(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147134
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】カードリーダ
(51)【国際特許分類】
G06K 7/00 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
G06K7/00 021
G06K7/00 056
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059951
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 伸也
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 幸彦
(57)【要約】
【課題】IC接点ブロックのカード当接面に当接するカードによって退避位置から接触位置までIC接点ブロックを移動させるカードリーダにおいて、金属製のカードの処理が行われても、カード当接面の傷や摩耗の発生を抑制することが可能なカードリーダを提供する。
【解決手段】このカードリーダでは、IC接点ブロック8は、複数のIC接点バネ7を保持する樹脂製のブロック本体14と、カードの奥側の端面が当接するカード当接面15aが形成されるとともにブロック本体14と別体で形成されブロック本体14に取り付けられるカード当接部材15とを備えている。カード当接部材15は、樹脂よりも硬い材料で形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに形成されるICチップの外部接続端子に接触する複数のIC接点バネと、複数の前記IC接点バネを保持するIC接点ブロックと、前記カードが移動するカード移動路が形成される本体フレームとを備え、
前記カード移動路を直線的に移動する前記カードの移動方向の一方側を奥側とし、奥側の反対側を手前側とし、前記カード移動路を直線的に移動する前記カードの厚さ方向の一方側を第1方向側とすると、
前記IC接点ブロックは、複数の前記IC接点バネを保持する樹脂製のブロック本体と、前記カードの奥側の端面が当接するカード当接面が形成されるとともに前記ブロック本体と別体で形成され前記ブロック本体に取り付けられるカード当接部材とを備え、前記IC接点バネが前記外部接続端子に接触可能な接触位置と前記IC接点バネが前記外部接続端子に接触しない位置まで退避する退避位置との間で前記本体フレームに対して移動可能となっており、
前記カード当接面に当接する前記カードによって前記カード当接部材が奥側に向かって押されると、前記IC接点ブロックは、前記退避位置から前記接触位置に向かって移動し、
前記退避位置から前記接触位置に向かって移動する前記IC接点ブロックは、奥側に向かって移動するにしたがって第1方向側に向かって移動し、
前記カード当接部材は、樹脂よりも硬い材料で形成されていることを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記カード当接部材は、金属またはセラミックで形成されていることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項3】
前記カード当接部材は、前記カードの厚さ方向において前記ブロック本体に対する前記カード当接部材の移動を規制するための2個の規制用突起と、2個の前記規制用突起の基端が繋がる本体部とを備え、
2個の前記規制用突起は、前記本体部から奥側または手前側に向かって突出するとともに前記カードの厚さ方向において間隔をあけた状態で配置され、
前記ブロック本体は、前記カードの厚さ方向において2個の前記規制用突起の間に配置されるとともに前記規制用突起が接触するブロック本体側規制部を備え、
前記IC接点ブロックは、前記カードの移動方向において前記ブロック本体に対する前記カード当接部材の移動を規制するための規制ピンを備え、
前記ブロック本体には、前記カード当接部材の少なくとも一部が配置される配置穴と、前記規制ピンが挿通される挿通穴とが形成され、
前記カードの移動方向における前記ブロック本体側規制部の側面である規制部側面は、前記カードの移動方向における前記配置穴の一方の側面となっており、
前記カードの移動方向における前記配置穴の幅は、前記カードの移動方向における前記カード当接部材の幅よりも広くなっており、
前記規制用突起が奥側に向かって突出している場合には、前記本体部の奥側の面が前記規制部側面に接触するとともに、前記本体部の手前側の面が前記規制ピンに接触し、
前記規制用突起が手前側に向かって突出している場合には、前記本体部の手前側の面が前記規制部側面に接触するとともに、前記本体部の奥側の面が前記規制ピンに接触していることを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記本体フレームには、前記接触位置と前記退避位置との間で前記IC接点ブロックを案内するためのカム溝が形成され、
前記IC接点ブロックは、前記カム溝に係合して前記接触位置と前記退避位置との間で前記IC接点ブロックを案内する複数本のカムピンを備え、
複数本の前記カムピンのうちの1本の前記カムピンが前記規制ピンとなっていることを特徴とする請求項3記載のカードリーダ。
【請求項5】
前記カードの移動方向と前記カードの厚さ方向とに直交する方向を前記カードの幅方向とすると、
前記本体フレームに取り付けられる2本の固定側ピンと、前記カードの幅方向を回動の軸方向としてかつ前記固定側ピンを回動中心にして回動可能な2個のリンク部材とを備え、
2本の前記固定側ピンは、前記カードの搬送方向において間隔をあけた状態で配置され、
2個の前記リンク部材は、前記カードの搬送方向において間隔をあけた状態で配置され、
前記IC接点ブロックは、前記リンク部材に回動可能に保持されるかまたは固定される2本のリンクピンを備え、
2本の前記固定側ピンと2個の前記リンク部材と2本の前記リンクピンとによって前記接触位置と前記退避位置との間で前記IC接点ブロックを案内する平行リンク機構が構成され、
