(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147133
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】モータおよびポンプ装置
(51)【国際特許分類】
H02K 11/33 20160101AFI20241008BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20241008BHJP
H02K 5/10 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
H02K11/33
H02K5/22
H02K5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059950
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 敏行
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605AA02
5H605CC01
5H605CC02
5H605DD16
5H605EC20
5H605GG06
5H611TT01
(57)【要約】
【課題】電源用スルーホールおよびグランド用スルーホールが形成される回路基板と、回路基板が固定される基板固定用突起部とを備えるモータにおいて、回路基板の、各種の回路が配置される領域を確保することが可能であるとともに、基板固定用突起部の基板接触面と回路基板との間に液体が浸入しても、電源用スルーホールでの緑青の発生を防止することが可能なモータを提供する。
【解決手段】このモータでは、回路基板6の厚さ方向から見たときに、電源用スルーホール6dおよびグランド用スルーホール6eは、基板固定用突起部7dの外周面よりも内周側に配置されており、回路基板6が接触する基板固定用突起部7dの基板接触面7hから窪んでいる凹部7jは、基板固定用突起部7dの外周面から基板固定用突起部7dの径方向の内側に向かって形成されるとともに、回路基板6の厚さ方向において電源用スルーホール6dと重なる位置に形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用磁石を有するロータと駆動用コイルを有するステータとを備えるモータにおいて、
前記モータを駆動制御するための回路基板と、前記回路基板が固定される基板固定部材とを備え、
前記回路基板の厚さ方向の一方側を第1方向側とし、第1方向側の反対側を第2方向側とし、前記回路基板の第1方向側の面を第1基板面とし、前記回路基板の第2方向側の面を第2基板面とすると、
前記第1基板面および前記第2基板面のいずれか一方には、フィルタ回路が配置され、
前記第1基板面および前記第2基板面のいずれか他方には、前記フィルタ回路から供給される直流電力を交流電力に変換して前記駆動用コイルに供給するためのインバータ回路が配置され、
前記回路基板には、前記フィルタ回路と前記インバータ回路とを電気的に接続するためのスルーホールである電源用スルーホールと、前記第1基板面に形成されるグランドパターンと前記第2基板面に形成されるグランドパターンとを電気的に接続するためのスルーホールであるグランド用スルーホールと、前記基板固定部材に前記回路基板を固定するための固定用貫通穴とが形成され、
前記基板固定部材には、第1方向側に突出する柱状の基板固定用突起部が形成され、
前記基板固定用突起部の第1方向側の端部は、前記固定用貫通穴の内周側に配置される先端側凸部となっており、
前記基板固定用突起部には、前記第2基板面が接触する平面状の基板接触面と、前記基板接触面から第2方向側に向かって窪む凹部とが形成され、
前記基板固定用突起部の、前記先端側凸部を除いた部分の第1方向側の端面が前記基板接触面になっており、
前記回路基板の厚さ方向から見たときに、前記基板接触面は、前記先端側凸部を囲む環状に形成され、
前記回路基板の厚さ方向から見たときに、前記電源用スルーホールおよび前記グランド用スルーホールは、前記基板固定用突起部の径方向において前記基板固定用突起部の外周面よりも内側に配置され、
前記凹部は、前記基板固定用突起部の外周面から前記基板固定用突起部の径方向の内側に向かって形成されるとともに、前記回路基板の厚さ方向において、前記電源用スルーホールおよび前記グランド用スルーホールの少なくともいずれか一方と重なる位置に形成されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記回路基板には、複数の前記電源用スルーホールが形成され、
前記凹部は、前記回路基板の厚さ方向において、全ての前記電源用スルーホールと重なる位置に形成されていることを特徴とする請求項1記載のモータ。
【請求項3】
前記基板固定用突起部の径方向における前記凹部の内側の側面は、前記回路基板の厚さ方向から見たときの形状が円弧状となる凸曲面状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のモータ。
【請求項4】
前記凹部の第2方向側の面は、前記回路基板の厚さ方向に直交する平面になっていることを特徴とする請求項1または2記載のモータ。
【請求項5】
前記凹部の第2方向側の面は、前記基板固定用突起部の径方向の外側に向かうにしたがって第2方向側に向かうように傾斜する傾斜面となっていることを特徴とする請求項1または2記載のモータ。
【請求項6】
