(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147123
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/42 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
H01R13/42 B
H01R13/42 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059921
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】宮村 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】松井 元
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087FF08
5E087FF13
5E087GG15
5E087GG24
5E087GG31
5E087GG32
5E087RR06
(57)【要約】
【課題】ランスによる端子部品の保持力をより向上させることを目的とする。
【解決手段】コネクタ20は、端子12を保持するコネクタであって、端子を含む端子部品30と、端子部品収容空間62Sを囲む収容壁部62と、収容壁部の内外に弾性変形可能なランス66とを有するハウジング50と、ランスの弾性変形を規制するリテーナ90と、を備え、ランスは、収容壁部に連なる基端66Pを支点として弾性変形可能に形成され、ランスは、収容壁部の内側に突出して収容壁部内の端子部品に係止可能な係止突部67を有し、リテーナは、ランスの外側に位置してランスの外側への移動を規制する第1規制部94を有し、ランスに対して係止突部よりも先端側の延長部67eに対向して内向き部分の内側への移動を規制する第2規制部98をさらに備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を保持するコネクタであって、
端子を含む端子部品と、
端子部品収容空間を囲む収容壁部と、前記収容壁部の内外に弾性変形可能なランスとを有するハウジングと、
前記ランスの弾性変形を規制するリテーナと、
を備え、
前記ランスは、前記収容壁部に連なる基端を支点として弾性変形可能に形成され、
前記ランスは、前記収容壁部の内側に突出して前記収容壁部内の前記端子部品に係止可能な係止突部を有し、
前記リテーナは、前記ランスの外側に位置して前記ランスの外側への移動を規制する第1規制部を有し、
前記ランスに対して前記係止突部よりも先端側の内向き部分に対向して前記内向き部分の内側への移動を規制する第2規制部をさらに備える、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記端子は、電線の端部に接続されており、
前記端子部品が前記収容壁部に収容された状態で前記電線が前記収容壁部から延出しており、
前記ランスは、前記収容壁部から前記電線が延出する側とは反対側に向うように片持ち状に支持されており、
前記リテーナは、前記収容壁部に対して前記電線が延出する側とは反対側に位置しており、
前記第2規制部は、前記リテーナに一体形成された部分である、コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタであって、
前記ランスの先端側の前記内向き部分は、その基端側の部分よりも凹む凹み形成面を有し、
前記第2規制部は、前記凹み形成面によって形成される凹み空間に配置可能な形状に形成されている、コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタであって、
前記凹み形成面は、先端側に向うに連れて前記端子部品から離れる方向に向う斜面を有し、
前記第2規制部は、前記斜面に沿う押付面を有する、コネクタ。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のコネクタであって、
前記第2規制部は、前記凹み形成面によって形成される凹み空間に配置された状態で、前記端子部品の外面に対向する、コネクタ。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記端子部品は、電線の端部に接続された前記端子と、前記端子を保持する端子ホルダとを有する端子モジュールである、コネクタ。
【請求項7】
請求項6に記載のコネクタであって、
前記端子モジュールは、前記端子を複数含む、コネクタ。
【請求項8】
請求項6に記載のコネクタであって、
前記収容壁部は、第1開口と第2開口とを有する筒状であり、
前記端子モジュールは、前記第1開口側から前記電線を引出した状態で、前記収容壁部内に配置されており、
前記ランスは、前記収容壁部の軸方向に沿って第2開口側に向けて片持ち状に支持されており、
前記リテーナは、前記収容壁部のうち前記第2開口側の端部に装着され、
前記第1規制部は前記第1開口側から前記ランスの外側に延び、
前記第2規制部は前記リテーナに一体形成された部分であり、前記第1開口側から前記ランスの先端側の前記内向き部分に向けて延びる、コネクタ。
【請求項9】
請求項6に記載のコネクタであって、
