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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147063
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】検出装置及び検出方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/00 20210101AFI20241008BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20241008BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20241008BHJP
   G01D 5/12 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G02B7/00 B
G03B21/14 D
H04N5/74 Z
G01D5/12 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059834
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河田 一真
【テーマコード(参考)】
2F077
2H043
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2F077AA16
2F077CC02
2F077MM16
2F077NN02
2F077NN04
2F077TT48
2F077TT58
2H043AB02
2H043AB10
2H043AB14
2K203FA62
2K203GC16
2K203MA23
5C058BA35
5C058EA02
(57)【要約】
【課題】電子機器の調整部材との間に滑りが発生した場合でも、調整部材の回転位置を高い精度で検出することができる検出装置、及び検出方法を提供する。
【解決手段】検出装置は、電気的に駆動し、投影装置に設けられている調整リングを回転させる駆動機構と、制御部と、を備え、制御部は、駆動機構を駆動させ、駆動機構の電気的特性の経時変化に基づいて調整リングの回転位置を検出する検出処理を実行する。駆動機構の電気的特性に基づいて間接的に検出する検出処理を実行することにより、調整リングの回転位置を高い精度で検出することができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に駆動し、電子機器に設けられている調整部材を回転させる駆動機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記駆動機構を駆動させ、前記駆動機構の電気的特性の経時変化に基づいて前記調整部材の回転位置を検出する検出処理を実行する、
検出装置。
【請求項2】
前記制御部が実行する、前記検出処理は、前記駆動機構を駆動させ、前記調整部材に加わるトルクと前記駆動機構の駆動電流の電流値との間の相関性に基づいて時間を測定し、前記電流値の経時変化に基づいて前記調整部材の回転位置を検出する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記制御部が実行する、前記検出処理は、前記電流値が所定の閾値以上となったことを条件として前記調整部材の一方の回転限界位置を検出する、請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記制御部が実行する、前記検出処理は、前記時間の測定を開始してから前記一方の回転限界位置を検出するまでに経過した時間を記憶する、請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記電流値を電圧値に変換する変換部と、前記変換部で変換された前記電圧値が入力される処理部と、を有する、請求項2に記載の検出装置。
【請求項6】
前記駆動機構は、DCモータを有し、
前記変換部は、前記DCモータに流れる電流を検出するセンス抵抗である、
請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記駆動機構は、前記調整部材と当接する回転体を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項8】
前記電子機器はレンズ鏡筒を備え、
前記調整部材は、前記レンズ鏡筒におけるフォーカスレンズを調整する第1被回転体、及び前記レンズ鏡筒におけるフォーカスレンズを調整する第2被回転体を有し、
前記回転体は、前記第1被回転体及び前記第2被回転体のうち少なくとも一方に当接可能である、
請求項7に記載の検出装置。
【請求項9】
電気的に駆動し、電子機器に設けられている調整部材を回転させる駆動機構を用いて前記調整部材の回転位置を検出する検出方法であって、
前記駆動機構を駆動させて前記調整部材に加わるトルクに応じて変化する前記駆動機構の駆動電流の電流値を測定し、前記電流値の測定を開始してから前記電流値が所定の閾値以上となるまでの経過時間に基づいて前記調整部材の回転位置を検出する、
検出方法。
【請求項10】
前記電流値が所定の閾値以上となったことを条件として前記調整部材の一方の回転限界位置を検出し、前記調整部材の一方の回転限界位置から前記調整部材の他方の回転限界位置側へ前記経過時間だけ前記調整部材を回転させる、
請求項9に記載の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ズーム調整やフォーカス調整を手動で行うためのレンズ鏡筒に設けられるズームリングやフォーカスリング等の調整部材を備える電子機器において、調整部材の回転位置を検出するための検出装置が提案されている。例えば特許文献1には、回転入力軸を備え、プロジェクタのフォーカス調整リング等に取り付けられるロータリエンコーダが開示されている。このロータリエンコーダでは、回転入力軸の回転に基づいて検出対象の回動位置及び回動方向が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-106498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような検出装置では、調整部材に圧接させて調整部材を回転させるための回転体として、ゴムローラが用いられることがある。しかしながら、上記特許文献1に開示されるようなエンコーダは、調整リングの回転を機械的に直接測定するため、調整リングに圧接させる回転体としてゴムローラを適用した場合、ゴムローラと調整リングの間で滑りが発生し、調整リングの回転位置を精度良く検出できない虞があった。
