(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147077
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】監視用データ収集システム
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B25J19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059851
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】野口 直之
(72)【発明者】
【氏名】森山 克也
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707HS27
3C707JS07
3C707MS14
3C707MS15
3C707MS24
(57)【要約】
【課題】アクチュエータを制御するコントローラの故障の予兆を監視する。
【解決手段】監視用データ収集システムSは、ロボット100の各軸のモータ101(アクチュエータ)を制御するコントローラ1に配置されてコントローラ1内の監視対象Eの状態を検知するセンサを備えるセンサ部2と、センサの出力に対応するデジタル信号に基づいて監視用信号を生成する監視用信号生成部31、および、監視用信号生成部31に接続される通信部32を備えるデータ収集ユニット3と、コントローラ1の状態を監視する監視装置40またはコントローラ1に設けられた監視用信号処理部4と、を有する。データ収集ユニット3は、通信部32を介して、監視用信号処理部4に監視用信号を伝送する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータを制御するコントローラに配置されて前記コントローラ内の監視対象の状態を検知するセンサと、
前記センサの出力に対応するデジタル信号に基づいて監視用信号を生成する監視用信号生成部、および、前記監視用信号生成部に接続される通信部を備えるデータ収集ユニットと、
前記コントローラの状態を監視する監視装置および前記コントローラの少なくとも一方に設けられた監視用信号処理部と、を有し、
前記データ収集ユニットは、前記通信部を介して、監視用信号処理部に前記監視用信号を伝送することを特徴とする監視用データ収集システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記監視対象を複数備え、
複数の前記監視対象のそれぞれに対応する位置に、前記センサと、前記センサの出力をAD変換するAD変換部を備えたセンサ部が配置され、
前記監視用信号生成部は、前記監視用信号として、複数の前記センサの出力に対応する複数のデジタル信号をシリアル方式により伝送するためのシリアルデータ信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の監視用データ収集システム。
【請求項3】
前記監視用信号生成部に接続されるデータ通信回線に対して、複数の前記センサ部のそれぞれがデイジーチェーン接続されることを特徴とする請求項2に記載の監視用データ収集システム。
【請求項4】
前記通信部は、
複数のネットワークノードの間での通信を可能にするスイッチングハブ部と、
前記スイッチングハブ部に接続してLANケーブルが着脱可能に取付けられる複数のLANポートと、を備え、
前記監視用信号生成部はネットワークノードとして前記スイッチングハブ部に接続し、前記複数のLANポートのうちの1つを介して前記監視用信号を前記監視用信号処理部に出力することを特徴とする請求項1に記載の監視用データ収集システム。
【請求項5】
前記監視用信号処理部は、前記監視用信号に基づき、前記コントローラに設けられた専用表示器またはティーチングペンダントに監視情報を表示させることを特徴とする請求項1に記載の監視用データ収集システム。
【請求項6】
前記データ収集ユニットは、
前記コントローラの表面に配置され、前記コントローラのインターフェースパネルの一部を構成するパネルと、
前記監視用信号生成部および前記通信部が配置されるとともに、前記コントローラの電源回路に接続される電源コネクタが配置される基板と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の監視用データ収集システム。
【請求項7】
前記データ収集ユニットは、
前記監視用信号生成部および前記通信部が配置される基板と、
スペーサを介して前記基板が固定される支持プレートと、を備え、
前記支持プレートは、前記コントローラの筐体に固定され、
前記センサは、前記支持プレートと前記基板との間に配置され、前記支持プレートに設けられた切欠き部を介して前記監視対象と対向することを特徴とする請求項1に記載の監視用データ収集システム。
【請求項8】
前記監視対象は、前記アクチュエータに駆動電流を供給する配線が接続される動力コネクタ、ブレーカ、ノイズフィルタ、電源回路ユニット、前記駆動電流を生成するドライバに直流電流を供給する配線に接続される主回路コンデンサ、前記ドライバに直流電流を供給する主回路基板、のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の監視用データ収集システム。
【請求項9】
前記アクチュエータを備えたロボットに配置されるロボット側センサを備え、
前記監視用信号生成部は、前記監視用信号として、前記センサの出力、および、前記ロボット側センサの出力に対応する複数のデジタル信号をシリアル方式により伝送するためのシリアルデータ信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の監視用データ収集システム。
【請求項10】
前記コントローラには、前記監視対象に対応する位置に、前記センサと、前記センサの出力をAD変換するAD変換部を備えたセンサ部が配置され、
前記ロボットには、前記アクチュエータに対応する位置に、前記ロボット側センサと、前記ロボット側センサの出力をAD変換するロボット側AD変換部を備えたロボット側センサ部が配置され、
