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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147072
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/18 20060101AFI20241008BHJP
   B65D 6/24 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B65D19/18
B65D6/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059846
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】591082410
【氏名又は名称】株式会社新弘
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】武藤 功
【テーマコード(参考)】
3E061
3E063
【Fターム(参考)】
3E061AA05
3E061AB12
3E061CA17
3E061CA25
3E061DA03
3E061DB11
3E063AA06
3E063BA05
3E063BB04
3E063CA04
3E063CA05
3E063CA06
3E063CB01
3E063CC01
3E063CD08
3E063EE03
3E063GG10
(57)【要約】
【課題】組立状態において側壁構成部の変形を防止することのできる容器を提供する。
【解決手段】容器1は、パレット2と、パレット2に載置される四角筒状の側壁構成部3と、側壁構成部3に被せられる蓋体4とを備える。側壁構成部3は、パレット2の上面の外周縁に沿って屈曲可能な側壁体21と、側壁体21の端部間を連結する連結部材22とを備える。側壁体21の上辺部には、一般部25と、一般部25よりも上方に突出する突部26とが設けられ、連結部材22の上端部は、一般部25よりも上方に突出する。側壁体21には、側壁体21の下辺部よりも下方に突出するようにして係合部材30が取付けられる。蓋体4には、側壁構成部3に被せられた場合に連結部材22の上端部及び突部26がそれぞれ挿入される蓋側被係合部43が設けられ、パレット2には、側壁構成部3が載置された場合に係合部材30の下端部が挿入されるパレット側被係合部17が設けられる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状のパレットと、前記パレットの上面の外周縁に沿って上方に延びる四角筒状の側壁構成部と、前記側壁構成部の上部の開口部を閉鎖可能な蓋体とを備え、前記側壁構成部に対して前記蓋体が着脱自在に構成され、前記パレットに対して前記側壁構成部が着脱自在に構成され、前記側壁構成部を前記パレットに載置し、前記蓋体を前記側壁構成部に被せることで組立状態とされる容器において、
前記側壁構成部は、前記パレットの上面の外周縁に沿って屈曲可能に構成される側壁体と、前記側壁体の端部間を連結する連結部材とを備え、
前記側壁体の上辺部には、一般部と、前記一般部よりも上方に突出する突部とが設けられ、
前記連結部材の上端部は、前記側壁体の前記一般部よりも上方に突出し、
前記側壁体には、少なくとも下端部が前記側壁体の下辺部よりも下方に突出するようにして係合部材が取付けられ、
前記蓋体には、前記蓋体が前記側壁構成部に被せられた場合に、前記連結部材の上端部、及び、前記突部がそれぞれ挿入されて係合状態とされる蓋側被係合部が設けられ、
前記パレットには、前記側壁構成部が前記パレットに載置された場合に、前記係合部材の下端部が挿入されて係合状態とされるパレット側被係合部が設けられていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記係合部材は、前記側壁体に対して着脱可能に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記側壁構成部は、前記容器から取外され、前記連結部材による前記側壁体の連結を解消することにより、前記側壁体同士を重ねるようにして折畳可能に構成され、
前記蓋体は、前記蓋体を前記パレットに載置した場合に前記パレット側被係合部に挿入されて係合状態とされる蓋側係合部を備えるとともに、前記蓋体を前記パレットに載置した場合に、前記パレットの上面との間に、前記容器から取外され、折畳まれた状態の前記側壁構成部を収容可能な収容空間が形成されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記パレットは、複数の柱部と、前記複数の柱部の上端部間を連結する上デッキ部とを備えるとともに、前記複数の柱部の間にフォークを備える運搬手段のフォークを挿入可能とするフォーク挿入部が形成され、