【0005】
本発明は、電子機器の調整部材との間に滑りが発生した場合でも、調整部材の回転位置を高い精度で検出することができる検出装置、及び検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の検出装置は、電気的に駆動し、電子機器に設けられている調整部材を回転させる駆動機構と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記駆動機構を駆動させ、前記駆動機構の電気的特性の経時変化に基づいて前記調整部材の回転位置を検出する検出処理を実行する。
【0007】
本発明の検出方法は、電気的に駆動し、電子機器に設けられている調整部材を回転させる駆動機構を用いて前記調整部材の回転位置を検出する検出方法であって、前記駆動機構を駆動させて前記調整部材に加わるトルクに応じて変化する前記駆動機構の駆動電流の電流値を測定し、前記電流値の測定を開始してから前記電流値が所定の閾値以上となるまでの経過時間に基づいて前記調整部材の回転位置を検出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、滑りが発生した場合でも、電子機器の調整部材の回転位置を高い精度で検出することができる検出装置、及び検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る検出装置が取り付けられる投影装置を左前方上側から視た斜視図である。
図2】実施形態に係る検出装置が取り付けられた投影装置を後方上側から視た斜視図である。
図3】実施形態に係る検出装置の電気的構成を示すブロック図である。
図4】調整リングにおけるメカ端を示す模式図である。
図5】実施形態に係る検出装置の制御部が実行するキャリブレーションの操作を示す模式図である。
図6】実施形態に係る検出装置の制御部が実行するメモリ機能及び再生機能の操作を示す模式図である。
図7】実施形態において制御部が実行する検出処理を示すフローチャートである。
図8】実施形態に係る検出装置の第1実施例を示す模式図である。
図9】実施形態に係る検出装置の第2実施例を示す模式図である。
図10】実施形態に係る検出装置の第3実施例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。実施形態に係る検出装置100は、例えば図1に示すような投影装置(電子機器)10に取り付けられる。先に投影装置10について説明する。図1に示すように、投影装置10は、左右方向を長手方向とする略長矩形箱状に6面(上面20a、下面20b、左側面20c、右側面20d、前面20e、後面20f)を有する筐体20を備える。投影装置10は、前面20e側に投影口11を有する。投影装置10は、投影口11から投影光を出射する。なお、以下の説明においては、投影装置10における左右とは投影口11からの投影光の出射方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10の投影光の進行方向に対しての前後方向を示し、上下とは投影装置10の筐体20の厚み方向に対しての上下方向を示す。
【0011】
筐体20は、上面20aと右側面20dの一部を備える上ケース21と、下面20bと右側面20dの一部を備える下ケース22とを有する。筐体20は、前側に前側パネル23、後側に後側パネル24、左側に左側パネル25を有する。前側パネル23は、筐体20の左前角部20gまで延在し、左前角部20gは角R状である。また、前側パネル23には、投影口11の投影口開口部23a、吸気口23b及び排気口23cが設けられている。後側パネル24は、左後角部20hまで延在し、左後角部20hは角R状である。後側パネル24には、図示しないが、吸気口や画像入出力用のコネクタ等の接続口が設けられている。
【0012】
投影装置10の上面20aと右側面20dとの間の縁部20i及び投影装置10の下面20bと右側面20dとの間の縁部20jは、ともに前後方向にわたって筐体20の上ケース21及び下ケース22における右側面20dとの接続部である縁部21a,22aは、角R状の曲面状である。筐体20の縁部20i、22j以外の縁部(例えば、上面20aと左側面20cとの間の縁部等)は、略直角状である。上ケース21の上面20aには、投影装置10の設定等を行うことができる操作パネル21bが設けられている。下ケース22における右側面20dには、図示しない電源プラグの接続口が設けられている。
【0013】
投影装置10の筐体20内には、レンズ鏡筒80が収納されている。レンズ鏡筒80には、可動可能な調整部材である調整リング30(フォーカス調整リング31を有する被回転体(第1被回転体)及びズーム調整リング32を有する被回転体(第2被回転体)を機能的に総称するものであり、第1被回転体及び第2被回転体の少なくとも一方を指している)がレンズ鏡筒80側に設けられている。フォーカス調整リング31及びズーム調整リング32は、レンズ鏡筒80の光軸周りに、略半円弧のリング状に設けられており、外周にはローレットが施されている。筐体20の上面20aの左前角部には、略矩形に開口する調整開口部20a1が設けられている。
【0014】
調整リング30(フォーカス調整リング31を有する第1被回転体及びズーム調整リング32を有する第2被回転体)は、調整開口部20a1から上方に露出されている。投影装置10に検出装置100(図2参照)等が取り付けられていない状態では、調整開口部20a1から露出されている調整リング30をレンズ鏡筒80の光軸周りに手動で時計回り及び反時計回りに回転させることができ、回転量に応じてレンズ鏡筒80のフォーカス調整やズーム調整を行うことができる。調整開口部20a1の各開口端はそれぞれ調整リング30側に向かって下方に傾斜しており、その先端部が調整リング30との間にわずかな隙間を有している。
【0015】
