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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147113
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】箔転写装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 16/00 20060101AFI20241008BHJP
   B41M 3/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B41F16/00 A
B41F16/00 J
B41F16/00 C
B41M3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059894
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】市川 智也
【テーマコード(参考)】
2H113
【Fターム(参考)】
2H113AA01
2H113BA23
(57)【要約】
【課題】ヒータの異常を検出することが可能な箔転写装置を提供する。
【解決手段】搬送される箔フィルムFにシートSを重ねてシートSに形成された画像に箔を転写する箔転写装置であって、ヒータ65を有し、箔フィルムFおよびシートSを加熱する加熱回転体(加熱ローラ60)と、加熱回転体に圧接した状態で加熱回転体との間で箔フィルムとシートを搬送する加圧回転体(加圧ローラ51)と、加熱回転体を、加圧回転体に圧接する圧接位置と、加圧回転体から離間する離間位置と、の間で加熱回転体を移動させるアクチュエータ70と、加熱回転体の温度を検出する温度センサSTと、制御部300と、を備える。制御部300は、温度センサSTが検出した温度に基づいて加熱回転体の温度が目標温度に近づくようにヒータ65を制御する温度制御処理と、ヒータ65に供給する電力値に基づいてヒータ65の異常を判定する異常判定処理と、を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される箔フィルムにシートを重ねてシートに形成された画像に箔を転写する箔転写装置であって、
ヒータを有し、箔フィルムおよびシートを加熱する加熱回転体と、
前記加熱回転体に圧接した状態で前記加熱回転体との間で箔フィルムとシートを搬送する加圧回転体と、
前記加熱回転体を、前記加圧回転体に圧接する圧接位置と、前記加圧回転体から離間する離間位置と、の間で前記加熱回転体を移動させるアクチュエータと、
前記加熱回転体の温度を検出する温度センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記温度センサが検出した温度に基づいて前記加熱回転体の温度が目標温度に近づくように前記ヒータを制御する温度制御処理と、
前記ヒータに供給する電力値に基づいて前記ヒータの異常を判定する異常判定処理と、を実行すること特徴とする箔転写装置。
【請求項2】
前記ヒータは、フィラメントを有してなることを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項3】
前記制御部は、シートの搬送を開始した後に前記異常判定処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記加熱回転体の温度が前記目標温度に達した後に前記異常判定処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記温度制御処理において、前記ヒータに流す電流をPWM制御により制御し、
前記異常判定処理において、PWM制御のデューティ比が連続して電流しきい値以上となる継続時間が、時間しきい値を超えた場合に、前記ヒータが異常であると判定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項6】
表示装置をさらに備え、
前記制御部は、前記継続時間が、前記時間しきい値としての第1時間しきい値を超えた場合に、前記表示装置に前記ヒータが異常であることを示すエラーメッセージを表示するとともに、前記ヒータへの通電を停止することを特徴とする請求項5に記載の箔転写装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記継続時間が、前記時間しきい値としての第2時間しきい値であって、前記第1時間しきい値よりも小さい第2時間しきい値を超えた場合に、前記表示装置に前記ヒータを含む部品の交換を促すエラーメッセージを表示することを特徴とする請求項6に記載の箔転写装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記継続時間が、前記時間しきい値としての第3時間しきい値であって、前記第2時間しきい値よりも小さい第3時間しきい値を超えた場合に、前記表示装置に前記ヒータの寿命が近いことを示すエラーメッセージを表示することを特徴とする請求項7に記載の箔転写装置。
【請求項9】
前記電流しきい値は、100%であることを特徴とする請求項5に記載の箔転写装置。
【請求項10】
前記時間しきい値は、環境温度に応じて設定されており、環境温度が高いほど小さな値が設定されていることを特徴とする請求項5に記載の箔転写装置。
