(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147135
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 18/02 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B25J18/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059952
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】改野 重幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏之
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707CT04
3C707CU03
3C707CY18
3C707HS27
3C707HT02
3C707HT20
3C707NS13
(57)【要約】
【課題】第1可動カバーおよび第2可動カバーに切欠き等を形成しなくても、第1可動フレームおよび第2可動フレームが下降しているときに、第1可動カバーおよび第2可動カバーと産業用ロボットの他の構成部品との干渉を防止することが可能であるとともに、産業用ロボットの側面を固定して設置することも可能な産業用ロボットを提供する。
【解決手段】産業用ロボット1では、昇降機構22と第1可動フレーム13とを連結する第1スライダ25は第1可動フレーム13の下端部に繋がり、第1動力伝達機構23と第2可動フレーム14とを連結する第2スライダ26は第2可動フレーム14の下端部に繋がっている。上下方向から見たときに、昇降機構22は、第1可動カバー17の外周面より外周側に配置され、第1動力伝達機構23は、第1可動カバー17の外周面より内周側であって、かつ、第2可動カバー18の外周面より外周側に配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドと、前記ハンドが連結されるアームと、前記アームが連結される本体部とを備え、
前記本体部は、固定フレームと、前記固定フレームに対して昇降可能な第1可動フレームと、前記第1可動フレームに対して昇降可能な第2可動フレームと、前記固定フレームに固定されるとともに前記固定フレームを覆う固定カバーと、前記第1可動フレームに固定されるとともに前記第1可動フレームを覆う第1可動カバーと、前記第2可動フレームに固定されるとともに前記第2可動フレームを覆う第2可動カバーと、前記固定フレームに対して前記第1可動フレームを昇降させるための昇降機構と、前記昇降機構の動力で昇降する前記第1可動フレームと連動するように前記第1可動フレームに対して前記第2可動フレームを昇降させるための第1動力伝達機構と、前記昇降機構と前記第1可動フレームとを連結する第1スライダと、前記第1動力伝達機構と前記第2可動フレームとを連結する第2スライダとを備え、
前記第1動力伝達機構は、前記第1可動フレームの上端部と下端部とに取り付けられる2個の第1プーリと、2個の前記第1プーリに架け渡される環状の第1ベルトと、前記第1ベルトの一部が固定される柱状の第1柱状部材とを備え、
前記第1可動フレームの下端部は、前記第1可動カバーの下端よりも下側に配置され、
前記第2可動フレームの下端部は、前記第2可動カバーの下端よりも下側に配置され、
前記第1スライダは、前記第1可動カバーの下端よりも下側に配置される前記第1可動フレームの下端部に繋がり、
前記第2スライダは、前記第2可動カバーの下端よりも下側に配置される前記第2可動フレームの下端部に繋がり、
前記第1柱状部材の下端部は、前記固定フレームの下端部に固定され、
前記第1柱状部材の上端部には、前記固定フレームに対して前記第1可動フレームが下降し、かつ、前記第1可動フレームに対して前記第2可動フレームが下降しているときの前記第1ベルトの上側部分が固定され、
前記第2スライダには、前記固定フレームに対して前記第1可動フレームが下降し、かつ、前記第1可動フレームに対して前記第2可動フレームが下降しているときの前記第1ベルトの下側部分が固定され、
上下方向から見たときに、前記第1可動カバーは、前記固定カバーの外周面より内周側に配置され、前記第2可動カバーは、前記第1可動カバーの外周面より内周側に配置され、前記昇降機構は、前記固定カバーの外周面より内周側であって、かつ、前記第1可動カバーの外周面より外周側に配置されるとともに、2個の前記第1プーリと前記第1ベルトと前記第1柱状部材とは、前記第1可動カバーの外周面より内周側であって、かつ、前記第2可動カバーの外周面より外周側に配置されていることを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記本体部は、前記第2可動フレームに対して昇降可能な第3可動フレームと、前記第3可動フレームに固定されるとともに前記第3可動フレームを覆う第3可動カバーと、昇降する前記第2可動フレームと連動するように前記第2可動フレームに対して前記第3可動フレームを昇降させるための第2動力伝達機構と、前記第2動力伝達機構と前記第3可動フレームとを連結する第3スライダとを備え、
前記第2動力伝達機構は、前記第2可動フレームの上端部と下端部とに取り付けられる2個の第2プーリと、2個の前記第2プーリに架け渡される環状の第2ベルトと、前記第2ベルトの一部が固定される柱状の第2柱状部材とを備え、
前記第3可動フレームの下端部は、前記第3可動カバーの下端よりも下側に配置され、
前記第3スライダは、前記第3可動カバーの下端よりも下側に配置される前記第3可動フレームの下端部に繋がり、
前記第2柱状部材の下端部は、前記第1可動フレームの下端部に固定され、
前記第2柱状部材の上端部には、前記固定フレームに対して前記第1可動フレームが下降し、かつ、前記第1可動フレームに対して前記第2可動フレームが下降しているとともに、前記第2可動フレームに対して前記第3可動フレームが下降しているときの前記第2ベルトの上側部分が固定され、
前記第3スライダには、前記固定フレームに対して前記第1可動フレームが下降し、かつ、前記第1可動フレームに対して前記第2可動フレームが下降しているとともに、前記第2可動フレームに対して前記第3可動フレームが下降しているときの前記第2ベルトの下側部分が固定され、
上下方向から見たときに、前記第3可動カバーは、前記第2可動カバーの外周面より内周側に配置されるとともに、2個の前記第2プーリと前記第2ベルトと前記第2柱状部材とは、前記第2可動カバーの外周面より内周側であって、かつ、前記第3可動カバーの外周面より外周側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記固定フレームに対して前記第1可動フレームが下降し、かつ、前記第1可動フレームに対して前記第2可動フレームが下降しているとともに、前記第2可動フレームに対して前記第3可動フレームが下降しているときに、前記昇降機構と前記第1動力伝達機構と前記第2動力伝達機構とは、上下方向に直交する所定の方向である第1方向においてこの順番で配列され、
