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特開2024-147062電子装置、光源装置、投影装置、及び電子装置の製造方法
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  • 特開-電子装置、光源装置、投影装置、及び電子装置の製造方法 図1
  • 特開-電子装置、光源装置、投影装置、及び電子装置の製造方法 図2
  • 特開-電子装置、光源装置、投影装置、及び電子装置の製造方法 図3
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  • 特開-電子装置、光源装置、投影装置、及び電子装置の製造方法 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147062
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】電子装置、光源装置、投影装置、及び電子装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/16 20060101AFI20241008BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20241008BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20241008BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241008BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/14 A
G03B21/00 F
H05K7/20 F
G06F1/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059833
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深水 裕太
【テーマコード(参考)】
2K203
5E322
【Fターム(参考)】
2K203FA07
2K203FA25
2K203FA32
2K203FA44
2K203FA45
2K203FA62
2K203LA02
2K203LA12
2K203LA37
2K203LA38
2K203LA50
2K203MA12
5E322AA01
5E322AB01
5E322AB06
5E322AB07
5E322BB03
5E322BC01
5E322DB10
5E322FA01
5E322FA04
5E322FA06
(57)【要約】
【課題】熱源の配置態様に関わらず熱源からの熱を安定して放熱できる電子装置、光源装置、投影装置、及びそのような電子装置の製造方法を提供する。
【解決手段】
投影装置は、光源パッケージ74と、光源パッケージ74からの熱を受ける第1受熱部材316と、光源パッケージ74が設けられ、第1受熱部材316が固定される第1光源ケースC1と、光源パッケージ74を囲むように第1受熱部材316と第1光源ケースC1との間に設けられた接着剤Gと、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源と、
前記熱源からの熱を受ける受熱部材と、
前記熱源が設けられ、前記受熱部材が固定される被固定部材と、
前記熱源を囲むように前記受熱部材と前記被固定部材との間に設けられた粘性材料又は接着剤を含む密着部材と、を備える、
電子装置。
【請求項2】
前記熱源と前記受熱部材との間に設けられる伝熱部材を備え、
前記密着部材は、前記伝熱部材を囲むように前記受熱部材と前記被固定部材との間に設けられる、
請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記密着部材は、前記粘性材料であり、少なくとも10Pa・s以上の粘度を有する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記密着部材は放熱用接着剤である、請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記密着部材は、前記受熱部材と前記被固定部材との間を密閉するように設けられる、請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記被固定部材は、前記熱源を配置可能な第1部位及び第2部位を有し、
前記受熱部材は、前記第1部位及び前記第2部位を覆うように、前記被固定部材に固定され、
前記熱源は前記第1部位のみに配置され、
前記第2部位には、前記熱源の代わりに前記密着部材が設けられ、
前記第2部位に設けられた前記密着部材は前記受熱部材に接触している、
請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記被固定部材と前記粘性材料との間に挿通されて前記熱源と接続される配線を備える、請求項1に記載の電子装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電子装置を備え、
前記熱源は光源が設けられた板状部材を有する光源パッケージであり、
前記被固定部材は光源ケースである、
光源装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光源光が出射され、画像光を形成する表示素子と、
前記表示素子から出射された前記画像光を被投影体に投影する投影光学系と、
前記表示素子と前記光源装置とを制御する制御部と、を備える、
投影装置。
【請求項10】
受熱部材が固定される被固定部材に熱源と伝熱部材とを組み付ける組み付け工程と、
前記被固定部材の対象領域と前記受熱部材の対象領域の少なくとも一方に粘性材料又は接着剤を含む密着部材を塗布する塗布工程と、
前記受熱部材を前記被固定部材に位置合わせしつつ、前記接着剤で前記受熱部材と前記被固定部材との間を仮固定する仮固定工程と、
前記仮固定された前記受熱部材と前記被固定部材との間をネジ止めするネジ止め工程と、を含み、
前記塗布工程は、前記熱源を囲むように前記密着部材を塗布する、
電子装置の製造方法。
【請求項11】
前記密着部材は前記接着剤であり、
前記仮固定工程は、前記塗布工程で塗布された前記接着剤が硬化する前に前記位置合わせを行い、