【請求項11】
前記電流しきい値は、環境温度に応じて設定されており、環境温度が高いほど小さな値が設定されていることを特徴とする請求項5に記載の箔転写装置。
【請求項12】
前記制御部は、シートに形成された画像に箔を転写する場合において、画像が形成されていない領域が転写位置を通過するタイミングで前記加熱回転体を前記離間位置に位置させ、画像が形成された領域が転写位置に到達するタイミングで前記加熱回転体を前記圧接位置に位置させるように、前記アクチュエータを制御するフォイルセーブモードを実行可能であることを特徴とする請求項5に記載の箔転写装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔フィルムにシートを重ねて箔を転写する箔転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
箔フィルムにシートを重ねた状態で、加熱回転体と加圧回転体で圧接することで箔を転写する箔転写装置が知られている(特許文献1)。この箔転写装置では、箔を節約するために、画像が形成されていない領域では、加熱回転体を加圧回転体から離間し、画像が形成されている領域だけ加熱回転体を加圧回転体に圧接するフォイルセーブモードを実行可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-160295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、加熱回転体には、ハロゲンランプなどの、ガラス管にフィラメントが収納されたタイプのヒータが使われることがある。このような加熱回転体を加圧回転体に対して繰り返し移動させると、動作時の振動によりフィラメントが変形するおそれがある。特に、フォイルセーブモードのように、ヒータに通電しながら加熱回転体を移動させるとフィラメントが変形しやすい。フィラメントが変形すると、ガラス管の白化や着色などによりヒータの性能が低下するという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明では、ヒータの異常を検出することが可能な箔転写装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するための箔転写装置は、搬送される箔フィルムにシートを重ねてシートに形成された画像に箔を転写する箔転写装置であって、加熱回転体と、加圧回転体と、アクチュエータと、温度センサと、制御部とを備える。
加熱回転体は、ヒータを有し、箔フィルムおよびシートを加熱する。
加圧回転体は、加熱回転体に圧接した状態で加熱回転体との間で箔フィルムとシートを搬送する。
アクチュエータは、加熱回転体を、加圧回転体に圧接する圧接位置と、加圧回転体から離間する離間位置と、の間で加熱回転体を移動させる。
温度センサは、加熱回転体の温度を検出する。
制御部は、温度センサが検出した温度に基づいて加熱回転体の温度が目標温度に近づくようにヒータを制御する温度制御処理と、ヒータに供給する電力値に基づいてヒータの異常を判定する異常判定処理と、を実行する。
【0007】
この箔転写装置では、異常判定処理によってヒータに供給する電力値に基づいてヒータの異常を判定することができる。
【0008】
ヒータは、フィラメントを有してなっていてもよい。
【0009】
制御部は、シートの搬送を開始した後に異常判定処理を実行することができる。
【0010】
もしくは、制御部は、加熱回転体の温度が目標温度に達した後に異常判定処理を実行してもよい。
【0011】
制御部は、温度制御処理において、ヒータに流す電流をPWM制御により制御することができる。この場合、制御部は、異常判定処理において、PWM制御のデューティ比が連続して電流しきい値以上となる継続時間が、時間しきい値を超えた場合に、ヒータが異常であると判定してもよい。
【0012】
ヒータのフィラメントが変形した場合には、フィラメントがガラス管に近づくなどにより、ガラス管に白化や着色が発生し、ヒータの能力が低下する。また、その他の要因でヒータの能力が低下することもある。ヒータの能力が低下すると、デューティ比が大きな値となりやすいので、デューティ比が電流しきい値以上となることに基づいて、ヒータの異常を判定することができる。また、このような異常判定処理によれば、継続時間が時間しきい値を超えた場合に初めてヒータの異常を判定するので、一時的な大きな電力がヒータに供給された場合に、誤ってヒータが異常であると判定することを抑制することができる。
【0013】
箔転写装置は、表示装置をさらに備え、制御部は、継続時間が、時間しきい値としての第1時間しきい値を超えた場合に、表示装置にヒータが異常であることを示すエラーメッセージを表示するとともに、ヒータへの通電を停止してもよい。
【0014】
制御部は、継続時間が、時間しきい値としての第2時間しきい値であって、第1時間しきい値よりも小さい第2時間しきい値を超えた場合に、表示装置にヒータを含む部品の交換を促すエラーメッセージを表示してもよい。
【0015】
このような構成によれば、ヒータの異常の程度が悪くなる前に、ユーザにヒータの交換を促すことができる。
【0016】