前記ランスは、前記係止突部から前記端子モジュールの外面に沿って前記ランスの延出方向に対して交差する方向に延びる補助壁部を有する、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、端子金具が収容されるハウジング本体と、ハウジング本体に対し前方から組み付けられて、端子金具を抜止めするフロントリテーナとを備えるコネクタを開示している。ハウジング本体は、端子金具を収容するためのキャビティと、ランスと、撓み空間とを有する。撓み空間は、ランスがキャビティから遠ざかる方向へ弾性撓みするのを許容するための空間である。端子金具が挿入されている状態で、フロントリテーナがハウジング本体に組み付けられると、フロントリテーナの撓み規制部が撓み空間内に進入する。この状態で、ランスが、撓み規制部に当接することにより、弾性撓みが規制されて、端子金具が抜止めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここにおいて、ランスによる端子部品の保持力をより向上させることが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、ランスによる端子部品の保持力をより向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、端子を保持するコネクタであって、端子を含む端子部品と、端子部品収容空間を囲む収容壁部と、前記収容壁部の内外に弾性変形可能なランスとを有するハウジングと、前記ランスの弾性変形を規制するリテーナと、を備え、前記ランスは、前記収容壁部に連なる基端を支点として弾性変形可能に形成され、前記ランスは、前記収容壁部の内側に突出して前記収容壁部内の前記端子部品に係止可能な係止突部を有し、前記リテーナは、前記ランスの外側に位置して前記ランスの外側への移動を規制する第1規制部を有し、前記ランスに対して前記係止突部よりも先端側の内向き部分に対向して前記内向き部分の内側への移動を規制する第2規制部をさらに備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ランスによる端子部品の保持力をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態に係るコネクタを示す斜視図である。
【
図3】
図3は同上のコネクタを示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は同上のコネクタを示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は端子モジュールを示す分解斜視図である。
【
図7】
図7はハウジングの部分切欠き斜視図である。
【
図8】
図8はハウジングの部分切欠き斜視図である。
【
図10】
図10は第1規制部及び第2規制部によるランスの規制状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のコネクタは、次の通りである。
【0011】
(1)端子を保持するコネクタであって、端子を含む端子部品と、端子部品収容空間を囲む収容壁部と、前記収容壁部の内外に弾性変形可能なランスとを有するハウジングと、前記ランスの弾性変形を規制するリテーナと、を備え、前記ランスは、前記収容壁部に連なる基端を支点として弾性変形可能に形成され、前記ランスは、前記収容壁部の内側に突出して前記収容壁部内の前記端子部品に係止可能な係止突部を有し、前記リテーナは、前記ランスの外側に位置して前記ランスの外側への移動を規制する第1規制部を有し、前記ランスに対して前記係止突部よりも先端側の内向き部分に対向して前記内向き部分の内側への移動を規制する第2規制部をさらに備える。
【0012】
このコネクタによると、第1規制部によって、ランスの外側への移動が規制されるため、係止突部が端子部品から離れる外側に移動し難い。また、係止突部に対して、ランスの延出方向に沿ってランスの基端側に向う力が加わることが考えられる。この場合、ランスの先端部を内向きに変位させつつ、ランス全体が弓状に弾性変形することで、係止突部が端子部品から離脱する方向に変位する可能性がある。本コネクタによると、第2規制部がランスに対して先端側の内向き部分に対向して当該内向き部分の内側への移動を規制する。このため、係止突部に対して、ランスの延出方向に沿ってランスの基端側に向う力が加わっても、ランス全体が弓状に弾性変形して、係止突部が端子部品から離脱する方向に変位し難い。よって、ランスによる端子部品の保持力をより向上させることができる。
【0013】
(2)(1)のコネクタであって、前記端子は、電線の端部に接続されており、前記端子部品が前記収容壁部に収容された状態で前記電線が前記収容壁部から延出しており、前記ランスは、前記収容壁部から前記電線が延出する側とは反対側に向うように片持ち状に支持されており、前記リテーナは、前記収容壁部に対して前記電線が延出する側とは反対側に位置しており、前記第2規制部は、前記リテーナに一体形成された部分であってもよい。
【0014】
この場合、第2規制部は、前記リテーナに一体形成された部分であるため、収容壁部に対して前記電線が延出する側とは反対側にリテーナを装着すると、第1規制部をランスの外側に配置すると共に、第2規制部をランスの先端側の内向き部分に対向して配置し易い。
【0015】
(3)(2)のコネクタであって、前記ランスの先端側の前記内向き部分は、その基端側の部分よりも凹む凹み形成面を有し、前記第2規制部は、前記凹み形成面によって形成される凹み空間に配置可能な形状に形成されていてもよい。
【0016】
この場合、収容壁部に対して電線が延出する側とは反対側に位置するリテーナに一体形成された第2規制部を凹み形成面によって形成された凹みに配置し易い。これにより、第2規制部をランスの先端側の内向き部分に対向する位置に配置し易い。