次に、本実施形態に係る検出装置100(図2参照)について説明する。本実施形態では、検出装置100により、上述した投影装置10のフォーカス調整リング31及びズーム調整リング32の回転位置を検出する場合について説明する。図2に示すように、検出装置100は、調整開口部20a1を覆うように投影装置10の筐体20に着脱自在に取り付けられる。検出装置100は、調整開口部20a1の上側に取り付けられるユニット部材110と、制御部150とを備えている。ユニット部材110と制御部150の間は複数の接続配線Wで接続されている。
【0016】
ユニット部材110は、保持機構120と、駆動機構130とを有している。保持機構120は、駆動機構130を投影装置10に保持するための機構である。保持機構120は、投影口11よりも一回り大きく開口する開口部を有しており、その開口部が投影口11を露出するように前後方向において投影口11と重なる状態で、筐体20を上下方向に挟み込む形で筐体20に取り付けられる。保持機構120は、巻きバネの弾性力により筐体20に取り付けられるようになっており、詳しい構成については説明を省略する。駆動機構130は、上方に開口する略矩形箱状のケースの内部に、投影装置10のフォーカス調整リング31及びズーム調整リング32をそれぞれ個別に物理的に回転させるための機構が設けられた構成となっている。
【0017】
駆動機構130は、ケース140の内部に設けられた図示しない第1駆動ギア、第1回転ギア、第1ゴムローラ(回転体)、第2駆動ギア、第2回転ギア、及び第2ゴムローラ(回転体)を有しており、ケース140の外部にそれぞれ一部が露出している第1モータM1及び第2モータM2を有している。駆動機構130のケース140の下面側には、下方側に向けて突出する図示しない係合突起が設けられている。この係合突起が筐体20の調整開口部20a1の開口端に係合されることにより、駆動機構130が調整開口部20a1周りの部分を覆うように筐体20に取り付けられる。
【0018】
第1モータM1は駆動機構130の後方右側に設けられており、第2モータM2は駆動機構130の後方左側に設けられている。第1モータM1及び第2モータM2は、ケース140の外部で左右に並列に配置されている。第1モータM1及び第2モータM2は、いずれもDCモータであり、制御部150から駆動信号が入力されることにより駆動する。第1モータM1は、第1モータM1の駆動により回転し、前後方向に沿って第1モータM1から前方に軸状に延びる第1駆動軸(不図示)を有している。第2モータM2は、第2モータM2の駆動により回転し、前後方向に沿って第2モータM2から前方に軸状に延びる第2駆動軸(不図示)を有している。
【0019】
第1駆動ギアは第1駆動軸の軸周りに固着されており、第1駆動軸と共に回転する。第2駆動ギア132G1は第2駆動軸の軸周りに固着されており、第2駆動軸と共に回転する。ケース140には、前後方向に軸状に延びる図示しない回転軸が設けられている。回転軸の両端部は、ケース140の内側面に回転可能に軸支されている。ここで、回転軸は、第1駆動軸の回転に合わせて回転する第1回転軸と、第2駆動軸の回転に合わせて回転する第2回転軸と、を備えている。第1回転ギアは、第1回転軸の軸周りにそれぞれ空転自在に取り付けられており、第2回転ギアは、第2回転軸の軸周りにそれぞれ空転自在に取り付けられている。
【0020】
第1回転ギアは、第1駆動ギアと噛み合うような配置で第1回転軸に取り付けられており、第2回転ギアは、第2駆動ギアと噛み合うような配置で第2回転軸に取り付けられているため、第1モータM1が駆動することにより第1駆動ギアが回転すると、第1駆動ギアと噛み合う第1回転ギアが第1回転軸の軸周りに回転し、第2モータM2が駆動することにより第2駆動ギアが回転すると、第2駆動ギアと噛み合う第2回転ギアが第2回転軸の軸周りに回転する。
【0021】
また、第1回転軸及び第2回転軸の軸周りには、それぞれ第1ゴムローラ及び第2ゴムローラが取り付けられている。第1ゴムローラは、第1回転ギアの前方側に第1回転ギアと隣接する形で設けられ、第1回転ギアに固定されている。第2ゴムローラは、第2回転ギアの前方側に第2回転ギアと隣接する形で設けられ、第2回転ギアに固定されている。このため、第1ゴムローラは、第1回転ギアが回転することにより第1回転ギアと共に第1回転軸の軸周りに回転し、第2ゴムローラは、第2回転ギアが回転することにより第2回転ギアと共に第2回転軸の軸周りに回転する。
【0022】
保持機構120により駆動機構130が筐体20に保持されて係合突起が筐体20の調整開口部20a1に係合されると、第1ゴムローラがフォーカス調整リング31に対して下方向に圧接され、第2ゴムローラがズーム調整リング32に対して下方向に圧接される。この状態では、第1モータM1が駆動すると、第1ゴムローラとフォーカス調整リング31の間に働く摩擦力により、第1ゴムローラの回転に伴ってフォーカス調整リング31が回転され、第2モータM2が駆動すると、第2ゴムローラとズーム調整リング32の間に働く摩擦力により、第2ゴムローラの回転に伴ってズーム調整リング32が回転される。
【0023】
制御部150は、回路基板151上に設けられたCPU152(図3参照)等からなっており、接続配線Wを介して第1モータM1及び第2モータM2を駆動する。また、制御部150は、後述する検出処理を実行する。回路基板151は、筐体20の上面20a上等に配置される。また、制御部150は、後述するキャリブレーション、プリセット機能、メモリ機能、及びメモリ再生機能の各種操作を実行するための指示を使用者から受け付けるための図示しないボタン等を備えている。なお、回路基板151上には、第1モータM1及び第2モータM2を駆動する駆動信号を外部(リモコン等)から受信するための受信部材が設けられていてもよい。
【0024】
次に、図3を参照して検出装置100の電気的構成について説明する。検出装置100は、回路基板151上に実装された制御部150によってその全体が制御統括されている。制御部150は、コンピュータから構成される演算処理部であるCPU(処理部)152を備えている。CPU152には、メモリ153、モータドライバ154、第1モータM1及び第2モータM2、フォーカス側センス抵抗(変換部)155a及びズーム側センス抵抗(変換部)155b、フォーカス側増幅器156a及びズーム側増幅器156b、フォーカス側ADC(Analog-to-Digital Converter)157a及びズーム側ADC157b等が接続されている。なお、CPU152にメモリ及びADCが予め内蔵されている場合は、制御部150は、メモリ153、フォーカス側ADC157a、及びズーム側ADC157bを備えない構成であってもよい。