2本の前記リンクピンのうちの1本の前記リンクピンが前記規制ピンとなっていることを特徴とする請求項3記載のカードリーダ。
【請求項6】
前記カードの移動方向と前記カードの厚さ方向とに直交する方向を前記カードの幅方向とすると、
複数の前記カード当接部材が前記カードの幅方向において間隔をあけた状態で前記ブロック本体に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触式のICカードに記録されたデータの読取りや接触式のICカードへのデータの記録を行うカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接触式のICカードに記録されたデータの読取りや接触式のICカードへのデータの記録を行うカードリーダが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカードリーダは、カード移動路が形成される本体フレームと、カードに形成されたICチップの外部接続端子に接触する複数の接点バネと、複数の接点バネを保持するIC接点ブロックとを備えている。特許文献1に記載のカードリーダで処理されるカードは、塩化ビニール製のカードである。
【0003】
特許文献1に記載のカードリーダでは、IC接点ブロックは、樹脂で形成されている。IC接点ブロックは、IC接点バネが外部接続端子に接触可能な接触位置とIC接点バネが外部接続端子に接触しない位置まで退避する退避位置との間で本体フレームに対して移動可能となっている。IC接点ブロックには、接触位置と退避位置との間でIC接点ブロックを案内するためのガイド軸が取り付けられている。本体フレームには、ガイド軸の端部が係合するカム溝が形成されており、ガイド軸とカム溝とによって、接触位置と退避位置との間でIC接点ブロックが案内される。
【0004】
特許文献1に記載のカードリーダでは、IC接点ブロックに、カードリーダの奥側に向かってカード移動路を移動するカードの奥側の端面が当接する当接部が形成されている。当接部のカード当接面に当接するカードによってIC接点ブロックが奥側に向かって押されると、IC接点ブロックが退避位置から接触位置に向かって移動する。退避位置から接触位置に向かって移動するIC接点ブロックは、奥側に向かって移動するにしたがってカードの厚さ方向においてカードに向かって移動する。そのため、当接部がカードに押されてIC接点ブロックが退避位置から接触位置に向かって移動すると、カードの奥側の端面がカード当接面に所定の接触圧で接触した状態でカードがカード当接面に対してカードの厚さ方向に相対的に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、従来は使用されていなかった金属製のカードが市場に流通し始めている。特許文献1に記載のカードリーダで金属製のカードが処理されると、IC接点ブロックが退避位置から接触位置に向かって移動するときに、金属製のカードの奥側の端面が樹脂製のIC接点ブロックのカード当接面に所定の接触圧で接触した状態でカードがカード当接面に対してカードの厚さ方向に相対的に移動するため、カード当接面に傷や摩耗が発生するおそれがある。
【0007】
特許文献1に記載のカードリーダにおいて、カード当接面に傷が生じると、カード当接面に沿ってカードの厚さ方向にカードが相対的に移動しにくくなるため、カードリーダの操作性が低下するおそれがある。また、特許文献1に記載のカードリーダにおいて、カード当接面に摩耗が生じると、カード当接面に当接するカードによってIC接点ブロックを奥側に押しても、接触位置までIC接点ブロックを移動させることができなくなったり、カードの、外部接続端子よりも奥側の箇所にIC接点バネが接触したりするおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、IC接点ブロックのカード当接面に当接するカードによって退避位置から接触位置までIC接点ブロックを移動させるカードリーダにおいて、金属製のカードの処理が行われても、カード当接面の傷や摩耗の発生を抑制することが可能なカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様のカードリーダは、カードに形成されるICチップの外部接続端子に接触する複数のIC接点バネと、複数のIC接点バネを保持するIC接点ブロックと、カードが移動するカード移動路が形成される本体フレームとを備え、カード移動路を直線的に移動するカードの移動方向の一方側を奥側とし、奥側の反対側を手前側とし、カード移動路を直線的に移動するカードの厚さ方向の一方側を第1方向側とすると、IC接点ブロックは、複数のIC接点バネを保持する樹脂製のブロック本体と、カードの奥側の端面が当接するカード当接面が形成されるとともにブロック本体と別体で形成されブロック本体に取り付けられるカード当接部材とを備え、IC接点バネが外部接続端子に接触可能な接触位置とIC接点バネが外部接続端子に接触しない位置まで退避する退避位置との間で本体フレームに対して移動可能となっており、カード当接面に当接するカードによってカード当接部材が奥側に向かって押されると、IC接点ブロックは、退避位置から接触位置に向かって移動し、退避位置から接触位置に向かって移動するIC接点ブロックは、奥側に向かって移動するにしたがって第1方向側に向かって移動し、カード当接部材は、樹脂よりも硬い材料で形成されていることを特徴とする。
【0010】
本態様において、カード当接部材は、たとえば、金属またはセラミックで形成されている。
【0011】
本態様のカードリーダでは、カード当接部材は、樹脂よりも硬い材料で形成されている。そのため、本態様では、IC接点ブロックが退避位置から接触位置に向かって移動するときに、金属製のカードの奥側の端面がカード当接部材のカード当接面に所定の接触圧で接触した状態でカードがカード当接面に対してカードの厚さ方向に相対的に移動しても、カード当接面の傷や摩耗の発生を抑制することが可能になる。したがって、本態様のカードリーダでは、金属製のカードの処理が行われても、カード当接面の傷や摩耗の発生を抑制することが可能になる。
