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特開2024-147136駆動装置、産業用ロボットおよび駆動装置の異常検知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147136
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】駆動装置、産業用ロボットおよび駆動装置の異常検知方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B25J19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059953
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】改野 重幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏之
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707CT04
3C707CU03
3C707CY18
3C707HS27
3C707HT02
3C707HT20
3C707MS14
3C707MS15
3C707MS22
3C707NS13
(57)【要約】
【課題】第1部材と、第1部材に対して直線的に移動可能な第2部材と、第1部材に対して第2部材を移動させるためのプーリおよびベルトとを備える駆動装置において、ベルトの伸びに起因する不具合の発生を防止することが可能な駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置5は、第1部材53に対して第2部材50を移動させるための駆動源となるモータ37と、第1部材53に対して第2部材50を移動させるためのプーリ45およびベルト46と、第1部材53に取り付けられるセンサと、第2部材50に取り付けられる被検知部材と、モータ37の回転量を検知するためのエンコーダとを備えており、ベルト46の一部は、第2部材50に固定されている。駆動装置5の制御部は、基準位置に配置される第2部材50を被検知部材がセンサに検知されるまで第1部材53に対して移動させたときのエンコーダのカウント値が基準範囲から外れると所定の異常処理を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、前記第1部材に対して直線的に移動可能な第2部材と、前記第1部材に対して前記第2部材を移動させるための駆動源となるモータと、前記第1部材に対して前記第2部材を移動させるためのプーリおよびベルトと、前記第1部材および前記第2部材のいずれか一方に取り付けられるセンサと、前記第1部材および前記第2部材のいずれか他方に取り付けられるとともに前記センサによって検知される被検知部材と、前記モータの回転量を検知するためのエンコーダと、前記モータ、前記センサおよび前記エンコーダが電気的に接続される制御部とを備え、
前記プーリは、前記第1部材に取り付けられ、
前記ベルトの一部は、前記第2部材に固定され、
前記制御部は、前記モータを駆動させて所定の基準位置に配置される前記第2部材を前記被検知部材が前記センサに検知されるまで前記第1部材に対して移動させたときの前記エンコーダのカウント値が所定の基準範囲から外れると所定の異常処理を実行することを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の駆動装置を備えることを特徴とする産業用ロボット。
【請求項3】
ハンドと、前記ハンドが連結されるアームとを備え、
前記駆動装置は、前記ハンドおよび前記アームを昇降させる昇降装置であり、
前記第2部材は、前記第1部材に対して昇降可能な昇降体であることを特徴とする請求項2記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記昇降装置は、固定体と、前記固定体に対して昇降可能な第2昇降体と、前記第2昇降体に対して昇降可能な前記第1部材としての第3昇降体と、前記固定体に対して前記第2昇降体を昇降させるための昇降機構と、前記昇降機構の動力で昇降する前記第2昇降体に連動するように前記第3昇降体を昇降させるための第2プーリおよび第2ベルトとを備え、
前記昇降機構は、前記モータを備え、
前記第2プーリは、前記第2昇降体に取り付けられ、
前記第2ベルトの一部は、前記固定体と前記第3昇降体とに固定され、
前記昇降体は、昇降する前記第3昇降体に連動するように昇降し、
前記アームは、前記昇降体に連結されていることを特徴とする請求項3記載の産業用ロボット。
【請求項5】
前記第3昇降体の上端部および下端部に前記プーリが取り付けられ、
前記第2昇降体の上端部および下端部に前記第2プーリが取り付けられ、
前記ベルトおよび前記第2ベルトは、環状に形成される無端ベルトであり、
前記ベルトは、2個の前記プーリに架け渡され、
前記第2ベルトは、2個の前記第2プーリに架け渡されていることを特徴とする請求項4記載の産業用ロボット。
【請求項6】
第1部材と、前記第1部材に対して直線的に移動可能な第2部材と、前記第1部材に対して前記第2部材を移動させるための駆動源となるモータと、前記第1部材に対して前記第2部材を移動させるためのプーリおよびベルトと、前記第1部材および前記第2部材のいずれか一方に取り付けられるセンサと、前記第1部材および前記第2部材のいずれか他方に取り付けられるとともに前記センサによって検知される被検知部材と、前記モータの回転量を検知するためのエンコーダとを備え、前記プーリは、前記第1部材に取り付けられ、前記ベルトの一部は、前記第2部材に固定されている駆動装置の異常を検知するための異常検知方法であって、
前記モータを駆動させて所定の基準位置に配置される前記第2部材を前記被検知部材が前記センサに検知されるまで前記第1部材に対して移動させたときの前記エンコーダのカウント値が所定の基準範囲から外れると前記駆動装置の異常を検知することを特徴とする駆動装置の異常検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトを用いて所定の第1部材に対して第2部材を直線的に移動させるための駆動装置に関する。また、本発明は、かかる駆動装置を備える産業用ロボットに関する。さらに、本発明は、ベルトを用いて所定の第1部材に対して第2部材を直線的に移動させる駆動装置の異常を検知するための駆動装置の異常検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ等のワークを搬送する産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、たとえば、4段のフレームが望遠鏡の鏡筒のように伸縮可能なテレスコピック型の構造を有しており、4段のフレームが上下方向に伸縮する。この産業用ロボットでは、1段目のフレームである第1フレームに対して2段目のフレームである第2フレームが昇降可能となっている。また、第2フレームに対して3段目のフレームである第3フレームが昇降可能となっており、第3フレームに対して4段目のフレームである第4フレームが昇降可能になっている。第4フレームの上端には、ワーク取扱いユニットが連結されている。
