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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147075
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20241008BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20241008BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20241008BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20241008BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
H04N23/50
H04N23/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059849
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
【テーマコード(参考)】
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2K005BA52
2K005CA04
2K005CA22
2K005CA34
2K005CA42
2K005CA53
5C122DA09
5C122EA41
5C122EA56
5C122EA57
5C122FB03
5C122FB08
5C122GE04
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122GE22
(57)【要約】
【課題】可動体を揺動可能に支持するジンバル機構の構成を簡素化するとともに、組立性の向上を図る。
【解決手段】振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体5と固定体8とを第1軸周りおよび第2軸周りに回転可能に接続するジンバル機構7を備える。ジンバル機構7は、可動体5の外周側を囲む樹脂製のケース13に対してジンバルフレーム70を第2軸周りに回転可能に接続するケース接続機構72を備える。ケース接続機構72は、一対のケース対角部31を第2軸方向に貫通する一対の第2軸側シャフト固定孔34と、第2軸側シャフト固定孔34に圧入されて第2軸R2上を内周側に突出する一対の第2軸側シャフト82と、ジンバルフレーム70の第2軸方向の対角位置に設けられて第2軸側シャフト82の先端が接触する第2軸側凹曲面78を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動体および固定体と、
前記固定体に対して前記可動体を第1軸を中心とする第1軸周りに揺動可能に支持するとともに前記第1軸と交差する第2軸を中心とする第2軸周りに揺動可能に支持するジンバル機構と、を有し、
前記固定体は、前記可動体の外周側を囲む樹脂製のケースを備え、
前記ジンバル機構は、ジンバルフレームと、前記ケースに対して前記ジンバルフレームを前記第2軸周りに回転可能に接続するケース接続機構と、を備え、
前記第2軸に沿う方向を第2軸方向とする場合に、
前記ケース接続機構は、前記ケースの前記第2軸方向の対角部分である一対のケース対角部を前記第2軸方向に貫通する一対の第2軸側シャフト固定孔と、前記第2軸側シャフト固定孔に圧入されて前記第2軸上を内周側に突出する一対の第2軸側シャフトと、前記ジンバルフレームの前記第2軸方向の対角位置に設けられて前記第2軸側シャフトの先端が接触する第2軸側凹曲面と、を備えることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記第2軸側シャフト固定孔は、前記ケース対角部に設けられたケース凹部の内側に開口し、
前記ジンバルフレームは、ジンバルフレーム中央部と、前記ジンバルフレーム中央部の前記第2軸方向の両端から前記ケース凹部の底面に向けて延びる一対の第2軸側延設部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記底面と前記第2軸側延設部の先端との隙間は、前記第2軸側延設部に設けられた前記第2軸側凹曲面の半径より小さいことを特徴とする請求項2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記ケースは、前記ケース凹部の内周側に位置するケース抜け防止部を備え、
前記第1軸と交差し且つ前記第2軸と交差する第3軸に沿う方向を第3軸方向とする場合に、
前記ジンバルフレームは、ジンバルフレーム中央部と、前記ジンバルフレーム中央部の前記第2軸方向の両端から突出する一対の第2軸側延設部と、を備え、
前記第2軸側延設部は、前記ケース凹部の内周面と前記ケース抜け防止部との間を前記第3軸方向に延びる第2軸側直線部と、前記第2軸側直線部の先端から内周側に屈曲した第2軸側フックと、を備え、
前記第2軸側フックは、前記ケース抜け防止部と前記第3軸方向で重なることを特徴とする請求項2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記ケース対角部の外周面から前記第2軸方向に凹む外周側凹部を備え、
前記第2軸側シャフト固定孔は、前記外周側凹部の内側で開口することを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記外周側凹部に前記第2軸側シャフトを固定する接着剤が配置されることを特徴とする請求項5に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記可動体は、カメラモジュールおよび前記カメラモジュールを保持するホルダを備え、
前記第1軸および前記第2軸は、前記カメラモジュールの光軸と交差し、
前記ジンバル機構は、前記ホルダと前記ジンバルフレームとを前記第1軸周りに回転可能に接続するホルダ接続機構を備え、
