(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147068
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】駆動装置および開閉ユニット
(51)【国際特許分類】
F16H 57/031 20120101AFI20241008BHJP
A47K 13/10 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
F16H57/031
A47K13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059841
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】大島 雄希
【テーマコード(参考)】
2D037
3J063
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AB07
2D037AB10
3J063AA31
3J063AB02
3J063AC01
3J063BA01
3J063BB27
3J063CA01
3J063CD46
3J063CD52
3J063CD56
3J063XA05
3J063XA11
(57)【要約】
【課題】モータおよび輪列機構にケースを被せて組み立てる際の組立作業の容易性を向上させる。
【解決手段】開閉部材駆動装置3のケース10は、モータ12を収容する第1ケース61と、隔壁部55が設けられた第2ケース62と、出力軸11が配置される第3ケース63を積層して結合する。第1ケース61の第1周壁部66は、第2方向X2の端部を第1方向X1に切り欠いた切欠き部54を複数位置に備える。第2ケース62の第2周壁部74の第1方向X1の端部は、第1方向X1に延びる羽根部53を複数位置に備える。第1ケース61を第2ケース62に第1方向X1から被せて組み立てる際、第1ケース61と第2ケース62が最初に嵌合する箇所は、羽根部53の先端と切欠き部54である。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動部材が接続される接続部および歯車部を備える出力軸と、
モータと、
前記歯車部を介して前記モータの回転を前記歯車部に伝達する輪列機構と、
前記モータ、前記輪列機構、および前記歯車部を収容するとともに、前記出力軸を貫通させて前記接続部を外部に露出させる開口部を有するケースと、を有し、
前記出力軸の軸線方向の一方側を第1方向、他方側を第2方向とした場合に、
前記ケースは、前記モータおよび前記輪列機構の一部を収容する第1ケースと、前記第1ケースの前記第2方向に位置する第2ケースを備え、
前記第1ケースは、前記軸線方向に交差する第1板部および前記第1板部の外縁から前記第2方向に延びる第1周壁部を備え、前記第1周壁部は、前記第2方向の端部を前記第1方向に切り欠いた切欠き部を複数位置に備え、
前記第2ケースは、前記第1周壁部に接続される第2周壁部を備え、前記第2周壁部の前記第1方向の端部は、前記第1方向に延びる羽根部を複数位置に備え、前記羽根部のそれぞれが前記切欠き部に嵌合し、
前記第1ケースを前記第2ケースに前記第1方向から被せる際、前記第1ケースと前記第2ケースが最初に嵌合する箇所は、前記羽根部の先端と前記切欠き部であることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記羽根部は、前記切欠き部に嵌まる羽根部本体と、前記羽根部本体の幅方向の少なくとも一方の端部から突出する薄肉部と、を備え、
前記薄肉部は、前記切欠き部の幅方向の縁に沿って前記軸線方向に延びるガイド溝に嵌まることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記薄肉部の先端が前記羽根部本体の先端よりも突出していることを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記ケースは、前記第2ケースの前記第2方向に位置するとともに前記出力軸を貫通させて前記接続部を外部に露出させる開口部が設けられた第3ケースを備え、
前記輪列機構は、前記ケース内を前記出力軸の軸線方向に平行に延びる第1シャフトおよび第2シャフトと、前記モータの回転が伝達される順で、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトに交互に回転可能に支持される複数の歯車を備え、
前記第1シャフトおよび前記第2シャフトは、前記第2ケースに設けられた隔壁部を貫通して前記第1ケース内および前記第3ケース内に延びており、
前記第3ケースは、前記第1シャフトの端部が圧入される第1軸圧入部と、前記第2シャフトの端部が圧入される第2軸圧入部を備え、
前記第1ケースを前記第2ケースに前記第1方向から被せる際、前記第1シャフトの先端と前記第2シャフトの先端が前記第1板部に設けられた第1軸保持部および第2軸保持部に嵌まるよりも先に、前記羽根部の先端が前記切欠き部に嵌まることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第1ケースは、前記第1周壁部の前記第2方向の端部から外周側へ突出する第1ねじ固定部を備え、
前記第2ケースは、前記第1ねじ固定部を貫通する第1固定孔と重なる第2固定孔が設けられた第2ねじ固定部を備え、
第1固定孔と前記第2固定孔の一方の縁に嵌合凸部が設けられ、第1固定孔と前記第2固定孔の他方の縁に前記嵌合凸部が嵌まる嵌合凹部が設けられ、
前記第1ケースを前記第2ケースに前記第1方向から被せる際、
前記羽根部の先端が前記切欠き部に嵌まった後に、前記嵌合凹部に前記嵌合凸部の先端
が嵌まることを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第2ケースは、前記隔壁部から前記第1方向に突出する位置決めピンを備え、
前記第1ケースは、前記位置決めピンが嵌まる位置決め穴を備え、
前記第1ケースを前記第2ケースに前記第1方向から被せる際、
前記羽根部の先端が前記切欠き部に嵌まった後に、前記嵌合凹部に前記嵌合凸部の先端が嵌まり、その後に前記位置決め穴に前記位置決めピンの先端が嵌まることを特徴とする請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記第3ケースは、前記第1ねじ固定部および前記第2ねじ固定部と重なる第3ねじ固定部を備え、
前記第1ケース、前記第2ケース、および前記第3ケースは、前記第1ねじ固定部、前記第2ねじ固定部、および前記第3ねじ固定部を共通のねじにより共締めして結合されることを特徴とする請求項5に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記接続部は、前記被駆動部材として便蓋または便座が接続されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の駆動装置と、
前記接続部に接続される前記被駆動部材と、を有し、
前記被駆動部材は、便蓋または便座であることを特徴とする開閉ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉部材などの被駆動部材を駆動する駆動装置、および開閉部材としてトイレユニットの便蓋や便座などを開閉する開閉ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被駆動部材を駆動する駆動装置として、便蓋や便座などの開閉部材を駆動する開閉部材駆動装置が記載される。同文献の開閉部材駆動装置は、モータと、開閉部材が接続される出力軸と、モータの駆動力を出力軸に伝達する輪列機構と、モータおよび輪列機構を収容するケースを備える。
【0003】
