により実行されるプログラム、及びプログラムの実行に必要なデータなどを格納するメモリである。
【0034】
入力装置170は、最適運用計画立案システム100に対する各種指示を入力するための装置であり、例えば、キーボード、マウス及びマイクロフォンなどの装置である。
【0035】
出力装置175は、運用計画情報入力画面などを出力する装置であり、例えば、CRT(Cathode Ray Tub)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの装置、スピーカ、プリンタ等である。
【0036】
記録媒体読取装置180は、可搬性を有する可搬型記憶媒体の情報を読み出す装置である。可搬型記憶媒体の例としては、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ、サーバ、LANなどの通信経路等を用いることができる。なお、記録媒体読取装置180は、最適運用計画立案装置101に内蔵されていても良いし、外付けされていても良い。
【0037】
モデル生成プログラム131、最適化エンジンプログラム132、ユーザ入力情報取得プログラム133、初期値生成プログラム134は、プログラム130からRAM165に読み込まれ、プロセッサ150によって実行されることによって、それぞれのプログラムの処理が実現される。実現される処理については、図8を用いて後述する。
【0038】
なお、上記の各プログラムは、例えば、OS(Operating System)プログラム上で実行可能なアプリケーションプログラムである。
【0039】
また、上記の各プログラムは、例えば、通信インターフェース185を介してネットワーク190から入力されたものをインストールしたものであっても良い。
【0040】
また、最適運用計画立案装置101の一部又は全ては、回路等によりハードウェアとして実現されても良い。
【0041】
図2は、図1の設備構成情報格納テーブル121の一例を示す図である。
【0042】
図2に示す設備構成情報格納テーブル121は、最適運用計画立案装置101が運用計画を立案する対象設備を登録するためのテーブルであり、サイトID210、設備種別220、設備ID230、設備カタログID240などから構成される。設備毎に、1レコードずつ生成される。
【0043】
サイトID210は、設備が設置されているサイトを一意に識別する情報である。設備種別220は、設備の種別を識別する情報である。設備ID230は、設備を一意に識別する情報である。設備カタログID240は、設備の特性を一意に識別する情報である。
【0044】
図3は、図1の設備カタログ情報格納テーブル122の一例を示す図である。
【0045】
図3に示す設備カタログ情報格納テーブル122は、設備カタログID310毎に設備の入出力特性を登録するためのテーブルであり、設備カタログID310、入力数321、出力数322、入力1のリソース種331、出力1のリソース種332、入力に対する出力の関係式340、最低稼働入力値351,最高稼働入力値352,最低稼働出力値361,最高稼働出力値362などから構成される。設備カタログID310毎に、1レコードずつ生成される。
【0046】
図4は、図1の外部環境情報格納テーブル123の一例を示す図である。
【0047】
図4に示す外部環境情報格納テーブル123は、最適運用計画立案装置101が運用計画を立案する計画範囲に含まれる各日時における外部環境情報を登録するためのテーブルであり、日時410、太陽光発電量420、買電単価430などから構成される。
【0048】
日時410は、最適運用計画立案装置101が運用計画を立案する計画範囲に含まれる時刻を登録するためのもので、例えば、24時間の運用計画として30分刻みにエネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の負荷配分を立案する場合、48レコードが必要である。太陽光発電量420は、日時410で指定される時刻における太陽光発電量を登録するものである。太陽光発電量420は、予測値であっても良い。買電単価430は、日時410で指定される時刻における買電単価情報を登録するものである。
【0049】
図5は、図1の需要情報格納テーブル124の一例を示す図である。
【0050】
図5に示す需要情報格納テーブル124は、最適運用計画立案装置101が運用計画を立案する計画範囲に含まれる各日時における需要情報を登録するためのテーブルであり、日時510、電力需要520、熱需要530などから構成される。
【0051】
日時510は、最適運用計画立案装置101が運用計画を立案する計画範囲に含まれる時刻を登録するためのもので、例えば、24時間の運用計画として30分刻みにエネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の負荷配分を立案する場合、48レコードが必要である。電力需要520は、日時510で指定される時刻における電力需要情報を登録するものである。電力需要520は、予測値であっても良い。熱需要530は、日時510で指定される時刻における熱需要情報を登録するものである。熱需要530は、予測値であっても良い。
【0052】
図6は、図1のユーザ入力情報格納テーブル125の一例を示す図である。
【0053】
図6に示すユーザ入力情報格納テーブル125は、1つ以上の最適化探索初期値を生成するためのユーザ入力情報を登録するためのもので、日時610、設備稼働優先度リスト620、最低稼働入力値リスト631,最高稼働入力値リスト632などから構成される。
【0054】
日時610は、最適運用計画立案装置101が運用計画を立案する計画範囲に含まれる時刻を登録するためのもので、例えば、24時間の運用計画として30分刻みにエネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の負荷配分を立案する場合、48レコードが必要である。設備稼働優先度リスト620は、日時610で指定される時刻における設備稼働優先度をリスト形式で登録するものであり、最適運用計画立案装置101が運用計画を立案する設備のうち、稼働優先度が高い順に記載した配列のリストで与えても良い。例えば、図6において、日時「2022/4/1 0:00 - 0:30」における設備稼働優先度は、ガスボイラ001,ガスボイラ002、ガスコジェネ001の順に高いものと、ガスボイラ002,ガスボイラ001、ガスコジェネ001の順に高いものとの2種が登録されている。