【0025】
メモリ153は、外部メモリであり、CPU152を制御するプログラム等を記憶するEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、及び後述する移動時間等、種々のデータを一時的に記憶するフラッシュメモリ等から構成されている。メモリ153には、後述する検出処理を実行させるためのプログラムが記憶されている。モータドライバ154は、第1モータM1及び第2モータM2を制御するためのICであり、第1モータM1及び第2モータM2に接続されている。
【0026】
フォーカス側センス抵抗155a及びフォーカス側増幅器156aは第1モータM1に接続されており、ズーム側センス抵抗155b及びズーム側増幅器156bは第2モータM2に接続されている。フォーカス側センス抵抗155aは第1モータM1に流れる駆動電流の電流値を検出し、フォーカス側増幅器156aはフォーカス側センス抵抗155aに流れた電流により生じた電位差を電圧値として増幅する。ズーム側センス抵抗155bは第2モータM2に流れる駆動電流の電流値を検出し、ズーム側増幅器156bはズーム側センス抵抗155bに流れた電流により生じた電位差を電圧値として増幅する。このようにフォーカス側センス抵抗155a及びズーム側センス抵抗155bは、各モータM1,M2に流れる駆動電流の電流値を電圧値に変換する。
【0027】
フォーカス側増幅器156aはフォーカス側ADC157aを介してCPU152と接続されており、ズーム側増幅器156bはズーム側ADC157bを介してCPU152と接続されている。フォーカス側増幅器156aから出力された電圧値のアナログ電気信号は、フォーカス側ADC157aで電圧値のデジタル電気信号に変換されてCPU152に入力される。ズーム側増幅器156bから出力された電圧値のアナログ電気信号は、ズーム側ADC157bで電圧値のデジタル電気信号に変換されてCPU152に入力される。
【0028】
次に、フォーカス調整リング31及びズーム調整リング32の回転限界位置について説明する。検出装置100は、第1ゴムローラが圧接されるフォーカス調整リング31及び第2ゴムローラが圧接されるズーム調整リング32の回転限界位置をそれぞれ検出することにより、フォーカス調整リング31及びズーム調整リング32の回転位置を検出する。検出装置100では、制御部150がフォーカス調整リング31に対して行う操作及び制御部150がズーム調整リング32に対して行う操作は同じであるため、以下では、フォーカス調整リング31及びズーム調整リング32を合わせて「調整リング30」という。
【0029】
調整リング30には、投影装置10の前面20e側から見て右回り方向(時計周り方向)、左回り方向(反時計周り方向)にそれぞれ回転限界位置が存在する。以下では、調整リング30の回転限界位置を「メカ端」といい、右回り方向のメカ端を「一方のメカ端E1(図4参照)」、左回り方向のメカ端を「他方のメカ端E2(図5参照)」といい、一方のメカ端E1及び他方のメカ端E2から等距離である位置を「センター位置」という。また、以下の説明では、調整リング30を右回り方向へ回転させることを、調整リング30を一方のメカ端E1側に回転させるといい、調整リング30を左回り方向へ回転させることを、調整リング30を他方のメカ端E2側に回転させるという。
【0030】
図4の左側に示すように、調整リング30がセンター位置にある状態では、調整リング30の中央部近傍が筐体20の調整開口部20a1から露出する露出部30A(図4におけるハッチング部分)となり、露出部30Aの両側が筐体20の内部に隠れた非露出部30B(図4における無地部分)となる。この状態から調整リング30を右回りに限界まで回転させると、図4の右側に示すように、調整リング30が一方のメカ端E1に移動した状態となる。この状態では、調整リング30のうち一方のメカ端E1近傍が非露出部30Bとなり、他の部分が露出部30Aとなる。なお、図5の左側に示すように、調整リング30が他方のメカ端E2に移動した状態では、調整リング30のうち他方のメカ端E1近傍が非露出部30Bとなり、他の部分が露出部30Aとなる。
【0031】
次に、制御部150が実行するキャリブレーションの操作について説明する。ここでいうキャリブレーションとは、フォーカス調整リング31に圧接される第1ゴムローラ及びズーム調整リング32に圧接される第2ゴムローラの個体間ばらつき、第1モータM1及び第2モータM2の個体間ばらつき、駆動機構130を構成する各部材の摩耗等による状態ばらつき等、種々の要因によりばらつきが生じ得る検出装置100の検出値について予めばらつき補正を行う操作である。このキャリブレーションの操作は、使用者によりキャリブレーションを実行する指示が行われた場合や投影装置10の起動時等に実行される。キャリブレーションでは、制御部150は、フォーカス調整リング31及びズーム調整リング32が他方のメカ端E2から一方のメカ端E1まで回転移動する移動時間Δtをそれぞれ計測する。
【0032】
ここで、2つのゴムローラの一方からフォーカス調整リング31に加わるトルクと第1モータM1に流れる駆動電流との間、及び2つのゴムローラの他方からズーム調整リング32に加わるトルクと第2モータM2に流れる駆動電流との間には、それぞれ比例関係が成立する。第1モータM1や第2モータM2をそれぞれ駆動することによって実行されるフォーカス調整リング31やズーム調整リング32の回転移動操作では、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が一方のメカ端E1、他方のメカ端E2に回転移動するまでの間は、対応するゴムローラからフォーカス調整リング31やズーム調整リング32に加わる各トルクは、回転中、実質的に一定である。フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が一方のメカ端E1,他方のメカ端E2に到達すると、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32をそれ以上回転させることができないため、対応するゴムローラからフォーカス調整リング31やズーム調整リング32に加わるトルクが急激に増大する。即ち、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が一方のメカ端E1,他方のメカ端E2に到達すると、第1モータM1や第2モータM2に流れる駆動電流の電流値(電圧値)が急激に増大する。