前記第1軸に沿う方向を第1軸方向とする場合に、
前記ホルダ接続機構は、前記カメラモジュールの外周側を囲む前記ホルダの前記第1軸方向の対角部分である一対のホルダ対角部を前記第1軸方向に貫通する一対の第1軸側シャフト固定孔と、前記第1軸側シャフト固定孔に圧入されて前記第1軸上を内周側に突出する一対の第1軸側シャフトと、前記ジンバルフレームの前記第1軸方向の対角位置に設けられて前記第1軸側シャフトの先端が接触する第1軸側凹曲面と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
前記第1軸側シャフト固定孔は、前記ホルダ対角部に設けられたホルダ凹部の内側に開口し、
前記ジンバルフレームは、ジンバルフレーム中央部と、前記ジンバルフレーム中央部の前記第1軸方向の両端から前記ホルダ凹部の底面に向けて延びる一対の第1軸側延設部を備えることを特徴とする請求項7に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項9】
前記底面と前記第1軸側延設部の先端との隙間は、前記第1軸側延設部に設けられた前記第1軸側凹曲面の半径より小さいことを特徴とする請求項8に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項10】
前記ホルダは、前記ホルダ凹部の内周側に位置するホルダ抜け防止部を備え、
前記第1軸と交差し且つ前記第2軸と交差する第3軸に沿う方向を第3軸方向とする場合に、
前記ジンバルフレームは、ジンバルフレーム中央部と、前記ジンバルフレーム中央部の前記第1軸方向の両端から突出する一対の第1軸側延設部と、を備え、
前記第1軸側延設部は、前記ホルダ凹部の内周面と前記ホルダ抜け防止部との間を前記第3軸方向に延びる第1軸側直線部と、前記第1軸側直線部の先端から内周側に屈曲した第1軸側フックと、を備え、
前記第1軸側フックは、前記ホルダ抜け防止部と前記第3軸方向で重なることを特徴とする請求項8に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項11】
前記ホルダは、前記第1軸側シャフトをかしめ固定するかしめ部を備えることを特徴とする請求項7に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を光軸と交差する軸周りに揺動させて振れを補正する振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットの中には、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、カメラモジュールが搭載される可動体を、光軸周り、あるいは、光軸と交差する軸線回りに揺動させるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが記載される。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュール(撮像モジュール)を備える可動体と、固定体と、可動体を光軸周りに回転可能に支持する回転支持機構と、回転支持機構を介して可動体を光軸と交差する第1軸周りおよび第2軸周りに回転可能に支持するジンバル機構を有する。固定体は、可動体、回転支持機構、およびジンバル機構の外周側を囲む金属製のケースを備える。ジンバル機構は、ジンバルフレームの対角位置に凹曲面を設け、ケースの対角位置に固定されたシャフトの先端面を凹曲面に接触させることにより、固定体に接続される。
【0004】
特許文献1では、ジンバルフレームを固定体に回転可能に接続するための接続機構として、金属板を曲げたばね部材に球体を固定した専用部品の代わりに、先端に半球面を形成したシャフトを使用する。シャフトは、金属製のケースの対角位置に設けられた筒部に圧入されることにより、ケースに保持される。シャフトの先端に設けられた半球面は、筒部からケースの内周側に突出して、ジンバルフレームに設けられた凹曲面に点接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-028657号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ジンバルフレームを固定体に回転可能に接続するための接続機構において、半球面を備えたシャフトを金属製のケースに固定する構造とした場合、シャフトの安定した固定が難しい。例えば、特許文献1では、金属板を折り曲げて溶接することによりケースを製造しており、シャフトを挿入するための筒部をバーリング加工により形成する。そのため、筒部の長さを長くすることは難しく、圧入長さを確保することは難しい。よって、シャフトの固定が不安定になる。また、金属の筒部にシャフトを圧入する作業は簡単ではなく、シャフトの先端部に傷がつきやすいという問題もある。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、可動体を揺動可能に支持するジンバル機構の構成を簡素化するとともに、組立性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、可動体および固定体と、前記固定体に対して前記可動体を第1軸を中心とする第1軸周りに揺動可能に支持するとともに前記第1軸と交差する第2軸を中心とする第2軸周りに揺動可能に支持するジンバル機構と、を有し、前記固定体は、前記可動体の外周側を囲む樹脂製のケースを備え、前記ジンバル機構は、ジンバルフレームと、前記ケースに対して前記ジンバル