【0012】
本態様において、カード当接部材は、カードの厚さ方向においてブロック本体に対するカード当接部材の移動を規制するための2個の規制用突起と、2個の規制用突起の基端が繋がる本体部とを備え、2個の規制用突起は、本体部から奥側または手前側に向かって突出するとともにカードの厚さ方向において間隔をあけた状態で配置され、ブロック本体は、カードの厚さ方向において2個の規制用突起の間に配置されるとともに規制用突起が接触するブロック本体側規制部を備え、IC接点ブロックは、カードの移動方向においてブロック本体に対するカード当接部材の移動を規制するための規制ピンを備え、ブロック本体には、カード当接部材の少なくとも一部が配置される配置穴と、規制ピンが挿通される挿通穴とが形成され、カードの移動方向におけるブロック本体側規制部の側面である規制部側面は、カードの移動方向における配置穴の一方の側面となっており、カードの移動方向における配置穴の幅は、カードの移動方向におけるカード当接部材の幅よりも広くなっており、規制用突起が奥側に向かって突出している場合には、本体部の奥側の面が規制部側面に接触するとともに、本体部の手前側の面が規制ピンに接触し、規制用突起が手前側に向かって突出している場合には、本体部の手前側の面が規制部側面に接触するとともに、本体部の奥側の面が規制ピンに接触していることが好ましい。
【0013】
このように構成すると、ブロック本体側規制部によってカードの厚さ方向においてブロック本体に対するカード当接部材の移動が規制され、規制部側面と規制ピンとによってカードの移動方向においてブロック本体に対するカード当接部材の移動が規制され、カードの移動方向とカードの厚さ方向とに直交するカードの幅方向における配置穴の側面によってカードの幅方向においてブロック本体に対するカード当接部材の移動が規制されるため、接着や圧入によってカード当接部材がブロック本体に取り付けられている場合と比較して、カード当接部材をブロック本体に確実に取り付けることが可能になる。したがって、カード当接面にカードが繰り返し当接しても、また、カード当接面に対してカードの厚さ方向にカードが繰り返し相対的に移動しても、ブロック本体からカード当接部材が外れにくくなる。
【0014】
また、このように構成すると、カードの移動方向における配置穴の幅がカードの移動方向におけるカード当接部材の幅よりも広くなっているため、ブロック本体の挿通穴から規制ピンを取り外せば、配置穴を利用して、ブロック本体に対してカード当接部材を着脱することが可能になる。したがって、カード当接部材の取付作業や交換作業を容易に行うことが可能になる。
【0015】
本態様において、本体フレームには、接触位置と退避位置との間でIC接点ブロックを案内するためのカム溝が形成され、IC接点ブロックは、カム溝に係合して接触位置と退避位置との間でIC接点ブロックを案内する複数本のカムピンを備え、複数本のカムピンのうちの1本のカムピンが規制ピンとなっていることが好ましい。このように構成すると、カムピンを利用してブロック本体に対するカード当接部材の移動を規制することができるため、カードリーダの構成を簡素化することが可能になる。
【0016】
本態様において、カードの移動方向とカードの厚さ方向とに直交する方向をカードの幅方向とすると、カードリーダは、本体フレームに取り付けられる2本の固定側ピンと、カードの幅方向を回動の軸方向としてかつ固定側ピンを回動中心にして回動可能な2個のリンク部材とを備え、2本の固定側ピンは、カードの搬送方向において間隔をあけた状態で配置され、2個のリンク部材は、カードの搬送方向において間隔をあけた状態で配置され、IC接点ブロックは、リンク部材に回動可能に保持されるかまたは固定される2本のリンクピンを備え、2本の固定側ピンと2個のリンク部材と2本のリンクピンとによって接触位置と退避位置との間でIC接点ブロックを案内する平行リンク機構が構成され、2本のリンクピンのうちの1本のリンクピンが規制ピンとなっていても良い。この場合には、リンクピンを利用してブロック本体に対するカード当接部材の移動を規制することができるため、カードリーダの構成を簡素化することが可能になる。
【0017】
本態様において、カードの移動方向とカードの厚さ方向とに直交する方向をカードの幅方向とすると、たとえば、複数のカード当接部材がカードの幅方向において間隔をあけた状態でブロック本体に取り付けられている。この場合には、カード当接面に当接するカードの状態を安定させることが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の態様では、IC接点ブロックのカード当接面に当接するカードによって退避位置から接触位置までIC接点ブロックを移動させるカードリーダにおいて、金属製のカードの処理が行われても、カード当接面の傷や摩耗の発生を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの斜視図である。
【
図2】
図1に示すIC接点ブロック等を異なる方向から示す斜視図である。
【
図3】
図1に示すIC接点ブロック等の平面図である。
【
図4】
図1に示すIC接点ブロックの動作を説明するための断面図である。
【
図5】(A)は、
図3のE-E断面の断面図であり、(B)は、(A)に示すカード当接部材の取付手順を説明するための断面図である。
【
図6】本発明の他の実施の形態にかかるIC接点ブロックの構成を説明するための側面図である。
【
図7】
図6に示すIC接点ブロックの構成を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(カードリーダの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すIC接点ブロック8等を異なる方向から示す斜視図である。
図3は、
図1に示すIC接点ブロック8等の平面図である。
図4は、
図1に示すIC接点ブロック8の動作を説明するための断面図である。