【0017】
(4)(3)のコネクタであって、前記凹み形成面は、先端側に向うに連れて前記端子部品から離れる方向に向う斜面を有し、前記第2規制部は、前記斜面に沿う押付面を有してもよい。
【0018】
この場合、リテーナを端子部品に近付けると、押付面が斜面に沿う姿勢で当該斜面に近づく。これにより、斜面を押付面に可及的に接近させ易くなり、ランス全体が弓状に弾性変形し難くなる。よって、ランスによる端子部品の保持力をより向上させることができる。
【0019】
(5)(3)又は(4)のコネクタであって、前記第2規制部は、前記凹み形成面によって形成される凹み空間に配置された状態で、前記端子部品の外面に対向してもよい。
【0020】
この場合、第2規制部が端子部品の外面に接触することで、第2規制部が変形し難くなる。これにより、第2規制部がランスの内向き部分の内側への移動をより確実に規制する。
【0021】
(6)(1)から(5)のいずれか1つのコネクタであって、前記端子部品は、電線の端部に接続された前記端子と、前記端子を保持する端子ホルダとを有する端子モジュールであってもよい。
【0022】
これにより、端子と端子ホルダとを有する端子モジュールの保持力を向上させることができる。
【0023】
(7)(6)のコネクタであって、前記端子モジュールは、前記端子を複数含んでもよい。
【0024】
この場合、複数の電線が引っ張られることによって、端子モジュールに大きな引張り力が作用する可能性がある。このような場合にも、ランスによる端子部品の保持力をより向上させることができる。
【0025】
(8)(6)又は(7)のコネクタであって、前記収容壁部は、第1開口と第2開口とを有する筒状であり、前記端子モジュールは、前記第1開口側から前記電線を引出した状態で、前記収容壁部内に配置されており、前記ランスは、前記収容壁部の軸方向に沿って第2開口側に向けて片持ち状に支持されており、前記リテーナは、前記収容壁部のうち前記第2開口側の端部に装着され、前記第1規制部は前記第1開口側から前記ランスの外側に延び、前記第2規制部は前記リテーナに一体形成された部分であり、前記第1開口側から前記ランスの先端側の前記内向き部分に向けて延びてもよい。
【0026】
これにより、電線とは反対側から装着されるリテーナの第1規制部及び第2規制部によって、ランスの外側への弾性変形及びランス全体の弓状に弾性変形を抑制して、端子モジュールの保持力を向上させることができる。
【0027】
(9)(6)から(8)のいずれか1つのコネクタであって、前記ランスは、前記係止突部から前記端子モジュールの外面に沿って前記ランスの延出方向に対して交差する方向に延びる補助壁部を有してもよい。
【0028】
この補助壁部によってランスが弾性変形し難くなり、端子モジュールの保持力を向上させることができる。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0030】
[実施形態]
以下、実施形態に係るコネクタについて説明する。
【0031】
<全体構造>
コネクタの全体構造について説明する。
図1及び
図2はコネクタ20を示す斜視図である。
図3及び
図4はコネクタ20を示す分解斜視図である。
図5は
図1のV-V線断面図である。
【0032】
コネクタ20は、端子12を保持するコネクタである。端子12については、後に
図6等を参照して説明される。このコネクタ20に相手側コネクタが接続されることで、当該相手側コネクタの相手側端子が端子12に接続される。
【0033】
コネクタ20は、端子モジュール30と、ハウジング50と、リテーナ90とを備える。
【0034】
端子モジュール30は、端子12を含む端子部品の一例である。端子12は、電線16の端部に接続された部品である。端子12は端子モジュール30内に組込まれた状態で、ハウジング50に組込まれる。
【0035】
ハウジング50は、端子モジュール30を収容するハウジングである。本実施形態では、ハウジング50は、電線16の引出方向を規制する役割も有している。
【0036】
リテーナ90は、端子モジュール30がハウジング50から脱しないように保持する部品である。本実施形態では、リテーナ90は、端子モジュール30からの電線16の引出方向とは逆側からハウジング50に装着される。かかるリテーナ90は、フロントリテーナと呼ばれてもよい。
【0037】
本コネクタ20に対しては、端子モジュール30からの電線16の引出方向とは逆側から相手側コネクタが接続される。以下の説明において、便宜上、相手側コネクタが接続される側を前側、その反対側を後側という場合がある。また、ハウジング50に、相手側コネクタとの接続状態を維持するロック片68aが位置している。便宜上、ハウジング50に対して当該ロック片68aが位置する側を上側、その反対側を下側という場合がある。さらに、それらの前後、上下を基準にして、左右が参照される場合がある。
【0038】
各部構成について説明する。
【0039】
<端子モジュールについて>
図6は端子モジュール30を示す分解斜視図である。
図3から
図6に示すように、端子モジュール30は、端子12と、端子12を保持する端子ホルダ32とを含む。端子12は、金属板のプレス加工等によって形成された部品であり、電線接続部12aと端子接続部12bとを含む。電線接続部12aと端子接続部12bとは例えば直線状に連なっている。端子12の一端部の電線接続部12aが電線16の端部に圧着等によって接続されている。端子接続部12bは、例えば、筒状に形成されており、相手側端子のピン状又はタブ状のオス接続部が当該端子接続部12bに挿入接続される。