請求項1または2記載のモータと、前記モータの動力で回転する羽根車と、前記羽根車および前記ロータが配置されるとともに流体が通過するポンプ室とを備えることを特徴とするポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置等で使用されるモータに関する。また、本発明は、かかるモータを備えるポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプ装置で使用されるモータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のモータは、駆動用磁石を有するロータと、駆動用コイルを有するステータと、モータを駆動制御するための回路基板と、ロータとステータとの間に配置される円筒部を有する樹脂製の隔壁部材とを備えている。回路基板は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、平板状に形成されている。ロータの回転中心となる固定軸の軸方向を上下方向とすると、回路基板は、回路基板の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、回路基板は、隔壁部材の下側に配置されている。回路基板には、外部から回路基板に供給される直流電力のノイズを低減するフィルタ回路や、フィルタ回路から供給される直流電力を交流電力に変換して駆動用コイルに供給するインバータ回路等が実装されている。
【0003】
特許文献1に記載のモータでは、隔壁部材は、円筒部の下端を塞ぐ底部を備えている。底部の中心には、回路基板を固定するための基板固定用突起部(基板固定部)が形成されている。基板固定用突起部は、下側に突出する円筒状に形成されている。基板固定用突起部の内周面には、回路基板を基板固定用突起部に固定するための固定用ネジが係合するメネジが形成されている。基板固定用突起部の先端部(下端部)は、回路基板の中心に形成される固定用の貫通穴に挿入されている。基板固定用突起部の先端側には、回路基板の上面が接触する基板接触面(当接面)が形成されている。基板接触面は、上下方向に直交する円環状の平面である。回路基板は、回路基板の下側から基板固定用突起部の内周側にねじ込まれる固定用ネジによって基板固定用突起部に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1に記載のモータと同様に、回路基板と、回路基板が固定される基板固定用突起部とを備えるモータを開発している。かかるモータの開発過程において、本願発明者は、モータを小型化するため、回路基板を小型化することにした。回路基板を小型化すると、フィルタ回路およびインバータ回路を回路基板の片面に配置することができなくなるため、本願発明者は、回路基板の一方側の面にフィルタ回路を配置し、回路基板の他方側の面にインバータ回路を配置することにした。
【0006】
また、本願発明者は、回路基板の一方側の面に配置されるフィルタ回路と回路基板の他方側の面に配置されるインバータ回路とを電気的に接続するためのスルーホールである電源用スルーホールを回路基板に形成することにした。具体的には、本願発明者は、フィルタ回路からインバータ回路に流れる電流の容量を確保するために、複数個の電源用スルーホールを回路基板に形成することにした。さらに、本願発明者は、回路基板において各種の回路が配置される領域を確保するため、元々、各種の回路を配置しにくい、回路基板の、基板接触面に接触する領域に複数個の電源用スルーホールを形成することにした。
【0007】
また、本願発明者は、回路基板の一方側の面に形成されるグランドパターンと回路基板の他方側の面に形成されるグランドパターンとを電気的に接続するためのスルーホールであるグランド用スルーホールを回路基板に複数個、形成することにした。本願発明者は、回路基板において各種の回路が配置される領域を確保するため、元々、各種の回路を配置しにくい、回路基板の、基板接触面に接触する領域に少なくともいくつかのグランド用スルーホールを形成することにした。
【0008】
かかるモータの開発過程において、たとえば、モータがポンプ装置で使用される場合、ポンプ装置に水漏れや結露等の異常が生じると、基板接触面と回路基板との間に液体が浸入して溜まるおそれがあること、また、基板接触面と回路基板との間に液体が溜まると、電源用スルーホールとグランド用スルーホールとが導通状態になって電気分解が起こり、電源用スルーホールに緑青(錆)が発生するおそれがあることが本願発明者の検討によって明らかになった。電源用スルーホールに緑青が発生すると、電源用スルーホールの電気抵抗が大きくなって電源用スルーホールでの発熱量が増加する。また、電源用スルーホールでの発熱量が増加すると、モータの動作の不具合が発生したり、回路基板の焼損が発生したりするおそれがある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、電源用スルーホールおよびグランド用スルーホールが形成される回路基板と、回路基板が固定される基板固定用突起部を有する基板固定部材とを備えるモータにおいて、回路基板の、各種の回路が配置される領域を確保することが可能であるとともに、万が一、基板固定用突起部の基板接触面と回路基板との間に液体が浸入しても、電源用スルーホールでの緑青の発生を防止することが可能なモータを提供することにある。