出力軸は、便座や便蓋などの開閉部材を接続するための接続部を備えており、ケースの開口部から接続部を外部に突出させる。本発明者らは、ケースを出力軸の軸線方向に細長い形状として、軸線方向から見た装置全体の平面形状を小型化した構造を提案している(例えば、特願2022-029458号)。特願2022-029458号では、ケースは、モータおよび輪列機構の大部分を内側に収容する第1ケースと、輪列機構のシャフトが貫通する隔壁部を備えた第2ケースを含む複数の分割ケースを組み立てて構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
装置の小型化のため、ケース内のスペースに余裕をなくした場合、輪列機構の大部分とモータを第1ケースの内側に組み立てて、その後にグリスを塗布する作業は困難である。そこで、第2ケースから突出するシャフトに輪列機構を組み付けて、輪列機構が露出した状態でグリスの塗布作業を行い、その後に第1ケースを被せて第2ケースと接合する組み立て方法が提案されている。
【0006】
しかしながら、このような組み立て方法では、第1ケースを被せて第2ケースと接合する際、ケースの内側が輪列機構やモータで見えない状態でケース同士を嵌合させなければならず、ケースを正確に位置合わせして組み立てる作業が困難である。
【0007】
本発明の課題は、かかる点に鑑みて、モータおよび輪列機構にケースを被せて組み立てる際の組立作業の容易性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の駆動装置は、被駆動部材が接続される接続部および歯車部を備える出力軸と、モータと、前記歯車部を介して前記モータの回転を前記歯車部に伝達する輪列機構と、前記モータ、前記輪列機構、および前記歯車部を収容するとともに、前記出力軸を貫通させて前記接続部を外部に露出させる開口部を有するケースと、を有し、前記出力軸の軸線方向の一方側を第1方向、他方側を第2方向とした場合に、前記ケースは、前記モータおよび前記輪列機構の一部を収容する第1ケースと、前記第1ケースの前記第2方向に位置する第2ケースを備え、前記第1ケースは、前記軸線方向に交差する第1板部および前記第1板部の外縁から前記第2方向に延びる第1周壁部を備え、前記第1周壁部は、前記第2方向の端部を前記第1方向に切り欠いた切欠き部を複数位置に備え、前記第2ケースは、前記第1周壁部に接続される第2周壁部を備え、前記第2周
壁部の前記第1方向の端部は、前記第1方向に延びる羽根部を複数位置に備え、前記羽根部のそれぞれが前記切欠き部に嵌合し、前記第1ケースを前記第2ケースに前記第1方向から被せる際、前記第1ケースと前記第2ケースが最初に嵌合する箇所は、前記羽根部の先端と前記切欠き部であることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、輪列機構や出力軸の歯車部を収容するケースを組み立てる際、モータを収容する第1ケースの第1周壁部と第2ケースの第2周壁部とを接続する。その際、最初に第1ケースと第2ケースとが接触する箇所は、第1周壁部を切り欠いた箇所と、第2周壁部の先端に設けられた羽根部である。このように、外側から見やすい位置に軸線方向に長い位置決め部を設けることにより、第1ケースと第2ケースとの位置決めが容易であり、第1ケースの内部に設けられている他の嵌合部を、第1ケースと第2ケースとが精度良く位置決めされた状態で嵌合させることができる。従って、ケースの組立容易性を高めることができる。
【0010】
本発明において、前記羽根部は、前記切欠き部に嵌まる羽根部本体と、前記羽根部本体の幅方向の少なくとも一方の端部から突出する薄肉部と、を備え、前記薄肉部は、前記切欠き部の幅方向の縁に沿って前記軸線方向に延びるガイド溝に嵌まることが好ましい。このようにすると、切欠き部に羽根部を嵌合させる際、薄肉部とガイド溝によって羽根部本体を切欠き部に案内できるので、容易に嵌合させることができる。また、薄肉部とガイド溝とが嵌合した箇所にラビリンス構造が形成されるので、第1ケースに収容される輪列機構の歯車に塗布されたグリスが嵌合部から外部に漏れることを抑制できる。
【0011】
この場合に、前記薄肉部の先端が前記羽根部本体の先端よりも突出していることが好ましい。このようにすると、羽根部本体が第1周壁部に接触するよりも先に、薄肉部の先端をガイド溝に挿入することができる。従って、切欠き部に羽根部を簡単に嵌合させることができる。
【0012】
本発明において、前記ケースは、前記第2ケースの前記第2方向に位置するとともに前記出力軸を貫通させて前記接続部を外部に露出させる開口部が設けられた第3ケースを備え、前記輪列機構は、前記ケース内を前記出力軸の軸線方向に平行に延びる第1シャフトおよび第2シャフトと、前記モータの回転が伝達される順で、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトに交互に回転可能に支持される複数の歯車を備え、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトは、前記第2ケースに設けられた隔壁部を貫通して前記第1ケース内および前記第3ケース内に延びており、前記第3ケースは、前記第1シャフトの端部が圧入される第1軸圧入部と、前記第2シャフトの端部が圧入される第2軸圧入部を備え、前記第1ケースを前記第2ケースに前記第1方向から被せる際、前記第1シャフトの先端と前記第2シャフトの先端が前記第1板部に設けられた第1軸保持部および第2軸保持部に嵌まるよりも先に、前記羽根部の先端が前記切欠き部に嵌まることが好ましい。このようにすると、第1シャフトおよび第2シャフトの先端が第1軸保持部および第2軸保持部に嵌まる箇所が見えない状態でも、各シャフトの先端を各軸保持部に容易に挿入することができる。従って、ケースの組立容易性を高めることができる。
【0013】
本発明において、前記第1ケースは、前記第1周壁部の前記第2方向の端部から外周側へ突出する第1ねじ固定部を備え、前記第2ケースは、前記第1ねじ固定部を貫通する第1固定孔と重なる第2固定孔が設けられた第2ねじ固定部を備え、第1固定孔と前記第2固定孔の一方の縁に嵌合凸部が設けられ、第1固定孔と前記第2固定孔の他方の縁に前記嵌合凸部が嵌まる嵌合凹部が設けられ、前記第1ケースを前記第2ケースに前記第1方向から被せる際、前記羽根部の先端が前記切欠き部に嵌まった後に、前記嵌合凹部に前記嵌合凸部の先端が嵌まることが好ましい。このようにすると、ねじ固定箇所の凹凸を嵌合させる前に、大型の羽根部と切欠き部によって第1ケースと第2ケースとを位置決めできる
ので、ねじ固定箇所の凹凸を容易に嵌合させることができる。従って、ケースの組立容易性を高めることができる。
【0014】
本発明において、前記第2ケースは、前記隔壁部から前記第1方向に突出する位置決めピンを備え、前記第1ケースは、前記位置決めピンが嵌まる位置決め穴を備え、前記第1ケースを前記第2ケースに前記第1方向から被せる際、前記羽根部の先端が前記切欠き部に嵌まった後に、前記嵌合凹部に前記嵌合凸部の先端が嵌まり、その後に前記位置決め穴に前記位置決めピンの先端が嵌まることが好ましい。このようにすると、大型の羽根部と切欠き部とを最初に嵌合させ、次にねじ固定箇所の周りの嵌合部を嵌合させ、最後にケースの内側にある最も細い位置決めピンを嵌合させるので、全ての嵌合箇所をスムーズに嵌合させることができる。
【0015】
本発明において、前記第3ケースは、前記第1ねじ固定部および前記第2ねじ固定部と重なる第3ねじ固定部を備え、前記第1ケース、前記第2ケース、および前記第3ケースは、前記第1ねじ固定部、前記第2ねじ固定部、および前記第3ねじ固定部を共通のねじにより共締めして結合されることが好ましい。このようにすると、少ない工数でケースを組み立てることができる。また、ねじ固定箇所を共通化でき、共通のねじで固定できるので、部品点数の削減、およびケースの小型化を図ることができる。
【0016】
