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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147114
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ラミネート装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/02 20060101AFI20241008BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20241008BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241008BHJP
   G03G 15/22 20060101ALI20241008BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20241008BHJP
   B41M 3/12 20060101ALI20241008BHJP
   B32B 37/02 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B29C63/02
G03G21/14
G03G21/00 370
G03G15/22 103B
G03G15/22 103C
G03G15/20 555
B41M3/12
B32B37/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059895
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】中西 有樹子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 登
(72)【発明者】
【氏名】横山 政季
【テーマコード(参考)】
2H033
2H078
2H113
2H270
4F100
4F211
【Fターム(参考)】
2H033AA46
2H033AA47
2H033BA59
2H033BB01
2H033BB28
2H033CA30
2H033CA36
2H033CA37
2H078AA40
2H078BB12
2H078DD47
2H078DD57
2H078EE04
2H078FF01
2H078FF60
2H113AA05
2H113BA00
2H113BA22
2H113BA23
2H113BA24
2H113BB02
2H113BB07
2H113BB08
2H113BB22
2H113DA45
2H113DA49
2H270KA35
2H270LA60
2H270LC02
2H270LC06
2H270LC14
2H270MA35
2H270MC56
2H270MC60
2H270MF13
2H270PA14
2H270PA83
2H270QB14
2H270QB21
2H270ZC03
4F100AT00A
4F100AT00B
4F100AT00C
4F100BA03
4F100EC032
4F100EC182
4F100EJ192
4F100EJ42A
4F100EK01
4F100EK031
4F100EK06
4F100JN01B
4F100JN01C
4F211AD08
4F211AG01
4F211AG03
4F211AP06
4F211AP19
4F211AQ01
4F211SA08
4F211SC07
4F211SD01
4F211SD12
4F211SJ13
4F211SJ15
4F211SP05
(57)【要約】
【課題】シートの一方側からのみ加熱可能なラミネート装置において、透明フィルムを綺麗に熱接着する。
【解決手段】ラミネート装置は、積層シートLSの第1面SF1を加熱回転体(加熱ローラ60)に向けた状態で、加熱回転体と加圧回転体の間で積層シートLSを搬送し、積層シートLSの第1面SF1を加熱する第1接着処理と、第1接着処理がされた積層シートLSの、第1面SF1とは反対側の第2面SF2を加熱回転体に向けた状態で、加熱回転体と加圧回転体の間で積層シートLSを搬送し、積層シートLSの第2面SF2を加熱する第2接着処理と、を実行可能である。制御部は、第2接着処理において、積層シートLSの後端部以外の部分の積層シートLSの搬送速度を第1搬送速度V1にして積層シートを搬送し、後端部における積層シートの搬送速度を、第1搬送速度V1よりも小さい第2搬送速度V2にして積層シートLSを搬送する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの両面に透明フィルムを熱接着するラミネート装置であって、
シートを一対の透明フィルムで挟んでなる積層シートを加熱する加熱回転体と、
前記加熱回転体に圧接した状態で前記加熱回転体との間で積層シートを搬送する加圧回転体と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
積層シートの第1面を前記加熱回転体に向けた状態で、前記加熱回転体と前記加圧回転体の間で積層シートを搬送し、積層シートの前記第1面を加熱する第1接着処理と、
前記第1接着処理がされた積層シートの、前記第1面とは反対側の第2面を前記加熱回転体に向けた状態で、前記加熱回転体と前記加圧回転体の間で積層シートを搬送し、積層シートの前記第2面を加熱する第2接着処理と、を実行可能であり、
前記第2接着処理において、積層シートの後端部以外の部分の積層シートの搬送速度を第1搬送速度にして積層シートを搬送し、前記後端部における積層シートの搬送速度を、前記第1搬送速度よりも小さい第2搬送速度にして積層シートを搬送することを特徴とするラミネート装置。
【請求項2】
前記ラミネート装置は、箔を含む箔フィルムを着脱可能なフィルムカートリッジを装着可能であり、フィルムカートリッジが装着された状態で、前記加熱回転体と前記加圧回転体の間で、画像が形成されたシートと箔フィルムを挟むことで、シートの画像に箔を転写することが可能な箔転写装置であることを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置。
【請求項3】
前記制御部は、処理対象物が積層シートであることを示す信号を受信したことを条件として前記第1接着処理および前記第2接着処理を実行することを特徴とする請求項2に記載のラミネート装置。
【請求項4】
前記処理対象物が積層シートであることを示す信号を入力する入力部をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のラミネート装置。
【請求項5】
表示装置をさらに備え、
前記制御部は、
前記入力部として、前記表示装置に、処理対象物が積層シートであることを選択可能な選択肢を表示し、
処理対象物が積層シートであることを示す選択肢が選択されたことを条件として前記第1接着処理および前記第2接着処理を実行することを特徴とする請求項4に記載のラミネート装置。
【請求項6】
前記フィルムカートリッジの装着を検出するカートリッジセンサと、前記箔フィルムの装着を検出するフィルムセンサと、をさらに備え、
前記制御部は、前記カートリッジセンサおよび前記フィルムセンサからの信号に基づいて、前記フィルムカートリッジが装着されており、かつ、前記箔フィルムが装着されていないと判定したことを条件として前記第1接着処理および前記第2接着処理を実行することを特徴とする請求項2に記載のラミネート装置。
【請求項7】
前記制御部は、ユーザによって処理対象物として積層シートが選択され、かつ、前記フィルムセンサからの信号に基づいて、前記箔フィルムが装着されていると判定した場合には、箔フィルムを外すことを促すエラーメッセージを出力することを特徴とする請求項6に記載のラミネート装置。
【請求項8】
積層シートの搬送方向における前記加熱回転体の上流側に積層シートを検知するセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記第2接着処理において、前記センサが積層シートの後端を検知したときから所定時間後に積層シートの搬送速度を遅くすることを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置。
【請求項9】
前記制御部は、処理対象物の種類に対応して前記加熱回転体の目標温度を複数記憶したメモリを有し、
前記メモリは、前記処理対象物の種類としての積層シートと、積層シートの処理に最適な目標温度とを対応付けて記憶しており、
