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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147073
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/18 20060101AFI20241008BHJP
   B65D 6/24 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B65D19/18
B65D6/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059847
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】591082410
【氏名又は名称】株式会社新弘
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】武藤 功
【テーマコード(参考)】
3E061
3E063
【Fターム(参考)】
3E061AA05
3E061AB12
3E061CA17
3E061CA25
3E061DA03
3E061DB11
3E063AA06
3E063BA05
3E063BB04
3E063CA04
3E063CA05
3E063CA06
3E063CB01
3E063CC01
3E063CD08
3E063EE03
3E063GG10
(57)【要約】
【課題】安定した運用を図りつつ、非使用時のコンパクト化を図ることのできる容器を提供する。
【解決手段】容器1は、パレット2と、パレット2に載置される四角筒状の側壁構成部3と、側壁構成部3に被せられる蓋体4とを備え、パレット2の下デッキ部13には、フォーク挿入部14の所定部位を下方に開口させる下開口部15が設けられている。側壁構成部3は、容器1から取外すことにより折畳可能に構成されている。蓋体4には、上面から上方に突出する蓋上突部34が設けられ、蓋体4の下面側には、折畳まれた側壁構成部3を収容可能な収容空間36が設けられている。容器1は、上下逆向きとしたパレット2に対して上下逆向きとした蓋体4を載置することで、蓋上突部34が下開口部15に挿入され、上下逆向きとした蓋体4の収容空間36に対して折畳まれた側壁構成部3を収容した非使用時の形態とすることが可能に構成されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状のパレットと、前記パレットの上面の外周縁に沿って上方に延びる四角筒状の側壁構成部と、前記側壁構成部の上部の開口部を閉鎖可能な蓋体とを備え、前記側壁構成部に対して前記蓋体が着脱自在に構成され、前記パレットに対して前記側壁構成部が着脱自在に構成され、前記側壁構成部を前記パレットに載置し、前記蓋体を前記側壁構成部に被せることで組立状態とされる容器において、
前記パレットは、複数の柱部と、前記複数の柱部の上端部間を連結する上デッキ部と、前記複数の柱部の下端部間を連結する下デッキ部とを備えるとともに、前記複数の柱部の間にフォークを備える運搬手段のフォークを挿入可能とするフォーク挿入部が形成され、
前記下デッキ部には、前記フォーク挿入部の所定部位を下方に開口させる下開口部が設けられ、
前記側壁構成部は、前記容器から取外されることにより折畳可能に構成され、
前記側壁構成部には、前記側壁構成部の下辺部よりも下方に突出する側壁側係合部が設けられ、
前記パレットの上面側には、前記側壁構成部が前記パレットに載置された場合に、前記側壁側係合部が挿入されて係合状態とされるパレット側被係合部が設けられ、
前記蓋体には、上面から上方に突出する蓋上突部が設けられ、
前記組立状態の前記容器同士を積重ねた場合に、下側の前記容器の前記蓋上突部が、上側の前記容器の前記下開口部に挿入されて、積重ねられた前記容器同士の水平方向における相対変位が規制される構成であり、
前記蓋体の下面側には、折畳まれた状態の前記側壁構成部を収容可能な収容空間が設けられ、
上下に逆向きとされた前記パレットに対して上下に逆向きとされた前記蓋体が載置されることで、前記蓋体の前記蓋上突部が前記パレットの前記下開口部に挿入され、前記上下に逆向きとされた蓋体の前記収容空間に対して折畳まれた状態の前記側壁構成部が収容された非使用時の形態とすることが可能に構成されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記下デッキ部は、一般部と、前記フォーク挿入部の入口に隣接して前記フォーク挿入部の上下幅を広げるようにして前記一般部よりも厚みが薄く構成される縁部とを備え、
