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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147059
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】端子カバー及びカバー付き端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/70 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
H01R4/70 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059830
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 裕太郎
(57)【要約】
【課題】作業性を向上することができる端子カバー及びカバー付き端子を提供する。
【解決手段】端子カバー1は、ベース部材10と、蓋部材20と、中心側係止機構40と、先端側係止機構50と、案内機構60とを備える。先端側係止機構50は、ベース部材10と蓋部材20とを回動方向Rに沿って回動させて組み合わせる際に、先端側引っ掛け部51が先端側爪部52に対して軸線方向Xにずれた場合、当該先端側引っ掛け部51が案内機構60に干渉する。中心側係止機構40は、ベース部材10と蓋部材20とを回動方向Rに沿って回動させて組み合わせる際に、中心側引っ掛け部41が中心側爪部42に対して軸線方向Xにずれた場合でも、中心側引っ掛け部41が回動方向Rに移動自在である移動空間部が中心側爪部42の周囲に形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれを回動軸線周りの回動方向に沿って回動させて互いに組み合わせた閉じ状態で、端子における電線との接続部を収容可能であり、それぞれ、前記回動方向に沿ってそれぞれ回動する際の回動軌跡の中心側に設けられる中心側壁部、及び、前記回動軌跡の先端側に設けられる先端側壁部を有する第1カバー部材及び第2カバー部材と、
回動軸線周りに沿う回動方向に沿ってそれぞれ回動する際の回動軌跡の中心側に設けられる中心側壁部、及び、前記回動軌跡の先端側に設けられる先端側壁部を有し、それぞれを前記回動方向に沿って回動させて互いに組み合わせた閉じ状態で、端子における電線との接続部を収容可能な第1カバー部材及び第2カバー部材と、
前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に開閉可能に連結するヒンジと、
前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の一方の前記中心側壁部に設けられる中心側引っ掛け部、及び、前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の他方の前記中心側壁部に設けられる中心側爪部を有し、前記閉じ状態で、前記中心側引っ掛け部を前記中心側爪部に引っ掛けて、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材を係止する中心側係止機構と、
前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の一方の前記先端側壁部に設けられる先端側引っ掛け部、及び、前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の他方の前記先端側壁部に設けられる先端側爪部を有し、前記閉じ状態で、前記先端側引っ掛け部を前記先端側爪部に引っ掛けて、前記中心側係止機構と共に前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材を係止する先端側係止機構と、
前記先端側係止機構に対して設けられ、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に沿って回動させて組み合わせる際に、前記先端側引っ掛け部を前記回動方向に沿って前記先端側爪部に案内する案内機構と、を備え、
前記先端側係止機構は、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に沿って回動させて組み合わせる際に、前記先端側引っ掛け部が前記先端側爪部に対して前記回動軸線に沿う軸線方向にずれていない場合、前記案内機構により前記先端側引っ掛け部が前記回動方向に沿って前記先端側爪部に向けて案内され、前記先端側引っ掛け部が前記先端側爪部に対して前記軸線方向にずれた場合、当該先端側引っ掛け部が前記案内機構に干渉し、
前記中心側係止機構は、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に沿って回動させて組み合わせる際に、前記中心側引っ掛け部が前記中心側爪部に対して前記軸線方向にずれた場合でも、前記中心側引っ掛け部が前記回動方向に移動自在である移動空間部が前記中心側爪部の周囲に形成されていることを特徴とする端子カバー。
【請求項2】
前記案内機構は、前記先端側係止機構及び前記中心側係止機構のうち前記先端側係止機構のみに対して設けられる請求項1に記載の端子カバー。
【請求項3】
前記案内機構は、前記先端側壁部において前記軸線方向に沿って前記先端側爪部を間に挟む位置に立設され、前記回動方向に沿って前記先端側引っ掛け部を前記先端側爪部に案内する1対の案内壁部を有し、