前記制御部は、前記処理対象物が積層シートであることを示す信号を受信した場合に、前記メモリから積層シートの処理に最適な目標温度を取得し、取得した目標温度に近づくように前記加熱回転体の温度を制御することを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置。
【請求項10】
前記メモリは、前記処理対象物としての積層シートと、積層シートの処理に最適な搬送速度とを対応付けて記憶しており、
前記制御部は、前記処理対象物が積層シートであることを示す信号を受信した場合に、前記メモリから積層シートの処理に最適な搬送速度を取得し、取得した搬送速度で積層シートを搬送するように前記加熱回転体および前記加圧回転体の回転速度を制御することを特徴とする請求項9に記載のラミネート装置。
【請求項11】
前記シートの一方の面に重なる透明フィルムを供給する第1フィルム供給機構と、
前記シートの他方の面に重なる透明フィルムを供給する第2フィルム供給機構と、
シートにトナー像を形成することが可能な画像形成ユニットであって、前記加熱回転体および前記加圧回転体の間にシートを供給する画像形成ユニットと、
前記加熱回転体および前記加圧回転体を通過したシートを前記画像形成ユニットに再度搬送することが可能な再搬送機構と、をさらに備え、
前記制御部は、
前記画像形成ユニットによりシートにトナー像を形成した後、前記加熱回転体および前記加圧回転体でトナー像を熱定着する画像形成処理と、
前記画像形成処理の後、シートを裏返して前記再搬送機構により搬送する第1再搬送処理と、
前記第1フィルム供給機構によりシートの一方の面に透明フィルムを重ねるとともに前記第2フィルム供給機構によりシートの他方の面に透明フィルムを重ねる積層処理と、
前記積層処理によりできた積層シートを前記画像形成ユニットに供給し、画像形成をすることなく前記加熱回転体および前記加圧回転体の間に搬送する第1搬送処理と、
前記第1接着処理と、
前記第1接着処理の後、積層シートを前記再搬送機構により裏返して再度前記画像形成ユニットに供給する第2再搬送処理と、
前記第2再搬送処理の後、積層シートを、画像形成をすることなく前記加熱回転体および前記加圧回転体の間に搬送する第2搬送処理と、
前記第2接着処理と、を実行すること
を特徴とする請求項1に記載のラミネート装置。
【請求項12】
前記第2搬送速度は0であり、
前記制御部は、前記第2接着処理において、積層シートの後端部において積層シートを一時停止させ、その後、搬送を再開することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のラミネート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの両面に透明フィルムを熱接着するラミネート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透明フィルムをシートに熱接着するラミネート装置において、画像形成装置の熱定着装置を利用する技術が知られている(特許文献1)。また、シートに箔フィルムを重ねて加熱することで、シートに箔を転写する箔転写装置が知られている(特許文献2)。これらの装置では、シートの一方側のみに、ヒータを有する加熱回転体が配置され、加熱回転体と加圧回転体の間でシートを搬送可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-194636号公報
【特許文献2】特開2021-160295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
箔転写装置においても、特許文献1の画像形成装置のように、ラミネート加工ができるようにすることで、利便性が向上することが期待される。ところが、画像形成装置または箔転写装置を用いて、シートの一方の面からの加熱でシートの両面に透明フィルムを熱接着しようとする場合、十分な加熱ができず、接着不良になるおそれがある。この改善策として、シートの一方側から加熱して熱接着した後、シートを裏返し、シートの他方側から加熱して再度熱接着するという方法が考えられる。しかしながら、このような方法でラミネート加工を行うと、次のような問題が生じる。
【0005】
まず、シートの一方の面から熱接着をすると、2枚の透明フィルムのうちシートの周囲を囲む部分が互いに接着される。これにより、2枚の透明フィルムの間に閉じた空間が形成される。その後、シートの他方の面から熱接着をすると、シートの他方の面に透明フィルムが接着されるとともに、2枚の透明フィルムの間の空気が、搬送されるシートの後端部に集まる。ところが、2枚の透明フィルムの外周部は閉じられているため、透明フィルム間の空気をスムーズに外部に排出することはできない。この空気は、透明フィルムに圧力を十分にかけることで排出することも可能である。しかし、この場合には、一度熱接着された外周部を剥がし、その剥がれた部分から空気を排出することになるため、透明フィルムの外周の一部に接着不良となる部分が残るという問題がある。
【0006】
そこで、本発明では、シートの一方側からのみ加熱可能なラミネート装置において、透明フィルムを綺麗に熱接着することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための、シートの両面に透明フィルムを熱接着するラミネート装置は、シートを一対の透明フィルムで挟んでなる積層シートを加熱する加熱回転体と、加熱回転体に圧接した状態で加熱回転体との間で積層シートを搬送する加圧回転体と、制御部と、を備える。
制御部は、積層シートの第1面を加熱回転体に向けた状態で、加熱回転体と加圧回転体の間で積層シートを搬送し、積層シートの第1面を加熱する第1接着処理と、第1接着処理がされた積層シートの、第1面とは反対側の第2面を加熱回転体に向けた状態で、加熱回転体と加圧回転体の間で積層シートを搬送し、積層シートの第2面を加熱する第2接着処理と、を実行可能である。
制御部は、第2接着処理において、積層シートの後端部以外の部分の積層シートの搬送速度を第1搬送速度にして積層シートを搬送し、後端部における積層シートの搬送速度を、第1搬送速度よりも小さい第2搬送速度にして積層シートを搬送する。
【0008】
このようなラミネート装置では、第2接着処理において、積層シートの後端部以外の部分の搬送速度を第1搬送速度にしし、後端部における積層シートの搬送速度を、第1搬送速度よりも小さい第2搬送速度にするので、透明フィルムの後端部の一部が剥がれたとしても、その部分を第2搬送速度で搬送する際に、再度接着することができる。これにより、シートの一方側からのみ加熱可能なラミネート装置において、透明フィルムを綺麗に熱接着することができる。
【0009】
ラミネート装置は、箔を含む箔フィルムを着脱可能なフィルムカートリッジを装着可能であり、フィルムカートリッジが装着された状態で、加熱回転体と加圧回転体の間で、画像が形成されたシートと箔フィルムを挟むことで、シートの画像に箔を転写することが可能な箔転写装置であってもよい。
【0010】
ラミネート装置が、箔転写装置である場合、箔転写装置で、箔の転写とラミネート加工の2つの機能を実現することができる。
【0011】
ラミネート装置が、箔転写装置である場合、制御部は、処理対象物が積層シートであることを示す信号を受信したことを条件として第1接着処理および第2接着処理を実行してもよい。
【0012】
箔転写装置は、処理対象物が積層シートであることを示す信号を入力する入力部をさらに備えていてもよい。
【0013】
箔転写装置は、表示装置をさらに備えていてもよい。この場合、制御部は、入力部として、表示装置に、処理対象物が積層シートであることを選択可能な選択肢を表示する構成とすることができる。そして、制御部は、処理対象物が積層シートであることを示す選択肢が選択されたことを条件として第1接着処理および第2接着処理を実行することができる。
【0014】
箔転写装置は、フィルムカートリッジの装着を検出するカートリッジセンサと、箔フィルムの装着を検出するフィルムセンサと、をさらに備えていてもよい。制御部は、カートリッジセンサおよびフィルムセンサからの信号に基づいて、フィルムカートリッジが装着されており、かつ、箔フィルムが装着されていないと判定したことを条件として第1接着処理および第2接着処理を実行することが望ましい。
【0015】