前記蓋上突部の前記蓋体の上面からの突出長は、前記一般部の厚みと同じ、又は、前記一般部の厚み未満となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記蓋体は、下方に突出するようにして設けられた係合突部と、上下に逆向きとされた前記蓋体同士を積重ねた場合に、下側の前記蓋体の前記係合突部が挿入されて係合状態とされる係合凹部とを備え、
上下に逆向きとされた前記蓋体同士を積重ねた場合に、前記蓋体と、その上側に積重ねられた前記蓋体との間には、折畳まれた状態の前記側壁構成部を収容可能な前記収容空間が確保されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用される容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を収容可能な箱状をなし、パレットを含む形態とされてハンドリフト等で運搬可能に構成される容器が知られている。例えば、パレットに載置される底板と、底板の外周縁に沿って上方に延びるスリーブと、スリーブに被せられる上蓋とを備える容器において、スリーブは容器から取外して折畳可能に構成され、底板と、底板に直接載置された上蓋との間に、折畳まれた状態のスリーブを収容可能に構成するといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-107703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の容器の底板は、底板の外周縁から下方に突出する枠状嵌合片を備え、底板をパレットに載置することで、枠状嵌合片によりパレットの外周面の上部が囲われるようになっている。ここで、枠状嵌合片の上下幅が長過ぎる場合には、枠状嵌合片がハンドリフト等のフォークと干渉するおそれがあり、枠状嵌合片の上下幅が短過ぎる場合には、パレットと底壁構成部との水平方向における相対変位が十分に規制されないことが懸念される。また、パレットを含む形態とされてハンドリフト等で運搬可能に構成される容器としては、非使用時におけるコンパクト化が望まれている。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、安定した運用を図りつつ、非使用時のコンパクト化を図ることのできる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.平面視矩形状のパレットと、前記パレットの上面の外周縁に沿って上方に延びる四角筒状の側壁構成部と、前記側壁構成部の上部の開口部を閉鎖可能な蓋体とを備え、前記側壁構成部に対して前記蓋体が着脱自在に構成され、前記パレットに対して前記側壁構成部が着脱自在に構成され、前記側壁構成部を前記パレットに載置し、前記蓋体を前記側壁構成部に被せることで組立状態とされる容器において、
前記パレットは、複数の柱部と、前記複数の柱部の上端部間を連結する上デッキ部と、前記複数の柱部の下端部間を連結する下デッキ部とを備えるとともに、前記複数の柱部の間にフォークを備える運搬手段のフォークを挿入可能とするフォーク挿入部が形成され、
前記下デッキ部には、前記フォーク挿入部の所定部位を下方に開口させる下開口部が設けられ、
前記側壁構成部は、前記容器から取外されることにより折畳可能に構成され、
前記側壁構成部には、前記側壁構成部の下辺部よりも下方に突出する側壁側係合部が設けられ、
前記パレットの上面側には、前記側壁構成部が前記パレットに載置された場合に、前記側壁側係合部が挿入されて係合状態とされるパレット側被係合部が設けられ、
前記蓋体には、上面から上方に突出する蓋上突部が設けられ、
前記組立状態の前記容器同士を積重ねた場合に、下側の前記容器の前記蓋上突部が、上側の前記容器の前記下開口部に挿入されて、積重ねられた前記容器同士の水平方向における相対変位が規制される構成であり、
前記蓋体の下面側には、折畳まれた状態の前記側壁構成部を収容可能な収容空間が設けられ、
上下に逆向きとされた前記パレットに対して上下に逆向きとされた前記蓋体が載置されることで、前記蓋体の前記蓋上突部が前記パレットの前記下開口部に挿入され、前記上下に逆向きとされた蓋体の前記収容空間に対して折畳まれた状態の前記側壁構成部が収容された非使用時の形態とすることが可能に構成されていることを特徴とする容器。