上下方向と前記第1方向とに直交する方向を第2方向とすると、
上下方向から見たときに、前記第1柱状部材は、前記第2方向における前記第2可動フレームの一方側に配置され、前記第2柱状部材は、前記第2方向における前記第2可動フレームの他方側に配置されていることを特徴とする請求項2記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記第3可動フレームの上端部に前記アームが連結されていることを特徴とする請求項2または3記載の産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、搬送対象物を搬送するための産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ等のワークを搬送する産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、たとえば、4段のフレームが望遠鏡の鏡筒のように伸縮可能なテレスコピック型の構造を有しており、4段のフレームが上下方向に伸縮する。この産業用ロボットでは、1段目のフレームである第1フレームに対して2段目のフレームである第2フレームが昇降可能となっている。また、第2フレームに対して3段目のフレームである第3フレームが昇降可能となっており、第3フレームに対して4段目のフレームである第4フレームが昇降可能になっている。
【0003】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、第1フレームにボールねじのねじ軸が取り付けられ、第2フレームにボールねじのナット部が取り付けられている。第2フレームには、2個のプーリが取り付けされている。2個のプーリには、ベルトが架け渡されており、ベルトは、第1フレームと第3フレームとに接合されている。第3フレームには、2個のプーリが取り付けされている。2個のプーリには、ベルトが架け渡されており、ベルトは、第2フレームと第4フレームとに接合されている。そのため、この産業用ロボットでは、ボールねじのねじ軸の回転に伴って昇降する第2フレームに連動して第3フレームおよび第4フレームが昇降する。
【0004】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、第2フレーム、第3フレームおよび第4フレームが上昇して4段のフレームが伸びているときには、第1フレームの側面は、第1側面カバーで覆われ、第2フレームの側面は、第2側面カバーで覆われ、第3フレームの側面は、第3側面カバーで覆われ、第4フレームの上面および側面は、端面カバーで覆われている。第1側面カバーは、第1フレームに固定され、第2側面カバーは、第2フレームに固定され、第3側面カバーは、第3フレームに固定され、端面カバーは、第4フレームに固定されている。
【0005】
また、特許文献1に記載の産業用ロボットでは、第1側面カバーの外形、第2側面カバーの外形、第3側面カバーの外形および端面カバーの外形は、この順番で次第に大きくなっている。第2フレーム、第3フレームおよび第4フレームが下降して4段のフレームが縮んでいるときには、第2側面カバーの内周側に第1側面カバーが配置され、第3側面カバーの内周側に第2側面カバーと第1側面カバーとが配置され、端面カバーの内周側に第3側面カバーと第2側面カバーと第1側面カバーとが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、第1側面カバーの外形、第2側面カバーの外形、第3側面カバーの外形および端面カバーの外形がこの順番で次第に大きくなっており、第2フレーム、第3フレームおよび第4フレームが下降して4段のフレームが縮んでいるときに、第2側面カバーの内周側に第1側面カバーが配置され、第3側面カバーの内周側に第2側面カバーと第1側面カバーとが配置され、端面カバーの内周側に第3側面カバーと第2側面カバーと第1側面カバーとが配置されている。そのため、特許文献1に記載の産業用ロボットでは、第2側面カバー、第3側面カバーおよび端面カバーに切欠き等を形成しなくても、4段のフレームが縮んでいるときに、第2側面カバー、第3側面カバーおよび端面カバーと、産業用ロボットの他の構成部品との干渉を防止することが可能になっている。
【0008】
一方で、特許文献1に記載の産業用ロボットでは、第2フレーム、第3フレームおよび第4フレームが下降して4段のフレームが縮んでいるときに、第4フレームと一緒に昇降する端面カバーの内周側に第3側面カバーと第2側面カバーと第1側面カバーとが配置されているため、産業用ロボットが設置される各種の製造装置等において、産業ロボットの底面を固定して産業用ロボットを設置することはできるが、産業ロボットの側面を固定して産業用ロボットを設置することができない。したがって、特許文献1に記載の産業用ロボットの場合、産業用ロボットを設置できる場所が限定される。
【0009】
そこで、本発明の課題は、固定フレームと、固定フレームに対して昇降可能な第1可動フレームと、第1可動フレームの昇降に連動して第1可動フレームに対して昇降可能な第2可動フレームと、固定フレームを覆う固定カバーと、第1可動フレームを覆う第1可動カバーと、第2可動フレームを覆う第2可動カバーとを備える産業用ロボットにおいて、第1可動カバーおよび第2可動カバーに切欠き等を形成しなくても、第1可動フレームおよび第2可動フレームが下降しているときに、第1可動カバーおよび第2可動カバーと産業用ロボットの他の構成部品との干渉を防止することが可能であるとともに、産業用ロボットの側面を固定して設置することも可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、ハンドと、ハンドが連結されるアームと、アームが連結される本体部とを備え、本体部は、固定フレームと、固定フレームに対して昇降可能な第1可動フレームと、第1可動フレームに対して昇降可能な第2可動フレームと、固定フレームに固定されるとともに固定フレームを覆う固定カバーと、第1可動フレームに固定されるとともに第1可動フレームを覆う第1可動カバーと、第2可動フレームに固定されるとともに第2可動フレームを覆う第2可動カバーと、固定フレームに対して第1可動フレームを昇降させるための昇降機構と、昇降機構の動力で昇降する第1可動フレームと連動するように第1可動フレームに対して第2可動フレームを昇降させるための第1動力伝達機構と、昇降機構と第1可動フレームとを連結する第1スライダと、第1動力伝達機構と第2可動フレームとを連結する第2スライダとを備え、第1動力伝達機構は、第1可動フレームの上端部と下端部とに取り付けられる2個の第1プーリと、2個の第1プーリに架け渡される環状の第1ベルトと、第1ベルトの一部が固定される柱状の第1柱状部材とを備え、第1可動フレームの下端部は、第1可動カバーの下端よりも下側に配置され、第2可動フレームの下端部は、第2可動カバーの下端よりも下側に配置され、第1スライダは、第1可動カバーの下端よりも下側に配置される第1可動フレームの下端部に繋がり、第2スライダは、第2可動カバーの下端よりも下側に配置される第2可動フレームの下端部に繋がり、第1柱状部材の下端部は、固定フレームの下端部に固