前記監視用信号生成部に接続されるデータ通信回線に対して、前記センサ部および前記ロボット側センサ部がデイジーチェーン接続されることを特徴とする請求項9に記載の監視用データ収集システム。
【請求項11】
前記アクチュエータは、モータであり、
前記コントローラは、前記モータを駆動するモータドライバを備えることを特徴とする請求項1に記載の監視用データ収集システム。
【請求項12】
前記センサは、温度センサであることを特徴とする請求項1に記載の監視用データ収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットなどのアクチュエータを制御するコントローラの故障の予兆を監視するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロボットのアームを駆動するモータを制御するコントローラが記載される。ロボットには、モータ、ギヤ等によりアームを駆動する駆動部が構成されており、駆動部の状態を検知するためのセンサが設置される。センサは、例えば、加速度センサや温度センサ、あるいは、臭気や音を検知するセンサなどの各種のセンサが用いられる。センサの検知信号は、コントローラに入力される。コントローラでは、センサの検知信号から駆動部の状態に応じた故障の予知を行うための監視用信号を生成して、必要に応じて上位の装置へ出力する。監視用信号に基づき、必要に応じて警告などの処理を行うことにより、ロボットが故障する前に対処することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、ロボット自体の故障の予兆を判定するものであるが、コントローラ側に故障が発生した場合も、ロボットを制御できなくなり、ロボットを動作させることができないおそれがある。例えば、コントローラには、モータ駆動用の動力コネクタや、電源入力ラインに配置されるブレーカやノイズフィルタ、電源回路などの高電圧部品が含まれており、これらに不具合が発生した場合には、コントローラがロボットを制御できないため、ロボットを動作させることができない。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、ロボットなどのアクチュエータを制御するコントローラの故障の予兆を監視することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の監視用データ収集システムは、アクチュエータを制御するコントローラに配置されて前記コントローラ内の監視対象の状態を検知するセンサと、前記センサの出力に対応するデジタル信号に基づいて監視用信号を生成する監視用信号生成部、および、前記監視用信号生成部に接続される通信部を備えるデータ収集ユニットと、前記コントローラの状態を監視する監視装置および前記コントローラの少なくとも一方に設けられた監視用信号処理部と、を有し、前記データ収集ユニットは、前記通信部を介して、監視用信号処理部に前記監視用信号を伝送することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、コントローラによるアクチュエータの制御を行う際、自動で、コントローラ内の監視対象の状態を検知するセンサの出力を収集し、センサの出力に基づく監視用信号を提供することができる。従って、監視用信号を用いて、コントローラの故障の予兆を監視することができる。
【0008】
例えば、監視用信号処理部において監視用信号を蓄積し、必要に応じて解析する処理を行えば、コントローラの故障の予兆の有無を判定でき、判定結果に基づき、メンテナンスを促すための通知や、故障が発生する前にコントローラを停止させるなどの対処を行うこ
とができる。また、監視用信号に対応する数値等をリアルタイムで表示させれば、ユーザが表示内容からコントローラ内の監視対象の状態を判断して適正に対処することが可能である。従って、コントローラの故障によってアクチュエータを制御できなくなる前に適正に対処することができる。
【0009】
本発明において、前記コントローラは、前記監視対象を複数備え、複数の前記監視対象のそれぞれに対応する位置に、前記センサと、前記センサの出力をAD変換するAD変換部を備えたセンサ部が配置され、前記監視用信号生成部は、前記監視用信号として、複数の前記センサの出力に対応する複数のデジタル信号をシリアル方式により伝送するためのシリアルデータ信号を生成することが好ましい。このようにすると、各監視対象を専用のセンサによって監視できるので、故障の予兆の有無を精度良く判定でき、適正な対処を行うことができる。また、シリアル方式で監視用信号を伝送するので、配線を簡素化できる。
【0010】
本発明において、前記監視用信号生成部に接続されるデータ通信回線に対して、複数の前記センサ部のそれぞれがデイジーチェーン接続されることが好ましい。このようにすると、監視用のデータを収集するための配線を簡素化でき、多くのセンサを設けた場合でも、センサとデータ収集ユニットとの配線の接続が容易である。
【0011】
本発明において、前記通信部は、複数のネットワークノードの間での通信を可能にするスイッチングハブ部と、前記スイッチングハブ部に接続してLANケーブルが着脱可能に取付けられる複数のLANポートと、を備え、前記監視用信号生成部はネットワークノードとして前記スイッチングハブ部に接続し、前記複数のLANポートのうちの1つを介して前記監視用信号を前記監視用信号処理部に出力することが好ましい。このようにすると、スイッチングハブ部に信号の伝送経路が集約される。また、一般的なネットワークケーブル、LANケーブルを使用できるので、データ収集ユニットと監視用信号処理部とを容易に接続することができる。
【0012】
本発明において、前記監視用信号処理部は、前記監視用信号に基づき、前記コントローラに設けられた専用表示器またはティーチングペンダントに監視情報を表示させることが好ましい。このようにすると、監視情報(例えば、監視対象の温度)をリアルタイムでコントローラの表面に表示できるので、ユーザがコントローラの状態を判断して適正に対処することが可能である。ティーチングペンダントに監視情報を表示させる場合には、専用表示器が不要となるので、構成を簡素化できる。また、ティーチングペンダントを利用する場合には、表示態様の自由度が高いため、複数の監視対象の情報を並列に表示することが可能である。あるいは、センサの出力の推移を時系列で表示することが可能である。