また、本発明の課題は、かかるモータを備えるポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明のモータは、駆動用磁石を有するロータと駆動用コイルを有するステータとを備えるモータにおいて、モータを駆動制御するための回路基板と、回路基板が固定される基板固定部材とを備え、回路基板の厚さ方向の一方側を第1方向側とし、第1方向側の反対側を第2方向側とし、回路基板の第1方向側の面を第1基板面とし、回路基板の第2方向側の面を第2基板面とすると、第1基板面および第2基板面のいずれか一方には、フィルタ回路が配置され、第1基板面および第2基板面のいずれか他方には、フィルタ回路から供給される直流電力を交流電力に変換して駆動用コイルに供給するためのインバータ回路が配置され、回路基板には、フィルタ回路とインバータ回路とを電気的に接続するためのスルーホールである電源用スルーホールと、第1基板面に形成されるグランドパターンと第2基板面に形成されるグランドパターンとを電気的に接続するためのスルーホールであるグランド用スルーホールと、基板固定部材に回路基板を固定するための固定用貫通穴とが形成され、基板固定部材には、第1方向側に突出する柱状の基板固定用突起部が形成され、基板固定用突起部の第1方向側の端部は、固定用貫通穴の内周側に配置される先端側凸部となっており、基板固定用突起部には、第2基板面が接触する平面状の基板接触面と、基板接触面から第2方向側に向かって窪む凹部とが形成され、基板固定用突起部の、先端側凸部を除いた部分の第1方向側の端面が基板接触面になっており、回路基板の厚さ方向から見たときに、基板接触面は、先端側凸部を囲む環状に形成され、回路基板の厚さ方向から見たときに、電源用スルーホールおよびグランド用スルーホールは、基板固定用突起部の径方向において基板固定用突起部の外周面よりも内側に配置され、凹部は、基板固定用突起部の外周面から基板固定用突起部の径方向の内側に向かって形成されるとともに、回路基板の厚さ方向において、電源用スルーホールおよびグランド用スルーホールの少なくともいずれか一方と重なる位置に形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のモータでは、回路基板の厚さ方向から見たときに、電源用スルーホールおよびグランド用スルーホールは、基板接触面が形成される基板固定用突起部の径方向において基板固定用突起部の外周面よりも内側に配置されている。すなわち、本発明では、回路基板の、元々、各種の回路を配置しにくい領域に電源用スルーホールおよびグランド用スルーホールが形成されている。そのため、本発明では、電源用スルーホールおよびグランド用スルーホールの影響で、回路基板の、各種の回路が配置される領域が減るのを防止することが可能になり、その結果、回路基板の、各種の回路が配置される領域を確保することが可能になる。
【0012】
また、本発明では、基板固定用突起部に、基板接触面から第2方向側に向かって窪む凹部が形成されており、凹部は、基板固定用突起部の外周面から基板固定用突起部の径方向の内側に向かって形成されるとともに、回路基板の厚さ方向において、電源用スルーホールおよびグランド用スルーホールの少なくともいずれか一方と重なる位置に形成されている。そのため、本発明では、基板接触面と回路基板との間に液体が浸入しても、凹部が形成される、電源用スルーホールおよびグランド用スルーホールの少なくともいずれか一方が含まれる部分に液体が溜まるのを防止することが可能になる。
【0013】
すなわち、本発明では、万が一、基板接触面と回路基板との間に液体が浸入しても、電源用スルーホールとグランド用スルーホールとが導通状態になるように基板接触面と回路基板との間に液体が溜まるのを防止することが可能になる。したがって、本発明では、万が一、基板接触面と回路基板との間に液体が浸入しても、電源用スルーホールでの緑青の発生を防止することが可能になる。
【0014】
本発明において、たとえば、回路基板には、複数の電源用スルーホールが形成され、凹部は、回路基板の厚さ方向において、全ての電源用スルーホールと重なる位置に形成されている。この場合には、回路基板に複数の電源用スルーホールが形成されていても、回路基板の、各種の回路が配置される領域を確保することが可能になるとともに、万が一、基板接触面と回路基板との間に液体が浸入しても、複数の電源用スルーホールでの緑青の発生を防止することが可能になる。
【0015】
本発明において、たとえば、基板固定用突起部の径方向における凹部の内側の側面は、回路基板の厚さ方向から見たときの形状が円弧状となる凸曲面状に形成されている。この場合には、たとえば、回路基板の厚さ方向が水平方向と一致するとともに凹部が上側を向くようにモータが配置されても、凹部が形成される部分に浸入した液体は、凸曲面状に形成される凹部の側面に沿って流れやすくなる。したがって、凹部が上側を向くようにモータが配置されても、凹部が形成される部分に液体が溜まるのを防止することが可能になる。
【0016】
本発明において、たとえば、凹部の第2方向側の面は、回路基板の厚さ方向に直交する平面になっている。また、本発明において、凹部の第2方向側の面は、基板固定用突起部の径方向の外側に向かうにしたがって第2方向側に向かうように傾斜する傾斜面となっていても良い。この場合には、回路基板の厚さ方向が鉛直方向と一致するとともに第2方向側が下側になるようにモータが配置されるときに、凹部が形成される部分に浸入した液体は、傾斜面となっている凹部の第2方向側の面に沿って流れやすくなる。したがって、第2方向側が下側になるようにモータが配置されるときに、凹部が形成される部分に液体が溜まるのを効果的に防止することが可能になる。
【0017】