定され、第1柱状部材の上端部には、固定フレームに対して第1可動フレームが下降し、かつ、第1可動フレームに対して第2可動フレームが下降しているときの第1ベルトの上側部分が固定され、第2スライダには、固定フレームに対して第1可動フレームが下降し、かつ、第1可動フレームに対して第2可動フレームが下降しているときの第1ベルトの下側部分が固定され、上下方向から見たときに、第1可動カバーは、固定カバーの外周面より内周側に配置され、第2可動カバーは、第1可動カバーの外周面より内周側に配置され、昇降機構は、固定カバーの外周面より内周側であって、かつ、第1可動カバーの外周面より外周側に配置されるとともに、2個の第1プーリと第1ベルトと第1柱状部材とは、第1可動カバーの外周面より内周側であって、かつ、第2可動カバーの外周面より外周側に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の産業用ロボットでは、固定フレームに対して第1可動フレームを昇降させるための昇降機構と第1可動フレームとを連結する第1スライダは、第1可動カバーの下端よりも下側に配置される第1可動フレームの下端部に繋がり、第1可動フレームと連動するように第1可動フレームに対して第2可動フレームを昇降させるための第1動力伝達機構と第2可動フレームとを連結する第2スライダは、第2可動カバーの下端よりも下側に配置される第2可動フレームの下端部に繋がっている。
【0012】
また、本発明では、第1動力伝達機構は、第1可動フレームの上端部と下端部とに取り付けられる2個の第1プーリと、2個の第1プーリに架け渡される環状の第1ベルトと、第1ベルトの一部が固定される柱状の第1柱状部材とを備えており、第1ベルトは、第2スライダに固定されている。さらに、本発明では、上下方向から見たときに、昇降機構は、固定カバーの外周面より内周側であって、かつ、第1可動カバーの外周面より外周側に配置され、2個の第1プーリと第1ベルトと第1柱状部材とは、第1可動カバーの外周面より内周側であって、かつ、第2可動カバーの外周面より外周側に配置されている。
【0013】
そのため、本発明では、第1可動カバーおよび第2可動カバーに切欠き等を形成しなくても、第1可動フレームおよび第2可動フレームが下降しているときに、固定カバーの外周面より内周側に配置される第1可動カバーおよび第1可動カバーの外周面より内周側に配置される第2可動カバーと、昇降機構や第1動力伝達機構等の産業用ロボットの他の構成部品との干渉を防止することが可能になる。
【0014】
また、本発明では、上下方向から見たときに、第1可動カバーが固定カバーの外周面よりも内周側に配置され、第2可動カバーが第1可動カバーの外周面よりも内周側に配置されているため、固定フレームの底面を固定して産業用ロボットを設置することが可能になるとともに、固定フレームの側面または固定カバーの側面を固定して産業用ロボットを設置することが可能になる。すなわち、本発明では、産業用ロボットの側面を固定して産業用ロボットを設置することも可能になる。
【0015】
また、本発明では、上下方向から見たときに、第1可動カバーが固定カバーの外周面よりも内周側に配置され、第2可動カバーが第1可動カバーの外周面よりも内周側に配置されており、固定カバーの外形、第1可動カバーの外形および第2可動カバーの外形がこの順番で次第に小さくなっている。そのため、本発明では、第1可動フレームおよび第2可動フレームが上昇しているときの本体部の上端側の外形を小さくすることが可能になる。
【0016】
本発明において、本体部は、第2可動フレームに対して昇降可能な第3可動フレームと、第3可動フレームに固定されるとともに第3可動フレームを覆う第3可動カバーと、昇降する第2可動フレームと連動するように第2可動フレームに対して第3可動フレームを昇降させるための第2動力伝達機構と、第2動力伝達機構と第3可動フレームとを連結する第3スライダとを備え、第2動力伝達機構は、第2可動フレームの上端部と下端部とに取り付けられる2個の第2プーリと、2個の第2プーリに架け渡される環状の第2ベルトと、第2ベルトの一部が固定される柱状の第2柱状部材とを備え、第3可動フレームの下端部は、第3可動カバーの下端よりも下側に配置され、第3スライダは、第3可動カバーの下端よりも下側に配置される第3可動フレームの下端部に繋がり、第2柱状部材の下端部は、第1可動フレームの下端部に固定され、第2柱状部材の上端部には、固定フレームに対して第1可動フレームが下降し、かつ、第1可動フレームに対して第2可動フレームが下降しているとともに、第2可動フレームに対して第3可動フレームが下降しているときの第2ベルトの上側部分が固定され、第3スライダには、固定フレームに対して第1可動フレームが下降し、かつ、第1可動フレームに対して第2可動フレームが下降しているとともに、第2可動フレームに対して第3可動フレームが下降しているときの第2ベルトの下側部分が固定され、上下方向から見たときに、第3可動カバーは、第2可動カバーの外周面より内周側に配置されるとともに、2個の第2プーリと第2ベルトと第2柱状部材とは、第2可動カバーの外周面より内周側であって、かつ、第3可動カバーの外周面より外周側に配置されていることが好ましい。
【0017】
このように構成すると、第2可動フレームと連動するように第2可動フレームに対して第3可動フレームを昇降させるための第2動力伝達機構と第3可動フレームとを連結する第3スライダが、第3可動カバーの下端よりも下側に配置される第3可動フレームの下端部に繋がっているとともに、上下方向から見たときに、第2動力伝達機構を構成する2個の第2プーリと第2ベルトと第2柱状部材とが、第2可動カバーの外周面より内周側であって、かつ、第3可動カバーの外周面より外周側に配置されているため、第2可動カバーおよび第3可動カバーに切欠き等を形成しなくても、第1可動フレーム、第2可動フレームおよび第3可動フレームが下降しているときに、第1可動カバーの外周面より内周側に配置される第2可動カバーおよび第2可動カバーの外周面より内周側に配置される第3可動カバーと、第2動力伝達機構等の産業用ロボットの他の構成部品との干渉を防止することが可能になる。また、このように構成すると、上下方向から見たときに、第3可動カバーが第2可動カバーの外周面よりも内周側に配置されており、第3可動カバーの外形が第2可動カバーの外形よりも小さくなっているため、第1可動フレーム、第2可動フレームおよび第3可動フレームが上昇しているときの本体部の上端側の外形を小さくすることが可能になる。
【0018】
本発明において、たとえば、固定フレームに対して第1可動フレームが下降し、かつ、第1可動フレームに対して第2可動フレームが下降しているとともに、第2可動フレームに対して第3可動フレームが下降しているときに、昇降機構と第1動力伝達機構と第2動力伝達機構とは、上下方向に直交する所定の方向である第1方向においてこの順番で配列され、上下方向と第1方向とに直交する方向を第2方向とすると、上下方向から見たときに、第1柱状部材は、第2方向における第2可動フレームの一方側に配置され、第2柱状部材は、第2方向における第2可動フレームの他方側に配置されている。
【0019】