【0013】
本発明において、前記データ収集ユニットは、前記コントローラの表面に配置され、前記コントローラのインターフェースパネルの一部を構成するパネルと、前記監視用信号生成部および前記通信部が配置されるとともに、前記コントローラの電源回路に接続される電源コネクタが配置される基板と、を備えることが好ましい。このようにすると、データ収集ユニットをコントローラに対する拡張モジュールとして構成できるので、コントローラに簡単に組み込むことができ、センサとの接続も容易である。また、データ収集ユニットのための専用の筐体が不要であり、専用の電源回路を設ける必要もないので、構成を簡素化できる。
【0014】
本発明において、前記データ収集ユニットは、前記監視用信号生成部および前記通信部が配置される基板と、スペーサを介して前記基板が固定される支持プレートと、を備え、前記支持プレートは、前記コントローラの筐体に固定され、前記センサは、前記支持プレートと前記基板との間に配置され、前記支持プレートに設けられた切欠き部を介して前記
監視対象と対向することが好ましい。このようにすると、データ収集ユニットのデッドスペース(基板と支持プレートとの隙間)をセンサの設置スペースとして利用でき、センサ部の設置のために専用の支持部材を設ける必要もない。また、データ収集ユニットのデッドスペースを利用してセンサ部を設置する構成でありながら、支持プレートによりセンサが遮蔽されないので、監視対象の状態を精度良く検知できる。
【0015】
本発明において、前記監視対象は、前記アクチュエータに駆動電流を供給する配線が接続される動力コネクタ、ブレーカ、ノイズフィルタ、電源回路ユニット、前記駆動電流を生成するドライバに直流電流を供給する配線に接続される主回路コンデンサ、前記ドライバに直流電流を供給する主回路基板、のいずれかであることが好ましい。これらの電気ユニットは、コントローラによりアクチュエータを制御する間の発熱が大きく、長期間の使用により、発熱による故障が発生する場合がある。従って、センサにより状態を監視することにより、コントローラの故障の予兆を監視することができる。
【0016】
本発明において、前記アクチュエータを備えたロボットに配置されるロボット側センサを備え、前記監視用信号生成部は、前記監視用信号として、前記センサの出力、および、前記ロボット側センサの出力に対応する複数のデジタル信号をシリアル方式により伝送するためのシリアルデータ信号を生成することが好ましい。このようにすると、コントローラ側の監視対象と、ロボット側の監視対象(アクチュエータ)を同一のシステムにより同時に監視できる。従って、ロボット側の故障の予兆を監視するために別システムを設ける必要がない。また、全ての監視対象の状態を示すデジタル信号をシリアル方式により伝送するので、配線を簡素化できる。
【0017】
本発明において、前記コントローラには、前記監視対象に対応する位置に、前記センサと、前記センサの出力をAD変換するAD変換部を備えたセンサ部が配置され、前記ロボットには、前記アクチュエータに対応する位置に、前記ロボット側センサと、前記ロボット側センサの出力をAD変換するロボット側AD変換部を備えたロボット側センサ部が配置され、前記監視用信号生成部に接続されるデータ通信回線に対して、前記センサ部および前記ロボット側センサ部がデイジーチェーン接続されることが好ましい。このようにすると、多くのセンサ部2を設けた場合でも、全てのセンサ部の出力を収集するための配線を簡素化でき、センサ部2とデータ収集ユニット3との配線の接続が容易である。
【0018】
本発明において、前記アクチュエータは、モータであり、前記コントローラは、前記モータを駆動するモータドライバを備える。このようにすると、モータドライバやモータドライバに対する電力供給用の高電圧部品、モータドライバをモータに接続するための動力コネクタなどを監視対象として、故障の予兆を監視することができる。
【0019】
本発明において、前記センサは、温度センサであることが好ましい。このようにすると、発熱量が多い監視対象の熱による故障の予兆を監視することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コントローラによるアクチュエータの制御を行う際、自動で、コントローラ内の監視対象の状態を検知するセンサの出力を収集し、センサの出力に基づく監視用信号を提供することができる。従って、監視用信号を用いて、コントローラの故障の予兆を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】背面側から見たコントローラの外観斜視図である。
【
図2】外装パネルの一部を取り外したコントローラの分解斜視図である。
【
図4】監視用データ収集システムの構成例を示すブロック図である。
【
図5】データ収集ユニットの正面図、平面図、および背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した監視用データ収集システムの実施形態を説明する。
【0023】
(監視用データ収集システム)
図1は、背面側から見たコントローラ1の外観斜視図である。
図2は、外装パネルの一部を取り外したコントローラ1の分解斜視図である。
図3は、コントローラ1の正面図である。
図1、
図2、
図3に示すコントローラ1は、図示しない上位装置(例えばプログラマブルロジックコントローラ)からの動作指令に応じて、ロボット100の各軸のモータ101(アクチュエータ)をサーボ制御する。
【0024】
