IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産サンキョー株式会社の特許一覧

特開2024-147053レンズユニット、およびレンズ調芯方法
<>
  • 特開-レンズユニット、およびレンズ調芯方法 図1
  • 特開-レンズユニット、およびレンズ調芯方法 図2
  • 特開-レンズユニット、およびレンズ調芯方法 図3
  • 特開-レンズユニット、およびレンズ調芯方法 図4
  • 特開-レンズユニット、およびレンズ調芯方法 図5
  • 特開-レンズユニット、およびレンズ調芯方法 図6
  • 特開-レンズユニット、およびレンズ調芯方法 図7
  • 特開-レンズユニット、およびレンズ調芯方法 図8
  • 特開-レンズユニット、およびレンズ調芯方法 図9
  • 特開-レンズユニット、およびレンズ調芯方法 図10
  • 特開-レンズユニット、およびレンズ調芯方法 図11
  • 特開-レンズユニット、およびレンズ調芯方法 図12
  • 特開-レンズユニット、およびレンズ調芯方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147053
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】レンズユニット、およびレンズ調芯方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20241008BHJP
【FI】
G02B7/02 B
G02B7/02 C
G02B7/02 Z
G02B7/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059823
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】保科 泰浩
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 忠史
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AA02
2H044AA03
2H044AA10
2H044AB02
2H044AB08
2H044AB21
2H044AC01
2H044AJ04
(57)【要約】
【課題】隣り合う2つのレンズの調芯が、2つのレンズの接触のみで行われるレンズユニットを提供すること。
【解決手段】レンズユニット1は、像側X2から物体側X1に向かってこの順に配置されたレンズL6およびレンズL5を有する。レンズL5は、像側X2のレンズ面の外周側にレンズL6と接触する環状の接触部26を備える。レンズL6は、物体側X1のレンズ面の外周側に接触部26と接触する環状の被接触部37を備える。接触部26と被接触部37とは、線接触する。接触部26と被接触部37とが接触する接触線Mは、レンズL6の光軸Lと同軸の円環状であり、レンズL6の光軸Lと垂直な仮想の垂直面S上に位置する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像側から物体側に向かってこの順に配置された第1レンズおよび第2レンズを有し、
前記第2レンズは、前記像側のレンズ面の外周側に前記第1レンズと接触する環状の接触部を備え、
前記第1レンズは、前記物体側のレンズ面の外周側に前記接触部と接触する環状の被接触部を備え、
前記接触部と前記被接触部とは、線接触し、
前記接触部と前記被接触部とが接触する接触線は、前記第1レンズの光軸と同軸の円環状であり、前記第1レンズの光軸と垂直な仮想の垂直面上に位置することを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記接触部を前記光軸に沿って切断した断面は、外周側に向かって前記物体側に湾曲する円弧であり、
前記被接触部は、外周側に向かって前記物体側に延びるテーパー面であることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記第2レンズにおいて、前記像側のレンズ面と前記接触部とは、段差なく連続することを特徴とする請求項2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記第1レンズと前記第2レンズとは、前記接触線の外周側で前記第1レンズと前記第2レンズとの間に設けられた第1接着剤層により固定されることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記第1レンズおよび前記第2レンズを内部に収容する鏡筒を有し、
前記鏡筒は、内周面において、前記第1レンズの径方向外側に位置する第1内周面部分から内周側に突出して前記第1レンズに圧着する複数の第1嵌合突起を備え、
前記第1レンズは、複数の前記第1嵌合突起により径方向で位置決めされ、
前記第2レンズは、前記鏡筒の内周面から内周側に離間することを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記第2レンズの前記物体側に配置された第3レンズと、
前記第2レンズの外周側に配置された環状のホルダと、を有し、
前記第1レンズは、当該第1レンズの光軸に沿った光軸方向の所定の位置に前記像側から支持され、
前記鏡筒は、内周面において、前記ホルダの径方向外側に位置する第2内周面部分から内周側に突出して前記ホルダに圧着する複数の第2嵌合突起を備え、
前記ホルダは、前記第1レンズの前記物体側に積層され、複数の前記第2嵌合突起により前記径方向で位置決めされ、
前記第2レンズと前記ホルダの内周面との間には、隙間が設けられており、
前記第2レンズは、前記隙間に設けられた第2接着剤層により前記ホルダに固定され、
前記第3レンズは、前記ホルダの前記物体側に積層されることを特徴とする請求項5に記載のレンズユニット。
【請求項7】
光軸方向で隣り合う第1レンズおよび第2レンズとを調芯するレンズ調芯方法において、
前記第2レンズの前記第1レンズ側のレンズ面の外周側に、前記第1レンズと接触する環状の接触部を設けるとともに、前記第1レンズの前記第2レンズ側のレンズ面の外周側に前記接触部と接触する環状の被接触部を設けておき、
前記接触部と前記被接触部とを線接触させ、
前記接触部と被接触部とが接触する円環状の接触線が、前記第1レンズの光軸と同軸で当該光軸と垂直な仮想の垂直面上に位置するまで、前記第1レンズおよび前記第2レンズの一方を振動させ、
前記接触部を前記光軸に沿って切断した断面は、外周側に向かって前記第1レンズから離間する方向に湾曲する円弧であり、
前記被接触部は、外周側に向かって前記第2レンズの側に延びるテーパー面であることを特徴とするレンズ調芯方法。
【請求項8】
前記接触部と被接触部とが接触する円環状の接触線が前記第1レンズの光軸と垂直な仮想の垂直面上に位置した後に、前記接触線の外周側で前記第1レンズと前記第2レンズとの間に接着剤を塗布して前記第1レンズと前記第2レンズとを固定することを特徴とする請求項7に記載のレンズ調芯方法。
【請求項9】
前記接触部と前記被接触部とを線接触させた後に、前記接触線の外周側で前記第1レンズと前記第2レンズとの間に接着剤を塗布し、
その後、前記接触部と被接触部とが接触する円環状の接触線が前記第1レンズの光軸と垂直な仮想の垂直面上に位置するまで前記第1レンズおよび前記第2レンズの一方を振動させ、
しかる後に、前記接着剤を硬化させることを特徴とする請求項7に記載のレンズ調芯方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光軸方向で互いに接触した2つのレンズを備えるレンズユニットに関する。
【0002】