本発明のモータは、モータの動力で回転する羽根車と、羽根車およびロータが配置されるとともに流体が通過するポンプ室とを備えるポンプ装置に用いることができる。このポンプ装置では、回路基板の、各種の回路が配置される領域を確保することが可能になるとともに、万が一、基板固定用突起部の基板接触面と回路基板との間に液体が浸入しても、電源用スルーホールでの緑青の発生を防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明では、電源用スルーホールおよびグランド用スルーホールが形成される回路基板と、回路基板が固定される基板固定用突起部を有する基板固定部材とを備えるモータにおいて、回路基板の、各種の回路が配置される領域を確保することが可能になるとともに、万が一、基板固定用突起部の基板接触面と回路基板との間に液体が浸入しても、電源用スルーホールでの緑青の発生を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態にかかるポンプ装置の断面図である。
【
図2】
図1に示すポンプ装置からカバーを取り外した状態の平面図である。
【
図6】(A)は、
図5に示す基板固定用突起部の先端側の側面図であり、(B)は、
図5に示す基板固定用突起部の平面図である。
【
図7】本発明の他の実施の形態にかかる凹部の構成を説明するための断面図である。
【
図8】本発明の他の実施の形態にかかる凹部の構成を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(ポンプ装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるポンプ装置1の断面図である。
図2は、
図1に示すポンプ装置1からカバー9を取り外した状態の平面図である。以下の説明では、
図1等のZ1方向側を「上」側とし、上側の反対側となる
図1等のZ2方向側を「下」側とする。なお、以下の説明における「上下方向」は、説明の便宜上、定義されたものであり、鉛直線の方向(鉛直方向)と必ずしも一致するわけではない。
【0022】
本形態のポンプ装置1は、キャンドポンプ(キャンドモータポンプ)と呼ばれるタイプのポンプであり、たとえば、冷却用の液体を循環させるために使用される。ポンプ装置1は、羽根車2と、羽根車2を回転させるモータ3とを備えている。モータ3は、三相モータである。モータ3は、ロータ4と、ステータ5と、モータ3を駆動制御するための回路基板6とを備えている。羽根車2、モータ3および回路基板6は、ハウジング7と、ハウジング7の下側を覆うケース8と、ハウジング7の上側を覆うカバー9によって構成されるケース体10の内部に配置されている。
【0023】
ハウジング7、ケース8およびカバー9は、樹脂で形成されている。ケース8は、超音波溶着によってハウジング7の下端に接合され、カバー9は、超音波溶着によってハウジング7の上端に接合されている。本形態のカバー9は、2個のカバー部材9A、9Bによって構成されている。2個のカバー部材9A、9Bの間には、Oリング11が配置されている。ケース8には、流体の吸入部8aと、流体の吐出部(図示省略)とが形成されている。ケース体10は、モータ3の一部を構成している。ケース体10の内部には、吸入部8aから吸入された流体が吐出部に向かって通過するポンプ室12が形成されている。ポンプ室12は、ハウジング7とケース8とによって画定されている。
【0024】
ロータ4は、円筒状の駆動用磁石14と、円筒状のスリーブ15と、駆動用磁石14およびスリーブ15を保持する保持部材16とを備えている。保持部材16は、樹脂で形成されている。また、保持部材16は、鍔付きの略円筒状に形成されている。駆動用磁石14は、保持部材16の外周側に固定され、スリーブ15は、保持部材16の内周側に固定されている。本形態では、保持部材16の下端部が羽根車2となっている。すなわち、羽根車2は、保持部材16と一体で形成されている。ただし、保持部材16と別体で形成された羽根車2が保持部材16の下端部に固定されていても良い。羽根車2は、モータ3の動力で回転する。羽根車2およびロータ4は、ポンプ室12に配置されている。
【0025】
ロータ4は、固定軸17に回転可能に支持されている。固定軸17は、固定軸17の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。すなわち、上下方向は、ロータ4の軸方向となっている。固定軸17の下端は、ケース8に保持され、固定軸17の上端は、ハウジング7に保持されている。固定軸17は、スリーブ15の内周側に挿通されている。固定軸17には、スリーブ15の下端面に接触するスラスト軸受部材18が取り付けられている。本形態では、スリーブ15がロータ4のラジアル軸受として機能し、スリーブ15およびスラスト軸受部材18がロータ4のスラスト軸受として機能している。
【0026】
ステータ5は、筒状に形成されている。ステータ5は、ロータ4の外周側に配置されている。ステータ5は、駆動用コイル21と、ステータコア22と、インシュレータ23とを備えている。ステータコア22は、たとえば、磁性材料からなる薄い磁性板が積層されて形成された積層コアである。ステータコア22は、環状に形成される外周環部と、外周環部から径方向の内側に向かって突出する複数の突極部とを備えている。突極部の先端面は、ハウジング7の一部分を構成する後述の円筒部7aを介して駆動用磁石14の外周面と対向している。
【0027】
インシュレータ23は、樹脂等の絶縁性材料で形成されている。駆動用コイル21は、インシュレータ23を介してステータコア22の突極部に巻回されている。駆動用コイル21の端部は、端子ピン24(