図4は、監視用データ収集システムSの構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、監視用データ収集システムSは、コントローラ1およびロボット100に組み込まれた複数のセンサ部2と、コントローラ1に組み込まれたデータ収集ユニット3と、監視用信号処理部4を備える。監視用信号処理部4は、コントローラ1に組み込まれた第1監視用信号処理部41と、コントローラ1とは別体の監視装置40に組み込まれた第2監視用信号処理部42を備える。例えば、監視装置40は、ロボット100の動作履歴を管理する動作履歴管理装置である。
【0025】
コントローラ1およびロボット100のそれぞれに組み込まれた複数のセンサ部2は、データ通信回線5を介してデータ収集ユニット3に接続される。データ収集ユニット3は、センサ部2の出力に基づいて監視用信号を生成して監視用信号処理部4に伝送する。監視用信号処理部4は、監視用信号を用いて、コントローラ1の故障の予兆、および、ロボット100の故障の予兆を監視するための各種処理を行う。
【0026】
(コントローラ)
次に、データ収集ユニット3が組み込まれたコントローラ1の構成を説明する。本明細書において、XYZの3方向は互いに直交する方向である。本明細書では、便宜的にZ方向をコントローラ1の上下方向とする。Z1方向は下方であり、Z2方向は上方である。X方向はコントローラ1の前後方向である。X1方向は前方であり、X2方向は後方である。Y方向はコントローラ1の幅方向である。Y1方向とY2方向は、Y方向の一方側と他方側である。なお、実際のコントローラ1の設置態様では、Z方向が上下方向(鉛直方向)と一致していなくてもよい。
【0027】
図1、
図2に示すように、コントローラ1は、金属製の筐体6を備える。筐体6は、コントローラ1の表面に配置される外装パネルと、外装パネルが固定されるメインフレーム60を備える。外装パネルは、コントローラ1の前面に配置されるインターフェースパネル61と、コントローラ1の背面に配置される背面板62と、Y1側の側面に配置される側板(図示省略)と、Y2側の側面に配置される側板63と、コントローラ1の上面に配置される上板64を含む。
図2に示すように、メインフレーム60は、コントローラ1の底面に配置される底板65と、底板65の外縁に繋がる直方体状の筐体フレーム66とを一体に形成した部材である。
【0028】
図1に示すように、筐体6には、背面板62として、上部背面板62Aと、下部背面板62Bの2枚が取り付けられている。下部背面板62Bの外側には、ティーチングペンダント7が設置される。ティーチングペンダント7は、背面板62に固定された板金製の支
持フレーム67に保持される。また、ティーチングペンダント7の近傍には、監視用データ収集システムSの表示に用いられる専用表示器44が配置される。
図2に示すように、背面板62の内側には、冷却用のファン8が複数配置される。背面板62の下端中央に配置されるファン8の内側には、回生抵抗9が配置される。ティーチングペンダント7のY1側でZ方向に並ぶ複数のファン8の内側には、複数のモータドライバ10がZ方向に並んでいる。
【0029】
図2、
図3に示すように、インターフェースパネル61は、動力コネクタ11が取り付けられた第1パネル61Aと、交流電源に接続される給電ケーブルを通すためのスリーブ12が取り付けられた第2パネル61Bと、第2パネル61BのZ2方向に配置される第3パネル61C、第4パネル61D、第5パネル61Eを備える。動力コネクタ11は、モータドライバ10に対向する位置に配置される。コントローラ1は、動力コネクタ11に接続されるケーブル(図示省略)を介して、ロボット100のモータ101をサーボ制御するための駆動電流を供給する。
【0030】
第2パネル61Bの内側には、スリーブ12に通された給電ケーブルを接続するための電源入力端子台13が配置される。電源入力端子台13の後方(X2方向)には、交流電流に重畳されるノイズを除去するためのノイズフィルタ14が配置される。電源入力端子台13のZ2方向には、ブレーカ15が配置される。ブレーカ15の操作レバーは、第3パネル61Cの開口部に配置され、コントローラ1の前面に露出する(
図3参照)。ブレーカ15は、電源入力端子台13とノイズフィルタ14とを接続する電力供給経路に接続される。
【0031】
ノイズフィルタ14を通過した交流電流は、複数の電源回路ユニットに分配される。コントローラ1は、ファン8に供給するための24Vの直流電流を生成する第1電源回路ユニット16、モータドライバ10に電力を供給する主回路基板20に供給するための5Vの直流電流を生成する第2電源回路ユニット17、主回路基板20に供給するための24Vの直流電流を生成する第3電源回路ユニット18を備える。
【0032】
第1電源回路ユニット16は、ノイズフィルタ14のZ2方向に配置される。第2電源回路ユニット17および主回路基板20は、第1電源回路ユニット16のZ2方向に配置される。第3電源回路ユニット18は、第2電源回路ユニット17とインターフェースパネル61との間のスペースに配置される。第3電源回路ユニット18は、主回路基板20および第2電源回路ユニット17と共に、筐体フレーム66に支持されたプレート68に取り付けられている。
【0033】
コントローラ1の中央において、モータドライバ10、第2電源回路ユニット17、および回生抵抗9に囲まれるスペースには、複数の主回路コンデンサ19がZ方向に配列されている。主回路コンデンサ19は、2本のバスバーを介して、各モータドライバ10に直流電流を供給する電力配線に接続されている。
【0034】
インターフェースパネル61の上部中央に位置する第5パネル61Eの内側には、通信基板ユニット21が配置される。通信基板ユニット21の基板端部に配置される複数のコネクタは、第5パネル61Eに設けられた穴に配置され、コントローラ1の正面に露出する(
図3参照)。通信基板ユニット21のZ2方向の位置には、データ収集ユニット3が配置される。データ収集ユニット3は、コントローラ1に対する拡張モジュールとして、コントローラ1に組み込まれている。
【0035】
データ収集ユニット3は、インターフェースパネル61の第4パネル61Dを含むユニットである。従って、第4パネル61Dを筐体フレーム66に取り付けることにより、デ
ータ収集ユニット3をコントローラ1に着脱可能に組み込むことができる。データ収集ユニット3をコントローラ1に組み込んだとき、データ収集ユニット3は、第3電源回路ユニット18にZ2方向から重なる位置に配置される(