【0055】
最低稼働入力値リスト631は、設備稼働優先度リスト620で指定される設備の順に従い、当該設備の最低稼働入力値351を配列形式で整理したものである。最高稼働入力値リスト632は、設備稼働優先度リスト620で指定される設備の順に従い、当該設備の最高稼働入力値352を配列形式で整理したものである。
【0056】
図7は、図1の運用計画立案システム100が出力するユーザ入力情報入力画面の一例を示す図である。
【0057】
図7に示すユーザ入力情報入力画面700は、最適運用計画立案システム100の利用者が、最適運用計画立案装置101が運用計画を立案する計画範囲に含まれる時刻における設備稼働優先度を入力する画面であり、例えば最適運用計画立案装置101の出力装置175によって表示される。ユーザ入力情報入力画面700は、時間域指定部710と、時間域毎の設備稼働優先度入力部720などから構成される。
【0058】
図7のユーザ入力情報入力画面700において、最適運用計画立案システム100の利用者は、最適運用計画立案装置101が運用計画を立案する計画範囲に含まれる時刻に対する設備稼働優先度を時刻ごとに入力しても良いし、時間域指定部710で指定した時間域に対して一括入力しても良い。また、最適運用計画立案システム100の利用者は、時間域毎の設備稼働優先度入力部720において、各時刻における設備稼働優先度を、1つ以上入力することができる。さらに、最適運用計画立案システム100の利用者は、時間域毎の設備稼働優先度入力部720において、各時刻における設備稼働優先度として電力や熱などといったエネルギー種別を指定したうえで、例えば「エネルギー生成効率順で生成する」を選択することができる。
【0059】
図8は、本発明の実施例1に係る運用計画立案方法におけるメインルーチンの処理を示すフローチャートである。図8には、図1の最適運用計画立案装置101におけるプログラム130のメインルーチンの処理を示している。
【0060】
この処理は、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備(発電設備・蓄電設備192)の最適な運用計画を立案するために、プロセッサ150が、モデル生成プログラム131、最適化エンジンプログラム132、ユーザ入力情報取得プログラム133、初期値生成プログラム134に従って実行する。
【0061】
処理が開始すると、プロセッサ150は、先ず、最適運用計画立案システム100の利用者から、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の最適運用計画の立案実行指示を受け付ける(ステップS810)。
【0062】
次に、プロセッサ150は、モデル生成プログラム131を実行し、詳細を図9で説明するモデル生成処理に従って、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の最適運用計画を立案するために必要なモデルを生成する(ステップS820)。
【0063】
次に、プロセッサ150は、初期値生成プログラム134を実行し、詳細を図10で説明する初期値生成処理に従って、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の最適運用計画を立案するために必要な探索初期値を生成する(ステップS830)。
【0064】
次に、プロセッサ150は、最適化エンジンプログラム132を実行し、詳細を図11で説明する最適化実行処理に従って、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の最適運用計画を立案する最適化処理を実行する(ステップS840)。
【0065】
最後に、プロセッサ150は、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の最適運用計画を登録し(ステップS850)、処理を終了する。
【0066】
図9は、図8のモデル生成処理の一例を示すフローチャートである。
【0067】
モデル生成処理が開始すると、プロセッサ150は、先ず、設備構成情報格納テーブル121、設備カタログ情報格納テーブル122、外部環境情報格納テーブル123、需要情報格納テーブル124を読込む(ステップS910)。
【0068】
次に、プロセッサ150は、既存のモデリング技術に基づき、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の最適運用計画立案における決定変数を生成する。決定変数は、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の各時刻における入力値、出力値であっても良い(ステップS920)。
【0069】
次に、プロセッサ150は、既存のモデリング技術に基づき、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の最適運用計画立案における制約条件を生成する。制約条件は、設備毎の入出力関係、設備入出力値の最低稼働入出力条件などを含む(ステップS930)。
【0070】
最後に、プロセッサ150は、既存のモデリング技術に基づき、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の最適運用計画立案における目的関数を生成(設定)し、モデル生成処理を終了する。目的関数は、例えば、エネルギー生成設備および蓄エネルギー設備の運用コストであっても良い(ステップS940)。
【0071】
図10は、図8の初期値生成処理の一例を示すフローチャートである。
【0072】
初期値生成処理が開始すると、プロセッサ150は、先ず、ユーザ入力情報取得プログラム133を実行し、ユーザ入力情報入力画面700を最適運用計画立案システム100の利用者に提示し、ユーザ入力情報を取得する(ステップS1010)。
【0073】
次に、プロセッサ150は、最適運用計画立案システム100の利用者がユーザ入力情報入力画面700に入力したユーザ入力情報から、ユーザ入力情報格納テーブル125を生成する(ステップS1020)。