【0033】
このため、各モータM1,M2に流れる駆動電流の電流値をそれぞれ計測することにより、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が一方のメカ端E1,他方のメカ端E2に到達したのか否かを特定することができる。本実施形態では、CPU152に入力される電圧値が所定の閾値以上であった場合、制御部150は、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が一方のメカ端E1や他方のメカ端E2に到達したと判断する。なお、計測値のノイズについては、単位時間当たりの平均値を算出することにより、ノイズの影響を排除することができる。また、調整リング30は、各ゴムローから加わるトルクに対して十分な強度を有しているため、回転移動中に破損する虞はない。
【0034】
キャリブレーションの操作に戻り、キャリブレーションが実行されると、図5に示すように、制御部150は、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32に圧接された対応するゴムローラを回転させて、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32を他方のメカ端E2まで回転移動させた状態S1とする。即ち、制御部150は、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32を他方のメカ端E2側(図5に示す左回り方向)に回転させ、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が他方のメカ端E2に到達したと判断すると、第1モータM1や第2モータM2の駆動を停止してフォーカス調整リング31やズーム調整リング32の回転を一旦停止させる。
【0035】
次に、制御部150は、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32を一方のメカ端E1側(図5に示す右回り方向)に回転させて、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32を一方のメカ端E1まで回転移動させた状態S2とする。このとき、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が他方のメカ端E2から一方のメカ端E1へ到達するまでの移動時間Δtを計測する。即ち、制御部150は、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32の一方のメカ端E1側への回転を開始してからフォーカス調整リング31やズーム調整リング32が他方のメカ端E2に到達したと判断するまで(CPU152に入力される電圧値が所定の閾値以上となるまで)の経過時間(移動時間Δt)を検出する。そして、制御部150は、検出した移動時間Δtを、調整リング30を他方のメカ端E2から一方のメカ端E1まで回転移動させるためにかかる時間としてメモリ153に記憶する。以上の動作により、キャリブレーションが完了する。
【0036】
次に、図6を参照して、制御部150が実行するメモリ機能及び再生機能について説明する。メモリ機能とは、ある状態(以下、「初期状態S3」という。)におけるフォーカス調整リング31やズーム調整リング32の位置を記憶する機能をいう。再生機能とは、初期状態S3のフォーカス調整リング31やズーム調整リング32に任意の回転操作を加えた状態(以下、「操作後状態S4」という。)から、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32を再び初期状態S3に戻す機能をいう。このメモリ機能及び再生機能の操作は、使用者によりメモリ機能及び再生機能を実行する指示が行われた場合等に実行される。
【0037】
メモリ機能では、制御部150は、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32を初期状態S3から一方のメカ端E1(又は他方のメカ端E2)まで回転させた状態S5とし、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が初期状態S3から一方のメカ端E1(又は他方のメカ端E2)へ到達するまでの移動時間t1を計測して、回転方向と共にメモリ153に記憶する。再生機能では、制御部150は、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32を操作後状態S4からメモリ機能で記憶したメカ端E1,E2の方向に回転させた状態S5とする。次に、メモリ機能でメモリ153に記憶した移動時間t1を読み出し、読み出した移動時間t1だけフォーカス調整リング31やズーム調整リング32をメモリ機能で記憶したメカ端E1,E2の方向に回転させる。これにより、調整リング30を操作後状態S4の位置まで戻すことができる。
【0038】
次に、制御部150が実行するプリセット機能について説明する。プリセット機能とは、調整リングの位置について予め特定の位置をメモリ153に複数記憶しておき、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32を任意の位置からメモリ153に記憶されている特定の位置のうちの一つに移動させる機能をいう。プリセット機能は、使用者によりプリセット機能を実行する指示が行われた場合等に実行される。プリセット機能では、メモリ153に記憶する複数の位置は、一方のメカ端E1又は他方のメカ端E2からの相対位置(全移動量に対する位置)で記憶する。
【0039】
