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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147074
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241008BHJP
   B65H 5/36 20060101ALI20241008BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G03G21/00 370
B65H5/36
G03G15/00 455
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059848
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】長屋 宗馬
(72)【発明者】
【氏名】森田 哲矢
【テーマコード(参考)】
2H072
2H270
3F101
【Fターム(参考)】
2H072CA01
2H072CB08
2H270KA28
2H270KA35
2H270LA01
2H270LC13
2H270LC14
2H270LD01
2H270LD08
2H270LD14
2H270MB25
2H270MB27
2H270MC55
2H270MH09
2H270ZC03
2H270ZC06
3F101FB05
3F101FB07
3F101FE02
3F101FE11
3F101LA01
(57)【要約】
【課題】転写ローラと定着装置の間に配置されるシュートを移動させるためのソレノイドアクチュエータの昇温や消費電力の増加を抑えること。
【解決手段】制御部は、シートの先端が転写ニップに到達した後に、単位時間当たりの電流の平均値である平均電流値Aavが第1電流値A1となる電流をソレノイドアクチュエータに流すことで、シュートを第1位置から第2位置に移動させる。制御部は、シュートが第2位置に移動した後に、平均電流値Aavを、第1電流値A1よりも低い第2電流値A2に変更する。制御部は、平均電流値Aavを第2電流値A2に変更した後であって、シートが転写ニップから定着ニップにわたって存在するときに、平均電流値Aavを、第2電流値A2よりも低い第3電流値A3に変更する。制御部は、シートの後端が転写ニップを抜けた後に、ソレノイドアクチュエータへの通電を停止することで、シュートを第1位置に移動させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光ドラムと、
前記感光ドラム上のトナー像をシートに転写する転写ローラであって、前記感光ドラムとの間で転写ニップを形成する転写ローラと、
定着装置であって、
シートを加熱するための加熱回転体と、
シートを加圧するための加圧回転体であって、前記加熱回転体との間で定着ニップを形成する加圧回転体と、を有する定着装置と、
シートの搬送方向において前記転写ローラと前記定着装置との間に配置され、シートの下側でシートを案内するシュートであって、
第1位置と、
前記第1位置よりも下の第2位置との間で移動可能なシュートと、
前記シュートを移動させるためのソレノイドアクチュエータと、
前記ソレノイドアクチュエータに流す電流を制御する制御部と、を備え
前記制御部は、
シートの先端が前記転写ニップに到達した後に、単位時間当たりの電流の平均値である平均電流値が第1電流値となる電流を前記ソレノイドアクチュエータに流すことで、前記シュートを前記第1位置から前記第2位置に移動させ、
シュートが第2位置に移動した後に、平均電流値を前記第1電流値から、前記第1電流値よりも低い第2電流値に変更し、
平均電流値を前記第2電流値に変更した後であって、シートが前記転写ニップから前記定着ニップにわたって存在するときに、平均電流値を前記第2電流値から、前記第2電流値よりも低い第3電流値に変更し、
シートの後端が前記転写ニップを抜けた後に、前記ソレノイドアクチュエータへの通電を停止することで、前記シュートを前記第1位置に移動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シュートを前記第2位置から前記第1位置に付勢するバネを備え、
平均電流値が前記第2電流値であるとき、前記シュートは、前記第2位置に位置することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記転写ニップと前記定着ニップの間で撓むシートが、前記第2位置に位置する前記シュートに接触した後のタイミングで、平均電流値を前記第2電流値から前記第3電流値に変更することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
平均電流値が前記第3電流値であるとき、前記シュートは、前記第1位置と前記第2位置との間に位置することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記定着ニップを通過したシートの先端を検知する第1シートセンサを備え、
前記制御部は、前記第1シートセンサがシートの先端を検知したことに基づいて、平均電流値を前記第2電流値から前記第3電流値に変更することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写ニップに向けて搬送されるシートを検知する第2シートセンサを備え、