制御部が、箔フィルムが装着されていないと判定したことを条件として第1接着処理および第2接着処理を実行することで、箔フィルムを無駄に消費したり、箔が透明フィルムに付着することを抑制できる。
【0016】
制御部は、ユーザによって処理対象物として積層シートが選択され、かつ、フィルムセンサからの信号に基づいて、箔フィルムが装着されていると判定した場合には、箔フィルムを外すことを促すエラーメッセージを出力することができる。
【0017】
ラミネート装置は、積層シートの搬送方向における加熱回転体の上流側に積層シートを検知するセンサをさらに備えることができる。そして、制御部は、第2接着処理において、センサが積層シートの後端を検知したときから所定時間後に積層シートの搬送速度を遅くする構成であってもよい。
【0018】
制御部は、処理対象物の種類に対応して加熱回転体の目標温度を複数記憶したメモリを有することができる。メモリは、処理対象物の種類としての積層シートと、積層シートの処理に最適な目標温度とを対応付けて記憶しておくことができる。制御部は、処理対象物が積層シートであることを示す信号を受信した場合に、メモリから積層シートの処理に最適な目標温度を取得し、取得した目標温度に近づくように加熱回転体の温度を制御してもよい。
【0019】
メモリは、処理対象物としての積層シートと、積層シートの処理に最適な搬送速度とを対応付けて記憶してもよい。制御部は、処理対象物が積層シートであることを示す信号を受信した場合に、メモリから積層シートの処理に最適な搬送速度を取得し、取得した搬送速度で積層シートを搬送するように加熱回転体および加圧回転体の回転速度を制御することができる。
【0020】
ラミネート装置は、シートの一方の面に重なる透明フィルムを供給する第1フィルム供給機構と、シートの他方の面に重なる透明フィルムを供給する第2フィルム供給機構と、シートにトナー像を形成することが可能な画像形成ユニットであって、加熱回転体および加圧回転体の間にシートを供給する画像形成ユニットと、加熱回転体および加圧回転体を通過したシートを画像形成ユニットに再度搬送することが可能な再搬送機構と、をさらに備える画像形成装置であってもよい。
この場合、制御部は、画像形成処理と、第1再搬送処理と、積層処理と、第1搬送処理と、前記第1接着処理と、第2再搬送処理と、第2搬送処理と、前記第2接着処理とを実行可能である。
画像形成処理は、画像形成ユニットによりシートにトナー像を形成した後、加熱回転体および加圧回転体でトナー像を熱定着する処理である。第1再搬送処理は、画像形成処理の後、シートを裏返して再搬送機構により搬送する処理である。積層処理は、第1フィルム供給機構によりシートの一方の面に透明フィルムを重ねるとともに第2フィルム供給機構によりシートの他方の面に透明フィルムを重ねる処理である。第1搬送処理は、積層処理によりできた積層シートを画像形成ユニットに供給し、画像形成をすることなく加熱回転体および加圧回転体の間に搬送する処理である。第2再搬送処理は、第1接着処理の後、積層シートを再搬送機構により裏返して再度画像形成ユニットに供給する処理である。第2搬送処理は、第2再搬送処理の後、積層シートを、画像形成をすることなく加熱回転体および加圧回転体の間に搬送する処理である。
【0021】
前記した第2搬送速度は0であってもよい。例えば、制御部は、第2接着処理において、積層シートの後端部において積層シートを一時停止させ、その後、搬送を再開するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、シートの一方側からのみ加熱可能なラミネート装置において、透明フィルムを綺麗に熱接着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る箔転写装置を示す図(a)と、箔フィルムの構成を示す断面図(b)である。
図2】箔転写装置のカバーを開けた状態を示す図である。
図3】加熱ローラの断面図である。
図4】(a)接着前の積層シートの斜視図と、(b)接着後の積層シートの平面図である。
図5】動作モードの設定画面の例を示すパネルの図である。
図6】制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
図7】第2接着処理における積層シートの動きを説明する、加熱ローラ側から積層シートを見た図(a)~(c)である。
図8】制御部の処理の変形例を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態における画像形成装置の画像形成処理時の搬送経路を示す図である。
図10】第1搬送処理を実行している状態の画像形成装置である。
図11】積層処理を実行している状態の画像形成装置である。
図12】第2搬送処理を開始する状態の画像形成装置である。
図13】第2再搬送処理を実行する状態の画像形成装置である。
図14】第2搬送処理を実行する状態の画像形成装置である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
次に、実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)に示すように、第1実施形態は、ラミネート装置が箔転写装置1である場合について説明する。まずは、箔転写装置1の箔転写のための基本的な構成について説明する。箔転写装置1は、箔を含む箔フィルムFにシートSを重ねて、シートS上の画像に箔を転写する装置である。例えば、箔転写装置1は、レーザプリンタなどの画像形成装置でシートSにトナー像などの画像を形成した後、シートSの画像の上にアルミニウムなどの箔を転写することで、シートSに箔の画像を形成する。箔転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、箔転写部50と、制御部90と、モータMと、表示装置の一例としてのパネルPAとを備えている。
【0025】
筐体2は、樹脂などからなり、装置本体21と、カバー22とを備えている。
装置本体21は、上部に開口21A(図2参照)を有している。開口21Aは、装置本体21にフィルムカートリッジFCを着脱するための開口である。
カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、装置本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを閉じる閉位置(図1(a)の位置)と、開口21Aを開放する開位置(図2の位置)との間で回動可能となっている。
【0026】
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルムなどのシートSがセットされるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。なお、シートSは、画像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上にセットされる。
【0027】
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート搬送部10は、モータMによって回転駆動されることでシートSを搬送する。
シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを1枚ずつ箔転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、ピックアップローラ11Aと、リタードローラ11Bと、搬送ローラとしての上流側搬送ローラ11Cとを備えている。
【0028】
ピックアップローラ11Aは、シートトレイ3にセットされたシートSをピックアップするローラである。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aによって搬送されるシートSを1枚に分離するためのローラである。ピックアップローラ11Aは、シートSをピックアップする場合には、例えば、ピックアップローラ11Aが1回転する時間だけ駆動する。
【0029】
リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aの上に配置されている。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSの上に重なっているシートSをシートトレイ3に向けて戻す方向に回転可能となっている。
【0030】