このようなレンズユニットは、特許文献1に記載されている。同文献では、最も像側に位置する第6レンズと、その物体側に位置する第5レンズとが、互いに接触した状態で鏡筒に収容されている。第6レンズは接合レンズである。第5レンズは、環状のホルダの中心穴に圧入されている。
【0003】
第6レンズは、物体側のレンズ面の外周側に環状突部を備える。環状突部は、先端に、光軸と垂直な先端面を備える。第6レンズには、鏡筒が径方向外側から接触する。これにより、第6レンズは、径方向で位置決めされる。また、第6レンズは、鏡筒の内周面に設けられた環状の支持面が像側から当接する。これにより、第6レンズは、光軸方向で位置決めされる。
【0004】
第5レンズは、レンズ面を備えるレンズ本体部と、レンズ本体部を外周側から囲むフランジ部と、を備える。フランジ部は、像側に、光軸と垂直な環状の垂直面を備える。第5レンズは、鏡筒の内周面が径方向外側からホルダに接触することにより、ホルダを介して径方向で位置決めされる。また、第5レンズは、第6レンズに載置され、第6レンズの環状突部の先端面が垂直面に面接触することにより、光軸方向で位置決めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-005022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のレンズユニットでは、第5レンズの径方向の位置決めが、ホルダを介して、行われる。従って、鏡筒内におけるホルダの位置決めの精度が第6レンズと第5レンズとの調芯の精度に影響を与えてしまう。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、隣り合う2つのレンズの調芯が、2つのレンズの接触のみで行われるレンズユニットを提供することにある。また、本発明の課題は、互いに接触した状態の2つのレンズの調芯を精度よく行う調芯方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のレンズユニットは、像側から物体側に向かってこの順に配置された第1レンズおよび第2レンズを有し、前記第2レンズは、前記像側のレンズ面の外周側に前記第1レンズと接触する環状の接触部を備え、前記第1レンズは、前記物体側のレンズ面の外周側に前記接触部と接触する環状の被接触部を備え、前記接触部と前記被接触部とは、線接触し、前記接触部と前記被接触部とが接触する接触線は、前記第1レンズの光軸と同軸の円環状であり、前記第1レンズの光軸と垂直な仮想の垂直面上に位置することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第1レンズと第2レンズとは、円環状の接触線で接触する。また、接触線は、第1レンズの光軸と垂直な仮想の垂直面上に位置する。このようにすれば、第1レンズと第2レンズとを、精度よく調芯された状態とすることができる。
【0010】
本発明において、前記接触部を前記光軸に沿って切断した断面は、外周側に向かって前記物体側に湾曲する円弧であり、前記被接触部は、外周側に向かって前記物体側に延びるテーパー面であるものとすることができる。このようにすれば、第1レンズと第2レンズとを、線接触させることができる。
【0011】
本発明において、前記第2レンズにおいて、前記像側のレンズ面と前記接触部とは、段差なく連続するものとすることができる。
【0012】
本発明において、前記第1レンズと前記第2レンズとは、前記接触線の外周側で前記第1レンズと前記第2レンズとの間に設けられた第1接着剤層により固定されるものとすることができる。すなわち、第2レンズは、接着剤により、第1レンズに固定されるものとすることができる。
【0013】
本発明において、前記第1レンズおよび前記第2レンズを内部に収容する鏡筒を有し、前記鏡筒は、内周面において、前記第1レンズの径方向外側に位置する第1内周面部分から内周側に突出して前記第1レンズに圧着する複数の第1嵌合突起を備え、前記第1レンズは、複数の前記第1嵌合突起により径方向で位置決めされ、前記第2レンズは、前記鏡筒の内周面と隙間を開けて対向するものとすることができる。すなわち、第1レンズは、鏡筒の内周面に設けられた第1嵌合突起により径方向で位置決めされるが、第2レンズは、鏡筒と接触しない。これにより、第2レンズを、第1レンズとの線接触のみで位置決めすることが可能となる。
【0014】
本発明において、前記第2レンズの前記物体側に配置された第3レンズと、前記第2レンズの外周側に配置された環状のホルダと、を有し、前記第1レンズは、当該第1レンズの光軸に沿った光軸方向の所定の位置に前記像側から支持され、前記鏡筒は、内周面において、前記ホルダの径方向外側に位置する第2内周面部分から内周側に突出して前記ホルダに圧着する複数の第2嵌合突起を備え、前記ホルダは、前記第1レンズの前記物体側に積層され、複数の前記第2嵌合突起により前記径方向で位置決めされ、前記第2レンズと前記ホルダの内周面との間には、隙間が設けられており、前記第2レンズは、前記隙間に設けられた第2接着剤層により前記ホルダに固定され、前記第3レンズは、前記ホルダの前記物体側に積層されるものとすることができる。このようにすれば、第2レンズの外周側に位置するホルダは鏡筒の内周面の第2嵌合突起により駅径方向で位置決めされるが、ホルダと第2レンズとの間には、隙間がある。従って、鏡筒内におけるホルダの位置決めの精度が第2レンズの径方向の位置に影響を与えることはない。ここで、ホルダは第1レンズの物体側に積層され、ホルダの物体側には第3レンズが積層される。従って、ホルダは、第3レンズを光軸方向で位置決めする部材として機能する。
【0015】
次に、本発明は、光軸方向で隣り合う第1レンズおよび第2レンズとを調芯するレンズ調芯方法において、前記第2レンズの前記第1レンズ側のレンズ面の外周側に、前記第1レンズと接触する環状の接触部を設けるとともに、前記第1レンズの前記第2レンズ側のレンズ面の外周側に前記接触部と接触する環状の被接触部を設けておき、前記接触部と前記被接触部とを線接触させ、前記接触部と被接触部とが接触する円環状の接触線が、前記第1レンズの光軸と同軸で当該光軸と垂直な仮想の垂直面上に位置するまで、前記第1レンズおよび前記第2レンズの一方を振動させ、前記接触部を前記光軸に沿って切断した断面は、外周側に向かって前記第1レンズから離間する方向に湾曲する円弧であり、前記被接触部は、外周側に向かって前記第2レンズの側に延びるテーパー面であることを特徴とする。
【0016】
本発明では、第1レンズと第2レンズとを積層して、第1レンズに設けた接触部と第2
レンズに設けた被接触部とを線接触させて、第1レンズおよび第2レンズの一方を振動させる。ここで、第2レンズの接触部を光軸に沿って切断した断面は、外周側に向かって第1レンズから離間する方向に湾曲する円弧であり、第1レンズの被接触部は、外周側に向かって第2レンズの側に延びるテーパー面である。従って、第1レンズおよび第2レンズの一方を振動させることにより、第1レンズと第2レンズとを相対移動移動させて2つのレンズの調芯を行うことができる。
【0017】
本発明において、前記接触部と被接触部とが接触する円環状の接触線が前記第1レンズの光軸と垂直な仮想の垂直面上に位置した後に、前記接触線の外周側で前記第1レンズと前記第2レンズとの間に接着剤を塗布して前記第1レンズと前記第2レンズとを固定するものとすることができる。
【0018】
また、本発明において、前記接触部と前記被接触部とを線接触させた後に、前記接触線の外周側で前記第1レンズと前記第2レンズとの間に接着剤を塗布し、その後、前記接触部と被接触部とが接触する円環状の接触線が前記第1レンズの光軸と垂直な仮想の垂直面上に位置するまで前記第1レンズおよび前記第2レンズの一方を振動させ、しかる後に、前記接着剤を硬化させるものとすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のレンズユニットによれば、第1レンズと第2レンズとは、円環状の接触線で接触する。また、接触線は、第1レンズの光軸と垂直な仮想の垂直面上に位置する。このようにすれば、第1レンズと第2レンズとを、精度よく調芯された状態とすることができる。