本発明において、前記第3ケースは、前記第2周壁部に接続される第3周壁部を備え、前記第1周壁部と前記第3周壁部の一方は、外周面に突起が設けられ、前記第1周壁部と前記第3周壁部の他方は、前記第2周壁部の外周側を経由して前記突起まで延びて前記突起に係止されるフックを備えることが好ましい。このようにすると、ねじ固定箇所の一部をフックによる係止構造に置き換えることができる。従って、ねじ固定用の構造を設けることによりケース内の空間が狭くなることを回避でき、部品配置の自由度を高めることができる。
【0017】
本発明において、前記接続部は、前記被駆動部材として便蓋または便座が接続される。このようにすると、便蓋または便座を開閉する駆動装置において、モータ、輪列機構、および出力軸の歯車部を収容するケースの組立容易性を高めることができる。
【0018】
次に、本発明の開閉ユニットは、上記の駆動装置と、前記接続部に接続される前記被駆動部材と、を有し、前記被駆動部材は、便蓋または便座であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、輪列機構や出力軸の歯車部を収容するケースを組み立てる際、モータを収容する第1ケースの第1周壁部と第2ケースの第2周壁部とを接続する。その際、最初に第1ケースと第2ケースとが接触する箇所は、第1周壁部を切り欠いた箇所と、第2周壁部の先端に設けられた羽根部である。このように、外側から見やすい位置に軸線方向に長い位置決め部を設けることにより、第1ケースと第2ケースとの位置決めが容易であり、第1ケースの内部に設けられている他の嵌合部を、第1ケースと第2ケースとが精度良く位置決めされた状態で嵌合させることができる。従って、ケースの組立容易性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】便蓋を開閉する開閉ユニットの説明図である。
【
図3】ケースおよびアシストばねを外した開閉部材駆動装置を出力軸の側から見た斜視図である。
【
図4】ケースおよびアシストばねを外した開閉部材駆動装置を出力軸とは反対側から見た斜視図である。
【
図5】開閉部材駆動装置の断面図(
図2(a)のA-A線断面図)である。
【
図6】開閉部材駆動装置の断面図(
図2(a)のB-B線断面図)およびその部分拡大図である。
【
図7】第3ケースを外した開閉部材駆動装置の分解斜視図である。
【
図8】第3ケースのばね保持溝およびばね部材の斜視図である。
【
図9】組立途中の開閉部材駆動装置の説明図であり、第3ケースに出力軸および輪列機構の一部を組み込み、且つ、第2ケースに基板およびポテンショメータを組み付けた状態を示す分解斜視図である。
【
図10】組立途中の開閉部材駆動装置の説明図であり、第1ケースを輪列機構およびモータに被せる直前の状態を示す分解斜視図である。
【
図11】開閉部材駆動装置の断面図(
図2(a)のC-C線断面図)およびその部分拡大図である。
【
図12】第1方向から見たケースの分解斜視図である。
【
図13】第2方向から見たケースの分解斜視図である。
【
図14】3箇所の嵌合部が嵌合する順序の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明に係る駆動装置の実施形態である開閉部材駆動装置を備えた開閉ユニットを説明する。
【0022】
(全体構成)
図1は便蓋2を開閉する開閉ユニット1の説明図である。
図2(a)、
図2(b)は開閉部材駆動装置3の外観斜視図である。
図3は、ケース10およびアシストばね16を外した開閉部材駆動装置3を出力軸11の側から見た斜視図である。
図4は、ケース10およびアシストばね16を外した開閉部材駆動装置3を出力軸11とは反対側から見た斜視図である。
図5は開閉部材駆動装置3の断面図であり、
図2のA-A線断面図である。
図6は開閉部材駆動装置3の断面図およびその部分拡大図であり、
図2のB-B線断面図である。
【0023】
図1に示すように、開閉ユニット1は、便蓋2と、便蓋2を駆動する開閉部材駆動装置3を有する。開閉ユニット1は、便器本体4および便座5を備えるトイレユニット6に取り付けられて、便蓋2を回転させる。開閉ユニット1がトイレユニット6に取り付けられた状態で、便蓋2の回転軸Hは、水平方向に延びる。便蓋2は、開閉部材駆動装置3の駆動により、便器本体4および便座5に上方から被さる全閉位置2Aと、便器本体4から立ち上がる全開位置2Bとの間を移動する。便器本体4には、全開位置2Bで便蓋2に当接してそれ以上の便蓋2の回転を規制するストッパ(図示せず)が設けられている。
【0024】
図2(a)、
図2(b)に示すように、開閉部材駆動装置3は、ケース10と、ケース10に設けられた開口部10aからケース10の外側に突出する出力軸11を備える。ケース10は、柱形状であり、出力軸11の軸線L1に沿って延びる。
図3、
図4に示すように、ケース10内には、モータ12と、モータ12の駆動力を出力軸11に伝達する輪列機構13と、出力軸11を付勢するアシストばね16が収容される。また、ケース10内には、基板14と、出力軸11の回転角度位置を検出するためのポテンショメータ15が収容される。
【0025】
開閉部材駆動装置3は、出力軸11の軸線L1を便蓋2の回転軸Hと一致させた姿勢でトイレユニット6に取り付けられる。すなわち、出力軸11を水平方向に向けてトイレユニット6に取り付けられる。開閉部材駆動装置3が出力軸11を所定角度で回転駆動することにより、便蓋2は、全閉位置2Aと全開位置2Bとの間を移動する。本形態において
、所定角度は、130°以下である。例えば、所定角度は、110°である。ここで、開閉部材駆動装置3は、
図1に実線で示すように、回転軸Hに沿った方向で便蓋2の一方側に設置される場合がある。また、開閉部材駆動装置3は、
図1に破線で示すように、回転軸Hに沿った方向で便蓋2の他方側に設置される場合がある。
【0026】
(モータ)
モータ12は、DCモータである。
図3、
図4、
図5に示すように、モータ12は、モータ本体17と、モータ本体17から突出するモータ出力軸18と、モータ本体17からモータ出力軸18とは反対方向に突出する一対のモータ端子19を備える。一対のモータ端子19は、モータ出力軸18の軸線L2を挟んで径方向で反対側の2箇所に設けられている。
図3には一対のモータ端子19の一方のみが図示され、他方は出力軸11の背後に隠れている。モータ出力軸18は、出力軸11の位置する側とは反対方向に突出し、一対のモータ端子19は、出力軸11が位置する側に突出する。モータ出力軸18には、モータピニオン20が取り付けられている。
【0027】
モータ出力軸18の軸線L2と開閉部材駆動装置3の出力軸11の軸線L1とは、平行である。
図3、
図4、
図5から分かるように、出力軸11の軸線L1に沿った方向から見た場合に、モータ本体17は出力軸11と部分的に重なる。また、出力軸11の軸線L1に沿った方向から見た場合に、モータ出力軸18は出力軸11と重なる。
【0028】
以下の説明では、モータ出力軸18の軸線L2および出力軸11の軸線L1に沿った方向を軸線方向Xとし、軸線方向Xの一方側を第1方向X1とし、軸線方向Xの他方側を第2方向とする。第1方向X1は、モータ出力軸18がモータ本体17から突出する方向である。第2方向X2は、モータ端子19がモータ本体17から突出する方向であり、且つ、ケース10から出力軸11が突出する方向である。モータ12は、出力軸11の第1方向X1に位置する。
【0029】
また、以下の説明では、軸線方向Xと直交する方向をY方向とし、Y方向の一方側をY1方向とし、Y方向の他方側をY2方向とする。軸線方向Xと直交し且つY方向と直交する方向をZ方向とし、Z方向の一方側をZ1方向とし、Z方向の他方側をZ2方向とする。
図2に示すように、軸線方向Xから見たときのケース10の平面形状の長手方向は、Z方向と一致する。ケース10のZ1方向の側面は円弧状の湾曲面である。
【0030】
(出力軸)
図3、