本発明において、たとえば、第3可動フレームの上端部にアームが連結されている。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明では、固定フレームと、固定フレームに対して昇降可能な第1可動フレームと、第1可動フレームの昇降に連動して第1可動フレームに対して昇降可能な第2可動フレームと、固定フレームを覆う固定カバーと、第1可動フレームを覆う第1可動カバーと、第2可動フレームを覆う第2可動カバーとを備える産業用ロボットにおいて、第1可動カバーおよび第2可動カバーに切欠き等を形成しなくても、第1可動フレームおよび第2可動フレームが下降しているときに、第1可動カバーおよび第2可動カバーと産業用ロボットの他の構成部品との干渉を防止することが可能になるとともに、産業用ロボットの側面を固定して産業用ロボットを設置することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの斜視図であり、(A)は、ハンドおよびアームが上限位置まで上昇している状態を示す図、(B)は、ハンドおよびアームが下限位置まで下降している状態を示す図である。
【
図2】
図1に示す産業用ロボットの構成を説明するための側面図である。
【
図3】
図1に示す産業用ロボットの構成を説明するための側面図である。
【
図4】
図1(A)に示す本体部から固定カバー、第1可動カバー、第2可動カバーおよび第3可動カバーを取り外した状態の正面図である。
【
図5】
図1に示す本体部の構成を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の斜視図であり、(A)は、ハンド3およびアーム4が上限位置まで上昇している状態を示す図、(B)は、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降している状態を示す図である。
【0024】
本形態の産業用ロボット1は、半導体ウエハを搬送するための水平多関節型のロボットである。産業用ロボット1は、半導体製造システムに組み込まれて使用される。産業用ロボット1は、半導体ウエハが搭載される2個のハンド3と、2個のハンド3が連結されるアーム4と、アーム4が連結される本体部5とを備えている。ハンド3は、アーム4の先端側に回動可能に連結されている。本体部5には、アーム4の基端側が回動可能に連結されている。
【0025】
アーム4は、本体部5の上側に配置されている。アーム4は、本体部5に基端側が回動可能に連結される第1アーム部7と、第1アーム部7の先端側に基端側が回動可能に連結される第2アーム部8と、第2アーム部8の先端側に基端側が回動可能に連結される第3アーム部9とを備えている。本形態のアーム4は、第1アーム部7と第2アーム部8と第3アーム部9との3個のアーム部によって構成されている。アーム4は、水平方向に伸縮動作を行う。第1アーム部7と第2アーム部8と第3アーム部9とは、上下方向において、下側からこの順番で配置されている。ハンド3は、アーム4の上側に配置されている。ハンド3は、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されている。ハンド3の基端部は、第3アーム部9の先端側に回動可能に連結されている。
【0026】
また、産業用ロボット1は、第3アーム部9に対してハンド3を回動させるハンド回動機構と、本体部5に対して第1アーム部7を回動させるとともに第1アーム部7に対して第2アーム部8を回動させて第1アーム部7と第2アーム部8とからなるアーム4の一部を伸縮させるアーム部駆動機構と、第2アーム部8に対して第3アーム部9を回動させる第3アーム部回動機構とを備えている。
【0027】
(本体部の構成)
図2、
図3は、
図1に示す産業用ロボット1の構成を説明するための側面図である。
図4は、
図1(A)に示す本体部5から固定カバー16、第1可動カバー17、第2可動カバー18および第3可動カバー19を取り外した状態の正面図である。
図5は、
図1に示す本体部5の構成を説明するための平面図である。なお、
図2は、ハンド3およびアーム4が上限位置まで上昇している状態を示し、
図3は、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降している状態を示している。
【0028】
以下の説明では、上下方向(鉛直方向、
図1等のZ方向)に直交する
図1等のX方向を前後方向とし、上下方向と前後方向とに直交する
図1等のY方向を左右方向とする。また、以下の説明では、前後方向の一方側である
図1等のX1方向側を「前」側とし、その反対側である
図1等のX2方向側を「後ろ」側とし、左右方向の一方側である
図1等のY1方向側を「右」側とし、その反対側である
図1等のY2方向側を「左」側とする。本形態の前後方向(X方向)は、上下方向に直交する所定の方向である第1方向となっており、左右方向(Y方向)は、上下方向と前後方向とに直交する方向である第2方向となっている。
【0029】
本体部5は、本体部5の下端部を構成する固定フレーム12と、固定フレーム12に対して昇降可能な第1可動フレーム13と、第1可動フレーム13に対して昇降可能な第2可動フレーム14と、第2可動フレーム14に対して昇降可能な第3可動フレーム15と、固定フレーム12を覆う固定カバー16と、第1可動フレーム13を覆う第1可動カバー17と、第2可動フレーム14を覆う第2可動カバー18と、第3可動フレーム15を覆う第3可動カバー19とを備えている。
【0030】
また、本体部5は、固定フレーム12に対して第1可動フレーム13を昇降させるための昇降機構22と、昇降機構22の動力で昇降する第1可動フレーム13と連動するように第1可動フレーム13に対して第2可動フレーム14を昇降させるための第1動力伝達機構23と、昇降する第2可動フレーム14と連動するように第2可動フレーム14に対して第3可動フレーム15を昇降させるための第2動力伝達機構24と、昇降機構22と第1可動フレーム13とを連結する第1スライダ25と、第1動力伝達機構23と第2可動フレーム14とを連結する第2スライダ26と、第2動力伝達機構24と第3可動フレーム15とを連結する第3スライダ27とを備えている。
【0031】
本形態では、固定フレーム12に対して第1可動フレーム13が上昇すると、連動して、第1可動フレーム13に対して第2可動フレーム14が上昇するとともに、第2可動フレーム14に対して第3可動フレーム15が上昇する。また、固定フレーム12に対して第1可動フレーム13が下降すると、連動して、第1可動フレーム13に対して第2可動フレーム14が下降するとともに、第2可動フレーム14に対して第3可動フレーム15が下降する。
【0032】
固定フレーム12は、本体部5の背面(後面)を構成するフレーム本体31を備えている。フレーム本体31の後面は、前後方向に直交する長方形状の平面となっている。フレーム本体31は、長方形状の平面をなすフレーム本体31の後面の長辺の方向と左右方向とが一致するように配置されている。固定フレーム12には、第1可動フレーム13および第1スライダ25を上下方向に案内するための2本のガイドレール32が固定されている。2本のガイドレール32は、左右方向において間隔をあけた状態で配置されている。