前記先端側係止機構は、前記回動方向に沿って回動させて前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを組み合わせる際に、前記先端側引っ掛け部が前記先端側爪部に対して前記軸線方向にずれた場合、当該先端側引っ掛け部が前記1対の案内壁部に干渉する請求項1又は2に記載の端子カバー。
【請求項4】
導電性を有し電線に接続される端子と、
前記端子における前記電線との接続部を収容可能な端子カバーと、を備え、
前記端子カバーは、それぞれを回動軸線周りの回動方向に沿って回動させて互いに組み合わせた閉じ状態で、端子における電線との接続部を収容可能であり、それぞれ、前記回動方向に沿ってそれぞれ回動する際の回動軌跡の中心側に設けられる中心側壁部、及び、前記回動軌跡の先端側に設けられる先端側壁部を有する第1カバー部材及び第2カバー部材と、
前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に開閉可能に連結するヒンジと、
前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の一方の前記中心側壁部に設けられる中心側引っ掛け部、及び、前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の他方の前記中心側壁部に設けられる中心側爪部を有し、前記閉じ状態で、前記中心側引っ掛け部を前記中心側爪部に引っ掛けて、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材を係止する中心側係止機構と、
前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の一方の前記先端側壁部に設けられる先端側引っ掛け部、及び、前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の他方の前記先端側壁部に設けられる先端側爪部を有し、前記閉じ状態で、前記先端側引っ掛け部を前記先端側爪部に引っ掛けて、前記中心側係止機構と共に前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材を係止する先端側係止機構と、
前記先端側係止機構に対して設けられ、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に沿って回動させて組み合わせる際に、前記先端側引っ掛け部を前記回動方向に沿って前記先端側爪部に案内する案内機構と、を備え、
前記先端側係止機構は、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に沿って回動させて組み合わせる際に、前記先端側引っ掛け部が前記先端側爪部に対して前記回動軸線に沿う軸線方向にずれていない場合、前記案内機構により前記先端側引っ掛け部が前記回動方向に沿って前記先端側爪部に向けて案内され、前記先端側引っ掛け部が前記先端側爪部に対して前記軸線方向にずれた場合、当該先端側引っ掛け部が前記案内機構に干渉し、
前記中心側係止機構は、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に沿って回動させて組み合わせる際に、前記中心側引っ掛け部が前記中心側爪部に対して前記軸線方向にずれた場合でも、前記中心側引っ掛け部が前記回動方向に移動自在である移動空間部が前記中心側爪部の周囲に形成されていることを特徴とするカバー付き端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子カバー及びカバー付き端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子カバーとして、例えば、特許文献1には、端子金具と電線の端部との締結部を収容可能な端子保護カバーが記載されている。この端子保護カバーは、端子金具を収容可能な収容凹部を有する本体部と、本体部の一側壁にヒンジを介して連結され、ヒンジを支点として回動されることにより、収容凹部を開放する開放位置と収容凹部を閉止する閉止位置とに変位させられ、閉止位置では本体部の他側壁に係止される蓋部とを備えている。そして、端子保護カバーは、本体部が、端子金具の形状に沿って屈曲され、その屈曲部分を境とした片側に配置される第1本体部と、他の片側に配置される第2本体部とを有する形態とされ、蓋部が、第1本体部に連結される第1蓋部と、第2本体部に連結される第2蓋部とを有する形態とされ、かつ第1、第2蓋部が互いに交差する方向に回動可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-190703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載の端子保護カバーは、ヒンジ側とは反対側の他側壁に係止部が設けられ、閉止位置において蓋部が本体部の他側壁に係止される。ところで、この端子保護カバーは、ヒンジ側の一側壁にも係止部を設けることで、蓋部を本体部に強固に係止することが考えられる。