図4に示すように、出力軸11は、開閉部材(被駆動部材)である便蓋2が接続される接続部22と、モータ12の駆動力が伝達される歯車部23と、回転角度位置検出用歯車部24とを備える。歯車部23と回転角度位置検出用歯車部24は、噛合相手の歯車と噛み合う部分に、グリスが塗布される。接続部22、歯車部23、および回転角度位置検出用歯車部24は、同軸である。歯車部23は、接続部22の第1方向X1に設けられている。回転角度位置検出用歯車部24は、歯車部23の第1方向X1に設けられている。出力軸11の歯車部23および回転角度位置検出用歯車部24は、ケース10内に収容される。接続部22は、開口部10aからケース10の外側へ突出する。
【0031】
(輪列機構)
輪列機構13は、大径歯車部分と大径歯車部分よりも小径の小径歯車部分を備える複合歯車を複数備える。各複合歯車は、小径歯車部分が大径歯車部分の第2方向X2に位置する。各複合歯車が噛み合う部分には、グリスが塗布される。輪列機構13は、減速輪列である。また、輪列機構13は、これら複数の複合歯車を回転可能に支持する3本のシャフトを備える。
【0032】
具体的には、
図3、
図4に示すように、輪列機構13は、モータピニオン20に噛合する第1複合歯車26と、第1複合歯車26を回転可能に支持する第1複合歯車用シャフト27と、を備える。第1複合歯車用シャフト27は、モータ本体17の第1方向X1で軸線方向Xに延びる。
【0033】
また、輪列機構13は、モータ本体17の側方を軸線方向Xに平行に延びる第1シャフト28および第2シャフト29を備える。さらに、輪列機構13は、第1シャフト28に回転可能に支持された第2複合歯車31(第1歯車)、第2複合歯車31の第2方向X2において第1シャフト28に回転可能に支持された第3複合歯車32(第2歯車)を備える。また、輪列機構13は、第2シャフト29に回転可能に支持された第4複合歯車33、第4複合歯車33の第2方向X2において第2シャフト29に回転可能に支持された第5複合歯車34(第3歯車)、および第5複合歯車34の第2方向X2において第2シャフト29に回転可能に支持された第6複合歯車35(第4歯車)を備える。
【0034】
図3、
図4に示すように、第1複合歯車26は、その大径歯車部分26aがモータピニオン20に噛合し、その小径歯車部分26bが第2シャフト29の最も第1方向X1に位置する第4複合歯車33の大径歯車部分33aに噛合する。第4複合歯車33は、その小径歯車部分33bが第1シャフト28の最も第1方向X1に支持された第2複合歯車31(第1歯車)の大径歯車部分31aに噛合する。第2複合歯車31は、小径歯車部分31bが第2シャフト29に支持された第5複合歯車34(第3歯車)の大径歯車部分34aに噛合する。第5複合歯車34は、その小径歯車部分34bが、第1シャフト28に支持された第3複合歯車32(第2歯車)の大径歯車部分32aに噛合する。第3複合歯車32は、その小径歯車部分32bが、第2シャフト29に支持された第6複合歯車35(第4歯車)の大径歯車部分35aに噛合する。第6複合歯車35は、その小径歯車部分35bが、出力軸11の歯車部23に噛合する。第6複合歯車35(第4歯車)は、輪列機構13の最終歯車であり、出力軸11の歯車部23と噛合する。
【0035】
モータ出力軸18(モータピニオン20)の回転は、駆動力伝達方向の上流側から下流側に向かって、第1複合歯車26、第4複合歯車33、第2複合歯車31(第1歯車)、第5複合歯車34(第3歯車)、第3複合歯車32(第2歯車)、第6複合歯車35(第4歯車)の順に伝達されて出力軸11に達する。ここで、
図4に示すように、第3複合歯車32の小径歯車部分32bは、第1方向X1の端部分であって大径歯車部分32aに隣り合う部分に、歯を有さない円柱部32cを備える。円柱部32cは、所定の高さ寸法を備える。なお、円柱部32cには、グリスは塗布されていない。また、
図6に示すように、第2複合歯車31は、その大径歯車部分31aと小径歯車部分31bとの間に、駆動力の伝達を継断するトルクリミッタ37が設けられている。
【0036】
(基板、およびポテンショメータ)
図3、
図4に示すように、基板14は、厚み方向を軸線方向Xに向けてモータ本体17と出力軸11との間に配置されている。
図3に示すように、ポテンショメータ15は、基板14の第2方向X2を向く基板表面14aに取り付けられた検出部38と、検出部38に接続されるポテンショギア39と、を備える。
【0037】
基板14は、
図3に示すように、モータ端子用貫通孔41と、モータ12に電力を供給するための第1配線パターン42と、検出部38に電力を供給するとともにポテンショメータ15からの回転角度位置信号(信号)を外部に取り出すための第2配線パターン43と、を備える。一対のモータ端子19のそれぞれは、モータ端子用貫通孔41を貫通した状態で第1配線パターン42に接続される。
【0038】
図4に示すように、基板14において、第1方向X1を向く基板裏面14bには、コネ
クタ45が取り付けられている。コネクタ45は、第1配線パターン42および第2配線パターン43に電気的に接続される。コネクタ45には、外部の機器から延びるケーブルに設けられた外部コネクタが、第1方向X1の側から着脱可能に接続される。モータ12およびポテンショメータ15の検出部38には、コネクタ45から基板14を介して、電力が供給される。
【0039】
図4、
図6に示すように、第1シャフト28および第3複合歯車32の円柱部32cは、基板14の縁を切り欠いた基板側第1貫通部47に配置される。
図3に示すように、第2シャフト29は、基板14を貫通する基板側第2貫通部48に配置される。
【0040】
図4に示すように、輪列機構13は、基板14の第1方向X1に、第1複合歯車26、第2複合歯車31、第3複合歯車32の大径歯車部分32a、第4複合歯車33、および第5複合歯車34が位置する。第3複合歯車32の大径歯車部分32a、第6複合歯車35、および出力軸11は、基板14の第2方向X2に位置する。従って、輪列機構13は、基板14の第1方向X1の側から基板14の第2方向X2にモータ12の駆動量を伝達する。
【0041】
(ケース)
図2(a)、
図2(b)、
図5に示すように、ケース10は、第2方向X2の端面に、出力軸11を貫通させて接続部22を外部に露出させる開口部10aを備える。また、
図5、
図6に示すように、ケース10は、内部に、軸線方向Xと交差する方向に延びてケース10内を2つの領域に仕切る隔壁部55を備える。さらに、
図2(a)、
図5に示すように、ケース10は、隔壁部55の第1方向X1に、基板14の端部に配置されたコネクタ45を外部に露出させるコネクタ用開口部10bを備える。
【0042】
より具体的には、ケース10は、軸線方向Xの第1方向X1の側から第2方向X2に向かって積層された第1ケース61、第2ケース62および第3ケース63を備える。隔壁部55は、第2ケース62に設けられている。コネクタ用開口部10bは、第1ケース61と第2ケース62との間に形成される。第3ケース63は、開口部10aを備え、出力軸11の歯車部23および回転角度位置検出用歯車部24を内部に収容する。
【0043】
第1ケース61は、第1方向X1の端面を規定する第1板部65と、第1板部65の外周縁から第2方向X2に延びる筒状の第1周壁部66を備える。
図5、
図6に示すように、第1板部65は、第2方向X2を向く面に、第1シャフト28の第1方向X1の端部を保持する第1軸保持部67と、第2シャフト29の第1方向X1の端部を保持する第2軸保持部68と、第1複合歯車用シャフト27の第1方向X1の端部分を保持する第3軸保持部69と、を備える。
【0044】
第1シャフト28および第2シャフト29は、基板14および隔壁部55を貫通して第3ケース内へ延びる。一方、
図3に示すように、第1複合歯車用シャフト27の第2方向X2の端部分は、第1ケース61内において、モータ本体17の第1方向X1の端面に取り付けられた支持部材71により支持される。
【0045】