前記制御部は、前記第2シートセンサがシートを検知したことに基づいて、前記ソレノイドアクチュエータへの通電を開始することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、シートの先端が前記定着ニップを通過した後に、前記ソレノイドアクチュエータへの通電を開始することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ソレノイドアクチュエータへの通電を開始してから所定時間の経過後に、平均電流値を前記第1電流値から前記第2電流値に変更することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記加熱回転体と前記加圧回転体の共通接線は、前記搬送方向の上流側に向かうにつれて下に位置するように延びることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記ソレノイドアクチュエータに流す電流をデューティ制御により制御可能であり、
デューティ比を第1の値とすることで、平均電流値が前記第1電流値となり、
デューティ比を前記第1の値より低い第2の値とすることで、平均電流値が前記第2電流値となり、
デューティ比を前記第2の値より低い第3の値とすることで、平均電流値が前記第3電流値となることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
感光ドラムと、
前記感光ドラム上のトナー像をシートに転写する転写ローラであって、前記感光ドラムとの間で転写ニップを形成する転写ローラと、
定着装置であって、
シートを加熱するための加熱回転体と、
シートを加圧するための加圧回転体であって、前記加熱回転体との間で定着ニップを形成する加圧回転体と、を有する定着装置と、
シートの搬送方向において前記転写ローラと前記定着装置との間に配置され、シートの下側でシートを案内するシュートであって、
第1位置と、
前記第1位置よりも下の第2位置との間で移動可能なシュートと、
前記シュートを移動させるためのソレノイドアクチュエータと、
前記ソレノイドアクチュエータに流す電流を制御する制御部と、を備え
前記制御部は、
シートの先端が前記転写ニップに到達した後に、単位時間当たりの電流の平均値である平均電流値が第1電流値となる電流を前記ソレノイドアクチュエータに流すことで、前記シュートを前記第1位置から前記第2位置に移動させ、
シュートが第2位置に移動した後であって、シートが前記転写ニップから前記定着ニップにわたって存在するときに、平均電流値を前記第1電流値から、前記第1電流値よりも低い第2電流値に変更し、
シートの後端が前記転写ニップを抜けた後に、前記ソレノイドアクチュエータへの通電を停止することで、前記シュートを前記第1位置に移動させることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光ドラムと、現像器と、転写ローラと、定着装置と、転写材ガイドとを備える画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。転写材ガイドは、感光ドラムと転写ローラとの間を通った転写材を、定着装置に向かわせる。転写材ガイドは、転写材の撓みを許容するために、退避位置に移動可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000―226136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1に記載の画像形成装置では、ソレノイドアクチュエータによって転写材ガイドを退避位置に移動させる構成が開示されているが、シートを連続で印字する場合などにはソレノイドアクチュエータの昇温や消費電力が問題になるおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、転写ローラと定着装置の間に配置されるシュートを移動させるためのソレノイドアクチュエータの昇温や消費電力の増加を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本願の第1の開示に係る画像形成装置は、感光ドラムと、転写ローラと、定着装置と、シュートと、ソレノイドアクチュエータと、制御部と、を備える。
転写ローラは、感光ドラム上のトナー像をシートに転写する。転写ローラは、感光ドラムとの間で転写ニップを形成する。
定着装置は、加熱回転体と、加圧回転体と、を有する。
加熱回転体は、シートを加熱するための部材である。
加圧回転体は、シートを加圧するための部材である。加圧回転体は、加熱回転体との間で定着ニップを形成する。
シュートは、シートの搬送方向において転写ローラと定着装置との間に配置される。シュートは、シートの下側でシートを案内する。シュートは、第1位置と、第2位置との間で移動可能である。第2位置は、第1位置よりも下の位置である。
ソレノイドアクチュエータは、シュートを移動させるためのアクチュエータである。
制御部は、ソレノイドアクチュエータに流す電流を制御する。制御部は、シートの先端が転写ニップに到達した後に、単位時間当たりの電流の平均値である平均電流値が第1電流値となる電流をソレノイドアクチュエータに流すことで、シュートを第1位置から第2位置に移動させる。制御部は、シュートが第2位置に移動した後に、平均電流値を第1電流値から、第1電流値よりも低い第2電流値に変更する。制御部は、平均電流値を第2電流値に変更した後であって、シートが転写ニップから定着ニップにわたって存在するときに、平均電流値を第2電流値から、第2電流値よりも低い第3電流値に変更する。制御部は、シートの後端が転写ニップを抜けた後に、ソレノイドアクチュエータへの通電を停止することで、シュートを第1位置に移動させる。
【0007】
ソレノイドアクチュエータへの通電を開始してから停止するまでの間に、制御部が、ソレノイドアクチュエータに流す電流の平均電流値を徐々に下げることで、ソレノイドアクチュエータの昇温や消費電力の増加を抑えることができる。
【0008】
また、本願の第2の開示は、第1の開示の画像形成装置の構成を有する他、以下の構成を有する。
画像形成装置は、バネを備える。
バネは、シュートを第2位置から第1位置に付勢する。