制御部は、継続時間が、時間しきい値としての第3時間しきい値であって、第2時間しきい値よりも小さい第3時間しきい値を超えた場合に、表示装置にヒータの寿命が近いことを示すエラーメッセージを表示してもよい。
【0017】
このような構成によれば、ヒータの異常の程度が悪くなる前に、ユーザに交換用の部品の準備を促すことができる。
【0018】
電流しきい値は、例えば、100%であってもよい。
【0019】
時間しきい値は、環境温度に応じて設定されており、環境温度が高いほど小さな値が設定されていてもよい。
【0020】
電流しきい値は、環境温度に応じて設定されており、環境温度が高いほど小さな値が設定されていてもよい。
【0021】
制御部は、シートに形成された画像に箔を転写する場合において、画像が形成されていない領域が転写位置を通過するタイミングで加熱回転体を離間位置に位置させ、画像が形成された領域が転写位置に到達するタイミングで加熱回転体を圧接位置に位置させるように、アクチュエータを制御するフォイルセーブモードを実行可能であってもよい。
【0022】
このようなフォイルセーブモードを実行可能な箔転写装置では、ヒータを繰り返し移動させるので、ヒータが変形しやすい。そのため、ヒータの異常を判定することで、箔転写の品質の安定性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の箔転写装置によれば、ヒータの異常を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る箔転写装置を示す図(a)と、箔フィルムの構成を示す断面図(b)である。
図2】箔転写装置のカバーを開けた状態を示す図である。
図3】加熱ローラの断面図である。
図4】フォイルセーブモードにおける圧接・離間のタイミングを説明する図である。
図5】加熱回転体の温度とヒータの平均電流の大きさを示すデューティ比の変化を示す図である。
図6】電流しきい値と時間しきい値の設定値の例を示す図である。
図7】制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
図8】電流しきい値と時間しきい値の設定値の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)に示すように、箔転写装置1は、箔を含む箔フィルムFにシートSを重ねて、シートS上の画像に箔を転写する装置である。例えば、箔転写装置1は、レーザプリンタなどの画像形成装置でシートSにトナー像などの画像を形成した後、シートSの画像の上にアルミニウムなどの箔を転写することで、シートSに箔の画像を形成する。箔転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、箔転写部50と、制御部300と、モータMと、表示装置の一例としてのパネルPAとを備えている。
【0026】
筐体2は、樹脂などからなり、装置本体21と、カバー22とを備えている。
装置本体21は、上部に開口21A(図2参照)を有している。開口21Aは、装置本体21にフィルムカートリッジFCを着脱するための開口である。筐体2は、箔転写部50から離れた位置に、環境温度を検出するための温度センサST2を有している。
カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、装置本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを閉じる閉位置(図1(a)の位置)と、開口21Aを開放する開位置(図2の位置)との間で回動可能となっている。
【0027】
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルムなどのシートSがセットされるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。なお、シートSは、画像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上にセットされる。
【0028】
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート搬送部10は、モータMによって回転駆動されることでシートSを搬送する。
シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを1枚ずつ箔転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、ピックアップローラ11Aと、リタードローラ11Bと、搬送ローラとしての上流側搬送ローラ11Cとを備えている。
【0029】
ピックアップローラ11Aは、シートトレイ3にセットされたシートSをピックアップするローラである。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aによって搬送されるシートSを1枚に分離するためのローラである。ピックアップローラ11Aは、シートSをピックアップする場合には、例えば、ピックアップローラ11Aが1回転する時間だけ駆動する。
【0030】
リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aの上に配置されている。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSの上に重なっているシートSをシートトレイ3に向けて戻す方向に回転可能となっている。