図2参照)に絡げられて固定されている。端子ピン24は、インシュレータ23に固定されている。また、端子ピン24は、回路基板6に半田付けされて固定されている。すなわち、駆動用コイル21は、端子ピン24を介して回路基板6に電気的に接続されている。なお、
図1では、端子ピン24の図示を省略している。
【0028】
上述のように、ハウジング7は樹脂で形成されている。ハウジング7は、ステータ5の一部分を覆うようにステータ5と一体で形成されている。本形態では、インサート成形によって、ハウジング7がステータ5と一体で成形されている。ハウジング7は、駆動用コイル21を完全に覆っている。ハウジング7は、ステータコア22の突極部の先端面と駆動用磁石14の外周面の間に配置される円筒状の円筒部7aと、円筒部7aの上端を塞ぐ底部7bとを備えている。
【0029】
ハウジング7の上端部には、下側に向かって窪む基板配置部7cが形成されている。基板配置部7cは、底部7bの上側に配置されている。また、基板配置部7cは、駆動用コイル21、ステータコア22およびインシュレータ23の上側に配置されている。回路基板6は、基板配置部7cの中に配置されている。ハウジング7は、ステータ5および回路基板6の配置箇所にポンプ室12の中の流体が流入するのを防止する機能を果たしている。カバー9は、基板配置部7cに配置される回路基板6を上側から覆うようにハウジング7の上端に固定されている。ハウジング7のより具体的な構成については後述する。
【0030】
回路基板6は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、平板状に形成されている。回路基板6は、回路基板6の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。回路基板6は、ポンプ室12の外側に配置されている。回路基板6は、固定用ネジ26によってハウジング7に固定されている。本形態のハウジング7は、回路基板6が固定される基板固定部材となっている。回路基板6には、インターフェース用の端子ピン27(
図2参照)が半田付けされて固定されている。端子ピン27は、ハウジング7に固定されている。また、端子ピン27の一部は、ハウジング7に形成されるコネクタ部7tの中に配置されている。回路基板6のより具体的な構成については後述する。なお、
図1では、端子ピン27およびコネクタ部7tの図示を省略している。
【0031】
(回路基板およびハウジングの構成)
図3は、
図1に示す回路基板6の底面図である。
図4は、
図1に示す回路基板6の平面図である。
図5は、
図1のE部の拡大図である。
図6(A)は、
図5に示す基板固定用突起部7dの先端側の側面図であり、
図6(B)は、
図5に示す基板固定用突起部7dの平面図である。
【0032】
回路基板6は、略円板状に形成されている。回路基板6は、両面実装基板である。上述のように、回路基板6の厚さ方向は、上下方向と一致している。すなわち、上下方向は、回路基板6の厚さ方向である。本形態の上側(Z1方向側)は、回路基板6の厚さ方向の一方側である第1方向側となっており、下側(Z2方向側)は、第1方向側の反対側である第2方向側となっている。以下の説明では、回路基板6の上面(第1方向側の面)を第1基板面6aとし、回路基板6の下面(第2方向側の面)を第2基板面6bとする。また、以下の説明では、上下方向に直交する所定の方向(
図2の左右方向)を左右方向とするとともに、左右方向の一方側である
図2等のY1方向側を「右」側とし、その反対側である
図2等のY2方向側を「左」側とする。
【0033】
第2基板面6bには、端子ピン27を介してポンプ装置1の外部(すなわち、モータ3の外部)から回路基板6に供給される直流電力のノイズを低減するためのフィルタ回路30が配置されている。フィルタ回路30は、第2基板面6bに実装される複数の電解コンデンサ31およびインダクタ32を備えている。第2基板面6bには、複数の電解コンデンサ31およびインダクタ32が電気的に接続される電力供給用の配線パターン33と、グランド用のグランドパターン34とが形成されている。配線パターン33およびグランドパターン34は、絶縁性の保護膜に覆われている。また、第2基板面6bには、マイコン(マイクロコントローラ)35が実装されている。
【0034】
第1基板面6aには、フィルタ回路30から供給される直流電力を交流電力に変換して駆動用コイル21に供給するためのインバータ回路37が配置されている。インバータ回路37は、第1基板面6aに実装される複数の電界効果トランジスタ(FET)38を備えている。具体的には、インバータ回路37は、6個のFET38を備えている。第1基板面6aには、FET38が電気的に接続される電力供給用の配線パターン39と、グランド用のグランドパターン40とが形成されている。配線パターン39およびグランドパターン40は、絶縁性の保護膜に覆われている。なお、
図1では、FET38の図示を省略している。
【0035】
回路基板6には、ハウジング7に回路基板6を固定するための固定用貫通穴6cが形成されている。固定用貫通穴6cは、上下方向で回路基板6を貫通する丸穴である。固定用貫通穴6cは、回路基板6の中心部に形成されている。また、回路基板6には、第2基板面6bに配置されるフィルタ回路30と第1基板面6aに配置されるインバータ回路37とを電気的に接続するためのスルーホールである電源用スルーホール6dと、第2基板面6bに形成されるグランドパターン34と第1基板面6aに形成されるグランドパターン40とを電気的に接続するためのスルーホールであるグランド用スルーホール6eとが形成されている。
【0036】