【0022】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録されたデータの読取りやカード2へのデータの記録を行うための装置である。具体的には、カードリーダ1は、カードリーダ1へのカード2の挿入とカードリーダ1からのカード2の抜取りとを手動で行ってデータの読取りや記録を行ういわゆるディップ式のカードリーダである。カードリーダ1は、所定の上位装置に搭載されて使用される。
【0023】
カード2は、たとえば、厚さが0.7~0.8mm程度の矩形状のカードである。本形態のカードリーダ1で処理が行われるカード2は、金属で形成されている。たとえば、カード2は、チタンで形成されている。カード2には、ICチップが内蔵されており、カード2の一方の面には、
図1に示すように、ICチップの外部接続端子2aが形成されている。なお、カードリーダ1では、塩化ビニール製のカード2の処理も可能である。
【0024】
カードリーダ1は、カード2が移動するカード移動路3(
図4参照)が形成される本体フレーム4と、カード2の挿入口5が形成されるベゼル6と、カード2の外部接続端子2aに接触する複数のIC接点バネ7と、複数のIC接点バネ7を保持するIC接点ブロック8とを備えている。すなわち、カードリーダ1は、接触式のICカードリーダである。
【0025】
本形態では、手動で操作されるカード2は、
図1等のX方向に直線的に移動する。すなわち、X方向は、カード移動路3を直線的に移動するカード2の移動方向である。カード2は、カード2の移動方向の一方側である
図1等のX1方向側に挿入され、カード2の移動方向の他方側である
図1等のX2方向側に抜き取られる。また、X方向に直交する
図1等のZ方向は、カード移動路3を直線的に移動するカード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交する
図1等のY方向は、カード移動路3を直線的に移動するカード2の幅方向(短手幅方向)である。
【0026】
以下の説明では、X方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向とする。また、カードリーダ1へのカード2の挿入方向側であるX1方向側を「奥」側または「後ろ」側とし、その反対側であるX2方向側を「手前」側または「前」側とする。また、以下の説明では、上下方向の一方側である
図1等のZ1方向側を「上」側とし、その反対側である
図1等のZ2方向側を「下」側とする。本形態の下側(Z2方向側)は、カード移動路3を直線的に移動するカード2の厚さ方向の一方側である第1方向側となっている。
【0027】
本体フレーム4は、上下方向に分割される上フレーム9と下フレーム10とによって構成されている。上フレーム9および下フレーム10は、樹脂で形成されている。上フレーム9は、本体フレーム4の上側部分を構成し、下フレーム10は、本体フレーム4の下側部分を構成している。カード移動路3は、上フレーム9と下フレーム10との間に形成されている。上フレーム9には、IC接点ブロック8の一部が配置される開口部が形成されている。この開口部は、上フレーム9を上下方向で貫通しており、カード移動路3に通じている。ベゼル6は、本体フレーム4の前端に固定されている。
【0028】
IC接点ブロック8は、IC接点バネ7がカード2の外部接続端子2aに接触可能な接触位置8A(
図4(B)参照)と、IC接点バネ7が外部接続端子2aに接触しない位置まで退避する退避位置8B(
図4(A)参照)との間で本体フレーム4に対して移動可能となっている。以下、IC接点ブロック8およびIC接点ブロック8の周辺部分の構成について説明する。
【0029】
(IC接点ブロックおよびIC接点ブロックの周辺部分の構成)
図5(A)は、
図3のE-E断面の断面図であり、
図5(B)は、
図5(A)に示すカード当接部材15の取付手順を説明するための断面図である。
【0030】
IC接点ブロック8は、複数のIC接点バネ7を保持するブロック本体14と、カードリーダ1に挿入されたカード2の奥側の端面(奥端面)が当接するカード当接面15aが形成される複数のカード当接部材15とを備えている。本形態のIC接点ブロック8は、2個のカード当接部材15を備えている。カード当接部材15は、ブロック本体14と別体で形成されており、ブロック本体14に取り付けられている。また、IC接点ブロック8は、接触位置8Aと退避位置8Bとの間でIC接点ブロック8を案内するための複数本のカムピン16、17を備えている。本形態のIC接点ブロック8は、2本のカムピン16、17を備えている。
【0031】
カムピン16、17は、ブロック本体14と別体で形成されている。カムピン16、17は、細長い円柱状に形成されている。カムピン16、17は、カムピン16、17の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。また、カムピン16とカムピン17とは、前後方向において間隔をあけた状態で配置されている。本形態では、カムピン16がカムピン17よりも後ろ側に配置されている。
【0032】
ブロック本体14は、樹脂で形成されている。また、ブロック本体14は、扁平な略直方体のブロック状に形成されている。ブロック本体14は、上述のように複数のIC接点バネ7を保持している。IC接点バネ7の上端側部分には、図示を省略するフレキシブルプリント基板が接続されている。ブロック本体14は、IC接点バネ7がカード移動路3に上側から臨むように配置されている。
【0033】
ブロック本体14は、カード当接部材15を保持する保持部14aを備えている。保持部14aは、ブロック本体14の後端部を構成している。本形態のブロック本体14は、左右方向において間隔をあけた状態で配置される2個の保持部14aを備えている。左右方向から見たときの保持部14aの形状は、L形状となっており、保持部14aの後端側は、下側に向かって突出する突出部14bとなっている。突出部14bの前面は、前後方向に直交する平面となっている。突出部14bの下面は、上下方向に直交する平面となっている。
