(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147176
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】土壌の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 1/72 20060101AFI20241008BHJP
C11D 1/722 20060101ALI20241008BHJP
C09K 3/32 20060101ALI20241008BHJP
B09B 3/80 20220101ALI20241008BHJP
B09C 1/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C11D1/72
C11D1/722
C09K3/32 J
B09B3/80
B09B5/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060021
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100203242
【弁理士】
【氏名又は名称】河戸 春樹
(72)【発明者】
【氏名】柏木 啓孝
(72)【発明者】
【氏名】林 拓実
【テーマコード(参考)】
4D004
4H003
【Fターム(参考)】
4D004AA41
4D004AB02
4D004AC07
4D004CA40
4D004CB42
4D004CC05
4D004DA03
4D004DA20
4H003AC08
4H003AC23
4H003DA20
4H003DB01
4H003DC02
4H003ED02
4H003FA04
(57)【要約】
【課題】酸化劣化した油類が付着した土壌の洗浄効果に優れる土壌の洗浄方法を提供する。
【解決手段】酸化劣化した油類が付着した土壌と、(a)脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物と水とを含む65℃以上100℃以下の液体洗浄剤組成物と、を接触させる、土壌の洗浄方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化劣化した油類が付着した土壌と、
(a)脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物〔以下、(a)成分という〕と水とを含む65℃以上100℃以下の液体洗浄剤組成物と、
を接触させる、
土壌の洗浄方法。
【請求項2】
前記酸化劣化した油類は、該酸化劣化した油類100質量部に対するn-ヘプタン不溶分が15質量部以上である、請求項1に記載の土壌の洗浄方法。
【請求項3】
前記酸化劣化した油類が付着した土壌と、前記液体洗浄剤組成物との混合物を撹拌混合する、請求項1又は2に記載の土壌の洗浄方法。
【請求項4】
(a)成分は、下記一般式(a1)で表される化合物から選ばれる1種以上である、請求項1~3の何れか1項に記載の土壌の洗浄方法。
R1a-O-(A1aO)n-H (a1)
〔式中、R1aは炭素数8以上26以下の脂肪族炭化水素基であり、A1aO基は炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上である。nはA1aO基の平均付加モル数であって、2以上20以下の数である。〕
【請求項5】
一般式(a1)中、R1aは、アルケニル基である、請求項4に記載の土壌の洗浄方法。
【請求項6】
一般式(a1)中、R1aの炭素数は18以上26以下である、請求項4又は5に記載の土壌の洗浄方法。
【請求項7】
一般式(a1)中、nは10以上20以下である、請求項4~6の何れか1項に記載の土壌の洗浄方法。
【請求項8】
前記液体洗浄剤組成物は、該組成物に含まれる水以外の成分中、(a)成分の占める割合〔(a)/(液体洗浄剤組成物に含まれる水以外の成分)〕が、85質量%以上である、請求項1~7の何れか1項に記載の土壌の洗浄方法。
【請求項9】
前記油類は、芳香族炭化水素化合物である、請求項1~8の何れか1項に記載の土壌の洗浄方法。
【請求項10】
前記土壌は、75μmのふるい通過分が15質量%以下の骨材である、請求項1~9の何れか1項に記載の土壌の洗浄方法。
【請求項11】
酸化劣化した油類が付着した土壌と、(a)脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物と水とを含む65℃以上100℃以下の液体洗浄剤組成物と、を接触させ、土壌に付着した酸化劣化した油類を土壌から液体洗浄剤組成物に移行させる工程と、
前記土壌から移行した酸化劣化した油類を含む液体洗浄剤組成物と土壌とを分離して、再生土壌を得る工程と、
を有する、
再生土壌の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌の洗浄方法及び再生土壌の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業廃棄物の不法投棄、工場における廃棄物処理、最終処分場からの有害物質漏出事故による土壌汚染、そして石油コンビナート、ガソリンスタンドや化学工場などの敷地・跡地では、種々の油類の漏出事故や長期にわたる漏出により、様々な場面で深刻な土壌汚染にみまわれるケースが多発している。
【0003】