この場合に、蓋部を本体部に円滑に係止することで作業性を向上できるようにすることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、作業性を向上することができる端子カバー及びカバー付き端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る端子カバーは、それぞれを回動軸線周りの回動方向に沿って回動させて互いに組み合わせた閉じ状態で、端子における電線との接続部を収容可能であり、それぞれ、前記回動方向に沿ってそれぞれ回動する際の回動軌跡の中心側に設けられる中心側壁部、及び、前記回動軌跡の先端側に設けられる先端側壁部を有する第1カバー部材及び第2カバー部材と、回動軸線周りに沿う回動方向に沿ってそれぞれ回動する際の回動軌跡の中心側に設けられる中心側壁部、及び、前記回動軌跡の先端側に設けられる先端側壁部を有し、それぞれを前記回動方向に沿って回動させて互いに組み合わせた閉じ状態で、端子における電線との接続部を収容可能な第1カバー部材及び第2カバー部材と、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に開閉可能に連結するヒンジと、前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の一方の前記中心側壁部に設けられる中心側引っ掛け部、及び、前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の他方の前記中心側壁部に設けられる中心側爪部を有し、前記閉じ状態で、前記中心側引っ掛け部を前記中心側爪部に引っ掛けて、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材を係止する中心側係止機構と、前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の一方の前記先端側壁部に設けられる先端側引っ掛け部、及び、前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の他方の前記先端側壁部に設けられる先端側爪部を有し、前記閉じ状態で、前記先端側引っ掛け部を前記先端側爪部に引っ掛けて、前記中心側係止機構と共に前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材を係止する先端側係止機構と、前記先端側係止機構に対して設けられ、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に沿って回動させて組み合わせる際に、前記先端側引っ掛け部を前記回動方向に沿って前記先端側爪部に案内する案内機構と、を備え、前記先端側係止機構は、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に沿って回動させて組み合わせる際に、前記先端側引っ掛け部が前記先端側爪部に対して前記回動軸線に沿う軸線方向にずれていない場合、前記案内機構により前記先端側引っ掛け部が前記回動方向に沿って前記先端側爪部に向けて案内され、前記先端側引っ掛け部が前記先端側爪部に対して前記軸線方向にずれた場合、当該先端側引っ掛け部が前記案内機構に干渉し、前記中心側係止機構は、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に沿って回動させて組み合わせる際に、前記中心側引っ掛け部が前記中心側爪部に対して前記軸線方向にずれた場合でも、前記中心側引っ掛け部が前記回動方向に移動自在である移動空間部が前記中心側爪部の周囲に形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るカバー付き端子は、導電性を有し電線に接続される端子と、前記端子における前記電線との接続部を収容可能な端子カバーと、を備え、前記端子カバーは、それぞれを回動軸線周りの回動方向に沿って回動させて互いに組み合わせた閉じ状態で、端子における電線との接続部を収容可能であり、それぞれ、前記回動方向に沿ってそれぞれ回動する際の回動軌跡の中心側に設けられる中心側壁部、及び、前記回動軌跡の先端側に設けられる先端側壁部を有する第1カバー部材及び第2カバー部材と、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に開閉可能に連結するヒンジと、前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の一方の前記中心側壁部に設けられる中心側引っ掛け部、及び、前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の他方の前記中心側壁部に設けられる中心側爪部を有し、前記閉じ状態で、前記中心側引っ掛け部を前記中心側爪部に引っ掛けて、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材を係止する中心側係止機構と、前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の一方の前記先端側壁部に設けられる先端側引っ掛け部、及び、前記第1カバー部材又は前記第2カバー部材の他方の前記先端側壁部に設けられる先端側爪部を有し、前記閉じ状態で、前記先端側引っ掛け部を前記先端側爪部に引っ掛けて、前記中心側係止機構と共に前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材を係止する先端側係止機構と、前記先端側係止機構に対して設けられ、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に沿って回動させて組み合わせる際に、前記先端側引っ掛け部を前記回動方向に沿って