図2参照)。
【0036】
(センサ部)
監視用データ収集システムSは、コントローラ1に設けられた監視対象E(電気部品やユニット)の状態を監視する。監視対象Eの電気部品やユニットは、例えば、動力コネクタ11、ノイズフィルタ14、ブレーカ15、第1電源回路ユニット16、第2電源回路ユニット17、第3電源回路ユニット18、主回路コンデンサ19、主回路基板20のうちの1つあるいは複数である。
図4に示すシステム構成例では、第1電源回路ユニット16、第2電源回路ユニット17、および、第3電源回路ユニット18が監視対象に含まれている。
【0037】
また、本形態の監視用データ収集システムSは、コントローラ1に設けられた監視対象Eの状態を監視するだけでなく、ロボット100に設けられたアクチュエータなどの監視対象(ロボット側監視対象R)の状態についても監視する。
図4に示すシステム構成例では、ロボット側監視対象Rは、ロボット100の各軸のモータ101を含む。
【0038】
図4に示すシステム構成例では、監視用データ収集システムSは、センサ部2として、コントローラ1側の複数の監視対象Eの状態を検知するための複数のセンサ部2Eと、複数のロボット側監視対象Rの状態を検知するための複数のロボット側センサ部2Rとを含む。ここで、
図2においては、第3電源回路ユニット18の状態を検知するためのセンサ部2Eが図示されているが、他のセンサ部2Eは図示を省略している。各センサ部2は、故障の予兆となる現象(例えば、振動、発熱、異音、異臭の発生)を検知するセンサと、センサから出力されるアナログ信号をAD変換するAD変換部を備える。本形態では、センサ部2は、温度センサを備えており、温度センサの検知信号に対応するデジタル信号を出力する。検知する温度は、物体の温度ではなく、コントローラ1側の監視対象Eあるいはロボット側監視対象Rが配置される測定ポイントの雰囲気温度である。
【0039】
(データ通信回線)
図4に示すように、監視用データ収集システムSは、全てのセンサ部2が共通のデータ通信回線5にデイジーチェーン接続されており、センサ部2から出力されるデジタル信号は、多重化された状態でデータ収集ユニット3に伝送される。本形態では、データ通信回線5は、ロボット100およびデータ収集ユニット3に設けられた信号コネクタ22を介して接続される。データ通信回線5は、半二重通信方式で通信を行う通信回線であり、RS485の通信規格に基づいてデータの送受信を行うRS485通信回線である。
【0040】
(データ収集ユニット)
図4に示すように、データ収集ユニット3は、通信用IC30を介してデータ通信回線5に接続される監視用信号生成部31と、通信部32と、制御部33と、表示部34と、電源コネクタ35を備える。上記のように、センサ部2の検出信号に対応するデータの送受信はRS485の通信規格に基づいて行われるため、通信用IC30としてRS485ドライバが用いられる。データ収集ユニット3には、電源コネクタ35を介して、コントローラ1内の電源回路ユニットから電源電圧が供給される。
【0041】
制御部33は、データ収集ユニット3の全体の動作制御を行うものであるが、特に、データ収集ユニット3の動作状態を表示部34に表示させる制御を行う。表示部34は、4桁の7セグメント表示デバイスによって構成され(
図3、
図5(a)参照)、数字や文字が表示される。例えば、データ収集ユニット3において何らかのエラーが発生した場合には、制御部33は、そのエラーの発生を検出して、そのエラーに対応する数字や文字列を
表示部34に表示させる。
【0042】
通信部32は、スイッチングハブ部36および複数のLANポート37を備える。スイッチングハブ部36は、LANポート37及び監視用信号生成部31との間でのMACアドレスに基づくレイヤー2(データリンク層)でのスイッチを行うものである。複数のLANポート37は、いずれもRJ-45コネクタ(ジャック型)である。
【0043】
データ収集ユニット3は、データ通信回線5および通信用IC30を介して、各センサ部2のセンサにより検知された検知信号に対応するデジタル信号を受信する。監視用信号生成部31は、受信したデジタル信号に基づいて監視用信号を生成する。監視用信号は、コントローラ1側の監視対象Eおよびロボット側監視対象Rのそれぞれの故障の予兆の判定に必要なデータを含む信号である。監視用信号生成部31は、監視用信号として、複数のセンサ部2の出力に対応する複数のデジタル信号をシリアル方式により伝送するためのシリアルデータ信号を生成する。例えば、各センサ部2が設置された測定ポイントの雰囲気温度を示すデジタルデータをシリアル方式により伝送するためのシリアルデータ信号を生成する。
【0044】
監視用信号生成部31は、スイッチングハブ部36に対し、複数のLANポート37で使用されるものと同じ通信プロトコルを使用して接続しており、生成した監視用信号を監視装置40に送信するときは、スイッチングハブ部36を介して送信する。すなわち、スイッチングハブ部36は、ネットワークノード間の通信を可能にするものであって、監視用信号生成部31はネットワークノードとしてスイッチングハブ部36に接続する。また、制御部33や監視用信号処理部4(第1監視用信号処理部41、第2監視用信号処理部42)もネットワークノードである。
【0045】
複数のLANポート37には、イーサネット(登録商標)ケーブルなどのLANケーブルが取り外し可能に接続される。本形態では、データリンク層に例えばイーサネット(登録商標)を使用し、ネットワーク層及びトランスポート層のプロトコルに例えばTCP/IPを使用して、スイッチングハブ部36を介し、監視用信号処理部4(第1監視用信号処理部41、第2監視用信号処理部42)や監視用信号生成部31、制御部33などを含む各ネットワークノード間での通信が行われる。
【0046】
図5(a)は、データ収集ユニット3の正面図であり、
図5(b)は、データ収集ユニット3の平面図であり、