【0033】
第1可動フレーム13は、固定フレーム12のフレーム本体31およびガイドレール32よりも前側に配置されている。第1可動フレーム13の左右方向の幅は、固定フレーム12の左右方向の幅よりも狭くなっている。第1可動フレーム13には、第2可動フレーム14および第2スライダ26を上下方向に案内するための2本のガイドレール33が固定されている。2本のガイドレール33は、左右方向において間隔をあけた状態で配置されている。
【0034】
第2可動フレーム14は、第1可動フレーム13およびガイドレール33よりも前側に配置されている。第2可動フレーム14の左右方向の幅は、第1可動フレーム13の左右方向の幅よりも狭くなっている。第2可動フレーム14には、第3可動フレーム15および第3スライダ27を上下方向に案内するための2本のガイドレール34が固定されている。2本のガイドレール34は、左右方向において間隔をあけた状態で配置されている。
【0035】
第3可動フレーム15は、第2可動フレーム14およびガイドレール34よりも前側に配置されている。第3可動フレーム15の左右方向の幅は、第2可動フレーム14の左右方向の幅よりも狭くなっている。第3可動フレーム15の上端部には、アーム4が連結されている。具体的には、第3可動フレーム15の上端部に第1アーム部7の基端側が回動可能に連結されている。上述のアーム部駆動機構は、第3可動フレーム15の内部に配置されている。
【0036】
昇降機構22は、駆動源であるモータ37と、モータ37に連結されるボールねじ38とを備えている。本形態の昇降機構22は、2個のモータ37と、2個のモータ37のそれぞれが連結される2本のボールねじ38を備えている。ボールねじ38は、モータ37の動力で回転するねじ軸39と、ねじ軸39に係合するナット部材40とを備えている。ねじ軸39は、固定フレーム12に回転可能に保持されている。2本のねじ軸39は、左右方向において間隔をあけた状態で配置されている。2個のナット部材40は、第1スライダ25に取り付けられている。2個のモータ37のそれぞれは、2本のボールねじ38の左右方向の外側に配置されている。また、昇降機構22は、左右方向において2本のガイドレール32の間に配置されるとともに、フレーム本体31の前側に配置されている。
【0037】
第1動力伝達機構23は、第1可動フレーム13の上端部と下端部とに取り付けられる2個の第1プーリ41と、2個の第1プーリ41に掛け渡される環状の第1ベルト42と、第1ベルト42の一部が固定される柱状の第1柱状部材43とを備えている。第1動力伝達機構23は、第1可動フレーム13の左側に配置されている。第1動力伝達機構23は、昇降機構22およびガイドレール32よりも前側に配置されている。また、第1動力伝達機構23は、第2可動フレーム14よりも後ろ側に配置されている。
【0038】
第1プーリ41は、たとえば、歯付きプーリである。第1プーリ41は、左右方向を回転の軸方向として回転可能になっている。2個の第1プーリ41は、第1可動フレーム13の左端部に回転可能に取り付けられている。第1ベルト42は、無端ベルトである。また、第1ベルト42は、たとえば、歯付きベルトである。第1柱状部材43は、上下方向を長手方向とする柱状に形成されている。たとえば、第1柱状部材43は、四角柱状に形成されている。第1柱状部材43の下端部は、固定フレーム12の下端部に固定されている。上下方向から見たときに、第1柱状部材43は、第1可動フレーム13の左側に配置されている。
【0039】
第1柱状部材43の上端部には、固定フレーム12に対して第1可動フレーム13が下降し、かつ、第1可動フレーム13に対して第2可動フレーム14が下降しているとともに、第2可動フレーム14に対して第3可動フレーム15が下降して、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降しているとき(
図1(B)および
図3参照)の第1ベルト42の上側部分が固定されている。第2スライダ26には、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降しているときの第1ベルト42の下側部分が固定されている。第1柱状部材43は、第1ベルト42の後ろ側に配置されており、第1柱状部材43の上端部には、第1ベルト42の、第1プーリ41の後ろ側に配置される部分が固定されている。また、第2スライダ26は、第1ベルト42の前側に配置されており、第2スライダ26には、第1ベルト42の、第1プーリ41の前側に配置される部分が固定されている。
【0040】
第2動力伝達機構24は、第2可動フレーム14の上端部と下端部とに取り付けられる2個の第2プーリ45と、2個の第2プーリ45に掛け渡される環状の第2ベルト46と、第2ベルト46の一部が固定される柱状の第2柱状部材47とを備えている。第2動力伝達機構24は、第2可動フレーム14の右側に配置されている。第2動力伝達機構24は、第1可動フレーム13およびガイドレール33よりも前側に配置されている。また、第2動力伝達機構24は、第3可動フレーム15よりも後ろ側に配置されている。
【0041】
第2プーリ45は、たとえば、歯付きプーリである。第2プーリ45は、左右方向を回転の軸方向として回転可能になっている。2個の第2プーリ45は、第2可動フレーム14の右端部に回転可能に取り付けられている。第2ベルト46は、無端ベルトである。また、第2ベルト46は、たとえば、歯付きベルトである。第2柱状部材47は、上下方向を長手方向とする柱状に形成されている。たとえば、第2柱状部材47は、四角柱状に形成されている。第2柱状部材47の下端部は、第1可動フレーム13の下端部に固定されている。上下方向から見たときに、第2柱状部材47は、第2可動フレーム14の右側に配置されている。
【0042】
第2柱状部材47の上端部には、固定フレーム12に対して第1可動フレーム13が下降し、かつ、第1可動フレーム13に対して第2可動フレーム14が下降しているとともに、第2可動フレーム14に対して第3可動フレーム15が下降して、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降しているときの第2ベルト46の上側部分が固定されている。第3スライダ27には、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降しているときの第2ベルト46の下側部分が固定されている。第2柱状部材47は、第2ベルト46の後ろ側に配置されており、第2柱状部材47の上端部には、第2ベルト46の、第2プーリ45の後ろ側に配置される部分が固定されている。また、第3スライダ27は、第2ベルト46の前側に配置されており、第3スライダ27には、第2ベルト46の、第2プーリ45の前側に配置される部分が固定されている。
【0043】