上流側搬送ローラ11Cは、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。上流側搬送ローラ11Cは、シートSの搬送方向において箔転写部50の直前に配置された搬送ローラである。詳しくは、上流側搬送ローラ11Cは、ピックアップローラ11Aと箔転写部50との間に配置されている。上流側搬送ローラ11Cは、ピックアップローラ11AによりピックアップされたシートSを箔転写部50に向けて搬送する。
【0031】
シート排出機構12は、箔転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、下流側搬送ローラ12Aと、排出ローラ12Bとを備えている。
【0032】
下流側搬送ローラ12Aおよび排出ローラ12Bは、それぞれ、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。下流側搬送ローラ12Aは、箔転写部50と排出ローラ12Bとの間に配置され、箔転写部50から送り出されるシートSを排出ローラ12Bに搬送する。排出ローラ12Bは、シートSの搬送方向において下流側搬送ローラ12Aの下流側に配置され、下流側搬送ローラ12Aで送り出されるシートSを筐体2の外に排出する。
【0033】
シートSの搬送経路には、シートSを検出可能なシートセンサS1,S2が配置されている。シートセンサS1は、シートSの搬送方向においてシート供給機構11の上流側に配置されている。シートセンサS1は、シートトレイ3に載っているシートSを検出可能である。シートセンサS2は、シートSの搬送方向における加熱ローラ60の上流側に配置されている。具体的には、シートセンサS2は、シートSの搬送方向において、シート供給機構11と箔転写部50との間に配置されている。シートセンサS2は、シートSを検出することができ、これによりシートSの前端および後端が通過したことを検出可能である。
【0034】
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように箔フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムカートリッジFCを備えている。
【0035】
フィルムカートリッジFCは、図2に示すように、後述する供給リール31の軸方向に直交する方向において、開口21Aを通過して装置本体21に着脱可能となっている。フィルムカートリッジFCは、供給リール31と、巻取リール35と、ホルダ40とを備えている。供給リール31には、箔フィルムFが巻回されている。供給リール31は、ホルダ40に対して着脱可能である。供給リール31をホルダ40から外すことで、箔フィルムFは、フィルムカートリッジFCに着脱可能である。ホルダ40は、第1案内軸41と、第2案内軸42と、第3案内軸43とを備えている。本実施形態では、フィルムカートリッジFCのホルダ4は、シートSを搬送する際のガイドとしても機能する。そのため、後述するラミネートモードにおいては、箔フィルムFは外した方がよいが、フィルムカートリッジFCのホルダ40は、装着したままであるのが望ましい。
【0036】
図1(b)に示すように、箔フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、箔フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。
支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。
【0037】
被支持層F2は、例えば、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
【0038】
転写層F22は、画像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウムなどの薄い金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
【0039】
接着層F23は、転写層F22を画像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、箔転写部50によって加熱された画像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
【0040】
図1(a)に示すように、供給リール31は、樹脂などからなり、箔フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、箔フィルムFの一端が固定されている。巻取リール35は、樹脂などからなり、供給リール31からの箔フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、箔フィルムFの他端が固定されている。巻取リール35は、モータMによって回転駆動されることで箔フィルムFを巻き取る。なお、図1などにおいては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に箔フィルムFが最大に巻回された状態を図示している。
【0041】
第1案内軸41は、供給リール31から引き出される箔フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第2案内軸42は、第1案内軸41で案内された箔フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第3案内軸43は、第2案内軸42で案内された箔フィルムFの進行方向を変更して巻取リール35に案内する軸である。
【0042】
第1案内軸41は、画像を下にした状態で搬送されるシートSに対して、供給リール31から引き出された箔フィルムFを下から重ねるように案内している。第1案内軸41は、供給リール31から引き出された箔フィルムFの搬送方向を変えて、シートSの搬送方向と略平行に箔フィルムFを案内する。
【0043】
第2案内軸42は、箔転写部50を通過した箔フィルムFと接触し、箔転写部50を通過した箔フィルムFの搬送方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更している。箔転写部50を通過してシートSと重なった状態で搬送された箔フィルムFは、第2案内軸42を通過する際にシートSとは異なる方向に案内され、シートSから剥離される。
【0044】
筐体2は、フィルムカートリッジFCの装着を検出するカートリッジセンサS3を備えている。カートリッジセンサS3は、一例として、筐体2に装着されたフィルムカートリッジFCに接触して動くレバーと、レバーの動きを検出する光センサからなる。もしくは、カートリッジセンサS3は、フィルムカートリッジFCを光学的に直接検出するセンサであってもよい。
【0045】
筐体2は、箔フィルムFの装着を検出するフィルムセンサS4を備えている。フィルムセンサS4は、一例として、供給リール31に接触して動くレバーと、レバーの動きを検出する光センサからなる。もしくは、フィルムセンサS4は、箔フィルムFを光学的に直接検出するセンサであってもよい。
【0046】
箔転写部50は、供給リール31から巻取リール35に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねてシートSと箔フィルムFを挟んだ状態で加熱および加圧することで、シートSに形成された画像の上に箔を含む転写層F22を転写するための部分である。箔転写部50は、加圧回転体の一例としての加圧ローラ51と、加熱回転体の一例としての加熱ローラ60と、アクチュエータ70と、温度センサSTとを備えている。
【0047】
加圧ローラ51は、加熱ローラ60との間で箔フィルムFとシートSを挟むローラであり、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆してなる。加圧ローラ51は、箔フィルムFの上側に配置され、シートSの、画像が形成された面と反対側の面と接触可能となっている。加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ60に圧接した状態で加熱ローラ60との間で箔フィルムFとシートSを搬送する。
【0048】
加熱ローラ60は、箔フィルムFおよびシートSを加熱するローラである。加熱ローラ60は、箔フィルムFの下側に配置され、箔フィルムFと接触可能となっている。図3に示すように、加熱ローラ60は、ローラ61と、ヒータ65を有している。ヒータ65は、中央ヒータ62およびサイドヒータ63を含む。
【0049】