プリセット機能では、例えば、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32の特定の位置を位置Aとすると、制御部150は、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が一方のメカ端E1(他方のメカ端E2)から位置Aに到達するまでの時間をメモリ153に記憶する。フォーカス調整リング31やズーム調整リング32を位置Aに移動させるためのプリセット機能が実行されると、制御部150は、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32を任意の位置からメモリ153に相対位置を記憶した一方のメカ端E1(他方のメカ端E2)まで回転移動させる。そして、一方のメカ端E1(他方のメカ端E2)から、メモリ153に記憶した時間だけフォーカス調整リング31やズーム調整リング32を他方のメカ端E1側(一方のメカ端E2側)に回転移動させる。これにより、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が位置Aに移動される。プリセット機能は、キャリブレーションを予め実行することにより、精度良く実行することができる。
【0040】
このように検出装置100では、各モータM1,M2を適宜駆動してフォーカス調整リング31やズーム調整リング32を一方のメカ端E1(又は他方のメカ端E2)まで回転させ、各モータM1,M2を駆動する各駆動電流の電流値を電圧値に変換して測定し、測定する電圧値が所定の閾値以上になったことを条件としてフォーカス調整リング31やズーム調整リング32が一方のメカ端E1(又は他方のメカ端E2)に到達したと判断する。そして、検出装置100では、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が他方のメカ端E2から一方のメカ端E1に到達するまでの移動時間Δtを予め記憶する。これにより、検出装置100では、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32を一方のメカ端E1(他方のメカ端E2)に移動させ、他方のメカ端E2側へ(一方のメカ端E1側へ)モータM1やモータM2の駆動を開始してから(調整リング30の回転を開始してから)経過したそれぞれの時間に基づいて、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32の回転位置を間接的に検出することができる。
【0041】
例えばフォーカス調整リング31やズーム調整リング32を他方のメカ端E2から一方のメカ端E1に回転移動させるまでに経過した時間がいずれも3秒であり、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32を一方のメカ端E1から他方のメカ端E2側へ向けて1秒回転させた位置で停止させると、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32は、他方のメカ端E2に到達するまでに2秒かかる位置(一方のメカ端E1に到達するまでに1秒かかる位置)で停止されたことになる。このようにして調整リング30の位置を間接的に検出することができる。
【0042】
なお、本実施形態のように調整リング30に圧接される2つの回転体がゴムローラである場合、調整リング30を回転させる際にゴムローラと調整リング30の間で滑りが発生することがある。しかしながら、検出装置100では、このような滑りが発生した場合であっても、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が一方のメカ端E1(又は他方のメカ端E2)に到達するまでの間は一定の滑り量でフォーカス調整リング31やズーム調整リング32が回転し、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が一方のメカ端E1(又は他方のメカ端E2)に到達して電圧値が所定の閾値以上になるまでの時間が滑りによる遅れを含めた時間で計測される。そして、検出装置100では、滑りによる遅れを含めた時間に基づいてフォーカス調整リング31やズーム調整リング32の回転位置を間接的に検出する。このため、対応するゴムローラとフォーカス調整リング31やズーム調整リング32の間で滑りが発生した場合でも、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32の回転位置を精度良く検出することができる。
【0043】
次に、図7を参照して、制御部150が実行する検出処理について説明する。検出処理では、制御部150は、まず使用者によりキャリブレーションを実行する指示がされたのか否かを判断する(ステップS200)。制御部150は、キャリブレーションを実行する指示がされたと判断した場合(S200:YES)、ステップS210に移行する。制御部150は、キャリブレーションを実行する指示がされていないと判断した場合(S200:NO)、ステップS202に移行する。
【0044】
ステップS210では、制御部150は、キャリブレーションを実行する。即ち、制御部150は、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が他方のメカ端E2から一方のメカ端E1に移動するまでの移動時間Δtをそれぞれ検出し、メモリ153に記憶してキャリブレーションを終了する。制御部150は、キャリブレーションを終了すると、ステップS200に戻り、ステップS200の判断処理を再び実行する。
【0045】
ステップS202では、制御部150は、使用者によりプリセット機能を実行する指示がされたのか否かを判断する。制御部150は、プリセット機能を実行する指示がされたと判断した場合(S202:YES)、ステップS212に移行する。制御部150は、プリセット機能を実行する指示がされていないと判断した場合(S202:NO)、ステップS204に移行する。
【0046】
ステップS212では、制御部150は、プリセット機能を実行する。即ち、制御部150は、メモリ153に記憶した一方のメカ端E1(又は他方のメカ端E2)から記憶した移動時間だけ各モータM1,M2を駆動する。これにより、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32がそれぞれ任意の位置からメモリ153に記憶されている特定の位置のうちの一つにそれぞれ移動される。制御部150は、プリセット機能を終了すると、ステップS200に戻り、ステップS200の判断処理を再び実行する。
【0047】