【0040】
本実施形態では、端子モジュール30は、端子12を複数含む。より具体的には、端子モジュール30は、4つの端子12を含む。4つの端子12は、横に2行、縦に2列で並んでいる。端子モジュール30の後端から複数の電線16が延び出ている。端子モジュール30が保持する端子12の数は任意であり、1つの端子のみ含んでもよいし、2以上の端子を含んでもよい。
【0041】
端子ホルダ32は、端子12を保持する樹脂部品である。端子ホルダ32は、複数の端子12を相互に絶縁した状態で、所定の配列で保持する。複数の端子12が端子ホルダ32によって保持された状態で、当該端子ホルダ32がハウジング50に保持される。これにより、ハウジング50において、複数の端子12が所定の配列状態で容易に保持され得る。
【0042】
より具体的には、端子ホルダ32は、ベースホルダ34と、中間ホルダ36と、カバーホルダ38とを含む。
【0043】
ベースホルダ34に複数(ここでは2つ)のキャビティ34gが形成されている。キャビティ34gは、上方及び後方側に開口している。ベースホルダ34の前縁に前壁34FWが立設されている。端子12が、キャビティ34gの上方及び後方の開口を通って、キャビティ34g内に配置される。
【0044】
キャビティ34gの底部に位置決め突部34gpが突出している。端子12は、電線接続部12aのうち電線の被覆部に圧着される被覆圧着部と、端子接続部12bとの間で凹む凹部12gを有している。上記位置決め突部34gpが端子12の当該凹部12gに嵌ることで、端子12が位置決め突部34gp内で位置決めされる。
【0045】
中間ホルダ36は、複数のキャビティ34gの上方開口を塞ぐことができる程度の広がりを有する部品である。中間ホルダ36はベースホルダ34の係止突部34r1に係止可能な係止片36pを有している。
【0046】
中間ホルダ36が複数のキャビティ34gの上方開口を塞いだ状態で、係止片36pがベースホルダ34の両側の係止突部34r1に係止することで、中間ホルダ36がベースホルダ34に対して合体状態に保たれる。この状態で、キャビティ34g内の端子12が上方に移動することが規制され、上記位置決め突部34gpが凹部12gに嵌り込んだ状態が維持される。
【0047】
中間ホルダ36は、ベースホルダ34とは反対側に位置する複数(ここでは2つ)のキャビティ36gを有する。キャビティ36gは、上方及び後方側に開口している。中間ホルダ36がベースホルダ34に合体した状態で、ベースホルダ34の前壁34FWがキャビティ36gの前側開口よりも前側に位置する。端子12が、キャビティ36gの上方及び後方の開口を通って、キャビティ36g内に配置される。
【0048】
キャビティ36gの底部に位置決め突部36gpが突出している。位置決め突部36gpが端子12の当該凹部12gに嵌ることで、端子12が位置決め突部36gp内で位置決めされる。
【0049】
カバーホルダ38は、複数のキャビティ36gの上方開口を塞ぐことができる程度の広がりを有する部品である。カバーホルダ38は、ベースホルダ34の係止突部34r2に係止可能な係止片38pを有している。
【0050】
カバーホルダ38が複数のキャビティ36gの上方開口を塞いだ状態で、係止片38pが中間ホルダ36の外側を越えてベースホルダ34の両側の係止突部34r2に係止する。これにより、ベースホルダ34とカバーホルダ38との間に中間ホルダ36が配置された状態で、カバーホルダ38がベースホルダ34に対して合体状態に保たれる。この状態で、キャビティ36g内の端子12が上方に移動することが規制され、上記位置決め突部36gpが凹部12gに嵌り込んだ状態が維持される。
【0051】
複数の端子12が端子ホルダ32によって保持された状態で、複数の電線16がキャビティ34g、36gの後方開口から延出する。また、前壁34FWに相手側端子が通過可能な貫通孔が形成されている。複数の相手側端子のそれぞれは、当該貫通孔を通って対応する端子12に接続される。
【0052】
端子ホルダ32の側面にランス66が係止可能な係止凹部33が形成されている。本実施形態では、カバーホルダ38の係止片38pの基端部に内外に貫通する方形状の孔が形成されており、当該孔が係止凹部33である。係止凹部33の内周面のうち前側の面は、ランス66の延出方向に対して直交するランス係止面33fに形成されている。ランスが係止する凹部は、有底凹部であってもよい。なお、ランス66の延出方向とは、ランス66の基端66Pから先端に向う方向である。
【0053】
<ハウジングについて>
図7及び
図8はハウジング50を部分的に切り欠いた斜視図である。
図9は
図2のIX-IX線断面図である。
図9において端子モジュール30は断面図ではなく平面図として描かれている。
【0054】
図1から
図5、
図7から
図9に示すように、ハウジング50は、樹脂等による金型成形部品である。ハウジング50は、収容壁部62と、ランス66とを有する。収容壁部62は、端子部品収容空間62Sを囲んでいる。端子部品収容空間62Sは、端子モジュール30を収容する空間である。ランス66は、収容壁部62内に収容された端子モジュール30に係止する弾性変形可能な部分である。
【0055】
より具体的には、ハウジング50は、端子収容部60と、電線案内部52とを有している。
【0056】