前記パレット側被係合部は、前記柱部の上面において設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用される容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、平面視矩形状のパレットと、パレットの上面の外周縁に沿って上方に延びる四角筒状の側壁構成部と、側壁構成部の上部の開口部を閉鎖可能な蓋体とを備え、側壁構成部に対して蓋体が着脱自在に構成され、パレットに対して側壁構成部が着脱自在に構成される容器が知られている。また、側壁構成部に関し、パレットの上面の外周縁に沿って屈曲可能に構成される側壁体と、側壁体の端部間を連結する連結部材とにより構成するといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-58680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、上記特許文献1に記載の容器は、パレットの上面の外周縁から上方に突出する略四角枠状の底側板と、蓋体の下面の外周縁から下方に突出する略四角枠状の天側板とを備え、側壁構成部の外面の下部を底側板の内面に当接させるようにして、側壁構成部をパレットに載置するとともに、天側板の内面を側壁構成部の外面の上部に当接させるようにして、蓋体を側壁構成部に被せることで組立状態とされる。ところで、側壁構成部の外面や内面が押圧されたり、物品を収容した容器同士が積重ねられる等して側壁構成部に対して比較的大きな荷重が付加されたりした場合に、側壁構成部が変形等してしまうことが懸念される。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、組立状態において側壁構成部の変形を防止することのできる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.平面視矩形状のパレットと、前記パレットの上面の外周縁に沿って上方に延びる四角筒状の側壁構成部と、前記側壁構成部の上部の開口部を閉鎖可能な蓋体とを備え、前記側壁構成部に対して前記蓋体が着脱自在に構成され、前記パレットに対して前記側壁構成部が着脱自在に構成され、前記側壁構成部を前記パレットに載置し、前記蓋体を前記側壁構成部に被せることで組立状態とされる容器において、
前記側壁構成部は、前記パレットの上面の外周縁に沿って屈曲可能に構成される側壁体と、前記側壁体の端部間を連結する連結部材とを備え、
前記側壁体の上辺部には、一般部と、前記一般部よりも上方に突出する突部とが設けられ、
前記連結部材の上端部は、前記側壁体の前記一般部よりも上方に突出し、
前記側壁体には、少なくとも下端部が前記側壁体の下辺部よりも下方に突出するようにして係合部材が取付けられ、
前記蓋体には、前記蓋体が前記側壁構成部に被せられた場合に、前記連結部材の上端部、及び、前記突部がそれぞれ挿入されて係合状態とされる蓋側被係合部が設けられ、
前記パレットには、前記側壁構成部が前記パレットに載置された場合に、前記係合部材の下端部が挿入されて係合状態とされるパレット側被係合部が設けられていることを特徴とする容器。
【0008】
手段1によれば、容器の組立状態において、側壁構成部の連結部材の上端部、及び、突部と、蓋体の蓋側被係合部とが係合状態とされるとともに、側壁構成部に取付けられた係合部材の下端部と、パレットのパレット側被係合部とが係合状態とされる。このため、蓋体及びパレットと、側壁構成部との間の水平方向における相対変位がより確実に規制されることとなり、容器全体の剛性、特に、側壁構成部の剛性を飛躍的に高めることができる。従って、側壁構成部の外面が容器の内方側に押圧されたり、側壁構成部の内面が容器の外方側に押圧されたり、物品を収容した容器同士が積重ねられる(段積される)等して側壁構成部に対して比較的大きな荷重が付加されたりした場合においても、側壁構成部の変形・変位等を防止することができる。これにより、例えば、側壁構成部が容器の内側に凹むようにして変形することに起因して、容器に収容された物品に悪影響を及ぼしてしまうといった事態を回避することができる。さらに、例えば、物品を段積する場合に、上下方向に圧縮された側壁構成部の上辺部及び下辺部が容器の内側に変位し、側壁構成部の中間部位がパレットや蓋体よりも容器の外方側に膨出してしまうといった事態を防止することができる。結果として、容器に収容された物品をより安全に運搬等することができる上、容器を段積してより効率的に運搬・保管を行うことができる。