従来、このような汚染土壌の修復方法には、掘削後の焼却処理、固化・固定化、囲い込み処理、バイオレメディエーション、土壌洗浄法等の技術が用いられてきたが、中でも汚染物質を土壌から除去し、浄化する技術が主流となりつつある。
【0004】
土壌洗浄法は、他の方法と比較して、異なる汚染種(油、重金属)でも浄化できるため汎用性が高く、バイオレメディエーション等の前処理工程としても利用でき、汚染土壌の処理量が大きく、総合的に浄化費用の低コスト化を実現できる要素を含んでいる。通常、土壌洗浄法では、界面活性剤などを含有する洗浄剤が用いられる。
【0005】
特許文献1には、(A1)所定の非イオン性界面活性剤と、(B)有機アミン化合物とを含有する、土壌浄化剤組成物が開示されている。
また、特許文献2には、非イオン性界面活性剤及びポリカルボン酸系重合体(A)を含有する、土壌洗浄剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-132905号公報
【特許文献2】特開2003-119495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、酸化劣化した油類は、分子中の極性基(カルボニル基)が増加することで、親水性である骨材等の土壌と強く相互作用し、洗浄が困難になる傾向がある。そこで、酸化劣化した油類、とりわけ、酸化劣化した重油などの油類により汚染された土壌の洗浄効果の向上が求められている。特許文献1及び特許文献2には、酸化劣化した油類で汚染された土壌の洗浄性については何ら述べられていない。
本発明は、酸化劣化した油類が付着した土壌の洗浄効果に優れた土壌の洗浄方法及び前記洗浄方法を用いた再生土壌の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、酸化劣化した油類が付着した土壌と、(a)脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物〔以下、(a)成分という〕と水とを含む65℃以上100℃以下の液体洗浄剤組成物と、を接触させる、土壌の洗浄方法に関する。
【0009】
また、本発明は、酸化劣化した油類が付着した土壌と、(a)脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物と水とを含む65℃以上100℃以下の液体洗浄剤組成物と、を接触させ、土壌に付着した酸化劣化した油類を土壌から液体洗浄剤組成物に移行させる工程と、前記土壌から移行した酸化劣化した油類を含む液体洗浄剤組成物と土壌とを分離して、再生土壌を得る工程と、を有する、再生土壌の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、酸化劣化した油類が付着した土壌の洗浄効果に優れた土壌の洗浄方法及び前記洗浄方法を用いた再生土壌の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の土壌の洗浄方法が、酸化劣化した油類が付着した土壌に対して優れた洗浄効果を有する理由は定かではないが、以下のように推察される。
酸化劣化した油類、例えば酸化劣化した重油は、分子中に極性基(カルボニル基やカルボキシ基など)が増加することで、親水性である土壌(例えば、骨材)と強く相互作用し、洗浄がより困難になると推察される。また、土壌と油類との間の極性相互作用は、温度依存性があり、高温で弱くなると推察される。
非イオン性界面活性剤は、土壌と親和性の高い酸素原子を有する。しかし、非イオン性界面活性剤と水分子との相互作用が強いと、非イオン性界面活性剤を土壌界面に親和させることが困難となると推察される。
本発明の土壌の洗浄方法では、(a)成分である所定の非イオン性界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物を所定の温度で、汚染土壌に作用させることで、土壌と酸化劣化した油類の極性相互作用を弱める効果と、非イオン性界面活性剤と水分子の相互作用を弱める作用とのバランスにより、土壌から酸化劣化した油類の被膜を効率的に除去でき、酸化劣化した油類で汚染された土壌の洗浄効果が顕著に発現したものと推察される。
また、(a)成分が不飽和結合を含む非イオン性界面活性剤を含むことで、芳香族基や不飽和構造を多く含む酸化劣化した油類に対してより優れた洗浄効果が発現したものと推察される。
なお、本発明の土壌の洗浄方法及び本発明の再生土壌の製造方法は、上記の作用機構になんら限定されるものではない。
【0012】
<液体洗浄剤組成物>
まず、本発明に係る土壌の洗浄方法に用いられる液体洗浄剤組成物〔以下、本発明に係る液体洗浄剤組成物という〕について詳細に説明する。本発明に係る液体洗浄剤組成物は、土壌用液体洗浄剤組成物であってよい。
本発明に係る液体洗浄剤組成物は、(a)脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物〔以下、(a)成分という〕と水とを含有する。
【0013】
<(a)成分>