【0003】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、第1フレームにボールねじのねじ軸が取り付けられ、第2フレームにボールねじのナット部が取り付けられている。ボールねじのねじ軸には、ねじ軸を回転させるモータが連結されている。第2フレームには、2個のプーリが取り付けされている。2個のプーリには、ベルトが架け渡されており、ベルトは、第1フレームと第3フレームとに接合されている。第3フレームには、2個のプーリが取り付けされている。2個のプーリには、ベルトが架け渡されており、ベルトは、第2フレームと第4フレームとに接合されている。そのため、この産業用ロボットでは、ボールねじのねじ軸の回転に伴って昇降する第2フレームに連動して第3フレームおよび第4フレームが昇降する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-70487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、4段のフレームの伸縮動作が繰り返し行われるため、ベルトの伸びが発生するおそれがある。特許文献1に記載の産業用ロボットにおいて、ベルトの伸びが発生すると、ボールねじのねじ軸を回転させるモータを同じ量回転させても、第4フレームの上端に連結されるワーク取扱いユニットの上下方向の位置がずれるおそれがある。ワーク取扱いユニットの上下方向の位置が所定量以上にずれると、ワークを所定の位置まで搬送できなくなる等の不具合が生じる。すなわち、特許文献1に記載の産業用ロボットでは、ベルトの伸びに起因する不具合が発生するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、第1部材と、第1部材に対して直線的に移動可能な第2部材と、第1部材に対して第2部材を移動させるためのプーリおよびベルトとを備える駆動装置において、ベルトの伸びに起因する不具合の発生を防止することが可能な駆動装置を提供することにある。また、本発明の課題は、かかる駆動装置を備える産業用ロボットを提供することにある。また、本発明の課題は、第1部材と、第1部材に対して直線的に移動可能な第2部材と、第1部材に対して第2部材を移動させるためのプーリおよびベルトとを備える駆動装置において、ベルトの伸びに起因する不具合の発生を防止することが可能となる駆動装置の異常検知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の駆動装置は、第1部材と、第1部材に対して直線的に移動可能な第2部材と、第1部材に対して第2部材を移動させるための駆動源となるモータと、第1部材に対して第2部材を移動させるためのプーリおよびベルトと、第1部材および第2部材のいずれか一方に取り付けられるセンサと、第1部材および第2部材のいずれか他方に取り付けられるとともにセンサによって検知される被検知部材と、モータの回転量を検知するためのエンコーダと、モータ、センサおよびエンコーダが電気的に接続される制御部とを備え、プーリは、第1部材に取り付けられ、ベルトの一部は、第2部材に固定され、制御部は、モータを駆動させて所定の基準位置に配置される第2部材を被検知部材がセンサに検知されるまで第1部材に対して移動させたときのエンコーダのカウント値が所定の基準範囲から外れると所定の異常処理を実行することを特徴とする。
【0008】
本発明の駆動装置は、第1部材に対して第2部材を移動させるための駆動源となるモータと、第1部材に対して第2部材を移動させるためのプーリおよびベルトと、第1部材および第2部材のいずれか一方に取り付けられるセンサと、第1部材および第2部材のいずれか他方に取り付けられるとともにセンサによって検知される被検知部材と、モータの回転量を検知するためのエンコーダとを備えており、プーリは、第1部材に取り付けられ、ベルトの一部は、第2部材に固定されている。そのため、本発明では、ベルトの伸びが発生すると、モータを駆動させて所定の基準位置に配置される第2部材を被検知部材がセンサに検知されるまで第1部材に対して移動させたときの、モータの回転量が変動して、エンコーダのカウント値が変動する。
【0009】
また、本発明では、制御部は、モータを駆動させて基準位置に配置される第2部材を被検知部材がセンサに検知されるまで第1部材に対して移動させたときのエンコーダのカウント値が所定の基準範囲から外れると所定の異常処理を実行している。そのため、本発明では、駆動装置に不具合が発生する程のベルトの伸びが発生して、エンコーダのカウント値が基準範囲から外れたときに異常処理を実行することが可能になる。したがって、本発明では、ベルトの伸びに起因する駆動装置の不具合の発生を防止することが可能になる。
【0010】
本発明の駆動装置は、たとえば、産業用ロボットに用いることができる。この産業用ロボットでは、ベルトの伸びに起因する駆動装置の不具合の発生を防止することが可能になる。
【0011】
本発明において、産業用ロボットは、たとえば、ハンドと、ハンドが連結されるアームとを備え、駆動装置は、ハンドおよびアームを昇降させる昇降装置であり、第2部材は、第1部材に対して昇降可能な昇降体である。
【0012】
本発明において、昇降装置は、固定体と、固定体に対して昇降可能な第2昇降体と、第2昇降体に対して昇降可能な第1部材としての第3昇降体と、固定体に対して第2昇降体を昇降させるための昇降機構と、昇降機構の動力で昇降する第2昇降体に連動するように第3昇降体を昇降させるための第2プーリおよび第2ベルトとを備え、昇降機構は、モータを備え、第2プーリは、第2昇降体に取り付けられ、第2ベルトの一部は、固定体と第3昇降体とに固定され、昇降体は、昇降する第3昇降体に連動するように昇降し、アームは、昇降体に連結されていることが好ましい。
【0013】