【0009】
また、既製品のパレットには、寸法が同じであっても、パレットの上面(載置面)に形成される孔部(パレット側被係合部)の形状や形成位置が異なる種類が存在する。この点、本手段1に記載の係合部材は側壁体とは別体であり、容器のパレットとして既製品を使用する場合に、係合部材をパレット側被係合部の形状や形成位置に合わせて形成したり(組合わせを変える、付替える)、或いは、係合部材の取付位置を変えたりするだけで、側壁構成部の本体(側壁体及び連結部材)、及び、蓋体は、共通のものを利用することが可能となる。従って、利便性の向上等を図ることができる。
【0010】
手段2.前記係合部材は、前記側壁体に対して着脱可能に取付けられていることを特徴とする手段1に記載の容器。
【0011】
側壁体の下辺部よりも下方に突出してパレット側被係合部と係合される係合部材は、例えば、容器に収容された物品により側壁構成部が容器の外方側に押圧されたり、容器が段積されたりする場合に、比較的大きな応力が作用し易い部位であり、また、容器の組立作業等に際してもその他の部材と接触する等して外力(衝突による大きな力、摩耗等)を受け易い部位である。この点、手段2によれば、係合部材は、側壁体に対して着脱可能に取付けられていることから、係合部材が損傷等した場合には、比較的容易に係合部材を交換することができる。また、側壁構成部の本体(側壁体及び連結部材)は、そのまま利用することができ、利便性の向上、省資源化、及び、低コスト化等を図ることができる。
【0012】
手段3.前記側壁構成部は、前記容器から取外され、前記連結部材による前記側壁体の連結を解消することにより、前記側壁体同士を重ねるようにして折畳可能に構成され、
前記蓋体は、前記蓋体を前記パレットに載置した場合に前記パレット側被係合部に挿入されて係合状態とされる蓋側係合部を備えるとともに、前記蓋体を前記パレットに載置した場合に、前記パレットの上面との間に、前記容器から取外され、折畳まれた状態の前記側壁構成部を収容可能な収容空間が形成されるように構成されていることを特徴とする手段1に記載の容器。
【0013】
手段3によれば、容器は、物品を収容しない状態において、パレットに載置された蓋体と、パレットとの間に形成される収容空間に対し、折畳まれた状態の側壁構成部を収容した折畳状態とすることが可能となっている。このため、容器を構成する部材一式をコンパクトに収めることができ、運搬・保管効率の向上等を図ることができる。その上、例えば、容器を構成する部材が別々に保管等される場合に比べ、容器を組立状態とする際の利便性を向上させることができる。また、蓋体をパレットに直接載置する場合において、蓋側係合部と、パレット側被係合部とが係合状態とされることから、折畳状態にある容器の形状の安定化を図ることができ、例えば、蓋体や側壁構成部がパレットから脱落し、損傷するといった事態を防止することができる。さらに、容器の折畳状態(側壁構成部の収容状態)において、側壁構成部は、パレット及び蓋体によって保護された状態となる上、水平に設置された状態とすることができる。このため、容器に物品を収容しない状態で容器を運搬・保管する際に、側壁構成部が変形、損傷等することを防止することができる。
【0014】
尚、「前記蓋側係合部は、前記蓋体の上面の外周縁のうち所定部位の直下方に位置する部位に設けられ、前記パレット側被係合部は前記パレットの上面の外周縁よりも内周側の位置に設けられていること」としてもよい。この場合、蓋体がパレットの上面の外周縁よりもパレットの内周側に配置されることとなり、容器同士を横並びで設置する場合において、(蓋体同士が接触する前に、蓋体よりも高強度のパレット同士を接触させる構成とし、)蓋体同士が接触して蓋体が損傷するといった事態を回避することができる。
【0015】
手段4.前記パレットは、複数の柱部と、前記複数の柱部の上端部間を連結する上デッキ部とを備えるとともに、前記複数の柱部の間にフォークを備える運搬手段のフォークを挿入可能とするフォーク挿入部が形成され、
前記パレット側被係合部は、前記柱部の上面において設けられていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の容器。
【0016】