端子収容部60は、端子モジュール30を保持することによって、端子12を保持する部分である。また、端子収容部60は、端子12を保持した状態で、相手側コネクタと接続される部分である。
【0057】
本実施形態では、端子収容部60は、収容壁部62と、外壁部68とを備える。
【0058】
収容壁部62は、端子モジュール30を囲む筒状に形成されている。外壁部68は、収容壁部62のうち前寄りの部分を、間隔をあけて囲う筒状に形成されている。本実施形態では、収容壁部62及び外壁部68は、角筒状に形成されている。ここで、角筒状は、角が直角である角筒だけでなく、角筒の角が丸められている形状であってもよい。
【0059】
収容壁部62のうち後側開口が第1開口62aであり、前側開口が第2開口62bである。端子モジュール30は、第1開口62aから電線16を引出した状態で、収容壁部62内に配置される。
【0060】
収容壁部62の延在方向中間部と、外壁部68の後端部とは、連結壁61を介して連なっている。つまり、連結壁61は、収容壁部62の延在方向中間部に位置し、収容壁部62のうち連結壁61よりも前側の部分が、外壁部68と共に二重壁をなす。
【0061】
上記収容壁部62の前側の部分及び外壁部68は、相手側コネクタに接続される部分である。相手側コネクタの筒状部分が、収容壁部62の前側の部分と外壁部68との間に入り込むことができる。このため、端子12と相手側端子との接続部分が、収容壁部62、相手側コネクタの筒状部分及び外壁部68で囲まれる。これにより、端子接続箇所の止水性、保護性が高められる。また、収容壁部62と相手側コネクタの筒状部分との間に環状弾性部材G1を介在させることができ、これにより、上記接続箇所に対する止水性が高められる。
【0062】
上記外壁部68の周方向の一部(上部)に、相手側コネクタに係止するロック片68aが形成されている。
【0063】
収容壁部62の後側の部分は、前側の部分よりも肉厚に形成されており、外壁部68の後端よりも後方に延び出ている。
【0064】
端子収容部60がランス66を有している。ランス66は、収容壁部62に連なる基端を支点として弾性変形可能に形成されている。ランス66は、収容壁部62の内側に突出して収容壁部62内の端子モジュール30に係止可能な係止突部67を有している。
【0065】
ランス66は、収容壁部62の内外に弾性変形可能に形成されている。ランス66の係止突部67は初期状態において収容壁部62の内側に突出している。収容壁部62内に端子モジュール30が挿入される際、ランス66は外側に弾性変形して、端子モジュール30の挿入を許容する。収容壁部62内に端子モジュール30が収容された状態で、ランス66が弾性力によって内周側の元の位置に復帰する。これにより、係止突部67が端子モジュール30に係止することができる。
【0066】
より具体的には、収容壁部62の前側部分は、一対の側壁63と、上壁64と、下壁65とを有している。一対の側壁63と、上壁64と、下壁65とが角筒をなすように連なっている。
【0067】
上壁64と下壁65とは、一対の側壁63よりも前側に延出している。一対の側壁63の前縁から板状のランス66が延出している。
【0068】
ランス66は、収容壁部62の内外に弾性変形可能に形成されている。本実施形態では、ランス66は、側壁63の前縁から前側に延出する板状に形成されている。ランス66の上縁と上壁64との間、ランス66の下縁と下壁65との間に前後方向に沿ってスリットSが形成されている。このため、ランス66は、側壁に連なる後端側の基端66Pを支点として収容壁部62の内外に弾性変形できる。つまり、ランス66は、収容壁部62の軸方向に沿って、収容壁部62から電線16が延出する側とは反対側の前側(第2開口62b側)に向うように片持ち状に支持されている。
【0069】
係止突部67は、ランス66のうち端子部品収容空間62S側に突出する部分である。本実施形態では、係止突部67は、ランス66の幅方向において部分的に突出している。より具体的には、係止突部67は、ランス66の内面のうち上寄りの部分に形成されている。収容壁部62内に端子モジュール30が収容された状態で、係止突部67が端子モジュール30の係止凹部33に嵌る位置に形成されている。係止突部67は、後方に向って徐々に突出寸法を小さくするガイド面67f1を有している。端子モジュール30を収容壁部62内に挿入する際、端子モジュール30がガイド面67f1に押し当てられることで、係止突部67を外側に移動させることができる。係止突部67のうち前側の面は、端子モジュール30の挿入方向に対して直交する係止面67f2に形成されている。係止突部67が端子モジュール30の係止凹部33に嵌った状態で、係止突部67の係止面67f2がランス係止面33fに接触することで、端子モジュール30が後方に抜出ないように位置規制される。
【0070】
ランス66は、係止突部67よりも先端側(前側)に突出する延長部67eを有する。延長部67eの内向き部分は、その基端側部分よりも凹む凹み形成面67efを有する。本実施形態では、凹み形成面67efは、先端側(前側)に向うに連れて端子モジュール30の外面から離れる方向に向う面である。つまり、先端側に向うにつれて、端子モジュール30の外面と凹み形成面67efとの距離が徐々に大きくなる。
【0071】
本実施形態では、凹み形成面67efは、先端側に向うに連れて端子モジュール30から離れる方向に向う斜面に形成されている。凹み形成面67efは、先端側に向うに連れて端子モジュール30から離れる方向に向う曲面状又は階段状に形成されていてもよい。
【0072】