図2(a)に示すように、第1ケース61には、第1周壁部66の第2方向X2の端部からZ2方向へ突出する第1ねじ固定部72がY方向に離れた2箇所に設けられている。第1ケース61と第2ケース62とを軸線方向Xに重ねると、2箇所の第1ねじ固定部72の間には、第1方向X1に開口するコネクタ用開口部10bが形成される。第1ケース61において、コネクタ用開口部10bの第1方向X1にはZ1方向へ窪む凹部70が設けられている。
図5に示すように、基板14の端部に取り付けたコネクタ45は、外部コネクタが接続される差込口を凹部70に向けてコネクタ用開口部10bに配置される。
【0046】
図5、
図6に示すように、第1ケース61には、モータ12が収容される。また、
図6に示すように、第1ケース61には、モータピニオン20と、輪列機構13において基板14の第1方向X1に位置する第1複合歯車26、第2複合歯車31、第3複合歯車32の大径歯車部分32a、第4複合歯車33、および第5複合歯車34が収容される。
【0047】
図7は、第3ケース63を外した開閉部材駆動装置3の分解斜視図である。
図5、
図6、
図7に示すように、第2ケース62は、第1ケース61の第1周壁部66に接続される筒状の第2周壁部74と、第2周壁部74の軸線方向Xの途中から軸線L1と直交する方向に延びる隔壁部55と、を備える。
図6に示すように、第2周壁部74は、隔壁部55の第1方向X1に配置される基板14を内側に収容する。また、第2周壁部74において、第1ケース61に設けられた2箇所の第1ねじ固定部72に第2方向X2から重なる部位には、第2ねじ固定部73が設けられている。
【0048】
図6、
図7に示すように、第2ケース62は、隔壁部55から第2方向X2に突出する出力軸支持部77を備える。出力軸支持部77は、出力軸11を回転可能に支持する。隔壁部55を貫通するポテンショギア用貫通孔(図示省略)からは、ポテンショギア39が第2方向X2に突出する。ポテンショギア39は、隔壁部55の第2方向X2において、出力軸11に設けられた回転角度位置検出用歯車部24と噛合する。ポテンショギア39は、隔壁部55の第1方向X1において、ポテンショメータ15の検出部38(
図3参照)に接続される。
【0049】
第2シャフト29は、基板14に設けられた基板側第2貫通部48(
図3参照)および隔壁部55を貫通する隔壁部側第1貫通孔79(
図7参照)に通されて、隔壁部55の第2方向X2に延びる。隔壁部55の第2方向X2では、出力軸11の歯車部23に噛合する小径歯車部分35bを備えた第6複合歯車35が第2シャフト29に回転可能に支持される。
【0050】
図7に示すように、第1シャフト28および第3複合歯車32の小径歯車部分32bは、隔壁部55を貫通する隔壁部側第1貫通孔78に配置される。第2ケース62は、隔壁部側第1貫通孔78の開口縁から第2方向X2に突出して小径歯車部分32bの第2方向X2の先端部分を覆うカバー部81を備える。カバー部81は、第6複合歯車35の大径歯車部分35aと対向する位置に開口82が設けられており、開口82において大径歯車部分35aと小径歯車部分32bとが噛合する。従って、輪列機構13は、隔壁部55の第1方向X1の側から第2方向X2にモータ12の回転を伝達する。
【0051】
図2(b)、
図5、
図6に示すように、第3ケース63は、第2方向X2の端面を規定する第3板部86と、第3板部86の外周縁から第1方向X1に延びる筒状の第3周壁部87を備える。第3周壁部87は、第2ケース62の第2周壁部74に接続される。第3ケース63は、第3周壁部87のZ1方向の側面における第1方向X1の端部から第1方向X1に突出する1本のフック83を備える。フック83は第2ケース62をまたいで第1ケース61の外周側まで延びている。フック83の先端は、第1周壁部66のZ1方向の側面から突出する突起84に係止される。なお、フック83および突起84の配置を逆にすることもできる。
【0052】
ここで、第1ケース61、第2ケース62、および第3ケース63を結合する際、Z1方向の側面では第2ケース62をまたぐフック83および突起84により結合する一方、Z2方向の側面では、第1ケース61、第2ケース62、および第3ケース63を共通のねじ部材76により共締めして結合する。
図2(a)に示すように、第3ケース63は、第1ケース61の第1ねじ固定部72と第2ケース62の第2ねじ固定部73とが積層さ
れた箇所に第2方向X2から重なる第3ねじ固定部75を備えており、第1ねじ固定部72、第2ねじ固定部73、第3ねじ固定部75をねじ部材76により共締めして結合する。
【0053】
図5に示すように、第3ケース63において、第3板部86の開口部10aの開口縁には、出力軸11を回転可能に支持する筒状の支持部10cが設けられている。
図6に示すように、第3板部86は、第1方向X1を向く面に、第1シャフト28の第2方向X2の端部が圧入される第1軸圧入部88と、第2シャフト29の第2方向X2の端部が圧入される第2軸圧入部89と、を備える。
【0054】
(アシストばね)
図7に示すように、アシストばね16はコイルばねである。アシストばね16は、断面円形の線材を巻いたコイル部160と、コイル部160の一端から径方向に延びて先端が湾曲した第1ばね端部161と、コイル部160の他端から第1方向X1に延びる第2ばね端部162を備える。出力軸11は、周方向の一部に歯車部23が設けられた大径部110を備える。アシストばね16のコイル部160は、出力軸11の大径部110の第2方向X2に装着される。大径部110は、歯車部23が設けられていない角度範囲に、径方向内側に凹む2箇所の係止凹部111A、111Bが設けられている。本形態では、第2ばね端部162を係止凹部111Aに係合させる。係止凹部111Aの周方向の両端には、径方向に延びる平面である第1当接部112および第2当接部113が設けられている。
【0055】
なお、
図1に破線で示す位置に開閉部材駆動装置3を設置する場合、便蓋2が開くときの出力軸11の回転方向が逆方向になる。この場合は、コイル部160の巻き方向を逆方向としたアシストばね16を使用し、第2ばね端部162は係止凹部111Bに係合させる。
【0056】
図8は、第3ケース63のばね保持溝90およびアシストばね16の斜視図である。
図8に示すように、アシストばね16は、コイル部160が開口部10aと同軸に配置され、コイル部160から径方向に延ばした第1ばね端部161が第3ケース63のばね保持溝90に嵌め込まれている。ばね保持溝90は、第3ケース63の第1軸圧入部88と第2軸圧入部89の間を通り、第2軸圧入部89の外周に沿って延びている。ばね保持溝90は、第1軸圧入部88と第2軸圧入部89の間を略直線状に延びる第1直線溝91と、第1直線溝91の先端から円弧状に延びる円弧溝92と、第2軸圧入部89に対して第1直線溝91とは反対側を略直線状に延びる第2直線溝93と、を備える。本形態では、第1ばね端部161を保持させるための第3ケース63側の係合部として、ばね保持溝90の第1直線溝91と円弧溝92が使用される。
【0057】
アシストばね16は、出力軸11の回転角度が0°から70°までの範囲では、第1当接部112を第2ばね端部162が押圧して出力軸11を回転角度が増大する方向に付勢し、出力軸11の回転をアシストするアシスト力を付与する。出力軸11の回転角度が70°から85°までの範囲では、第2ばね端部162が第1当接部112と第2当接部113との間を移動するので、出力軸11を付勢しない。出力軸11の回転角度が85°から110°までの範囲では、第2当接部113を第2ばね端部162が押圧して出力軸11を回転角度が0°に向かう方向に付勢する。これにより、出力軸11が強制的にガタ詰めされ、バックラッシによる出力軸11のがたつきが解消される。
【0058】
(開閉ユニットの動作)
外部の機器からコネクタ45および基板14を介してモータ12に電力が供給されると、モータ出力軸18は、正方向、または、逆方向に回転する。モータ出力軸18の回転は