電源用スルーホール6dおよびグランド用スルーホール6eは、回路基板6を貫通している。電源用スルーホール6dは、配線パターン33、39に繋がり、グランド用スルーホール6eは、グランドパターン34、40に繋がっている。本形態では、複数の電源用スルーホール6dが回路基板6に形成されている。たとえば、6個の電源用スルーホール6dが回路基板6に形成されている。また、回路基板6には、多数のグランド用スルーホール6eが形成されている。
図2~
図4等では、多数のグランド用スルーホール6eのうちの、複数のいくつかのグランド用スルーホール6eが図示されている。
【0037】
6個の電源用スルーホール6dおよび複数のいくつかのグランド用スルーホール6eは、回路基板6の中心部に形成されている。6個の電源用スルーホール6dおよび複数のいくつかのグランド用スルーホール6eは、固定用貫通穴6cを囲むように配置されており、固定用貫通穴6cの周方向に配列されている。本形態では、6個の電源用スルーホール6dは、固定用貫通穴6cの左右方向の中心よりも左側に配置されている。また、固定用貫通穴6cを囲むように配置される複数のグランド用スルーホール6eは、固定用貫通穴6cの左右方向の中心よりも右側に配置されている。
【0038】
ハウジング7には、回路基板6をハウジング7に固定するための基板固定用突起部7dが形成されている。基板固定用突起部7dは、上側に向かって突出する柱状に形成されている。基板固定用突起部7dは、底部7bの上面(基板配置部7cの底面)から上側に向かって突出している。基板固定用突起部7dは、円柱状に形成されている。円柱状に形成される基板固定用突起部7dの軸心は、固定軸17の軸心と一致している。そのため、基板固定用突起部7dの径方向は、ロータ4の径方向と一致し、基板固定用突起部7dの周方向(円周方向)は、ロータ4の周方向と一致している。固定軸17の上端部は、基板固定用突起部7dの下端部に形成される保持穴の中に配置されている。
【0039】
基板固定用突起部7dには、固定用ネジ26が係合するネジ穴7eが形成されている。ネジ穴7eは、基板固定用突起部7dの先端面(上端面)から下側に向かって窪んでいる。ネジ穴7eは、基板固定用突起部7dの軸心上に形成されている。基板固定用突起部7dの上端部(先端部)は、回路基板6の固定用貫通穴6cの内周側に挿入されて固定用貫通穴6cの内周側に配置される先端側凸部7fとなっている。基板固定用突起部7dの、先端側凸部7fを除いた部分は、大径部7gとなっている。先端側凸部7fは、円筒状に形成されており、先端側凸部7fの内周側は、ネジ穴7eの一部となっている。先端側凸部7fの外径は、大径部7gの外径よりも小さくなっている。先端側凸部7fの軸心は、大径部7gの軸心と一致している。
【0040】
基板固定用突起部7dには、回路基板6の第2基板面6bが接触する平面状の基板接触面7hと、基板接触面7hから下側に向かって窪む凹部7jとが形成されている。本形態では、大径部7gの上端面が基板接触面7hとなっている。すなわち、先端側凸部7fと大径部7gとの間に形成される段差面が基板接触面7hとなっている。基板接触面7hは、上下方向に直交する平面となっている。上下方向から見たときに、基板接触面7hは、先端側凸部7fを囲む環状に形成されている。
【0041】
凹部7jは、基板固定用突起部7dの外周面から基板固定用突起部7dの径方向の内側に向かって形成されている。すなわち、凹部7jは、基板固定用突起部7dの外周面まで形成されている。上下方向から見たときの凹部7jの形状は円弧状となっている。具体的には、上下方向から見たときの凹部7jの形状は半円弧状となっている。基板固定用突起部7dの径方向における凹部7jの内側の側面(内側面)7kは、上下方向から見たときの形状が円弧状となる凸曲面状に形成されている(
図6(B)参照)。具体的には、内側面7kは、上下方向から見たときの形状が基板固定用突起部7dの軸心を曲率中心とする半円弧状をなす凸曲面状に形成されている。凹部7jの下面7pは、上下方向に直交する平面になっている。
【0042】
凹部7jは、大径部7gの左側部分に形成されている。基板接触面7hの右側部分は、大径部7gの外周面に繋がる半円状の平面となっている。基板接触面7hの左側部分は、基板接触面7hの右側部分よりも外径の小さい半円状の平面となっている。すなわち、基板接触面7hの左側部分の面積は、基板接触面7hの右側部分の面積よりも狭くなっている。なお、凹部7jの深さ(上下方向の深さ)は、基板固定用突起部7dに回路基板6が固定された状態において凹部7jに液体が浸入したとしても凹部7jに液体が留まらない深さに設定されている。
【0043】
回路基板6は、先端側凸部7fが固定用貫通穴6cの内周側に配置された状態で、かつ、回路基板6の第2基板面6bが基板接触面7hに接触した状態で、回路基板6の上側からネジ穴7eに締め込まれる固定用ネジ26によって基板固定用突起部7dに固定されている。固定用ネジ26の頭部は、回路基板6の第1基板面6aに接触している。
【0044】
なお、本形態では、先端側凸部7fと固定用貫通穴6cとによって、上下方向に直交する方向においてハウジング7に対して回路基板6が位置決めされている。また、回路基板6には、回路基板6の外周側に向かって突出する複数の位置決め用凸部6gが形成され、ハウジング7には、位置決め用凸部6gが係合する係合凹部7rが形成されている。回路基板6は、位置決め用凸部6gと係合凹部7rとによって、上下方向に直交する方向およびロータ4の周方向においてハウジング7に対して位置決めされている。
【0045】