【0020】
本発明のレンズ調芯方法によれば、第1レンズと第2レンズとを積層して、第1レンズに設けた接触部と第2レンズに設けた被接触部とを線接触させて、第1レンズおよび第2レンズの一方を振動させる。ここで、第2レンズの接触部を光軸に沿って切断した断面は、外周側に向かって第1レンズから離間する方向に湾曲する円弧であり、第1レンズの被接触部は、外周側に向かって第2レンズの側に延びるテーパー面である。従って、第1レンズおよび第2レンズの一方を振動させることにより、第1レンズと第2レンズとを相対移動移動させて2つのレンズの調芯を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明を適用したレンズユニットの外観斜視図である。
図2】レンズユニットの断面図である。
図3】レンズユニットの分解斜視図である。
図4】物体側から見た場合のレンズL3およびレンズL4の分解斜視図である。
図5】像側から見た場合のレンズL3およびレンズL4の分解斜視図である。
図6】物体側から見た場合のレンズL5およびレンズL6の分解斜視図である。
図7】像側から見た場合のレンズL5およびレンズL6の分解斜視図である。
図8】ホルダ、レンズL5、およびレンズL6の斜視図である。
図9】第1鏡筒の断面図である。
図10】第2鏡筒を物体側から見た場合の斜視図である。
図11】第2鏡筒の断面図である。
図12】レンズL6とレンズL5との調芯方法の説明図である。
図13】レンズL6とレンズL5との調芯方法の別の例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明を適用したレンズユニットの実施形態について説明する。
【0023】
(光学系)
図1は、本発明を適用したレンズユニットの外観斜視図である。図2は、レンズユニットの断面図である。図3は、レンズユニットの分解斜視図である。図4は、物体側から見た場合のレンズL3およびレンズL4の分解斜視図である。図5は、像側から見た場合のレンズL3およびレンズL4の分解斜視図である。図6は、物体側から見た場合のレンズL5およびレンズL6の分解斜視図である。図7は、像側から見た場合のレンズL5およびレンズL6の分解斜視図である。図8は、ホルダ、レンズL5、およびレンズL6の斜視図である。なお、図2では、2本の二点鎖線の間の領域(光軸周辺)の各レンズの形状を省略して示す。
【0024】
図1に示す本例のレンズユニット1は、自動車や監視カメラに搭載される撮像装置に用いられる。図2に示すように、レンズユニット1は、物体側から像側に向かって、レンズL1、レンズL2、レンズL3、レンズL4、レンズL5、およびレンズL6をこの順に備える。レンズL6は、接合レンズであり、物体側から像側に向かって、物体側レンズL61と像側レンズL62とをこの順に備える。また、レンズユニット1は、鏡筒2として、第1鏡筒3と、第1鏡筒3の内周側に保持された第2鏡筒4と、を備える。レンズL1は第1鏡筒3に収容される。レンズL2からレンズL6は、第2鏡筒4に収容される。第2鏡筒4は、第1鏡筒3の内周側に保持される。
【0025】
図3に示すように、レンズL1と第1鏡筒3とは、第1ユニット50を構成する。レンズL2からレンズL6と第2鏡筒4とは、第2ユニット60を構成する。以下では、レンズL1の光軸Lに沿った方向を光軸方向Xとする。レンズL1の光軸Lは、レンズユニット1の光軸Lである。光軸方向Xにおける物体側X1は、レンズL1が位置する側であり、像側X2は、レンズL6が位置する側である。
【0026】
図2に示すように、レンズL1は、レンズL2からレンズL6よりも外径寸法が大きい。本例において、レンズL1は、ガラス製である。レンズL1は、物体側X1に凸形状を備えるメニスカスレンズである。レンズL1は、像側X2のレンズ面の外周側に、光軸Lと直交する方向に広がる環状の端面11を備える。レンズL1の端面11の像側X2には、第1Oリング7が配置されている。
【0027】
レンズL2は、樹脂製である。レンズL2は、レンズ面を備えるレンズ本体部13と、レンズ本体部13を囲むフランジ部14とを備える。レンズL2は、物体側X1に凸形状を備えるメニスカスレンズである。フランジ部14の物体側X1の端面には、物体側X1に突出する環状突部15が設けられている。環状突部15の先端は、レンズL1の端面に面接触する環状接触部15aである。
【0028】
図2図4図5に示すように、レンズL3は、樹脂製である。レンズL3は、レンズ面を備えるレンズ本体部16と、レンズ本体部16を囲むフランジ部17とを備える。レンズL3は、像側X2に凸形状を備えるメニスカスレンズである。図5に示すように、フランジ部17の像側X2の端面には、物体側X1に突出する環状の嵌合部18が設けられている。嵌合部18は、光軸Lを囲み、像側X2に向かって内周側に傾斜する嵌合部テーパー面18aと、嵌合部テーパー面18aの像側X2の端から内周側に向かって光軸Lと垂直に延びる嵌合部端面18bと、を備える。
【0029】
ここで、図2に示すように、光軸方向XにおけるレンズL2とレンズL3との間には、弾性部材が配置されている。弾性部材は、第2Oリング8である。第2Oリング8は、レンズL2のフランジ部14とレンズL3のフランジ部17との間で、光軸方向Xに圧縮されている。本例では、光軸方向XにおけるレンズL1とレンズL2との間に、樹脂製の遮
光シート9が配置されている。遮光シート9は円環状である。第2Oリング8は、遮光シート9とレンズL3との間に位置する。
【0030】
レンズL4は、樹脂製である。図2図4図5に示すように、レンズL4は、レンズ面を備えるレンズ本体部20と、レンズ本体部20を囲むフランジ部21とを備える。レンズL4のレンズ本体部20における物体側X1のレンズ面は、物体側X1に突出する湾曲面である。レンズ本体部20における像側X2のレンズ面は、中央に、像側X2に突出する湾曲面部分を備える。
【0031】
図4に示すように、フランジ部21の物体側X1の端面には、レンズL3の嵌合部18が嵌合する被嵌合部22が設けられている。嵌合部18は、光軸Lを囲み、像側X2に向かって内周側に傾斜する被嵌合部テーパー面22aと、被嵌合部テーパー面22aの像側X2の端から内周側に向かって光軸Lと垂直に延びる被嵌合部端面22bと、を備える。図2に示すように、レンズL3の嵌合部テーパー面18aとレンズL4の被嵌合部テーパー面22aとは面接触する。レンズL3の嵌合部端面18bとレンズL4の被嵌合部端面22bとは光軸方向Xで離間する。本例では、レンズL3のフランジ部17における嵌合部18の外周側部分の像側X2の端面と、レンズL4のフランジ部21における被嵌合部22の外周側部分の物体側X1の端面とは、光軸方向Xで接触する。これにより、レンズL3はレンズL4に載置された状態となり、レンズL3は光軸方向Xで位置決めされる。
【0032】
レンズL5は、ガラス製である。図2に示すように、レンズL5は、レンズL2、レンズL3、レンズL4、およびレンズL6よりも外径寸法が小さい。レンズL5は、レンズ面を備えるレンズ本体部24と、レンズ本体部24を囲むフランジ部25とを備える。レンズL5は、両凸レンズである。図2図7に示すように、フランジ部25の像側X2は、レンズL6に物体側X1から接触する接触部26である。接触部26を光軸Lに沿って切断した断面は、外周側に向かって物体側X1に湾曲する円弧である。図7に示すように、接触部26の像側X2の面は、レンズ本体部24における像側X2のレンズ面24aの外周端に段差なく連続する。
【0033】