図5(c)は、データ収集ユニット3の背面図である。データ収集ユニット3は、コントローラ1に組み込んだときにインターフェースパネル61の一部を構成する第4パネル61Dと、第4パネル61Dの裏面に取り付けられた基板23および支持プレート24を備える。支持プレート24は、スペーサ25を介して基板23が固定される保護板26と、保護板26の両端から略直角に屈曲した一対の側板27を備える。一対の側板27は、第4パネル61Dに裏側からねじ止めされる。
【0047】
監視用信号生成部31、制御部33、およびスイッチングハブ部36を構成するためのマイクロプロセッサ、メモリ、コンデンサなどの回路部品群(図示せず)は、基板23の中央部に配置される。
図5(b)に示すように、複数のLANポート37および表示部34は、基板23の表面において第4パネル61Dに近接した位置に取り付けられている。
図5(a)に示すように、第4パネル61Dには、LANポート37、信号コネクタ22および表示部34に対応する各位置に開口が設けられている。従って、コントローラ1にデータ収集ユニット3を組み込んだ状態では、
図3に示すように、コントローラ1の正面に配置されるインターフェースパネル61にLANポート37および信号コネクタ22が露出する。また表示部34における表示内容をコントローラ1の外部から視認することができる。
【0048】
図6は、データ収集ユニット3の斜視図である。本形態では、データ収集ユニット3に複数のセンサ部2のうちの1つが保持される。上記のように、支持プレート24は、基板23と所定の間隔をあけて対向する保護板26を備えており、基板23と保護板26との間のスペースにセンサ部2が配置される。センサ部2は、保護板26の縁を切り欠いた切欠き部28と重なる位置に取り付けられている。コントローラ1にデータ収集ユニット3を組み込んだとき、センサ部2は、データ収集ユニット3のZ1方向に位置する第3電源回路ユニット18と切欠き部28を介して対向する。従って、第3電源回路ユニット18の近傍の温度は、保護板26に取り付けられたセンサ部2の温度センサによって検知される。
【0049】
(監視用信号処理部4)
図3、
図4に示すように、コントローラ1には、第1監視用信号処理部41に接続されるLANポート38が設けられている。第1監視用信号処理部41は、例えば、プログラマブルロジックコントローラ等の上位装置からの動作指令に基づきコントローラ1の各部を制御する制御基板に設けられている。
【0050】
図4に示すように、第1監視用信号処理部41に接続されるLANポート38は、LANケーブルによって、データ収集ユニット3の複数のLANポート37のいずれかに接続される。監視用信号生成部31と第1監視用信号処理部41との間の監視用信号の伝送は、LANケーブル(イーサネット(登録商標)ケーブル)を介して行われる。第1監視用信号処理部41は、コントローラ1に設けられた専用表示器44を制御して、ユーザに故障の予兆を監視させるための表示を行う。例えば、センサ部2が設置された複数の測定ポイントの温度を専用表示器44に決まった順序で順番に表示させる。
【0051】
第1監視用信号処理部41は、監視用信号に基づく表示を専用表示器44だけでなくティーチングペンダント7を用いて行う。コントローラ1には、第1監視用信号処理部41とティーチングペンダント7との接続用のコネクタ45が設けられている。第1監視用信号処理部41とティーチングペンダント7との間の監視用信号の伝送は、ティーチングペンダント専用ケーブルを介して行われる。第1監視用信号処理部41は、例えば、ティーチングペンダント7に複数の監視対象Eの情報を並列に表示する。あるいは、監視対象Eの状態の推移を時系列で表示する。
【0052】
第1監視用信号処理部41は、専用表示器44およびティーチングペンダント7への表示に代えて、もしくは、専用表示器44およびティーチングペンダント7への表示に加えて、監視用信号を用いてコントローラ1の故障の予兆の有無を判定することもできる。例えば、センサ部2が設置された複数の計測ポイントのそれぞれについて、工場出荷時に基準温度に対する上限値を設定しておく。第1監視用信号処理部41は、監視用信号を用いて、各測定ポイントの温度が設定された上限値を超えたか否かの判定を行い、上限値を超えた場合は、上限値を超えた温度が検知された計測ポイントに配置された電気部品やユニット(監視対象E)の交換を促す通知や表示(故障予兆アラーム)を行う。故障の危険が高いと判定した場合は、コントローラ1を停止させる制御を行うように構成してもよい。
【0053】
図4に示すように、監視装置40には、第2監視用信号処理部42に接続されるLANポート39が設けられている。LANポート39は、LANケーブルによって、データ収集ユニット3の複数のLANポート37のいずれかに接続される。監視用信号生成部31から第2監視用信号処理部42への監視用信号の伝送は、LANケーブル(イーサネット(登録商標)ケーブル)を介して行われる。第2監視用信号処理部42は、故障の予兆の監視のための各種処理を行う。例えば、監視用信号を蓄積し、各センサ部2が設置された測定ポイントごとに、監視用信号に含まれる温度データの履歴を蓄積して管理する。
【0054】
(本形態の主な効果)
以上のように、本形態の監視用データ収集システムSは、ロボット100のモータ101(アクチュエータ)を制御するコントローラ1に配置されてコントローラ1内の監視対象Eの状態を検知するセンサを備えるセンサ部2と、センサの出力に対応するデジタル信号に基づいて監視用信号を生成する監視用信号生成部31、および、監視用信号生成部31に接続される通信部32を備えるデータ収集ユニット3と、コントローラ1の状態を監視する監視装置40またはコントローラ1に設けられた監視用信号処理部4と、を有する。データ収集ユニット3は、通信部32を介して、監視用信号処理部4に監視用信号を伝送する。
【0055】
本形態によれば、コントローラ1内に配置したセンサの出力の監視を、データ収集ユニット3および監視用信号処理部4により行う。データ収集ユニット3は、センサの出力に基づき監視用信号を生成して、通信部32を介して監視用信号処理部4に監視用信号を伝送する。このようなシステムを構築することで、コントローラ1によるロボット100の制御を行う際、自動でコントローラ1内の監視対象Eの状態を検知するセンサの出力を収集し、センサの出力に基づく監視用信号を提供して、コントローラ1の故障の予兆を監視することができる。これにより、コントローラ内の電気部品やユニットが期待寿命を超えて継続使用されることがあっても、故障が発生する前にその予兆を発見して対処することができる。