上述のように、6個の電源用スルーホール6dおよび複数のいくつかのグランド用スルーホール6eは、固定用貫通穴6cを囲むように配置されている。本形態では、固定用貫通穴6cを囲むように配置される複数の電源用スルーホール6dおよびグランド用スルーホール6eは、上下方向から見たときに、基板固定用突起部7dの径方向において基板固定用突起部7dの外周面よりも内側に配置されている(
図2参照)。具体的には、固定用貫通穴6cを囲むように配置される複数の電源用スルーホール6dおよびグランド用スルーホール6eは、上下方向から見たときに、基板固定用突起部7dの径方向において大径部7gの外周面よりも内側に配置されている。
【0046】
また、上述のように、6個の電源用スルーホール6dは、固定用貫通穴6cの左右方向の中心よりも左側に配置され、凹部7jは、大径部7gの左側部分に形成されている。本形態では、凹部7jは、上下方向において、6個の電源用スルーホール6dの全てと重なる位置に形成されている。すなわち、上下方向から見たときに、凹部7jが形成される範囲内に全ての電源用スルーホール6dが配置されている。また、固定用貫通穴6cを囲むように配置される複数のグランド用スルーホール6eは、固定用貫通穴6cの左右方向の中心よりも右側に配置されており、基板接触面7hに接触する位置に配置されている。
【0047】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、回路基板6の固定用貫通穴6cを囲むように配置される複数の電源用スルーホール6dおよびグランド用スルーホール6eは、上下方向から見たときに、基板接触面7hが形成される基板固定用突起部7dの径方向において基板固定用突起部7dの外周面よりも内側に配置されている。すなわち、本形態では、回路基板6の、元々、各種の回路を配置しにくい領域に複数の電源用スルーホール6dおよびグランド用スルーホール6eが形成されている。そのため、本形態では、複数の電源用スルーホール6dおよびグランド用スルーホール6eの影響で、回路基板6の、各種の回路が配置される領域が減るのを防止することが可能になり、その結果、回路基板6の、各種の回路が配置される領域を確保することが可能になる。
【0048】
本形態では、基板固定用突起部7dに、基板接触面7hから下側に向かって窪む凹部7jが形成されており、凹部7jは、基板固定用突起部7dの外周面から基板固定用突起部7dの径方向の内側に向かって形成されている。また、本形態では、凹部7jは、上下方向において、6個の電源用スルーホール6dの全てと重なる位置に形成されている。さらに、本形態では、凹部7jの深さは、基板固定用突起部7dに回路基板6が固定された状態において凹部7jに液体が浸入したとしても凹部7jに液体が留まらない深さに設定されている。
【0049】
そのため、本形態では、基板接触面7hと回路基板6の第2基板面6bとの間に液体が浸入しても、凹部7jが形成される、6個の電源用スルーホール6dが含まれる部分に液体が溜まるのを防止することが可能になる。すなわち、本形態では、基板接触面7hと回路基板6との間に液体が浸入しても、電源用スルーホール6dとグランド用スルーホール6eとが導通状態になるように基板接触面7hと回路基板6との間に液体が溜まるのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、万が一、基板接触面7hと回路基板6との間に液体が浸入しても、電源用スルーホール6dでの緑青の発生を防止することが可能になる。
【0050】
本形態では、凹部7jの内側面7kは、上下方向(すなわち、回路基板6の厚さ方向)から見たときの形状が円弧状となる凸曲面状に形成されている。そのため、本形態では、たとえば、回路基板6の厚さ方向が水平方向と一致するようにポンプ装置1が配置される場合であっても、凹部7jが形成される部分に浸入した液体は、凸曲面状に形成される凹部7jの内側面7kに沿って流れやすくなる。したがって、本形態では、回路基板6の厚さ方向が水平方向と一致するようにポンプ装置1が配置される場合であっても、凹部7jが形成される部分に液体が溜まるのを防止することが可能になる。
【0051】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0052】
上述した形態において、
図7に示すように、凹部7jの下面7pは、基板固定用突起部7dの径方向の外側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面となっていても良い。この場合には、
図7(A)に示すように、凹部7jに内側面7kが形成されていても良いし、傾斜面である下面7pの上端が基板接触面7hに直接繋がっていても良い。この場合には、凹部7jが形成される部分に浸入した液体は、傾斜面である下面7pに沿って流れやすくなるため、凹部7jが形成される部分に液体が溜まるのを効果的に防止することが可能になる。
【0053】
上述した形態において、
図8に示すように、凹部7jは、大径部7gの右側部分に形成されていて、固定用貫通穴6cを囲むように配置される複数のいくつかのグランド用スルーホール6eの全てと上下方向において重なる位置に形成されていても良い。また、上述した形態において、凹部7jは、固定用貫通穴6cを囲むように配置されるグランド用スルーホール6eの全ておよび電源用スルーホール6dの全てと上下方向において重なる位置に形成されていても良い。
【0054】