このように構成すると、第1部材である第3昇降体および第2部材である昇降体のいずれか一方のみにセンサが取り付けられ、第3昇降体および昇降体のいずれか他方のみに被検知部材が取り付けられていても、モータを駆動させて基準位置に配置される昇降体を被検知部材がセンサに検知されるまで移動させたときのエンコーダのカウント値に基づいて、ベルトおよび第2ベルトの伸びに起因する昇降体の上下方向の位置の変動量を検知することが可能になり、その結果、ベルトおよび第2ベルトの伸びに起因するハンドおよびアームの上下方向の位置の変動量を直接的に検知することが可能になる。
【0014】
すなわち、第3昇降体および昇降体のいずれか一方のみにセンサが取り付けられ、第3昇降体および昇降体のいずれか他方のみに被検知部材が取り付けられていても、産業用ロボットの、不具合が生じたときに最も問題となりやすい部分(すなわち、ハンドおよびアーム)の上下方向の位置の変動量を直接的に検知することが可能になる。したがって、産業用ロボットの構成を簡素化しつつ、産業用ロボットの、不具合が生じたときに最も問題となりやすい部分の不具合の発生を防止することが可能になる。
【0015】
本発明において、たとえば、第3昇降体の上端部および下端部にプーリが取り付けられ、第2昇降体の上端部および下端部に第2プーリが取り付けられ、ベルトおよび第2ベルトは、環状に形成される無端ベルトであり、ベルトは、2個のプーリに架け渡され、第2ベルトは、2個の第2プーリに架け渡されている。
【0016】
また、上記の課題を解決するため、本発明の駆動装置の異常検知方法は、第1部材と、第1部材に対して直線的に移動可能な第2部材と、第1部材に対して第2部材を移動させるための駆動源となるモータと、第1部材に対して第2部材を移動させるためのプーリおよびベルトと、第1部材および第2部材のいずれか一方に取り付けられるセンサと、第1部材および第2部材のいずれか他方に取り付けられるとともにセンサによって検知される被検知部材と、モータの回転量を検知するためのエンコーダとを備え、プーリは、第1部材に取り付けられ、ベルトの一部は、第2部材に固定されている駆動装置の異常を検知するための異常検知方法であって、モータを駆動させて所定の基準位置に配置される第2部材を被検知部材がセンサに検知されるまで第1部材に対して移動させたときのエンコーダのカウント値が所定の基準範囲から外れると駆動装置の異常を検知することを特徴とする。
【0017】
本発明では、駆動装置は、第1部材に対して第2部材を移動させるための駆動源となるモータと、第1部材に対して第2部材を移動させるためのプーリおよびベルトと、第1部材および第2部材のいずれか一方に取り付けられるセンサと、第1部材および第2部材のいずれか他方に取り付けられるとともにセンサによって検知される被検知部材と、モータの回転量を検知するためのエンコーダとを備えており、プーリは、第1部材に取り付けられ、ベルトの一部は、第2部材に固定されている。そのため、本発明では、ベルトの伸びが発生すると、モータを駆動させて所定の基準位置に配置される第2部材を被検知部材がセンサに検知されるまで第1部材に対して移動させたときの、モータの回転量が変動して、エンコーダのカウント値が変動する。
【0018】
また、本発明では、モータを駆動させて基準位置に配置される第2部材を被検知部材がセンサに検知されるまで第1部材に対して移動させたときのエンコーダのカウント値が所定の基準範囲から外れると駆動装置の異常を検知している。そのため、本発明では、駆動装置に不具合が発生する程のベルトの伸びが発生して、エンコーダのカウント値が基準範囲から外れたときに駆動装置の異常を検知して、所定の異常処理を実行することが可能になる。したがって、本発明では、ベルトの伸びに起因する駆動装置の不具合の発生を防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明では、第1部材と、第1部材に対して直線的に移動可能な第2部材と、第1部材に対して第2部材を移動させるためのプーリおよびベルトとを備える駆動装置において、ベルトの伸びに起因する駆動装置の不具合の発生を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの斜視図であり、(A)は、ハンドおよびアームが上限位置まで上昇している状態を示す図、(B)は、ハンドおよびアームが下限位置まで下降している状態を示す図である。
図2図1に示す産業用ロボットの構成を説明するための側面図である。
図3図1に示す産業用ロボットの構成を説明するための側面図である。
図4図1(A)に示す本体部から固定カバー、第1可動カバー、第2可動カバーおよび第3可動カバーを取り外した状態の正面図である。
図5図4のE部の構成を説明するための拡大斜視図である。
図6図1に示す本体部の構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の斜視図であり、(A)は、ハンド3およびアーム4が上限位置まで上昇している状態を示す図、(B)は、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降している状態を示す図である。
【0023】
本形態の産業用ロボット1は、半導体ウエハを搬送するための水平多関節型のロボットである。産業用ロボット1は、半導体製造システムに組み込まれて使用される。産業用ロボット1は、半導体ウエハが搭載される2個のハンド3と、2個のハンド3が連結されるアーム4と、アーム4が連結される本体部5とを備えている。ハンド3は、アーム4の先端側に回動可能に連結されている。本体部5には、アーム4の基端側が回動可能に連結されている。
【0024】
アーム4は、本体部5の上側に配置されている。アーム4は、本体部5に基端側が回動可能に連結される第1アーム部7と、第1アーム部7の先端側に基端側が回動可能に連結される第2アーム部8と、第2アーム部8の先端側に基端側が回動可能に連結される第3アーム部9とを備えている。本形態のアーム4は、第1アーム部7と第2アーム部8と第3アーム部9との3個のアーム部によって構成されている。アーム4は、水平方向に伸縮動作を行う。第1アーム部7と第2アーム部8と第3アーム部9とは、上下方向において、下側からこの順番で配置されている。ハンド3は、アーム4の上側に配置されている。ハンド3は、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されている。ハンド3の基端部は、第3アーム部9の先端側に回動可能に連結されている。
【0025】
また、産業用ロボット1は、第3アーム部9に対してハンド3を回動させるハンド回動機構と、本体部5に対して第1アーム部7を回動させるとともに第1アーム部7に対して第2アーム部8を回動させて第1アーム部7と第2アーム部8とからなるアーム4の一部を伸縮させるアーム部駆動機構と、第2アーム部8に対して第3アーム部9を回動させる第3アーム部回動機構とを備えている。