手段4によれば、パレット側被係合部に挿入されて係合状態とされる係合部材のパレット側被係合部への挿入長を上デッキ部の厚みよりも長くしても、当該係合部材がフォーク挿入部に突出することが回避される。このため、係合部材がフォーク挿入部に挿入されたフォークと接触して損傷するといった事態を回避しつつ、係合部材とパレット側被係合部との係合状態をより強固なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】組立状態にある容器の斜視図である。
図2】組立状態にある容器の部分拡大斜視図である。
図3】容器の分解斜視図である。
図4】容器を組立状態とする過程を示す部分拡大斜視図である。
図5】折畳状態にある容器の斜視図である。
図6】容器を折畳状態として段積した状態を示す一部断面を含む斜視図である。
図7】容器を折畳状態とする過程を示す斜視図である。
図8】別の実施形態における側壁構成部及びパレットを示す斜視図である。
図9】別の実施形態における側壁構成部及びパレットを示す一部断面を含む部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1図3等に示すように、容器1(ボックスパレット)は、平面視正方形状のパレット2と、パレット2の上面の外周縁に沿って上方に延びる四角筒状の側壁構成部3と、側壁構成部3の上部の開口部を閉鎖可能な蓋体4とを備え、側壁構成部3に対して蓋体4が着脱自在に構成され、パレット2に対して側壁構成部3が着脱自在に構成されている。また、側壁構成部3をパレット2に載置し、蓋体4を側壁構成部3に被せることで、容器1が組立状態とされる。
【0019】
パレット2は、複数の柱部11と、複数の柱部11の上端部間を連結する上デッキ部12と、柱部11の下端部間を連結する下デッキ部13とを備えている。また、複数の柱部11の間には、運搬手段としてのフォークリフトやハンドリフト等のフォークを挿入可能とするフォーク挿入部14が形成されている。本実施形態では、パレット2の外周面を構成する4つの側面からそれぞれフォークを挿入可能な4方差しタイプのパレット形状となっている。加えて、図6に示すように、下デッキ部13には、フォーク挿入部14が交差する位置に対応して、ハンドリフトのキャスターを接地可能とするための下開口部15が設けられている。尚、パレット2は、ポリプロピレンにより構成されている。
【0020】
図1図3等に示すように、側壁構成部3は、パレット2の上面の外周縁に沿って屈曲可能に構成される側壁体21と、側壁体21の端部(側端部)間を連結する連結部材22とを備えている。本実施形態では、それぞれ平面視コ字状となるように屈曲可能な一対の側壁体21と、端部同士が突合わされるように配置される一対の側壁体21の端部間を連結する一対の連結部材22とによって、側壁構成部3が四角筒状に構成されている。側壁体21は、パレット2の上面の一側辺部の長さよりも若干短い横幅を有する第1壁部23と、第1壁部23の両端部に対してそれぞれ屈曲可能に連結され、パレット2の上面の一側辺部の半分の長さよりも若干短い横幅を有する第2壁部24とを備えている。また、各側壁体21の上辺部には、一般部25と、一般部25よりも上方に突出する突部26とが設けられている。本実施形態の突部26は、第1壁部23の上辺部において互いに所定距離を隔てて3つ設けられるとともに、各第2壁部24の上辺部において中間位置に1つずつ設けられている。また、本実施形態の前記一対の側壁体21は、互いに同じ形状かつ同じ大きさとなっている。さらに、各側壁体21は、1枚の中空ボード(例えば、互いに所定距離を隔てて平行して延在する2層のシートと、当該2層のシート間を縞状(本例では、容器1の組立状態において横縞状)に連結する連結部とを備えるポリプロピレン成形品)を側壁体21が展開した形状に裁断し、第1壁部23と第2壁部24との連結部分において、第1壁部23に対して第2壁部24を180度程度屈曲させて、第1壁部23と第2壁部24とを重ねる(当接させる)ようにして折畳可能とする加工を施すことにより構成されている。また、側壁体21のうち連結部材22により連結される端部(側端部)にはR加工が施されており、これにより、中空ボードの中空部が閉塞され、側壁体21の端部が断面略円弧状とされる。
【0021】
図4等に示すように、連結部材22は、互いに側壁体21の厚みとほぼ同じ距離を隔てて対向する一対の板状部27と、一対の板状部27の横幅方向中央部間を連結する連結部28とを備え、水平断面H字状に構成されている。また、連結部材22は、一方の側壁体21に対し、一対の板状部27の間の隙間に側壁体21の端部を挿入し、リベット29を貫通させて固定(接合)することにより、相対変位不可能に取付けられている。その一方で、連結部材22は、他方の側壁体21に対しては、側壁構成部3をパレット2に載置する際に、空いている一対の板状部27の間の隙間に側壁体21の端部を挿入するだけの連結となっており、後述するその他の構成(パレット2及び蓋体4との係合)と組合わせることで、連結部材22から離脱する方向を含む側壁体21の水平方向における相対変位が規制されるようになっている。