これらの場合であっても、上述した形態と同様に、回路基板6の、各種の回路が配置される領域を確保することが可能になる。また、これらの場合には、上述した形態と同様に、基板接触面7hと回路基板6との間に液体が浸入しても、電源用スルーホール6dとグランド用スルーホール6eとが導通状態になるように基板接触面7hと回路基板6との間に液体が溜まるのを防止することが可能になるため、万が一、基板接触面7hと回路基板6との間に液体が浸入しても、電源用スルーホール6dでの緑青の発生を防止することが可能になる。
【0055】
上述した形態において、第1基板面6aにフィルタ回路30が形成され、第2基板面6bにインバータ回路37が形成されていても良い。また、上述した形態において、基板固定用突起部7dは、円柱状以外の柱状に形成されていても良い。たとえば、基板固定用突起部7dは、多角柱状に形成されていても良い。さらに、上述した形態において、基板固定用突起部7dの軸心と固定軸17の軸心とがずれていても良い。
【0056】
上述した形態において、基板固定用突起部7dの径方向における凹部7jの内側の側面は、複数の平面によって構成されていても良い。また、上述した形態において、回路基板6に形成される電源用スルーホール6dの数は1個であっても良い。また、上述した形態において、固定用貫通穴6cを囲むように配置されるグランド用スルーホール6eの数は1個であっても良い。さらに、本発明が適用されるモータ3は、ポンプ装置1以外の装置で使用されても良い。
【0057】
(本技術の構成)
なお、本技術は以下のような構成を取ることが可能である。
(1)駆動用磁石を有するロータと駆動用コイルを有するステータとを備えるモータにおいて、
前記モータを駆動制御するための回路基板と、前記回路基板が固定される基板固定部材とを備え、
前記回路基板の厚さ方向の一方側を第1方向側とし、第1方向側の反対側を第2方向側とし、前記回路基板の第1方向側の面を第1基板面とし、前記回路基板の第2方向側の面を第2基板面とすると、
前記第1基板面および前記第2基板面のいずれか一方には、フィルタ回路が配置され、
前記第1基板面および前記第2基板面のいずれか他方には、前記フィルタ回路から供給される直流電力を交流電力に変換して前記駆動用コイルに供給するためのインバータ回路が配置され、
前記回路基板には、前記フィルタ回路と前記インバータ回路とを電気的に接続するためのスルーホールである電源用スルーホールと、前記第1基板面に形成されるグランドパターンと前記第2基板面に形成されるグランドパターンとを電気的に接続するためのスルーホールであるグランド用スルーホールと、前記基板固定部材に前記回路基板を固定するための固定用貫通穴とが形成され、
前記基板固定部材には、第1方向側に突出する柱状の基板固定用突起部が形成され、
前記基板固定用突起部の第1方向側の端部は、前記固定用貫通穴の内周側に配置される先端側凸部となっており、
前記基板固定用突起部には、前記第2基板面が接触する平面状の基板接触面と、前記基板接触面から第2方向側に向かって窪む凹部とが形成され、
前記基板固定用突起部の、前記先端側凸部を除いた部分の第1方向側の端面が前記基板接触面になっており、
前記回路基板の厚さ方向から見たときに、前記基板接触面は、前記先端側凸部を囲む環状に形成され、
前記回路基板の厚さ方向から見たときに、前記電源用スルーホールおよび前記グランド用スルーホールは、前記基板固定用突起部の径方向において前記基板固定用突起部の外周面よりも内側に配置され、
前記凹部は、前記基板固定用突起部の外周面から前記基板固定用突起部の径方向の内側に向かって形成されるとともに、前記回路基板の厚さ方向において、前記電源用スルーホールおよび前記グランド用スルーホールの少なくともいずれか一方と重なる位置に形成されていることを特徴とするモータ。
(2)前記回路基板には、複数の前記電源用スルーホールが形成され、
前記凹部は、前記回路基板の厚さ方向において、全ての前記電源用スルーホールと重なる位置に形成されていることを特徴とする(1)記載のモータ。
(3)前記基板固定用突起部の径方向における前記凹部の内側の側面は、前記回路基板の厚さ方向から見たときの形状が円弧状となる凸曲面状に形成されていることを特徴とする(1)または(2)記載のモータ。
(4)前記凹部の第2方向側の面は、前記回路基板の厚さ方向に直交する平面になっていることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のモータ。
(5)前記凹部の第2方向側の面は、前記基板固定用突起部の径方向の外側に向かうにしたがって第2方向側に向かうように傾斜する傾斜面となっていることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のモータ。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載のモータと、前記モータの動力で回転する羽根車と、前記羽根車および前記ロータが配置されるとともに流体が通過するポンプ室とを備えることを特徴とするポンプ装置。
【符号の説明】
【0058】
1 ポンプ装置
2 羽根車
3 モータ
4 ロータ
5 ステータ
6 回路基板
6a 第1基板面
6b 第2基板面
6c 固定用貫通穴
6d 電源用スルーホール
6e グランド用スルーホール
7 ハウジング(基板固定部材)
7d 基板固定用突起部
7f 先端側凸部
7h 基板接触面
7j 凹部
7k 内側面(基板固定用突起部の径方向における凹部の内側の側面)
7p 下面(凹部の第2方向側の面)
12 ポンプ室
14 駆動用磁石
21 駆動用コイル
30 フィルタ回路
34、40 グランドパターン
37 インバータ回路
Z1 第1方向側
Z2 第2方向側