ステップS204では、制御部150は、使用者によりメモリ機能を実行する指示がされたのか否かを判断する。制御部150は、メモリ機能を実行する指示がされたと判断した場合(S204:YES)、ステップS214に移行する。制御部150は、メモリ機能を実行する指示がされていないと判断した場合(S204:NO)、ステップS206に移行する。
【0048】
ステップS214では、制御部150は、メモリ機能を実行する。即ち、制御部150は、調整リング30が各任意の位置からいずれかのメカ端E1,E2まで移動する各移動時間t1を検出し、調整リング30が移動したメカ端E1,E2の方向と共にメモリ153に記憶する。制御部150は、メモリ機能を終了すると、ステップS200に戻り、ステップS200の判断処理を再び実行する。
【0049】
ステップS206では、制御部150は、使用者により再生機能を実行する指示がされたのか否かを判断する。制御部150は、再生機能を実行する指示がされたと判断した場合(S206:YES)、ステップS216に移行する。制御部150は、再生機能を実行する指示がされていないと判断した場合(S206:NO)、ステップS208に移行する。
【0050】
ステップS216では、制御部150は、再生機能を実行する。即ち、制御部150は、まず調整リング30をメモリ機能で記憶した方向のメカ端E1,E2まで回転させる。次に、制御部150は、メモリ機能で記憶した移動時間t1だけ調整リング30をメモリ機能で記憶した方向のメカ端E1,E2まで移動させる(ステップS218)。制御部150は、再生機能を終了すると(ステップS218の処理を終了すると)、ステップS200に戻り、ステップS200の判断処理を再び実行する。
【0051】
ステップS208では、制御部150は、検出処理が完了したのか否かを判断する。即ち、使用者により何らかの機能を実行する指示がされたのか否かを判断する。制御部150は、検出処理が完了したと判断した場合(S208:YES)、検出処理を終了する。制御部150は、検出処理が完了していないと判断した場合、ステップS200に戻り、ステップS200の判断処理を再び実行する。
【0052】
次に、図8図10を参照して、上記の構成とされた検出装置100の実施例について説明する。第1実施例として、図8に示すように、測距センサを用いて投影装置10の投影口11からスクリーンSC1までの距離L1を測定し、測定した距離L1に合わせて検出装置100でフォーカス調整リング31の回転位置を予めメモリ153に記憶させておくことで、記憶させた回転位置を再生させることにより、投影装置10のフォーカス機能を自動で調整できるオートフォーカス機能を実現することができる。
【0053】
第2実施例として、図9に示すように、投影装置10を可動式のアーム取り付け、異なる場所に異なる角度で設置された各スクリーンSC2,SC3,SC4に対して投影させる場合のように投影面の向きや画面、距離が変化する状況において、検出装置100で調整リング30の各回転位置を検出することにより、各投影面に応じてフォーカス機能及びズーム機能を自動で調整することができる。
【0054】
第3実施例として、図10に示すように、スクリーンSC5の投影サイズ(図10に示す例では60型)を固定して投影装置10の設置位置を変える場合、投影装置10の設置位置に応じた調整リング30の最適な回転位置を予め検出装置100のメモリ153に予め記憶させておき、プリセット機能を実行することにより、固定した投影サイズに対して最適な設置位置で投影装置10を設置することができる。なお、使用者が実際に投影を行ってピントが合っていないことを使用者が認識した場合には、キャリブレーションを実行することにより、ばらつき補正を行うことができる。
【0055】
以上説明したように本実施形態に係る検出装置100は、電気的に駆動し、投影装置10に設けられている調整リング30を回転させる駆動機構130と、制御部150と、を備え、制御部150は、駆動機構130を駆動させ、駆動機構130の電気的特性の経時変化に基づいて調整リング30の回転位置を検出する検出処理を実行する。このように調整リング30の回転位置を直接検出するのではなく、駆動機構130の電気的特性に基づいて間接的に検出する検出処理を実行することにより、駆動機構130と投影装置10の調整リング30との間に滑りが発生した場合でも、調整リング30の回転位置を高い精度で検出することができる。
【0056】
さらに、検出装置100ではエンコーダを用いることなく調整リング30の回転位置を高い精度で検出することができるため、部品数の削減やコストの削減を図ることができる。また、機械的制約等によりエンコーダを用いることができない環境下においても、調整リング30の回転位置を検出することができる。また、エンコーダを用いないことにより、省スペース化を図ることもできる。また、エンコーダを使用することにより消費される電力を削減することができる。
【0057】
また、本実施形態の検出装置100では、制御部150が実行する、検出処理は、駆動機構130を駆動させ、調整リング30にそれぞれ加わるトルクと駆動機構130の各駆動電流の電流値との間の相関性に基づいて時間を測定し、電流値の経時変化に基づいて調整リング30の回転位置を検出する。これにより、駆動機構130の電気的特性に基づいて間接的に検出するための具体的な方法を提供することができる。また、駆動機構130と投影装置10の調整リング30との間に滑りが発生した場合、調整リング30に加わる各トルクは滑り量を含めたトルクとなり、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32の回転中は滑り量がそれぞれ一定であるため、滑りによる遅延も含めた電流値の経時変化に基づいてフォーカス調整リング31やズーム調整リング32の回転位置を間接的に検出することにより回転位置を高い精度で検出することができる。
【0058】
また、本実施形態の検出装置100では、制御部150が実行する、検出処理は、電流値が所定の閾値以上となったことを条件としてフォーカス調整リング31やズーム調整リング32の一方のメカ端E1(又は他方のメカ端E2)を検出する。フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が一方のメカ端E1(又は他方のメカ端E2)に到達するとトルクが急激に増大するため、このように所定の閾値以上の各電流値を検出することにより、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32がメカ端E1,E2に到達したことを精度良く検出することができる。