【0026】
(本体部の構成)
図2図3は、図1に示す産業用ロボット1の構成を説明するための側面図である。図4は、図1(A)に示す本体部5から固定カバー16、第1可動カバー17、第2可動カバー18および第3可動カバー19を取り外した状態の正面図である。図5は、図4のE部の構成を説明するための拡大斜視図である。図6は、図1に示す本体部5の構成を説明するためのブロック図である。なお、図2は、ハンド3およびアーム4が上限位置まで上昇している状態を示し、図3は、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降している状態を示している。
【0027】
以下の説明では、上下方向(鉛直方向、図1等のZ方向)に直交する図1等のX方向を前後方向とし、上下方向と前後方向とに直交する図1等のY方向を左右方向とする。また、以下の説明では、前後方向の一方側である図1等のX1方向側を「前」側とし、その反対側である図1等のX2方向側を「後ろ」側とし、左右方向の一方側である図1等のY1方向側を「右」側とし、その反対側である図1等のY2方向側を「左」側とする。
【0028】
本体部5は、ハンド3およびアーム4を昇降(上下動)させる機能を備えている。すなわち、本形態の本体部5は、ハンド3およびアーム4を昇降させる昇降装置である。本体部5は、本体部5の下端部を構成する固定フレーム12と、固定フレーム12に対して昇降可能な第1可動フレーム13と、第1可動フレーム13に対して昇降可能な第2可動フレーム14と、第2可動フレーム14に対して昇降可能な第3可動フレーム15と、固定フレーム12を覆う固定カバー16と、第1可動フレーム13を覆う第1可動カバー17と、第2可動フレーム14を覆う第2可動カバー18と、第3可動フレーム15を覆う第3可動カバー19とを備えている。
【0029】
また、本体部5は、固定フレーム12に対して第1可動フレーム13を昇降させるための昇降機構22と、昇降機構22の動力で昇降する第1可動フレーム13と連動するように第1可動フレーム13に対して第2可動フレーム14を昇降させるための第1動力伝達機構23と、昇降する第2可動フレーム14と連動するように第2可動フレーム14に対して第3可動フレーム15を昇降させるための第2動力伝達機構24と、昇降機構22と第1可動フレーム13とを連結する第1スライダ25と、第1動力伝達機構23と第2可動フレーム14とを連結する第2スライダ26と、第2動力伝達機構24と第3可動フレーム15とを連結する第3スライダ27とを備えている。
【0030】
さらに、本体部5は、第2可動フレーム14に取り付けられるセンサ28と、第3スライダ27に取り付けられるとともにセンサ28によって検知される被検知部材29と、本体部5を制御するための制御部30とを備えている。制御部30は、産業用ロボット1を制御するためのロボット制御部の一部を構成している。
【0031】
本形態では、固定フレーム12に対して第1可動フレーム13が上昇すると、連動して、第1可動フレーム13に対して第2可動フレーム14が上昇するとともに、第2可動フレーム14に対して第3可動フレーム15が上昇する。また、固定フレーム12に対して第1可動フレーム13が下降すると、連動して、第1可動フレーム13に対して第2可動フレーム14が下降するとともに、第2可動フレーム14に対して第3可動フレーム15が下降する。
【0032】
固定フレーム12は、本体部5の背面(後面)を構成するフレーム本体31を備えている。フレーム本体31の後面は、前後方向に直交する長方形状の平面となっている。固定フレーム12には、第1可動フレーム13および第1スライダ25を上下方向に案内するための2本のガイドレール32が固定されている。2本のガイドレール32は、左右方向において間隔をあけた状態で配置されている。
【0033】
第1可動フレーム13は、固定フレーム12のフレーム本体31およびガイドレール32よりも前側に配置されている。第1可動フレーム13の左右方向の幅は、固定フレーム12の左右方向の幅よりも狭くなっている。第1可動フレーム13には、第2可動フレーム14および第2スライダ26を上下方向に案内するための2本のガイドレール33が固定されている。2本のガイドレール33は、左右方向において間隔をあけた状態で配置されている。
【0034】
第2可動フレーム14は、第1可動フレーム13およびガイドレール33よりも前側に配置されている。第2可動フレーム14の左右方向の幅は、第1可動フレーム13の左右方向の幅よりも狭くなっている。第2可動フレーム14には、第3可動フレーム15および第3スライダ27を上下方向に案内するための2本のガイドレール34が固定されている。2本のガイドレール34は、左右方向において間隔をあけた状態で配置されている。
【0035】
第3可動フレーム15は、第2可動フレーム14およびガイドレール34よりも前側に配置されている。第3可動フレーム15の左右方向の幅は、第2可動フレーム14の左右方向の幅よりも狭くなっている。第3可動フレーム15の上端部には、アーム4が連結されている。具体的には、第3可動フレーム15の上端部に第1アーム部7の基端側が回動可能に連結されている。上述のアーム部駆動機構は、第3可動フレーム15の内部に配置されている。本形態の本体部5は、第3可動フレーム15の上端部に連結されるアーム4およびハンド3を上下方向に駆動するための駆動装置である。
【0036】
昇降機構22は、駆動源であるモータ37と、モータ37に連結されるボールねじ38とを備えている。本形態の昇降機構22は、2個のモータ37と、2個のモータ37のそれぞれが連結される2本のボールねじ38とを備えている。また、昇降機構22は、モータ37の回転量を検知するためのエンコーダ36を備えている。モータ37は、固定フレーム12に対して第1可動フレーム13を昇降させるための駆動源である。また、モータ37は、第1可動フレーム13に対して第2可動フレーム14を昇降させるための駆動源になっているとともに、第2可動フレーム14に対して第3可動フレーム15を昇降させるための駆動源になっている。モータ37は、制御部30に電気的に接続されている。なお、昇降機構22は、1個のモータ37と1本のボールねじ38とを備えていても良い。
【0037】
ボールねじ38は、モータ37の動力で回転するねじ軸39と、ねじ軸39に係合するナット部材40とを備えている。ねじ軸39は、固定フレーム12に回転可能に保持されている。2本のねじ軸39は、左右方向において間隔をあけた状態で配置されている。2個のナット部材40は、第1スライダ25に取り付けられている。2個のモータ37のそれぞれは、2本のボールねじ38の左右方向の外側に配置されている。また、昇降機構22は、左右方向において2本のガイドレール32の間に配置されるとともに、フレーム本体31の前側に配置されている。