【0008】
手段1によれば、容器の使用時(物品を収容した状態)の形態である組立状態では、側壁構成部の側壁側係合部がパレットの上面側に設けられたパレット側被係合部に係合状態とされ、容器の非使用時の形態では、パレット、及び、蓋体を上下に逆向きとして蓋体をパレットに載置することで、蓋体の蓋上突部がパレットの下開口部に係合状態とされる。従って、使用時、及び、非使用時の形態において、側壁構成部、及び、蓋体がパレットの外周面に掛かる(係合する、対向する)ことがなく、例えば、パレットのフォーク挿入部にフォークを挿入する場合に、側壁構成部、及び、蓋体がフォークに干渉するといった事態を回避する(接触を抑制する)ことができる。さらに、例えば、側壁構成部、及び、蓋体がパレットの外周面に掛かる構成を採用する場合に、フォークとの干渉を避けるべく側壁構成部、及び、蓋体のパレットの外周面への掛かり代を短くすることに起因して、側壁構成部、及び、蓋体と、パレットとの水平方向における相対変位が十分に規制されないといった事態を防止することができる。従って、容器の使用時の形態、及び、非使用時の形態のどちらにおいても、運搬手段を利用して、容器を安定して運搬、設置等を行うことができる上、フォークをフォーク挿入部に挿入させる際に蓋体や側壁構成体が損傷等するといった事態を抑止することができる。
【0009】
尚、フォーク挿入部にフォークを挿入し易くしたり、ハンドリフトのキャスターが下デッキ部に乗上げ易くなるようにしたりするべく、下デッキ部のうちフォーク挿入部の入口に隣接する部位の上面が、フォーク挿入部の入口側に向けて下方傾斜しているパレットも多く存在する。この点、本手段1の容器に関し、パレットの下開口部に蓋上突部を挿入する構成となっているが、蓋上突部の蓋体の上面からの突出長を下デッキ部の一般部の厚み以下とすれば、下開口部に挿入された蓋上突部がフォーク挿入部に挿入されたフォークと干渉することを回避することができる。従って、例えば、蓋上突部の突出長を下デッキ部のうちフォーク挿入部の入口を画定する部位の厚み以下とするような場合に比べて、蓋上突部の突出長を確保して、パレットと蓋体との間の水平方向における相対変位をより確実に規制することができる。加えて、蓋上突部がパレットの外周縁よりもパレットの内周側に配置されることから、容器の外寸を大きくすることなく、蓋上突部の厚みを比較的大きく確保することができる上、蓋上突部がフォークに接触するといった事態を抑制することができ、蓋上突部の耐久性の向上を図ることができる。結果として、非使用時の形態にある容器の形状の安定化を図ることができ、より安定して運搬、保管等を行うことができる。
【0010】
また、容器の組立状態では、側壁構成部がパレットに載置されて係合状態とされ、容器の非使用時の形態では、上下に逆向きとされたパレットに対し、上下に逆向きとされた蓋体が載置されて係合状態とされる。このため、側壁構成部や蓋体をパレットに係合(水平方向における位置決め)させるための機能を具備する別体(媒介の部材)を必要とする場合に比べて、組立状態では内容積を減らすことなく上下幅を低くすることができ、非使用時の形態ではより一層のコンパクト化を図ることができる。さらに、例えば、側壁構成部、及び、蓋体がパレットの外周面に掛かる構成を採用する場合に比べ、容器の外周の寸法を小さくする(パレットが最大の部位とする)とともに、側壁構成部や蓋体が、建物の壁面等に接触して損傷するといった事態を防止することも可能である。
【0011】
手段2.前記下デッキ部は、一般部と、前記フォーク挿入部の入口に隣接して前記フォーク挿入部の上下幅を広げるようにして前記一般部よりも厚みが薄く構成される縁部とを備え、
前記蓋上突部の前記蓋体の上面からの突出長は、前記一般部の厚みと同じ、又は、前記一般部の厚み未満となるように構成されていることを特徴とする手段1に記載の容器。
【0012】
手段2によれば、フォーク挿入部に挿入されたフォークが、下開口部に挿入された蓋上突部と干渉するといった事態を回避することができる。従って、運搬手段を使用して容器を運搬等する際の作業性の向上を図るとともに、フォークとの接触に起因する蓋上突部の損傷等を防止することができる。尚、「前記蓋上突部の前記蓋体の上面からの突出長は、前記縁部のうち最も厚みが薄く構成されている部位の厚みよりも長くなるように構成されていること」としてもよい。この場合、パレットと蓋体との間の水平方向における相対変位を規制するといった作用効果がより確実に奏される。