フレームを前記第2軸周りに回転可能に接続するケース接続機構と、を備え、前記第2軸に沿う方向を第2軸方向とする場合に、前記ケース接続機構は、前記ケースの前記第2軸方向の対角部分である一対のケース対角部を前記第2軸方向に貫通する一対の第2軸側シャフト固定孔と、前記第2軸側シャフト固定孔に圧入されて前記第2軸上を内周側に突出する一対の第2軸側シャフトと、前記ジンバルフレームの前記第2軸方向の対角位置に設けられて前記第2軸側シャフトの先端が接触する第2軸側凹曲面と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ジンバルフレームに点接触して第2軸周りに摺動する部品をケースに取り付ける際、従来のように金属製のばね部材に球体を溶接した専用部品を製造する必要がないので、部品コストを下げることができる。また、樹脂製のケースに第2軸側シャフトを圧入して固定することにより、固定箇所の厚さを確保できるので、第2軸側シャフトの圧入長さを確保できる。従って、第2軸側シャフトを安定して固定することができる。また、樹脂製のケースを貫通する孔に第2軸側シャフトを圧入する作業は、金属の筒部に圧入するよりも容易である。従って、傷が付きにくく、組立性が向上する。
【0010】
本発明において、前記第2軸側シャフト固定孔は、前記ケース対角部に設けられたケース凹部の内側に開口し、前記ジンバルフレームは、ジンバルフレーム中央部と、前記ジンバルフレーム中央部の前記第2軸方向の両端から前記ケース凹部の底面に向けて延びる一対の第2軸側延設部と、を備えることが好ましい。このようにすると、ケース凹部の内側に第2軸側延設部を保持できるので、組立が容易である。
【0011】
本発明において、前記底面と前記第2軸側延設部の先端との隙間は、前記第2軸側延設部に設けられた前記第2軸側凹曲面の半径より小さいことが好ましい。このようにすると、ケース接続機構を組み立てる際、第2軸側シャフトの先端が第2軸側凹曲面の外周側でなく第2軸側凹曲面に必ず当たる。従って、第2軸方向の与圧を付与することにより、自動的に第2軸側凹曲面の中央に第2軸側シャフトの先端が位置決めされるので、組立が容易である。
【0012】
本発明において、前記ケースは、前記ケース凹部の内周側に位置するケース抜け防止部を備え、前記第1軸と交差し且つ前記第2軸と交差する第3軸に沿う方向を第3軸方向とする場合に、前記ジンバルフレームは、ジンバルフレーム中央部と、前記ジンバルフレーム中央部の前記第2軸方向の両端から突出する一対の第2軸側延設部と、を備え、前記第2軸側延設部は、前記ケース凹部の内周面と前記ケース抜け防止部との間を前記第3軸方向に延びる第2軸側直線部と、前記第2軸側直線部の先端から内周側に屈曲した第2軸側フックと、を備え、前記第2軸側フックは、前記ケース抜け防止部と前記第3軸方向で重なることが好ましい。このようにすると、ケース抜け防止部と第2軸側フックによって、第2軸側延設部のケースからの抜け防止を図ることができる。
【0013】
本発明において、前記ケース対角部の外周面から前記第2軸方向に凹む外周側凹部を備え、前記第2軸側シャフト固定孔は、前記外周側凹部の内側で開口することが好ましい。このようにすると、第2軸側シャフトを圧入する際、外周側凹部によって第2軸側シャフトをガイドすることができる。従って、組立性を高めることができる。
【0014】
本発明において、前記外周側凹部に前記第2軸側シャフトを固定する接着剤が配置されることが好ましい。このようにすると、第2軸側シャフトの脱落や位置ずれを防止できる。
【0015】
本発明において、前記可動体は、カメラモジュールおよび前記カメラモジュールを保持するホルダを備え、前記第1軸および前記第2軸は、前記カメラモジュールの光軸と交差
し、前記ジンバル機構は、前記ホルダと前記ジンバルフレームとを前記第1軸周りに回転可能に接続するホルダ接続機構を備え、前記第1軸に沿う方向を第1軸方向とする場合に、前記ホルダ接続機構は、前記カメラモジュールの外周側を囲む前記ホルダの前記第1軸方向の対角部分である一対のホルダ対角部を前記第1軸方向に貫通する一対の第1軸側シャフト固定孔と、前記第1軸側シャフト固定孔に圧入されて前記第1軸上を内周側に突出する一対の第1軸側シャフトと、前記ジンバルフレームの前記第1軸方向の対角位置に設けられて前記第1軸側シャフトの先端が接触する第1軸側凹曲面と、を備えることが好ましい。このようにすると、ホルダ接続機構においても、ケース接続機構と同様に、部品コストを下げることができる。また、樹脂製のホルダに第1軸側シャフトを圧入して固定することにより、固定箇所の厚さを確保できるので、第1軸側シャフトの圧入長さを確保できる。従って、第1軸側シャフトを安定して固定することができる。また、樹脂製のホルダを貫通する孔に第1軸側シャフトを圧入する作業は、金属の筒部に圧入するよりも容易である。従って、傷が付きにくく、組立性が向上する。
【0016】
本発明において、前記第1軸側シャフト固定孔は、前記ホルダ対角部に設けられたホルダ凹部の内側に開口し、前記ジンバルフレームは、ジンバルフレーム中央部と、前記ジンバルフレーム中央部の前記第1軸方向の両端から前記ホルダ凹部の底面に向けて延びる一対の第1軸側延設部を備えることが好ましい。このようにすると、ホルダ凹部の内側に第1軸側延設部を保持できるので、組立が容易である。
【0017】
本発明において、前記底面と前記第1軸側延設部の先端との隙間は、前記第1軸側延設部に設けられた前記第1軸側凹曲面の半径より小さいことが好ましい。このようにすると、ホルダ接続機構を組み立てる際、第1軸側シャフトの先端が第1軸側凹曲面の外周側でなく第1軸側凹曲面に必ず当たる。従って、第1軸方向の与圧を付与することにより、自動的に第1軸側凹曲面の中央に第1軸側シャフトの先端が位置決めされるので、組立が容易である。
【0018】
本発明において、前記ホルダは、前記ホルダ凹部の内周側に位置するホルダ抜け防止部を備え、前記第1軸と交差し且つ前記第2軸と交差する第3軸に沿う方向を第3軸方向とする場合に、前記ジンバルフレームは、ジンバルフレーム中央部と、前記ジンバルフレーム中央部の前記第1軸方向の両端から突出する一対の第1軸側延設部と、を備え、前記第1軸側延設部は、前記ホルダ凹部の内周面と前記ホルダ抜け防止部との間を前記第3軸方向に延びる第1軸側直線部と、前記第1軸側直線部の先端から内周側に屈曲した第1軸側フックと、を備え、前記第1軸側フックは、前記ホルダ抜け防止部と前記第3軸方向で重なることが好ましい。このようにすると、ホルダ抜け防止部と第1軸側フックによって、第1軸側延設部のホルダからの抜け防止を図ることができる。