【0038】
エンコーダ36は、たとえば、光学式のロータリーエンコーダである。エンコーダ36は、たとえば、モータ37の出力軸に固定されるスリット板と、スリット板を挟むように配置される発光部および受光部を有する光学式のセンサとを備えている。エンコーダ36は、制御部30に電気的に接続されている。具体的には、エンコーダ36のセンサが制御部30に電気的に接続されている。制御部30には、エンコーダ36の出力信号が入力される。なお、エンコーダ36は、磁気式のロータリーエンコーダであっても良い。
【0039】
第1動力伝達機構23は、第1可動フレーム13の上端部と下端部とに取り付けられる2個のプーリ41と、2個のプーリ41に掛け渡される環状のベルト42と、ベルト42の一部が固定される柱状の柱状部材43とを備えている。第1動力伝達機構23は、第1可動フレーム13の左側に配置されている。第1動力伝達機構23は、昇降機構22およびガイドレール32よりも前側に配置されている。また、第1動力伝達機構23は、第2可動フレーム14よりも後ろ側に配置されている。
【0040】
プーリ41は、たとえば、歯付きプーリである。プーリ41は、左右方向を回転の軸方向として回転可能になっている。2個のプーリ41は、第1可動フレーム13の左端部に回転可能に取り付けられている。ベルト42は、無端ベルトである。また、ベルト42は、たとえば、ゴム製の歯付きベルトである。柱状部材43は、上下方向を長手方向とする柱状に形成されている。たとえば、柱状部材43は、四角柱状に形成されている。柱状部材43の下端部は、固定フレーム12の下端部に固定されている。上下方向から見たときに、柱状部材43は、第1可動フレーム13の左側に配置されている。
【0041】
柱状部材43の上端部には、固定フレーム12に対して第1可動フレーム13が下降し、かつ、第1可動フレーム13に対して第2可動フレーム14が下降しているとともに、第2可動フレーム14に対して第3可動フレーム15が下降して、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降しているとき(図1(B)および図3参照)のベルト42の上側部分が固定されている。第2スライダ26には、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降しているときのベルト42の下側部分が固定されている。柱状部材43は、ベルト42の後ろ側に配置されており、柱状部材43の上端部には、ベルト42の、プーリ41の後ろ側に配置される部分が固定されている。また、第2スライダ26は、ベルト42の前側に配置されており、第2スライダ26には、ベルト42の、プーリ41の前側に配置される部分が固定されている。
【0042】
第2動力伝達機構24は、第2可動フレーム14の上端部と下端部とに取り付けられる2個のプーリ45と、2個のプーリ45に掛け渡される環状のベルト46と、ベルト46の一部が固定される柱状の柱状部材47とを備えている。第2動力伝達機構24は、第2可動フレーム14の右側に配置されている。第2動力伝達機構24は、第1可動フレーム13およびガイドレール33よりも前側に配置されている。また、第2動力伝達機構24は、第3可動フレーム15よりも後ろ側に配置されている。
【0043】
プーリ45は、たとえば、歯付きプーリである。プーリ45は、左右方向を回転の軸方向として回転可能になっている。2個のプーリ45は、第2可動フレーム14の右端部に回転可能に取り付けられている。ベルト46は、無端ベルトである。また、ベルト46は、たとえば、ゴム製の歯付きベルトである。柱状部材47は、上下方向を長手方向とする柱状に形成されている。たとえば、柱状部材47は、四角柱状に形成されている。柱状部材47の下端部は、第1可動フレーム13の下端部に固定されている。上下方向から見たときに、柱状部材47は、第2可動フレーム14の右側に配置されている。
【0044】
柱状部材47の上端部には、固定フレーム12に対して第1可動フレーム13が下降し、かつ、第1可動フレーム13に対して第2可動フレーム14が下降しているとともに、第2可動フレーム14に対して第3可動フレーム15が下降して、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降しているときのベルト46の上側部分が固定されている。第3スライダ27には、ハンド3およびアーム4が下限位置まで下降しているときのベルト46の下側部分が固定されている。柱状部材47は、ベルト46の後ろ側に配置されており、柱状部材47の上端部には、ベルト46の、プーリ45の後ろ側に配置される部分が固定されている。また、第3スライダ27は、ベルト46の前側に配置されており、第3スライダ27には、ベルト46の、プーリ45の前側に配置される部分が固定されている。
【0045】
第3可動カバー19は、下面が開口する直方体の箱状に形成されている。第3可動カバー19の上面は、上下方向に直交し、第3可動カバー19の側面は、左右方向または前後方向に直交している。第3可動カバー19の上面部には、第3可動フレーム15の上端部が配置される貫通穴19aが形成されている。第3可動カバー19は、第3可動フレーム15に固定されており、第3可動フレーム15と一緒に昇降する。
【0046】
第3可動カバー19の上下方向の長さは、第3可動フレーム15の上下方向の長さよりも短くなっている。第3可動フレーム15の下端部は、第3可動カバー19の下端よりも下側に配置されている(図2等参照)。第3可動カバー19は、第3可動フレーム15の一部を上側から覆うとともに、第3可動フレーム15の、上端部および下端部を除いた部分を前後左右方向の両側から覆っている。
【0047】
第2可動カバー18は、下面が開口する直方体の箱状に形成されている。第2可動カバー18の上面は、上下方向に直交し、第2可動カバー18の側面は、左右方向または前後方向に直交している。第2可動カバー18の外形は、第3可動カバー19の外形よりも大きくなっている。上下方向から見たときに、第3可動カバー19は、第2可動カバー18の外周面よりも内周側に配置されている。第2可動カバー18の上面部には、第3可動カバー19が配置される貫通穴18aが形成されている。貫通穴18aは、第2可動フレーム14、第2動力伝達機構24およびガイドレール34よりも前側に配置されている。
【0048】