ローラ61は、円筒状に形成された金属管である。ローラ61は、中央ヒータ62およびサイドヒータ63に加熱され、箔フィルムFと接触して、箔フィルムFおよびシートSを加熱する。
【0050】
中央ヒータ62は、ガラス管62Gと、フィラメント62Fとを有してなる。フィラメント62Fは、ガラス管62Gの中に収容されている。中央ヒータ62は、シートSの幅方向における中央部を加熱する。中央ヒータ62は、幅方向における中央部62Aの出力が幅方向における両端部62Bより出力が高い。
【0051】
サイドヒータ63は、ガラス管63Gと、フィラメント63Fとを有してなる。フィラメント63Fは、ガラス管63Gの中に収容されている。サイドヒータ63は、シートSの幅方向における両端部を加熱する。サイドヒータ63は、幅方向における両端部63Bの出力が幅方向における中央部63Aより出力が高い。フィラメント62F,63Fは、例えば、タングステン、カーボン、ニクロム線、カンタル線などからなる。
【0052】
アクチュエータ70は、加熱ローラ60および加圧ローラ51が互いに圧接する圧接位置(図1において実線で示す。)と、加熱ローラ60および加圧ローラ51が互いに離間する離間位置(図1において二点鎖線で示す。)との間で加熱ローラ60を移動させる部材である。一例として、アクチュエータ70は、モータMによって回転されるカムである。
【0053】
温度センサSTは、加熱ローラ60の外側面に対向して配置されている。温度センサSTは、加熱ローラ60の温度を検出可能である。温度センサSTは、加熱ローラ60に接触していてもよいし、接触していなくてもよい。
【0054】
パネルPAは、カバー22の上面に設けられている。パネルPAは、メッセージや操作ボタンを表示可能なパネルである。パネルPAは、例えば、タッチパネルを有する。ユーザは、パネルPA上のタッチパネルを操作することで、箔転写装置1を操作可能である。なお、パネルPAには、タッチパネルとは別のボタンが設けられていてもよい。
【0055】
制御部90は、CPU、RAM、ROM、入出力回路などを備えており、ROMなどに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって制御を実行する。制御部90は、シートセンサS1,S2とカートリッジセンサS3で読み取った情報に基づいてシートSの搬送と箔転写部50を制御するように構成されている。
【0056】
加圧ローラ51および加熱ローラ60は、圧接した状態で駆動することによって箔フィルムFとシートSを搬送可能である。詳しくは、加圧ローラ51は、加熱ローラ60が圧接位置にある状態で、モータMによって回転駆動されることで加熱ローラ60を従動回転させる。これにより、加圧ローラ51および加熱ローラ60は、加圧ローラ51と加熱ローラ60との間に挟まれる箔フィルムFとシートSを搬送する。
【0057】
このように構成された箔転写装置1では、画像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3にセットされたシートSが、シート供給機構11により1枚ずつ箔転写部50に向けて搬送される。シートSは、箔転写部50のシート搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された箔フィルムFと重ねられ、シートSの画像と箔フィルムFが接触した状態で箔転写部50に搬送される。
【0058】
箔転写部50においては、シートSと箔フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ60の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ60と加圧ローラ51により加熱および加圧され、シートSに形成された画像の上に箔を含む転写層F22が転写される。なお、以下の説明では、シートSへの箔の転写を、単に「箔転写」とも称する。
【0059】
箔転写が行われた後、シートSと箔フィルムFは密着した状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと箔フィルムFが第2案内軸42を通過すると、箔フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから箔フィルムFが剥離される。
【0060】
シートSから剥離された箔フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、箔フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
【0061】
次に、箔転写装置1を、シートSの両面に透明フィルムを熱接着するラミネート装置として使用するための構成について説明する。シートSを透明フィルムで熱接着する場合、シートSのみをシートトレイ3に載置するのではなく、図4(a),(b)に示すような積層シートLSをシートトレイ3に載置する。積層シートLSは、シートSを一対の透明フィルムTFで挟んでなるものである。なお、透明フィルムTFでラミネート加工されるシートSは、箔転写をする場合と異なり、トナー像が形成されている必要はない。箔転写をする場合には、箔を接着するための層の一例として、トナー像を利用していたが、ラミネート加工をする場合には、箔転写のためのトナー像は不要である。すなわち、シートSは、印画紙の写真であってもよいし、トナーによらない印刷物、例えば、オフセット印刷がされた紙や、インクジェット印刷がされた紙であってもよい。
【0062】
透明フィルムTFは、透明な樹脂シートまたはセロファンなどを有してなる。透明フィルムTFは、シートSに対向する面に、加熱により溶けて接着力を発揮する接着層を有している。透明フィルムTFは、シートSよりも大きな長さおよび幅を有する。このため、一対の透明フィルムTFは、シートSの外周の外側に、透明フィルムTF同士が重なり合う接着部BPを有する。なお、本明細書において、シートSの搬送方向の大きさを長さといい、搬送方向に直交する方向の大きさを幅という。
【0063】
透明フィルムTFは、シートSに対して圧力を掛けながら加熱することでシートSに接着可能である。また、透明フィルムTF同士も、接着部BPにおいて、圧力を掛けながら加熱することで接着可能である。接着部BPは、図4(b)に示すように、積層シートLSにおける搬送方向における下流端の接着部BP1と、上流側の接着部BP2と、幅方向の両端に位置する接着部BP3とを含む。
【0064】
次に、制御部90が実行する制御について説明する。
制御部90は、動作モードとして、箔転写を実行する箔転写モードと、ラミネート加工を実行するラミネートモードとを実行可能である。このため、図5に示すように、制御部90は、処理対象物が積層シートLSであるという信号を入力する入力部として、パネルPAに、動作モードを選択するための動作設定画面B10を表示する。制御部90は、ユーザの操作に応じて、動作設定画面B10に、箔転写モードを選択するボタンB11と、ラミネートモードを選択するボタンB12とを表示する。ボタンB12は、処理対象物が積層シートLSであることを選択可能な選択肢であり、タッチパネルによるボタンとして表示される。箔転写モードを選択するボタンB11が押された場合、処理対象物がシートSであることを示す信号が制御部90に入力される。ラミネートモードを選択するボタンB12が押された場合、処理対象物が積層シートLSであることを示す信号が制御部90に入力される。また、制御部90は、パネルPAに、処理を開始するためのスタートボタンB21をタッチパネルによるボタンとして表示する。制御部90は、スタートボタンB21が押された場合、箔転写モードまたはラミネートモードの実行を開始する。
【0065】
ラミネートモードにおいて、制御部90は、第1接着処理と、第2接着処理とを実行可能である。
【0066】
第1接着処理は、積層シートLSの第1面SF1を加熱ローラ60に向けた状態で、加熱ローラ60と加圧ローラ51の間で積層シートLSを搬送し、積層シートLSの第1面SF1を加熱する処理である。
【0067】
第2接着処理は、第1接着処理がされた積層シートLSの、第1面SF1とは反対側の第2面SF2を加熱ローラ60に向けた状態で、加熱ローラ60と加圧ローラ51の間で積層シートLSを搬送し、積層シートLSの第2面SF2を加熱する処理である。制御部90は、第2接着処理において、積層シートLSの後端部以外の部分の積層シートLSの搬送速度を第1搬送速度V1にして積層シートLSを搬送する。また、制御部90は、後端部における積層シートLSの搬送速度を、第1搬送速度V1よりも小さい第2搬送速度V2にして積層シートLSを搬送する。つまり、積層シートLSの搬送方向の上流側の接着部BP2を加熱ローラ60と加圧ローラ51で挟んで搬送する際に、遅い第2搬送速度V2で搬送する。