【0059】
また、本実施形態の検出装置100では、制御部150が実行する、検出処理は、時間の測定を開始してから一方のメカ端E1(又は他方のメカ端E2)を検出するまでに経過した時間を記憶する。これにより、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32について時間の測定を開始した回転位置から一方のメカ端E1(又は他方のメカ端E2)までの回転距離を時間に置き換えて記憶することができる。そして、一方のメカ端E1(又は他方のメカ端E2)から記憶した時間だけ反対方向にフォーカス調整リング31やズーム調整リング32を回転することにより、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32を当初の回転位置まで戻すことができる。
【0060】
また、本実施形態の検出装置100では、制御部150は、電流値を電圧値に変換するセンス抵抗と、センス抵抗で変換された電圧値が入力される処理部と、を有する。これにより、駆動電流の電流値を電圧値として読み取るための具体的な構成を提供することができる。
【0061】
また、本実施形態の検出装置100では、駆動機構130は、DCモータを有し、変換部は、DCモータに流れる電流を検出するセンス抵抗である。このように駆動機構がDCモータを有することにより、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32が任意の回転位置から回転を開始して一方のメカ端E1(又は他方のメカ端E2)した到達すると、電流値に顕著な差が生じるため、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32がメカ端E1,E2に到達したことを精度良く検出することができる。また、センス抵抗でDCモータに流れる電流を検出することにより、簡単な構成で電流-トルクの比例関係を電圧-トルクの関係に変換することができ、また、抵抗で消費する電流(電力)を抑えることができる。
【0062】
また、本実施形態の検出装置100では、駆動機構130は、調整リング30と当接するゴムローラを有する。これにより、調整リング30を回転させるための具体的な構成を提供することができる。
【0063】
本実施形態の検出装置100では、投影装置10はレンズ鏡筒80を備え、調整リング30は、レンズ鏡筒80におけるフォーカスレンズを調整するフォーカス調整リング31、及びレンズ鏡筒80におけるフォーカスレンズを調整するズーム調整リング32を有し、ゴムローラは、フォーカス調整リング31及びズーム調整リング32のうち少なくとも一方に当接可能である。これにより、フォーカス調整リング31及びズーム調整リング32の少なくとも一方の回転位置の検出を高い精度で行うことが可能な検出装置100を提供することができる。
【0064】
また、本実施形態の検出方法は、電気的に駆動し、投影装置10に設けられている調整リング30を回転させる駆動機構130を用いて調整リング30の回転位置を検出する検出方法であって、駆動機構130を駆動させて調整リング30に加わるトルクに応じて変化する駆動機構130の駆動電流の電流値を測定し、電流値の測定を開始してから電流値が所定の閾値以上となるまでの経過時間に基づいて調整リング30の回転位置を検出する。本検出方法では、このように電流値が所定の閾値以上となるまでの経過時間に基づいて調整リング30の回転位置を間接的に検出することにより、駆動機構130と投影装置10の調整リング30との間に滑りが発生した場合でも、調整リング30の回転位置を高い精度で検出することができる。
【0065】
また、上記の検出方法では、電流値が所定の閾値以上となったことを条件としてフォーカス調整リング31やズーム調整リング32の一方のメカ端E1(又は他方のメカ端E2)を検出し、フォーカス調整リング31やズーム調整リング32の一方のメカ端E1(又は他方のメカ端E2)からフォーカス調整リング31やズーム調整リング32の他方のメカ端E2側(又は一方のメカ端E1側)へ検出した経過時間だけフォーカス調整リング31やズーム調整リング32を回転させる。これにより、電流値の測定を開始した際のフォーカス調整リング31やズーム調整リング32の回転位置までフォーカス調整リング31やズーム調整リング32を戻すことができる。
【0066】
なお、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば、上記の実施形態では、調整リングに当接される回転体の一例としてゴムローラを例示したが、調整リングに当接される回転体がギアであってもよい。また、例えば、上記の実施形態では、ゴムローラを介して調整リングを回転させる構成を例示したが、各モータが調整リングを直接回転させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 電子機器システム 10 投影装置
11 投影口 20 筐体
20a 上面 20a1 調整開口部
20a2 端縁部 20b 下面
20c 左側面 20d 右側面
20e 前面 20f 後面
20g 左前角部 20h 左後角部
20i 縁部 20j 縁部
21 上ケース 21a 縁部
21b 操作パネル 22 下ケース
22a 縁部 22j 縁部
23 前側パネル 23a 投影口開口部
23b 吸気口 23c 排気口
24 後側パネル 25 左側パネル
30 調整リング 31 フォーカス調整リング
32 ズーム調整リング 80 レンズ鏡筒
100 検出装置 110 ユニット部材
120 保持機構 130 駆動機構
150 制御部 151 回路基板
152 CPU 153 メモリ
154 モータドライバ 155a フォーカス側センス抵抗
155b ズーム側センス抵抗 156a フォーカス側増幅器
156b ズーム側増幅器 157a フォーカス側ADC
157b ズーム側ADC E1 一方のメカ端
E2 他方のメカ端 L1 距離
M1 第1モータ M2 第2モータ
S1 状態 S2 状態
S3 初期状態 S4 操作後状態
S5 状態 SC1~SC5 スクリーン
W 接続配線 Δt、t1 移動時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10