【0013】
手段3.前記蓋体は、下方に突出するようにして設けられた係合突部と、上下に逆向きとされた前記蓋体同士を積重ねた場合に、下側の前記蓋体の前記係合突部が挿入されて係合状態とされる係合凹部とを備え、
上下に逆向きとされた前記蓋体同士を積重ねた場合に、前記蓋体と、その上側に積重ねられた前記蓋体との間には、折畳まれた状態の前記側壁構成部を収容可能な前記収容空間が確保されるように構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の容器。
【0014】
手段3によれば、上下に逆向きとされた蓋体と、折畳まれて蓋体に収容された側壁構成部とをセットにして、当該セット同士を積重ねて(段積して)パレットに載置し、運搬・保管等することが可能となる。つまり、容器の非使用時において、比較的重いパレットを抜きにして、前記セットを段積することができる(比較的頑丈なパレットは、パレット同士で積重ねる)。さらに、最下段の蓋体をパレットに載置することで、上記のように、蓋体とパレットとの間の水平方向における相対変位が規制される。従って、例えば、所定の蓋体の上方にパレットを含む容器が多段に積重ねられることで、前記所定の蓋体に大きな負担が掛かってしまう(場合によっては変形等してしまう)といった事態を防止しつつ、容器の非使用時において、より効率的に運搬・保管等することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】組立状態にある容器の斜視図である。
図2】非使用時の形態とされた容器の斜視図である。
図3】容器の分解斜視図である。
図4】容器の分解斜視図である。
図5】蓋体及び側壁構成部のセットを段積した容器の非使用時の形態を示す斜視図である。
図6】蓋体及び側壁構成部のセットを段積した容器の非使用時の形態を示す一部断面を含む斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1図3に示すように、容器1(ボックスパレット)は、平面視正方形状のパレット2と、パレット2の上面の外周縁に沿って上方に延びる四角筒状の側壁構成部3と、側壁構成部3の上部の開口部を閉鎖可能な蓋体4とを備え、側壁構成部3に対して蓋体4が着脱自在に構成され、パレット2に対して側壁構成部3が着脱自在に構成されている。また、側壁構成部3をパレット2に載置し、蓋体4を側壁構成部3に被せることで、容器1が組立状態とされる。
【0017】
パレット2は、複数の柱部11と、複数の柱部11の上端部間を連結する上デッキ部12と、柱部11の下端部間を連結する下デッキ部13とを備えている。また、複数の柱部11の間には、運搬手段としてのフォークリフトやハンドリフト等のフォークを挿入可能とするフォーク挿入部14が形成されている。本実施形態では、パレット2の外周面を構成する4つの側面からそれぞれフォークを挿入可能な4方差しタイプのパレット形状となっている。加えて、図4に示すように、下デッキ部13には、フォーク挿入部14が交差する位置に対応して、フォーク挿入部14を下方に開口させ、ハンドリフトのキャスターを接地可能とするための下開口部15が設けられている。尚、パレット2は、ポリプロピレンにより構成されている。
【0018】
図3に示すように、側壁構成部3は、パレット2の上面の外周縁に沿って屈曲可能に構成される側壁体21と、側壁体21の端部(側端部)間を連結する連結部材22とを備えている。本実施形態では、それぞれ平面視コ字状となるように屈曲可能な一対の側壁体21と、端部同士が突合わされるように配置される一対の側壁体21の端部間を連結する一対の連結部材22とによって、側壁構成部3が四角筒状に構成されている。また、各側壁体21の上辺部には、一般部23と、一般部23よりも上方に突出する突部24とが設けられている。本実施形態の前記一対の側壁体21は、互いに同じ形状かつ同じ大きさとなっている。さらに、各側壁体21は、1枚の中空ボード(例えば、互いに所定距離を隔てて平行して延在する2層のシートと、当該2層のシート間を縞状に連結する連結部とを備えるポリプロピレン成形品)を側壁体21が展開した形状に裁断し、側壁体21を所期の位置で180度程度屈曲させて折畳可能とする加工を施すことにより構成されている。
【0019】