【0031】
上流側搬送ローラ11Cは、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。上流側搬送ローラ11Cは、シートSの搬送方向において箔転写部50の直前に配置された搬送ローラである。詳しくは、上流側搬送ローラ11Cは、ピックアップローラ11Aと箔転写部50との間に配置されている。上流側搬送ローラ11Cは、ピックアップローラ11AによりピックアップされたシートSを箔転写部50に向けて搬送する。
【0032】
シート排出機構12は、箔転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、下流側搬送ローラ12Aと、排出ローラ12Bとを備えている。
【0033】
下流側搬送ローラ12Aおよび排出ローラ12Bは、それぞれ、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。下流側搬送ローラ12Aは、箔転写部50と排出ローラ12Bとの間に配置され、箔転写部50から送り出されるシートSを排出ローラ12Bに搬送する。排出ローラ12Bは、シートSの搬送方向において下流側搬送ローラ12Aの下流側に配置され、下流側搬送ローラ12Aで送り出されるシートSを筐体2の外に排出する。
【0034】
シートSの搬送経路には、シートSを検出可能なシートセンサS1,S2が配置されている。シートセンサS1は、シートSの搬送方向においてシート供給機構11の上流側に配置されている。シートセンサS1は、シートトレイ3に載っているシートSを検出可能である。シートセンサS2は、シートSの搬送方向において、シート供給機構11と箔転写部50との間に配置されている。シートセンサS2は、シートSを検出することができ、これによりシートSの前端および後端が通過したことを検出可能である。
【0035】
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように箔フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムカートリッジFCを備えている。
【0036】
フィルムカートリッジFCは、図2に示すように、後述する供給リール31の軸方向に直交する方向において、開口21Aを通過して装置本体21に着脱可能となっている。フィルムカートリッジFCは、供給リール31と、巻取リール35と、第1案内軸41と、第2案内軸42と、第3案内軸43とを備えている。フィルムカートリッジFCの供給リール31には、箔フィルムFが巻回されている。
【0037】
図1(b)に示すように、箔フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、箔フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。
支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。
【0038】
被支持層F2は、例えば、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
【0039】
転写層F22は、画像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウムなどの薄い金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
【0040】
接着層F23は、転写層F22を画像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、箔転写部50によって加熱された画像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
【0041】
図1(a)に示すように、供給リール31は、樹脂などからなり、箔フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、箔フィルムFの一端が固定されている。巻取リール35は、樹脂などからなり、供給リール31からの箔フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、箔フィルムFの他端が固定されている。巻取リール35は、モータMによって回転駆動されることで箔フィルムFを巻き取る。なお、図1などにおいては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に箔フィルムFが最大に巻回された状態を図示している。
【0042】
第1案内軸41は、供給リール31から引き出される箔フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第2案内軸42は、第1案内軸41で案内された箔フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第3案内軸43は、第2案内軸42で案内された箔フィルムFの進行方向を変更して巻取リール35に案内する軸である。
【0043】