前記仮固定工程後に前記被固定部材及び前記受熱部材をネジ止めするネジ止め工程と、
前記ネジ止め工程後に前記接着剤を硬化する接着剤硬化工程と、をさらに含む、
請求項10に記載の電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置、光源装置、投影装置、及び電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光源等の熱源からの熱を放熱させるためのヒートシンクを備える投影装置等の電子装置が提案されている。例えば特許文献1には、半導体レーザが収容されたパッケージやレンズアレイ等を備える光源装置と、光源装置に接するように設けられるヒートシンクとを備える光学エンジンが開示されている。この光学エンジンでは、光源装置をその挿入方向に配置したシール部材を介してシール部材を圧縮するようにして筐体に取り付けており、ヒートシンクを接続部材の締結力により筐体に繋げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-66625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示されるような投影装置では、設計上、例えば将来的な拡張性を持たせるために熱源である光源を偏った位置に配置することがある。しかしながら、上記特許文献1に開示される光学エンジンでは、このように光源を偏った位置に配置した場合、光源の配置態様に起因して光源と接するヒートシンクの傾きやシール部材に局所的な反発力等が生じ、光源とヒートシンクの間の接触面積が減少してヒートシンクによる放熱効果が十分に得られない虞があった。
【0005】
本発明は、熱源の配置態様に関わらず熱源からの熱を安定して放熱できる電子装置、光源装置、投影装置、及びそのような電子装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子装置は、熱源と、前記熱源からの熱を受ける受熱部材と、前記熱源が設けられ、前記受熱部材が固定される被固定部材と、前記熱源を囲むように前記受熱部材と前記被固定部材との間に設けられた粘性材料又は接着剤を含む密着部材と、を備える。
【0007】
本発明の光源装置は、上記の電子装置を備え、前記熱源は光源が設けられた板状部材を有する光源パッケージであり、前記被固定部材は光源ケースである。
【0008】
本発明の投影装置は、上記の光源装置と、前記光源装置からの光源光が出射され、画像光を形成する表示素子と、前記表示素子から出射された前記画像光を被投影体に投影する投影光学系と、前記表示素子と前記光源装置とを制御する制御部と、を備える。
【0009】
本発明の電子装置の製造方法は、受熱部材が固定される被固定部材に熱源と伝熱部材とを組み付ける組み付け工程と、前記被固定部材の対象領域と前記受熱部材の対象領域の少なくとも一方に粘性材料又は接着剤を含む密着材料を塗布する塗布工程と、前記受熱部材を前記被固定部材に位置合わせしつつ、前記接着剤で前記受熱部材と前記被固定部材との間を仮固定する仮固定工程と、前記仮固定された前記受熱部材と前記被固定部材との間をネジ止めするネジ止め工程と、を含み、前記塗布工程は、前記熱源を囲むように前記密着剤を塗布する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱源の配置態様に関わらず熱源からの熱を安定して放熱できる電子装置、光源装置、投影装置、及びそのような電子装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る投影装置の機能回路ブロックを示す図である。
図2】実施形態に係る投影装置の内部構造を示す平面模式図である。
図3】実施形態に係る光源ケース及び第1受熱部材を右斜め前方上側から視た斜視図である。
図4】実施形態に係る光源ケースを右斜め前方から視た斜視図である。
図5】実施形態に係る第1受熱部材を左斜め後方上側から視た斜視図である。
図6】実施形態に係る光源ケース及び第1受熱部材を右斜め前方上側から視た分解斜視図であって、E1は光源パッケージ及びフレキシブル基板を拡大した拡大図である。
図7】光源パッケージ及び放熱シートが取り付けられた光源ケースを右斜め前方から視た斜視図である。
図8】実施形態に係る光源ケース及び第1受熱部材の横断面図であり、図3におけるVIII-VIII断面の断面図である。
図9】実施形態に係る投影装置の製造工程を示すブロック図である。
図10】実施形態の変形例に係る光源ケース及び第1受熱部材の横断面図であり、図8に対応する断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、投影装置10は、画像変換部23と制御部38の一部とを含むCPU、入出力インターフェース22を含むフロントエンドユニット、表示エンコーダ24と表示駆動部26とを含むフォーマットユニットを備える。入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバスSBを介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶した上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0013】
表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜のフレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子50を駆動する。表示素子50は、例えばDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を有している。投影装置10は、光源装置(電子装置)60から出射された光線束を、導光光学系180(図2参照)を介して表示素子50に照射することによって反射された表示素子50の反射光で光画像を形成し、投影光学系220(図2参照)を介して図示しないスクリーン等の被投影体に画像を投影表示する。なお、この投影光学系220の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動を行うことができる。
【0014】