前記先端側爪部に案内する案内機構と、を備え、前記先端側係止機構は、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に沿って回動させて組み合わせる際に、前記先端側引っ掛け部が前記先端側爪部に対して前記回動軸線に沿う軸線方向にずれていない場合、前記案内機構により前記先端側引っ掛け部が前記回動方向に沿って前記先端側爪部に向けて案内され、前記先端側引っ掛け部が前記先端側爪部に対して前記軸線方向にずれた場合、当該先端側引っ掛け部が前記案内機構に干渉し、前記中心側係止機構は、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを前記回動方向に沿って回動させて組み合わせる際に、前記中心側引っ掛け部が前記中心側爪部に対して前記軸線方向にずれた場合でも、前記中心側引っ掛け部が前記回動方向に移動自在である移動空間部が前記中心側爪部の周囲に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る端子カバー及びカバー付き端子は、案内機構により先端側引っ掛け部を案内することで、当該先端側引っ掛け部を先端側爪部に円滑に係止することができる。この場合に、端子カバー及びカバー付き端子は、案内機構を中心側係止機構に対して設けずに先端側係止機構のみに対して設けている。ここで、例えば、案内機構を中心側係止機構に対して設けた場合、第1及び第2カバー部材の回動軌跡の中心側で、案内機構により中心側引っ掛け部を案内するので、この場合、第1及び第2カバー部材の回動軌跡の先端側で案内する場合と比較して、案内までのストロークが短いので案内する際の位置合わせが難しく、作業性が低下するおそれがある。これに対して、端子カバー及びカバー付き端子は、案内機構を中心側係止機構に対して設けずに先端側係止機構のみに対して設けるので、長いストロークを確保することができ、これにより、案内する際の位置合わせが容易であり、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るカバー付き端子の構成例を示す斜視図であり、一方側から視た図である。
図2図2は、実施形態に係るカバー付き端子の構成例を示す斜視図であり、他方側から視た図である。
図3図3は、実施形態に係るカバー付き端子の閉じ動作を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る電線付き端子の構成例を示す斜視図である。
図5図5は、実施形態に係る端子カバーの構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0011】
図面を参照しながら実施形態に係るカバー付き端子100について説明する。カバー付き端子100は、例えば、図1図2図3に示すように、車両に搭載される機器や電気的接続部品のスタッドボルトに対し挿通されて締め付け固定されることで電気的に接続され、機器間を電気的に接続するものである。
【0012】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「軸線方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。ここでは、軸線方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に交差し、典型的には直交する。軸線方向Xは、後述の回動軸線Pに沿う方向、電線Wが延在する延在方向等に相当する。幅方向Yと高さ方向Zとは、軸線方向Xと交差する交差方向に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。
【0013】
カバー付き端子100は、例えば、図4図5に示すように、端子付き電線TWと、端子カバー1とを備える。
【0014】
端子付き電線TWは、電線Wと、端子Tとを有し、電線Wに端子Tを接続したものである。
【0015】
電線Wは、例えば、導電性を有する複数の金属素線を束ねた芯線を、絶縁被覆部によって被覆した絶縁電線である。なお、電線Wは、複数の絶縁電線を束ねたものであってもよい。電線Wは、少なくとも一方の端部において、絶縁被覆部が剥ぎ取られており、芯線が絶縁被覆部から露出している。電線Wは、絶縁被覆部から露出している芯線に端子Tが接続される。
【0016】
端子Tは、例えば、図4に示すように、丸形(LA)端子であり、相手側接続部Taと、圧着部Tbとを有する。相手側接続部Taは、端子Tの先端側に設けられ、環状に形成されている。相手側接続部Taは、例えば、スタッドボルトに対し挿通されて締め付け固定される。圧着部Tbは、端子Tの基端側に設けられ、円筒形状に形成されている。圧着部Tbは、電線Wの端部から露出した芯線が挿入され、当該芯線が圧着固定されて芯線と電気的に接続される。このように、端子付き電線TWは、端子Tと電線Wとが電気的に接続される。
【0017】
端子カバー1は、絶縁性の樹脂により形成され、端子Tにおける電線Wとの電気的な電線接続部(接続部)Tcを収容することで、当該電線接続部Tcを保護するものである。端子カバー1は、例えば、端子Tの先端側の相手側接続部Taを露出させた状態で、端子Tを収容する。より詳細には、端子カバー1は、端子Tの相手側接続部Taを除く残りの部分、すなわち、端子Tの基端側の電線接続部Tcを含む部分を収容する。さらに、端子カバー1は、電線Wの端子T側の端部、すなわち端子Tの電線接続部Tcと接続される側の部分も収容している。端子カバー1は、例えば、図1図2図5に示すように、第1カバー部材としてのベース部材10と、第2カバー部材としての蓋部材20と、ヒンジ30と、中心側係止機構40と、先端側係止機構50と、案内機構60とを備える。