ランス66は、係止突部67から端子モジュール30の外面に沿ってランス66の延出方向(前後方向)に対して交差する方向に延びる補助壁部66Eを有する。つまり、補助壁部66Eは、ランス66のうち係止突部67が形成された部分から基端66Pに向う部分に対して連続的に連なっている部分である。ランス66の幅方向において部分的に係止突部67が形成されているとも把握され得る。
【0073】
補助壁部66Eによってランス66が補強されるため、ランス66に必要とされる剛性を持たせ易い。例えば、ランス66の全体幅が係止突部67の幅と同じ幅であれば、ランス66が細くなり、容易に変形してしまう。補助壁部66Eによって、ランス66の幅を係止突部67の幅より大きくすることで、ランス66を容易に高剛性に設定できる。
【0074】
電線案内部52は、端子収容部60と共に樹脂で金型一体成形された部分である。電線案内部52は、角筒状に形成されている。電線案内部52の上端部は、収容壁部62の後端側に連なっている。電線案内部52は、収容壁部62の後端側に連なっている部分から下方に延びる。電線案内部52の内部空間は、端子モジュール30の後方から下方に向うように形成される。端子モジュール30から延出する電線16は、端子モジュール30の後方において電線案内部52の上側内部空間で下方に曲る。電線16は、さらに電線案内部52内を通って下方に導きだされる。
【0075】
電線案内部52の後部には、セット用開口52hが形成される。
【0076】
セット用開口52hは、収容壁部62の後方に開口しているため、端子モジュール30を、当該セット用開口52hを通じて収容壁部62内にセットし易い。また、セット用開口52hは、収容壁部62の後方から下方の電線16の引出方向に沿って開口している。このため、端子モジュール30のセット作業時に、当該端子モジュール30から延出する電線16を、セット用開口52hを通じてハウジング50から引出しておくことができる。このため、端子モジュール30のセット作業時に、電線16の取回スペースを確保し易い。
【0077】
セット用開口52hは、カバー部材70によって閉じられる。カバー部材70は、樹脂等で金型一体成形された部品である。カバー部材70は、セット用開口52hを閉じる板状のカバー本体71と、当該カバー部材70から延出する係止片72とを有する。カバー本体71がセット用開口52hを閉じた状態で、ハウジング50の外側面の係止突部50p1が係止片72の係止孔に係止する。これにより、カバー部材70がセット用開口52hを閉じた状態で、ハウジング50と合体する。
【0078】
セット用開口52hの内周縁とカバー部材70との間に、それらの隙間を塞ぐ環状弾性部材G2が配置されてもよい。
【0079】
電線案内部52のうち端子収容部60とは反対側の下端部は、全体が囲まれた引出端部54に形成されている。電線16は、電線案内部52を通り、さらに、当該引出端部54を通って外側に引出される。
【0080】
上記引出端部54にゴム栓G3が装着されており、電線16がゴム栓G3に形成された挿通孔に挿通されていてもよい。これにより、電線16を伝った水の侵入が抑制される。ゴム栓G3は、押え部材74によって引出端部54から脱しないように外から押えられていてもよい。
【0081】
本実施形態では、電線案内部52が、電線16を下方に案内する例が説明された。電線案内部52は、電線16を他の方向に案内してもよい。例えば、電線案内部52は、電線16を真後ろ、右、左又は上に案内してもよい。
【0082】
<リテーナについて>
図2から
図5、
図7から
図9に示すように、リテーナ90は、ランス66の弾性変形を規制する部材である。より具体的には、リテーナ90は、ランス66が外側に変形することを規制する。ランス66が端子モジュール30に係止した状態で、リテーナ90によってランス66が外側に変形することが規制される。これにより、収容壁部62からの端子モジュール30の抜けが抑制される。
【0083】
リテーナ90は、樹脂等による金型成形部品である。本実施形態では、リテーナ90は、収容壁部62のうち前側の第2開口62b側の端部に装着される。
【0084】
より具体的には、リテーナ90は、前壁91と、周壁92とを備える。
【0085】
前壁91は、第2開口62bを塞ぐように配置可能な板状に形成されている。前壁91のうち各端子12に対応する位置に、相手側端子が通過可能な貫通孔が形成されている。
【0086】
周壁92は、収容壁部62のうち前側端部の外周面を囲む角筒状に形成されている。周壁92のうち左右の壁部分の内面に装着用凹部92gが形成されている(
図7参照)。本実施形態では、ランス66の外向き面に装着用突部62pが形成されている(
図8参照)。装着用突部は収容壁部62の外面に形成されてもよい。リテーナ90を収容壁部62の先端に外嵌めすると、装着用突部62pが装着用凹部92gに嵌り込む。これにより、周壁92が収容壁部62のうち前側端部の外周面を囲むと共に、前壁91が収容壁部62の前側に配置された状態で、リテーナ90が収容壁部62の前端部に装着される。
【0087】
リテーナ90は、ランス66の外側に位置してランス66の外側への移動を規制する第1規制部94を有している。本実施形態では、周壁92のうち左右の壁部分の内面であって装着用凹部92gの隣の部分が第1規制部94である。リテーナ90が収容壁部62の前端部に装着された状態で、第1規制部94がランス66の外向き面に対向する位置に配置される。ここでは、第1規制部94は、ランス66のうち延長部67e及び係止突部67が形成された部分の外向き面に対向する位置に配置される。