平均電流値が第2電流値であるとき、シュートは、第2位置に位置する。
【0009】
平均電流値が第2電流値であるとき、シュートは、第2位置に位置する構成とすることで、平均電流値を第1電流値から第2電流値に変更しても、シュートが第2位置に位置したままになるので、シートの撓みを許容することができる。
【0010】
また、本願の第3の開示は、第2の開示の画像形成装置の構成を有する他、以下の構成を有する。
制御部は、転写ニップと定着ニップの間で撓むシートが、第2位置に位置するシュートに接触した後のタイミングで、平均電流値を第2電流値から第3電流値に変更する。
【0011】
転写ニップと定着ニップの間で撓むシートが、第2位置に位置するシュートに接触した後のタイミングで、平均電流値が第2電流値から第3電流値に変更されることで、撓んだシートがシュートをバネの付勢力に抗して押した後に、平均電流値が第3電流値に下げられることになる。そのため、ソレノイドアクチュエータによるシュートを押す力が弱くなっても、撓んだシートがシュートを押す力で補助することができるので、シュートがバネの力で第1位置に戻らず、シートの撓みを許容するためのバッファ空間を確保できる。
【0012】
また、本願の第4の開示は、第3の開示の画像形成装置の構成を有する他、以下の構成を有する。
平均電流値が第3電流値であるとき、シュートは、第1位置と第2位置との間に位置する。
【0013】
平均電流値が第3電流値であるときにシュートが第1位置と第2位置との間に位置することで、ソレノイドアクチュエータへの通電を停止してからシュートが第1位置に戻るまでの時間を短縮できるので、シート同士の間隔を小さくすることができる。
【0014】
また、本願の第5の開示は、第3の開示の画像形成装置の構成を有する他、以下の構成を有する。
画像形成装置は、第1シートセンサを備える。
第1シートセンサは、定着ニップを通過したシートの先端を検知する。
制御部は、第1シートセンサがシートの先端を検知したことに基づいて、平均電流値を第2電流値から第3電流値に変更する。
【0015】
制御部が、定着ニップを通過したシートの先端を第1シートセンサで検知したことに基づいて、平均電流値を第2電流値から第3電流値に変更することで、平均電流値を第3電流値に変更するタイミングを、より確実に、転写ニップと定着ニップの間で撓むシートが、第2位置に位置するシュートに接触した後のタイミングとすることができる。また、例えば、平均電流値を第3電流値に変更するタイミングを、第1シートセンサでシートの先端を検知した時点とすることで、つまり、撓んだシートがシュートに接触した後に当該シートの先端を検知できる位置に第1シートセンサを配置することで、熱の影響で加圧回転体の径が変化してシートの搬送速度が変わった場合でも、平均電流値を第3電流値に変更するタイミングを適正なタイミングに維持することができる。
【0016】
また、本願の第6の開示は、第1の開示から第5の開示のいずれかの画像形成装置の構成を有する他、以下の構成を有する。
画像形成装置は、第2シートセンサを備える。
第2シートセンサは、転写ニップに向けて搬送されるシートを検知する。
制御部は、第2シートセンサがシートを検知したことに基づいて、ソレノイドアクチュエータへの通電を開始する。
【0017】
また、本願の第7の開示は、第1の開示から第5の開示のいずれかの画像形成装置の構成を有する他、以下の構成を有する。
制御部は、シートの先端が定着ニップを通過した後に、ソレノイドアクチュエータへの通電を開始する。
【0018】
また、本願の第8の開示は、第1の開示から第5の開示のいずれかの画像形成装置の構成を有する他、以下の構成を有する。
制御部は、ソレノイドアクチュエータへの通電を開始してから所定時間の経過後に、平均電流値を第1電流値から第2電流値に変更する。
【0019】
また、本願の第9の開示は、第1の開示から第5の開示のいずれかの画像形成装置の構成を有する他、以下の構成を有する。
加熱回転体と加圧回転体の共通接線は、搬送方向の上流側に向かうにつれて下に位置するように延びる。
【0020】
また、本願の第10の開示は、第1の開示から第5の開示のいずれかの画像形成装置の構成を有する他、以下の構成を有する。
制御部は、ソレノイドアクチュエータに流す電流をデューティ制御により制御可能である。制御部がデューティ比を第1の値とすることで、平均電流値が第1電流値となる。制御部がデューティ比を第1の値より低い第2の値とすることで、平均電流値が第2電流値となる。制御部がデューティ比を第2の値より低い第3の値とすることで、平均電流値が第3電流値となる。
【0021】
また、本願の第11の開示に係る画像形成装置は、感光ドラムと、転写ローラと、定着装置と、シュートと、ソレノイドアクチュエータと、制御部と、を備える。
転写ローラは、感光ドラム上のトナー像をシートに転写する。転写ローラは、感光ドラムとの間で転写ニップを形成する。
定着装置は、加熱回転体と、加圧回転体と、を有する。
加熱回転体は、シートを加熱するための部材である。
加圧回転体は、シートを加圧するための部材である。加圧回転体は、加熱回転体との間で定着ニップを形成する。
シュートは、シートの搬送方向において転写ローラと定着装置との間に配置される。シュートは、シートの下側でシートを案内する。シュートは、第1位置と、第2位置との間で移動可能である。第2位置は、第1位置よりも下の位置である。
ソレノイドアクチュエータは、シュートを移動させるためのアクチュエータである。
制御部は、ソレノイドアクチュエータに流す電流を制御する。制御部は、シートの先端が転写ニップに到達した後に、単位時間当たりの電流の平均値である平均電流値が第1電流値となる電流をソレノイドアクチュエータに流すことで、シュートを第1位置から第2位置に移動させる。制御部は、シュートが第2位置に移動した後であって、シートが転写ニップから定着ニップにわたって存在するときに、平均電流値を第1電流値から、第1電流値よりも低い第2電流値に変更する。制御部は、シートの後端が転写ニップを抜けた後に、ソレノイドアクチュエータへの通電を停止することで、シュートを第1位置に移動させる。