、輪列機構13を介して出力軸11に伝達される。出力軸11が回転すると、ポテンショメータ15からは、出力軸11の回転角度位置に対応する回転角度位置信号が出力される。回転角度位置信号は、コネクタ45を介して外部の機器に入力される。外部の機器は、回転角度位置信号に基づいて、モータ12を駆動制御して出力軸11を所定角度で回転させる。これにより、出力軸11の接続部22に接続された便蓋2は、出力軸11の軸線L1回りを全閉位置2Aから全開位置2B(最大回転位置)、または、全開位置2Bから全閉位置2Aに移動する。その際、便蓋2が略垂直に起立した起立位置(図示せず)を経由して移動する。便蓋2は、便器本体4に設けられた図示しないストッパに当接するので、最大回転位置(全開位置2B)以上には回転できない。
【0059】
(開閉部材駆動装置の組立方法)
図9、
図10は、組立途中の開閉部材駆動装置3の説明図である。
図9は、第3ケース63に出力軸11および輪列機構13の一部を組み込み、且つ、第2ケース62に基板14およびポテンショメータ15を組み付けた状態を示す分解斜視図である。
図10は、第1ケース61を輪列機構13およびモータ12に被せる直前の状態を示す分解斜視図である。
【0060】
本形態では、
図9、
図10に示すように、最初に第3ケース63に収容される部品を組み込み、次に基板14およびポテンショメータ15を組み込んだ第2ケース62を積層してポテンショメータ15を出力軸11に接続し、続いて輪列機構13およびモータ12を組み付けて、最後に第1ケース61を輪列機構13およびモータ12に被せて第2ケース62および第3ケース63と結合することにより開閉部材駆動装置3を完成させる。そこで、
図9、
図10においては、
図2~
図7とは上下を逆にして表示しており、第3ケース63が位置する方向(第2方向X2)を図面の下方とし、最後に被せられる第1ケース61が位置する方向(第1方向X1)を図面の上方としている。
【0061】
図9に示すように、第3ケース63に出力軸11を組み込む際、第3板部86に設けられた開口部10aに出力軸11を挿入して、筒状の支持部10cに回転可能に支持させる。また、第3板部86に設けられた第1軸圧入部88に第1シャフト28の端部を圧入し、第2軸圧入部89に第2シャフト29の端部を圧入する。しかる後に、第2シャフト29に第6複合歯車35を組み付けて、出力軸11の歯車部23と噛み合わせる。
図7に示すように、歯車部23は、出力軸11の周方向の一部に設けられているため、出力軸11の回転位置は、治具を用いて、歯車部23と第6複合歯車35の小径歯車部分35bとが噛み合う位置に合わせてから第6複合歯車35を組み込む。
【0062】
次に、出力軸11の回転角度位置検出用歯車部24とポテンショギア39とが正常に角度を検出可能な基準噛合状態(すなわち、歯がずれていない状態)で噛合するようにポテンショメータ15を組み込む。このとき、
図9に示すように、第2ケース62に基板14およびポテンショメータ15を組み付けてから、第2ケース62を第3ケース63に積層して、1本のねじ部材64により第2ケース62を第3ケース63に結合する。ねじ部材64による結合箇所は、第2周壁部74および第3周壁部87におけるY方向の一方側の側面の内側に設けられている。
【0063】
第2ケース62に第3ケース63を積層する際、第1シャフト28および第2シャフト29を隔壁部55と基板14に設けられた貫通部に通して基板14の第1方向X1に突出させる。第2ケース62を第3ケース63に結合した後に、
図10に示すように、基板14の第1方向X1において、モータ12に対して基板14から給電されるようにモータ12を組み付け、モータ12の回転が輪列機構13により出力軸11に伝達されるように輪列機構13、モータピニオン20、第1複合歯車用シャフト27、および支持部材71を組み立てる。
【0064】
図10に示す状態では、輪列機構13の歯車、モータピニオン20、第1複合歯車26が噛合する箇所が第1ケース61により覆われていない。従って、歯車が噛合する箇所へのアクセスが容易であり、グリスを塗布する作業が容易である。グリスの塗布後、第1ケース61を被せて第2ケース62に第1方向X1から積層し、第3ケース63のフック83を第1ケース61の突起84に係止するとともに、第1ねじ固定部72、第2ねじ固定部73、および第3ねじ固定部75が積層された箇所をねじ部材76により共締めして結合する。
【0065】
(第2ケースと第3ケースとの接続部)
ケース10は、第3ケース63の第3周壁部87の第1方向X1の端部と、第2ケース62の第2周壁部74の第2方向X2の端部とを接続した接続部50を備える。
図6の部分拡大図は、接続部50の部分拡大図である。接続部50は、第3周壁部87の第1方向X1の端部に設けられた第3ケース側嵌合部51(他方側嵌合部)と、第2周壁部74の第2方向X2の端部に設けられた第2ケース側嵌合部52(一方側嵌合部)とが嵌合した嵌合部である。
【0066】
図8に示すように、第3ケース側嵌合部51は、第3周壁部87の外周面を構成する外側リブ511と、外側リブ511の内周側で第2方向X2に凹む内側凹部512と、外側リブ511の先端面の内周部分から突出する封止用リブ513を備える。
図7に示すように、第2ケース側嵌合部52は、第2周壁部74の内周面を構成する内側リブ521と、内側リブ521の外周側で第1方向X1に凹む外側凹部522と、外側凹部522の底面の内周部分に設けられた封止溝523を備える。
【0067】
図6の部分拡大図に示すように、接続部50は、外側リブ511の内側に内側リブ521が嵌合したインロー構造となるように、第3ケース側嵌合部51と第2ケース側嵌合部52とが嵌合している。接続部50を形成する際、封止溝523の外周側において、外側リブ511の先端面が外側凹部522の底面に当たるまで第3ケース側嵌合部51を第1方向X1に押圧する。これにより、封止溝523に嵌合した封止用リブ513の先端には、封止溝523の底面により潰された潰し部514が形成される。潰し部514が形成されることにより、封止用リブ513の先端が封止溝523の底面に密着するため、接続部50は密閉構造になる。封止用リブ513は、先端に向かうにしたがって厚さが減少する断面形状をしているため、封止溝523に容易に嵌合させることができる。また、容易に先端が潰れる。
【0068】
図8に示すように、第3周壁部87は、ケース10のZ1方向の側面を構成する円弧部870と、ケース10のY1方向の側面を構成する第1直線部871と、ケース10のY2方向の側面を構成する第2直線部872と、ケース10のZ2方向の側面を構成する第3直線部873と、を備える。ここで、第3ケース側嵌合部51は、第3周壁部87の一部において、内側凹部512の第2方向X2の深さが他の部分よりも大きい形状をしている。
図8に示すように、内側凹部512は、円弧部870の内周面に形成された内側凹部拡大部515を備える。内側凹部拡大部515は、円弧部870の内周面から第2直線部872の一部まで拡がる。内側凹部拡大部515は、内側凹部512の他の部分よりも、第2方向X2の高さ(深さ)が大きい。
【0069】
図11は、開閉部材駆動装置3の断面図(
図2(a)のC-C線断面図)およびその部分拡大図である。
図11の部分拡大図は、内側凹部拡大部515が形成された位置における接続部50の部分拡大図である。
図11の部分拡大図に示すように、内側凹部拡大部515は、第3ケース63の内周面において、出力軸11の歯車部23に対して第2方向X2の位置まで拡がる。内側凹部拡大部515に嵌合した内側リブ521の先端面は、歯車
部23に対して第1方向X1に位置する。従って、接続部50の内側には、内側凹部拡大部515の内面と内側リブ521の先端面によって囲まれる凹部空間Sが形成される。凹部空間Sの内周側には、出力軸11の歯車部23が配置される。
【0070】
(第1ケースと第2ケースの組立方法)
図12は、第1方向X1から見たケース10の分解斜視図である。
図13は、第2方向X2から見たケース10の分解斜視図である。
図12、
図13では、第2ケース62に基板14およびコネクタ45を取り付けた状態を示す。