図2に示すように、レンズL5の径方向外側には、樹脂製のホルダ28が配置されている。図8に示すように、ホルダ28は、環状である。ホルダ28は、径方向でレンズL5と隙間28aを開けて隣り合う中央部29と、中央部29の外周側で中央部29よりも光軸方向Xで厚い外周部30とを備える。中央部29の物体側X1の面は、外周部30から内周側に向かって像側X2に傾斜する。中央部29および外周部30の周方向の3か所には、物体側X1および内周側から切り欠かれた切欠き部31が設けられている。切欠き部31の底面(物体側X1を向く面)は、中央部29の内周側の端縁に連続する。
【0034】
ここで、レンズL4とレンズL5との間には、絞り33が配置されている。絞り33は、円環状のシートであり、レンズL4とホルダ28との間に挟まれて、光軸方向Xの所定に位置に支持されている。
【0035】
レンズL6は、樹脂製である。すなわち、物体側レンズL61および像側レンズL62は、いずれも樹脂製である。図2に示すように、物体側レンズL61は、レンズ面を備えるレンズ本体部35と、レンズ本体部35を囲むフランジ部36とを備える。物体側レンズL61の物体側X1のレンズ面は、像側X2に湾曲する湾曲面であり、像側X2のレンズ面は、物体側X1に窪む湾曲面である。
【0036】
図6に示すように、物体側レンズL61のフランジ部36は、物体側X1に、レンズL5の接触部26が接触する被接触部37を備える。被接触部37は、外周側に向かって物体側X1に延びるテーパー面である。接触部26と被接触部37とは、線接触する。接触
部26と被接触部37とが接触する接触線Mは、光軸Lと同軸の円環状であり、光軸Lと垂直な仮想の垂直面S上に位置する(後述する図12参照)。また、物体側レンズL61のフランジ部36は、像側X2に、光軸Lと垂直な環状端面38を備える。
【0037】
像側レンズL62は、レンズ面を備えるレンズ本体部40と、レンズ本体部40を囲むフランジ部41とを備える。像側レンズL62の物体側X1のレンズ面は、物体側X1に突出する湾曲面であり、像側X2のレンズ面は、物体側X1に突出する湾曲面である。像側レンズL62は、物体側レンズL61に固定されている。像側レンズL62の外径寸法は、物体側レンズL61の外径寸法よりも小さい。従って、図7に示すように、像側X2から見た場合に、物体側レンズL61のフランジ部36は、像側レンズL62から外周側に張り出す部分を備える。
【0038】
ここで、図2に示すように、レンズL5は、レンズL6に積み重ねられている。また、レンズL4は、ホルダ28を介してレンズL6に積み重ねられている。レンズL4、ホルダ28、レンズL5、およびレンズL6は、積層体44を構成する。レンズL3は、レンズL4に積み重ねられている。すなわち、レンズL3は、積層体44に積み重ねられている。また、レンズL6の像側X2には、板状のカバー10が配置されている。
【0039】
(鏡筒)
図2図3に示すように、レンズユニット1は、鏡筒2として、第1鏡筒3と、第1鏡筒3の内周側に保持された第2鏡筒4と、を備える。第1鏡筒3および第2鏡筒4は、いずれも樹脂製である。また、第1鏡筒3および第2鏡筒4は、金型内に樹脂を射出して成形した樹脂射出成型品である。レンズL1は第1鏡筒3に収容される。レンズL2からレンズL6、およびホルダ28は、第2鏡筒4に収容される。第2鏡筒4は、第1鏡筒3の内周側に保持される。
【0040】
(第1鏡筒およびレンズL1)
図9は、第1鏡筒3の断面図である。第1鏡筒3は、円筒形状であり、レンズL2、レンズL3、レンズL4、ホルダ28、レンズL5、レンズL6、および第2鏡筒4の外周側に位置する。図3図9に示すように、第1鏡筒3は、内周面の物体側X1の端部分に物体側段部101を備え、像側X2の端部分に像側段部102を備える。また、第1鏡筒3は、内周面の光軸方向Xにおける物体側段部101と像側段部102との間に、中間段部103を備える。
【0041】
物体側段部101は、物体側X1を向く支持面105と、支持面105の内周側の端から像側X2に延びて径方向内側を向く環状壁面106と、支持面105の外周側の端から物体側X1に延びる周壁面107と、を備える。第1鏡筒3において、物体側段部101の物体側X1は、レンズL1の外周縁部分を収容する収容部108である。なお、第2鏡筒4は、環状壁面106の内周側に配置される。
【0042】
収容部108は、周壁面107と、支持面105と、カシメ部109と、を備える。図2に示すように、周壁面107は、レンズL1に径方向外側から対向する。支持面105は、レンズL1の端面11に像側X2から対向する。カシメ部109は、レンズL1の光軸Lに沿った光軸方向Xから見た場合に支持面105と重なる位置で、レンズL1に物体側X1から当接する。カシメ部109は、第1鏡筒3の物体側X1の端部を内周側に向かって折り曲げる熱カシメなどにより設けられた塑性変形部である。ここで、レンズL1の外周縁部分は、支持面105とカシメ部109との間に配置される。第1Oリング7は、レンズL1の像側X2の端面と支持面105との間に配置され、光軸方向Xに圧縮されている。
【0043】
図3に示すように、環状壁面106には、周方向の複数個所に径方向内側に突出する物体側突起110が設けられている。本例では、物体側突起110は、周方向の3か所に、等角度間隔で設けられている。物体側突起110は、第2鏡筒4を径方向で位置決めするための物体側位置決め部である。
【0044】
図3図10に示すように、像側段部102は、物体側X1を向く環状の像側端面112と、像側端面112の内周側の端から像側X2に延びて第1鏡筒3の像側X2の端に達する環状の像側内壁面113と、を備える。像側端面112には、物体側X1に突出して周方向に円弧形状に延びる複数のリブ114が設けられている。本例では、リブ114は、周方向の3か所に、等角度間隔で設けられている。リブ114は、第2鏡筒4を光軸方向Xで位置決めするための像側位置決め部である。
【0045】
中間段部103は、物体側X1を向く環状の段部端面116と、段部端面116の内周側の端から像側X2に延びる環状の段部壁面117と、を備える。本例では、中間段部103は、周方向の複数個所に、光軸方向Xに延びて段部端面116および段部壁面117を周方向に分断する切欠き溝118が設けられている。本例では、切欠き溝118は、周方向の3か所に等角度間隔で設けられている。従って、中間段部103は、切欠き溝118により周方向で3つに分断されている。切欠き溝118の底面(内周側を向く面)は、テーパー面であり、像側X2に向かって内径寸法が小さくなる。図2に示すように、切欠き溝118の底面は、第1鏡筒3の内周面において像側段部102の像側端面112の外周側の端から物体側X1に延びる内周面部分に連続する。
【0046】
ここで、図3に示すように、切欠き溝118は、像側段部102のリブ114と同一の角度位置に設けられている。また、切欠き溝118は、物体側段部101の物体側突起110と同一の角度位置に設けられている。なお、第1鏡筒3と第1鏡筒3の内周側に配置された第2鏡筒4とを接続する際には、3つに分断された中間段部103のそれぞれの段部端面116に、接着剤が塗布される。これにより、段部端面116および段部壁面117に鏡筒接続用接着剤層51が設けられる。
【0047】
(第2鏡筒およびレンズL2~レンズL6)
図10は、第2鏡筒4を物体側から見た場合の斜視図である。図11は、第2鏡筒4の断面図である。図11の鎖線で囲んだ領域は、嵌合突起210の周辺の部分拡大図である。第2鏡筒4は、レンズL2、レンズL3、レンズL4、レンズL5、ホルダ28、およびレンズL6を内周側に収容する。
【0048】