連結部材22は、水平断面H字状に構成され、一方の側壁体21の端部を連結部材22の隙間に挿入し、リベット25を貫通させて固定(接合)することにより、一方の側壁体21に対して相対変位不可能に取付けられている。その一方で、連結部材22は、他方の側壁体21に対しては、側壁構成部3をパレット2に載置する際に、連結部材22の空いている隙間に側壁体21の端部を挿入することで連結されることとしており、後述するその他の構成(パレット2及び蓋体4との係合)と組合わせることで、連結部材22から離脱する方向を含む側壁体21の水平方向における相対変位が規制されるようになっている。また、側壁体21に取付けられた連結部材22の上端部は、側壁体21の一般部23よりも上方に突出しており、本実施形態では、連結部材22の上端部と、側壁体21の突部24の上端部とが同じ高さとなっている。
【0020】
加えて、側壁体21には、少なくとも下端部が側壁体21の下辺部よりも下方に突出するようにして係合部材26が取付けられている。係合部材26は、側壁体21の外面に当接状態で取付けられる四角板状の取付部27と、取付部27の下辺部から下方に突出する側壁側係合部28とを備えている。本実施形態では、取付部27の下辺部は、側壁体21の下辺部と同じ高さで延在している。尚、連結部材22、及び、係合部材26は、それぞれポリプロピレンにより一体的に形成されている。
【0021】
図3図4等に示すように、蓋体4は、四角板状の天壁部31と、天壁部31の各側辺部から下方に突出する天側壁部32とを備えている。本実施形態では、1枚の中空ボードを蓋体4が展開した形状に裁断し、天壁部31に対して天側壁部32を下方に90度屈曲させて天側壁部32同士を所定の連結手段によって連結することにより構成されている。
【0022】
また、図3等に示すように、蓋体4には、蓋体4が側壁構成部3に被せられた場合に、連結部材22の上端部、及び、突部24がそれぞれ挿入されて係合状態とされる蓋側被係合部33(孔部)が設けられている。すなわち、連結部材22、及び、突部24が蓋側被係合部33に係合状態とされ、天壁部31の下面が側壁体21の上辺部の一般部23に当接して支持されることで、蓋体4が側壁構成部3に被せられた状態とされる。
【0023】
加えて、図1等に示すように、蓋体4には、蓋体4(天壁部31)の上面から上方に突出するようにして蓋体4に取付けられる平面視L字状の蓋上突部34が設けられている。蓋上突部34は、フォーク挿入部14同士が交差する部位の上方位置に対応して4箇所に設けられており、組立状態の容器1同士を上下に積重ねる(段積する)場合に、下側の容器1の蓋体4の各蓋上突部34が、上側の容器1のパレット2の各下開口部15に挿入される。これにより、上下の容器1の水平方向における相対変位が防止されるようになっている。尚、蓋上突部34は、ポリプロピレンにより構成され、所定の取付手段により天壁部31に取付けられている。
【0024】
図3に示すように、パレット2の上面側には、側壁構成部3がパレット2に載置された場合に、各係合部材26の各側壁側係合部28がそれぞれ挿入されて係合状態とされるパレット側被係合部17が設けられている。すなわち、側壁体21(側壁構成部3)の下辺部よりも下方に突出する各側壁側係合部28がパレット側被係合部17に挿入され、側壁体21の下辺部(及び、係合部材26の取付部27の下辺部)が、パレット2の上面に当接して支持されることで、側壁構成部3がパレット2に起立状態で載置される。本実施形態のパレット側被係合部17は、柱部11の上面において孔部が形成されることによって設けられている。さらに、係合部材26の側壁側係合部28の取付部27からの突出長(パレット側被係合部17に挿入される部位の上下幅)は、パレット2の上デッキ部12のうちフォーク挿入部14の入口付近の厚み(上下幅)よりも長くなっている。
【0025】
また、図2等に示すように、本実施形態の容器1は、物品を収容せずに容器1のみを運搬・保管する場合等において、パレット2、側壁構成部3、及び、蓋体4を小さくまとめた非使用時の形態とすることが可能である。より具体的には、図4等に示すように、先ず、パレット2を上下に逆向きとして設置面(床面)等に設置するとともに、当該パレット2に対して上下に逆向きとした蓋体4を位置合わせした上で載置する。これにより、蓋体4の蓋上突部34がパレット2の下開口部15に挿入され(図6参照)、パレット2と、蓋体4との間の水平方向における相対変位が規制された状態となる。さらに、図2に示すように、蓋体4の下面側には、折畳まれた状態の側壁構成部3を収容可能な収容空間36が設けられており、上下に逆向きとされた蓋体4の収容空間36に対して折畳まれた状態の側壁構成部3を収容することで、容器1が非使用時の形態とされる。
