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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147064
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ディスプレイ用保護フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/40 20180101AFI20241008BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20241008BHJP
【FI】
C09J7/40
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059835
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】514096339
【氏名又は名称】株式会社IDクリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】梅野 豊
【テーマコード(参考)】
4J004
【Fターム(参考)】
4J004AB01
4J004CB03
4J004CE01
4J004DB05
4J004FA04
(57)【要約】
【課題】ディスプレイの表示領域に対する貼り付け作業をより簡単に行うことができるディスプレイ用保護フィルムを提供する。
【解決手段】ディスプレイ用保護フィルム100は、本体フィルム10と、剥離フィルム20とを備える。本体フィルム10は、一方の面に粘着層30を有し、粘着層30を介してディスプレイの表示領域に貼り付けられる。剥離フィルム20は、1対の長辺20A及び1対の短辺20Bを有する矩形状に形成され、粘着層30に剥離可能に貼り合わせられている。剥離フィルム20には、1対の長辺20Aの一方から他方まで延び、剥離フィルム20を第1剥離フィルム21及び第2剥離フィルム22に分割するスリット20Cが形成されている。スリット20Cは、1対の短辺20Bに対して傾斜する方向に延びている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に粘着層を有し、当該粘着層を介してディスプレイの表示領域に貼り付けられる本体フィルムと、
1対の長辺及び1対の短辺を有する矩形状に形成され、前記粘着層に剥離可能に貼り合わせられた剥離フィルムとを備え、
前記剥離フィルムには、前記1対の長辺の一方から他方まで延び、当該剥離フィルムを第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムに分割するスリットが形成されており、
前記スリットが、前記1対の短辺に対して傾斜する方向に延びている、ディスプレイ用保護フィルム。
【請求項2】
前記第1剥離フィルムは、前記1対の長辺の一方における前記スリット側の端部に、当該第1剥離フィルムを前記粘着層から剥離させる際に把持される第1把持部を有し、
前記第2剥離フィルムは、前記1対の長辺の他方における前記スリット側の端部に、当該第2剥離フィルムを前記粘着層から剥離させる際に把持される第2把持部を有する、請求項1に記載のディスプレイ用保護フィルム。
【請求項3】
前記第1把持部は、前記1対の長辺の一方と前記スリットとにより形成される第1鋭角部に設けられており、
前記第2把持部は、前記1対の長辺の他方と前記スリットとにより形成される第2鋭角部に設けられている、請求項2に記載のディスプレイ用保護フィルム。
【請求項4】
前記第1把持部は、前記第1剥離フィルムに平行な面内で前記第2剥離フィルム側に屈曲した第1屈曲部を有し、
前記第2把持部は、前記第2剥離フィルムに平行な面内で前記第1剥離フィルム側に屈曲した第2屈曲部を有する、請求項2に記載のディスプレイ用保護フィルム。
【請求項5】
前記1対の短辺に対する前記スリットの傾斜角度が、5~60°である、請求項1に記載のディスプレイ用保護フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体フィルムに粘着層を介して剥離フィルムが剥離可能に貼り合わせられたディスプレイ用保護フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、ゲーム機又はタブレット端末などの各種機器のディスプレイには、少なくとも表示領域を保護するために保護フィルムが貼り付けられる場合がある(例えば、下記特許文献1参照)。この種の保護フィルムの中には、単にディスプレイの表示領域を保護するためだけでなく、光反射防止機能などの他の機能を有するものもある。
【0003】