【0056】
例えば、本形態では、コントローラ1に設けられた第1監視用信号処理部41に監視用信号を伝送しており、第1監視用信号処理部41は、監視用信号に基づき、コントローラ1に設けられた専用表示器44にセンサ部2が設置された各測定ポイントの温度を順番に表示させる。これにより、複数の測定ポイントの温度をリアルタイムで順番にコントローラ1の表面に表示できるので、ユーザが各監視対象Eの状態を判断して、適正に対処することが可能である。例えば、ユーザは、コントローラ1を停止させて、監視対象Eの交換作業を行うことができる。
【0057】
また、本形態では、第1監視用信号処理部41は、ティーチングペンダント7を用いて監視用信号に基づく表示を行う。ティーチングペンダント7を利用する場合には、表示態様の自由度が高い。例えば、複数の監視対象Eの情報を並列に表示して同時に見ることができる。あるいは、監視対象Eの状態の推移を時系列で表示することができる。
【0058】
また、第1監視用信号処理部41において、監視用信号を用いてコントローラ1の故障の予兆の有無を判定するように構成した場合には、判定結果に基づき、ユーザの対処を促すための通知や、故障が発生する前にコントローラ1を停止させるなどの対処を行うことができる。従って、コントローラ1の故障によってロボット100を制御できなくなることを回避できる。
【0059】
さらに、第2監視用信号処理部42に監視用信号を伝送して蓄積し、管理できるので、蓄積した履歴データを用いて、コントローラ1の故障の予兆を判定し、コントローラ1の故障を回避するようにメンテナンスを行うことができる。
【0060】
本形態では、コントローラ1は、監視対象Eを複数備え、複数の監視対象Eのそれぞれに対応する位置に、センサと、センサの出力をAD変換するAD変換部を備えたセンサ部2が配置される。監視用信号生成部31は、監視用信号として、複数のセンサの出力に対応する複数のデジタル信号をシリアル方式により伝送するためのシリアルデータ信号を生成する。従って、各監視対象Eを専用のセンサによって監視できるので、故障の予兆の有無を精度良く判定でき、適正な対処を行うことができる。また、シリアル方式で監視用信
号を伝送するので、配線を簡素化でき、データ収集ユニット3の接続が容易である。
【0061】
本形態では、監視用信号生成部31に接続されるデータ通信回線5に対して、複数のセンサ部2のそれぞれがデイジーチェーン接続される。このような接続形態により、監視用のデータを収集するための配線を簡素化でき、多くのセンサ部2を設けた場合でも、センサ部2とデータ収集ユニット3との配線の接続が容易である。
【0062】
本形態では、通信部32は、複数のネットワークノードの間での通信を可能にするスイッチングハブ部36と、スイッチングハブ部36に接続してLANケーブルが着脱可能に取付けられる複数のLANポート37と、を備え、監視用信号生成部31はネットワークノードとしてスイッチングハブ部36に接続し、複数のLANポート37のうちの1つを介して監視用信号を監視用信号処理部4に出力する。このような構成により、スイッチングハブ部36に信号の伝送経路が集約されるとともに、一般的なネットワークケーブル、LANケーブルを用いてデータ収集ユニット3を監視用信号処理部4に接続できるので、データ収集ユニット3と監視用信号処理部4との接続が容易である。
【0063】
本形態では、データ収集ユニット3は、コントローラ1の表面に配置され、コントローラ1のインターフェースパネル61の一部を構成する第4パネル61Dと、監視用信号生成部31および通信部32が配置されるとともに、コントローラ1の電源回路に接続される電源コネクタ35が配置される基板23と、を備える。すなわち、データ収集ユニット3は、コントローラ1に対する拡張モジュールとして構成されているので、コントローラ1に簡単に組み込むことができ、センサとの接続も容易である。また、データ収集ユニット3のための専用の筐体が不要であり、専用の電源回路を設ける必要もないので、構成を簡素化できる。
【0064】
本形態では、データ収集ユニット3は、監視用信号生成部31および通信部32が配置される基板23と、スペーサ25を介して基板23が固定される支持プレート24と、を備えており、支持プレート24は、コントローラ1の筐体6の一部を構成する第4パネル61Dに固定される。複数のセンサ部2のうちの1つは、支持プレート24における保護板26と基板23との間に配置され、保護板26に設けられた切欠き部28を介して監視対象Eである第3電源回路ユニット18と対向する。従って、データ収集ユニット3のデッドスペース(基板23と保護板26との隙間)をセンサ部2の設置スペースとして有効利用しているので、センサ部2の設置スペースの確保が容易である。また、このようなスペースにセンサ部2を設置した場合でも、保護板26によりセンサが遮蔽されないので、監視対象E(第3電源回路ユニット18)の状態を精度良く検知できる。さらに、センサ部2の設置のために専用の支持部材を設ける必要がないので、構成を簡素化できる。
【0065】
本形態では、コントローラ1側の監視対象Eは、アクチュエータに駆動電流を供給する配線が接続される動力コネクタ11、交流電源に接続される電源入力部に設けられたブレーカ15およびノイズフィルタ14、第1電源回路ユニット16、第2電源回路ユニット17、第3電源回路ユニット18、駆動電流を生成するモータドライバ10に直流電流を供給する配線に接続される主回路コンデンサ19、モータドライバ10に直流電流を供給する主回路基板20、のいずれかである。これらの電気ユニットは、コントローラ1によりロボット100を制御する間の発熱が大きく、長期間の使用により、発熱による故障が発生する場合がある。従って、センサによりこれらの電気ユニットの状態を監視することで、コントローラ1の故障の予兆を監視することができる。