【0026】
図2図6等に示すように、下デッキ部13は、一般部18と、フォーク挿入部14の入口、及び、下開口部15にそれぞれ隣接する縁部19とを備えている。縁部19の上面は、一般部18の上面と連接する部位からフォーク挿入部14の入口側、及び、下開口部15側に向けて下方に傾斜する傾斜面となっている。これにより、縁部19のうち少なくとも最も厚みが薄く構成されている部位(フォーク挿入部14の入口を画定する部位)の厚みは、一般部18の厚みよりも薄くなっている。さらに、縁部19の上面が傾斜面とされることで、フォーク挿入部14の入口付近におけるフォーク挿入部14の上下幅がフォーク挿入部14の入口側に向けて次第に広がるようになっている。尚、上デッキ部12にも、フォーク挿入部14の入口に隣接する縁部が設けられ、当該縁部の下面は、フォーク挿入部14の入口側に向けて上方傾斜している。
【0027】
図6に示すように、蓋上突部34の蓋体4(天壁部31)の上面からの突出長は、下デッキ部13の一般部18の厚み(上下幅)と同じ、又は、一般部18の厚み未満となるように構成されている。さらに、蓋上突部34の蓋体4の上面からの突出長は、フォーク挿入部14の入口に隣接する下デッキ部13の縁部19のうち最も厚み(上下幅)が薄く構成されている部位(フォーク挿入部14の入口を画定している部位)の厚みよりも長くなるように構成されている。
【0028】
図5図6に示すように、本実施形態では、上下に逆向きとされた蓋体4と、折畳まれて蓋体4に収容された側壁構成部3とをセットにして、当該セット同士を積重ねて(段積して)パレット2に載置し、運搬・保管等することが可能に構成されている。より具体的には、図3図5に示すように、蓋体4は、天側壁部32の下辺部から下方に突出する係合突部38と、上下に逆向きとされた蓋体4同士を積重ねた(段積した)場合に、下側の蓋体4の係合突部38が挿入されて係合状態とされる係合凹部39とを備えている。上下に逆向きとされた蓋体4が段積されることで、下側の蓋体4の係合突部38が、上側の蓋体4の係合凹部39に挿入され、下側の蓋体4の天側壁部32の下辺部が、上側の蓋体4の天壁部31の上面(蓋体4が上下に逆向きとされた状態では下方を向く面)に当接して上側の蓋体4を支持するように構成されている。さらに、図6に示すように、上下に逆向きとされた蓋体4を段積した場合に、蓋体4と、その上側に積重ねられた蓋体4との間には、折畳まれた状態の側壁構成部3(一対の側壁体21及び連結部材22)を収容可能な前記収容空間36が確保されるように構成されている。本実施形態では、下側の蓋体4の収容空間36に収容された側壁構成部3と、上側の蓋体4の蓋上突部34とが基本的には当接しない(振動で側壁構成部3が浮いた場合には当接し得る)構成となっている。尚、パレット2には、上面や下面において、パレット2同士を積重ねた(段積した)場合にパレット2同士の水平方向における相対変位を規制する手段(図示略)が設けられている。
【0029】
以上詳述したように、本実施形態によれば、容器1の使用時(物品を収容した状態)の形態である組立状態では、側壁構成部3の側壁側係合部28がパレット2の上面側に設けられたパレット側被係合部17に係合状態とされ、容器1の非使用時の形態では、パレット2、及び、蓋体4を上下に逆向きとして蓋体4をパレット2に載置することで、蓋体4の蓋上突部34がパレット2の下開口部15に係合状態とされる。従って、使用時、及び、非使用時の形態において、側壁構成部3、及び、蓋体4がパレット2の外周面に掛かる(係合する、対向する)ことがなく、例えば、パレット2のフォーク挿入部14にフォークを挿入する場合に、側壁構成部3、及び、蓋体4がフォークに干渉するといった事態を回避することができる。さらに、例えば、側壁構成部、及び、蓋体がパレット2の外周面に掛かる構成を採用する場合に、フォークとの干渉を避けるべく側壁構成部、及び、蓋体のパレット2の外周面への掛かり代を短くすることに起因して、側壁構成部、及び、蓋体と、パレット2との水平方向における相対変位が十分に規制されないといった事態を防止することができる。従って、容器1の使用時の形態、及び、非使用時の形態のどちらにおいても、ハンドリフト等を利用して、容器1を安定して運搬、設置等を行うことができる上、フォークをフォーク挿入部14に挿入させる際に蓋体4や側壁構成体3が損傷等するといった事態を抑止することができる。
【0030】