【0022】
ソレノイドアクチュエータへの通電を開始してから停止するまでの間に、制御部が、ソレノイドアクチュエータに流す電流の平均電流値を下げることで、ソレノイドアクチュエータの昇温や消費電力の増加を抑えることができる。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、転写ローラと定着装置の間に配置されるシュートを移動させるためのソレノイドアクチュエータの昇温や消費電力の増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る画像形成装置を示す図であって、シュートが第1位置に位置する状態を示す図である。
図2】シュートが第2位置に位置するときの画像形成装置を示す図である。
図3】シュートを示す斜視図である。
図4】シュートを押圧する押圧装置を示す図であって、シュートが第1位置に位置する状態を示す図である。
図5】押圧装置でシュートを第2位置に移動させた状態を示す図である。
図6】制御部の動作を示すフローチャートである。
図7】平均電流値の変化や各シートセンサの状態を示すタイムチャートである。
図8】印字時におけるシートとシュートの関係を示す図であって、平均電流値を第1電流値にしてから第2電流値に変更するまでの状態を示す図(a)~(c)である。
図9】印字時におけるシートとシュートの関係を示す図であって、平均電流値を第3電流値に変更してからソレノイドアクチュエータをOFFにするまでの状態を示す図(a),(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本開示の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、レーザプリンタである。画像形成装置1は、本体筐体2と、供給部3と、画像形成部4とを備えている。
【0026】
本体筐体2は、排出トレイ21を有する。排出トレイ21は、本体筐体2の上面に位置する。
【0027】
供給部3は、供給トレイ31と、供給機構32とを有する。供給機構32は、供給トレイ31内のシートSを画像形成部4に供給する。
【0028】
画像形成部4は、スキャナユニット5と、カートリッジ6と、定着装置7とを備えている。
【0029】
スキャナユニット5は、図示しないレーザ発光部と、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。スキャナユニット5は、レーザビームを走査して、後述する感光ドラム61の表面を露光する。
【0030】
カートリッジ6は、感光ドラム61と、転写ローラ62と、帯電器63と、現像ローラ64と、トナー収容部65とを備えている。転写ローラ62は、感光ドラム61との間で転写ニップN1を形成している。
【0031】
帯電器63は、感光ドラム61の表面を帯電する。スキャナユニット5は、感光ドラム61の表面を露光する。これにより、感光ドラム61の表面に静電潜像が形成される。現像ローラ64は、トナー収容部65内のトナーを感光ドラム61上の静電潜像に供給する。これにより、感光ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光ドラム61と転写ローラ62の間をシートSが通ると、転写ローラ62が感光ドラム61上のトナー像をシートSに転写する。
【0032】
定着装置7は、シートSにトナー像を定着させる装置である。定着装置7は、加熱ユニット71と、加圧回転体の一例としての加圧ローラ72と、定着ガイド73とを備えている。加熱ユニット71は、加熱回転体の一例としての定着ベルト71Aと、ヒータ71Bと、ホルダ71Cとを備えている。
【0033】
定着ベルト71Aは、シートSを加熱するための部材である。定着ベルト71Aは、無端状のベルトである。定着ベルト71Aは、ヒータ71Bによって加熱される。定着ベルト71Aは、加圧ローラ72の回転に伴って回転する。
【0034】
ヒータ71Bは、定着ベルト71Aの内周面に接触する。ホルダ71Cは、ヒータ71Bを支持する。
【0035】
加圧ローラ72は、シートSを加圧するための部材である。加圧ローラ72は、定着ベルト71Aとの間で定着ニップN2を形成する。定着ベルト71Aと加圧ローラ72の共通接線TLは、シートSの搬送方向の上流側に向かうにつれて下に位置するように延びる。つまり、定着ニップN2でのシートSの搬送方向は、斜め上を向いている。
【0036】
定着ガイド73は、シートSを定着ニップN2に案内するガイドである。定着ガイド73は、シートSの搬送方向上流側に向かうにつれて下に位置するように傾斜する。
【0037】
定着装置7では、シートSが定着ニップN2を通過すると、シートSにトナー像が定着される。トナー像が定着されたシートSは、排出トレイ21に排出される。
【0038】
画像形成装置1は、第1シートセンサSS1と、第2シートセンサSS2と、シュート8とをさらに備える。
第1シートセンサSS1は、定着ニップN2を通過したシートSを検知するセンサである。
第2シートセンサSS2は、転写ニップN1に向けて搬送されるシートSを検知するセンサである。
【0039】
第1シートセンサSS1および第2シートセンサSS2は、例えば、シートSと接触することで回動可能なレバーと、レバーを検知する光センサとを備えた構成とすることができる。本実施形態では、レバーがシートSで押されて、光センサの発光部からの光が受光部で受光された状態を、シートセンサがONになった状態とする。また、レバーからシートSが外れて、光センサの発光部からの光が受光部で受光されなくなった状態を、シートセンサがOFFになった状態とする。
【0040】