【0088】
第1規制部94とランス66とは接触していてもよい。係止凹部33に対する係止突部67の係止を解除できない範囲で、第1規制部94とランス66との間に隙間が形成されてもよい。当該隙間は可及的に小さく設定されることが好ましい。
【0089】
コネクタ20は、ランス66に対して係止突部67よりも先端側の内向き部分に対向して当該内向き部分の内側への移動を規制する第2規制部98を有する。本実施形態では、リテーナ90が第2規制部98を有する例が説明される。つまり、第2規制部98は、リテーナ90に同じ樹脂で金型成形された部分である。リテーナ90ではない他の部材が第2規制部を有していてもよい。例えば、他の細長い部材がリテーナ90と収容壁部62との間に挿入されて、第2規制部として機能してもよい。
【0090】
本実施形態では、リテーナ90の前壁91の内周部であってランス66に対向する位置から第2規制部98が突出している。第2規制部98は、第1規制部94に対して上記延長部67eを配置可能な空間を介して内側に対向している。
【0091】
第2規制部98は、上記凹み形成面67efによって形成される凹み空間67Sに配置可能な形状に形成されている。より具体的には、第2規制部98のうち第2規制部98に対向する押付面98f1は、凹み形成面67efに沿う形状に形成されている。さらに具体的には、押付面98f1は、第2規制部98の先端側(後側)に向うに連れて内側に向う形状(ここでは斜面)に形成されている。よって、第2規制部98を凹み形成面67efによって形成される凹み空間67Sに配置すると、押付面98f1が凹み形成面67efに対して面接触可能な状態となる。
【0092】
また、第2規制部98のうち押付面98f1とは反対側の面98f2は、端子モジュール30の外面に沿う形状に形成されている。そして、面98f2が端子モジュール30の外面に対して、面接触可能な状態で対向することができる。
【0093】
<端子モジュールの保持構造>
端子モジュール30が後側から収容壁部62内に挿入されると、端子モジュール30の前端縁が係止突部67のガイド面67f1に接触し、ランス66を外側に変位させる。端子モジュール30の前端縁が係止突部67を越えると、ランス66が弾性力によって元の形状に戻って、係止突部67が係止凹部33に嵌り込む。この状態で、係止突部67の係止面67f2が係止凹部33のランス係止面33fに接触することで、端子モジュール30の後方への抜止めがなされる。
【0094】
また、端子モジュール30の後端の突部30Pが収容壁部62の後端部に接触することで、端子モジュール30の前方への移動が規制される(
図9参照)。
【0095】
この後、リテーナ90が収容壁部62の前端部に装着される。すると、第1規制部94がランス66の延長部67eの外向き面に対向する。これにより、ランス66の先端部が外向きに移動することが規制され、係止突部67が係止凹部33から離れる外側に移動し難くなる。好ましくは、第1規制部94がランス66うち係止突部67の反対側の外向き面に対向する。
【0096】
また、第2規制部98の押付面98f1が延長部67eの凹み形成面67efに対向することができる。これにより、ランス66の延長部67eが内側に向うように変位し難くなる。これによっても、係止突部67が係止凹部33から離れる外側に移動し難くなる。
【0097】
図10を参照してより具体的に説明する。すなわち、ランス66の先端部が第1規制部94だけで位置規制されており、第2規制部98が存在しない場合を想定する。
【0098】
この場合、例えば、電線16が強く引っ張られると、端子モジュール30を後方に移動させる力が作用する。すると、ランス係止面33fが係止突部67を後方に押すことになる(F1参照)。ランス66の支点となる基端66Pは、係止突部67よりも外側に位置するため、係止突部67が真後ろに押されると、ランス66の全体が外側に凸をなすように弓なりに変形する可能性がある(F2及び2点鎖線で示すランス66参照)。ランス66の全体が弓なりに変形すると、係止突部67も係止凹部33から離れる方向に移動してしまうので、係止突部67が係止凹部33から外れてしまう可能性がある。
【0099】
ここで、ランス66の全体が弓なりに変形する際には、係止突部67よりも先端側の延長部67eは内側に倒れ込むように変位する。そこで、第2規制部98の押付面98f1を延長部67eの内向き部分、即ち、凹み形成面67efに対向させる。すると、延長部67eは内側に倒れ込むように変位しようとすると、凹み形成面67efが押付面98f1に接触する。これにより、延長部67eが内側に倒れ込むように変位することが規制され、ランス66の全体が弓なりに変形することも抑制される。よって、係止突部67が係止凹部33から外れ難くなる。
【0100】
しかも、第2規制部98の面98f2は、端子モジュール30の外面に対向しているため、第2規制部98が延長部67eを受ける力は、第2規制部98の面98f2が端子モジュール30の外面に接触することによっても受止められる。よって、第2規制部98は、延長部67eをより確実に一定位置及び一定姿勢に保つことができる。
【0101】
<効果等>