また、画像圧縮/伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体であるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。さらに、画像圧縮/伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力する。よって、画像圧縮/伸長部31は、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の出力を行うことができる。
【0015】
制御部38は、投影装置10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。キー/インジケータ部37は、筐体に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されている。キー/インジケータ部37の操作信号は、制御部38に直接送出される。また、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36でコード信号に復調されて制御部38に出力される。
【0016】
制御部38はシステムバスSBを介して音声処理部47と接続されている。音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。また、制御部38は、光源制御回路41を制御している。光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源装置60から出射されるように、光源装置60の励起光照射装置(光源)70、赤色光源装置(光源)80、蛍光ホイール装置100等の動作を個別に制御する。
【0017】
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源装置60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファン300(図2参照)の回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等により投影装置10本体の電源オフ後も冷却ファン300の回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によっては投影装置10本体の電源をオフにする等の制御も行う。
【0018】
次に、図2を参照して投影装置10の内部構造について述べる。図2に示すように、投影装置10の筐体20は、略箱状に形成されており、上面、下面、左側面20c、右側面20d、前面20e、及び後面20fを備えている。投影装置10は、前面20e側に投影口11を有する。筐体20には、レンズ鏡筒200が収納されている。レンズ鏡筒200には、可動可能な調整リング30がレンズ鏡筒200側に設けられている。なお、以下に述べる投影装置10の内部構造の説明においては、投影装置10における左右とは投影口11からの投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10のスクリーン側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0019】
投影装置10は、筐体20の略中央前方寄りの部分に光源装置60を備えている。光源装置60は、第1光源ケース(被固定部材、光源ケース)C1及び第2光源ケースC2によって、内部に光源、レンズ、ミラー等の光学部材を収容する。光源装置60と左側面20cとの間には、導光光学系180や投影光学系220が配置されている。このうち導光光学系180は、第2光源ケースC2に収容されている。筐体20の後方部分には、上述した制御部38等が実装された制御回路基板260が配置されている。制御回路基板260は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等を備えている。
【0020】
また、投影装置10は、筐体20の右側前方部分に励起光照射装置70を冷却するための第1ヒートシンク310を備えており、筐体20の右側であって第1ヒートシンク310の後方部分に赤色光源装置80を冷却するための第2ヒートシンク320を備えており、筐体20の後方部分に表示素子50を冷却するための第3ヒートシンク330を備えている。さらに、投影装置10は、筐体20の右側部分であって第2ヒートシンク320の後方部分に、冷却ファン300を備えている。
【0021】
第1ヒートシンク310は、第1放熱フィン312、第1ヒートパイプ314、及び第1受熱部材(受熱部材)316を有している。第2ヒートシンク320は、第2放熱フィン322、第2ヒートパイプ324、及び第2受熱部材326を有している。第3ヒートシンク330は、第3放熱フィン332、第3ヒートパイプ334、及び第3受熱部材336を有している。各ヒートパイプ314,324.334の内部には図示しない冷媒が流れている。冷媒は、各ヒートパイプ314,324.334の一端側において各熱源から各受熱部材316,326,336を介して熱を与えられて気化し、より温度が低い他端側(各放熱フィン312,322,332側)に移動する。他端側に移動した気化した冷媒は、各放熱フィン312,322,332により冷却されて液化し、再び一端側へと移動する。
【0022】
光源装置60は、青色波長帯域光の光源であって励起光源でもある励起光照射装置70と、赤色波長帯域光の光源である赤色光源装置80と、緑色波長帯域光の光源である緑色光源装置84と、を備える。緑色光源装置84は、励起光照射装置70と蛍光ホイール装置100により構成されている。また、光源装置60には、青色波長帯域光、緑色波長帯域光、赤色波長帯域光を導光する光源光学系140が配置されている。光源装置60の構成のうち、励起光照射装置70は第1光源ケースC1に収容されており、赤色光源装置80、励起光照射装置70を除く緑色光源装置84、及び光源光学系140は、第2光源ケースC2に収容されている。
【0023】
励起光照射装置70は、投影装置10の筐体20の左右方向における略中央部の後面20f側に配置されている。励起光照射装置70は、半導体発光素子である複数の青色レーザダイオードからなる光源群71が光源基板(板状部材)72上に上下方向に並列に搭載された光源パッケージ(熱源)74を有している。光源群71を構成する青色レーザダイオードは、後面20fと光軸が平行になるよう配置されている。光源パッケージ74は、いわゆるMCP(Multi Chip Package)であり、これにより光源装置60のコンパクト化が図られている。また、励起光照射装置70は、さらに反射ミラー76、及び拡散レンズ78等を有している。反射ミラー76は、光源群71からの出射光の光軸を前面20e方向に向くように約90度変換する。拡散レンズ78は、反射ミラー76で反射した光源群71からの出射光を予め定められた拡散角度で拡散し、第2光源ケースC2内へと導光する。