尚、フォーク挿入部14にフォークを挿入し易くしたり、ハンドリフトのキャスターが下デッキ部13に乗上げ易くなるようにしたりするべく、下デッキ部13のうちフォーク挿入部14の入口に隣接する縁部19の上面が、フォーク挿入部14の入口側に向けて下方傾斜している。この点、本実施形態の容器1は、パレット2の下開口部15に蓋上突部34を挿入する構成となっているが、蓋上突部34の蓋体4の上面からの突出長を下デッキ部13の一般部23の厚み以下とすれば、下開口部15に挿入された蓋上突部34がフォーク挿入部14に挿入されたフォークと干渉することを回避することができる。従って、例えば、蓋上突部34の突出長を下デッキ部13のうちフォーク挿入部14の入口を画定する部位の厚み以下とするような場合に比べて、蓋上突部34の突出長を確保して、パレット2と蓋体4との間の水平方向における相対変位をより確実に規制することができる。加えて、蓋上突部34がパレット2の外周縁よりもパレット2の内周側に配置されることから、容器1の外寸を大きくすることなく、蓋上突部34の厚みを比較的大きく確保することができる上、蓋上突部34がフォークに接触するといった事態を抑制することができ、蓋上突部34の耐久性の向上を図ることができる。結果として、非使用時の形態にある容器1の形状の安定化を図ることができ、より安定して運搬、保管等を行うことができる。
【0031】
また、容器1の組立状態では、側壁構成部3がパレット2に載置されて係合状態とされ、容器1の非使用時の形態では、上下に逆向きとされたパレット2に対し、上下に逆向きとされた蓋体4が載置されて係合状態とされる。このため、側壁構成部3や蓋体4をパレット2に係合(水平方向における位置決め)させるための機能を具備する別体(媒介の部材)を必要とする場合に比べて、組立状態では内容積を減らすことなく上下幅を低くすることができ、非使用時の形態ではより一層のコンパクト化を図ることができる。さらに、例えば、側壁構成部、及び、蓋体がパレット2の外周面に掛かる構成を採用する場合に比べ、容器1の外周の寸法を小さくする(パレット2が最大の部位とする)とともに、側壁構成部3や蓋体4が、建物の壁面等に接触して損傷するといった事態を防止することも可能である。
【0032】
また、下デッキ部13は、一般部18と、一般部18よりも厚みの薄い(上面がフォーク挿入部14の入口側に向けて下方傾斜する)縁部19とを備え、蓋上突部34の蓋体4の上面からの突出長は、一般部18の厚みと同じ、又は、一般部18の厚み未満となるように構成されている。このため、フォーク挿入部14に挿入されたフォークが、下開口部15に挿入された蓋上突部34と干渉するといった事態を回避することができる。従って、ハンドリフトやフォークリフトを使用して容器1を運搬等する際の作業性の向上を図るとともに、フォークとの接触に起因する蓋上突部34の損傷等を防止することができる。さらに、蓋上突部34の蓋体4の上面からの突出長は、フォーク挿入部14の入口に隣接する縁部19のうち最も厚みが薄く構成されている部位(フォーク挿入部14の入口を画定する部位)の厚みよりも長くなるように構成されている。このため、パレット2と蓋体4との間の水平方向における相対変位を規制するといった作用効果がより確実に奏される。
【0033】
また、蓋体4は、下方に突出するようにして設けられた係合突部38と、上下に逆向きとされた蓋体4同士を積重ねた(段積した)場合に、下側の蓋体4の係合突部38が挿入されて係合状態とされる係合凹部39とを備えている。さらに、上下に逆向きとされた蓋体4を段積した場合に、蓋体4と、その上側に積重ねられた蓋体4との間には、折畳まれた状態の側壁構成部3を収容可能な収容空間36が確保されるように構成されている。このため、上下に逆向きとされた蓋体4と、折畳まれて蓋体4に収容された側壁構成部3とをセットにして、当該セット同士を積重ねて(段積して)パレット2に載置し、運搬・保管等することが可能となる。つまり、容器1の非使用時において、比較的重いパレット2を抜きにして、前記セットを段積することができる(比較的頑丈なパレット2は、パレット2同士で積重ねる)。さらに、最下段の蓋体4をパレット2に載置することで、上記のように、蓋体4とパレット2との間の水平方向における相対変位が規制される。従って、例えば、所定の蓋体4の上方にパレット2を含む容器1が多段に積重ねられることで、前記所定の蓋体4に大きな負担が掛かってしまう(場合によっては変形等してしまう)といった事態を防止しつつ、容器1の非使用時において、より効率的に運搬・保管等することができる。また、段積状態とされた蓋体4と側壁構成部3とのセットは、パレット2を含む容器1の一式をセットとして段積したものに比べて軽量化が図られることから、運搬時の加速・減速に際しての安定化を図ることができる。