図10図11に示すように、第2鏡筒4は、内周面の物体側X1の端部分に物体側段部201を備える。また、第2鏡筒4は、像側X2の端部分に像側段部202を備える。さらに、第2鏡筒4は、物体側段部201と像側段部202との間であって、物体側段部201よりも像側段部202に近い位置に、位置決め段部203を備える。さらに、第2鏡筒4は、物体側X1の端部分に、カバー10を保持するカバー保持部204を備える。
【0049】
図11に示すように、物体側段部201は、物体側X1を向く座面205と、座面205の内周側の端から像側X2に延びる環状壁面206と、座面205の外周側の端から物体側X1に延びる周壁面207と、を備える。環状壁面206は、物体側X1に向かって内径寸法が大きくなるテーパー面である。第2鏡筒4において、物体側段部201の物体側X1は、レンズL2の外周縁部分を収容する収容部208である。
【0050】
収容部208は、周壁面207と、座面205と、カシメ部209と、を備える。図2に示すように、周壁面207は、レンズL2に径方向外側から対向する。座面205は、レンズL2のフランジ部14の像側X2の端面に像側X2から対向する。カシメ部109
は、光軸方向Xから見た場合に座面205と重なる位置でレンズL2に物体側X1から当接する。
【0051】
図10に示すように、周壁面207は、座面205から物体側X1に向かって外周側に傾斜するテーパー面である。周壁面207は、周方向で離間する複数個所に、レンズL2に圧着する嵌合突起210Aを備える。本例では、嵌合突起210Aは、周方向の6か所に、等角度間隔で設けられている。嵌合突起210Aは、内周側の端に、光軸Lと平行な圧着面210aを備える。また、嵌合突起210Aは、圧着面210aから物体側X1に向かって外周側に湾曲する湾曲面210bを備える。複数の嵌合突起210Aは、圧着面210aが、収容部208に収容されるレンズL2に径方向外側から圧着して、レンズL2を径方向で位置決めする。
【0052】
図11に示すように、像側段部202は、物体側X1を向く環状の像側端面212と、像側端面212の内周側の端から像側X2に延びる像側内壁面213と、を備える。像側内壁面213は、像側X2に向かって外周側に傾斜するテーパー面である。図2に示すように、像側端面212は、光軸方向Xで、レンズL6の像側レンズL62と隙間を開けて対向する。カバー保持部204は、像側内壁面213の外周側に設けられている。
【0053】
図10図11に示すように、位置決め段部203は、物体側X1を向く環状の位置決め面215と、位置決め面215の内周側の端から像側X2に延びる位置決め段部周壁面216と、を備える。位置決め面215には、物体側X1に突出して周方向に円弧形状に延びる複数の位置決めリブ217が設けられている。本例では、位置決めリブ217は、周方向の3か所に、等角度間隔で設けられている。位置決め段部周壁面216の下端は、像側端面212の像側端面212に達する。位置決め段部周壁面216は、径方向で、レンズL6の像側レンズL62と隙間を開けて対向する。
【0054】
図2に示すように、位置決めリブ217は、レンズL6の物体側レンズL61のフランジ部36に像側X2から当接して、レンズL6を光軸方向Xで位置決めする位置決め部である。ここで、レンズL6の物体側レンズL61のフランジ部36が位置決め部に当接することにより、レンズL4、ホルダ28、レンズL5、およびレンズL6からなる積層体44およびレンズL3は、光軸方向Xで位置決めされる。
【0055】
より詳細には、ホルダ28は、レンズL6により像側X2から支持されることにより、光軸方向Xの所定の位置に位置決めされる。レンズL4は、ホルダ28により像側X2から支持されることにより、光軸方向Xの所定の位置に位置決めされる。レンズL5は、レンズL6に接触することにより、光軸方向Xおよび径方向で位置決めされる。レンズL3は、レンズL4に嵌合することにより、光軸方向Xおよび径方向で位置決めされる。ここで、レンズL5が光軸方向Xおよび径方向で位置決めされたときに、レンズL5とホルダ28とは接触しない。レンズL3とレンズL4が光軸方向Xおよび径方向で位置決めされたときに、レンズL3と第2鏡筒4とは接触しない。レンズL3、レンズL4、ホルダ28、レンズL5は、光軸方向Xで、物体側段部201と位置決め段部203との間に位置する。
【0056】
図10図11に示すように、第2鏡筒4の内周面において、レンズL6の物体側レンズL61の径方向外側に位置する内周面部分4aは、物体側X1に向かって外周側に傾斜するテーパー面である。内周面部分4aは、周方向で離間する複数個所に、レンズL6に圧着する嵌合突起210Bを備える。嵌合突起210Bは、周方向の6か所に、等角度間隔で設けられている。嵌合突起210Bは、内周側の端に、光軸Lと平行な圧着面210aを備える。また、嵌合突起210Bは、圧着面210aから物体側X1に向かって外周側に湾曲する湾曲面210bを備える。複数の嵌合突起210Bは、圧着面210aが、
第2鏡筒4に収容されるレンズL6に径方向外側から圧着して、レンズL6を径方向で位置決めする。
【0057】
また、第2鏡筒4の内周面において、ホルダ28の径方向外側に位置する内周面部分4bは、物体側X1に向かって外周側に傾斜するテーパー面である。内周面部分4bは、周方向で離間する複数個所に、レンズL6に圧着する嵌合突起210Cを備える。嵌合突起210Cは、周方向の6か所に、等角度間隔で設けられている。嵌合突起210Cは、内周側の端に、光軸Lと平行な圧着面210aを備える。また、嵌合突起210Cは、圧着面210aから物体側X1に向かって外周側に湾曲する湾曲面210bを備える。複数の嵌合突起210Cは、圧着面210aが、第2鏡筒4に収容されるホルダ28に径方向外側から圧着して、ホルダ28を径方向で位置決めする。
【0058】
さらに、第2鏡筒4の内周面において、レンズL4の径方向外側に位置する内周面部分4cは、物体側X1に向かって外周側に傾斜するテーパー面である。内周面部分4cは、周方向で離間する複数個所に、レンズL4に圧着する嵌合突起210Dを備える。嵌合突起210Dは、周方向の6か所に、等角度間隔で設けられている。嵌合突起210Dは、内周側の端に、光軸Lと平行な圧着面210aを備える。また、嵌合突起210Dは、圧着面210aから物体側X1に向かって外周側に湾曲する湾曲面210bを備える。複数の嵌合突起210Dは、圧着面210aが、第2鏡筒4に収容されるレンズL4に径方向外側から圧着して、レンズL4を径方向で位置決めする。
【0059】
また、第2鏡筒4の内周面において、レンズL3の径方向外側に位置する内周面部分4dは、物体側X1に向かって外周側に傾斜するテーパー面である。レンズL3の径方向外側に位置する内周面部分4dは、物体側段部201の環状壁面206の像側X2に段差なく連続する。内周面部分4dは、周方向で離間する複数個所に、レンズL3を光軸方向Xに案内するガイド突起220を備える。ガイド突起220は、周方向の6か所に、等角度間隔で設けられている。ガイド突起220は、内周側の端に、光軸Lと平行な案内面220aを備える。また、ガイド突起220は、圧着面210aから物体側X1に向かって外周側に湾曲する湾曲面220bを備える。レンズL3がレンズL4に嵌合したときに、複数のガイド突起220はレンズL3の径方向外側に位置するが、複数のガイド突起220とレンズL3とは接触しない。各ガイド突起220の案内面220aとレンズL3とは、径方向で僅かな隙間を開けて対向する。
【0060】
ここで、第2Oリング8は、複数のガイド突起220の物体側X1であって、物体側段部201の環状壁面206の径方向内側に配置される。図2に示すように、第2Oリング8は、収容部208に収容されたレンズL2と、レンズL3との間で、光軸方向Xに圧縮されている。
【0061】