【0019】
本発明において、前記ホルダは、前記第1軸側シャフトをかしめ固定するかしめ部を備えることが好ましい。このようにすると、第1軸側シャフトの脱落や位置ずれを防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ジンバルフレームに点接触して第2軸周りに摺動する部品をケースに取り付ける際、従来のように金属製のばね部材に球体を溶接した専用部品を製造する必要がないので、部品コストを下げることができる。また、樹脂製のケースに第2軸側シャフトを圧入して固定することにより、固定箇所の厚さを確保できるので、第2軸側シャフトの圧入長さを確保できる。従って、第2軸側シャフトを安定して固定することができる。また、シャフトに傷が付きにくく、組立性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】振れ補正機能付き光学ユニットの外観斜視図である。
図2】振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図3】カバーを取り外した振れ補正機能付き光学ユニットを被写体側から見た平面図である。
図4図3のA-A位置で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
図5図3のB-B位置で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
図6】カメラモジュールを取り外した可動体の分解斜視図である。
図7】ホルダ接続機構の組立方法の説明図である。
図8】ケース接続機構の組立方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0023】
(全体構成)
図1は振れ補正機能付き光学ユニット1の外観斜視図である。図2は、振れ補正機能付き光学ユニット1の分解斜視図である。図3は、カバーを取り外した振れ補正機能付き光学ユニット1を被写体側から見た平面図である。図4は、図3のA-A位置で切断した振れ補正機能付き光学ユニット1の断面図である。図5は、図3のB-B位置で切断した振れ補正機能付き光学ユニット1の断面図である。図6は、カメラモジュール4を取り外した可動体5の分解斜視図である。
【0024】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2および撮像素子3を備えたカメラモジュール4を有する(図4図5参照)。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、可動体の傾きを補正する。
【0025】
本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、光軸Lと直交する第1軸周り、並びに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸周りにカメラモジュール4を回転させて振れ補正を行う。従って、振れ補正機能付き光学ユニット1は、ピッチング補正およびヨーイング補正を行う。
【0026】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、Z軸とする。X軸方向の一方側をX1方向、他方側をX2方向とする。Y軸方向の一方側をY1方向、他方側をY2方向とする。Z軸方向の一方側をZ1方向、他方側をZ2方向とする。Z軸方向は、カメラモジュール4が備えるレンズ2の光軸Lに沿った光軸方向である。Z1方向は、カメラモジュール4の被写体側であり、Z2方向は、カメラモジュール4の反被写体側である。第1軸R1および第2軸R2は、Z軸に対して直交する。第1軸R1に沿った方向を第1軸方向とし、第2軸R2に沿った方向を第2軸方向とする。Z軸は第3軸であり、Z軸に沿う方向を第3軸方向とする。第1軸R1および第2軸R2は、Z2軸周りでX軸およびY軸に対して45度傾斜する。
【0027】
図1図2図3に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール4を備える可動体5と、可動体5を第1軸周りに回転可能に支持するとともに、第2軸周りに回転可能に支持するジンバル機構7と、ジンバル機構7を介して可動体5を支持する固定体8を有する。ここで、可動体5は、第1軸周りの回転および第2軸周りの回転を
合成することによりX軸周りおよびY軸周りに揺動可能である。
【0028】
また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体5を第1軸周りおよび第2軸周りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構10を有する。振れ補正用磁気駆動機構10は、可動体5に対してX軸周りの駆動力を発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構11と、可動体5に対してY軸周りの駆動力を発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構12と、を備える。第1振れ補正用磁気駆動機構11は、可動体5のY2方向に配置される。第2振れ補正用磁気駆動機構12は、可動体5のX2方向に配置される。
【0029】
(固定体)
図2に示すように、固定体8は、樹脂製のケース13と、ケース13のZ1方向の端面に固定される枠状のカバー14と、ケース13のZ2方向の端面に固定されるベース15を備える。カバー14およびベース15は、非磁性の金属からなる。ケース13は、可動体5を外周側から囲む矩形の枠部16と、枠部16のX1方向に配置される配線収容部17を備える。カバー14は、枠部16のZ1方向の端面に固定される。カバー14の開口部140からは、カメラモジュール4およびジンバル機構7がZ1方向に突出する(図1参照)。枠部16は、Y2方向で対向する第1側壁部161および第2側壁部162と、X2方向で対向する第3側壁部163および第4側壁部164を備える。第1側壁部161は、第2側壁部162のY2方向に位置する。第3側壁部163は、第4側壁部164のX2方向に位置する。