シュート8は、シートSの搬送方向において転写ローラ62と定着装置7との間に配置される。詳しくは、シュート8は、シートSの搬送方向において転写ローラ62と定着ガイド73の間に位置する。シュート8は、シートSの下側でシートSを案内する。以下の説明では、シートSの搬送方向を、単に「搬送方向」ともいう。
【0041】
シュート8の搬送方向上流側の端部は、本体筐体2に回動可能に支持されている。シュート8は、図1に示す第1位置と、図2に示す第2位置との間で移動可能である。第2位置は、第1位置よりも下の位置である。詳しくは、シュート8の搬送方向下流側の端部が、第1位置と第2位置との間で移動可能となっている。
【0042】
シュート8が第2位置に位置するとき、シュート8の搬送方向下流側の端部は、シュート8が第1位置に位置するときよりも、定着ガイド73の搬送方向上流側の端部に近い。シュート8が第1位置に位置するとき、シュート8は、シートSを定着ニップN2に向けて案内する。シュート8が第2位置に位置するとき、定着ガイド73とシュート8は、転写ニップN1から定着ニップN2にわたって存在するシートSが下方に撓むための空間を確保する。
【0043】
ここで、画像形成装置1では、転写ニップN1を通過中のシートSを加圧ローラ72等が引っ張ってしまわないように、定着ニップN2におけるシートSの搬送速度は、転写ニップN1におけるシートSの搬送速度よりも小さく設定されている。特に、加圧ローラ72としてゴムローラが採用されている場合、加熱ユニット71によって加圧ローラ72が加熱されることにより、加圧ローラ72の径が膨張して、加圧ローラ72の周速度が大きくなってしまう場合がある。加圧ローラ72の周速度が大きくなってしまうと、定着ニップN2におけるシートSの搬送速度が大きくなってしまう。そのため、加圧ローラ72の膨張により定着ニップN2におけるシートSの搬送速度が大きくなってしまった場合でも転写ニップN1を通過中のシートSを加圧ローラ72等が引っ張ってしまわないように、定着ニップN2におけるシートSの搬送速度は、転写ニップN1におけるシートSの搬送速度よりも一段と小さく設定されている。
【0044】
そのため、転写ニップN1から定着ニップN2にわたって存在するシートSが、下方に大きく撓む場合がある。この場合であっても、シュート8を第2位置に移動させることで、シートSの下方への撓みが許容されるようになっている。
【0045】
図3に示すように、画像形成装置1は、バネSPをさらに備える。バネSPは、シュート8を第2位置から第1位置に付勢するバネである。バネSPは、例えばトーションバネである。
【0046】
シュート8は、シュート本体81と、複数のリブ82と、接触部83とを有する。
シュート本体81は、板状の部位である。
【0047】
複数のリブ82は、シュート本体81の上面から突出する。複数のリブ82は、シートSの幅方向に間隔を空けて並ぶ。以下の説明では、シートSの幅方向を、単に「幅方向」ともいう。
【0048】
接触部83は、シュート本体81の幅方向の一端に位置する。接触部83は、シュート本体81の搬送方向下流側の端部に位置する。
【0049】
図4に示すように、画像形成装置1は、押圧装置90と、制御部100とをさらに備える。
【0050】
押圧装置90は、シュート8をバネSPの付勢力に抗して押圧する装置である。つまり、押圧装置90は、シュート8を第1位置から第2位置に向けて押圧する。
【0051】
押圧装置90は、ソレノイドアクチュエータ91と、第1部材92と、第2部材93と、第3部材94と、引張バネ95とを備えている。
ソレノイドアクチュエータ91は、シュート8を移動させるためのアクチュエータである。ソレノイドアクチュエータ91は、第1部材92を幅方向に引っ張ることが可能となっている。
【0052】
第1部材92は、幅方向に移動可能である。第1部材92の一端部は、第2部材93に係合している。
【0053】
第2部材93の一端部は、本体筐体2に回動可能に支持されている。第2部材93は、図4に示す第1回動位置と、図5に示す第2回動位置との間で回動可能となっている。第2部材93の他端部は、第2部材93が第1回動位置から第2回動位置に回動すると、下に移動する。
【0054】
第3部材94は、第2部材93の他端部に回動可能に支持されている。第3部材94は、上下方向に移動可能である。第3部材94は、下に移動するとき、シュート8の接触部83をバネSPの付勢力に抗して押圧する。
【0055】
引張バネ95は、例えば引張コイルバネである。引張バネ95は、第2部材93を第2回動位置から第1回動位置に向けて付勢する。
【0056】
ソレノイドアクチュエータ91がONになると、第1部材92がソレノイドアクチュエータ91で引っ張られてソレノイドアクチュエータ91側に移動すると、第1部材92に係合する第2部材93が第1回動位置から第2回動位置に回動する。これにより、第3部材94が下がって、シュート8が第1位置から第2位置に移動する。
【0057】
シュート8が第2位置に位置するときに、ソレノイドアクチュエータ91がOFFになると、引張バネ95によって第2部材93が第2回動位置から第1回動位置に回動するとともに、第2部材93と係合する第1部材92がソレノイドアクチュエータ91から離れる方向に移動する。第2部材93が第1回動位置に向けて回動することで、第3部材94がシュート8から離れる方向に移動し、シュート8がバネSPの付勢力によって第2位置から第1位置に移動する。
【0058】
制御部100は、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、ROM等に記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。制御部100は、ソレノイドアクチュエータ91に流す電流を制御することで、シュート8を移動させる機能を有する。
【0059】