第1案内軸41は、画像を下にした状態で搬送されるシートSに対して、供給リール31から引き出された箔フィルムFを下から重ねるように案内している。第1案内軸41は、供給リール31から引き出された箔フィルムFの搬送方向を変えて、シートSの搬送方向と略平行に箔フィルムFを案内する。
【0044】
第2案内軸42は、箔転写部50を通過した箔フィルムFと接触し、箔転写部50を通過した箔フィルムFの搬送方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更している。箔転写部50を通過してシートSと重なった状態で搬送された箔フィルムFは、第2案内軸42を通過する際にシートSとは異なる方向に案内され、シートSから剥離される。
【0045】
箔転写部50は、供給リール31から巻取リール35に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねてシートSと箔フィルムFを挟んだ状態で加熱および加圧することで、シートSに形成された画像の上に箔を含む転写層F22を転写するための部分である。箔転写部50は、加圧回転体の一例としての加圧ローラ51と、加熱回転体の一例としての加熱ローラ60と、アクチュエータ70と、温度センサSTとを備えている。
【0046】
加圧ローラ51は、加熱ローラ60との間で箔フィルムFとシートSを挟むローラであり、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆してなる。加圧ローラ51は、箔フィルムFの上側に配置され、シートSの、画像が形成された面と反対側の面と接触可能となっている。加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ60に圧接した状態で加熱ローラ60との間で箔フィルムFとシートSを搬送する。
【0047】
加熱ローラ60は、箔フィルムFおよびシートSを加熱するローラである。加熱ローラ60は、箔フィルムFの下側に配置され、箔フィルムFと接触可能となっている。図3に示すように、加熱ローラ60は、ローラ61と、ヒータ65を有している。ヒータ65は、中央ヒータ62およびサイドヒータ63を含む。
【0048】
ローラ61は、円筒状に形成された金属管である。ローラ61は、中央ヒータ62およびサイドヒータ63に加熱され、箔フィルムFと接触して、箔フィルムFおよびシートSを加熱する。
【0049】
中央ヒータ62は、ガラス管62Gと、フィラメント62Fとを有してなる。フィラメント62Fは、ガラス管62Gの中に収容されている。中央ヒータ62は、シートSの幅方向における中央部を加熱する。中央ヒータ62は、幅方向における中央部62Aの出力が幅方向における両端部62Bより出力が高い。
【0050】
サイドヒータ63は、ガラス管63Gと、フィラメント63Fとを有してなる。フィラメント63Fは、ガラス管63Gの中に収容されている。サイドヒータ63は、シートSの幅方向における両端部を加熱する。サイドヒータ63は、幅方向における両端部63Bの出力が幅方向における中央部63Aより出力が高い。フィラメント62F,63Fは、例えば、タングステン、カーボン、ニクロム線、カンタル線などからなる。
【0051】
アクチュエータ70は、加熱ローラ60および加圧ローラ51が互いに圧接する圧接位置(図1において実線で示す。)と、加熱ローラ60および加圧ローラ51が互いに離間する離間位置(図1において二点鎖線で示す。)との間で加熱ローラ60を移動させる部材である。一例として、アクチュエータ70は、モータMによって回転されるカムである。
【0052】
温度センサSTは、加熱ローラ60の外側面に対向して配置されている。温度センサSTは、加熱ローラ60の温度を検出可能である。温度センサSTは、加熱ローラ60に接触していてもよいし、接触していなくてもよい。
【0053】
パネルPAは、カバー22の上面に設けられている。パネルPAは、メッセージを表示可能なパネルである。パネルPAは、例えば、タッチパネルを有する。ユーザは、パネルPA上のタッチパネルを操作することで、箔転写装置1を操作可能である。なお、パネルPAには、タッチパネルとは別のボタンが設けられていてもよい。
【0054】
制御部300は、CPU、RAM、ROM、入出力回路などを備えており、ROMなどに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって制御を実行する。制御部300は、シートセンサS1,S2と、温度センサST,ST2で読み取った情報に基づいてシートSの搬送と箔転写部50を制御するように構成されている。
【0055】
加圧ローラ51および加熱ローラ60は、圧接した状態で駆動することによって箔フィルムFとシートSを搬送可能である。詳しくは、加圧ローラ51は、加熱ローラ60が圧接位置にある状態で、モータMによって回転駆動されることで加熱ローラ60を従動回転させる。これにより、加圧ローラ51および加熱ローラ60は、加圧ローラ51と加熱ローラ60との間に挟まれる箔フィルムFとシートSを搬送する。
【0056】
このように構成された箔転写装置1では、画像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3にセットされたシートSが、シート供給機構11により1枚ずつ箔転写部50に向けて搬送される。シートSは、箔転写部50のシート搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された箔フィルムFと重ねられ、シートSの画像と箔フィルムFが接触した状態で箔転写部50に搬送される。