保護フィルムは、ディスプレイの表示領域を覆って保護する本体フィルムを備えている。本体フィルムには、粘着層を介して剥離フィルムが貼り合わせられている。この剥離フィルムを粘着層から剥離し、当該粘着層を介して本体フィルムをディスプレイの表示領域に貼り付けることにより、表示領域を本体フィルムで覆うことができる。このとき、本体フィルムは、ディスプレイの表示領域に対して位置決めが行われた上で貼り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-203090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のディスプレイ用保護フィルムでは、剥離フィルムが1枚のフィルムにより形成され、当該剥離フィルムが粘着層全体に貼り合わせられている構成が一般的であった。この種のディスプレイ用保護フィルムを使用する場合、ユーザは、剥離フィルムを粘着層から剥がし、粘着層全体を露出させた状態で、ディスプレイの表示領域に対する本体フィルムの位置決めを行うことになる。そのため、位置決め中に埃などが粘着層に付着しやすいという問題があった。また、粘着層全体を一度に表示領域に貼り付けるため、粘着層と表示領域との間に気泡が入りやすいという問題もある。
【0006】
そこで、近年では、剥離フィルムが2つに分割された構成を有するディスプレイ用保護フィルムも提案されている。具体的には、粘着層に貼り合わせられた剥離フィルムにスリットが形成されることにより、剥離フィルムが第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムに分割されている。
【0007】
この種のディスプレイ用保護フィルムを使用する場合、ユーザは、第1剥離フィルムを粘着層から剥がし、粘着層の一部を露出させた状態で、ディスプレイの表示領域に対する本体フィルムの位置決めを行う。そして、位置決め後に、露出している粘着層の一部を表示領域に貼り付けて固定した後、第2剥離フィルムを粘着層から剥がし、粘着層の残りの部分を露出させ、当該部分を表示領域に貼り付ける。
【0008】
このように、表示領域に対する粘着層の貼り付け作業を2段階に分けることにより、埃などが粘着層に付着しにくく、粘着層と表示領域との間に気泡も入りにくいというメリットが得られる。しかしながら、貼り付け作業が複雑になるため、より簡単に貼り付け作業を行うことができるような構成が求められる。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ディスプレイの表示領域に対する貼り付け作業をより簡単に行うことができるディスプレイ用保護フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係るディスプレイ用保護フィルムは、本体フィルムと、剥離フィルムとを備える。前記本体フィルムは、一方の面に粘着層を有し、当該粘着層を介してディスプレイの表示領域に貼り付けられる。前記剥離フィルムは、1対の長辺及び1対の短辺を有する矩形状に形成され、前記粘着層に剥離可能に貼り合わせられている。前記剥離フィルムには、前記1対の長辺の一方から他方まで延び、当該剥離フィルムを第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムに分割するスリットが形成されている。前記スリットは、前記1対の短辺に対して傾斜する方向に延びている。
【0011】
このような構成によれば、剥離フィルムの1対の短辺に対して傾斜する方向に延びるスリットに沿って、第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムをそれぞれ粘着層から剥離することにより、スリットが1対の短辺に対して平行に延びる場合と比較して、第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムを剥離しやすい。したがって、ディスプレイの表示領域に対するディスプレイ用保護フィルムの貼り付け作業をより簡単に行うことができる。
【0012】
例えば、剥離フィルムの1対の長辺の一方とスリットとにより形成される第1鋭角部から第1剥離フィルムを剥離させれば、より小さい力で第1剥離フィルムを剥離させることができる。同様に、剥離フィルムの1対の長辺の他方とスリットとにより形成される第2鋭角部から第2剥離フィルムを剥離させれば、より小さい力で第2剥離フィルムを剥離させることができる。
【0013】
(2)前記第1剥離フィルムは、前記1対の長辺の一方における前記スリット側の端部に、当該第1剥離フィルムを前記粘着層から剥離させる際に把持される第1把持部を有していてもよい。また、前記第2剥離フィルムは、前記1対の長辺の他方における前記スリット側の端部に、当該第2剥離フィルムを前記粘着層から剥離させる際に把持される第2把持部を有していてもよい。
【0014】