【0030】
図2に示すように、第1側壁部161には、第1コイル固定穴165が設けられている。第1コイル固定穴165には第1コイル11Cが配置される。第3側壁部163には、第2コイル固定穴166が設けられている。第2コイル固定穴166には第2コイル12Cが配置される。第1コイル11Cおよび第2コイル12Cは、周方向に長い長円形の空芯コイルである。
【0031】
図3に示すように、第1側壁部161に固定された第1コイル11Cと可動体5のY2方向の側面に固定された第1磁石11MとはX方向で対向しており、第1振れ補正用磁気駆動機構11を構成する。また、第3側壁部163に固定された第2コイル12Cと可動体5のY2方向の側面に固定された第2磁石12MとはY方向で対向しており、第2振れ補正用磁気駆動機構12を構成する。
【0032】
図2に示すように、第1コイル11Cおよび第2コイル12Cは、フレキシブルプリント基板18に電気的に接続される。フレキシブルプリント基板18は、枠部16における第1側壁部161および第3側壁部163の外周面に沿って引き回された後、X1方向へ延びて、配線基板(図示せず)に接続される。第4側壁部164には、Z1方向に切欠いた切欠き部167が設けられている。カメラモジュール4からX1方向に引き出されるフレキシブルプリント基板(図示せず)は、切欠き部167を介して枠部16のX1方向に引き出され、配線収容部17に収容される。
【0033】
(可動体)
可動体5は、カメラモジュール4と、カメラモジュール4を外周側から囲む枠状のホルダ20を備える。図4図5に示すように、カメラモジュール4は、カメラモジュール本体4Aと、カメラモジュール本体4Aの中央部分からZ1方向に突出する鏡筒部4Bと、カメラモジュール本体4AのZ2方向の端部に固定される基板4Cを備える。撮像素子3は基板4C上に配置され、レンズ2の光軸L上に配置される。鏡筒部4Bにはレンズ2が保持される。
【0034】
カメラモジュール4を光軸方向から見た場合の形状は、略8角形である。図3図6
示すように、ホルダ20は、カメラモジュール4のY2方向の側面に沿う第1枠部21と、カメラモジュール4のY1方向の側面に沿う第2枠部22と、カメラモジュール4のX2方向の側面に沿う第3枠部23と、カメラモジュール4のX1方向の側面に沿う第4枠部24を備える。
【0035】
図3図6に示すように、ホルダ20の第1枠部21には、第1振れ補正用磁気駆動機構11の第1磁石11Mが固定され、第3枠部23には、第2振れ補正用磁気駆動機構12の第2磁石12Mが固定される。第1磁石11Mおよび第2磁石12MはZ2軸方向に2分割されている。また、第1枠部21には、第1磁石11Mの内周側に第1ヨーク11Yが固定され、第3枠部23には、第2磁石12Mの内周側に第2ヨーク12Yが固定される。第1ヨーク11Yおよび第2ヨーク12Yは、磁性板からなる。
【0036】
図2に示すように、フレキシブルプリント基板18には、第1コイル11Cの中心と重なる位置、および、第2コイル12Cの中心と重なる位置に磁性板19が固定される。第1コイル11Cの中心に配置される磁性板19は、第1磁石11Mと対向しており、可動体5をX軸周りの回転方向における基準回転位置に復帰させるための磁気バネを構成している。第2コイル12Cの中心に配置される磁性板19は、可動体5の第2磁石12Mと対向しており、可動体5をY軸周りの回転方向における基準回転位置に復帰させるための磁気バネを構成している。
【0037】
(ジンバル機構)
図3図4図5に示すように、ジンバル機構7は、ジンバルフレーム70と、ジンバルフレーム70とホルダ20とを第1軸周りに回転可能に接続するホルダ接続機構71と、ジンバルフレーム70とケース13とを第2軸周りに回転可能に接続するケース接続機構72を備える。ジンバルフレーム70は、金属製の板バネからなる。図2図4図5に示すように、ジンバルフレーム70は、カメラモジュール本体4AのZ1方向に位置するジンバルフレーム中央部73と、ジンバルフレーム中央部73から第1軸方向の両側に突出してZ2方向に延びる一対の第1軸側延設部74と、ジンバルフレーム中央部73から第2軸方向の両側に突出してZ2方向に延びる一対の第2軸側延設部75を備える。ジンバルフレーム中央部73は、その中央にZ2軸方向に貫通する開口部76を備える。開口部76には、カメラモジュール4の鏡筒部4Bが配置される。
【0038】
図2図4図6に示すように、ホルダ20の第1軸方向の対角部分である一対のホルダ対角部25には、ホルダ凹部26と、ホルダ凹部26の内周側を第2軸方向に延びるホルダ抜け防止部27が設けられている。図4に示すように、ホルダ接続機構71は、一対のホルダ対角部25を第1軸方向に貫通する一対の第1軸側シャフト固定孔28と、第1軸側シャフト固定孔28に圧入されて第1軸R1上を内周側へ突出する一対の第1軸側シャフト81と、一対の第1軸側延設部74のそれぞれの先端に設けられて第1軸方向に窪む第1軸側凹曲面77を備える。第1軸側シャフト81の先端は、第1軸R1上で第1軸側凹曲面77と点接触する。これにより、ホルダ20とジンバルフレーム70は、第1軸周りに回転可能に支持される。
【0039】
図2図3図5に示すように、ケース13において、枠部16の第2軸方向の対角部分である一対のケース対角部31には、ケース凹部32と、ケース凹部32の内周側を第1軸方向に延びるケース抜け防止部33が設けられている。図5に示すように、ケース接続機構72は、一対のケース対角部31を第2軸方向に貫通する一対の第2軸側シャフト固定孔34と、第2軸側シャフト固定孔34に圧入されて第2軸R2上を内周側へ突出する一対の第2軸側シャフト82と、一対の第2軸側延設部75のそれぞれの先端に設けられて第2軸方向に窪む第2軸側凹曲面78を備える。第2軸側シャフト82の先端は、第2軸R2上で第2軸側凹曲面78と点接触する。これにより、ジンバルフレーム70と固
定体8は、第2軸周りに回転可能に支持される。
【0040】
(ホルダ接続機構の詳細)