図3に示すように、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降しているときには、昇降機構22と第1動力伝達機構23と第2動力伝達機構24とが前後方向においてこの順番で配列されている。具体的には、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降しているときに、昇降機構22と第1動力伝達機構23と第2動力伝達機構24とが後ろ側から前側に向かってこの順番で配列されている。また、上下方向から見たときに、第1動力伝達機構23は、第2可動フレーム14の左側に配置され、第2動力伝達機構24は、第2可動フレーム14の右側に配置されている。すなわち、上下方向から見たときに、第1柱状部材43は、第2可動フレーム14の左右方向の一方側に配置され、第2柱状部材47は、第2可動フレーム14の左右方向の他方側に配置されている。
【0044】
第3可動カバー19は、下面が開口する直方体の箱状に形成されている。第3可動カバー19の上面は、上下方向に直交し、第3可動カバー19の側面は、左右方向または前後方向に直交している。すなわち、上下方向から見たときの第3可動カバー19の外形は、長方形状となっている。上下方向から見たときの外形が長方形状をなす第3可動カバー19の長辺の方向は、左右方向と一致している。
【0045】
第3可動カバー19の上面部には、第3可動フレーム15の上端部が配置される貫通穴19aが形成されている(
図3参照)。貫通穴19aは、上下方向において第3可動カバー19の上面部を貫通している。第3可動カバー19は、第3可動フレーム15に固定されており、第3可動フレーム15と一緒に昇降する。第3可動カバー19の上下方向の長さは、第3可動フレーム15の上下方向の長さよりも短くなっている。第3可動フレーム15の下端部は、第3可動カバー19の下端よりも下側に配置されている(
図2等参照)。第3可動カバー19は、第3可動フレーム15の一部を上側から覆うとともに、第3可動フレーム15の、上端部および下端部を除いた部分を前後左右方向の両側から覆っている。なお、
図5では、貫通穴19aの図示を省略している。
【0046】
第2可動カバー18は、下面が開口する直方体の箱状に形成されている。第2可動カバー18の上面は、上下方向に直交し、第2可動カバー18の側面は、左右方向または前後方向に直交している。すなわち、上下方向から見たときの第2可動カバー18の外形は、長方形状となっている。上下方向から見たときの外形が長方形状をなす第2可動カバー18の長辺の方向は、左右方向と一致している。
【0047】
第2可動カバー18の外形は、第3可動カバー19の外形よりも大きくなっている。上下方向から見たときに、第3可動カバー19は、第2可動カバー18の外周面よりも内周側に配置されている(
図5等参照)。第2可動カバー18の上面部には、第3可動カバー19が配置される貫通穴18aが形成されている。貫通穴18aは、上下方向において第2可動カバー18の上面部を貫通している。貫通穴18aは、第3可動カバー19の外形に応じた長方形状に形成されている。貫通穴18aは、第3可動カバー19よりも若干大きくなっている。貫通穴18aは、第2可動フレーム14、第2動力伝達機構24およびガイドレール34よりも前側に配置されている。
【0048】
第2可動カバー18は、第2可動フレーム14に固定されている。具体的には、第2可動カバー18の上面部が第2可動フレーム14の上端に固定されている。第2可動カバー18は、第2可動フレーム14と一緒に昇降する。第2可動カバー18の上下方向の長さは、第2可動フレーム14の上下方向の長さよりも短くなっている。第2可動フレーム14の下端部は、第2可動カバー18の下端よりも下側に配置されている(
図2等参照)。第2可動カバー18は、第2可動フレーム14および第2動力伝達機構24を上側から覆うとともに、第2可動フレーム14の、下端部を除いた部分を前後左右方向の両側から覆っている。
【0049】
第1可動カバー17は、下面が開口する直方体の箱状に形成されている。第1可動カバー17の上面は、上下方向に直交し、第1可動カバー17の側面は、左右方向または前後方向に直交している。すなわち、上下方向から見たときの第1可動カバー17の外形は、長方形状となっている。上下方向から見たときの外形が長方形状をなす第1可動カバー17の長辺の方向は、左右方向と一致している。
【0050】
第1可動カバー17の外形は、第2可動カバー18の外形よりも大きくなっている。上下方向から見たときに、第2可動カバー18は、第1可動カバー17の外周面よりも内周側に配置されている(
図5等参照)。第1可動カバー17の上面部には、第2可動カバー18および第3可動カバー19が配置される貫通穴17aが形成されている。貫通穴17aは、上下方向において第1可動カバー17の上面部を貫通している。貫通穴17aは、第2可動カバー18の外形に応じた長方形状に形成されている。貫通穴17aは、第2可動カバー18よりも若干大きくなっている。貫通穴17aは、第1動力伝達機構23およびガイドレール33よりも前側に配置されている。
【0051】
第1可動カバー17は、第1可動フレーム13に固定されている。具体的には、第1可動カバー17の上面部が第1可動フレーム13の上端に固定されている。第1可動カバー17は、第1可動フレーム13と一緒に昇降する。第1可動カバー17の上下方向の長さは、第1可動フレーム13の上下方向の長さよりも短くなっている。第1可動フレーム13の下端部は、第1可動カバー17の下端よりも下側に配置されている(
図2等参照)。第1可動カバー17は、第1可動フレーム13および第1動力伝達機構23を上側から覆うとともに、第1可動フレーム13の、下端部を除いた部分を前後左右方向の両側から覆っている。
【0052】
固定カバー16は、下面および後面が開口する直方体の箱状に形成されている。固定カバー16の上面は、上下方向に直交し、固定カバー16の側面は、左右方向または前後方向に直交している。すなわち、上下方向から見たときの固定カバー16の外形は、長方形状または正方形状となっている。固定カバー16の外形は、第1可動カバー17の外形よりも大きくなっている。上下方向から見たときに、第1可動カバー17は、固定カバー16の外周面よりも内周側に配置されている(
図5等参照)。
【0053】
固定カバー16の上面部には、第1可動カバー17、第2可動カバー18および第3可動カバー19が配置される貫通穴16aが形成されている。貫通穴16aは、上下方向において固定カバー16の上面部を貫通している。貫通穴16aは、第1可動カバー17の外形に応じた長方形状に形成されている。貫通穴16aは、第1可動カバー17よりも若干大きくなっている。貫通穴16aは、昇降機構22およびガイドレール32よりも前側に配置されている。固定カバー16は、固定フレーム12に固定されている。具体的には、固定カバー16は、フレーム本体31に固定されている。
【0054】
固定カバー16の後端部の内周面は、フレーム本体31の左右方向の両側面および上端面に接触している。固定カバー16の上下方向の長さは、固定フレーム12の上下方向の長さとほぼ等しくなっている。固定カバー16の後面側に形成される開口は、フレーム本体31によって塞がれている。固定カバー16は、固定フレーム12および昇降機構22を上側から覆うとともに、固定フレーム12を前側および左右方向の両側から覆っている。
【0055】