【0024】
赤色光源装置80は、青色レーザダイオードと光軸が平行となるように配置された赤色発光ダイオード81と、赤色発光ダイオード81からの出射光を集光する集光レンズ群とを有している。この赤色発光ダイオード81は、赤色波長帯域光を出射する半導体発光素子である。また、赤色光源装置80は、赤色光源装置80から出射される赤色波長帯域光の光軸が、励起光照射装置70から出射される青色波長帯域光の光軸、及び蛍光ホイール101から出射される緑色波長帯域光の光軸と交差するように配置されている。
【0025】
緑色光源装置84を構成する蛍光ホイール装置100は、励起光照射装置70から出射される青色波長帯域光の光路上であって、前面20eの近傍に配置されている。蛍光ホイール装置100は、前面20eの面方向と平行となるように(換言すれば、励起光照射装置70からの出射光の光軸と直交するように)配置された蛍光ホイール101と、この蛍光ホイール101を回転駆動する図示しないモータと、このモータを駆動制御する図示しない駆動制御装置と、を備えている。また、蛍光ホイール装置100の発光側には、集光レンズ群やレンズ部材が配置されている。なお、駆動制御装置は、前述の光源制御回路41により制御される。
【0026】
光源光学系140は、複数のレンズとして、複数のレンズ群、及び2つのダイクロイックミラー141,142、及び複数の反射ミラーを有している。光源光学系140は、各色の光源装置(励起光照射装置70、赤色光源装置80及び緑色光源装置84)から出射される光線束を、光源光学系140の出射側に配置されたマイクロレンズアレイ88の入射面に集光する。
【0027】
導光光学系180は、凹レンズ181、凸レンズ182、反射ミラー183及びコンデンサレンズ184を有しており、第2光源ケースC2に収容されている。なお、コンデンサレンズ184は、コンデンサレンズ184の後面20f側に配置される表示素子50から出射された画像光を投影光学系220に向けて出射するので、投影光学系220の一部ともされている。凹レンズ181は、マイクロレンズアレイ88と凸レンズ182との間(換言すれば、マイクロレンズアレイ88と表示素子50との間の光路)に配置される。また、凸レンズ182は、凹レンズ181と反射ミラー183との間(換言すれば、マイクロレンズアレイ88と表示素子50との間の光路)に配置される。
【0028】
投影光学系220は、コンデンサレンズ184、可動レンズ群、固定レンズ群により構成されている。コンデンサレンズ184の前面20e側の光軸上に配置される固定レンズ群は、固定鏡筒に内蔵され、上述した調整リング30による手動又は自動により移動されることにより、ズーム調整やフォーカス調整を可能としている。
【0029】
次に、図3及び図4を参照して、第1光源ケースC1の構成及び第1受熱部材316の外面側の構成について詳しく説明する。図3及び図4に示すように、第1光源ケースC1の一方の側面は、水平方向に長い略矩形状の面であり、第1ヒートパイプ314の一端側に接続された第1受熱部材316が取り付けられて固定される被固定部61となっている。なお、以下の説明においては、被固定部61(図4参照)を基準として、被固定部61の手前側(反射ミラー76側とは反対側、図4における手前側)に向かう方向を前方向(正面側)、被固定部61の奥側(反射ミラー76側、図4における奥側)に向かう方向を後方向(背面側)、被固定部61を前方側から視た左側を左方向、被固定部61を前方側(正面側)から視た右側を右方向、被固定部61を前方側から視た上側及び下側を上方及び下方とする。
【0030】
図4に示すように、被固定部61の上下両端部は、それぞれ第1受熱部材316がネジ止めされて取り付けられる平坦なケース側取付面61aとなっている。各ケース側取付面61aの左右方向における略中央部には、後方側に向けて窪んでなる窪み部64aがそれぞれ設けられている。各窪み部64aは、左右方向に延びる略横長矩形状とされている。ケース側取付面61aのうち被固定部61の四隅に位置する部分には、第1受熱部材316がネジ止めにより固定される第1ネジ孔H1が設けられている。また、被固定部61の左上方及び右下方の互いに略点対称となる位置には、フレキシブル基板110のネジ孔110dと重ねてフレキシブル基板110をネジ止めにより固定するための第3ネジ孔H3がそれぞれ設けられている。被固定部61の略中央部には、左右方向を長手方向とする略長矩形状とされ、前方側に段差をなして突出する突出壁部62が設けられている。
【0031】
なお、後述するように、一方の開口部62aのみに光源パッケージ74、フレキシブル基板110、及び放熱シート120が取り付けられる投影装置10に第1光源ケースC1を適用する場合、左上方及び右下方の一方の第3ネジ孔H3のみにフレキシブル基板110をネジ止めしているが、両方の開口部62aにそれぞれ光源パッケージ74、フレキシブル基板110、及び放熱シート120が取り付けられる投影装置10に第1光源ケースC1を適用する場合、左上方及び右下方の第3ネジ孔H3で各フレキシブル基板110をネジ止めすればよい。このように第1光源ケースC1は、複数の異なる構成にも兼用できるよう設定されている。
【0032】
突出壁部62には、2つの開口部62aが左右方向に並列に設けられている。各開口部62aは、略矩形状をなしており、第1光源ケースC1の外側と内側を貫通する形で前後方向に開口している。各開口部62aの開口端の上下両側には、前方側に向けて略円柱状に突出し、光源パッケージ74を取り付けるための取付突起62bがそれぞれ設けられている。また、突出壁部62の左右方向外側には、前方側から視て略I字状をなすように前方側に突出するI字状凸部64bがそれぞれ設けられている。各I字状凸部64bは、前方側の面を構成する凸部前面64b1と、凸部前面64b1の上下各端部において左右方向に延びる側面を構成する2つの凸部側面64b2とを有している。凸部前面64b1と各凸部側面64b2との境界部は面取りされており、R状となっている。
【0033】