【0057】
箔転写部50においては、シートSと箔フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ60の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ60と加圧ローラ51により加熱および加圧され、シートSに形成された画像の上に箔を含む転写層F22が転写される。なお、以下の説明では、シートSへの箔の転写を、単に「箔転写」とも称する。
【0058】
箔転写が行われた後、シートSと箔フィルムFは密着した状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと箔フィルムFが第2案内軸42を通過すると、箔フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから箔フィルムFが剥離される。
【0059】
シートSから剥離された箔フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、箔フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
【0060】
次に、制御部300が実行する制御について説明する。
【0061】
制御部300は、フォイルセーブモード(以下の説明では「FSモード)という。)を実行可能である。FSモードは、箔フィルムFを節約するために、シートS上に画像が形成されていない領域が箔転写部50を通過している間は加熱ローラ60を離間させておき、シートS上に画像が形成されている領域が箔転写部50を通過している間だけ加熱ローラ60を圧接するモードである。すなわち、FSモードでは、制御部300は、シートSに形成された画像に箔を転写する場合において、画像が形成されていない領域が転写位置を通過するタイミングで加熱ローラ60を離間位置に位置させ、画像が形成された領域が転写位置に到達するタイミングで加熱ローラ60を圧接位置に位置させるように、アクチュエータ70を制御する。なお、ユーザは、FSモードを有効にするか否かの選択が可能である。
【0062】
具体的には、図4(a)のように、シートSの搬送方向における下流側が空白領域BAであり、上流側にのみ画像形成領域TAが形成されている場合、制御部300は、空白領域BAの途中まで、加熱ローラ60を離間させておき、空白領域BAの途中から画像形成領域TAが通過してしばらく経つまで加熱ローラ60を圧接させる。
また、図4(b)のように、シートSの搬送方向における下流部および上流部が空白領域BAであり、中央にのみ画像形成領域TAが形成されている場合、制御部300は、画像形成領域TAの少し前から通過してしばらく経つまでの間だけ加熱ローラ60を圧接させる。
図4(c)のように、シートSの搬送方向における上流側が空白領域BAであり、上流側にのみ画像形成領域TAが形成されている場合、制御部300は、シート前端から画像形成領域TAが通過してしばらく経つまで加熱ローラ60を圧接させ、その後、離間させる。
【0063】
また、制御部300は、温度制御処理と、異常判定処理とを実行可能である。
【0064】
温度制御処理は、温度センサSTが検出した温度Tに基づいて加熱回転体の温度が目標温度TTに近づくようにヒータ65を制御する処理である。制御部300は、温度制御処理において、ヒータ65に流す電流をPWM(Pulse Width Modulation)制御により制御する。本実施形態では、ヒータ65に供給する平均電流の大きさをPWM制御による指令値であるデューティ比Iで示す。
【0065】
例えば、箔転写装置1が常温になっている状態から加熱ローラ60を加熱して箔転写を開始する場合、温度Tと、平均電流を示すデューティ比Iは、図5のように変化する。箔転写装置1が、ユーザから動作の指令を入力されると、まず、ピックアップローラ11Aを動かす前に、加熱ローラ60を目標温度TTまで上昇させる。このとき、制御部300は、できるだけ早く加熱ローラ60の温度が目標温度TTに到達できるように、デューティ比Iを100%にして加熱ローラ60を加熱する。そして、温度センサSTで検出した温度Tが目標温度TTに近づいたら、目標温度TTと温度Tの差に基づいて、温度Tが目標温度TTに近づくようにデューティ比Iを決定し、ヒータ65に電流を流す。なお、制御部300は、温度Tが少なくとも一度目標温度TTに到達した後にシートSの搬送を開始する。
【0066】
ヒータ65が正常な場合、図5の実線に示すように、温度Tが目標温度TTに到達した後は、デューティ比Iは、一時的に100%になることはあるが、長期間100%になることはない。つまり、ヒータ65は、温度Tを目標温度TTに維持するのに、長期間100%デューティにする必要が無い程度の十分な最大出力を有するヒータが採用されている。一方、フィラメント62Fまたはフィラメント63Fが変形している等の理由により、ヒータ65の能力が下がっている場合、図5の破線に示すように、温度Tが目標温度TTに到達した後、温度Tが目標温度TTに維持するのにデューティ比Iが100%になる期間が所定時間継続することがある。
【0067】