【0018】
ベース部材10は、図5に示すように、収容部11と、電線用開口部12と、端子用開口部13とを有する。
【0019】
収容部11は、箱状に形成され、内側の収容空間部に端子Tの電線接続部Tcを含む部分を収容するものである。収容部11は、底壁111と、中心側壁部112と、先端側壁部113と、側壁114と、側壁115とを有する。
【0020】
底壁111は、軸線方向Xに沿って延在し、高さ方向Zにおいて蓋部材20と対向する壁部である。
【0021】
中心側壁部112は、ベース部材10が回動軸線P周りの回動方向Rに沿って回動する際の回動軌跡の中心側に設けられ、軸線方向Xに沿って延在し、底壁111から高さ方向Zに沿って蓋部材20側に立設される側壁部である。すなわち、中心側壁部112は、ベース部材10の回動内側の側壁部である。言い換えれば、中心側壁部112は、先端側壁部113よりもヒンジ30側の側壁部である。ここで、上述の回動軸線Pは、ベース部材10がヒンジ30を中心にして回動する際の仮想の回動軸である。
【0022】
先端側壁部113は、ベース部材10が回動軸線P周りの回動方向Rに沿って回動する際の回動軌跡の先端側に設けられ、軸線方向Xに沿って延在し、底壁111から高さ方向Zに沿って蓋部材20側に立設される側壁部である。すなわち、先端側壁部113は、ベース部材10の回動外側の側壁部である。言い換えれば、先端側壁部113は、中心側壁部112よりもヒンジ30側とは反対側の側壁部である。先端側壁部113は、幅方向Yにおいて中心側壁部112と対向している。
【0023】
側壁114は、中心側壁部112と先端側壁部113との間に設けられた側壁である。側壁114は、軸線方向Xにおいて側壁115よりも電線W側に位置し、幅方向Yに沿って延在し、底壁111から高さ方向Zに沿って蓋部材20側に立設されている。
【0024】
側壁115は、軸線方向Xにおいて側壁114よりも端子T側に設けられ、幅方向Yに沿って延在し、底壁111から高さ方向Zに沿って蓋部材20側に立設される壁部である。側壁115は、軸線方向Xにおいて側壁114と対向している。
【0025】
このように、収容部11は、底壁111、中心側壁部112、先端側壁部113、側壁114、及び、側壁115によって箱状に形成され、これらの壁部により端子Tの電線接続部Tcを含む部分を収容する収容空間部を形成する。
【0026】
電線用開口部12は、電線W側の側壁114に形成された開口部であり、半円形状に形成されている。電線用開口部12は、ベース部材10及び蓋部材20を互いに組み合わせた閉じ状態で、蓋部材20の電線用開口部22と共に円形状の開口部を形成し、この開口部から電線Wを挿通させる。
【0027】
端子用開口部13は、端子T側の側壁115に形成された開口部であり、矩形状に形成されている。端子用開口部13は、ベース部材10及び蓋部材20を互いに組み合わせた閉じ状態で、蓋部材20の上壁211と共に矩形状の開口部を形成し、この開口部から端子Tの相手側接続部Taを軸線方向Xに沿って挿通させ、当該相手側接続部Taを露出させる。
【0028】
蓋部材20は、図5に示すように、カバー部21と、電線用開口部22とを有する。
【0029】
カバー部21は、板状に形成され、ベース部材10の収容部11の開口部を閉塞するものである。カバー部21は、上壁211と、中心側壁部212と、先端側壁部213と、側壁214とを有する。
【0030】
上壁211は、軸線方向Xに沿って延在し、高さ方向Zにおいて蓋部材20の底壁111と対向する壁部である。上壁211は、ベース部材10及び蓋部材20を互いに組み合わせた閉じ状態で、ベース部材10の収容部11の開口部を閉塞する。
【0031】
中心側壁部212は、蓋部材20が回動軸線P周りの回動方向Rに沿って回動する際の回動軌跡の中心側に設けられ、軸線方向Xに沿って延在し、上壁211から高さ方向Zに沿ってベース部材10側に立設される側壁部である。すなわち、中心側壁部212は、蓋部材20の回動内側の側壁部である。言い換えれば、中心側壁部212は、先端側壁部213よりもヒンジ30側の側壁部である。中心側壁部212は、ベース部材10と蓋部材20とを組み合わせた閉じ状態で、幅方向Yに沿ってベース部材10の中心側壁部112と重なる。
【0032】
先端側壁部213は、ベース部材10が回動軸線P周りの回動方向Rに沿って回動する際の回動軌跡の先端側に設けられ、上壁211から高さ方向Zに沿ってベース部材10側に立設される側壁部である。すなわち、先端側壁部213は、ベース部材10の回動外側の側壁部である。言い換えれば、先端側壁部213は、中心側壁部112よりもヒンジ30側とは反対側の側壁部である。先端側壁部213は、幅方向Yにおいて中心側壁部212と対向している。先端側壁部213は、ベース部材10と蓋部材20とを組み合わせた閉じ状態で、幅方向Yに沿ってベース部材10の先端側壁部113と重なる。
【0033】
側壁214は、中心側壁部212と先端側壁部213との間に設けられた側壁である。側壁214は、軸線方向Xにおいて側壁115よりも電線W側に位置し、幅方向Yに沿って延在し、上壁211から高さ方向Zに沿って蓋部材20側に立設されている。
【0034】