第2可動カバー18は、第2可動フレーム14に固定されており、第2可動フレーム14と一緒に昇降する。第2可動カバー18の上下方向の長さは、第2可動フレーム14の上下方向の長さよりも短くなっている。第2可動フレーム14の下端部は、第2可動カバー18の下端よりも下側に配置されている(図2等参照)。第2可動カバー18は、第2可動フレーム14および第2動力伝達機構24を上側から覆うとともに、第2可動フレーム14の、下端部を除いた部分を前後左右方向の両側から覆っている。
【0049】
第1可動カバー17は、下面が開口する直方体の箱状に形成されている。第1可動カバー17の上面は、上下方向に直交し、第1可動カバー17の側面は、左右方向または前後方向に直交している。第1可動カバー17の外形は、第2可動カバー18の外形よりも大きくなっている。上下方向から見たときに、第2可動カバー18は、第1可動カバー17の外周面よりも内周側に配置されている。第1可動カバー17の上面部には、第2可動カバー18および第3可動カバー19が配置される貫通穴17aが形成されている。貫通穴17aは、第1動力伝達機構23およびガイドレール33よりも前側に配置されている。
【0050】
第1可動カバー17は、第1可動フレーム13に固定されており、第1可動フレーム13と一緒に昇降する。第1可動カバー17の上下方向の長さは、第1可動フレーム13の上下方向の長さよりも短くなっている。第1可動フレーム13の下端部は、第1可動カバー17の下端よりも下側に配置されている(図2等参照)。第1可動カバー17は、第1可動フレーム13および第1動力伝達機構23を上側から覆うとともに、第1可動フレーム13の、下端部を除いた部分を前後左右方向の両側から覆っている。
【0051】
固定カバー16は、下面および後面が開口する直方体の箱状に形成されている。固定カバー16の上面は、上下方向に直交し、固定カバー16の側面は、左右方向または前後方向に直交している。固定カバー16の外形は、第1可動カバー17の外形よりも大きくなっている。上下方向から見たときに、第1可動カバー17は、固定カバー16の外周面よりも内周側に配置されている。固定カバー16の上面部には、第1可動カバー17、第2可動カバー18および第3可動カバー19が配置される貫通穴16aが形成されている。貫通穴16aは、昇降機構22およびガイドレール32よりも前側に配置されている。
【0052】
固定カバー16は、固定フレーム12に固定されている。固定カバー16の後端部の内周面は、フレーム本体31の左右方向の両側面および上端面に接触している。固定カバー16の上下方向の長さは、固定フレーム12の上下方向の長さとほぼ等しくなっている。固定カバー16の後面側に形成される開口は、フレーム本体31によって塞がれている。固定カバー16は、固定フレーム12および昇降機構22を上側から覆うとともに、固定フレーム12を前側および左右方向の両側から覆っている。
【0053】
第1スライダ25は、第1可動カバー17の下端よりも下側に配置される第1可動フレーム13の下端部に固定されている。第1スライダ25の後端部には、2個のナット部材40が取り付けられている。すなわち、第1スライダ25は、第1可動フレーム13と2個のナット部材40とを連結している。第1スライダ25は、ガイドレール32に係合するガイドブロックを備えており、2本のガイドレール32に沿って昇降する。なお、第1スライダ25は、第1可動フレーム13と一体で形成されていても良い。
【0054】
第2スライダ26は、第2可動カバー18の下端よりも下側に配置される第2可動フレーム14の下端部に固定されている。第2スライダ26の後端部には、ベルト42の一部が固定されている。すなわち、第2スライダ26は、第2可動フレーム14とベルト42とを連結している。第2スライダ26は、ガイドレール33に係合するガイドブロックを備えており、2本のガイドレール33に沿って昇降する。なお、第2スライダ26は、第2可動フレーム14と一体で形成されていても良い。
【0055】
第3スライダ27は、第3可動カバー19の下端よりも下側に配置される第3可動フレーム15の下端部に固定されている。第3スライダ27の後端部には、ベルト46の一部が固定されている。すなわち、第3スライダ27は、第3可動フレーム15とベルト46とを連結している。第3スライダ27は、ガイドレール34に係合するガイドブロックを備えており、2本のガイドレール34に沿って昇降する。なお、第3スライダ27は、第3可動フレーム15と一体で形成されていても良い。
【0056】
センサ28は、たとえば、発光部および受光部を有する光学式のセンサである。センサ28の発光部と受光部とは、左右方向において間隔をあけた状態で対向配置されている。上述のように、センサ28は、第2可動フレーム14に取り付けられている。具体的には、センサ28は、第2可動フレーム14の右上端部に固定されている。センサ28は、第2可動フレーム14の右上端部に取り付けらけられるプーリ45の近くに配置されている。センサ28は、制御部30に電気的に接続されている。制御部30には、センサ28の出力信号が入力される。
【0057】
被検知部材29は、金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。被検知部材29は、センサ28の発光部と受光部との間を遮るための遮光部29aを備えている。遮光部29aは、左右方向を厚さ方向とする平板状に形成されている。上述のように、被検知部材29は、第3スライダ27に取り付けられている。具体的には、被検知部材29は、第3スライダ27の、ベルト46の一部が固定される部分の近傍に固定されている。遮光部29aは、第2可動フレーム14に対して第3可動フレーム15が所定の位置まで上昇するとセンサ28の発光部と受光部との間を遮る。すなわち、第2可動フレーム14に対して第3可動フレーム15が所定の位置まで上昇すると、被検知部材29がセンサ28に検知される。
【0058】
本形態では、第3可動フレーム15と第3スライダ27とによって昇降体50が構成され、固定フレーム12と柱状部材43とによって固定体51が構成されている。また、第1可動フレーム13と第1スライダ25と柱状部材47とによって固定体51に対して昇降可能な第2昇降体としての昇降体52が構成され、第2可動フレーム14と第2スライダ26とによって昇降体52に対して昇降可能な第3昇降体としての昇降体53が構成されている。すなわち、本体部5は、昇降体50と固定体51と昇降体52と昇降体53とを備えている。
【0059】