図2に示すように、固定フレーム12に対して第1可動フレーム13が上昇し、かつ、第1可動フレーム13に対して第2可動フレーム14が上昇しているとともに、第2可動フレーム14に対して第3可動フレーム15が上昇して、ハンド3およびアーム4が上限位置まで上昇しているときには、第1可動カバー17の下端は、固定カバー16の上面部の下面よりも下側に配置されており、固定カバー16の内部に配置されている。また、このときには、第2可動カバー18の下端は、第1可動カバー17の上面部の下面よりも下側に配置され、第3可動カバー19の下端は、第2可動カバー18の上面部の下面よりも下側に配置されている。
【0056】
第1スライダ25は、第1可動カバー17の下端よりも下側に配置される第1可動フレーム13の下端部に繋がっている。具体的には、第1スライダ25は、第1可動カバー17の下端よりも下側に配置される第1可動フレーム13の下端部に固定されている。また、第1スライダ25は、第1可動フレーム13の後面側に固定されている。第1スライダ25の後端部には、2個のナット部材40が取り付けられている。すなわち、第1スライダ25は、第1可動フレーム13と2個のナット部材40とを連結している。第1スライダ25は、ガイドレール32に係合するガイドブロックを備えており、2本のガイドレール32に沿って昇降する。なお、第1スライダ25は、第1可動フレーム13と一体で形成されていても良い。
【0057】
第2スライダ26は、第2可動カバー18の下端よりも下側に配置される第2可動フレーム14の下端部に繋がっている。具体的には、第2スライダ26は、第2可動カバー18の下端よりも下側に配置される第2可動フレーム14の下端部に固定されている。また、第2スライダ26は、第2可動フレーム14の後面側に固定されている。第2スライダ26の後端部には、第1ベルト42の一部が固定されている。すなわち、第2スライダ26は、第2可動フレーム14と第1ベルト42とを連結している。第2スライダ26は、ガイドレール33に係合するガイドブロックを備えており、2本のガイドレール33に沿って昇降する。なお、第2スライダ26は、第2可動フレーム14と一体で形成されていても良い。
【0058】
第3スライダ27は、第3可動カバー19の下端よりも下側に配置される第3可動フレーム15の下端部に繋がっている。具体的には、第3スライダ27は、第3可動カバー19の下端よりも下側に配置される第3可動フレーム15の下端部に固定されている。第3スライダ27の後端部には、第2ベルト46の一部が固定されている。すなわち、第3スライダ27は、第3可動フレーム15と第2ベルト46とを連結している。第3スライダ27は、ガイドレール34に係合するガイドブロックを備えており、2本のガイドレール34に沿って昇降する。なお、第3スライダ27は、第3可動フレーム15と一体で形成されていても良い。
【0059】
上述のように、固定カバー16の貫通穴16aは、昇降機構22よりも前側に配置されており、昇降機構22は、貫通穴16aに配置される第1可動カバー17より後ろ側に配置されている。すなわち、
図5に示すように、上下方向から見たときに、昇降機構22は、第1可動カバー17の外周面より外周側に配置されている。
【0060】
また、上述のように、第1可動カバー17の貫通穴17aは、第1動力伝達機構23より前側に配置されており、第1動力伝達機構23は、貫通穴17aに配置される第2可動カバー18よりも後ろ側に配置されている。また、上述のように、第1可動カバー17は、第1動力伝達機構23を上側から覆っている。すなわち、
図5に示すように、上下方向から見たときに、第1動力伝達機構23は(具体的には、2個の第1プーリ41と第1ベルト42と第1柱状部材43とは)、第1可動カバー17の外周面より内周側であって、かつ、第2可動カバー18の外周面より外周側に配置されている。
【0061】
さらに、上述のように、第2可動カバー18の貫通穴18aは、第2動力伝達機構24よりも前側に配置されており、第2動力伝達機構24は、貫通穴18aに配置される第3可動カバー19より後ろ側に配置されている。また、上述にように、第2可動カバー18は、第2動力伝達機構24を上側から覆っている。すなわち、
図5に示すように、上下方向から見たときに、第2動力伝達機構24は(具体的には、2個の第2プーリ45と第2ベルト46と第2柱状部材47とは)、第2可動カバー18の外周面より内周側であって、かつ、第3可動カバー19の外周面より外周側に配置されている。
【0062】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、昇降機構22と第1可動フレーム13とを連結する第1スライダ25は、第1可動カバー17の下端よりも下側に配置される第1可動フレーム13の下端部に繋がり、第1動力伝達機構23と第2可動フレーム14とを連結する第2スライダ26は、第2可動カバー18の下端よりも下側に配置される第2可動フレーム14の下端部に繋がり、第2動力伝達機構24と第3可動フレーム15とを連結する第3スライダ27は、第3可動カバー19の下端よりも下側に配置される第3可動フレーム15の下端部に繋がっている。
【0063】
また、本形態では、第1ベルト42は、第1柱状部材43および第2スライダ26に固定され、第2ベルト46は、第2柱状部材47および第3スライダ27に固定されている。さらに、本形態では、上下方向から見たときに、昇降機構22は、第1可動カバー17の外周面より外周側に配置され、第1動力伝達機構23は、第1可動カバー17の外周面より内周側であって、かつ、第2可動カバー18の外周面より外周側に配置され、第2動力伝達機構24は、第2可動カバー18の外周面より内周側であって、かつ、第3可動カバー19の外周面より外周側に配置されている。
【0064】
そのため、本形態では、第1可動カバー17、第2可動カバー18および第3可動カバー19に切欠き等を形成しなくても、第1可動フレーム13、第2可動フレーム14および第3可動フレーム15が下降しているときに、固定カバー16の外周面より内周側に配置される第1可動カバー17、第1可動カバー17の外周面より内周側に配置される第2可動カバー18、および、第2可動カバー18の外周面より内周側に配置される第3可動カバー19と、駆動機構22、第1動力伝達機構23および第2動力伝達機構24等の産業用ロボット1の他の構成部品との干渉を防止することが可能になる。
【0065】
本形態では、上下方向から見たときに、第1可動カバー17、第2可動カバー18および第3可動カバー19が固定カバー16の外周面よりも内周側に配置されている。そのため、本形態では、固定フレーム12の底面を固定して産業用ロボット1を設置することが可能になるとともに、固定フレーム12のフレーム本体31の後面、固定カバー16の前面または固定カバー16の左右方向の側面を固定して産業用ロボット1を設置することが可能になる。すなわち、本形態では、産業用ロボット1の側面を固定して産業用ロボット1を設置することも可能になる。
【0066】
本形態では、固定カバー16の外形、第1可動カバー17の外形、第2可動カバー18の外形および第3可動カバー19の外形がこの順番で次第に小さくなっている。そのため、本形態では、第1可動フレーム13、第2可動フレーム14および第3可動フレーム15が上昇しているときの本体部5の上端側の外形を小さくすることが可能になる。