具体的に、制御部100は、シートSの先端が定着ニップN2を通過した後に、ソレノイドアクチュエータ91への通電を開始することで、シュート8を第1位置から第2位置に移動させる。ソレノイドアクチュエータ91への通電開始時において、制御部100は、単位時間当たりの電流の平均値である平均電流値Aavが第1電流値A1となる電流をソレノイドアクチュエータ91に流す。第1電流値A1は、シュート8が第1位置から第2位置に移動できる大きさに設定される。
【0060】
制御部100は、第2シートセンサSS2がシートSを検知したことに基づいて、シートSの先端が定着ニップN2を通過したか否かを判定し、通過したと判定した場合に、ソレノイドアクチュエータ91への通電を開始する。詳しくは、制御部100は、第2シートセンサSS2がONになってから、つまりシートSの先端を検知してからの経過時間Tsが第1所定時間T1以上になったかを判定することで、シートSの先端が定着ニップN2を通過したかを判定している。
【0061】
制御部100は、シュート8が第2位置に移動した後に、平均電流値Aavを第1電流値A1から、第1電流値A1よりも低い第2電流値A2に変更する。第2電流値A2は、シュート8を第2位置に維持することが可能な大きさに設定される。そのため、平均電流値Aavが第2電流値A2であるとき、シュート8は、第2位置に位置する。
【0062】
制御部100は、ソレノイドアクチュエータ91への通電を開始してから所定時間の経過後に、平均電流値Aavを第1電流値A1から第2電流値A2に変更する。本実施形態では、制御部100は、第2シートセンサSS2がONになってからの経過時間Tsが、第1所定時間T1よりも長い第2所定時間T2以上になった場合に、平均電流値Aavを第1電流値A1から第2電流値A2に変更する。なお、第2所定時間T2は、ソレノイドアクチュエータ91の昇温や消費電力の増加を抑えるべく、短いほどよい。
【0063】
制御部100は、平均電流値Aavを第2電流値A2に変更した後であって、シートSが転写ニップN1から定着ニップN2にわたって存在するときに、平均電流値Aavを第2電流値A2から、第2電流値A2よりも低い第3電流値A3に変更する。詳しくは、制御部100は、転写ニップN1と定着ニップN2の間で撓むシートSが、第2位置に位置するシュート8に接触した後のタイミングで、平均電流値Aavを第2電流値A2から第3電流値A3に変更する。なお、以下の説明では、「転写ニップN1と定着ニップN2の間で撓むシートSが、第2位置に位置するシュート8に接触した後のタイミング」を、「接触後タイミング」ともいう。
【0064】
第3電流値A3は、ソレノイドアクチュエータ91からシュート8に伝わる力と、転写ニップN1と定着ニップN2の間で撓むシートSがシュート8を下方に押す力との合力によって、シュート8を第1位置と第2位置との間に位置させることが可能な大きさに設定される。そのため、平均電流値Aavが第3電流値A3であるとき、シュート8は、第1位置と第2位置との間に位置する。なお、第3電流値A3は、実験やシミュレーション等によって適宜設定することができる。第3電流値A3は、0よりも大きい。
【0065】
また、接触後タイミングは、シートSがシュート8を押す力が所定値以上になったタイミングに設定される。接触後タイミングは、実験やシミュレーション等によって適宜設定することができる。
【0066】
制御部100は、第1シートセンサSS1がシートSの先端を検知したことに基づいて、接触後タイミングになったか否かを判定し、接触後タイミングになったと判定した場合に、平均電流値Aavを第2電流値A2から第3電流値A3に変更する。詳しくは、制御部100は、第1シートセンサSS1がONになってからの経過時間Tfが第3所定時間T3以上になったかを判定することで、接触後タイミングになったかを判定する。
【0067】
なお、本実施形態では、第3所定時間T3を非常に短い時間、例えば0に設定していることとする。具体的には、第1シートセンサSS1でシートSの先端を検知した時点と略同じ時点を、接触後タイミングに設定している。言い換えると、制御部100は、第1シートセンサSS1がONになった時点と略同じ時点で、平均電流値Aavを第2電流値A2から第3電流値A3に変更する。つまり、本実施形態では、撓んだシートSがシュート8に接触した直後に当該シートSの先端を検知できる位置に、第1シートセンサSS1が配置されている。
【0068】
制御部100は、シートSの後端が転写ニップN1を抜けた後に、ソレノイドアクチュエータ91への通電を停止することで、シュート8を第1位置に移動させる。例えば、制御部100は、第2シートセンサSS2でシートSの後端を検知してから、つまり第2シートセンサSS2がONからOFFになってからの経過時間が第4所定時間以上になったか否かを判定することで、シートSの後端が転写ニップN1を抜けたか否かを判定する。
【0069】
なお、ソレノイドアクチュエータ91への通電を停止するタイミングは、シートSの後端が転写ニップN1を抜けた直後が望ましい。シートSの後端が転写ニップN1を抜けた場合には、シートSがシュート8を押す力がなくなるが、シュート8は、ソレノイドアクチュエータ91からの力によって第1位置には戻らない。そのため、シートSの後端が転写ニップN1を抜けた直後にソレノイドアクチュエータ91への通電を停止することで、シュート8を迅速に第1位置に戻すことができる。
【0070】
制御部100は、ソレノイドアクチュエータ91に流す電流をデューティ制御により制御可能である。制御部100がデューティ比を第1の値とすることで、平均電流値Aavが第1電流値A1となる。制御部100がデューティ比を第1の値より低い第2の値とすることで、平均電流値Aavが第2電流値A2となる。制御部100がデューティ比を第2の値より低い第3の値とすることで、平均電流値Aavが第3電流値A3となる。ここで、デューティ制御において、平均電流値Aavを決めるための単位時間は、例えば、デューティ制御の周期以上の時間である。