【0022】
また、図3図4に示すように、側壁体21に取付けられた連結部材22の上端部は、側壁体21の一般部25よりも上方に突出しており、本実施形態では、連結部材22の上端部と、側壁体21の突部26の上端部とが同じ高さとなっている。さらに、上記のように、側壁体21の各第2壁部24は、パレット2の一側辺部のほぼ半分の長さとなっており、連結部材22は、一対の側壁体21の第2壁部24同士を連結部材22によって連結することで構成される壁部(合成壁部)の横幅方向中央部に設けられている。
【0023】
加えて、図3図4に示すように、側壁体21には、少なくとも下端部が側壁体21の下辺部よりも下方に突出するようにして係合部材30が取付けられている。係合部材30は、側壁体21の外面に当接状態で取付けられる四角板状の取付部31と、取付部31の下辺部から下方に突出する側壁側係合部32とを備えている。本実施形態の係合部材30は、第1壁部23の下辺部の中央部と、第2壁部24の下辺部のうち側壁体21の端部に隣接する部位とに設けられており、第1壁部23に取付けられる係合部材30は、側壁側係合部32が、取付部31の下辺部の両端部から離間する位置において取付部31の下辺部の中央部を挟んで対称位置に一対で設けられる形状をなしており、かかる形状の係合部材30を左右に半分にした形状の係合部材30が第2壁部24に取付けられている。取付部31の下辺部は、側壁体21の下辺部と同じ高さで延在している。また、本実施形態では、樹脂製の結束バンド(図示略)を使用して、係合部材30の取付部31を側壁体21に取付けており、結束バンドは、ニッパー等を使用して簡単に除去可能である。これにより、係合部材30は、側壁体21に対して着脱可能に取付けられていることとなる。さらに、連結部材22の下端部は、係合部材30(取付部31)の上辺部に当接している(少なくとも蓋体4を介して側壁構成部3に対し荷重が付加される場合に当接するようになっていればよい)。加えて、連結部材22、及び、係合部材30は、側壁体21よりも高強度、及び、高剛性となるようにそれぞれポリプロピレンにより一体的に形成されている。
【0024】
図1図3等に示すように、蓋体4は、四角板状の天壁部41と、天壁部41の各側辺部から下方に突出する天側壁部42とを備えている。本実施形態では、1枚の中空ボードを蓋体4が展開した形状に裁断し、天壁部41に対して天側壁部42を下方に90度屈曲させて天側壁部42同士を所定の連結手段によって連結することにより構成されている。
【0025】
また、図2図4等に示すように、蓋体4には、蓋体4が側壁構成部3に被せられた場合に、連結部材22の上端部、及び、突部26がそれぞれ挿入されて係合状態とされる蓋側被係合部43が設けられている。すなわち、連結部材22、及び、突部26が蓋側被係合部43に係合状態とされ、天壁部41の下面が側壁体21の上辺部の一般部25に当接して支持されることで、蓋体4が側壁構成部3に被せられた状態とされる。本実施形態では、天壁部41に孔部が形成されることによって蓋側被係合部43が設けられている。さらに、連結部材22、及び、突部26の側壁体21の一般部25からの突出長は、天壁部41の厚みと比べて、同じ、又は、若干短く構成され、蓋体4が側壁構成部3に被せられた状態では、連結部材22、及び、突部26は、天壁部41の上面よりも上方には突出しないように構成されている。加えて、図3等に示すように、蓋体4には、蓋体4の上面から上方に突出するようにして蓋体4に取付けられる平面視L字状の蓋上突部44が設けられている。蓋上突部44は、フォーク挿入部14同士が交差する部位の上方位置に対応して4箇所に設けられており、容器1同士を上下に積重ねる(段積する)場合に、下側の容器1の蓋体4の各蓋上突部44が、上側の容器1のパレット2の各下開口部15に挿入される。これにより、上下の容器1の水平方向における相対変位が防止されるようになっている。
【0026】