このような構成によれば、それぞれスリットの近傍に設けられた第1把持部及び第2把持部を把持して、第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムを剥離させる方向に引っ張ることにより、スリットに沿って第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムを容易に剥離することができる。したがって、ディスプレイの表示領域に対するディスプレイ用保護フィルムの貼り付け作業をさらに簡単に行うことができる。
【0015】
(3)前記第1把持部は、前記1対の長辺の一方と前記スリットとにより形成される第1鋭角部に設けられていてもよい。また、前記第2把持部は、前記1対の長辺の他方と前記スリットとにより形成される第2鋭角部に設けられていてもよい。
【0016】
このような構成によれば、剥離フィルムの1対の長辺の一方とスリットとにより形成される第1鋭角部から、スリットに沿って、より小さい力で第1剥離フィルムを剥離させることができる。また、剥離フィルムの1対の長辺の他方とスリットとにより形成される第2鋭角部から、スリットに沿って、より小さい力で第2剥離フィルムを剥離させることができる。したがって、ディスプレイの表示領域に対するディスプレイ用保護フィルムの貼り付け作業をさらに簡単に行うことができる。
【0017】
(4)前記第1把持部は、前記第1剥離フィルムに平行な面内で前記第2剥離フィルム側に屈曲した第1屈曲部を有していてもよい。また、前記第2把持部は、前記第2剥離フィルムに平行な面内で前記第1剥離フィルム側に屈曲した第2屈曲部を有していてもよい。
【0018】
このような構成によれば、第1把持部の第1屈曲部を把持して第2剥離フィルム側とは反対側に引っ張ることにより、第1剥離フィルムを容易に剥離させることができる。また、第2把持部の第2屈曲部を把持して第1剥離フィルム側とは反対側に引っ張ることにより、第2剥離フィルムを容易に剥離させることができる。したがって、ディスプレイの表示領域に対するディスプレイ用保護フィルムの貼り付け作業をさらに簡単に行うことができる。
【0019】
(5)前記1対の短辺に対する前記スリットの傾斜角度が、5~60°であってもよい。
【0020】
このような構成によれば、スリットに沿って第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムを容易に剥離することができ、かつ、生産効率が高いディスプレイ用保護フィルムを提供することができる。
【0021】
(6)前記ディスプレイ用保護フィルムは、仮止部をさらに備えていてもよい。前記仮止部は、前記第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムの少なくとも一方における前記粘着層側とは反対側の面に、前記スリットに対して平行に延びるように設けられ、前記ディスプレイ用保護フィルムを前記表示領域に対して位置決めする際に当該表示領域に仮止めされる。
【0022】
このような構成によれば、仮止部を表示領域に対して仮止めすることにより、ディスプレイ用保護フィルムの位置決めを容易に行うことができるとともに、位置決めした状態で第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムを容易に剥離することができる。特に、仮止部がスリットに対して平行に延びるように設けられているため、スリットに沿って第1剥離フィルム又は第2剥離フィルムが粘着層から剥離される際、長尺形状の仮止部を長尺方向に沿って小さい力で容易に表示領域から剥離させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、スリットに沿って第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムを容易に剥離することができるため、ディスプレイの表示領域に対する貼り付け作業をさらに簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る保護フィルムの構成例を示した底面図である。
図2図1の保護フィルムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
1.ディスプレイ用保護フィルムの構成
以下では、本発明の一実施形態に係るディスプレイ用保護フィルム(以下、単に「保護フィルム」という。)の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態において図示された保護フィルムの各層は、説明を分かりやすくするために、実際の厚みよりも大きい厚みで示されている。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る保護フィルム100の構成例を示した底面図である。また、図2は、図1の保護フィルム100の側面図である。本実施形態に係る保護フィルム100は、携帯電話機、ゲーム機又はタブレット端末などの各種機器のディスプレイに貼り付けられ、当該ディスプレイの少なくとも表示領域を保護する。