一方、図3に示すように、第1受熱部材316は、左右方向を長手方向とする略横長矩形状であり、所定の厚みを有して第1光源ケースC1の各開口部62aを覆う蓋状部材とされている。第1受熱部材316は、略横長矩形状の受熱部316aと、受熱部316aの四隅から左右方向外側にわずかに延びるネジ止め部316bとを有している。各ネジ止め部316bには、それぞれ第2ネジ孔H2が設けられている(図5参照)。受熱部316aの前面には、各第1ヒートパイプ314の一端側の外周面と当接するよう、第1ヒートパイプ314の外周面の形状に合わせた断面が略円弧状の内周面を有し、各第1ヒートパイプ314と接続される弧状壁部316cが設けられている。なお、弧状壁部316cの外側には、各第1ヒートパイプ314に伝えられた熱が投影装置10内に拡散されることを抑制するための遮熱カバー(不図示)が取り付けられている。
【0034】
図4が第1光源ケースC1を前側から視た斜視図であるのに対して、第1受熱部材316を後方側から視た図5に示すように、第1受熱部材316の後面側(第1光源ケースC1内に向けられる側)には、左右方向に開放された略凹状となっており、かつ光源パッケージ74等が収容される収容凹部317が設けられている。収容凹部317の開口底面318は、受熱部316aの後面であり、後述する放熱シート(伝熱部材)120を介して収容凹部317に収容される光源パッケージ74の前面と対向する。収容凹部317は、その内側面の四隅が角R状とされている。
【0035】
収容凹部317の上下両側は、それぞれ開口底面318から立ち上がる薄壁状の第1薄壁部317aとなっている。各第1薄壁部317aの立ち上がり先端部は、それぞれ平坦面となっている。各第1薄壁部317aの内側面は、第1光源ケースC1の突出壁部62の外側面に対応するように沿った形状となっている。上述したネジ止め部316bは、各第1薄壁部317aの左右両端部からそれぞれ延びている。各ネジ止め部316bの後面と各第1薄壁部317aの立ち上がり先端部の平坦面は、同一面上に連なっており、第1光源ケースC1のケース側取付面61aに取り付けられる受熱側取付面となっている。
【0036】
収容凹部317の左右両側は、それぞれ開口底面318から浅く立ち上がる薄壁状の第2薄壁部317bとなっている。即ち、各第2薄壁部317bの開口底面318からの立ち上がり寸法は、各第1薄壁部317aの開口底面318からの立ち上がり寸法よりも小さくされている。各第2薄壁部317bの立ち上がり先端部は、それぞれR状となっている。各第1薄壁部317aの左右両端部と各第2薄壁部317bの上下両端部との境界部は、R状に滑らかに連なるR状部317cとなっている。各R状部317cの屈曲形状は、第1光源ケースC1の凸部前面64b1と各凸部側面64b2との境界部のR状の部分に対応するように沿った形状となっている。
【0037】
ここで、第1光源ケースC1と第1受熱部材316の間に設けられる接着剤(密着部材)G(図3参照)について説明する。図3に示すように、第1光源ケースC1に第1受熱部材316が取り付けられた状態では、第1光源ケースC1と第1受熱部材316の間が接着剤Gにより接着されて密閉(密着)されている。接着剤Gは放熱性に優れた放熱用接着剤であり、例えば電気絶縁特性にも優れた一液湿気硬化型のシリコーン系接着・シール剤(放熱剤)である。接着剤Gの未硬化時の粘度は、中粘度又は高粘度であり、具体的には10Pa・s以上の粘度である。
【0038】
後述するように接着剤Gは、投影装置10の製造工程において、第1光源ケースC1に第1受熱部材316が取り付けられる前に、予め第1光源ケースC1の前面側と第1受熱部材316の後面側にそれぞれ塗布される。図4に示すように、第1光源ケースC1の前面側のうち、各ケース側取付面61a、突出壁部62の外側面、及び各I字状凸部64bにおける凸部前面64b1と各凸部側面64b2は、接着剤Gが塗布される第1塗布領域(対象領域)A1(図4の着色部分)となっている。一方、図5に示すように、第1受熱部材316の後面側(図5の手前側)のうち、各受熱側取付面、各第1薄壁部317aの内側面、各第2薄壁部317bの後面(立ち上がり先端部)、及び各R状部317cの後面は、接着剤Gが塗布される第2塗布領域(対象領域)A2(図5の着色部分)となっている。
【0039】
次に、図6及び図7を参照して、第1光源ケースC1と第1受熱部材316の間に取り付けられる各部材の構成、及びそれらの取付態様について説明する。図6及び図7に示すように、第1光源ケースC1と第1受熱部材316の間には、上述した接着剤Gの他、光源パッケージ74、フレキシブル基板(配線)110、及び放熱シート120が取り付けられる。第1受熱部材316は、各第2ネジ孔H2に挿通された取付ネジ90が第1光源ケースC1の各第1ネジ孔H1にネジ止めされることにより、第1光源ケースC1の前方側に取り付けられる。なお、本実施形態では、第1光源ケースC1の2つの開口部62aのうち、右側の開口部62aのみに光源パッケージ74、フレキシブル基板110、及び放熱シート120が取り付けられる。左側の開口部62aは、将来的に他の光源パッケージ等を取り付けて拡張できるようになっている。
【0040】
図6の拡大図E1に示すように、右側の開口部62aに取り付けられる光源パッケージ74の光源基板72の上下両側には、突出壁部62の各取付突起62bが挿通される貫通孔である取付孔部72aがそれぞれ設けられている。光源パッケージ74は、光源群71がその光出射側を後方側(第1光源ケースC1の内側、反射ミラー76側)に向けた形で開口部62a内に挿入され、光源基板72の各取付孔部72aに各取付突起62bが挿通されることにより、その両板面を前後方向に向けた鉛直姿勢で突出壁部62に取り付けられる。光源パッケージ74は、第1受熱部材316と被固定部61との間に挟み込まれる形で配置される。
【0041】
被固定部61の右側には、右側の開口部62aに取り付けられた光源パッケージ74に駆動電流や制御信号を出力するためのフレキシブル基板110が取り付けられる。フレキシブル基板110は、光源パッケージ74の光源基板72の板面に沿った形で左右方向に延びるとともにその延在方向の略中央部が撓んだ状態で配置される。被固定部61の左右両端部には、フレキシブル基板の一端部110aが取り付けられる凹状の基板取付部66がそれぞれ設けられている。各基板取付部66には、フレキシブル基板110をネジ止めするための第3ネジ孔H3がそれぞれ設けられている。
【0042】