図11に示すように、レンズL6の径方向外側に位置するテーパーの内周面部分4aが光軸Lに対して傾斜する第1傾斜角度θ1と、レンズL4の径方向外側に位置するテーパーの内周面部分4cが光軸Lに対して傾斜する第2傾斜角度θ2と、は相違する。すなわち、各レンズおよびホルダ28の径方向外側に位置する内周面部分4a~4dの傾斜は、各レンズまたはホルダ28の外径寸法に合わせて適宜に設定できる。なお、第2鏡筒4の内周面において、物体側段部201と位置決め段部203との間に位置する内周面部分4aは、全体として、物体側X1に向かって外周側に傾斜している。
【0062】
次に、第2鏡筒4は、外周面の物体側X1の端部分に環状の外周面側位置決め面223を備える。外周面側位置決め面223は、収容部208の径方向外側に位置する。外周面側位置決め面223は、径方向外側を向く。また、第2鏡筒4は、外周面の像側X2部分に、外周面像側段部224を備える。外周面像側段部224は、像側X2を向く環状面2
25および環状面225の外周端から物体側X1に延びる外周面部分226を備える。さらに、第2鏡筒4は、外周面における物体側X1の端部分(外周面側位置決め面223)と外周面像側段部224との間に、外周面中間段部227を備える。外周面中間段部227は、像側X2を向く環状面228および環状面228の内周側の端から像側X2に延びる外周面部分229を有する。
【0063】
(レンズユニットの組み立て)
図12は、レンズL6とレンズL5との調芯方法の説明図である。レンズユニット1を組み立てる際には、まず、第2鏡筒4にレンズL2からレンズL6を収容する第2ユニット組み立て動作を行う。次に、第2鏡筒4を第1鏡筒3に保持させて固定する鏡筒固定動作を行う。その後、第1鏡筒3にレンズL1を収容する第1ユニット組立動作を行う。
【0064】
第2ユニット組み立て動作では、図12に示すように、まず、第2鏡筒4の外で、レンズL6にレンズL5を積み上げて、レンズL5の接触部26とレンズL6の被接触部37とを、線接触させる(ステップST1)。しかる後に、接触部26と被接触部37とが接触する円環状の接触線Mが、光軸Lと同軸で当該光軸Lと垂直な仮想の垂直面S上に位置するまで、レンズL6を振動させる(ステップST2)。ここで、接触部26と被接触部37とが接触する円環状の接触線Mが、光軸Lと同軸で当該光軸Lと垂直な仮想の垂直面S上に位置すると、レンズL5とレンズL6とは調芯される。すなわち、レンズL5とレンズL6とは光軸方向Xおよび径方向で相対的に位置決めされる。
【0065】
調芯が完了した後には、接触線Mの外周側でレンズL1とレンズL2との間に接着剤を塗布する。また、この接着剤を硬化させる。これにより、レンズL6とレンズL5とは、これらの間に形成される接着剤層52により、固定される(ステップST3)。
【0066】
次に、互いに固定されたレンズL5とレンズL6を物体側X1から第2鏡筒4に収容する。この際に、図10から分かるように、レンズL6を、第2鏡筒4の内周面において最も像側X2に設けられた複数の嵌合突起210Bの内周側に圧入する。これにより、各嵌合突起210Bの圧着面210aが径方向外側からレンズL6(物体側レンズL61)に圧着して、レンズL6は、径方向で位置決めされる。また、レンズL6の物体側レンズL61のフランジ部36を、第2鏡筒4の位置決め段部203の位置決めリブ217に当接させる。これにより、レンズL6は、光軸方向Xで位置決めされる。レンズL6が光軸方向Xおよび径方向で位置決めされると、レンズL6に固定されたレンズL5も光軸方向Xおよび径方向で位置決めされる。
【0067】
その後、ホルダ28を物体側X1から第2鏡筒4に収容する。この際に、ホルダ28を、第2鏡筒4の内周面において像側X2から2番目の複数の嵌合突起210Cの内周側に圧入する。これにより、各嵌合突起210Cの圧着面210aが径方向外側からホルダ28に圧着して、ホルダ28は径方向で位置決めされる。また、ホルダ28をレンズL6に物体側X1から当接させることにより、ホルダ28はレンズL6により像側X2から支持されて、光軸方向Xに位置決めされる。ここで、ホルダ28と内周面とレンズL5との間には隙間28aが形成される。従って、これらの隙間28aに接着剤を滴下し、ホルダ28とレンズL5とを接着剤層53(図8参照)を介して、固定する。本例では、ホルダ28の外周部30に設けられた切欠き部31に接着剤を塗布する。これにより、接着剤は、中央部29を伝わって、ホルダ28と内周面とレンズL5との隙間28aに達する。
【0068】
しかる後に、レンズL4を物体側X1から第2鏡筒4に収容する。この際に、レンズL4を、第2鏡筒4の内周面において像側X2から3番目の複数の嵌合突起210Dの内周側に圧入する。これにより、各嵌合突起210Dの圧着面210aが径方向外側からレンズL4に圧着して、レンズL4は径方向で位置決めされる。また、レンズL4をホルダ2
8に物体側X1から当接させることにより、レンズL4はホルダ28により像側X2から支持されて、光軸方向Xに位置決めされる。ここで、第2鏡筒4の内部には、レンズL4、ホルダ28、レンズL5、およびレンズL6からなる積層体44が構成される。
【0069】
次に、レンズL3を物体側X1から第2鏡筒4に収容する。この際に、レンズL3を、複数のガイド突起220の内周側に挿入する。これにより、レンズL3は、所定の姿勢で光軸方向Xに案内され、レンズL3の嵌合部18はレンズL4の被嵌合部22に挿入される。また、ガイド突起220によりガイドされたレンズL3を物体側X1からレンズL4に押し込む。これにより、レンズL3の嵌合部18とレンズL4の被嵌合部22とを嵌合させる。レンズL3の嵌合部18とレンズL4の被嵌合部22とが嵌合した状態では、嵌合部18の嵌合部テーパー面18aと、被嵌合部22の被嵌合部テーパー面22aとは面接触する。これにより、レンズL3は、レンズL4に対して径方向で位置決めされた状態となる。また、レンズL3の嵌合部18とレンズL4の被嵌合部22とが嵌合した状態では、レンズL3のフランジ部17における嵌合部18の外周側部分と、レンズL4のフランジ部21における被嵌合部22の外周側部分とは、光軸方向Xで接触する。これにより、レンズL3は光軸方向Xで位置決めされた状態となる。
【0070】
その後、レンズL3のフランジ部17に物体側X1から第2Oリング8を載置する。次に、遮光シート9を支持面105に支持させる。また、レンズL2を、遮光シート9を介して、支持面105に支持させる。この際に、レンズL2を、第2鏡筒4の内周面において最も物体側X1に位置する嵌合突起210Aの内周側に圧入する。これにより、各嵌合突起210Aの圧着面210aが径方向外側からレンズL2に圧着して、レンズL2は径方向で位置決めされる。また、レンズL2を遮光シート9に物体側X1から当接させることにより、レンズL2は光軸方向Xに位置決めされる。
【0071】
しかる後に、第2鏡筒4の物体側X1の端部分に内周側に屈曲するカシメ部109を形成して、カシメ部109をレンズL2の外周縁部分に物体側X1から当接させる。本例では、熱カシメによりカシメ部109を形成する。これにより、第2ユニット組立動作は完了する。第2ユニット組立動作は完了した状態では、第2Oリング8は、レンズL2とレンズL3との間で、光軸方向Xに圧縮されている。
【0072】
次に、第2ユニット60を第1ユニット50に保持させる鏡筒固定動作を行う。鏡筒固定動作では、図3図9から分かるように、第1鏡筒3の内周面に設けられた3つの中間段部103のそれぞれの段部端面116に、接着剤を塗布する。しかる後に、第1鏡筒3の内周側に、物体側X1から、第2ユニット60を挿入する。そして、図11および図9から分かるように、第2鏡筒4の外周面の像側部分に設けた外周面像側段部224の環状面225を、第1鏡筒3の内周面に設けられた像側段部102のリブ114(像側位置決め部)に当接させる。また、第2鏡筒4の物体側X1の端部分に設けた環状の外周面側位置決め面223を、第1鏡筒3の物体側段部101の環状壁面106に設けた物体側突起110に当接させる。