具体的な搬送の制御として、制御部90は、第2接着処理において、第1搬送速度V1で積層シートLSの搬送を開始した後、シートセンサS2が積層シートLSの後端を検知したときから所定時間後に積層シートLSの搬送速度を遅くする。
【0068】
制御部90は、パネルPAにおいてボタンB12が押されてラミネートモードが選択され、スタートボタンB21が押された場合に第1接着処理および第2接着処理を実行する。つまり、制御部90は、処理対象物が積層シートLSであることを示す選択肢が選択された場合に第1接着処理および第2接着処理を実行する。別の言い方をすると、制御部90は、処理対象物が積層シートLSであることを示す信号を受信したことを条件として第1接着処理および第2接着処理を第1接着処理および第2接着処理を実行する。
【0069】
また、制御部90は、ラミネートモードが選択され、スタートボタンB21が押された場合、カートリッジセンサS3からの信号に基づいて、フィルムカートリッジFCが装着されているか否かを判定し、フィルムセンサS4からの信号に基づいて、箔フィルムFが装着されているか否かを判定する。そして、制御部90は、フィルムカートリッジFCが装着されていると判定し、かつ、箔フィルムFが装着されていないと判定したことを条件として第1接着処理および第2接着処理を実行する。箔フィルムFを装着したままラミネート加工を実行すると、箔が透明フィルムTFに付着する可能性があるからである。また、箔フィルムFを装着したままラミネート加工を実行すると、箔が透明フィルムTFに付着しなかったとしても、箔フィルムFを無駄に消費してしまうからである。制御部90は、ユーザによって処理対象物として積層シートLSが選択され、かつ、フィルムセンサS4からの信号に基づいて、箔フィルムFが装着されていると判定した場合には、箔フィルムFを外すことを促すエラーメッセージをパネルPAに出力する。
【0070】
制御部90は、処理対象物の種類に応じて、シートSまたは積層シートLSの搬送速度を変更することができる。具体的には、制御部90は、各種の動作設定を記憶するメモリを有することができる。メモリは、処理対象物の種類と、処理対象物に応じた搬送速度を記憶している。例えば、メモリは、積層シートLSと、積層シートLSの処理に最適な搬送速度とを対応付けて記憶している。また、メモリは、シートSが厚紙であるか、普通紙であるか等のシートSの種類に対応して、最適な搬送速度を記憶している。制御部90は、処理対象物が積層シートLSであることを示す信号を受信した場合には、メモリから積層シートLSの処理に最適な搬送速度、つまり、第1搬送速度V1および第2搬送速度V2を取得する。そして、制御部90は、取得した搬送速度で積層シートLSを搬送するように加熱ローラ60および加圧ローラ51の回転速度を制御する。
【0071】
制御部90は、処理対象物の種類に応じて、加熱ローラ60の目標温度を変更することができる。具体的には、制御部90のメモリは、処理対象物の種類に対応して加熱ローラ60の目標温度を複数記憶している。例えば、メモリは、処理対象物の種類としての積層シートLSと、積層シートLSの処理に最適な目標温度とを対応付けて記憶している。また、メモリは、シートSが厚紙であるか、普通紙であるか等のシートSの種類に対応して、最適な目標温度を記憶している。制御部90は、処理対象物が積層シートLSであることを示す信号を受信した場合には、メモリから積層シートLSの処理に最適な目標温度を取得する。そして、制御部90は、温度センサSTから検出した温度に基づき、取得した目標温度に近づくように加熱ローラ60の温度を制御する。
【0072】
次に、制御部90による処理の一例について説明する。
図6に示すように、制御部90は、ユーザからスタートボタンB21が押され、かつ、シートセンサS1で何らかのシートを検出した場合に、図6の処理を開始する。仮に、スタートボタンB21が押されたが、シートセンサS1によってシートを検出できない場合には、パネルPAにシートまたは積層シートをセットすることを警告として表示するとよい。制御部90は、図6の処理を開始すると、まず、ラミネートモードが選択されているか否かを判定する(S10)。制御部90は、ラミネートモードが選択されていないと判定した場合(S10,No)、つまり、箔転写モードが選択されている場合には、箔転写動作を実行する(S11)。ステップS11の詳細の説明は省略するが、制御部90は、全てのシートSについて箔転写が終了すれば、処理を終了する。
【0073】
制御部90は、ラミネートモードが選択されていると判定した場合(S10,Yes)、フィルムカートリッジFCを検知したか判定する(S20)。制御部90は、フィルムカートリッジFCを検知したと判定しなかった場合(S20,Yes)、「フィルムカートリッジを装着してください」などのエラーメッセージをパネルPAに表示する等して通知する(S21)。エラーメッセージを通知した後は、ステップS20に戻り、フィルムカートリッジFCを検知するまで待つ。
【0074】
制御部90は、ステップS20において、フィルムカートリッジFCを検出したと判定した場合(Yes)、箔フィルムFを検知したかを判定する(S22)。制御部90は、箔フィルムFを検知したと判定した場合(S22,Yes)、「箔フィルムを外してください」などのエラーメッセージをパネルPAに表示する等して通知する(S23)。エラーメッセージを通知した後は、ステップS20に戻り、フィルムカートリッジFCを検知し、かつ、箔フィルムFが外されるまで待つ。
【0075】
制御部90は、ステップS22において箔フィルムFを検知しないと判定した場合(S22,No)、目標温度と搬送速度を決定する(S30)。すなわち、ラミネート加工に適した加熱ローラ60の目標温度と、搬送速度を決定する。そして、中央ヒータ62とサイドヒータ63を点灯して、加熱ローラ60の温度制御を開始する(S31)。加熱ローラ60の温度が目標温度に達した後、制御部90は、第1搬送速度V1で積層シートLSを搬送して、第1面SF1の接着処理をする(S32、第1接着処理)。そして、次の積層シートLSがあるか否かをシートセンサS1の信号に基づいて判定する(S33)。制御部90は、次の積層シートLSがあると判定した場合は(S33,Yes)、ステップS32に戻って、第1接着処理を続ける。
【0076】
制御部90は、ステップS33で次の積層シートLSがあると判定しなかった場合(S33,No)、パネルPAに、「シートを裏返して、トレイに再セットしてスタートしてください」と表示するなどして、ユーザにシートSの再セットの指示をする(S40)。そして、制御部90は、スタートボタンB21が押されるのを待つ(S41,No)。このとき、制御部90は、ヒータ65(中央ヒータ62およびサイドヒータ63)を、停止してもよいし、接着処理時より低い温度に制御してもよいし、接着処理と同じ温度に制御してもよい。
【0077】
制御部90は、スタートボタンB21が押され、かつ、シートセンサS1で何らかのシートを検出すると(S41,Yes)、中央ヒータ62とサイドヒータ63を点灯して、加熱ローラ60の温度制御をする(S42)。加熱ローラ60の温度が目標温度に達した後、制御部90は、第1搬送速度V1で積層シートLSを搬送し(S43)、シートセンサS2が積層シートLSの後端を検知してから所定時間が経過したか否かを判定する(S44)。制御部90は、シートセンサS2が積層シートLSの後端を検知してから所定時間が経過したと判定したら(S44,Yes)、所定時間の間、第2搬送速度V2で積層シートLSを搬送する(S45)。その後、制御部90は、第1搬送速度V1で積層シートLSの搬送を再開し(S46)、積層シートLSを排出する。そして、制御部90は、次の積層シートLSがあるか否かをシートセンサS1の信号に基づいて判定する(S47)。制御部90は、次の積層シートLSがあると判定した場合は(S47,Yes)、ステップS43に戻って、ステップS43~S47の第2接着処理を続ける。制御部90は、次の積層シートLSがあると判定しなかった場合は(S47,No)、処理を終了する。
【0078】