昇降体50は、第3昇降体である昇降体53に対して昇降可能となっている。また、昇降体50は、昇降する昇降体53と連動するように昇降する。アーム4は、昇降体50に連結されている。昇降機構22は、固定体51に対して昇降体52を昇降させる。本形態のプーリ41は、昇降機構22の動力で昇降する昇降体52に連動するように昇降体53を昇降させるための第2プーリであり、ベルト42は、昇降機構22の動力で昇降する昇降体52に連動するように昇降体53を昇降させるための第2ベルトである。
【0060】
また、本形態の昇降体53は、第1部材となっており、昇降体50は、第1部材である昇降体53に対して直線的に移動可能な第2部材となっている。モータ37は、第1部材である昇降体53に対して、第2部材である昇降体50を移動させるための駆動源となっている。プーリ45およびベルト46は、昇降体53に対して昇降体50を移動させるために設けられている。
【0061】
産業用ロボット1では、定期的に、所定の基準位置に配置される昇降体50を被検知部材29がセンサ28に検知されるまで昇降体53に対して移動させる。すなわち、産業用ロボット1では、定期的に、モータ37を駆動して、被検知部材29がセンサ28に検知される位置まで昇降体50、52、53を移動させる。基準位置は、たとえば、昇降体53に対する昇降体50の下限位置であり、基準位置に配置される昇降体50は、被検知部材29がセンサ28に検知されるまで上昇する。昇降体50が基準位置に配置されているときには、昇降体52は、固定体51に対する下限位置に配置され、昇降体53は、昇降体52に対する下限位置に配置されている。また、産業用ロボット1では、たとえば、1日に1回、基準位置に配置される昇降体50を被検知部材29がセンサ28に検知されるまで昇降体53に対して上昇させる。
【0062】
制御部30は、モータ37を駆動させて基準位置に配置される昇降体50を被検知部材29がセンサ28に検知されるまで昇降体53に対して移動させたときのエンコーダ36のカウント値を算出する。すなわち、制御部30は、モータ37を駆動させて基準位置に配置される昇降体50を被検知部材29がセンサ28に検知されるまで昇降体53に対して上昇させたときのエンコーダ36の出力信号に基づいてカウントされるエンコーダ36のカウント値を算出する。
【0063】
また、制御部30は、このときのエンコーダ36のカウント値が所定の基準範囲から外れると、本体部5の異常を検知して、所定の異常処理を実行する。すなわち、制御部30は、このときのモータ37の回転量が所定の基準範囲から外れると、本体部5の異常を検知して、異常処理を実行する。たとえば、制御部30は、エンコーダ36のカウント値が所定の基準範囲から外れると、産業用ロボット1を制御する上位装置にアラーム信号を送信する。
【0064】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、本体部5は、モータ37と、昇降体52に対して昇降体53を昇降させるためのプーリ41およびベルト42と、昇降体53に対して昇降体50を昇降させるためのプーリ45およびベルト46と、昇降体53に取り付けられるセンサ28と、昇降体50に取り付けられる被検知部材29と、モータ37の回転量を検知するためのエンコーダ36とを備えている。また、本形態では、モータ37は、昇降体52に対して昇降体53を昇降させるための駆動源になっているとともに、昇降体53に対して昇降体50を昇降させるための駆動源になっている。さらに、本形態では、プーリ41が第2昇降体52に取り付けられ、プーリ45が第3昇降体53に取り付けられているとともに、ベルト42が固定体51および昇降体53に固定され、ベルト46が昇降体50、52に固定されている。
【0065】
そのため、本形態では、ベルト42、46の伸びが発生すると、モータ37を駆動させて基準位置に配置される昇降体50を被検知部材29がセンサ28に検知されるまで昇降体53に対して移動させたときの、モータ37の回転量が変動して、エンコーダ36のカウント値が変動する。また、本形態では、制御部30は、モータ37を駆動させて基準位置に配置される昇降体50を被検知部材29がセンサ28に検知されるまで昇降体53に対して移動させたときのエンコーダ36のカウント値を算出し、エンコーダ36のカウント値が所定の基準範囲から外れると、異常を検知して所定の異常処理を実行している。
【0066】
したがって、本形態では、産業用ロボット1に不具合が発生する程のベルト42、46の伸びが発生して、エンコーダ36のカウント値が基準範囲から外れたときに異常を検知して異常処理を実行することが可能になる。たとえば、上述のように、上位装置にアラーム信号を送信することが可能になる。また、本形態では、上位装置がアラーム信号を受信したときに、オペレータがベルト42、46のメンテナンス等を行うことで、ベルト42、46の伸びに起因する産業用ロボット1の不具合の発生を防止することが可能になる。
【0067】
本形態では、アーム4が連結される昇降体50に被検知部材29が取り付けられ、昇降体53にセンサ28が取り付けられている。そのため、本形態では、昇降体50のみに被検知部材29が取り付けられ、昇降体53のみにセンサ28が取り付けられていても、モータ37を駆動させて基準位置に配置される昇降体50を被検知部材29がセンサ28に検知されるまで移動させたときのエンコーダ36のカウント値に基づいて、ベルト42、46の伸びに起因するハンド3およびアーム4の上下方向の位置の変動量を直接的に検知することが可能になる。
【0068】
すなわち、本形態では、昇降体50のみに被検知部材29が取り付けられ、昇降体53のみにセンサ28が取り付けられていても、産業用ロボット1の、不具合が生じたときに最も問題となりやすい部分(すなわち、ハンド3およびアーム4)の上下方向の位置の変動量を直接的に検知することが可能になる。したがって、本形態では、産業用ロボット1の構成を簡素化しつつ、産業用ロボット1の、不具合が生じたときに最も問題となりやすい部分の不具合の発生を防止することが可能になる。
【0069】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0070】
上述した形態において、第2可動フレーム14に被検知部材29が取り付けられ、第3スライダ27にセンサ28が取り付けられていても良い。また、上述した形態において、本体部5は、第2可動フレーム14に取り付けられるセンサ28および第3スライダ27に取り付けられる被検知部材29に加えて、あるいは、第2可動フレーム14に取り付けられるセンサ28および第3スライダ27に取り付けられる被検知部材29に代えて、第1可動フレーム13および第2スライダ26のいずれか一方に取り付けられるセンサ28と、第1可動フレーム13および第2スライダ26のいずれか他方に取り付けられる被検知部材29とを備えていても良い。この場合には、昇降体52と昇降体53との関係において、昇降体52は第1部材となっており、昇降体53は第2部材となっている。