【0027】
保護フィルム100は、本体フィルム10と剥離フィルム20とが、粘着層30を介して積層されることにより構成されている。すなわち、本体フィルム10の一方の面に粘着層30が形成され、粘着層30上に剥離フィルム20が設けられている。本体フィルム10の他方の面には、例えば光反射防止機能などの各種機能に応じた任意のフィルム層が積層されていてもよい。また、本体フィルム10自体が、このような各種機能を有していてもよい。
【0028】
なお、本体フィルム10、剥離フィルム20及び粘着層30は、いずれも透明である。そのため、図1に示す保護フィルム100の底面図では、上面側にある本体フィルム10及び粘着層30が、剥離フィルム20を透過して底面側から視認可能となっている。ただし、本体フィルム10及び粘着層30の少なくとも一方は、半透明であってもよい。また、剥離フィルム20は、半透明又は不透明であってもよい。
【0029】
本体フィルム10は、ディスプレイの表示領域を覆うことができる形状を有している。より具体的には、本体フィルム10は、ディスプレイの表示領域と同一、又は、それよりも大きい形状を有している。この例では、本体フィルム10が、1対の長辺及び1対の短辺を有する矩形状(長方形状)に形成されている。本体フィルム10は、粘着層30を介してディスプレイの表示領域に貼り付けられる。なお、本体フィルム10の1対の長辺及び1対の短辺は、それぞれ一直線上に延びるものに限らず、例えば一部に切り欠きが形成されていてもよい。
【0030】
粘着層30は、本体フィルム10の一方の面の全体に形成されている。剥離フィルム20は、本体フィルム10と同一の形状を有しており、1対の長辺20A及び1対の短辺20Bを有する矩形状(長方形状)に形成されている。ただし、剥離フィルム20は、本体フィルム10よりも大きい形状を有していてもよい。この場合、剥離フィルム20が、本体フィルム10の周縁よりも外側に張り出した状態で積層されていてもよい。なお、剥離フィルム20の1対の長辺20A及び1対の短辺20Bは、それぞれ一直線上に延びるものに限らず、例えば一部に切り欠きが形成されていてもよい。
【0031】
剥離フィルム20は、粘着層30に対して剥離可能に貼り合わせられている。したがって、剥離フィルム20を剥離させて粘着層30を露出させ、当該粘着層30をディスプレイの表示領域に貼り付けることにより、表示領域を本体フィルム10で覆って保護することができる。
【0032】
剥離フィルム20は、スリット(切断線)20Cにより、第1剥離フィルム21及び第2剥離フィルム22に分割されている。スリット20Cは、1対の長辺20Aの一方から他方まで延びているが、1対の短辺20Bに対して平行ではなく、1対の短辺20Bに対して傾斜する方向に延びている。すなわち、スリット20Cは、保護フィルム100の短手方向D1に対して傾斜している。
【0033】
1対の短辺20Bに対するスリット20Cの傾斜角度θは、5~45°であることが好ましく、10~30°であればより好ましく、10~20°であればさらに好ましい。傾斜角度θが大きければ大きいほど、第1剥離フィルム21及び第2剥離フィルム22を粘着層30から容易に剥離することができる一方で、1枚のフィルム積層体から複数枚の保護フィルム100を一度に打ち抜いて製造する際の生産効率は低くなる。したがって、第1剥離フィルム21及び第2剥離フィルム22の剥離しやすさと、生産効率とを考慮して、傾斜角度θを設定すればよい。
【0034】
スリット20Cにより分割された第1剥離フィルム21及び第2剥離フィルム22は、保護フィルム100の長手方向D2に沿って並んでいる。これにより、第1剥離フィルム21及び第2剥離フィルム22を個別に粘着層30から剥離させることができる。このとき、第1剥離フィルム21及び第2剥離フィルム22は、スリット20C側から長手方向D2に折り返すようにして剥離される。
【0035】
この例では、スリット20Cが、剥離フィルム20における長手方向D2の中央部よりも一方(図1における上方)にずれた位置に設けられている。そのため、第1剥離フィルム21が、第2剥離フィルム22よりも小さい。ただし、スリット20Cが、剥離フィルム20における長手方向D2の中央部に設けられることにより、第1剥離フィルム21及び第2剥離フィルム22が同じ大きさ(同一形状)で形成されていてもよい。また、スリット20Cが、剥離フィルム20における長手方向D2の中央部よりも他方(図1における下方)にずれた位置に設けられることにより、第1剥離フィルム21が、第2剥離フィルム22よりも大きい形状であってもよい。
【0036】
第1剥離フィルム21は、スリット20C側の端部に、第1鋭角部211及び第1鈍角部212を有している。すなわち、第1剥離フィルム21には、1対の長辺20Aの一方におけるスリット20C側の端部に、その長辺20Aの一方とスリット20Cとにより形成される第1鋭角部211が形成され、1対の長辺20Aの他方におけるスリット20C側の端部に、その長辺20Aの他方とスリット20Cとにより形成される第1鈍角部212が形成されている。