【0071】
次に、制御部100の動作について図6を参照して説明する。制御部100は、印字指令を受けると、図6に示すシュート移動処理を、シートSごとに実行する。
【0072】
図6に示すシュート移動処理において、制御部100は、まず、第2シートセンサSS2がOFFからONになったか否かを判定する(S1)。制御部100は、第2シートセンサSS2がONになるまで、ステップS1の処理を繰り返す(S1:No)。
【0073】
ステップS1において第2シートセンサSS2がONになったと判定すると(Yes)、制御部100は、第2シートセンサSS2がONになってからの経過時間Tsが、第1所定時間T1以上になったか否かを判定する(S2)。制御部100は、Ts≧T1になるまで、ステップS2の処理を繰り返す(S2:No)。
【0074】
ステップS2においてTs≧T1になったと判定した場合には(Yes)、制御部100は、平均電流値Aavが第1電流値A1となる電流をソレノイドアクチュエータ91に流して、ソレノイドアクチュエータ91の通電を開始する(S3)。平均電流値Aavが第1電流値A1となる電流をソレノイドアクチュエータ91に流すことで、シュート8が第1位置から第2位置に移動する。
【0075】
ステップS3の後、制御部100は、経過時間Tsが第2所定時間T2以上になったか否かを判定する(S4)。制御部100は、Ts≧T2になるまで、ステップS4の処理を繰り返す(S4:No)。
【0076】
ステップS4においてTs≧T2になったと判定した場合には(Yes)、制御部100は、平均電流値Aavを第1電流値A1から第2電流値A2に下げる(S5)。平均電流値Aavを第2電流値A2に下げても、シュート8は第2位置に維持される。
【0077】
ステップS5の後、制御部100は、第1シートセンサSS1がONになってからの経過時間Tfが、第3所定時間T3以上になったか否かを判定する(S6)。制御部100は、Tf≧T3になるまで、ステップS6の処理を繰り返す(S6:No)。
【0078】
ステップS6においてTf≧T3になったと判定した場合には(Yes)、制御部100は、平均電流値Aavを第2電流値A2から第3電流値A3に下げる(S7)。平均電流値Aavを第3電流値A3に下げることで、シュート8は第1位置と第2位置の間に位置する。
【0079】
ステップS7の後、制御部100は、ソレノイドアクチュエータ91への通電を停止して(S8)、本処理を終了する。詳しくは、ステップS8において、制御部100は、第2シートセンサSS2でシートSの後端を検知してからの経過時間に基づいて、シートSの後端が転写ニップN1を抜けたか否かを判定し、抜けたと判定した場合に、ソレノイドアクチュエータ91への通電を停止する。
【0080】
次に、図7から図9を参照して、印字指令を受けた制御部100の動作、平均電流値Aavの変化、各シートセンサの状態、および、シュート8の動きについて説明する。
制御部100は、印字指令を受けると、シートSの搬送を開始する。シートSが第2シートセンサSS2に到達すると、図7に示すように、第2シートセンサSS2がOFFからONになる(時刻t1)。制御部100は、時刻t1からの経過時間Tsが第1所定時間T1以上になったか否かを判定することで、シートSの先端が定着ニップN2を通過したか否かを判定する。
【0081】
経過時間Tsが第1所定時間T1以上になった場合、制御部100は、平均電流値Aavを第1電流値A1にしてソレノイドアクチュエータ91への通電を開始する(時刻t2)。ソレノイドアクチュエータ91への通電を開始すると、図8(a),(b)の順で示すように、シュート8は、第1位置から第2位置に移動して、シートSから離れる。シュート8がシートSから離れると、シートSは、定着ニップN2と転写ニップN1との搬送速度の違いにより、図8(c)に示すように、徐々に下方に撓んでいく。
【0082】
図7に戻って、時刻t1からの経過時間Tsが第2所定時間T2以上になると、制御部100は、平均電流値Aavを第1電流値A1から第2電流値A2に下げる(時刻t3)。第2電流値A2はシュート8を第2位置に維持できる電流値であるため、図8(b)に示すように、平均電流値Aavを第2電流値A2に下げても、シュート8は第2位置に維持される。
【0083】
その後、シートSの先端が第1シートセンサSS1に到達すると、第1シートセンサSS1がOFFからONになる(時刻t4)。第1シートセンサSS1がOFFからONになると、制御部100は、第1シートセンサSS1がONになった時点と略同じ時点で、平均電流値Aavを第2電流値A2から第3電流値A3に下げる。なお、この際、撓んだシートSは、既にシュート8を下に押している。
【0084】
平均電流値Aavを第3電流値A3に下げると、図9(a)に示すように、ソレノイドアクチュエータ91からシュート8に伝わる力と、撓んだシートSがシュート8を下に押す力との合力によって、シュート8が第1位置と第2位置との間に位置する。
【0085】
図7に戻って、シートSの後端が第2シートセンサSS2から外れると、第2シートセンサSS2がONからOFFに切り替わる(時刻t5)。制御部100は、時刻t5からの経過時間が第4所定時間T4以上になったかを判定することで、シートSの後端が転写ニップN1を抜けたか否かを判定する。
【0086】
制御部100は、シートSの後端が転写ニップN1を抜けたと判定すると、ソレノイドアクチュエータ91への通電を停止する(時刻t6)。ソレノイドアクチュエータ91への通電が停止されると、図9(b)に示すように、シュート8が、第1位置と第2位置の間の位置から第1位置に戻る。
【0087】
以上、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