図3図4に示すように、パレット2には、側壁構成部3がパレット2に載置された場合に、各係合部材30の各側壁側係合部32がそれぞれ挿入されて係合状態とされるパレット側被係合部17が設けられている。すなわち、各側壁側係合部32がパレット側被係合部17に挿入され、側壁体21の下辺部、及び、係合部材30の取付部31の下辺部(係合部材30の下面側)が、パレット2の上面に当接して支持されることで、側壁構成部3がパレット2に起立状態で載置される。本実施形態のパレット側被係合部17は、柱部11の上面において孔部が形成されることによって設けられており、特に、柱部11の外周面を構成する壁部よりも柱部11の内方側の位置に設けられている。さらに、係合部材30の側壁側係合部32の取付部31からの突出長(パレット側被係合部17に挿入される部位の上下幅)は、パレット2の上デッキ部12のうちフォーク挿入部14の入口付近の厚み(上下幅)よりも長くなっている。
【0027】
また、図5等に示すように、本実施形態の容器1は、物品を収容せずに容器1のみを運搬・保管する場合等において、パレット2、側壁構成部3、及び、蓋体4を小さくまとめた折畳状態とすることが可能である。より具体的には、図6図7等に示すように、蓋体4は、天側壁部42の下辺部から下方に突出し、蓋体4をパレット2に(直接)載置した場合にパレット側被係合部17に挿入されて係合状態とされる蓋側係合部46を備えている。すなわち、蓋側係合部46がパレット側被係合部17に挿入され、天側壁部42の下辺部がパレット2の上面に当接して支持されることで、蓋体4がパレット2に載置される。加えて、蓋側係合部46の内面及び外面は、天側壁部42の内面及び外面と面一となるように構成され、蓋体4の外寸は、パレット2の外寸よりも若干小さく構成されている。
【0028】
さらに、図6に示すように、蓋体4は、蓋体4をパレット2に載置した場合に、パレット2の上面との間に、容器1(パレット2)から取外され、折畳まれた状態の側壁構成部3を収容可能な収容空間47が形成されるように構成されている。そして、側壁構成部3を容器1から取外して連結部材22による側壁体21の連結を解消し、それぞれ折畳んだ状態の一対の側壁体21をパレット2に重ねて設置し、当該側壁体21に被せるようにして蓋体4をパレット2に載置することで、容器1が折畳状態とされる。
【0029】
以上詳述したように、本実施形態によれば、容器1の組立状態において、側壁構成部3の連結部材22の上端部、及び、突部26と、蓋体4の蓋側被係合部43とが係合状態とされるとともに、側壁構成部3に取付けられた係合部材30の下端部と、パレット2のパレット側被係合部17とが係合状態とされる。このため、蓋体4及びパレット2と、側壁構成部3との間の水平方向における相対変位がより確実に規制されることとなり、容器1全体の剛性、特に、側壁構成部3の剛性を飛躍的に高めることができる。従って、側壁構成部3の外面が容器1の内方側に押圧されたり、側壁構成部3の内面が容器1の外方側に押圧されたり、物品を収容した容器1が段積される等して側壁構成部3に対して比較的大きな荷重が付加されたりした場合においても、側壁構成部3の変形・変位等を防止することができる。これにより、例えば、側壁構成部3が容器1の内側に凹むようにして変形することに起因して、容器1に収容された物品に悪影響を及ぼしてしまうといった事態を回避することができる。さらに、例えば、物品を段積する場合に、上下方向に圧縮された側壁構成部3の上辺部及び下辺部が容器1の内側に変位し、側壁構成部3の中間部位がパレット2や蓋体4よりも容器1の外方側に膨出してしまうといった事態を防止することができる。結果として、容器1に収容された物品をより安全に運搬等することができる上、容器1を段積してより効率的に運搬・保管を行うことができる。
【0030】
また、既製品のパレットには、寸法が同じであっても、パレットの上面(載置面)に形成される孔部(パレット側被係合部17)の形状や形成位置が異なる種類が存在する。この点、本実施形態の係合部材30は側壁体21とは別体であり、容器1のパレット2として既製品を使用する場合に、係合部材30をパレット側被係合部17の形状や形成位置に合わせて形成したり(組合わせを変える、付替える)、或いは、係合部材30の取付位置を変えたりするだけで、側壁構成部3の本体(側壁体21及び連結部材22)、及び、蓋体4は、共通のものを利用することが可能となる。従って、利便性の向上等を図ることができる。
【0031】
さらに、側壁体21の上辺部及び下辺部のうち上辺部にのみ突部26が存在する形状とすることができ、製造や組立作業に際し側壁体の上下の向きを間違えるといった事態をより確実に防止することができる。加えて、連結部材22、及び、係合部材30は、側壁体21よりも高強度、及び、高剛性となるように構成されている。このため、側壁構成部3のうち、蓋体4、及び、パレット2に対する係合部分の強度、及び、剛性を確保しつつ、側壁体21を比較的軽量、及び、比較的薄く構成し、軽量化、省資源化、及び、低コスト化等を図ることが可能となる。また、連結部材22の下端部は、下面側がパレット2に当接した係合部材30に当接している。このため、連結部材22が側壁体21と協働して蓋体4からの荷重を受けることができ、側壁体21の変形等をより一層抑止することができる。