図7に示すように、各フレキシブル基板110は、その一端部110aが基板取付部66の第3ネジ孔H3にネジ止めされて取り付けられ、その他端部110bが開口部62a内において接続端子を介して光源基板72の後面(第1光源ケースC1内に向けられる面)に接続される。具体的には、フレキシブル基板110の他端部110bは、第1光源ケースC1の右側の凸部前面64b1上に引き回されて、その板面が光源基板72の板面に沿った形で光源基板72に接続される。フレキシブル基板110の一端部110aには、図示しない接続配線を介して制御回路基板260と電気的に接続される配線接続部110cが設けられている。
【0043】
放熱シート120は、伝熱性に優れたシート状の部材であり、光源基板72の前面と第1受熱部材316の開口底面318との間に挟み込まれる形で配置される。図7に示すように、放熱シート120は、光源基板72の形状及び大きさと対応する略矩形状とされており、光源パッケージ74と前後に重畳する位置に配置される。放熱シート120は、光源基板72の前面に例えば貼り付けられることにより、光源パッケージ74に取り付けられるこれにより、光源群71からの光出射により光源パッケージ74に発生した熱が、放熱シート120を介して第1受熱部材316の受熱部316aに放熱されるようになっている。
【0044】
次に、図3及び図8を参照して、第1光源ケースC1と第1受熱部材316の間に設けられる接着剤Gの接着態様及び接着剤Gによる密閉態様について説明する。図8に示すように、接着剤Gにより、第1光源ケースC1の突出壁部62の外側面と第1受熱部材316の第1薄壁部317aの内側面との間が接着されている。さらに、接着剤Gにより、第1光源ケースC1のケース側取付面61aと第1受熱部材316の受熱側取付面との間が接着されている。ここで、各取付突起62bの頭頂部は、第1受熱部材316の後面に接触していない構造になっている。また、図3図5に示すように、接着剤Gにより、第1光源ケースC1の各凸部前面64b1、各凸部側面64b2と第1受熱部材316の各第2薄壁部317bの立ち上がり先端部、各R状部317cとの間が接着されている。なお、フレキシブル基板110が引き回された凸部側面64b2では、凸部側面64b2と接着剤Gの間にフレキシブル基板110が挿通された形となっている。
【0045】
このように、第1光源ケースC1と第1受熱部材316の間には、右側の開口部62aに取り付けられた光源パッケージ74及び放熱シート120を囲むように接着剤Gが設けられている。これにより、第1光源ケースC1の被固定部61と第1受熱部材316との間に設けられる空間S(図8参照)が接着剤Gにより密閉されている。本実施形態では、この空間Sには接着剤Gが充填されておらず、中空となっている。このように接着剤Gにより空間Sが密閉されることで、空間S内に配置された光源パッケージ74及び放熱シート120の防塵を図ることができる。
【0046】
また、図8に示すように、第1受熱部材316は、光源パッケージ74等が取り付けられていない左側の開口部62a側が後方側に傾くことがなく、その開口底面318がケース側取付面61aと平行に対向した状態で、接着剤Gにより第1光源ケースC1に接着されている。このため、放熱シート120の前面はその略全域が開口底面318と面で当接しており、光源パッケージ74から放熱シート120に伝熱された熱が第1受熱部材316側へ安定して放熱されるようになっている。さらに、第1光源ケースC1と第1受熱部材316の間を接着する接着剤Gが放熱用接着剤であることにより、熱が第1光源ケースC1側から第1受熱部材316側へ効果的に放熱されるようになっている。
【0047】
次に、図9を参照して、投影装置10の製造工程において、第1受熱部材316を第1光源ケースC1に取り付ける手順について説明する。まず、第1光源ケースC1の右側の開口部62aに光源パッケージ74を取り付け、さらに光源パッケージ74に放熱シート120を取り付けることにより、第1光源ケースC1に光源パッケージ74と放熱シート120を組み付ける(組み付け工程P1)。次に、第1光源ケースC1の第1塗布領域A1と第1受熱部材316の第2塗布領域A2に、それぞれ接着剤Gを塗布する(塗布工程P2)。これにより、光源パッケージ74が取り付けられた第1光源ケースC1では、光源パッケージ74を囲むように接着剤Gが塗布される。なお、十分な接着剤Gの量を塗布可能であれば、第1塗布領域A1及び第2塗布領域A2の一方のみに接着剤Gを塗布してもよい。
【0048】
次に、光源パッケージ74との間に放熱シート120を挟み込む形で第1受熱部材316を第1光源ケースC1に位置合わせしつつ、接着剤Gで第1受熱部材316と第1光源ケースC1との間を仮固定する(仮固定工程P3)。ここでは、第1受熱部材316が、光源パッケージ74等が取り付けられていない左側の開口部62a側が後方側に傾くことがなく、その開口底面318がケース側取付面61aと平行に対向した状態を維持するように配置されてから、第1受熱部材316が放熱シート120に向けて少しずつ押し付けて、放熱シート120及び第1受熱部材316の隙間がなくなるように放熱シート120と第1受熱部材316との距離を縮めていく。
【0049】
仮固定工程P3では、前後方向において各第2ネジ孔H2を各第1ネジ孔H1に重ね合わせながら、図示しない押し当て部材で第1受熱部材316を押し当てていくことによって、第1受熱部材316の開口底面318がケース側取付面61aと平行に対向するように位置合わせを行う。また、仮固定工程P3では、塗布工程P2で塗布された接着剤Gが硬化する前に上記の位置合わせを行う。硬化する前の接着剤Gは、第1受熱部材316と第1光源ケースC1の隙間を密着するために当該隙間と同じサイズとされた従来の硬化されたゴムと比べて柔軟性があり、容易に変形しやすいので、第1受熱部材316を傾かないように配置するための微調整が可能となり、調整された位置で第1受熱部材316が第1光源ケースC1に仮固定される。
【0050】
つまり、本実施形態で用いている接着剤Gがない場合では、傾かないように強制的に第1受熱部材316を第1光源ケースC1に押し付けると、光源パッケージ74やフレキシブル基板110が破損したり、接続不良をもたらしたりする虞がある一方、緩やかに第1受熱部材316を第1光源ケースC1に押し付けると、第1光源ケースC1に対して第1受熱部材316が傾いたままになり、空間Sでの気密性や第1受熱部材316と光源パッケージ74及び放熱シート120との接触面積が小さくなることによる第1受熱部材316への放熱性が低下する虞がある。これに対し本実施形態では、適度な粘度を有する未硬化前の接着剤Gを用いることによって押し付けすぎずに第1受熱部材316が傾くことなく配置できるとともに、光源パッケージ74やフレキシブル基板110の破損や接続不良を防止することができる。