【0067】
(本体部の変更例1)
上述した形態において、本体部5は、第3可動フレーム15と第3可動カバー19と第2動力伝達機構24と第3スライダ27とを備えていなくても良い。すなわち、上述した形態において、第2可動フレーム14の上端部にアーム4が連結されていても良い。
【0068】
この場合であっても、第1可動カバー17および第2可動カバー18に切欠き等を形成しなくても、第1可動フレーム13および第2可動フレーム14が下降しているときに、固定カバー16の外周面より内周側に配置される第1可動カバー17、および、第1可動カバー17の外周面より内周側に配置される第2可動カバー18と、駆動機構22および第1動力伝達機構23等の産業用ロボット1の他の構成部品との干渉を防止することが可能になる。また、この場合であっても、産業用ロボット1の側面を固定して産業用ロボット1を設置することも可能になる。
【0069】
(本体部の変更例2)
上述した形態において、本体部5は、第3可動フレーム15に対して昇降可能な第4可動フレームと、第4可動フレームに固定されるとともに第4可動フレームを覆う第4可動カバーと、昇降する第3可動フレーム15と連動するように第3可動フレーム15に対して第4可動フレームを昇降させるための第3動力伝達機構と、第3動力伝達機構と第4可動フレームとを連結する第4スライダとを備えていても良い。この場合には、第4可動フレームの上端部にアーム4が連結されている。第3動力伝達機構は、第3可動フレーム15の上端部と下端部とに取り付けられる2個の第3プーリと、2個の第3プーリに架け渡される環状の第3ベルトと、第3ベルトの一部が固定される柱状の第3柱状部材とを備えている。
【0070】
第4可動フレームの下端部は、第4可動カバーの下端よりも下側に配置されている。第4スライダは、第4可動カバーの下端よりも下側に配置される第4可動フレームの下端部に繋がっている。第3柱状部材の下端部は、第2可動フレーム14の下端部に固定されている。第3柱状部材の上端部には、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降しているときの第3ベルトの上側部分が固定され、第4スライダには、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降しているときの第3ベルトの下側部分が固定されている。上下方向から見たときに、第4可動カバーは、第3可動カバー19の外周面より内周側に配置されるとともに、2個の第3プーリと第3ベルトと第3柱状部材とは、第3可動カバー19の外周面より内周側であって、かつ、第4可動カバーの外周面より外周側に配置されている。
【0071】
また、本体部5は、さらに、第4可動フレームに対して昇降可能な第5可動フレームと、第5可動フレームに固定されるとともに第5可動フレームを覆う第5可動カバーと、昇降する第4可動フレームと連動するように第4可動フレームに対して第5可動フレームを昇降させるための第4動力伝達機構と、第4動力伝達機構と第5可動フレームとを連結する第5スライダとを備えていても良い。この場合には、第5可動フレームの上端部にアーム4が連結されている。第4動力伝達機構は、第4可動フレームの上端部と下端部とに取り付けられる2個の第4プーリと、2個の第4プーリに架け渡される環状の第4ベルトと、第4ベルトの一部が固定される柱状の第4柱状部材とを備えている。
【0072】
第5可動フレームの下端部は、第5可動カバーの下端よりも下側に配置されている。第5スライダは、第5可動カバーの下端よりも下側に配置される第5可動フレームの下端部に繋がっている。第4柱状部材の下端部は、第3可動フレーム15の下端部に固定されている。第4柱状部材の上端部には、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降しているときの第4ベルトの上側部分が固定され、第5スライダには、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降しているときの第4ベルトの下側部分が固定されている。上下方向から見たときに、第5可動カバーは、第4可動カバーの外周面より内周側に配置されるとともに、2個の第4プーリと第4ベルトと第4柱状部材とは、第4可動カバーの外周面より内周側であって、かつ、第5可動カバーの外周面より外周側に配置されている。
【0073】
このように、本体部5は、第1可動フレーム13と第2可動フレーム14と第3可動フレーム15と第4可動フレームとを有する5段構造となっていても良いし、第1可動フレーム13と第2可動フレーム14と第3可動フレーム15と第4可動フレームと第5可動フレームとを有する6段構造となっていても良い。また、本体部5は、7段構造以上の複数段構造となっていても良い。
【0074】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0075】
上述した形態において、第1動力伝達機構23は、第1可動フレーム13の右側に配置されていても良い。また、上述した形態において、第2動力伝達機構24は、第2可動フレーム14の左側に配置されていても良い。また、上述した形態において、第1動力伝達機構23は、第1可動フレーム13の左右方向の両側に配置されていても良い。また、第2動力伝達機構24は、第2可動フレーム14の左右方向の両側に配置されていても良い。さらに、上述した形態において、第1動力伝達機構23は、第1可動フレーム13の前後方向の一方側または両側に配置されていても良い。また、第2動力伝達機構24は、第2可動フレーム14の前後方向の一方側または両側に配置されていても良い。
【0076】
上述した形態において、アーム4は、2個のアーム部によって構成されても良いし、4個以上のアーム部によって構成されていても良い。また、上述した形態において、第3アーム部9の先端側に1個のハンド3が取り付けられても良い。さらに、上述した形態において、産業用ロボット1は、液晶表示装置用のガラス基板等の、半導体ウエハ以外の搬送対象物を搬送しても良い。
【0077】
上述した形態において、産業用ロボット1は、水平多関節型のロボット以外のロボットであっても良い。たとえば、産業用ロボット1は、特開2019-25587号公報に開示されているように、ハンドと、ハンドが固定されるハンド支持部材と、ハンド支持部材を介してハンドが連結されるアームとを備えていても良い。この場合には、ハンドおよびハンド支持部材がアームに対して水平方向に直線的に往復移動する。
【符号の説明】
【0078】
1 産業用ロボット
3 ハンド
4 アーム
5 本体部
12 固定フレーム
13 第1可動フレーム
14 第2可動フレーム
15 第3可動フレーム
16 固定カバー
17 第1可動カバー
18 第2可動カバー
19 第3可動カバー
22 昇降機構
23 第1動力伝達機構
24 第2動力伝達機構
25 第1スライダ
26 第2スライダ
27 第3スライダ
41 第1プーリ
42 第1ベルト
43 第1柱状部材
45 第2プーリ
46 第2ベルト
47 第2柱状部材
X 第1方向
Y 第2方向
Z 上下方向