図4図6に示すように、第1軸側シャフト81は円柱形状であり、金属からなる。第1軸側シャフト81は、ホルダ対角部25を貫通する第1軸側シャフト固定孔28に圧入されてホルダ20に保持される。これにより、第1軸側シャフト81は、第1軸R1上を、第1軸R1方向に延びる。第1軸側シャフト固定孔28は、ホルダ凹部26の第1軸方向の内周面であるホルダ内周面261に開口する。第1軸側シャフト81の内周側の端部は、ホルダ内周面261とホルダ抜け防止部27との間に突出する。第1軸側シャフト81の内周側の端部は、半球面を備える。
【0041】
一対の第1軸側延設部74のそれぞれは、ジンバルフレーム中央部73の第1軸方向の対角位置から第1軸方向に対して傾斜し且つZ軸方向に対して傾斜する方向へ延びる第1傾斜部741と、第1傾斜部741からZ2方向へ屈曲して直線状に延びる第1軸側直線部742と、第1軸側直線部742のZ2方向の端部から内周側へ屈曲した第1軸側フック743を備える。第1軸側直線部742は、第1軸R1上を内周側に窪む第1軸側凹曲面77を備える。
【0042】
第1軸側フック743の先端は、第1軸側直線部742の内周側に位置するホルダ抜け防止部27とZ軸方向で重なる位置に延びている。従って、ホルダ抜け防止部27により、第1軸側延設部74のZ1方向への抜け止めがなされる。
【0043】
図7は、ホルダ接続機構71の組立方法を示す説明図である。ホルダ接続機構71を組み立てるときは、図7(a)に示すように、ジンバルフレーム70に設けられた一対の第1軸側延設部74を内周側へ撓ませて、Z1方向からホルダ凹部26に挿入する。第1軸側フック743の長さは、ホルダ内周面261とホルダ抜け防止部27との間を通過できる長さである。第1軸側延設部74は、ホルダ凹部26の底面262に第1軸側フック743が突き当たる位置まで挿入される。
【0044】
次に、図7(b)に示すように、第1軸側シャフト81を外周側から第1軸側シャフト固定孔28に圧入する。第1軸側シャフト81の先端は、第1軸側延設部74を内周側へ押圧する。これにより、図7(c)に示すように、第1軸側フック743の先端がホルダ抜け防止部27とZ軸方向で重なる抜け止め位置に移動する。ホルダ対角部25の外周面には、第1軸側シャフト81を固定するためのかしめ部29が形成される。かしめ部29は、第1軸側シャフト固定孔28の縁を潰すことにより形成されている。
【0045】
図7(c)に示すように、ホルダ接続機構71は、第1軸側凹曲面77の半径r1と、ホルダ凹部26の底面262と第1軸側延設部74の先端とのZ軸方向の隙間S1との大小関係が、r1>S1となるように構成されている。このようにすると、第1軸側シャフト固定孔28から内周側へ突出する第1軸側シャフト81の先端が第1軸側凹曲面77から外れた位置に当たることはなく、必ず第1軸側凹曲面77に当たる。
【0046】
上記のように、第1軸側延設部74は、内周側に撓んだ状態でホルダ凹部26に挿入されるため、外周側へ付勢されており、第1軸側凹曲面77を第1軸側シャフト81の先端に押し付ける方向の与圧が付与される。従って、第1軸側シャフト81の先端に第1軸側凹曲面77を押し付ける付勢力によって、第1軸側凹曲面77の中央に第1軸側シャフト81の先端が自動でスライドする。その結果、図7(c)に示すように、第1軸R1上で第1軸側凹曲面77の中央に第1軸側シャフト81の先端が点接触する状態が自動で形成される。このとき、第1軸側延設部74がZ1方向に移動するので、ホルダ凹部26の底面262から第1軸側フック743が離れる。
【0047】
(ケース接続機構の詳細)
図5図6に示すように、第2軸側シャフト82は円柱形状であり、金属からなる。本形態では、第1軸側シャフト81と第2軸側シャフト82は同一形状である。第2軸側シャフト82は、ケース対角部31を貫通する第2軸側シャフト固定孔34に圧入されてケース13に保持される。これにより、第2軸側シャフト82は、第2軸R2上を、第2軸R2方向に延びる。第2軸側シャフト固定孔34は、ケース凹部32の第2軸方向の内周面であるケース内周面321に開口する。第2軸側シャフト82の内周側の端部は、ケース内周面321とケース抜け防止部33との間に内周側に突出する。第2軸側シャフト82の内周側の端部は、半球面を備える。
【0048】
一対の第2軸側延設部75のそれぞれは、ジンバルフレーム中央部73の第2軸方向の対角位置から第2軸方向に対して傾斜し且つZ軸方向に対して傾斜する方向へ延びる第2傾斜部751と、第2傾斜部751から第2軸方向へ屈曲した屈曲部754と、屈曲部754からZ2方向へ屈曲して直線状に延びる第2軸側直線部752と、第2軸側直線部752のZ2方向の端部から内周側へ屈曲した第2軸側フック753を備える。第2軸側直線部752は、第2軸R2上を内周側に窪む第2軸側凹曲面78を備える。
【0049】
第2軸側フック753の先端は、第2軸側直線部752の内周側に位置するケース抜け防止部33とZ軸方向で重なる位置に突出する。従って、ケース抜け防止部33により、第2軸側延設部75のZ1方向への抜け止めがなされる。
【0050】
図8は、ケース接続機構72の組立方法を示す説明図である。ケース接続機構72を組み立てるときは、図8(a)に示すように、ジンバルフレーム70に設けられた一対の第2軸側延設部75を内周側へ撓ませて、Z1方向からケース凹部32に挿入する。第2軸側フック753の長さは、ケース内周面321とケース抜け防止部33との間を通過できる長さである。第2軸側延設部75は、ケース凹部32の底面322に第2軸側フック753が突き当たる位置まで挿入される。
【0051】
次に、図8(b)に示すように、第2軸側シャフト82を外周側から第2軸側シャフト固定孔34に圧入する。第2軸側シャフト82の先端は、第2軸側延設部75を内周側へ押圧する。これにより、図8(c)に示すように、第2軸側フック753の先端がケース抜け防止部33とZ軸方向で重なる抜け止め位置に移動する。
【0052】