異常判定処理は、ヒータ65に供給する電力値に基づいてヒータ65の異常を判定する処理である。本実施形態では、電力値の大きさを判断する指標は、デューティ比Iである。制御部300は、異常判定処理において、PWM制御のデューティ比Iが連続して電流しきい値Ith以上となる継続時間TMが、時間しきい値TMthを超えた場合に、ヒータ65が異常であると判定する。
【0068】
すなわち、上述のように、ヒータ65の異常によってヒータ65の能力が低下すると、デューティ比Iが大きな値となりやすいので、デューティ比Iが電流しきい値TMth以上となることに基づいて、ヒータ65の異常を判定することができる。
【0069】
電流しきい値Ithは、例えば、100%である。時間しきい値TMthは、例えば、環境温度に応じて設定されており、環境温度が高いほど小さな値が設定されている。具体的には、図6に示すように、制御部300は、複数の環境温度のそれぞれに対応させて、電流しきい値Ithおよび時間しきい値TMthをメモリに記憶している。本実施形態では、時間しきい値TMthとして、第1時間しきい値TMth1と、第2時間しきい値TMth2と、第3時間しきい値TMth3の3つのしきい値が記憶されている。図6において、一つの環境温度においては、第1時間しきい値TMth1より第2時間しきい値TMth2が小さく、第2時間しきい値TMth2よりも第3時間しきい値TMth3が小さい。第1時間しきい値TMth1は、環境温度が高いほど、小さな値が設定されている。第2時間しきい値TMth2は、環境温度が高いほど、小さな値が設定されている。第3時間しきい値TMth3は、環境温度が高いほど、小さな値が設定されている。なお、図6においては、理解の容易のため、時間しきい値TMthを、秒の単位で示しているが、実際には、図6に示した時間に対応するカウント値として記憶されている。
【0070】
制御部300は、継続時間TMが、第1時間しきい値TMth1を超えた場合に、パネルPAにヒータ65が異常であることを示すエラーメッセージを表示するとともに、ヒータ65への通電を停止する。また、制御部300は、継続時間TMが、第1時間しきい値TMth1よりも小さい第2しきい値TMth2を超えた場合に、パネルPAにヒータ65を含む部品の交換を促すエラーメッセージを表示する。また、制御部300は、継続時間TMが、第2時間しきい値TMth2よりも小さい第3しきい値TMth3を超えた場合に、パネルPAにヒータ65の寿命が近いことを示すエラーメッセージを表示する。
【0071】
図5を見て分かるように、ヒータ65が常温にあるときから箔転写の開始指令を受けた場合には、最初にデューティ比が100%になる期間が長いため、加熱ローラ60の温度が目標温度TTに達し、シートSの搬送を開始した後に異常判定処理を実行する。
【0072】
次に、制御部300による処理の一例について説明する。
図7に示すように、制御部300は、ユーザから箔転写の指令を受けると、継続時間TMを0にリセットするとともに、温度センサST2で検出した環境温度に基づいて、電流しきい値IMthと、時間しきい値TMth(TMth1,TMth2,TMth3)をメモリから取得する(S10)。
【0073】
そして、制御部300は、ヒータ65の電流の制御を開始し、温度センサSTで検出した温度Tが目標温度TT以上になったかを判定する(S11)。制御部300は、温度Tが目標温度TT以上でない場合(S11,No)には、温度Tが目標温度TTになるまで待つ。制御部300は、温度Tが目標温度TT以上になったと判定すると(S11,Yes)、シートSの搬送を開始する(S12)。
【0074】
そして、制御部300は、デューティ比Iが電流しきい値Ith以上、つまり、100%であるかを判定する(S20)。制御部300は、デューティ比Iが電流しきい値Ith以上ではないと判定した場合には(S20,No)、継続時間TMを0にリセットして(S21)、ステップS60へ進む。
【0075】
制御部300は、ステップS20において、デューティ比Iが電流しきい値Ith以上であると判定した場合(S20,Yes)、継続時間TMをカウントアップする(S22)。そして、制御部300は、継続時間TMが第1時間しきい値TMth1より大きいか否かを判定する(S30)。制御部300は、継続時間TMが第1時間しきい値TMth1より大きいと判定した場合には(S30,Yes)、パネルPAに、「転写ユニットが故障しています」など、ヒータ65が異常であることを意味するエラーメッセージを表示する(S31)。そして、制御部300は、箔転写中のシートSを排出した後、ヒータ65への通電を停止して(S32)、処理を終了する。
【0076】
制御部300は、ステップS30において、継続時間TMが第1時間しきい値TMth1より大きくないと判定した場合には(No)、継続時間TMが第2時間しきい値TMth2より大きいか否かを判定する(S40)。制御部300は、継続時間TMが第2時間しきい値TMth2より大きいと判定した場合には(S40,Yes)、パネルPAに、「転写ユニットを交換してください」など、ヒータ65を含む部品の交換を促すエラーメッセージを表示する(S41)。そして、ステップS60に進んで箔転写を継続する。
【0077】