図12に示すように、第2ケース62は、第2周壁部74の第1方向X1の端部に、第1方向X1に延びる羽根部53が2箇所に設けられている。第2周壁部74は、ケース10のZ1方向の側面を構成する円弧部740と、ケース10のY1方向の側面を構成する第1直線部741と、ケース10のY2方向の側面を構成する第2直線部742とを備える。2箇所の羽根部53は、円弧部740の周方向の一端と第1直線部741とが繋がる箇所、および、円弧部740の周方向の他端と第2直線部742とが繋がる箇所に配置される。
【0071】
図13に示すように、第1ケース61は、第1周壁部66の第2方向X2の端部を第1方向X1に切り欠いた切欠き部54を2箇所に備える。
図2(a)、
図2(b)に示すように、第1ケース61と第2ケース62とを組み立てた状態では、2箇所の切欠き部54のそれぞれに羽根部53が嵌合する。
図13に示すように、第1周壁部66の内周面には、各切欠き部54の縁に沿って外周側に凹むガイド溝540が形成されている。羽根部53は、切欠き部54の内側に嵌まる羽根部本体530と、羽根部本体530の縁から突出する薄肉部531を備える。
【0072】
切欠き部54に羽根部53を嵌合させる際、羽根部本体530が切欠き部54の内側に嵌まるよりも先に、切欠き部54の幅方向の両側の縁に沿って軸線方向Xに延びるガイド溝540に薄肉部531の先端が挿入される。薄肉部531の先端には、幅方向の両端の角部を面取りした面取り部532が設けられている。従って、薄肉部531の第1方向X1の先端が先細り形状になっているので、ガイド溝540への挿入が容易である。
【0073】
図12、
図13に示すように、第1ケース61は、第1周壁部66のZ2方向の端部に設けられた2箇所の第1ねじ固定部72のうちの1箇所から第2方向X2に突出する筒状の嵌合凸部56を備える。嵌合凸部56は、第1ねじ固定部72を貫通する第1固定孔720の外周を囲む。第2ケース62では、第1ねじ固定部72の第1固定孔720と軸線方向Xに重なる第2固定孔730が設けられた2箇所の第2ねじ固定部73のうちの1箇所に、第2方向X2に凹む嵌合凹部57が設けられている。第1ケース61と第2ケース62とを組み立てた状態では、嵌合凹部57の内側に嵌合凸部56が嵌まる。
【0074】
図12に示すように、第2ケース62は、ケース10のY2方向の側面を構成する第2直線部742の内側で、隔壁部55から第1方向X1に突出する位置決めピン58を備える。
図13に示すように、第1ケース61には、第1周壁部66の内側に、位置決めピン58が嵌まる位置決め穴59が形成されている
【0075】
このように、第1ケース61と第2ケース62は、羽根部53と切欠き部54、嵌合凸部56と嵌合凹部57、および、位置決めピン58と位置決め穴59の3箇所が嵌合する。
図14は、これら3箇所の嵌合部が嵌合する順序の説明図である。
図14は、第1ケース61、第2ケース62、および第3ケース63の3部材のみを図示し、ケース10の内側に収容される部品は図示を省略している。
【0076】
上記のように、開閉部材駆動装置を組み立てる際には、第2ケース62の第1方向X1に輪列機構13およびモータ12を組み立ててから、第2ケース62に対して第1方向X
1から第1ケース61を被せる(
図10参照)。このとき、
図14(a)に示すように、第1ケース61と第2ケース62が最初に嵌合する箇所は、羽根部53の薄肉部531の先端と、切欠き部54のガイド溝540である。
【0077】
薄肉部531をガイド溝540によって案内することで、羽根部本体530が切欠き部54にスムーズに挿入される。
図14(b)に示すように、切欠き部54の途中まで羽根部本体530を挿入したとき、第1ケース61の第1ねじ固定部72から突出する嵌合凸部56の先端が、第2ケース62の第2ねじ固定部73に形成された嵌合凹部57の内側に嵌合し始める。2箇所の羽根部53と切欠き部54がすでに嵌合しているので、第1ケース61と第2ケース62は位置決めされており、嵌合凸部56と嵌合凹部57はスムーズに嵌合する。
【0078】
図14(b)に示すように、嵌合凸部56と嵌合凹部57が嵌合し始めたタイミングでは、位置決めピン58と位置決め穴59は、まだ軸線方向Xに離れている。嵌合凹部57に嵌合凸部56が途中まで嵌合したとき、
図14(c)に示すように、位置決めピン58の先端が位置決め穴59に嵌合し始める。
【0079】
(本発明の主な作用効果)
以上のように、本形態の開閉ユニット1は、被駆動部材として便蓋2を備え、便蓋2を開閉する開閉部材駆動装置3を有する。開閉部材駆動装置3は、便蓋2が接続される接続部22および歯車部23を備える出力軸11と、モータ12と、歯車部23を介してモータ12の回転を歯車部23に伝達する輪列機構13と、モータ12、輪列機構13、および歯車部23を収容するとともに、出力軸11を貫通させて接続部22を外部に露出させる開口部10aを有するケース10と、を有する。出力軸11の軸線方向Xの一方側を第1方向X1、他方側を第2方向X2とした場合に、ケース10は、モータ12および輪列機構13の一部を収容する第1ケース61と、第1ケース61の第2方向X2に位置する第2ケース62を備える。第1ケース61は、軸線方向Xに交差する第1板部65および第1板部65の外縁から第2方向X2に延びる第1周壁部66を備え、第1周壁部66は、第2方向X2の端部を第1方向X1に切り欠いた切欠き部54を複数位置に備える。第2ケース62は、第1周壁部66に接続される第2周壁部74を備え、第2周壁部74の第1方向X1の端部は、第1方向X1に延びる羽根部53を複数位置に備え、羽根部53のそれぞれが切欠き部54に嵌合する。第1ケース61を第2ケース62に第1方向X1から被せる際、第1ケース61と第2ケース62が最初に嵌合する箇所は、羽根部53の先端と切欠き部54である。
【0080】
本形態によれば、モータ12、輪列機構13、および歯車部23を収容するケース10を組み立てる際、最初に嵌合する箇所は、ケース10の外周面に配置される大型の羽根部53が切欠き部54に嵌合する箇所である。このように、外側から見やすい位置に軸線方向Xに長い嵌合部を設けることにより、第1ケース61と第2ケース62との位置決めを容易に行うことができる。従って、見えにくい箇所に設けられている他の嵌合部や、位置決めピンなどのサイズが小さい嵌合部を、第1ケース61と第2ケース62とが位置決めされた状態で嵌合させることができる。よって、ケース10の組立容易性を高めることができる。
【0081】
本形態では、羽根部53は、切欠き部に嵌まる羽根部本体530と、羽根部本体530の幅方向の両端から突出する薄肉部531と、を備え、薄肉部531は、切欠き部54の幅方向の縁に沿って軸線方向Xに延びるガイド溝540に嵌まる。これにより、切欠き部54に羽根部53を嵌合させる際、薄肉部531とガイド溝540によって羽根部本体530を切欠き部54に案内できる。また、本形態では、薄肉部531の先端が羽根部本体530の先端よりも突出している。従って、羽根部本体530が第1周壁部66に接触す
るよりも先に、薄肉部531の先端をガイド溝540に挿入することができる。従って、切欠き部54に羽根部53を簡単に嵌合させることができる。また、薄肉部531とガイド溝540とが嵌合した個所はラビリンス構造になるので、第1ケース61に収容される輪列機構13の歯車に塗布されたグリスが外部に漏れることを抑制できる。
【0082】