【0074】
次に、プロセッサ150は、ユーザ入力情報格納テーブル125から、初期値リストを生成する(ステップS1030)。各時刻における初期値は、設備稼働優先度リスト620に格納される優先度順の一種に対し、優先度の高い順に負荷配分が大きくなり、かつ、それぞれの設備入出力変数が最低稼働入出力値以上、最高稼働入出力値以下になる任意の値を1つ以上生成する。各時刻における設備稼働優先度リスト620に、2つ以上の異なる優先度順が登録されている場合には、それぞれの優先度順に対し1つ以上の初期値を生成し、全ての初期値をリストにして初期値リストを生成する。
【0075】
最後に、プロセッサ150は、初期値リストを登録し、初期値生成処理を終了する(ステップS1040)。
【0076】
図12は、図10の初期値リストの一例を示す図である。図12は、挙動の異なる複数の同種設備が存在する場合の例であり、エネルギー生成設備としてボイラを想定し、ボイラ1、ボイラ2、ボイラ3の各初期値の例を示している。
【0077】
この例では、時間帯毎の優先度の入力をユーザに促す。そして、各時刻における優先度の高い順に初期値を大きく設定する。
【0078】
図11は、図8の最適化実行処理の一例を示すフローチャートである。
【0079】
最適化実行処理が開始すると、プロセッサ150は、先ず、初期値リストを取得する(ステップS1110)。
【0080】
次に、プロセッサ150は、初期値リストから初期値をひとつ取り出し、この初期値とモデル生成プログラム131で生成したモデルを用いて最適化を実行する(ステップS1120)。
【0081】
次に、プロセッサ150は、その初期値に対する最適化実行結果を登録する(ステップS1130)。
【0082】
次に、プロセッサ150は、全ての初期値について最適化結果を登録したか否かをチェックし(ステップS1140)、yesであればステップS1150へ進み、noであればステップS1120へ戻り、ステップS1120以降の処理を繰り返す。
【0083】
次に、プロセッサ150は、全ての登録された最適化結果の中から、目的関数を最良にする運用計画を選択する(ステップS1150)。
【0084】
以上で説明した図8図9図10図11の処理によって、1日以上の時間幅を持った計画期間において、エネルギー生成設備や蓄エネルギー設備をいつ、どの程度の負荷で稼働させるかといった詳細を含む運用計画を高速かつ高精度に得ることができる。
【実施例0085】
図13及び図14を参照して、本発明の実施例2に係る運用計画立案システムおよび運用計画立案方法について説明する。
【0086】
図13及び図14は、機械学習した設備優先度に基づく初期値生成の例を示す図である。
【0087】
図13の左上図に示すように、所定の期間における設備の運転実績または運転計画に関する情報を取得する。また、図13の右上図に示すように、設備の運転実績または運転計画に対応する設備の運転状態(例えば負荷率)に関する情報を取得する。これらの情報に基づいて、図13の右下図に示すような機械学習のためのデータを生成する。
【0088】
機械学習のためのデータは、例えば、図14の上図に示すように、1年分のデータを利用しても良いし、季節変動が予想される場合には複数年分の特定の月(例えば8月分など)のデータを利用しても良い。
【0089】
例えば、30%以上の頻度の優先度順をリストアップするなどのルールに基づいて、図14の下図に示すような機械学習のためのデータを生成する。
【0090】
なお、各時刻で複数の優先度順があっても良い。また、このように生成した優先度リストを、ユーザ入力から生成する優先度リストの代わりに用いても良い。
【0091】
本実施例では、最適運用計画立案装置101のプロセッサ150は、機械学習した設備優先度に基づいて、初期値を生成する。
【0092】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0093】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現しても良い。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
【0094】
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えても良い。
【符号の説明】
【0095】
100…最適運用計画立案システム
101…最適運用計画立案装置
110…記憶装置
120…テーブル
121…設備構成情報格納テーブル
122…設備カタログ情報格納テーブル
123…外部環境情報格納テーブル
124…需要情報格納テーブル
125…ユーザ入力情報格納テーブル
130…プログラム
131…モデル生成プログラム
132…最適化エンジンプログラム
133…ユーザ入力情報取得プログラム
134…初期値生成プログラム
150…プロセッサ
151…モデル生成部
152…初期値生成部
153…最適計画立案部
154…ユーザ入力取得部
165…RAM
170…入力装置
175…出力装置
180…記録媒体読取装置
185…通信インターフェース
190…ネットワーク
191…制御装置
192…発電設備・蓄電設備
210…サイトID
220…設備種別
230…設備ID
240,310…設備カタログID
321…入力数
322…出力数
331…入力1のリソース種
332…出力1のリソース種
340…入力に対する出力の関係式
351…最低稼働入力値
352…最高稼働入力値
361…最低稼働出力値
362…最高稼働出力値
410,510,610…日時
420…太陽光発電量
430…買電単価
520…電力需要
530…熱需要
620…設備稼働優先度リスト
631…最低稼働入力値リスト
632…最高稼働入力値リスト
700…ユーザ入力情報入力画面
710…時間域指定部
720…時間域毎の設備稼働優先度入力部。
図1
図2
図3
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図8
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図10
図11
図12
図13
図14