以上のような処理によれば、ユーザがシートトレイ3に積層シートLSをセットしてスタートボタンB21を押すと、積層シートLSが第1搬送速度V1で搬送され、下側の第1面SF1が加熱ローラ60により加熱されて、下側の透明フィルムTFがシートSに接着される。このとき、シートSの周囲の4辺の接着部BP(BP1,BP2,BP3)において、2枚の透明フィルムTF同士が接着される。これにより、第1面SF1の接着(第1接着処理)が完了する。その後、パネルPAに表示された指示に従って、ユーザが、第1面SF1を接着後の積層シートLSを裏返して、第2面SF2を下側にシートトレイ3にセットし、スタートボタンB21を押す。すると、図7(a)に示すように、積層シートLSは、加熱ローラ60により下側の第2面SF2が加熱され、下側の透明フィルムTFが、搬送方向上流側の端から下流側に向けて順にシートSに接着されていく。このとき、4辺の接着部BPで囲まれた内部の空気は、搬送方向上流側から下流側に集められていく。なお、図7において、ドットハッチングは、接着された範囲を示し、中央ヒータ62およびサイドヒータ63のハッチングは、ヒータ62またはヒータ63が点灯していることを示す。
【0079】
そして、積層シートLSが搬送されていくと、図7(b)に示すように、シートセンサS2が、積層シートLSの後端部を検出する。シートセンサS2が積層シートLSの後端部を検出した後、所定時間が経過すると、図7(c)に示すように積層シートLSの後端部の接着部BP2が、加熱ローラ60に到達する。4辺の接着部BPで囲まれた内部の空気は、搬送方向上流側から下流側に集められて行った結果、後端部の接着部BP2の一部を剥がして外部に排出される。接着部BP2が、加熱ローラ60に挟まれるとき、積層シートLSの搬送速度は第2搬送速度V2となる。これにより、接着部BP2は、他の接着部BP1,BP3よりも時間を掛けて加熱され、接着が剥がれた部分も再度接着される。その後、積層シートLSの後端部が加熱ローラ60から離れると、積層シートLSは、第1搬送速度V1で搬送されて、箔転写装置1の外に排出される。
【0080】
以上に説明した箔転写装置1によれば、次のような効果を奏することができる。
箔転写装置1は、箔の転写と、ラミネート加工との2つの機能を実現することができる。
【0081】
箔転写装置1は、第2接着処理において、積層シートLSの後端部以外の搬送速度を第1搬送速度V1にし、後端部における積層シートLSの搬送速度を、第1搬送速度V1よりも小さい第2搬送速度V2にするので、透明フィルムTFの後端部の一部が剥がれたとしても、その部分を第2搬送速度V2で搬送する際に、再度接着することができる。これにより、シートSの一方側からのみ加熱可能な箔転写装置1において、透明フィルムTFを綺麗に熱接着することができる。
【0082】
制御部90は、箔フィルムFが装着されていないと判定したことを条件として第1接着処理および第2接着処理を実行する。このため、箔フィルムFを無駄に消費したり、箔が透明フィルムTFに付着したりすることを抑制できる。
【0083】
制御部90は、ラミネートモードが選択され、かつ、箔フィルムFが装着されている場合に、箔フィルムFを外すことを報知するので、箔フィルムFを無駄に消費したり、箔が透明フィルムTFに付着したりすることを抑制できる。
【0084】
以上に第1実施形態について説明したが、箔転写装置1は以下に例示するように一部変形して実施することもできる。
【0085】
第2搬送速度V2は0であってもよい。つまり、制御部90は、第2接着処理において、積層シートLSの後端部において積層シートLSを一時停止させ、その後、搬送を再開してもよい。この場合、制御部90は、例えば、図8に示すような処理をすることができる。図8のフローチャートは、図6のフローチャートに対して、ステップS45を、ステップS145に置換えたものである。図8に示すように、制御部90は、第2圧着処理(S43~S47)において、加熱ローラ60の温度が目標温度に達した後、第1搬送速度V1で積層シートLSを搬送する(S43)。そして、制御部90は、シートセンサS2が積層シートLSの後端を検知してから所定時間が経過したか否かを判定する(S44)。制御部90は、シートセンサS2が積層シートLSの後端を検知してから所定時間が経過したと判定したら(S44,Yes)、所定時間の間、搬送を停止する(S145)。その後、制御部90は、第1搬送速度V1で積層シートLSの搬送を再開し、積層シートLSを排出する(S46)。このような処理によっても、第1実施形態と同様に、積層シートLSの搬送方向上流側の接着部BP2を再度接着し、透明フィルムTFを綺麗に熱接着することができる。
【0086】
[第2実施形態]
第1実施形態では、ラミネート装置が箔転写装置である場合について説明したが、ラミネート装置は、画像形成装置であってもよい。この場合の具体例について、図9図13を参照して説明する。第2実施形態では、ラミネート装置が画像形成装置の機能を備えていることと、シートSおよび積層シートLSの搬送方法が異なるだけであるので、これらについて説明し、第1実施形態と同様の部分は説明を省略する。
【0087】
図9に示すように、画像形成装置100は、シートSに画像をカラー画像またはモノクロ画像を形成可能なカラープリンタであるとともに、ラミネート加工をするラミネート装置である。画像形成装置100は、筐体102と、シート供給部103と、画像形成ユニット104と、定着ユニット140と、排出ユニット108と、再搬送ユニット109と、制御部190とを備える。
【0088】
シート供給部103は、シート供給機構160Aと、第1フィルム供給機構160Bと、第2フィルム供給機構160Cとを有する。
シート供給機構160Aは、シートSを収容するシートトレイ161Aと、シートトレイ161Aから画像形成ユニット104にシートSを供給する供給ローラ162Aとを有する。
【0089】
第1フィルム供給機構160Bは、シートSの一方の面に重なる透明フィルムTFを供給する機構である。第1フィルム供給機構160Bは、透明フィルムTFを収容するフィルムトレイ161Bと、フィルムトレイ161BからシートSの一方の面に透明フィルムTFを重ねるように供給する供給ローラ162Bとを有する。
【0090】
第2フィルム供給機構160Cは、シートSの他方の面に重なる透明フィルムTFを供給する機構である。第2フィルム供給機構160Cは、透明フィルムTFを収容するフィルムトレイ161Cと、フィルムトレイ161CからシートSの他方の面に透明フィルムTFを重ねるように供給する供給ローラ162Cとを有する。
【0091】
シート供給機構160A、第1フィルム供給機構160Bおよび第2フィルム供給機構160Cは、下から上に向かってこの順に配置されている。
【0092】
画像形成ユニット104は、シートSに画像を形成することが可能である。画像形成ユニット104は、4つの現像カートリッジ110と、離間機構115と、4つの感光ドラム120と、露光ユニット125と、ベルトユニット130と、を有する。
【0093】
現像カートリッジ110は、現像ローラ111を有する。現像ローラ111は、感光ドラム120に接触可能である。離間機構115は、直動カムである。離間機構115は、図9の左右に移動することで、現像カートリッジ110を、現像ローラ111が感光ドラム120に接触する接触位置と、図11に示す離間位置との間で上下に動かすことが可能である。
【0094】
露光ユニット125は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応した図示しない光源や、ポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備える。露光ユニット125は、光ビームを感光ドラム120に照射することで、感光ドラム120の表面を露光する。
【0095】
ベルトユニット130は、4つの感光ドラム120と対面して配置されている。ベルトユニット130は、ベルト131と、4つの転写ローラ132を有する。ベルト131は、4つの感光ドラム120との間でシートSまたは積層シートLSを搬送可能である。転写ローラ132は、各感光ドラム120との間でベルト131を挟んで配置されている。転写ローラ132は、転写バイアスが印加されることで、感光ドラム120上のトナー像を感光ドラム120と転写ローラ132の間に搬送されてきたシートSに転写することが可能である。
【0096】
定着ユニット140は、加熱回転体の一例としての加熱ローラ141と、加圧回転体の一例としての加圧ローラ142とを有する。加熱ローラ141はヒータ65を備え、加圧ローラ142は、ヒータを備えない。すなわち、定着ユニット140は、シートSまたは積層シートLSを、一方側からのみ加熱することが可能である。ヒータ65は、第1実施形態と同様、中央ヒータ62およびサイドヒータ63を有する。