以上のように構成されたコネクタ20によると、第1規制部94によってランス66の外側への移動が規制されるため、係止突部67が端子モジュール30から離れる外側に移動し難い。また、電線16が引っ張られると端子モジュール30が後側に引っ張られる。すると、係止突部67に対して、ランス66の基端66P側に向う力が加わる可能性がある。この場合、ランスの先端部を内向きに変位させつつ、ランス全体が弓状に弾性変形することで、係止突部が端子部品から離脱する方向に変位する可能性がある。本コネクタ20によると、第2規制部98がランス66に対して先端側の内向き部分である延長部67eの内側への移動を規制する。このため、係止突部67に対して、ランス66の基端側に向う力が加わっても、ランス66全体が弓状に弾性変形して、係止突部67が端子モジュール30から離脱する方向に変位し難い。よって、ランス66による端子モジュール30の保持力をより向上させることができる。
【0102】
また、第2規制部98は、リテーナ90に一体形成された部分であるため、収容壁部62の前端部にリテーナ90を装着すると、第1規制部94をランス66の外側に配置すると共に、第2規制部98をランス66の延長部67eの内向き部分に対向するように配置し易い。
【0103】
また、ランス66の延長部67eは、その基端側部分よりも凹む凹み形成面67efを有しており、第2規制部98は、凹み形成面67efによって形成される凹み空間67Sに配置される。このため、第2規制部98を、延長部67eの内向き部分に対向するように配置し易い。
【0104】
特に、凹み形成面67efは、先端側に向うに連れて端子モジュール30から離れる方向に向う斜面であり、第2規制部98が当該凹み形成面67efに沿う押付面98f1を有している。このため、リテーナ90を端子モジュール30に向けて近付けると、押付面98f1が凹み形成面67efに沿う姿勢で当該凹み形成面67efに近づく。これにより、凹み形成面67efを押付面98f1に可及的に近付けた状態に保ち易くなり、ランス66全体が弓状に弾性変形し難くなる。よって、ランス66による端子モジュール30の保持力をより向上させることができる。
【0105】
第2規制部98は、凹み形成面67efによって形成される凹み空間67Sに配置された状態で、端子モジュール30の外面に対向する。このため、第2規制部98が変形し難くなる。これにより、第2規制部98がランス66の延長部67eの内側への移動をより確実に規制でき、端子モジュール30の保持力がより向上する。
【0106】
また、端子モジュール30が複数の端子12を含む場合、端子モジュール30から複数の電線16が延出する。複数の電線16が引っ張られることによって、端子モジュール30に大きな引張り力が作用する可能性がある。このような場合にも、ランス66による端子モジュール30の保持力を向上させることができる。
【0107】
また、本実施形態によって、コネクタ20の収容壁部62に端子モジュール30を取付けた状態で、端子モジュール30を収容壁部62内でより確実に保持できる。このため、取付後に電線16を取扱う場合、例えば、電線16を電線案内部52内に押込む作業等を実施した場合でも、端子モジュール30が収容壁部62から外れ難くなる。これにより、コネクタ20の組立作業性、取扱作業性が向上し、コスト削減にも貢献する。
【0108】
また、ランス66は、係止突部67から端子モジュール30の外面に沿ってランス66の延出方向に対して交差する隣接方向に延びる補助壁部66Eを有する。このため、補助壁部66Eによってランス66が弾性変形し難くなり、この点からも、端子モジュール30の保持力が向上する。
【0109】
[変形例]
なお、本実施形態では、端子部品が端子モジュール30である例が説明された。端子部品は端子そのものであってもよい。この場合、ハウジングとして、端子を収容可能なキャビティと、端子に係止可能なランスとが形成されたものが用いられればよい。また、リテーナとして、当該ハウジングに取付けられた状態で、端子に係止するランスに外側から接触する第1規制部と、ランスの先端部に内側から対向し得る第2規制部とが形成されたものが用いられればよい。
【0110】
また、上記例では、リテーナ90は、収容壁部62にその前側から装着される例が説明されたが当該構成は必須ではない。例えば、外壁部68が省略される構成において、リテーナが収容壁部の上から収容壁部に装着されてもよい。この場合、第1規制部及び第2規制部は、ランスの側方から当該リテーナの外側及び内側に対向する位置に配置され得る。
【0111】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0112】
12 端子
12a 電線接続部
12b 端子接続部
12g 凹部
16 電線
20 コネクタ
30 端子モジュール(端子部品)
30P 突部
32 端子ホルダ
33 係止凹部
33f ランス係止面
34 ベースホルダ
34FW 前壁
34g、36g キャビティ
34gp、36gp 位置決め突部
34r1、34r2 係止突部
36 中間ホルダ
36p、38p 係止片
38 カバーホルダ
50 ハウジング
50p1 係止突部
52 電線案内部
52h セット用開口
54 引出端部
60 端子収容部
61 連結壁
62 収容壁部
62S 端子部品収容空間
62a 第1開口
62b 第2開口
62p 装着用突部
63 側壁
64 上壁
65 下壁
66 ランス
66E 補助壁部
66P 基端
67 係止突部
67e 延長部
67ef 凹み形成面(内向き部分、斜面)
67S 凹み空間
67f1 ガイド面
67f2 係止面
68 外壁部
68a ロック片
70 カバー部材
71 カバー本体
72 係止片
74 押え部材
90 リテーナ
91 前壁
92 周壁
92g 装着用凹部
94 第1規制部
98 第2規制部
98f1 押付面
98f2 面
G1、G2 環状弾性部材
G3 ゴム栓
S スリット