【0034】
保持部14aには、カード当接部材15の少なくとも一部が配置される配置穴14cが形成されている。すなわち、ブロック本体14には、2個の配置穴14cが形成されている。配置穴14cは、上下方向で保持部14aを貫通する貫通穴である。配置穴14cの左右方向の側面は、左右方向に直交する平面となっている。配置穴14cの前面は、突出部14bの前面よりも前側に配置されている。配置穴14cの前面は、前後方向に直交する平面となっている。配置穴14cの後面は、突出部14bの前面よりも後ろ側に配置されている。
【0035】
保持部14aの、配置穴14cの後ろ側部分(奥側部分)は、ブロック本体14に対するカード当接部材15の移動を規制するためのブロック本体側規制部14dとなっている(
図5(B)参照)。すなわち、ブロック本体14は、ブロック本体側規制部14d(以下、「規制部14d」とする。)を備えている。左右方向から見たときの規制部14dの断面形状は、上下方向を長辺の方向とする長方形状となっている。
【0036】
規制部14dの上面および下面は、上下方向に直交する平面となっている。規制部14dの上面は、保持部14aの上面よりも下側に配置され、規制部14dの下面は、保持部14aの下面(具体的には、突出部14bの下面)よりも上側に配置されている。規制部14dの前面14eは、前後方向に直交する平面となっている。規制部14dの前面14eは、配置穴14cの後面となっている。すなわち、前後方向における規制部14dの一方の側面である前面14eは、配置穴14cの前後方向の一方の側面となっている。本形態の前面14eは、規制部側面となっている。
【0037】
ブロック本体14には、カムピン16が挿通される挿通穴14fが形成されている。挿通穴14fは、左右方向でブロック本体14を貫通する丸穴である。挿通穴14fの前端は、配置穴14cの前面よりも前側に配置され、挿通穴14fの後端は、配置穴14cの前面よりも後ろ側に配置されている。また、挿通穴14fの上端は、規制部14dの上面よりも上側に配置され、挿通穴14fの下端は、規制部14dの上面よりも下側に配置されている。挿通穴14fに挿通されるカムピン16の左右方向の両端は、ブロック本体14よりも左右方向の外側に配置されている。挿通穴14fの内径は、カムピン16の外径とほぼ等しくなっている。
【0038】
同様に、ブロック本体14には、カムピン17が挿通される挿通穴が形成されている。この挿通穴は、左右方向でブロック本体14を貫通する丸穴である。この挿通穴に挿通されるカムピン17の左右方向の両端は、ブロック本体14よりも左右方向の外側に配置されている。この挿通穴の内径は、カムピン17の外径とほぼ等しくなっている。
【0039】
カード当接部材15は、ブロック状に形成されている。また、カード当接部材15は、樹脂よりも硬い材料で形成されている。具体的には、カード当接部材15は、金属またはセラミックで形成されている。カード当接部材15の左右方向の側面は、左右方向に直交する平面となっている。カード当接部材15の上面および下面は、上下方向に直交する平面となっている。カード当接部材15は、上下方向においてブロック本体14に対するカード当接部材15の移動を規制するための2個の規制用突起15bと、2個の規制用突起15bの基端が繋がる本体部15cとを備えている。本形態のカード当接部材15は、2個の規制用突起15bと1個の本体部15cとによって構成されている。
【0040】
本体部15cの後面(奥面)は、前後方向に直交する平面になっている。本体部15cは、本体部15cの上側部分を構成する本体上部15dと、本体部15cの下側部分を構成する本体下部15eとによって構成されている。本体上部15dの前後方向の幅は、本体下部15eの前後方向の幅よりも広くなっている。本体上部15dの前面および本体下部15eの前面は、前後方向に直交する平面となっている。本体上部15dの前面は、本体下部15eの前面よりも前側に配置されている。本体下部15eの前面は、カード当接面15aとなっている。カード当接面15aの一部は、カード移動路3の中に配置されている。
【0041】
2個の規制用突起15bは、本体部15cから奥側に向かって突出している。また、2個の規制用突起15bは、上下方向に間隔をあけた状態で配置されている。一方の規制用突起15bは、本体部15cの上端部から奥側に向かって突出し、他方の規制用突起15bは、本体部15cの下端部から奥側に向かって突出している。規制用突起15bの上面および下面は、上下方向に直交する平面となっている。規制用突起15bの後面は、前後方向に直交する平面となっている。
【0042】
上述のように、カード当接部材15の少なくとも一部は、配置穴14cに配置されており、2個のカード当接部材15が左右方向において間隔をあけた状態でブロック本体14に取り付けられている。カード当接部材15がブロック本体14に取り付けられた状態では、
図5(A)に示すように、上下方向において2個の規制用突起15bの間に規制部14dが配置されており、規制部14dは、規制用突起15bに接触している。具体的には、上側に配置される規制用突起15bの下面が規制部14dの上面の前側部分に接触し、下側に配置される規制用突起15bの上面が規制部14dの下面の前側部分に接触している。
【0043】
また、カード当接部材15がブロック本体14に取り付けられた状態では、本体部15cの後面(奥側の面)は、規制部14dの前面14eに接触し、本体部15cの前面(手前側の面)は、カムピン16に接触している。具体的には、本体上部15dの前面がカムピン16に接触している。本形態のカムピン16は、前後方向においてブロック本体14に対するカード当接部材15の移動を規制するための規制ピンとなっている。すなわち、本形態では、2本のカムピン16、17のうちの一方のカムピン16が規制ピンとなっている。カムピン16は、ブロック本体14からのカード当接部材15の外れを防止する機能を果たしている。
【0044】