【0037】
第1鋭角部211において、1対の長辺20Aの一方とスリット20Cとが成す角は、0°よりも大きく90°よりも小さい鋭角である。また、第1鈍角部212において、1対の長辺20Aの他方とスリット20Cとが成す角は、90°よりも大きく180°よりも小さい鈍角である。
【0038】
第1剥離フィルム21における第1鋭角部211には、第1剥離フィルム21を粘着層30から剥離させる際に把持される第1把持部40が設けられている。これにより、第1剥離フィルム21には、1対の長辺20Aの一方におけるスリット20C側の端部に第1把持部40が設けられているが、1対の長辺20Aの他方におけるスリット20C側の端部には第1把持部40が設けられていない。
【0039】
ユーザは、第1把持部40を把持して引っ張ることにより、第1剥離フィルム21を第1鋭角部211から(第1鋭角部211を始点として)剥離させることができる。このとき、スリット20Cに沿って第1鋭角部211側から第1鈍角部212側に連続的に第1剥離フィルム21が粘着層30から剥離されるため、スリット20Cが1対の短辺20Bに対して平行に延びる場合と比較して、第1剥離フィルム21を剥離しやすい。
【0040】
第2剥離フィルム22は、スリット20C側の端部に、第2鋭角部221及び第2鈍角部222を有している。すなわち、第2剥離フィルム22には、1対の長辺20Aの一方におけるスリット20C側の端部に、その長辺20Aの一方とスリット20Cとにより形成される第2鋭角部221が形成され、1対の長辺20Aの他方におけるスリット20C側の端部に、その長辺20Aの他方とスリット20Cとにより形成される第2鈍角部222が形成されている。
【0041】
第2鋭角部221において、1対の長辺20Aの一方とスリット20Cとが成す角は、0°よりも大きく90°よりも小さい鋭角である。また、第2鈍角部222において、1対の長辺20Aの他方とスリット20Cとが成す角は、90°よりも大きく180°よりも小さい鈍角である。
【0042】
ここで、第2剥離フィルム22の第2鋭角部221は、長手方向D2において第1剥離フィルム21の第1鈍角部212と隣接しており、第2鋭角部221と第1鈍角部212とがスリット20Cを挟んで長手方向D2に対向している。また、第2剥離フィルム22の第2鈍角部222は、長手方向D2において第1剥離フィルム21の第1鋭角部211と隣接しており、第2鈍角部222と第1鋭角部211とがスリット20Cを挟んで長手方向D2に対向している。
【0043】
第2剥離フィルム22における第2鋭角部221には、第2剥離フィルム22を粘着層30から剥離させる際に把持される第2把持部50が設けられている。これにより、第2剥離フィルム22には、1対の長辺20Aの一方におけるスリット20C側の端部に第2把持部50が設けられているが、1対の長辺20Aの他方におけるスリット20C側の端部には第2把持部50が設けられていない。
【0044】
ユーザは、第2把持部50を把持して引っ張ることにより、第2剥離フィルム22を第2鋭角部221から(第2鋭角部221を始点として)剥離させることができる。このとき、スリット20Cに沿って第2鋭角部221側から第2鈍角部222側に連続的に第2剥離フィルム22が粘着層30から剥離されるため、スリット20Cが1対の短辺20Bに対して平行に延びる場合と比較して、第2剥離フィルム22を剥離しやすい。
【0045】
第1把持部40及び第2把持部50は、いずれも任意の形状で形成することができるが、本実施形態では、第1把持部40が第1屈曲部41を有し、第2把持部50が第2屈曲部51を有している。ただし、屈曲部ではなく湾曲部が第1把持部40及び第2把持部50の少なくとも一方に設けられていてもよいし、第1把持部40及び第2把持部50の少なくとも一方が一直線上に延びるものであってもよい。
【0046】
第1把持部40の第1屈曲部41は、第1剥離フィルム21に平行な面内(保護フィルム100の短手方向D1及び長手方向D2に平行な面内)で第2剥離フィルム22側に屈曲している。具体的に、第1把持部40は、第1剥離フィルム21における粘着層30側とは反対側の面に固定されており、スリット20Cに沿って第1剥離フィルム21の外側に張り出した後、長手方向D2に沿って第2剥離フィルム22側に屈曲している。したがって、ユーザは、第1把持部40の第1屈曲部41を把持して、第1剥離フィルム21を粘着層30から剥離させる方向に第1屈曲部41を折り返し、第2剥離フィルム22側とは反対側に引っ張ることにより、第1剥離フィルム21を容易に剥離させることができる。
【0047】