【0071】
上述した形態において、本体部5は、第3可動フレーム15と第3可動カバー19と第2動力伝達機構24と第3スライダ27とを備えていなくても良い。すなわち、第2可動フレーム14の上端部にアーム4が連結されていても良い。この場合には、第1可動フレーム13および第2スライダ26のいずれか一方にセンサ28が取り付けられ、第1可動フレーム13および第2スライダ26のいずれか他方に被検知部材29が取り付けられている。この場合には、昇降体52と昇降体53との関係において、昇降体52は第1部材となっており、昇降体53は第2部材となっている。
【0072】
上述した形態において、本体部5は、第3可動フレーム15に対して昇降可能な第4可動フレームと、昇降する第3可動フレーム15と連動するように第3可動フレーム15に対して第4可動フレームを昇降させるためのプーリおよびベルトを有する第3動力伝達機構と、第3動力伝達機構と第4可動フレームとを連結する第4スライダとを備えていても良い。この場合には、第4可動フレームの上端部にアーム4が連結されている。また、この場合には、たとえば、第3可動フレーム15および第4スライダのいずれか一方にセンサ28が取り付けられ、第3可動フレーム15および第4スライダのいずれか他方に被検知部材29が取り付けられている。この場合には、第4可動フレームと第4スライダとによって構成される昇降体と昇降体50との関係において、昇降体50は第1部材となっており、第4可動フレームと第4スライダとによって構成される昇降体は、第2部材となっている。
【0073】
また、本体部5は、さらに、第4可動フレームに対して昇降可能な第5可動フレームと、昇降する第4可動フレームと連動するように第4可動フレームに対して第5可動フレームを昇降させるためのプーリおよびベルトを有する第4動力伝達機構と、第4動力伝達機構と第5可動フレームとを連結する第5スライダとを備えていても良い。この場合には、第5可動フレームの上端部にアーム4が連結されている。また、この場合には、たとえば、第4可動フレームおよび第5スライダのいずれか一方にセンサ28が取り付けられ、第4可動フレームおよび第5スライダのいずれか他方に被検知部材29が取り付けられている。
【0074】
このように、本体部5は、第1可動フレーム13と第2可動フレーム14と第3可動フレーム15と第4可動フレームとを有する5段構造となっていても良いし、第1可動フレーム13と第2可動フレーム14と第3可動フレーム15と第4可動フレームと第5可動フレームとを有する6段構造となっていても良い。また、本体部5は、7段構造以上の複数段構造となっていても良い。
【0075】
上述した形態において、昇降機構22は、ボールねじ38に代えて、固定フレーム12の上端部と下端部とに取り付けられる2個のプーリと、2個のプーリに架け渡されるとともに一部が第1スライダ25に固定されるベルトとを備えていても良い。この場合には、モータ37の動力で2個のプーリのうちの一方のプーリが回転する。この場合には、固定フレーム12および第1スライダ25のいずれか一方にセンサ28が取り付けられ、固定フレーム12および第1スライダ25のいずれか他方に被検知部材29が取り付けられていても良い。
【0076】
この場合には、固定体51と昇降体52との関係において、固定体51は第1部材となっており、昇降体52は、第2部材となっている。また、この場合には、本体部5は、第2可動フレーム14と第3可動フレーム15と第2可動カバー18と第3可動カバー19と第1動力伝達機構23と第2動力伝達機構24と第2スライダ26と第3スライダ27とを備えていなくても良い。すなわち、第1可動フレーム13の上端部にアーム4が連結されていても良い。
【0077】
上述した形態において、第1動力伝達機構23は、第1可動フレーム13の上端部に取り付けられる1個のみのプーリ41を備えていても良い。この場合には、ベルト42は環状に形成されていない。同様に、第2動力伝達機構24は、第2可動フレーム14の上端部に取り付けられる1個のみのプーリ45を備えていても良い。この場合には、ベルト46は環状に形成されていない。また、上述した形態において、アーム4は、2個のアーム部によって構成されても良いし、4個以上のアーム部によって構成されていても良い。さらに、上述した形態において、第3アーム部9の先端側に1個のハンド3が取り付けられても良い。また、上述した形態において、産業用ロボット1は、液晶表示装置用のガラス基板等の、半導体ウエハ以外の搬送対象物を搬送しても良い。
【0078】
上述した形態において、産業用ロボット1は、水平多関節型のロボット以外のロボットであっても良い。たとえば、産業用ロボット1は、特開2019-25587号公報に開示されているように、ハンドと、ハンドが固定されるハンド支持部材と、ハンド支持部材を介してハンドが連結されるアームとを備えていても良い。この場合には、ハンドおよびハンド支持部材がアームに対して水平方向に直線的に往復移動する。
【0079】
本発明が適用される駆動装置は、ハンド3およびアーム4を昇降させる昇降装置でなくても良い。たとえば、本発明が適用される駆動装置は、本体部5を水平方向に直線的に移動させるための水平駆動装置であっても良い。この場合には、駆動装置は、たとえば、本体部5が移動可能に載置される第1部材としてのベース部材を備えており、本体部5が第2部材となっている。また、この場合には、駆動装置は、たとえば、ベース部材に取り付けられる2個のプーリと、2個のプーリに架け渡されるとともに一部が固定フレーム12に固定されるベルトとを備えていても良い。この場合には、ベース部材および固定フレーム12のいずれか一方にセンサ28が取り付けられ、ベース部材および固定フレーム12のいずれか他方に被検知部材29が取り付けられている。また、本発明が適用される駆動装置は、たとえば、特開2019-25587号公報に開示された産業用ロボットにおいて、アームに対してハンドおよびハンド支持部材を水平方向に直線的に移動させるためのハンド駆動装置であっても良い。
【符号の説明】
【0080】
1 産業用ロボット
3 ハンド
4 アーム
5 本体部(昇降装置、駆動装置)
22 昇降機構
28 センサ
29 被検知部材
30 制御部
36 エンコーダ
37 モータ
41 プーリ(第2プーリ)
42 ベルト(第2ベルト)
45 プーリ
46 ベルト
50 昇降体(第2部材)
51 固定体
52 昇降体(第2昇降体)
53 昇降体(第3昇降体、第1部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6