また、カード当接部材15がブロック本体14に取り付けられた状態では、カード当接部材15の左右方向の側面は、配置穴14cの左右方向の側面と軽く接触しているか、わずかな隙間をあけて対向している。また、この状態では、カード当接面15aは、突出部14bの前面よりもわずかに前側に配置されている。また、カード当接部材15の上面は、保持部14aの上面よりも下側に配置され、カード当接部材15の下面は、上下方向において突出部14bの下面とほぼ同じ位置に配置されている。
【0045】
配置穴14cの前後方向の幅W1(
図5(B)参照)は、カード当接部材15の前後方向の幅W2(
図5(B)参照)よりも広くなっている。ブロック本体14にカード当接部材15を取り付けるときには、カムピン16が取り付けられていないブロック本体14の下側からカード当接部材15を配置穴14cに挿入した後、カード当接部材15を後ろ側に移動させる(
図5(B)の矢印参照)。その後、挿通穴14fにカムピン16を挿入して、カード当接部材15を固定する。ブロック本体14からカード当接部材15を取り外すときには、カムピン16を抜いてから、カード当接部材15を前側に移動させた後、下側に移動させる。
【0046】
上フレーム9には、接触位置8Aと退避位置8Bとの間でIC接点ブロック8を案内するためのカム溝9a、9bが形成されている(
図4参照)。カム溝9a、9bは、左右方向においてブロック本体14の外側に配置されている。カム溝9aには、ブロック本体14よりも左右方向の外側に突出するカムピン16の端部が係合している。カム溝9bには、ブロック本体14よりも左右方向の外側に突出するカムピン17の端部が係合している。
【0047】
IC接点ブロック8は、図示を省略する引張りコイルバネ等のバネ部材によって退避位置8Bに向かって付勢されている。退避位置8Bに配置されるIC接点ブロック8は、接触位置8Aに配置されるIC接点ブロック8よりも手前上側に配置されている。カードリーダ1にカード2が挿入されていないときには、IC接点ブロック8は、バネ部材の付勢力によって退避位置8Bに配置されている。カードリーダ1にカード2が挿入されると、奥側に向かってカード移動路3を移動するカード2の奥端面がカード当接面15aに当接する。
【0048】
カード当接面15aに当接するカード2によってカード当接部材15が奥側に向かって押されると、IC接点ブロック8は、退避位置8Bから接触位置8Aに移動する。退避位置8Bから接触位置8Aに移動するIC接点ブロック8は、奥側に向かって移動するにしたがって下側に向かって移動する。そのため、IC接点ブロック8が退避位置8Bから接触位置8Aに向かって移動するときには、カード2の奥端面がカード当接面15aに所定の接触圧で接触した状態でカード2がカード当接面15aに対して上下方向に相対的に移動する。
【0049】
IC接点ブロック8が接触位置8Aに到達すると、カード2の外部接続端子2aにIC接点バネ7が所定の接触圧で接触して、カード2に記録されたデータの読取りやカード2へのデータの記録が行われる。また、カードリーダ1に挿入されたカード2が引き抜かれると、接触位置8AにあるIC接点ブロック8がバネ部材の付勢力によって退避位置8Bに移動する。
【0050】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、カード当接部材15は、樹脂よりも硬い金属またはセラミックで形成されている。そのため、本形態では、IC接点ブロック8が退避位置8Bから接触位置8Aに向かって移動するときに、金属製のカード2の奥端面がカード当接面15aに所定の接触圧で接触した状態でカード2がカード当接面15aに対して上下方向に相対的に移動しても、カード当接面15aの傷や摩耗の発生を抑制することが可能になる。したがって、本形態のカードリーダ1では、金属製のカード2の処理が行われても、カード当接面15aの傷や摩耗の発生を抑制することが可能になる。
【0051】
本形態では、上下方向においてカード当接部材15の2個の規制用突起15bの間にブロック本体14の規制部14dが配置されており、上側に配置される規制用突起15bの下面が規制部14dの上面に接触し、下側に配置される規制用突起15bの上面が規制部14dの下面に接触している。また、本形態では、カード当接部材15の本体部15cの後面は、規制部14dの前面14eに接触し、本体部15cの前面は、カムピン16に接触している。そのため、本形態では、接着や圧入によってカード当接部材15がブロック本体14に取り付けられている場合と比較して、カード当接部材15をブロック本体14に確実に取り付けることが可能になる。したがって、本形態では、カード当接面15aにカード2の奥端面が繰り返し当接しても、また、カード当接面15aに対して上下方向にカード2が繰り返し相対的に移動しても、ブロック本体14からカード当接部材15が外れにくくなる。
【0052】
本形態では、ブロック本体14の配置穴14cの前後方向の幅W1がカード当接部材15の前後方向の幅W2よりも広くなっており、ブロック本体14の挿通穴14fからカムピン16を取り外せば、配置穴14cを利用して、ブロック本体14に対してカード当接部材15を着脱することが可能になっている。そのため、本形態では、カード当接部材15の取付作業や交換作業を容易に行うことが可能になる。
【0053】
本形態では、カム溝9aに係合して接触位置8Aと退避位置8Bとの間でIC接点ブロック8を案内するためカムピン16によって、ブロック本体14に対するカード当接部材15の前後方向の移動が規制されている。そのため、本形態では、ブロック本体14に対するカード当接部材15の前後方向の移動を規制するためのピンが別途設けられている場合と比較して、カードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。また、本形態では、2個のカード当接部材15が左右方向において間隔をあけた状態でブロック本体14に取り付けられているため、カード当接面15aに当接するカード2の状態を安定させることが可能になる。
【0054】
(IC接点ブロックおよびIC接点ブロックの周辺部分の変更例)