本形態では、ケース10は、第2ケース62の第2方向X2に位置するとともに出力軸11を貫通させて接続部22を外部に露出させる開口部10aが設けられた第3ケース63を備える。輪列機構13は、ケース10内を出力軸11の軸線方向Xに平行に延びる第1シャフト28および第2シャフト29と、モータ12の回転が伝達される順で、第1シャフト28および第2シャフト29に交互に回転可能に支持される複数の歯車を備える。第1シャフト28および第2シャフト29は、第2ケース62に設けられた隔壁部55を貫通して第1ケース61内および第3ケース63内に延びている。第3ケース63は、第1シャフト28の端部が圧入される第1軸圧入部88と、第2シャフト29の端部が圧入される第2軸圧入部89を備える。第1ケース61を第2ケース62に第1方向X1から被せる際、第1シャフト28の先端と第2シャフト29の先端が第1板部65に設けられた第1軸保持部67および第2軸保持部68に嵌まるよりも先に、羽根部53の先端が切欠き部54に嵌まる。これにより、第1シャフト28および第2シャフト29の先端が第1軸保持部67および第2軸保持部68に嵌合する箇所が第1ケース61の内側にあって見えない状態でも、各シャフトの先端を各軸保持部に容易に挿入することができる。従って、ケース10の組立容易性を高めることができる。
【0083】
本形態では、第1ケース61は、第1周壁部66の第2方向X2の端部から外周側へ突出する第1ねじ固定部72を備える。第2ケース62は、第1ねじ固定部72を貫通する第1固定孔720と重なる第2固定孔730が設けられた第2ねじ固定部73を備える。第1固定孔720と第2固定孔730の一方の縁に嵌合凸部56が設けられ、第1固定孔720と第2固定孔730の他方の縁に嵌合凸部56が嵌まる嵌合凹部57が設けられている。第1ケース61を第2ケース62に第1方向X1から被せる際、羽根部53の先端が切欠き部54に嵌まった後に、嵌合凹部57に嵌合凸部56の先端が嵌まり、その後に第1シャフト28の先端と第2シャフト29の先端が第1軸圧入部88と第2軸圧入部89に嵌まる。このように、このようにすると、ねじ部材76により固定する箇所を精度良く位置決めできるので、ねじ部材76を孔に挿入しやすい。また、ねじ固定箇所の凹凸を嵌合させる前に、大型の羽根部53と切欠き部54によって第1ケース61と第2ケース62とを位置決めできるので、ねじ固定箇所の凹凸を容易に嵌合させることができる。従って、ケース10の組立容易性を高めることができる。
【0084】
本形態では、第2ケース62は、隔壁部55から第1方向X1に突出する位置決めピン58を備え、第1ケース61は、位置決めピン58が嵌まる位置決め穴59を備え、第1ケース61を第2ケース62に第1方向X1から被せる際、羽根部53の先端が切欠き部54に嵌まった後に、嵌合凹部57に嵌合凸部56の先端が嵌まり、その後に位置決め穴59に位置決めピン58の先端が嵌まり、最後に第1シャフト28の先端と第2シャフト29の先端が第1軸圧入部88と第2軸圧入部89に嵌まる。このようにすると、大型の羽根部53と切欠き部54とを最初に嵌合させ、次にねじ固定箇所の嵌合部を嵌合させ、最後にケース10の内側にある最も細い位置決めピン58を嵌合させるので、全ての嵌合箇所をスムーズに嵌合させることができる。
【0085】
本形態では、第3ケース63は、第1ねじ固定部72および第2ねじ固定部73と重なる第3ねじ固定部75を備え、第1ケース61、第2ケース62、および第3ケース63は、第1ねじ固定部72、第2ねじ固定部73、および第3ねじ固定部75を共通のねじ部材76により共締めして結合される。このように。3つのケースを共締めして固定することにより、少ない工数でケース10を組み立てることができる。また、ねじ固定箇所を
共通化でき、共通のねじ部材76で固定できるので、部品点数の削減、およびケース10の小型化を図ることができる。
【0086】
(変形例)
(1)羽根部53において、薄肉部531およびガイド溝540は、羽根部53およびの幅方向の両端でなく幅方向の一端のみに設けられていてもよい。また、薄肉部531およびガイド溝540を省略してもよい。
【0087】
(2)嵌合凸部56と嵌合凹部57、および、位置決めピン58と位置決め穴59の2箇所の嵌合部のうち、いずれか一方、もしくは、両方を省略してもよい。
【0088】
(3)羽根部53と切欠き部54の位置および数は、上記形態と異なっていてもよい。
【0089】
(4)封止用リブ513と封止溝523の配置は、逆にすることができる。すなわち、外側凹部522の底面に封止用リブが形成され、外側リブ511の先端面に封止溝を形成した構造であってもよい。
【0090】
(5)上記形態は、第3周壁部87と第2周壁部74との接続部50を密閉性が高い嵌合構造にしたものであるが、接続部50と同じ構造を他の部位に設けてもよい。例えば、第1周壁部66に第2ケース側嵌合部52と同じ構造を設け、第2周壁部74に第3ケース側嵌合部51と同じ構造設けて、第1周壁部66と第2周壁部74とを接続する接続部を、接続部50と同様の嵌合構造にしてもよい。この場合、他方側ケースは第2ケース62であり、一方側ケースは第1ケース61である。
【0091】
(他の実施形態)
(1)開閉部材駆動装置3により駆動される開閉部材を、便蓋2でなく便座5としてもよい。あるいは、トイレユニット6とは異なる機器において各種の開閉部材を駆動するために開閉部材駆動装置3を用いることができる。
【0092】
(2)開閉部材以外の被駆動部材を駆動する駆動装置に、本発明を適用することができる。すなわち、本発明の駆動装置は、出力軸に被駆動部材を接続して、被駆動部材を回転させる駆動装置に適用できる。
【符号の説明】
【0093】
1…開閉ユニット、2…便蓋、2A…全閉位置、2B…全開位置、3…開閉部材駆動装置、4…便器本体、5…便座、6…トイレユニット、10…ケース、10a…開口部、10b…コネクタ用開口部、10c…支持部、11…出力軸、12…モータ、13…輪列機構、14…基板、14a…基板表面、14b…基板裏面、15…ポテンショメータ、16…アシストばね、17…モータ本体、18…モータ出力軸、19…モータ端子、20…モータピニオン、22…接続部、23…歯車部、24…回転角度位置検出用歯車部、26…第1複合歯車、26a…大径歯車部分、26b…小径歯車部分、27…第1複合歯車用シャフト、28…第1シャフト、29…第2シャフト、31b…小径歯車部分、31a…大径歯車部分、31…第2複合歯車、32c…円柱部、32b…小径歯車部分、32a…大径歯車部分、32…第3複合歯車、33b…小径歯車部分、33a…大径歯車部分、33…第4複合歯車、34b…小径歯車部分、34a…大径歯車部分、34…第5複合歯車、35b…小径歯車部分、35a…大径歯車部分、35…第6複合歯車、37…トルクリミッタ、38…検出部、39…ポテンショギア、41…モータ端子用貫通孔、42…第1配線パターン、43…第2配線パターン、45…第1コネクタ、47…基板側第1貫通部、48…基板側第2貫通部、50…接続部、51…第3ケース側嵌合部、52…第2ケース側嵌合部、53…羽根部、54…切欠き部、55…隔壁部、56…嵌合凸部、57…嵌合凹
部、58…位置決めピン、59…位置決め穴、61…第1ケース、62…第2ケース、63…第3ケース、65…第1板部、66…第1周壁部、67…第1軸保持部、68…第2軸保持部、69…第3軸保持部、70…凹部、71…支持部材、72…第1ねじ固定部、73…第2ねじ固定部、74…第2周壁部、75…第3ねじ固定部、76…ねじ部材、77…出力軸支持部、78…隔壁部側第1貫通孔、79…隔壁部側第1貫通孔、81…カバー部、82…開口、83…フック、84…突起、86…第3板部、87…第3周壁部、88…第1軸圧入部、89…第2軸圧入部、90…ばね保持溝、91…第1直線溝、92…円弧溝、93…第2直線溝、110…大径部、111A、111B…係止凹部、112…第1当接部、113…第2当接部、160…コイル部、161…第1ばね端部、162…第2ばね端部、511…外側リブ、512…内側凹部、513…封止用リブ、514…潰し部、515…内側凹部拡大部、521…内側リブ、522…外側凹部、523…封止溝、530…羽根部本体、531…薄肉部、532…面取り部、540…ガイド溝、720…第1固定孔、730…第2固定孔、740…円弧部、741…第1直線部、742…第2直線部、870…円弧部、871…第1直線部、872…第2直線部、873…第3直線部、H…回転軸、L1…出力軸の軸線、L2…モータ出力軸の軸線、S…凹部空間、X…軸線方向、X1…第1方向、X2…第2方向