電線用開口部22は、電線W側の側壁214に形成された開口部であり、半円形状に形成されている。電線用開口部22は、ベース部材10及び蓋部材20を互いに組み合わせた閉じ状態で、ベース部材10の電線用開口部12と共に円形状の開口部を形成し、この開口部から電線Wを挿通させる。
【0035】
なお、ベース部材10及び蓋部材20は、端子Tの形状に合わせて、L字形状に形成されている。ベース部材10は、例えば、L字形状に合わせて、軸線方向Xに沿った本体部と、幅方向Yに沿って屈曲された屈曲部とを有している。この屈曲部の側壁116には、引っ掛け部14が設けられている。蓋部材20は、L字形状に合わせて、軸線方向Xに沿った本体部と、幅方向Yに沿って屈曲された屈曲部とを有している。この屈曲部の側壁216には、引っ掛け部14に引っ掛けられる爪部23が設けられている。
【0036】
ヒンジ30は、ベース部材10と蓋部材20とを回動方向Rに開閉可能に連結するものである。ヒンジ30は、例えば、帯状の形状であり、弾性変形可能に形成されている。ヒンジ30は、一端がベース部材10の中心側壁部112に連結され、他端が蓋部材20の中心側壁部212に連結されている。ヒンジ30は、作業者の操作に応じて、ベース部材10及び蓋部材20を回動方向Rに沿って回動させて互いに組み合わせた閉じ状態と、ベース部材10及び蓋部材20を回動方向Rに沿って回動させて互いに開いた開状態と、を可能に連結する。
【0037】
中心側係止機構40は、ベース部材10及び蓋部材20が回動軸線P周りの回動方向Rに沿って回動する際の回動軌跡の中心側で、ベース部材10及び蓋部材20を係止するものである。中心側係止機構40は、中心側引っ掛け部41と、中心側爪部42とを有する。
【0038】
中心側引っ掛け部41は、枠状のフックである。中心側引っ掛け部41は、ベース部材10の中心側壁部112に設けられ、1対のアーム411,411と、バー部材412とを有する。
【0039】
1対のアーム411,411は、それぞれがアーム状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、軸線方向Xに沿って並んで中心側壁部112に設けられている。1対のアーム411,411は、一方のアーム411と他方のアーム411との間にバー部材412が設けられている。
【0040】
バー部材412は、軸線方向Xに沿って延在し、1対のアーム411,411の間に設けられている。
【0041】
中心側爪部42は、爪状の突起である。中心側爪部42は、蓋部材20の中心側壁部212に設けられ、傾斜面421と、垂直面422とを有する。
【0042】
傾斜面421は、高さ方向Zに対して傾斜して形成されている。傾斜面421は、ベース部材10と蓋部材20とを回動させて組み合わせる際に、ベース部材10の中心側引っ掛け部41のバー部材412に当接し、当該バー部材412が中心側爪部42を乗り越えやすくしている。
【0043】
垂直面422は、高さ方向Zに対して垂直に形成されている。垂直面422は、ベース部材10と蓋部材20とを回動させて組み合わせる際に、ベース部材10の中心側引っ掛け部41のバー部材412が傾斜面421を乗り越えた後に、当該バー部材412を係止する。
【0044】
このように形成された中心側係止機構40は、ベース部材10及び蓋部材20を回動方向Rに沿って回動させて互いに組み合わせた閉じ状態で、中心側引っ掛け部41のバー部材412を中心側爪部42に引っ掛けて、ベース部材10及び蓋部材20を係止する。
【0045】
先端側係止機構50は、ベース部材10及び蓋部材20が回動軸線P周りの回動方向Rに沿って回動する際の回動軌跡の先端側で、ベース部材10及び蓋部材20を係止するものである。先端側係止機構50は、先端側引っ掛け部51と、先端側爪部52とを有する。
【0046】
先端側引っ掛け部51は、枠状のフックである。先端側引っ掛け部51は、ベース部材10の先端側壁部113に設けられ、1対のアーム511,511と、バー部材512とを有する。
【0047】
1対のアーム511,511は、それぞれがアーム状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、軸線方向Xに沿って並んで先端側壁部113に設けられている。1対のアーム511,511は、一方のアーム511と他方のアーム511との間にバー部材512が設けられている。
【0048】
バー部材512は、軸線方向Xに沿って延在し、1対のアーム511,511の間に設けられている。
【0049】
先端側爪部52は、爪状の突起である。先端側爪部52は、蓋部材20の先端側壁部213に設けられ、傾斜面521と、垂直面522とを有する。
【0050】
傾斜面521は、高さ方向Zに対して傾斜して形成されている。傾斜面521は、ベース部材10と蓋部材20とを回動させて組み合わせる際に、ベース部材10の先端側引っ掛け部51のバー部材512に当接し、当該バー部材512が先端側爪部52を乗り越えやすくしている。
【0051】
垂直面522は、高さ方向Zに対して垂直に形成されている。垂直面522は、ベース部材10と蓋部材20とを回動させて組み合わせる際に、ベース部材10の先端側引っ掛け部51のバー部材512が傾斜面521を乗り越えた後に、当該バー部材512を係止する。
【0052】
このように形成された先端側係止機構50は、ベース部材10及び蓋部材20を回動方向Rに沿って回動させて互いに組み合わせた閉じ状態で、先端側引っ掛け部51のバー部材512を先端側爪部52に引っ掛けて、中心側係止機構40と共にベース部材10及び蓋部材20を係止する。
【0053】