【0032】
加えて、係合部材30は、側壁体21に対して着脱可能に取付けられている。つまり、側壁体21の下辺部よりも下方に突出してパレット側被係合部17と係合される係合部材30(側壁側係合部32)は、例えば、容器1に収容された物品により側壁構成部3が容器1の外方側に押圧されたり、容器1が段積されたりする場合に、比較的大きな応力が作用し易い部位であり、また、容器1の組立作業等に際してもその他の部材と接触する等して外力(衝突による大きな力、摩耗等)を受け易い部位である。この点、本実施形態によれば、係合部材30は、側壁体21に対して着脱可能に取付けられていることから、係合部材30が損傷等した場合には、比較的容易に係合部材30を交換することができる。また、側壁構成部3の本体(側壁体21及び連結部材22)は、そのまま利用することができ、利便性の向上、省資源化、及び、低コスト化等を図ることができる。
【0033】
また、容器1は、物品を収容しない状態において、パレット2に載置された蓋体4と、パレット2との間に形成される収容空間47に対し、折畳まれた状態の側壁構成部3を収容した折畳状態とすることが可能となっている。このため、容器1を構成する部材一式をコンパクトに収めることができ、運搬・保管効率の向上等を図ることができる。その上、例えば、容器1を構成する部材が別々に保管等される場合に比べ、容器1を組立状態とする際の利便性を向上させることができる。さらに、蓋体4をパレット2に直接載置する場合において、蓋側係合部46と、パレット側被係合部17とが係合状態とされることから、折畳状態にある容器1の形状の安定化を図ることができ、例えば、蓋体4や側壁構成部3がパレット2から脱落し、損傷するといった事態を防止することができる。加えて、容器1の折畳状態(側壁構成部3の収容状態)において、側壁構成部3は、パレット2及び蓋体4によって保護された状態となる上、水平に設置された状態とすることができる。このため、容器1に物品を収容しない状態で容器1を運搬・保管する際に、側壁構成部3が変形、損傷等することを防止することができる。
【0034】
さらに、蓋側係合部46は、蓋体4の上面の外周縁(側辺部)から下方にする天側壁部42の下辺部から下方に突出するようにして設けられ、パレット側被係合部17はパレット2の上面の外周縁よりも内周側の位置(柱部11の外周面を構成する壁部よりも柱部11の内方側の位置)に設けられている。このため、蓋体4がパレット2の上面の外周縁よりもパレット2の内周側に配置されることとなり、容器1同士を横並びで設置する場合において、(蓋体4同士が接触する前に、蓋体4よりも高強度のパレット2同士を接触させる構成とし、)蓋体4同士が接触して蓋体4が損傷するといった事態を回避することができる。
【0035】
また、パレット側被係合部17は、柱部11の上面において設けられている。このため、パレット側被係合部17に挿入されて係合状態とされる係合部材30のパレット側被係合部17への挿入長を上デッキ部12の厚みよりも長くしても、当該係合部材30がフォーク挿入部14に突出することが回避される。このため、係合部材30がフォーク挿入部14に挿入されたフォークと接触して損傷するといった事態を回避しつつ、係合部材30とパレット側被係合部17との係合状態をより強固なものとすることができる。
【0036】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0037】
(a)上記実施形態では、連結部材22の下端部が側壁体21の下辺部よりも上方に位置している(係合部材30の取付部31の上辺部に当接している)が、図8図9に示すように、連結部材22の下端部が側壁体21の下辺部と同じ高さとなるまで延在するように構成してもよい。その場合、一対の側壁体21の端部間の隙間が連結部材22によって側壁体21の下端部まで閉塞されることとなり、前記隙間から埃や水等が容器1の内側に進入するといった事態を防止することができる。さらに、図9では、容器1の組立状態において連結部材22の下端部がパレット2に当接するように構成されており、連結部材22が側壁体21と協働して蓋体4からの荷重を受けることが可能となる。また、連結部材22の下端部において、パレット側被係合部17と係合可能な側壁側係合部を一体的に設ける(連結部材22の下部を側壁体21の下辺部よりも下方に突出させる)ことも可能である。