第2軸側シャフト固定孔34は、ケース対角部31の外周面に形成された外周側凹部35の内側で開口する。第2軸側シャフト82は、外周側の端面と外周側凹部35の内面とが同一面上となる位置まで圧入される。第2軸側シャフト82を圧入した後、外周側凹部35に接着剤36を注入することにより、第2軸側シャフト82をケース13に固定する。
【0053】
図8(c)に示すように、ケース接続機構72は、第2軸側凹曲面78の半径r2と、ケース凹部32の底面322と第2軸側延設部75の先端とのZ軸方向の隙間S2との大小関係が、r2>S2となるように構成されている。このようにすると、第2軸側シャフト固定孔34から突出させた第2軸側シャフト82の先端が第2軸側凹曲面78から外れた位置に当たることはなく、必ず第2軸側凹曲面78に当たる。
【0054】
上記のように、第2軸側延設部75は、ケース凹部32に挿入される際に内周側に撓ませてあるため、外周側へ付勢されており、第2軸側凹曲面78を第2軸側シャフト82の先端に押し付ける方向の与圧が付与される。従って、第2軸側シャフト82の先端に第2軸側凹曲面78を押し付ける付勢力によって、第2軸側凹曲面78の中央に第2軸側シャ
フト82の先端が自動でスライドする。その結果、図8(c)に示すように、第2軸R2上で第2軸側凹曲面78の中央に第2軸側シャフト82の先端が点接触する状態が自動で形成される。このとき、第2軸側延設部75がZ1方向に移動するので、ケース凹部32の底面322から第2軸側フック753が離れる。
【0055】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体5および固定体8と、固定体8に対して可動体5を第1軸R1を中心とする第1軸周りに揺動可能に支持するとともに第1軸R1と交差する第2軸R2を中心とする第2軸周りに揺動可能に支持するジンバル機構7と、を有する。固定体8は、可動体5の外周側を囲む樹脂製のケース13を備える。ジンバル機構7は、ジンバルフレーム70と、ケース13に対してジンバルフレーム70を第2軸周りに回転可能に接続するケース接続機構72と、を備える。ケース接続機構72は、ケース13の第2軸方向の対角部分である一対のケース対角部31を第2軸方向に貫通する一対の第2軸側シャフト固定孔34と、第2軸側シャフト固定孔34に圧入されて第2軸R2上を内周側に突出する一対の第2軸側シャフト82と、ジンバルフレーム70の第2軸方向の対角位置に設けられて第2軸側シャフト82の先端が接触する第2軸側凹曲面78と、を備える。
【0056】
本形態によれば、ジンバルフレーム70と第2軸周りに摺動する摺動部品(第2軸側シャフト82)をケース13に取り付ける際、従来のように金属製のばね部材に球体を溶接した専用部品を製造する必要がないので、部品コストを下げることができる。また、樹脂製のケース13に第2軸側シャフト82を圧入して固定する構造としたことにより、固定箇所の厚さを確保できるので、第2軸側シャフト82の圧入長さを確保できる。従って、第2軸側シャフト82を安定して固定することができる。また、樹脂製のケース13を貫通する孔に第2軸側シャフト82を圧入する作業は、金属の筒部に圧入するよりも容易である。従って、第2軸側シャフト82の先端に傷が付きにくく、組立性が向上する。
【0057】
本形態では、第2軸側シャフト固定孔34は、ケース対角部31に設けられたケース凹部32の内側に開口する。ジンバルフレーム70は、ジンバルフレーム中央部73と、ジンバルフレーム中央部73の第2軸方向の両端からケース凹部32の底面322に向けて延びる一対の第2軸側延設部75を備えており、ケース凹部32の内側に第2軸側延設部75が保持される。従って、組立が容易である。
【0058】
本形態では、ケース凹部32の底面322と第2軸側延設部75の先端との隙間S2が第2軸側凹曲面78の半径r2より小さいため、必ず第2軸側凹曲面78に第2軸側シャフト82の先端が当たる。従って、ケース接続機構72を組み立てる際、第2軸方向の与圧を付与することにより、自動的に第2軸側凹曲面78の中央に第2軸側シャフト82の先端が位置決めされるので、ケース接続機構72の組立が容易である。
【0059】
本形態では、ケース13は、ケース凹部32の内周側に位置するケース抜け防止部33を備える。ジンバルフレーム70は、可動体5にZ1方向(第3軸方向の一方側)で重なるジンバルフレーム中央部73と、ジンバルフレーム中央部73の第2軸方向の両端から突出する一対の第2軸側延設部75と、を備える。第2軸側延設部75は、ケース凹部32とケース抜け防止部33との間をZ軸方向に延びる第2軸側直線部752と、第2軸側直線部752から内周側に屈曲した第2軸側フック753と、を備え、第2軸側フック753は、ケース抜け防止部33とZ軸方向で重なる位置に突出する。従って、ケース抜け防止部33によって第2軸側延設部75の抜け防止を図ることができる。
【0060】
本形態のケース13は、ケース対角部31の外周面から第2軸方向で内周側に凹む外周側凹部35を備え、第2軸側シャフト固定孔34は、外周側凹部35の内側で開口する。
このように、圧入すべき孔の周囲に一回り大きい凹部を設けることにより、第2軸側シャフト82を圧入する際、外周側凹部35によって第2軸側シャフト82が案内される。従って、圧入作業が容易である。さらに、本形態では、外周側凹部35に接着剤36を注入しており、硬化した接着剤36により第2軸側シャフト82を固定する。従って、第2軸側シャフト82の脱落や位置ずれを防止できる。
【0061】
本形態では、可動体5は、カメラモジュール4およびカメラモジュール4を保持するホルダ20を備える。ジンバル機構7は、ホルダ20とジンバルフレーム70とを第1軸周りに回転可能に接続するホルダ接続機構71を備える。ホルダ接続機構71は、カメラモジュール4の外周側を囲むホルダ20の第1軸方向の対角部分である一対のホルダ対角部25を第1軸方向に貫通する一対の第1軸側シャフト固定孔28と、第1軸側シャフト固定孔28に圧入されて第1軸R1上を内周側に突出する一対の第1軸側シャフト81と、ジンバルフレーム70の第1軸方向の対角位置に設けられて第1軸側シャフト81の先端が接触する第1軸側凹曲面77と、を備える。従って、ホルダ接続機構71においても、ケース接続機構72と同様に、ジンバルフレーム70と第1軸周りに摺動する摺動部品として、従来のように金属製のばね部材に球体を溶接した専用部品を製造する必要がないので、部品コストを下げることができる。また、樹脂製のホルダ20に第1軸側シャフト81を圧入して固定する構造としたことにより、固定箇所の厚さを確保できるので、第1軸側シャフト81の圧入長さを確保できる。従って、第1軸側シャフト81を安定して固定することができる。また、樹脂製のホルダ20を貫通する孔に第1軸側シャフト81を圧入する作業は、金属の筒部に圧入するよりも容易である。従って、第1軸側シャフト81の先端に傷が付きにくく、組立性が向上する。