第2把持部50の第2屈曲部51は、第1剥離フィルム21に平行な面内(保護フィルム100の短手方向D1及び長手方向D2に平行な面内)で第1剥離フィルム21側に屈曲している。具体的に、第2把持部50は、第2剥離フィルム22における粘着層30側とは反対側の面に固定されており、スリット20Cに沿って第2剥離フィルム22の外側に張り出した後、長手方向D2に沿って第1剥離フィルム21側に屈曲している。したがって、ユーザは、第2把持部50の第2屈曲部51を把持して、第2剥離フィルム22を粘着層30から剥離させる方向に第2屈曲部51を折り返し、第1剥離フィルム21側とは反対側に引っ張ることにより、第2剥離フィルム22を容易に剥離させることができる。
【0048】
本実施形態では、第2剥離フィルム22における粘着層30側とは反対側の面に、保護フィルム100をディスプレイの表示領域に対して位置決めする際に当該表示領域に仮止めされる仮止部60が設けられている。ただし、仮止部60は、第2剥離フィルム22ではなく、第1剥離フィルム21における粘着層30側とは反対側の面に設けられていてもよく、第1剥離フィルム21及び第2剥離フィルム22の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0049】
仮止部60は、例えば所定の幅を有する帯状に形成されており、長手方向D2に対して交差する方向に延びている。仮止部60は、短手方向D1に延びるように設けられていてもよいが、この例では、スリット20Cに対して平行に延びるように、スリット20Cの近傍に設けられている。具体的に、仮止部60は、第2剥離フィルム22の短手方向D1の中央部において、スリット20Cから1~5mm程度離間した位置でスリット20Cに対して平行に延びるように設けられている。ただし、上記の「平行」には、仮止部60がスリット20Cに対して若干傾斜した「略平行」も含まれる。
【0050】
仮止部60は、例えば10~1000μm程度の厚みを有するシート状のウレタンフォームにより構成されている。これにより、仮止部60における第2剥離フィルム22側とは反対側の面は、弾性変形可能な吸着面により形成されている。したがって、仮止部60をディスプレイの表示領域(平坦面)に対して押圧することにより、仮止部60の吸着面を表示領域に吸着させ、位置決めを行うことができる。
【0051】
ただし、仮止部60における第2剥離フィルム22側とは反対側の面は、吸着面ではなく粘着面であってもよい。すなわち、仮止部60の粘着面をディスプレイの表示領域に粘着させることにより、位置決めを行うことができるような構成であってもよい。この場合、粘着面に剥離フィルム(図示せず)が貼り合わせられ、当該剥離フィルムを剥離して粘着面を露出させた後、当該粘着面をディスプレイの表示領域に粘着させることにより、位置決めが行われてもよい。
【0052】
2.ディスプレイ用保護フィルムの貼り付け方法
本体フィルム10をディスプレイの表示領域に貼り付ける際、ユーザは、まず、保護フィルム100の剥離フィルム20側を表示領域に対向させ、位置合わせを行う。そして、適切な位置に保護フィルム100の位置合わせが行われた後、ユーザが本体フィルム10側から仮止部60を表示領域に対して押圧することにより、仮止部60が表示領域に仮止され、保護フィルム100の位置決めが完了する。
【0053】
次に、ユーザは、第1把持部40の第1屈曲部41を把持して、第1剥離フィルム21を粘着層30から剥離させる方向に第1屈曲部41を折り返し、第2剥離フィルム22側とは反対側に引っ張る。これにより、第1剥離フィルム21が第1鋭角部211から(第1鋭角部211を始点として)剥離され、第1剥離フィルム21に対向する部分の粘着層30が露出するとともに、当該部分がディスプレイの一部の表示領域に貼り付けられる。
【0054】
その後、ユーザは、第2把持部50の第2屈曲部51を把持して、第2剥離フィルム22を粘着層30から剥離させる方向に第2屈曲部51を折り返し、第1剥離フィルム21側とは反対側に引っ張る。これにより、第2剥離フィルム22が第2鋭角部221から(第2鋭角部221を始点として)剥離され、第2剥離フィルム22に対向する部分の粘着層30が露出するとともに、当該部分がディスプレイの残りの表示領域に貼り付けられる。
【0055】
このとき、第2剥離フィルム22が粘着層30から剥離されるのに伴って、ディスプレイの表示領域に仮止されている仮止部60が表示領域から剥離される。仮止部60がスリット20Cに対して平行に延びるように設けられているため、スリット20Cに沿って第2鋭角部221側から第2鈍角部222側に連続的に第2剥離フィルム22が粘着層30から剥離される際、長尺形状の仮止部60を長尺方向に沿って小さい力で容易に表示領域から剥離させることができる。
【符号の説明】
【0056】
10 本体フィルム
20 剥離フィルム
20C スリット
21 第1剥離フィルム
22 第2剥離フィルム
30 粘着層
40 第1把持部
41 第1屈曲部
50 第2把持部
51 第2屈曲部
60 仮止部
100 保護フィルム
θ 傾斜角度
図1
図2