ソレノイドアクチュエータ91への通電を開始してから停止するまでの間に、制御部100が、ソレノイドアクチュエータ91に流す電流の平均電流値Aavを徐々に下げるため、ソレノイドアクチュエータ91の昇温や消費電力の増加を抑えることができる。
【0088】
第2電流値A2を、シュート8を第2位置に維持できる大きさにすることで、平均電流値Aavを第1電流値A1から第2電流値A2に下げても、シュート8が第2位置に維持されるので、シートSの撓みを許容することができる。
【0089】
転写ニップN1と定着ニップN2の間で撓むシートSが、第2位置に位置するシュート8に接触した後のタイミングで、平均電流値Aavが第2電流値A2から第3電流値A3に変更されるので、撓んだシートSがシュート8をバネSPの付勢力に抗して押した後に、平均電流値Aavが第3電流値A3に下げられることになる。そのため、ソレノイドアクチュエータ91によるシュート8を押す力が弱くなっても、撓んだシートSがシュート8を押す力で補助することができるので、シュート8がバネSPの力で第1位置に戻らず、シートSの撓みを許容するためのバッファ空間を確保できる。
【0090】
平均電流値Aavが第3電流値A3であるときにシュート8が第1位置と第2位置との間に位置することで、ソレノイドアクチュエータ91への通電を停止してからシュート8が第1位置に戻るまでの時間を短縮できるので、次に搬送するシートSを早いタイミングで供給することができ、シートS同士の間隔を小さくすることができる。
【0091】
制御部100が、定着ニップN2を通過したシートSの先端を第1シートセンサSS1で検知したことに基づいて、平均電流値Aavを第2電流値A2から第3電流値A3に変更するので、平均電流値Aavを第3電流値A3に変更するタイミングを、より確実に、接触後タイミングとすることができる。また、平均電流値Aavを第3電流値A3に変更するタイミングを、第1シートセンサSS1でシートSの先端を検知した時点と略同じ時点とすることで、熱の影響で加圧ローラ72の径が変化してシートSの搬送速度が変わった場合でも、平均電流値Aavを第3電流値A3に変更するタイミングを適正なタイミングに維持することができる。
【0092】
なお、本開示は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0093】
ソレノイドアクチュエータへの通電を開始するタイミングは、シートの先端が転写ニップに到達した後であればよい。例えば、シートの先端が定着ニップに到達する直前で、ソレノイドアクチュエータへの通電を開始してもよい。言い換えると、シートの先端が定着ガイド73に到達したタイミングで、ソレノイドアクチュエータへの通電を開始してもよい。
【0094】
平均電流値を第1電流値にしてソレノイドアクチュエータへの通電を開始してから、平均電流値を第1電流値から第2電流値に変更し、その後、ソレノイドアクチュエータへの通電を停止してもよい。この場合、制御部は、シートの先端が転写ニップに到達した後に、平均電流値が第1電流値となる電流をソレノイドアクチュエータに流すことで、シュートを第1位置から第2位置に移動させる。制御部は、シュートが第2位置に移動した後であって、シートが転写ニップから定着ニップにわたって存在するときに、平均電流値を第1電流値から、第1電流値よりも低い第2電流値に変更する。制御部は、シートの後端が転写ニップを抜けた後に、ソレノイドアクチュエータへの通電を停止することで、シュートを第1位置に移動させる。
【0095】
この場合、制御部は、図6に示す処理から、ステップS6,S7を削除した処理を実行すればよい。このような形態であっても、ソレノイドアクチュエータへの通電を開始してから停止するまでの間に、制御部が、ソレノイドアクチュエータに流す電流の平均電流値を下げるため、ソレノイドアクチュエータの昇温や消費電力の増加を抑えることができる。
【0096】
シュートは、回動に限らず、例えば、直線的に移動可能であってもよい。
【0097】
加熱回転体は、例えば、加熱ローラなどであってもよい。
【0098】
加圧回転体は、例えば、加熱ローラとゴムパッドの間で挟まれるベルトなどであってもよい。
【0099】
ソレノイドアクチュエータの電流の制御は、デューティ制御に限らず、例えば、ソレノイドアクチュエータに流す電流を段階的に下げていく制御など、どのような制御であってもよい。
【0100】
シュートをバネの付勢力に抗して押すための構造は、前記実施形態に限らず、例えば、ソレノイドアクチュエータで直接シュートを押す構造であってもよい。
【0101】
バネは、例えば、板バネ、線バネ、圧縮コイルバネ、引張コイルバネなどであってもよい。
【0102】
画像形成装置は、例えば、カラープリンタ、複写機、複合機などであってもよい。
【0103】
平均電流値が第3電流値であるとき、シュートは、第2位置に位置してもよい。つまり、第3電流値は、ソレノイドアクチュエータからシュートに伝わる力と、転写ニップと定着ニップの間で撓むシートがシュートを下方に押す力との合力によって、シュートを第2位置に位置させることが可能な大きさに設定されてもよい。この場合、シートの搬送が進む過程でシートの撓みが大きくなり、シートがシュートを下方に押す力が大きくなることで、電流値を第2電流値よりも低い第3電流値にしても、シュートを第2位置に位置させたまま撓みを吸収できる。
【0104】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 画像形成装置
7 定着装置
8 シュート
61 感光ドラム
62 転写ローラ
71A 定着ベルト
72 加圧ローラ
91 ソレノイドアクチュエータ
100 制御部
A1 第1電流値
A2 第2電流値
A3 第3電流値
Aav 平均電流値
N1 転写ニップ
N2 定着ニップ
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9