【0034】
尚、本実施形態のパレット2とは外寸の異なるパレットであっても、下開口部15の配置が同じであれば、非使用時のパレットとして利用することが可能であり、例えば、折畳まれた状態の側壁構成部3と、蓋体4とのセットを多段に段積した場合に、より大型のパレットを使用することも可能である。
【0035】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0036】
(a)上記実施形態において、蓋体4の係合突部38及び係合凹部39を省略することとしてもよい。但し、容器1の非使用時において、パレット2に比べて強度の低い側壁構成部3及び蓋体4を安定して多段に段積可能とする機能を具備することにより、容器1の非使用時における運搬・保管効率を飛躍的に向上させることができる。また、蓋体4を上下に逆向きとせずにパレット2に直接載置した場合に、蓋体4の係合突部38が、パレット2のパレット側被係合部17に挿入されて係合状態とされるように構成してもよい。この場合、パレット2の非使用時の形態として、パレット2と、パレット2に載置された蓋体4との間に、折畳まれた状態の側壁構成部3が収容された形態(折畳状態)を選択することも可能になる。
【0037】
さらに、上記実施形態では、下デッキ部13の縁部19は、その上面が傾斜面として構成されていたが、下デッキ部13の一般部18よりも低い段差状に構成することも可能である。また、縁部19の上面(傾斜面)は、複数のリブの上縁部により構成されることとしてもよい。尚、下デッキ13に関し、縁部19が無く、一般部18のみの形状とすることも可能である。
【0038】
(b)上記実施形態において、蓋体4や側壁構成部3(各側壁体21)に対し、作業者が持ち運ぶ際に手を掛けることを可能とする持ち手部を設けることとしてもよい。また、上記実施形態では、一対の側壁体21と一対の連結部材22とにより側壁構成部3を四角筒状に構成しているが、例えば、1つの側壁体を四角筒状に屈曲させるとともに、その端部間を連結部材で連結することで側壁構成部(の本体)を構成することとしてもよいし、4つの側壁体及び4つの連結部材により側壁構成部(の本体)を構成することとしてもよいし、3つの側壁体及び3つの連結部材により側壁構成部(の本体)を構成することとしてもよい。さらに、パレット側被係合部17に関し、パレット2の上面から上方に突出する構造とすることも可能であるが、パレット2を上下に逆向きとする非使用時の形態とされた際の耐久性の向上を図るべく、パレット2の上面に対して孔部又は凹部を形成することで構成することが望ましい。
【0039】
(c)上記実施形態において、蓋体4、及び、側壁構成部3の側壁体21は樹脂(ポリプロピレン)製の中空ボードにより構成されているが、例えば、樹脂製の気泡ボード、紙製のダンボール、及び、合板等により構成することも可能である。また、パレット2、連結部材22、係合部材26、及び、蓋上突部34は、ポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。尚、パレット2、側壁構成部3、及び、蓋体4の形状等は特に限定されるものではなく、奏される機能や効果を達成可能な範囲で近似する構成を含むものである。例えば、パレット2が平面視で長側辺部と短側辺部とを有する長方形に構成されてもよい。また、上記実施形態のパレット2の上面、及び、蓋体4の天壁部31において、パレット側被係合部17、及び、蓋側被係合部33以外にも開口部を設けることとしてもよい。さらに、パレット側被係合部17、及び、蓋側被係合部33は、孔部ではなく凹部により構成されることとしてもよい。加えて、上記実施形態において、パレット2に関し、パレット2の外周面を構成する2つの側面からのみフォークを差込み可能な2方差しタイプの形状としてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…容器、2…パレット、3…側壁構成部、4…蓋体、11…柱部、12…上デッキ部、13…下デッキ部、14…フォーク挿入部、15…下開口部、17…パレット側被係合部、18…一般部、19…縁部、28…側壁側被係合部、34…蓋上突部、36…収容空間、38…係合突部、39…係合凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6