案内機構60は、先端側引っ掛け部51を回動方向Rに沿って先端側爪部52に案内するものである。案内機構60は、1対の案内壁部61,61を有する。1対の案内壁部61,61は、先端側係止機構50に対して設けられる。1対の案内壁部61,61は、例えば、それぞれが板状に形成され、蓋部材20の先端側壁部213において、軸線方向Xに沿って先端側爪部52を間に挟んで位置し、先端側壁部213から幅方向Yに沿って立設される。1対の案内壁部61,61は、その軸線方向Xの間隔が、先端側引っ掛け部51を内側で案内可能な間隔に設定されている。1対の案内壁部61,61は、ベース部材10と蓋部材20とを回動方向Rに沿って回動させて組み合わせる際に、先端側引っ掛け部51を回動方向Rに沿って先端側爪部52に案内する。
【0054】
ところで、この案内機構60は、先端側係止機構50及び中心側係止機構40のうち先端側係止機構50のみに対して設けられ、中心側係止機構40に対しては設けられない。その理由は、例えば、案内機構60を中心側係止機構40に対して設けた場合、ベース部材10及び蓋部材20の回動軌跡の中心側で、案内機構60により中心側引っ掛け部41を案内することになるので、この場合、ベース部材10及び蓋部材20の回動軌跡の先端側で案内する場合と比較して、案内までのストロークが短いので案内する際の位置合わせが難しく、作業性が低下するおそれがあることが理由である。
【0055】
先端側係止機構50は、ベース部材10と蓋部材20とを回動方向Rに沿って回動させて組み合わせる際に、先端側引っ掛け部51が先端側爪部52に対して軸線方向Xにずれていない場合、1対の案内壁部61,61により先端側引っ掛け部51が回動方向Rに沿って先端側爪部52に向けて案内され、先端側引っ掛け部51を先端側爪部52に引っ掛けて、ベース部材10及び蓋部材20を係止することができる。
【0056】
一方で、先端側係止機構50は、先端側引っ掛け部51が先端側爪部52に対して軸線方向Xにずれた場合、当該先端側引っ掛け部51が1対の案内壁部61,61に干渉する。先端側係止機構50は、先端側引っ掛け部51が1対の案内壁部61,61に干渉した場合、先端側引っ掛け部51を先端側爪部52に引っ掛けることができず、ベース部材10及び蓋部材20を係止することができない。
【0057】
ここで、中心側係止機構40は、図1に示すように、移動空間部Qが中心側爪部42の周囲に形成されている。移動空間部Qは、例えば、中心側爪部42の軸線方向Xの両側に形成された領域である。この移動空間部Qは、ベース部材10と蓋部材20とを回動方向Rに沿って回動させて組み合わせる際に、中心側引っ掛け部41が中心側爪部42に対して軸線方向Xにずれた場合でも、中心側引っ掛け部41が回動方向Rに移動自在とする空間部である。すなわち、移動空間部Qは、中心側引っ掛け部41が中心側爪部42に対して軸線方向Xにずれた場合に、1対の案内壁部61,61のように干渉する物体が形成されていない空間部である。言い換えれば、蓋部材20の中心側壁部212は、中心側引っ掛け部41が回動方向Rに沿って移動する範囲については、幅方向Yにおいて中心側爪部42よりも低く形成されることで、中心側引っ掛け部41が回動方向Rに移動自在とする移動空間部Qが設けられている。
【0058】
中心側係止機構40は、ベース部材10と蓋部材20とを回動方向Rに沿って回動させて組み合わせる際に、中心側引っ掛け部41が中心側爪部42に対して軸線方向Xにずれていない場合、中心側引っ掛け部41を中心側爪部42に引っ掛けて、ベース部材10及び蓋部材20を係止することができる。
【0059】
一方で、中心側係止機構40は、ベース部材10と蓋部材20とを回動方向Rに沿って回動させて組み合わせる際に、中心側引っ掛け部41が中心側爪部42に対して軸線方向Xにずれた場合でも、移動空間部Qが中心側爪部42の周囲に形成されているので、中心側引っ掛け部41を中心側爪部42に引っ掛けて、ベース部材10及び蓋部材20を係止することができる。
【0060】
以上のように、実施形態に係る端子カバー1は、ベース部材10と、蓋部材20と、中心側係止機構40と、先端側係止機構50と、案内機構60とを備える。ベース部材10及び蓋部材20は、それぞれを回動軸線P周りの回動方向Rに沿って回動させて互いに組み合わせた閉じ状態で、端子Tにおける電線Wとの電線接続部Tcを収容可能であり、それぞれ、回動方向Rに沿ってそれぞれ回動する際の回動軌跡の中心側に設けられる中心側壁部112、212、及び、回動軌跡の先端側に設けられる先端側壁部113、213を有する。ヒンジ30は、ベース部材10と蓋部材20とを回動方向Rに開閉可能に連結する。中心側係止機構40は、ベース部材10の中心側壁部112に設けられる中心側引っ掛け部41、及び、蓋部材20の中心側壁部212に設けられる中心側爪部42を有し、ベース部材10及び蓋部材20を回動方向Rに沿って回動させて互いに組み合わせた閉じ状態で、中心側引っ掛け部41を中心側爪部42に引っ掛けて、ベース部材10及び蓋部材20を係止する。先端側係止機構50は、ベース部材10の先端側壁部113に設けられる先端側引っ掛け部51、及び、蓋部材20の先端側壁部213に設けられる先端側爪部52を有し、ベース部材10及び蓋部材20を回動方向Rに沿って回動させて互いに組み合わせた閉じ状態で、先端側引っ掛け部51を先端側爪部52に引っ掛けて、中心側係止機構40と共にベース部材10及び蓋部材20を係止する。案内機構60は、先端側係止機構50に対して設けられ、ベース部材10と蓋部材20とを回動方向Rに沿って回動させて組み合わせる際に、先端側引っ掛け部51を回動方向Rに沿って先端側爪部52に案内する。