図6は、本発明の他の実施の形態にかかるIC接点ブロック8の構成を説明するための側面図である。
図7は、
図6に示すIC接点ブロック8の構成を説明するための断面図である。なお、
図6、
図7では、上述した形態と同様の構成には同一の符号を付している。
【0055】
上述した形態では、カム溝9a、9bとカムピン16、17とによって接触位置8Aと退避位置8Bとの間でIC接点ブロック8が案内されているが、
図6に示すように、平行リンク機構21によって接触位置8Aと退避位置8Bとの間でIC接点ブロック8が案内されても良い。この変更例では、カードリーダ1は、上フレーム9に取り付けられる2本の固定側ピン22と、左右方向を回動の軸方向としてかつ固定側ピン22を回動中心にして回動可能な2個のリンク部材23とを備えている。
【0056】
2本の固定側ピン22は、前後方向において間隔をあけた状態で配置され、2個のリンク部材23は、前後方向において間隔をあけた状態で配置されている。固定側ピン22は、たとえば、上フレーム9に回動可能に保持されている。リンク部材23は、たとえば、固定側ピン22に回動可能に保持されている。IC接点ブロック8は、リンク部材23に回動可能に保持される2本のリンクピン26、27を備えている。リンクピン26は、リンクピン27よりも後ろ側に配置されている。平行リンク機構21は、2本の固定側ピン22と2個のリンク部材23と2本のリンクピン26、27とによって構成されている。
【0057】
ブロック本体14には、リンクピン26が挿通される挿通穴14gが形成されている。挿通穴14gに挿通されるリンクピン26の左右方向の両端は、ブロック本体14よりも左右方向の外側に配置されており、ブロック本体14よりも左右方向の外側に突出するリンクピン26の端部がリンク部材23に回動可能に保持されている。リンクピン26は、たとえば、ブロック本体14に対して回動可能となっている。
【0058】
同様に、ブロック本体14には、リンクピン27が挿通される挿通穴が形成されている。この挿通穴に挿通されるリンクピン27の左右方向の両端は、ブロック本体14よりも左右方向の外側に配置されており、ブロック本体14よりも左右方向の外側に突出するリンクピン27の端部がリンク部材23に回動可能に保持されている。リンクピン27は、たとえば、ブロック本体14に対して回動可能となっている。
【0059】
図7に示すように、カード当接部材15がブロック本体14に取り付けられた状態では、本体部15cの前面(具体的には、本体上部15dの前面)がリンクピン26に接触している。この変更例では、リンクピン26は、前後方向においてブロック本体14に対するカード当接部材15の移動を規制するための規制ピンとなっている。すなわち、この変更例では、2本のリンクピン26、27のうちの一方のリンクピン26が規制ピンとなっている。
【0060】
この変更例では、平行リンク機構21を構成するリンクピン26によって、ブロック本体14に対するカード当接部材15の前後方向の移動が規制されているため、ブロック本体14に対するカード当接部材15の前後方向の移動を規制するためのピンが別途設けられている場合と比較して、カードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。また、この変更例においても上述した形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0062】
上述した形態において、2個の規制用突起15bは、本体部15cから手前側に向かって突出していても良い。この場合には、保持部14aの、配置穴14cの手前側の部分がブロック本体14に対するカード当接部材15の移動を規制するためのブロック本体側規制部となっており、本体部15cの手前側の面が、規制部側面であるブロック本体側規制部の奥側の面に接触している。また、この場合には、カード当接部材15よりも奥側にカムピン16が配置されており、本体部15cの奥側の面がカムピン16に接触している。
【0063】
上述した形態において、IC接点ブロック8は、カムピン16に加えて、前後方向においてブロック本体14に対するカード当接部材15の移動を規制するための規制ピンを備えていても良い。この場合には、本体部15cの手前側の面は、カムピン16には接触せずに規制ピンに接触している。また、この場合には、カムピン16は、ブロック本体14と一体で形成されていても良い。
【0064】
また、
図6、
図7に示す変更例において、IC接点ブロック8は、リンクピン26に加えて、前後方向においてブロック本体14に対するカード当接部材15の移動を規制するための規制ピンを備えていても良い。この場合には、本体部15cの手前側の面は、リンクピン26には接触せずに規制ピンに接触している。また、この場合には、リンクピン26は、ブロック本体14と一体で形成されていても良い。
【0065】
上述した形態において、IC接点ブロック8が有するカード当接部材15の数は、3個以上であっても良いし、1個であっても良い。また、上述した形態において、IC接点ブロック8は、3本以上のカムピンを備えていても良い。さらに、上述した形態において、カムピン16、17は、ブロック本体14に固定されていても良い。また、
図6、
図7に示す変更例において、リンクピン26、27は、ブロック本体14に固定されていても良い。また、リンクピン26、27は、リンク部材23に固定されていても良い。
【0066】
上述した形態において、カード当接部材15は、接着や圧入によってブロック本体14に取り付けられていても良い。また、カード当接部材15は、ネジによってブロック本体14に取り付けられていても良い。この場合には、前後方向においてブロック本体14に対するカード当接部材15の移動を規制するための規制ピンが不要になる。また、この場合には、ブロック本体14に配置穴14cや規制部14dが形成されていなくても良いし、カード当接部材15に規制用突起15bが形成されていなくても良い。
【0067】