制御部300は、ステップS40において、継続時間TMが第2時間しきい値TMth2より大きくないと判定した場合には(No)、継続時間TMが第3時間しきい値TMth3より大きいか否かを判定する(S50)。制御部300は、継続時間TMが第3時間しきい値TMth3より大きいと判定した場合には(S50,Yes)、パネルPAに、「間もなく転写ユニットの寿命です」など、ヒータ65を含む部品の寿命が近いことを知らせるエラーメッセージを表示する(S51)。そして、ステップS60に進んで箔転写を継続する。
【0078】
制御部300は、ステップS60において、すべてのシートSの搬送が完了したかを判定する。この判定は、例えば、シートセンサS1でシートSを検出しない場合には、すべてのシートSの搬送が完了したと判定し、シートセンサS1でシートSを検出した場合には、すべてのシートSの搬送が完了していないと判定することができる。制御部300は、すべてのシートSの搬送が完了していないと判定した場合には(S60,No)、シートSの搬送の継続を続け、ステップS20からの処理を繰り返す。制御部300は、すべてのシートSの搬送が完了したと判定した場合には(S60,Yes)、処理を終了する。
【0079】
以上のような処理により、本実施形態の箔転写装置1は、異常判定処理によってヒータ65に供給する電力値に基づいてヒータ65の異常を判定することができる。特に、箔転写装置1は、フォイルセーブモードを実行可能であるため、ヒータ65を繰り返し移動させることでヒータ65変形が発生しやすい。しかし、箔転写装置1は、ヒータ65の異常を判定できるため、箔転写の品質の安定性を向上させることができる。
【0080】
そして、制御部300は、デューティ比Iが連続して電流しきい値Ith以上となる継続時間TMが、時間しきい値TMthを超えた場合に、ヒータ65が異常であると判定するので、一時的な大きな電力がヒータ65に供給された場合に、誤ってヒータ65が異常であると判定することを抑制することができる。
【0081】
そして、デューティ比Iが100%になった継続時間TMが第3時間しきい値TMth3より大きく、第2時間しきい値TMth2以下の場合には、部品寿命が近いことをユーザに知らせて、ヒータ65の異常の程度が悪くなる前に、ユーザに交換用の部品の準備を促すことができる。
【0082】
また、継続時間TMが第2時間しきい値TMth2より大きく、第1時間しきい値TMth1以下の場合には、ヒータ65の異常の程度が悪くなる前に、ユーザにヒータ65の交換を促すことができる。
【0083】
また、継続時間TMが第1時間しきい値TMth1より大きくなった場合には、ヒータ65の通電を停止して、ヒータ65の状態がさらに悪化することを抑制することができる。
【0084】
さらに、時間しきい値TMth1は、環境温度に応じて設定されており、環境温度が高いほど小さな値が設定されているので、箔転写装置1は、環境温度が変化した場合にも、ヒータ65の異常を適切に判定することができる。
【0085】
以上に実施形態について説明したが、箔転写装置は以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0086】
前記実施形態では、環境温度に応じて時間しきい値TMthを異なる値に設定していたが、図8に示すように、電流しきい値Ithを環境温度に応じて設定し、環境温度が高いほど、電流しきい値Ithを小さな値に設定してもよい。この場合、時間しきい値TMthを環境温度に関わらず一定にしてもよい。
【0087】
前記実施形態では、パネルPAによってユーザへの報知をしていたが、音声による報知、PCディスプレイへの表示など、他の方法によって報知してもよい。
【0088】
前記実施形態では、加熱回転体として、金属管の内部にヒータ65を配置した加熱ローラ60を例示したが、例えば、加熱回転体は、無端状のベルトの内部にヒータ65を備える構成であってもよい。
【0089】
前記実施形態では、加圧回転体として、芯金の周囲をゴム層で被覆した加圧ローラ51を例示したが、例えば、加圧回転体は、無端状のベルトと、ゴムなどからなるパッドであって、加熱回転体との間でベルトを挟むパッドとを備える構成であってもよい。
【0090】
前記実施形態では、加圧回転体を直接加熱するヒータは備えていなかったが、加圧回転体を加熱するヒータをさらに備えていてもよい。つまり、一例として、2つの加熱ローラでシートおよび箔フィルムを挟んで加熱してもよい。
【0091】
前記実施形態では、制御部は、フォイルセーブモードを実行することが可能であったが、フォイルセーブモードを実行可能でなくてもよい。
【0092】
前記実施形態では、ヒータはフィラメントを有していたが、ヒータはフィラメントを有していなくてもよい。
【0093】
前記実施形態では、制御部は、PWM制御によりヒータの電流を制御していたが、波数制御や位相制御など、他の制御方法によりヒータを制御してもよい。
【0094】
前記実施形態では、環境温度に応じて電流しきい値または時間しきい値を設定していたが、環境温度に関わらず電流しきい値または時間しきい値を設定してもよい。
【0095】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 箔転写装置
51 加圧ローラ
60 加熱ローラ
62F,63F フィラメント
65 ヒータ
70 アクチュエータ
300 制御部
F 箔フィルム
S シート
ST 温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8