上記構成において、先端側係止機構50は、ベース部材10と蓋部材20とを回動方向Rに沿って回動させて組み合わせる際に、先端側引っ掛け部51が先端側爪部52に対して回動軸線Pに沿う軸線方向Xにずれていない場合、案内機構60により先端側引っ掛け部51が回動方向Rに沿って先端側爪部52に向けて案内され、先端側引っ掛け部51が先端側爪部52に対して軸線方向Xにずれた場合、当該先端側引っ掛け部51が案内機構60に干渉する。中心側係止機構40は、ベース部材10と蓋部材20とを回動方向Rに沿って回動させて組み合わせる際に、中心側引っ掛け部41が中心側爪部42に対して軸線方向Xにずれた場合でも、中心側引っ掛け部41が回動方向Rに移動自在である移動空間部Qが中心側爪部42の周囲に形成されている。
【0061】
この構成により、端子カバー1は、案内機構60により先端側引っ掛け部51を案内することで、先端側引っ掛け部51と先端側爪部52とが干渉することを抑制することができ、先端側引っ掛け部51を先端側爪部52に円滑に係止することができる。この場合に、端子カバー1は、案内機構60を中心側係止機構40に対して設けずに先端側係止機構50のみに対して設けている。ここで、例えば、案内機構60を中心側係止機構40に対して設けた場合、ベース部材10及び蓋部材20の回動軌跡の中心側で、案内機構60により中心側引っ掛け部41を案内することになるので、この場合、ベース部材10及び蓋部材20の回動軌跡の先端側で案内する場合と比較して、案内までのストロークが短いので案内する際の位置合わせが難しく、作業性が低下するおそれがある。これに対して、端子カバー1は、案内機構60を中心側係止機構40に対して設けずに先端側係止機構50のみに対して設けるので、長いストロークを確保することができ、これにより、案内する際の位置合わせが容易であり、作業性を向上することができる。また、端子カバー1は、案内機構60を先端側係止機構50のみに対して設けるので、案内機構60を中心側係止機構40に対して設ける場合と比較して、作業時に視認により確認しやすく、案内する際の位置合わせを容易にすることができ、作業性を向上することができる。
【0062】
上述のように、端子カバー1において、案内機構60は、先端側係止機構50及び中心側係止機構40のうち先端側係止機構50のみに対して設けられるので、作業性を向上することができる。
【0063】
上記端子カバー1において、案内機構60は、先端側壁部213において軸線方向Xに沿って先端側爪部52を間に挟む位置に立設され、回動方向Rに沿って先端側引っ掛け部51を先端側爪部52に案内する1対の案内壁部61,61を有する。先端側係止機構50は、回動方向Rに沿って回動させてベース部材10と蓋部材20とを組み合わせる際に、先端側引っ掛け部51が先端側爪部52に対して軸線方向Xにずれた場合、当該先端側引っ掛け部51が1対の案内壁部61,61に干渉する。この構成により、端子カバー1は、1対の案内壁部61,61により先端側引っ掛け部51を案内することで、先端側引っ掛け部51と先端側爪部52とが干渉することを抑制することができ、先端側引っ掛け部51を先端側爪部52に円滑に係止することができ、この結果、作業性を向上することができる。
【0064】
カバー付き端子100は、電線Wに端子Tを接続した端子付き電線TWと、端子Tにおける電線Wとの電線接続部Tcを収容可能な上記端子カバー1とを備えるので、作業性を向上することができる。
【0065】
なお、上記説明では、中心側係止機構40は、中心側引っ掛け部41がベース部材10の中心側壁部112に設けられ、中心側爪部42が蓋部材20の中心側壁部212に設けられる例について説明したが、これに限定されず、例えば、中心側爪部42がベース部材10の中心側壁部112に設けられ、中心側引っ掛け部41が蓋部材20の中心側壁部212に設けられてもよい。
【0066】
また、先端側係止機構50は、先端側引っ掛け部51がベース部材10の先端側壁部113に設けられ、先端側爪部52が蓋部材20の先端側壁部213に設けられる例について説明したが、これに限定されず、例えば、先端側爪部52がベース部材10の先端側壁部113に設けられ、先端側引っ掛け部51が蓋部材20の先端側壁部213に設けられてもよい。この場合、1対の案内壁部61,61は、ベース部材10の先端側壁部113において、軸線方向Xに沿って先端側爪部52を間に挟む位置に立設される。
【0067】
また、案内機構60は、先端側引っ掛け部51を先端側爪部52に案内する構成例として1対の案内壁部61,61を有する例について説明したが、1対の案内壁部61,61とは異なるその他の構成によって先端側引っ掛け部51を先端側爪部52に案内してもよい。
【0068】
また、端子Tは、丸形(LA)端子である例について説明したが、これに限定されず、例えば、先端がU字状に形成された先開形端子等のその他の端子であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 端子カバー
10 ベース部材
20 蓋部材
30 ヒンジ
40 中心側係止機構
41 中心側引っ掛け部
42 中心側爪部
50 先端側係止機構
51 先端側引っ掛け部
52 先端側爪部
60 案内機構
61 1対の案内壁部
112,212 中心側壁部
113,213 先端側壁部
P 回動軸線
R 回動方向
T 端子
Tc 電線接続部(接続部)
W 電線
図1
図2
図3
図4
図5