上述した形態では、カードリーダ1は手動式のカードリーダであるが、カードリーダ1は、カード2を自動で搬送するカード搬送機構を有するカード搬送式のカードリーダであっても良い。この場合には、カード移動路3に相当するカード搬送路がカードリーダ1の内部に形成されている。なお、厚さが0.18~0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等がカードリーダ1で処理されても良い。
【0068】
(本技術の構成)
なお、本技術は以下のような構成を取ることが可能である。
(1)カードに形成されるICチップの外部接続端子に接触する複数のIC接点バネと、複数の前記IC接点バネを保持するIC接点ブロックと、前記カードが移動するカード移動路が形成される本体フレームとを備え、
前記カード移動路を直線的に移動する前記カードの移動方向の一方側を奥側とし、奥側の反対側を手前側とし、前記カード移動路を直線的に移動する前記カードの厚さ方向の一方側を第1方向側とすると、
前記IC接点ブロックは、複数の前記IC接点バネを保持する樹脂製のブロック本体と、前記カードの奥側の端面が当接するカード当接面が形成されるとともに前記ブロック本体と別体で形成され前記ブロック本体に取り付けられるカード当接部材とを備え、前記IC接点バネが前記外部接続端子に接触可能な接触位置と前記IC接点バネが前記外部接続端子に接触しない位置まで退避する退避位置との間で前記本体フレームに対して移動可能となっており、
前記カード当接面に当接する前記カードによって前記カード当接部材が奥側に向かって押されると、前記IC接点ブロックは、前記退避位置から前記接触位置に向かって移動し、
前記退避位置から前記接触位置に向かって移動する前記IC接点ブロックは、奥側に向かって移動するにしたがって第1方向側に向かって移動し、
前記カード当接部材は、樹脂よりも硬い材料で形成されていることを特徴とするカードリーダ。
(2)前記カード当接部材は、金属またはセラミックで形成されていることを特徴とする(1)記載のカードリーダ。
(3)前記カード当接部材は、前記カードの厚さ方向において前記ブロック本体に対する前記カード当接部材の移動を規制するための2個の規制用突起と、2個の前記規制用突起の基端が繋がる本体部とを備え、
2個の前記規制用突起は、前記本体部から奥側または手前側に向かって突出するとともに前記カードの厚さ方向において間隔をあけた状態で配置され、
前記ブロック本体は、前記カードの厚さ方向において2個の前記規制用突起の間に配置されるとともに前記規制用突起が接触するブロック本体側規制部を備え、
前記IC接点ブロックは、前記カードの移動方向において前記ブロック本体に対する前記カード当接部材の移動を規制するための規制ピンを備え、
前記ブロック本体には、前記カード当接部材の少なくとも一部が配置される配置穴と、前記規制ピンが挿通される挿通穴とが形成され、
前記カードの移動方向における前記ブロック本体側規制部の側面である規制部側面は、前記カードの移動方向における前記配置穴の一方の側面となっており、
前記カードの移動方向における前記配置穴の幅は、前記カードの移動方向における前記カード当接部材の幅よりも広くなっており、
前記規制用突起が奥側に向かって突出している場合には、前記本体部の奥側の面が前記規制部側面に接触するとともに、前記本体部の手前側の面が前記規制ピンに接触し、
前記規制用突起が手前側に向かって突出している場合には、前記本体部の手前側の面が前記規制部側面に接触するとともに、前記本体部の奥側の面が前記規制ピンに接触していることを特徴とする(1)または(2)記載のカードリーダ。
(4)前記本体フレームには、前記接触位置と前記退避位置との間で前記IC接点ブロックを案内するためのカム溝が形成され、
前記IC接点ブロックは、前記カム溝に係合して前記接触位置と前記退避位置との間で前記IC接点ブロックを案内する複数本のカムピンを備え、
複数本の前記カムピンのうちの1本の前記カムピンが前記規制ピンとなっていることを特徴とする(3)記載のカードリーダ。
(5)前記カードの移動方向と前記カードの厚さ方向とに直交する方向を前記カードの幅方向とすると、
前記本体フレームに取り付けられる2本の固定側ピンと、前記カードの幅方向を回動の軸方向としてかつ前記固定側ピンを回動中心にして回動可能な2個のリンク部材とを備え、
2本の前記固定側ピンは、前記カードの搬送方向において間隔をあけた状態で配置され、
2個の前記リンク部材は、前記カードの搬送方向において間隔をあけた状態で配置され、
前記IC接点ブロックは、前記リンク部材に回動可能に保持されるかまたは固定される2本のリンクピンを備え、
2本の前記固定側ピンと2個の前記リンク部材と2本の前記リンクピンとによって前記接触位置と前記退避位置との間で前記IC接点ブロックを案内する平行リンク機構が構成され、
2本の前記リンクピンのうちの1本の前記リンクピンが前記規制ピンとなっていることを特徴とする(3)記載のカードリーダ。
(6)前記カードの移動方向と前記カードの厚さ方向とに直交する方向を前記カードの幅方向とすると、
複数の前記カード当接部材が前記カードの幅方向において間隔をあけた状態で前記ブロック本体に取り付けられていることを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載のカードリーダ。
【符号の説明】
【0069】
1 カードリーダ
2 カード
2a 外部接続端子
3 カード移動路
4 本体フレーム
7 IC接点バネ
8 IC接点ブロック
8A 接触位置
8B 退避位置
9a、9b カム溝
14 ブロック本体
14c 配置穴
14d 規制部(ブロック本体側規制部)
14e 前面(規制部側面)
14f、14g 挿通穴
15 カード当接部材
15a カード当接面
15b 規制用突起
15c 本体部
16 カムピン(規制ピン)
17 カムピン
21 平行リンク機構
22 固定側ピン
23 リンク部材
26 リンクピン(規制ピン)
27 リンクピン
W1 カードの移動方向における配置穴の幅
W2 カードの移動方向におけるカード当接部材の幅
X カードの移動方向
X1 奥側
X2 手前側
Y カードの幅方向
Z カードの厚さ方向
Z2 第1方向側