【0073】
ここで、第1鏡筒3の内周面と第2鏡筒4の外周面とは、第2鏡筒4の像側段部102と第1鏡筒3の像側段部102との接触部分、および第2鏡筒4の環状の位置決め面215と第1鏡筒3の物体側段部101との接触部分を除き、隙間を開けて対向している。従って、第2鏡筒4は、2つの接触部分により、第1鏡筒3に対して、光軸方向Xおよび径方向で位置決めされる。
【0074】
また、第1鏡筒3の内周側に第2ユニット60を挿入すると、第1鏡筒3の内周面の中間段部103と、第2鏡筒4の外周面の外周面中間段部227とは、隙間を開けて対向する。すなわち、第1鏡筒3の中間段部103の段部端面116と、第2鏡筒4の外周面中
間段部227の環状面228とは、光軸方向Xで隙間を開けて対向する。また、第1鏡筒3の中間段部103の段部壁面117と、第2鏡筒4の外周面中間段部227の外周面部分229とは、径方向で隙間を開けて対向する。ここで、第1鏡筒3の中間段部103の段部端面116に塗布した接着剤は、第1鏡筒3の内周側に第2ユニット60を挿入する際に、段部壁面117まで広がる。従って、図2に示すように、第1鏡筒3の中間段部103の段部端面116と、第2鏡筒4の外周面中間段部227の環状面228との間には、鏡筒接続用接着剤層51が介在する。また、第1鏡筒3の中間段部103の段部壁面117と、第2鏡筒4の外周面中間段部227の外周面部分229との間には、鏡筒接続用接着剤層51が介在する。第1鏡筒3の中間段部103と、第2鏡筒4の外周面中間段部227とは、鏡筒接続用接着剤層51を介して第1鏡筒3と第2鏡筒4とを接続する接着固定部である。
【0075】
次に、第1ユニット組み立て動作では、第1鏡筒3の支持面105に第1Oリング7を載置する。その後、レンズL1を、第1Oリング7を介して、支持面105に支持させる。しかる後に、第1鏡筒3の物体側X1の端部分に内周側に屈曲するカシメ部109を形成する。これにより、カシメ部109をレンズL1の外周縁部分に物体側X1から当接させる。本例では、熱カシメによりカシメ部109を形成する。カシメ部109が形成されると、第1Oリング7は、レンズL1の像側X2の端面と第1鏡筒3の支持面105との間で光軸方向Xに圧縮される。
【0076】
ここで、レンズL1が第1鏡筒3に保持されると、レンズL1の像側X2の端面11には、第2鏡筒4に保持されたレンズL2のフランジ部14に設けた環状突部15が面接触した状態となる。
【0077】
また、図2に示すように、第1鏡筒3と第2鏡筒4との間には、第1鏡筒3の像側X2の端3aと第2鏡筒4の像側X2の端4eとの間から、第1鏡筒3の像側段部102において周方向で隣り合うリブ114の間、第1鏡筒3の中間段部103に設けられた切欠き溝118、および、第1鏡筒3の物体側段部101の環状壁面106において周方向で隣り合う物体側突起110の間を経由する空気路70が形成される。空気路70は、レンズL1と支持面105との間であって第1Oリング7よりも内周側の空間に連通する。
【0078】
(作用効果)
本例のレンズユニット1は、像側X2から物体側X1に向かってこの順に配置されたレンズL6(第1レンズ)およびレンズL5(第2レンズ)を有する。レンズL5は、像側X2のレンズ面の外周側にレンズL6と接触する環状の接触部26を備える。レンズL6は、物体側X1のレンズ面の外周側に接触部26と接触する環状の被接触部37を備える。接触部26と被接触部37とは、線接触する。接触部26と被接触部37とが接触する接触線Mは、レンズL6の光軸Lと同軸の円環状であり、レンズL6の光軸Lと垂直な仮想の垂直面S上に位置する。
【0079】
本例によれば、レンズL6とレンズL5とは、円環状の接触線Mで接触する。また、接触線Mは、レンズL6の光軸Lと垂直な仮想の垂直面S上に位置する。従って、レンズL6とレンズL5とを、精度よく調芯された状態とすることができる。
【0080】
本例において、接触部26を光軸Lに沿って切断した断面は、外周側に向かって物体側X1に湾曲する円弧である。被接触部37は、外周側に向かって物体側X1に延びるテーパー面である。従って、レンズL6とレンズL5とを、線接触させることができる。
【0081】
本例において、レンズL5において、像側X2のレンズ面と接触部26とは、段差なく連続する。従って、レンズL5の形状を簡易なものとすることができる。レンズL5の像
側X2のレンズ面とは、レンズL5の本体部24の像側X2の面であり、レンズL5の像側の有効径の部分である。
【0082】
本例において、レンズL6とレンズL5とは、接触線Mの外周側でレンズL6とレンズL5との間に設けられた接着剤層52(第1接着剤層)により固定される。すなわち、レンズL5は、接着剤により、レンズL6に固定される。
【0083】
本例では、レンズL6およびレンズL5を内部に収容する第2鏡筒4(鏡筒)を有する。第2鏡筒4は、内周面において、レンズL6の径方向外側に位置する内周面部分4a(第1内周面部分)から内周側に突出してレンズL6に圧着する複数の嵌合突起210B(第1嵌合突起)を備える。レンズL6は、複数の嵌合突起210Bにより径方向で位置決めされる。レンズL5は、第2鏡筒4の内周面から内周側に離間する。すなわち、レンズL6は、第2鏡筒4の内周面に設けられた嵌合突起210Bにより径方向で位置決めされるが、レンズL5は、第2鏡筒4と接触していない。これにより、レンズL5を、レンズL6との線接触のみで位置決めすることが可能となる。
【0084】
また、本例は、レンズL5の物体側X1に配置されたレンズL4(第3レンズ)と、レンズL5の外周側に配置された環状のホルダ28と、を有する。レンズL6は、第2鏡筒4の位置決め段部203のリブ217により、光軸方向Xの所定の位置に像側X2から支持される。第2鏡筒4は、内周面において、ホルダ28の径方向外側に位置する内周面部分4b(第2内周面部分)から内周側に突出してホルダ28に圧着する複数の嵌合突起210C(第2嵌合突起)を備える。ホルダ28は、レンズL6の物体側X1に積層され、複数の嵌合突起210Cにより径方向で位置決めされる。レンズL5とホルダ28の内周面との間には、隙間が設けられている。レンズL5は、この隙間に設けられた接着剤層53(第2接着剤層)によりホルダ28に固定される。レンズL4は、ホルダ28の物体側X1に積層される。従って、レンズL5の外周側に位置するホルダ28は第2鏡筒4の内周面の嵌合突起210Cにより駅径方向で位置決めされるが、ホルダ28とレンズL5との間には、隙間がある。よって、ホルダ28の位置決め精度がレンズL5の径方向の位置に影響を与えることはない。ここで、ホルダ28はレンズL6の物体側X1に積層され、ホルダ28の物体側X1にはレンズL4が積層される。従って、ホルダ28は、レンズL4を光軸方向Xで位置決めする部材として機能する。
【0085】
次に、光軸方向Xで隣り合うレンズL6(第1レンズ)およびレンズL5(第2レンズ)とを調芯するレンズ調芯方法は、レンズL5のレンズL6側のレンズ面の外周側に、レンズL6と接触する環状の接触部26を設けるとともに、レンズL6のレンズL5側のレンズ面の外周側に接触部26と接触する環状の被接触部37を設けておき、接触部26と被接触部37とを線接触させ、接触部26と被接触部37とが接触する円環状の接触線Mが、レンズL6の光軸Lと同軸で当該光軸Lと垂直な仮想の垂直面S上に位置するまで、レンズL6およびレンズL5の一方を振動させる。接触部26を光軸Lに沿って切断した断面は、外周側に向かって物体側X1(レンズL6から離間する方向)に湾曲する円弧であり、被接触部37は、外周側に向かって物体側X1(レンズL5の側)に延びるテーパー面であることを特徴とする。
【0086】