【0097】
排出ユニット108は、定着ユニット140から排出されたシートSまたは積層シートLSを筐体2の排出トレイ102Aに排出する機構である。排出ユニット108は、正逆回転可能なローラ108A,108Bを有する。ローラ108A,108Bは、再搬送ユニット109の一部を構成する。
【0098】
再搬送ユニット109は、加熱ローラ141および加圧ローラ142を通過したシートSを画像形成ユニット104に再度搬送する機構である。再搬送ユニット109は、再搬送経路109Aと、前記したローラ108A,108Bと、再搬送経路109Aに配置されたローラ109B,109Cを備える。再搬送ユニット109は、定着ユニット140から排出されたシートSまたは積層シートLSを、一部、筐体2の外部に露出させた後、筐体2内に引き戻す。そして、シートSを再搬送経路109Aに通し、前回、シートSまたは積層シートLSを画像形成ユニット104に通したときとは表裏を逆にして、画像形成ユニット104に再度供給する。
【0099】
画像形成装置100は、シートSの片面に画像を形成する場合、シートトレイ103AからシートSを供給し、画像形成ユニット104でシートSにトナー像を形成する。そして、画像形成ユニット104は、加熱ローラ141および加圧ローラ142の間にシートSを供給する。定着ユニット140は、加熱ローラ141および加圧ローラ142でトナー像をシートSに定着する。そして、排出ユニット108は、定着ユニット140から排出されたシートSを排出トレイ102Aに排出する。画像形成装置100は、シートSの両面に画像を形成する場合、画像形成ユニット104でシートSの一方の面に画像を形成して、排出トレイ102AにシートSの一部を露出させ、その後、再搬送ユニット109でシートSを引き戻し、裏返して画像形成ユニット104に再度供給する。そして、画像形成ユニット104で他方の面に画像を形成した後、排出トレイ102AにシートSを排出する。
【0100】
画像形成装置100は、前記した実施形態と同様のパネルを有し、画像形成モードとラミネートモードとをユーザに選択させることができる。
そして、制御部190は、ラミネートモードを実行する場合に、画像形成処理と、第1再搬送処理と、積層処理と、第1搬送処理と、第1接着処理と、第2再搬送処理と、第2搬送処理と、第2接着処理とを実行可能である。第1接着処理と第2接着処理については、第1実施形態と同様である。
【0101】
画像形成処理は、図9に示すように、シートトレイ161Aから画像形成ユニット104にシートSを搬送し、画像形成ユニット104によりシートSにトナー像を形成した後、加熱ローラ141および加圧ローラ142でトナー像を熱定着する処理である。
【0102】
第1再搬送処理は、画像形成処理の後、シートを裏返して再搬送ユニット109により搬送する処理である。図9のように、制御部190は、シートSの一部を排出トレイ102Aに露出させた後、ローラ108A,108Bにより引き戻して、図10のように再搬送経路に送る。そして、ローラ109B,109Cにより、シートSを裏返して画像形成ユニット104の搬送方向上流側に搬送する。
【0103】
積層処理は、図11に示すように、第1フィルム供給機構160BによりシートSの一方の面に透明フィルムTFを重ねるとともに第2フィルム供給機構160CによりシートSの他方の面に透明フィルムTFを重ねる処理である。第1フィルム供給機構160Bは、図11におけるシートSの下側に透明フィルムTFを供給して重ねる。第2フィルム供給機構160Cは、図11におけるシートSの上側に透明フィルムTFを供給して重ねる。
【0104】
第1搬送処理は、積層処理によりできた積層シートLSを画像形成ユニット104に供給し、画像形成をすることなく加熱ローラ141および加圧ローラ142の間に搬送する処理である。制御部190は、第1搬送処理以後は、積層シートLSに画像を形成しないため、離間機構115を動かして、各現像ローラ111を、対応する感光ドラム120から離間させる(図11図13参照)。
【0105】
第1接着処理は、加熱ローラ141と加圧ローラ142の間で積層シートLSを搬送し、積層シートLSの第1面SF1を加熱する処理である。
【0106】
第2再搬送処理は、図12図13に示すように、第1接着処理の後、積層シートLSを再搬送ユニット109により裏返して再度画像形成ユニット104に供給する処理である。
【0107】
第2搬送処理は、図14に示すように、第2再搬送処理の後、積層シートLSを、画像形成をすることなく加熱ローラ141および加圧ローラ142の間に搬送する処理である。
【0108】
第2接着処理は、加熱ローラ141と加圧ローラ142の間で積層シートLSを搬送し、積層シートLSの第2面SF2を加熱する処理である。このとき、制御部190は、第1実施形態と同様に、第1搬送速度V1で積層シートLSを搬送しながら加熱ローラ141で加熱した後、積層シートLSの後端部を、第1搬送速度V1より遅い第2搬送速度V2で搬送しながら加熱する。
【0109】
そして、第2接着処理が終了した後は、制御部190は、排出ユニット108により、積層シートLSを排出トレイ102Aに排出する。
【0110】
以上のような構成の画像形成装置100によれば、シートSへの画像形成と、ラミネート加工との2つの機能を実現することができる。
【0111】
画像形成装置100は、第2接着処理において、積層シートLSの後端部以外の搬送速度を第1搬送速度V1にし、後端部における積層シートLSの搬送速度を、第1搬送速度V1よりも小さい第2搬送速度V2にするので、透明フィルムTFの後端部の一部が剥がれたとしても、その部分を第2搬送速度V2で搬送する際に、再度接着することができる。これにより、シートSの一方側からのみ加熱可能な画像形成装置100において、透明フィルムTFを綺麗に熱接着することができる。
【0112】
画像形成装置100は、第1搬送処理および第2搬送処理において、現像ローラ111を感光ドラム120から離間させるので、積層シートLSにトナーが付着することを抑制することができる。
【0113】
以上に第2実施形態について説明したが、画像形成装置100は以下に例示するように一部変形して実施することもできる。
【0114】
第2搬送速度V2は0であってもよい。つまり、制御部190は、第2接着処理において、積層シートLSの後端部において積層シートLSを一時停止させ、その後、搬送を再開してもよい。
【0115】
第2実施形態では、シートSの片面に画像形成をした後、ラミネート加工をする場合について説明したが、制御部190は、シートSの両面に画像形成をした後、ラミネート加工を実行してもよい。また、シートSに画像を形成せずに、ラミネート加工のみを実行してもよい。すなわち、シートトレイ161Aに、写真や印刷物を供給し、これらのシートに対して画像形成ユニット104で画像形成することなくラミネート加工をしてもよい。この場合には、第2実施形態において、制御部190が、画像形成処理と、第1再搬送処理を実行せずに、積層処理と、第1搬送処理と、第1接着処理と、第2再搬送処理と、第2搬送処理と、第2接着処理とを実行すればよい。
【0116】
また、本発明のラミネート装置は、以下のような構成であってもよい。
【0117】
前記実施形態では、加熱回転体として、金属管の内部にヒータ65を配置した加熱ローラ60を例示したが、例えば、加熱回転体は、無端状のベルトの内部にヒータ65を備える構成であってもよい。
【0118】
前記実施形態では、加圧回転体として、芯金の周囲をゴム層で被覆した加圧ローラ51を例示したが、例えば、加圧回転体は、無端状のベルトと、ゴムなどからなるパッドであって、加熱回転体との間でベルトを挟むパッドとを備える構成であってもよい。
【0119】
前記実施形態では、ヒータはフィラメントを有していたが、ヒータはフィラメントを有していなくてもよい。
【0120】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0121】
1 箔転写装置
51 加圧ローラ
60 加熱ローラ
65 ヒータ
90 制御部
100 画像形成装置
LS 積層シート
S シート
SF1 第1面
SF2 第2面
TF 透明フィルム

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14