【0051】
次に、各第2ネジ孔H2及び各第1ネジ孔H1に取付ネジ90を挿通させ、仮固定された第1受熱部材316と第1光源ケースC1との間を取付ネジ90によりネジ止めする(ネジ止め工程P4)。接着剤Gは、ネジ止め後に、第1受熱部材316及び第1光源ケースC1が仮固定された姿勢の状態で硬化する。仮に硬化によって接着剤Gがわずかに収縮したとしても、取付ネジ90によって第1受熱部材316及び第1光源ケースC1が確実に固定された後であるので、第1受熱部材316及び第1光源ケースC1は仮固定された姿勢の状態が維持される。以上の手順により、仮固定工程P3で仮固定された位置で第1受熱部材316が第1光源ケースC1に対して取り付けられる。
【0052】
なお、本実施形態の変形例として、図10に示すように、塗布工程P2において、第1光源ケースC1の被固定部61と第1受熱部材316との間に設けられる空間S(図8参照)に接着剤Gが充填されるように、第1塗布領域A1及び第2塗布領域A2以外の領域に接着剤Gをさらに塗布してもよい。これにより、空間Sの密閉性を高めることができ、接着剤Gによる光源パッケージ74及び放熱シート120の防塵効果を高めることができる。さらに、第1光源ケースC1及び第1受熱部材316に対する接着剤Gの接触面積が大きくなるため、第1光源ケースC1側から第1受熱部材316側への放熱効果を一層高めることができる。
【0053】
また、本変形例では、光源パッケージ74が収容されていない左側の上下にそれぞれ位置する突出壁部62の取付突起62bの周辺に対応する収容凹部317の開口底面318の部位にも接着剤Gを塗布している。このため、光源パッケージ74が収容されていない左側における各取付突起62bの周辺の空間Sに対応する部分にまで接着剤Gが充填されているので、接着剤Gは、光源パッケージ74の厚さ方向に堆積され、第1受熱部材316の後面に接触している。これにより、光源パッケージ74が配置されている部位と光源パッケージ74が配置されていない部位との間で生じる光源パッケージ74の段差が解消され、第1光源ケースC1に対する第1受熱部材316の傾きやすさを確実に防止することができる。図10に示す構造の場合、図9に示す仮固定工程時にすでに接着剤Gが第1受熱部材316の後面に接触するように塗布されている。
【0054】
以上説明したように本実施形態に係る投影装置10は、光源パッケージ74と、光源パッケージ74からの熱を受ける第1受熱部材316と、光源パッケージ74が設けられ、第1受熱部材316が固定される第1光源ケースC1と、光源パッケージ74を囲むように第1受熱部材316と第1光源ケースC1との間に設けられた接着剤Gと、を備える。
【0055】
本実施形態の投影装置10のように、例えば第1光源ケースC1の片側(右側の開口部62a)(第1部位)のみに光源パッケージ74が設けられた構成とされた場合、第1光源ケースC1に対して第1受熱部材316を位置決めする際に、光源パッケージ74の厚みにより、第1光源ケースC1のうち光源パッケージ74が設けられた側から設けられていない側(左側の開口部62a)(第2部位)にかけて第1受熱部材316が傾いて固定される可能性がある。
【0056】
これに対し、上記のような構成とされた本実施形態の投影装置10は、その製造工程において、第1光源ケースC1と第1受熱部材316との間に中粘度又は高粘度の接着剤Gを設けることにより、接着剤Gが硬化するまでの間に、光源パッケージ74が取り付けられた第1光源ケースC1に対して第1受熱部材316が傾かないように第1受熱部材316の傾きや位置を調整しつつ、第1受熱部材316を取り付けて固定することができる。このため、本実施形態のように第1光源ケースC1の片側のみに光源パッケージ74が設けられた構成であっても、第1受熱部材316が第1光源ケースC1に対して傾いた状態で固定されることを防止することができる。
【0057】
その結果、第1受熱部材316が傾いた状態で固定された構成と比べて、熱源である光源パッケージ74と第1受熱部材316との間の接触面積を大きくすることができ、光源パッケージ74から第1受熱部材316へ安定して熱が放熱される構成を実現することができる。このように本実施形態の投影装置10では、熱源である光源パッケージ74の配置態様に関わらず熱源からの熱を安定して放熱させることができる。さらに、第1光源ケースC1と第1受熱部材316との間に光源パッケージ74を囲むように接着剤Gを設けることにより、接着剤Gによる光源パッケージ74の防塵効果を高めることもできる。
【0058】
なお、仮に第1光源ケースC1と第1受熱部材316との間にパッキン等の密閉部材を設けた場合、第1光源ケースC1に対して第1受熱部材316を取り付ける際にパッキン等による反発力が大きく、第1受熱部材316を所定の位置に固定し難い虞がある。これに対し本実施形態の投影装置10では、パッキン等の代わりに接着剤Gを設けるため、反発力が小さく、第1受熱部材316を所定の位置に好適に固定することができる。
【0059】
また、本実施形態の投影装置10は、光源パッケージ74と第1受熱部材316との間に設けられる放熱シート120を備え、接着剤Gは、放熱シート120を囲むように第1受熱部材316と第1光源ケースC1との間に設けられる。この構成によれば、放熱シート120により、光源パッケージ74から第1受熱部材316への伝熱性が高められる。また、放熱シート120は、光源パッケージ74と第1受熱部材316との間に挟み込まれて圧縮された場合にその反発力が大きいが、接着剤Gにより第1受熱部材316の位置を第1光源ケースC1に対して傾くことなく調整することができる。このため、光源パッケージ74と放熱シートの間、及び放熱シート120と第1受熱部材316の間をそれぞれ面で接触させることができ、光源パッケージ74側から第1受熱部材316側へ効果的に熱を放熱させることができる。
【0060】
また、本実施形態の投影装置10では、接着剤Gは、少なくとも10Pa・s以上の粘度を有する。このため、接着剤Gが硬化するまでの間に接着剤Gが垂れて内部の光学部品と接触する虞がなく、第1光源ケースC1に対する第1受熱部材316の傾きや位置を調整し易くするための接着剤Gの具体的な粘度を提供することができる。
【0061】