本例では、レンズL6とレンズL5とを積層して、レンズL6に設けた接触部26とレンズL5に設けた被接触部37とを線接触させて、レンズL6およびレンズL5の一方を振動させる。ここで、接触部26を光軸Lに沿って切断した断面は、外周側に向かって物体側X1に湾曲する円弧であり、被接触部37は、外周側に向かって物体側X1に延びるテーパー面である。従って、レンズL6およびレンズL5の一方を振動させることにより、レンズL6とレンズL5とを相対移動移動させて2つのレンズの調芯を行うことができる。
【0087】
本例において、接触部26と被接触部37とが接触する円環状の接触線MがレンズL6の光軸Lと垂直な仮想の垂直面S上に位置した後に、接触線Mの外周側でレンズL6とレンズL5との間に接着剤を塗布してレンズL6とレンズL5とを固定するものとすることができる。
【0088】
(その他の実施の形態)
なお、レンズL5の接触部を、外周側に向かって物体側X1に延びるテーパー面とし、レンズL6の被接触部を光軸Lに沿って切断した断面を、物体側X1に向かって外周側に湾曲する円弧としてもよい。このようにしても、第1レンズおよび第2レンズの一方を振動させることにより、第1レンズと第2レンズとを相対移動移動させて2つのレンズの調芯を行うことができる。
【0089】
レンズL6とレンズL5との調芯は、これらのレンズを第2鏡筒4に収容した状態で行ってもよい。この場合には、第2鏡筒4にレンズL6を挿入して、レンズL6を光軸方向Xおよび径方向で位置決めする。その後、レンズL6にレンズL5を積み上げて、レンズL5の接触部26とレンズL6の被接触部37とを、線接触させる(ステップST1)。しかる後に、接触部26と被接触部37とが接触する円環状の接触線Mが、光軸Lと同軸で当該光軸Lと垂直な仮想の垂直面S上に位置するまで、第2鏡筒を振動させる。すなわち、レンズL6を振動させる(ステップST2)。接触線Mの外周側でレンズL6とレンズL5との間に接着剤を塗布してレンズL6とレンズL5とを固定する(ステップST3)。
【0090】
また、この場合には、第2鏡筒を振動させる前に、ホルダ28を第2鏡筒4に収容して、ホルダ28を光軸方向Xおよび径方向で位置決めしてもよい。このようにしても、ホルダ28とレンズL5との間には隙間があるので、レンズL6とレンズL5との調芯が可能である。
【0091】
図13は、レンズL6とレンズL5との調芯方法の別の例の説明図である。本例のレンズL6とレンズL5との調芯方法では、図13に示すように、レンズL5の接触部26とレンズL6の被接触部37とを線接触させた後に(ステップST11)、接触線Mの外周側でレンズL6とレンズL5との間に接着剤を塗布する(ステップST12)。その後、接触部26と被接触部37とが接触する円環状の接触線MがレンズL6の光軸Lと垂直な仮想の垂直面S上に位置するまでレンズL6を振動させ、しかる後に、接着剤を硬化させる(ステップST13)。このようにしても、レンズL6およびレンズL5の一方を振動させることにより、レンズL6とレンズL5とを相対移動移動させて2つのレンズの調芯を行うことができる。また、接着剤像により、レンズL6とレンズL5とを固定できる。
【0092】
なお、上記の例では、レンズL6を振動させて調芯を行っているが、レンズL5にレンズL6を積み上げて、レンズL5を振動させて調芯を行うこともできる。
【0093】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1)像側から物体側に向かってこの順に配置された第1レンズおよび第2レンズを有し、前記第2レンズは、前記像側のレンズ面の外周側に前記第1レンズと接触する環状の接触部を備え、前記第1レンズは、前記物体側のレンズ面の外周側に前記接触部と接触する環状の被接触部を備え、前記接触部と被接触部とは、線接触し、前記接触部と被接触部とが接触する接触線は、前記第1レンズの光軸と同軸の円環状であり、前記第1レンズの光軸と垂直な仮想の垂直面上に位置するレンズユニット。
【0094】
(2)前記接触部を前記光軸に沿って切断した断面は、外周側に向かって前記物体側に湾
曲する円弧であり、前記被接触部は、前記外周側に向かって前記物体側に延びるテーパー面である(1)に記載のレンズユニット。
【0095】
(3)前記第2レンズにおいて、前記像側のレンズ面と前記接触部とは、段差なく連続する(2)に記載のレンズユニット。
【0096】
(4)前記第1レンズと前記第2レンズとは、前記接触線の前記外周側で前記第1レンズと前記第2レンズとの間に設けられた第1接着剤層により固定される(1)から(3)のいずれかに記載のレンズユニット。
【0097】
(5)前記第1レンズおよび前記第2レンズを内部に収容する鏡筒を有し、前記鏡筒は、内周面において、前記第1レンズの径方向外側に位置する第1内周面部分から内周側に突出して前記第1レンズに圧着する複数の第1嵌合突起を備え、前記第1レンズは、複数の前記第1嵌合突起により径方向で位置決めされ、前記第2レンズは、前記鏡筒の内周面から内周側に離間する(1)から(4)のいずれかに記載のレンズユニット。
【0098】
(6)前記第2レンズの前記物体側に配置された第3レンズと、前記第2レンズの前記外周側に配置された環状のホルダと、を有し、前記第1レンズは、前記光軸方向の所定の位置に前記像側から支持され、前記鏡筒は、内周面において、前記ホルダの径方向外側に位置する第2内周面部分から内周側に突出して前記ホルダに圧着する複数の第2嵌合突起を備え、前記ホルダは、前記第1レンズの前記物体側に積層され、複数の前記第2嵌合突起により前記径方向で位置決めされ、前記第2レンズと前記ホルダの内周面との間には、隙間が設けられており、前記第2レンズは、前記隙間に設けられた第2接着剤層により前記ホルダに固定され、前記第3レンズは、前記ホルダの前記物体側に積層される(5)に記載のレンズユニット。
【符号の説明】
【0099】
1…レンズユニット、2…鏡筒、3…第1鏡筒、3a…第1鏡筒の端、4…第2鏡筒、4a~4d…内周面部分、4e…第2鏡筒の端、6…レンズ、7…第1Oリング、8…第2Oリング、9…遮光シート、10…カバー、11…端面、13…レンズ本体部、14…フランジ部、15…環状突部、15a…環状接触部、16…レンズ本体部、17…フランジ部、18…嵌合部、18a…嵌合部テーパー面、18b…嵌合部端面、20…レンズ本体部、21…フランジ部、22…被嵌合部、22a…被嵌合部テーパー面、24…レンズ本体部、24a…レンズ面、25…フランジ部、26…接触部、28…ホルダ、28a…隙間、29…中央部、30…外周部、31…切欠き部、35…レンズ本体部、36…フランジ部、37…被接触部、38…環状端面、40…レンズ本体部、41…フランジ部、44…積層体、50…第1ユニット、51…鏡筒接続用接着剤層、52…接着剤層、53…接着剤層、60…第2ユニット、70…空気路、101…物体側段部、102…像側段部、103…中間段部、105…支持面、106…環状壁面、107…周壁面、108…収容部、109…カシメ部、110…物体側突起、112…像側端面、113…像側内壁面、114…リブ、116…段部端面、117…段部壁面、118…切欠き溝、201…物体側段部、202…像側段部、203…位置決め段部、204…カバー保持部、205…座面、206…環状壁面、207…周壁面、208…収容部、209…カシメ部、210A~210D…嵌合突起、210a…圧着面、210b…湾曲面、212…像側端面、213…像側内壁面、215…位置決め面、216…決め段部周壁面、217…位置決めリブ、220…ガイド突起、220a…案内面、220b…湾曲面、223…外周面側位置決め面、224…外周面像側段部、225…環状面、226…外周面部分、227…外周面中間段部、228…環状面、229…外周面部分、L1~L6…レンズ、L61…物体側レンズ、L62…像側レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13