【0066】
本形態では、アクチュエータを備えたロボット100に配置されるロボット側センサを備え、監視用信号生成部31は、監視用信号として、センサの出力、および、ロボット側センサの出力に対応する複数のデジタル信号をシリアル方式により伝送するためのシリア
ルデータ信号を生成する。従って、コントローラ1側の監視対象Eと、ロボット側監視対象Rを同一のシステムにより同時に監視できるため、ロボット100側の故障の予兆を監視するために別システムを設ける必要がない。また、全ての監視対象の状態を示すデジタル信号をシリアル方式により伝送するので、配線を簡素化できる。
【0067】
本形態では、コントローラ1には、監視対象Eに対応する位置に、センサと、センサの出力をAD変換するAD変換部を備えたセンサ部2Eが配置される。ロボット100には、ロボット側監視対象Rであるモータ101(アクチュエータ)に対応する位置に、ロボット側センサと、ロボット側センサの出力をAD変換するロボット側AD変換部を備えたロボット側センサ部2Rが配置される。これらの全てのセンサ部2Eおよびロボット側センサ部2Rは、監視用信号生成部31に接続されるデータ通信回線5に対してデイジーチェーン接続されている。このような接続形態により、コントローラ1とロボット100に設置された全てのセンサ部2の出力を収集するための配線を簡素化でき、多くのセンサ部2を設けた場合でも、センサ部2とデータ収集ユニット3との配線の接続が容易である。
【0068】
本形態では、コントローラ1により制御するアクチュエータは、ロボット100のマニピュレータを駆動するモータ101であり、コントローラ1は、モータ101を駆動するモータドライバ10を備える。従って、モータドライバ10やモータドライバ10に対する電力供給用の高電圧部品、モータドライバ10をモータ101に接続するための動力コネクタ11などを監視対象として、故障の予兆を監視することができる。
【0069】
本形態では、センサとして温度センサを使用するので、発熱量が多い電気部品やユニットなどの監視対象Eの熱による故障の予兆を監視することができる。
【0070】
(他の形態)
上記形態は、以下の(1)~(10)の構成を適用することができる。なお、以下の構成は、適宜組み合わせることができる。
【0071】
(1)監視用データ収集システムSは、専用表示器44への表示とティーチングペンダント7への表示の一方のみを行うことができる。専用表示器44への表示を行わない場合は、専用表示器44が不要となるので、構成を簡素化できる。
【0072】
(2)監視用データ収集システムSは、監視用信号処理部4として、第1監視用信号処理部41と第2監視用信号処理部42の一方のみを備えるものであってもよい。
【0073】
(3)監視用データ収集システムSは、コントローラ1内の監視対象Eのみを監視し、ロボット側監視対象Rの監視は行わない構成とすることができる。この場合、データ通信回線5には、コントローラ1内に設置されたセンサ部2Eのみが接続され、ロボット100にはセンサ部2は設置されない。
【0074】
(4)コントローラ1内の監視対象Eは、動力コネクタ11、ノイズフィルタ14、ブレーカ15、第1電源回路ユニット16、第2電源回路ユニット17、第3電源回路ユニット18、主回路コンデンサ19、主回路基板20以外の電気部品あるいはユニットでもよい。例えば、複数のモータドライバ10のそれぞれを監視対象Eに含めることができる。
【0075】
(5)コントローラ1内の監視対象Eは、複数でなく、1つのみでもよい。
【0076】
(6)ロボット側監視対象Rは、モータ101(アクチュエータ)に限定されない。例えば、ロボットに設けられている各種の駆動部品や電気部品をロボット側監視対象Rとすることができる。
【0077】
(7)データ収集ユニット3は、コントローラ1とは別の装置に組み込むことができる。例えば、監視装置40にデータ収集ユニット3を組み込むことができる。また、データ収集ユニット3を専用の筐体に収容して、コントローラ1とは別体の独立した装置にすることもできる。
【0078】
(8)センサ部2は、雰囲気温度でなく、物体の温度を検知する構成にしてもよい。あるいは、温度以外を検知するものでもよい。例えば、センサ部2は、加速度、音、臭気などを検知するセンサを備えるものとすることができる。
【0079】
(9)監視用信号生成部31に対する複数のセンサ部2の接続方式は、デイジーチェーン接続に限定されない。例えば、一部あるいは全てのセンサ部2を監視用信号生成部31に対して個別に接続する方式でもよい。
【0080】
(10)通信部32は、スイッチングハブ部36および複数のLANポート37を備えた構成に限定されない。
【符号の説明】
【0081】
1…コントローラ、2、2E…センサ部、2R…ロボット側センサ部、3…データ収集ユニット、4…監視用信号処理部、5…データ通信回線、6…筐体、7…ティーチングペンダント、8…ファン、9…回生抵抗、10…モータドライバ、11…動力コネクタ、12…スリーブ、13…電源入力端子台、14…ノイズフィルタ、15…ブレーカ、16…第1電源回路ユニット、17…第2電源回路ユニット、18…電源回路ユニット、19…主回路コンデンサ、20…主回路基板、21…通信基板ユニット、22…信号コネクタ、23…基板、24…支持プレート、25…スペーサ、26…保護板、27…側板、28…切欠き部、30…通信用IC、31…監視用信号生成部、32…通信部、33…制御部、34…表示部、35…電源コネクタ、36…スイッチングハブ部、37、38、39…LANポート、40…監視装置、41…第1監視用信号処理部、42…第2監視用信号処理部、44…専用表示器、45…コネクタ、60…メインフレーム、61…インターフェースパネル、61A…第1パネル、61B…第2パネル、61C…第3パネル、61D…第4パネル、61E…第5パネル、62…背面板、62A…上部背面板、62B…下部背面板、63…側板、64…上板、65…底板、66…筐体フレーム、67…支持フレーム、68…プレート、100…ロボット、101…モータ、E…監視対象、R…ロボット側監視対象、S…監視用データ収集システム