また、本実施形態の投影装置10では、接着剤Gは放熱用接着剤である。これにより、第1光源ケースC1側から第1受熱部材316側へ接着剤Gを介して伝熱させることができ、第1光源ケースC1側から第1受熱部材316側への放熱効果を高めることができる。
【0062】
また、本実施形態の投影装置10では、接着剤Gは、第1受熱部材316と第1光源ケースC1との間を密閉するように設けられる接着剤Gは、第1受熱部材316と第1光源ケースC1との間を密閉するように設けられる。これにより、接着剤Gによる光源パッケージ74の防塵効果を一層高めることもできる。
【0063】
また、本実施形態の投影装置10は、第1光源ケースC1と接着剤Gとの間に挿通されて光源パッケージ74と接続されるフレキシブル基板110を備える。これにより、光源パッケージ74を囲むように接着剤Gが設けられた構成であっても、光源パッケージ74に対してフレキシブル基板110を引き回すことができる。
【0064】
また、電子装置としての光源装置60では、光源パッケージ74は光源群71が設けられた光源基板72を有する光源パッケージ74であり、被固定部材は第1光源ケースC1である。これにより、第1受熱部材316に光源パッケージ74が保持された光源装置60において、安定して熱が放熱される構成を実現することができる。
【0065】
また、電子装置としての投影装置10は、光源装置60と、光源装置60からの光源光が出射され、画像光を形成する表示素子50と、表示素子50から出射された画像光を被投影体に投影する投影光学系220と、表示素子50と光源装置60とを制御する制御部38と、を備える。これにより、効果的に熱を放熱させることが可能な投影装置10を実現できるとともに投影装置10において接着剤Gにより光源装置60内への防塵を図ることができる。
【0066】
また、本実施形態の投影装置10の製造方法は、第1受熱部材316が固定される第1光源ケースC1に光源パッケージ74と放熱シート120とを組み付ける組み付け工程P1と、第1光源ケースC1の第1塗布領域A1と第1受熱部材316の第2塗布領域A2にそれぞれ接着剤Gを塗布する塗布工程P2と、光源パッケージ74との間に放熱シート120を挟み込む形で第1受熱部材316を第1光源ケースC1に位置合わせしつつ、接着剤Gで第1受熱部材316と第1光源ケースC1との間を仮固定する仮固定工程P3と、仮固定された第1受熱部材316と第1光源ケースC1との間をネジ止めするネジ止め工程P4と、を含み、塗布工程P2は、光源パッケージ74を囲むように接着剤Gを塗布し、仮固定工程P3は、塗布工程P2で塗布された接着剤Gが硬化する前に上記の位置合わせを行う。
【0067】
この製造方法によれば、仮固定工程P3において接着剤Gが硬化する前に第1受熱部材316の位置を微調整することができ、接着剤Gが硬化することにより、調整された位置で第1受熱部材316を第1光源ケースC1に仮固定することができる。その後、ネジ止め工程P4において、調整された位置で第1受熱部材316を固定することができる。このため、例えば第1光源ケースC1の片側のみに光源パッケージ74を設けた場合であっても、第1受熱部材316が第1光源ケースC1に対して傾いた状態で固定されることを防止することができる。その結果、光源パッケージ74からの熱を安定して放熱させることが可能な投影装置10を製造することができる。
【0068】
なお、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば上記の実施形態では、密着部材として接着剤(放熱用接着剤)を設けた構成を例示したが、密着部材は接着剤に限定されない。例えば密着部材として10Pa・s以上の粘度を有する放熱用グリスを設けてもよい。高い粘度を有する粘性材料であれば、仮固定工程において第1光源ケースに対して第1受熱部材の位置合わせを行いつつ第1受熱部材を仮固定することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 投影装置 11 投影口
20 筐体 20c 左側面
20d 右側面 20e 前面
20f 後面 21 入出力コネクタ部
22 入出力インターフェース 23 画像変換部
24 表示エンコーダ 25 ビデオRAM
26 表示駆動部 30 調整リング
31 画像圧縮/伸長部 32 メモリカード
35 Ir受信部 36 Ir処理部
37 キー/インジケータ部 38 制御部
41 光源制御回路 43 冷却ファン駆動制御回路
45 レンズモータ 47 音声処理部
48 スピーカ 50 表示素子
60 光源装置 61 被固定部
61a ケース側取付面 62 突出壁部
62a 開口部 62b 取付突起
64a 窪み部 64b I字状凸部
64b1 凸部前面 64b2 凸部側面
66 基板取付部 70 励起光照射装置
71 光源群 72 光源基板
74 光源パッケージ 76 反射ミラー
78 拡散レンズ 80 赤色光源装置
81 赤色発光ダイオード 84 緑色光源装置
88 マイクロレンズアレイ 90 取付ネジ
100 蛍光ホイール装置 101 蛍光ホイール
110 フレキシブル基板 110a 一端部
110b 他端部 110c 配線接続部
110d ネジ孔 120 放熱シート
140 光源光学系 141 ダイクロイックミラー
142 ダイクロイックミラー 180 導光光学系
181 凹レンズ 182 凸レンズ
183 反射ミラー 184 コンデンサレンズ
200 レンズ鏡筒 220 投影光学系
235 可動レンズ群 260 制御回路基板
300 冷却ファン 310 第1ヒートシンク
312 第1放熱フィン 314 第1ヒートパイプ
316 第1受熱部材 316a 受熱部
316b ネジ止め部 316c 弧状壁部
317 収容凹部 317M 受熱側取付面
317a 第1薄壁部 317b 第2薄壁部
317c R状部 318 開口底面
320 第2ヒートシンク 322 第2放熱フィン
324 第2ヒートパイプ 326 第2受熱部材
330 第3ヒートシンク 332 第3放熱フィン
334 第3ヒートパイプ 336 第3受熱部材
C1 第1光源ケース C2 第2光源ケース
G 接着剤 H1 第1ネジ孔
H2 第2ネジ孔 H3 第3ネジ孔
P1 組み付け工程 P2 塗布工程
P3 仮固定工程 P4 ネジ止め工程
S 空間 SB システムバス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10