【0038】
(b)上記実施形態において、蓋体4や側壁構成部3(各側壁体21)に対し、作業者が持ち運ぶ際に手を掛けることを可能とする持ち手部を設けることとしてもよい。また、上記実施形態において、係合部材30を側壁体21の内面に当接状態で取付ける構成としてもよい。当該構成を採用する場合には、容器1の外部の所定部材が係合部材30と接触して側壁体21に悪影響が及ぶといった事態を回避することができ、その一方で、上記実施形態のように、係合部材30を側壁構成部3の外面側に設けることで、係合部材30と容器1に収容された物品との接触を回避することができる。さらに、上記実施形態では、係合部材30を結束バンドで側壁体21に取付けているが、その他の方法(ボルト・ナット、リベット、ねじ、両面テープ、接着剤等)で取付けることも可能である。但し、係合部材30を比較的簡単に取外し、その後、係合部材30が取付けられていた箇所に別の係合部材を取付可能となる方法を採用することが望ましい。
【0039】
(c)上記実施形態では、横幅が同じ第2壁部24同士を連結部材22によって連結する構成となっているが、横幅の異なる第2壁部同士を連結部材22によって連結する構成としてもよい。但し、第2壁部24同士を連結部材22で連結することによって構成された壁部(合成壁部)の横幅方向中央部であって、比較的変形し易い部位に連結部材22が配置されることにより、連結部材22の上端部を蓋側被係合部43に係合状態とすることで側壁構成部3の変形を防止するといった作用効果がより顕著に奏される。さらに、合成壁部の中央部に係合部材30が配置されることとなり、係合部材30の側壁側係合部32をパレット側被係合部17に係合状態とすることで側壁構成部3の変形を防止するといった作用効果がより顕著に奏される。
【0040】
また、上記実施形態では、側壁構成部3を構成する一対の側壁体21のうち一方に対して一対の連結部材22を取付けているが、一対の側壁体21に対して連結部材22を1つずつ取付けるように構成してもよい。さらに、側壁体21の端部(側端部)のうち、連結部材22に対して繰返し着脱が行われることとなる連結部材22が取付けられていない端部にのみ、連結部材22の隙間への挿入を行い易く、かつ、耐久性の向上が図られるようにR加工を施すこととしてもよい。尚、側壁体21の端部のR加工を省略することも可能である。
【0041】
さらに、上記実施形態では、一対の側壁体21と一対の連結部材22とにより側壁構成部3を四角筒状に構成しているが、例えば、1つの側壁体を四角筒状に屈曲させるとともに、その端部間を連結部材で連結することで側壁構成部(の本体)を構成することとしてもよいし、4つの側壁体及び4つの連結部材により側壁構成部(の本体)を構成することとしてもよいし、3つの側壁体及び3つの連結部材により側壁構成部(の本体)を構成することとしてもよい。
【0042】
(d)上記実施形態において、蓋体4、及び、側壁構成部3の側壁体21は樹脂(ポリプロピレン)製の中空ボードにより構成されているが、例えば、樹脂製の気泡ボード、紙製のダンボール、及び、合板等により構成することも可能である。また、パレット2、連結部材22、及び、係合部材30は、ポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。尚、パレット2、側壁構成部3、及び、蓋体4の形状等は特に限定されるものではなく、奏される機能や効果を達成可能な範囲で近似する構成を含むものである。例えば、パレット2が平面視で長側辺部と短側辺部とを有する長方形に構成されてもよい。また、上記実施形態のパレット2の上面、及び、蓋体4の天壁部41において、パレット側被係合部17、及び、蓋側被係合部43以外にも開口部を設けることとしてもよい。さらに、パレット側被係合部17、及び、蓋側被係合部43は、孔部ではなく凹部により構成されることとしてもよい。加えて、上記実施形態において、パレット2に関し、パレット2の外周面を構成する2つの側面からのみフォークを差込み可能な2方差しタイプの形状としてもよいし、下デッキ部13を省略したような形状としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…容器、2…パレット、3…側壁構成部、4…蓋体、11…柱部、12…上デッキ部、14…フォーク挿入部、17…パレット側被係合部、21…側壁体、22…連結部材、25…一般部、26…突部、30…係合部材、32…側壁側係合部、43…蓋側被係合部、46…蓋側係合部、47…収容空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9