【0062】
本形態では、第1軸側シャフト固定孔28は、ホルダ対角部25に設けられたホルダ凹部26の内側に開口する。ジンバルフレーム70は、ジンバルフレーム中央部73の第1軸方向の両端からホルダ凹部26の底面262に向けて延びる一対の第1軸側延設部74を備えており、ホルダ凹部26の内側に第1軸側延設部74が保持される。従って、組立が容易である。
【0063】
本形態では、ホルダ凹部26の底面262と第1軸側延設部74の先端との隙間S1が第1軸側延設部74に設けられた第1軸側凹曲面77の半径r1より小さいため、必ず第1軸側凹曲面77に第1軸側シャフト81の先端が当たる。従って、ホルダ接続機構71を組み立てる際、第1軸方向の与圧を付与することにより、自動的に第1軸側凹曲面77の中央に第1軸側シャフト81の先端が位置決めされるので、ホルダ接続機構71の組立が容易である。
【0064】
本形態では、ホルダ20は、ホルダ凹部26の内周側に位置するホルダ抜け防止部27を備える。ジンバルフレーム70の第1軸側延設部74は、ホルダ凹部26とホルダ抜け防止部27との間をZ軸方向に延びる第1軸側直線部742と、第1軸側直線部742から内周側に屈曲した第1軸側フック743と、を備え、第1軸側フック743は、ホルダ抜け防止部27とZ軸方向で重なる位置に突出する。従って、ホルダ抜け防止部27によって第1軸側延設部74の抜け防止を図ることができる。
【0065】
本形態では、ホルダ20は、第1軸側シャフト81をかしめ固定するかしめ部29を備える。従って、第1軸側シャフト81の脱落や位置ずれを防止できる。
【0066】
(変形例)
(1)ホルダ接続機構71において、第1軸側シャフト81の固定構造は、第1軸側シャフト固定孔28の縁にかしめ部29を形成する構成に限定されない。例えば、第1軸側シャフト固定孔28に外周側から接着剤を入れて第1軸側シャフト81を固定する構成を採用してもよい。また、ケース接続機構72において、第2軸側シャフト82の固定構造は、第2軸側シャフト固定孔34に接着剤36を入れる構成に限定されない。例えば、第2
軸側シャフト固定孔34の縁にかしめ部を形成する構成を採用してもよい。
【0067】
(2)ジンバルフレーム70の抜け防止構造は、内周側に屈曲する第1軸側フック743をホルダ抜け防止部27によって係止する構成に限定されない。例えば、第1軸側直線部742の先端に周方向の両側に延びる突出部を形成して、ホルダ凹部26の周方向の両側の壁面に突出部を係止する構造を設けることができる。この場合、ホルダ抜け防止部27を省略できる。また、内周側に屈曲する第2軸側フック753をケース抜け防止部33によって係止する構成についても、同様に変更することができる。
【0068】
(他の実施形態)
本発明は、可動体を光軸Lを中心として回転可能に支持する回転支持機構を備え、回転支持機構と固定体とをジンバル機構を介して接続する振れ補正機能付き光学ユニットに適用することができる。この場合、回転支持機構は、可動体を光軸回りに回転可能に支持する支持体を備えるものとし、ジンバル機構は、ジンバルフレームと、ケース接続機構と、支持体とジンバルフレームとを回転可能に接続する支持体側接続機構と、を備えるものとし、ケース接続機構については上記実施形態と同様に構成する。支持体側接続機構は、例えば、第1軸側シャフトを支持体に設けられた第1軸側シャフト固定孔に圧入して保持させる構成とする。支持体は、金属製と樹脂製のどちらでもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、2…レンズ、3…撮像素子、4…カメラモジュール、4A…カメラモジュール本体、4B…鏡筒部、4C…基板、5…可動体、7…ジンバル機構、8…固定体、10…振れ補正用磁気駆動機構、11…第1振れ補正用磁気駆動機構、11C…第1コイル、11M…第1磁石、11Y…第1ヨーク、12…第2振れ補正用磁気駆動機構、12C…第2コイル、12M…第2磁石、12Y…第2ヨーク、13…ケース、14…カバー、15…ベース、16…枠部、17…配線収容部、18…フレキシブルプリント基板、19…磁性板、20…ホルダ、21…第1枠部、22…第2枠部、23…第3枠部、24…第4枠部、25…ホルダ対角部、26…ホルダ凹部、27…ホルダ抜け防止部、28…第1軸側シャフト固定孔、29…かしめ部、31…ケース対角部、32…ケース凹部、33…ケース抜け防止部、34…第2軸側シャフト固定孔、35…外周側凹部、36…接着剤、70…ジンバルフレーム、71…ホルダ接続機構、72…ケース接続機構、73…ジンバルフレーム中央部、74…第1軸側延設部、75…第2軸側延設部、76…開口部、77…第1軸側凹曲面、78…第2軸側凹曲面、81…第1軸側シャフト、82…第2軸側シャフト、140…開口部、161…第1側壁部、162…第2側壁部、163…第3側壁部、164…第4側壁部、165…第1コイル固定穴、166…第2コイル固定穴、167…切欠き部、261…ホルダ内周面、262…底面、321…ケース内周面、322…底面、741…第1傾斜部、742…第1軸側直線部、743…第1軸側フック、751…第2傾斜部、752…第2軸側直線部、753…第2軸側フック、754…屈曲部、L…光軸、R1…第1軸、r1…第1軸側凹曲面の半径、R2…第2軸、r2…第2軸側凹曲面の半径、S1、S2…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8