(a)成分は、脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物である。前記脂肪族アルコールとしては、直鎖の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールが挙げられる。前記脂肪族アルコールの炭素数は、酸化劣化した重油などの油類との親和性の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、更により好ましくは14以上、更により好ましくは18以上、そして、水溶液中での安定性の観点から、好ましくは26以下、より好ましくは24以下、更に好ましくは22以下、更により好ましくは20以下である。前記アルキレンオキシドとしては、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシドが挙げられ、好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドから選ばれる1種以上である。
【0014】
(a)成分は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。
アルキレンオキシドの平均付加モル数は、土壌(例えば、骨材)表面への親和性向上の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上、更により好ましくは8以上、更により好ましくは10以上、そして、酸化劣化した重油などの油類との親和性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下である。
【0015】
(a)成分は、例えば、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンアラキジルエーテル、ポリオキシエチレンベへニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンミリスチルエーテル等が挙げられる。(a)成分は、これら化合物であって、オキシエチレン等の平均付加モル数が前記アルキレンオキシドの平均付加モル数の範囲である化合物が好ましい。
【0016】
(a)成分は、下記一般式(a1)で表される化合物から選ばれる1種以上が好ましい。
R1a-O-(A1aO)n-H (a1)
〔式中、R1aは炭素数8以上26以下の脂肪族炭化水素基であり、A1aO基は炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上である。nはA1aO基の平均付加モル数であって、2以上20以下の数である。〕
【0017】
一般式(a1)中、R1aの炭素数は、酸化劣化した重油などの油類との親和性の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、更により好ましくは14以上、更により好ましくは18以上、そして、水溶液中での安定性の観点から、好ましくは26以下、より好ましくは24以下、更に好ましくは22以下、更により好ましくは20以下である。
R1aは、脂肪族炭化水素基であり、好ましくはアルキル基及びアルケニル基から選ばれる基であり、より好ましくはアルケニル基である。
R1aは、直鎖又は分岐鎖であってよく、直鎖が好ましい。
【0018】
一般式(a1)中、A1aO基は、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上、好ましくは炭素数2以上3以下のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上、より好ましくはエチレンオキシ基である。A1aO基が、異なる複数のアルキレンオキシ基を含む場合、異なるアルキレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。
【0019】
一般式(a1)中、nは、土壌(例えば、骨材)表面への親和性向上の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上、更により好ましくは8以上、更により好ましくは10以上、そして、酸化劣化した重油などの油類との親和性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下である。
【0020】
(a)成分は、酸化劣化した重油などの油類及び土壌表面の双方と効果的に相互作用し、洗浄能力を高める観点から、一般式(a1)において、R1aの炭素数が18以上26以下、A1aO基が、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、又はその両方を含み、nが、10以上20以下である化合物から選ばれる1種以上の非イオン性界面活性剤が好ましい。
【0021】
<組成等>
本発明に係る液体洗浄剤組成物は、(a)成分を、土壌洗浄力の向上の観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上、そして、液体洗浄剤組成物の安定性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下含有する。
また、本発明に係る液体洗浄剤組成物は、該液体洗浄剤組成物100質量部に対して、(a)成分を、土壌洗浄力の向上の観点から、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上、そして、液体洗浄剤組成物の安定性の観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは6質量部以下含有する。
【0022】
本発明に係る液体洗浄剤組成物は、水を含有する。水は、蒸留水、水道水、地下水、湖沼水、河川水などが挙げられる。水は、(a)成分及び下記の任意成分以外の残部として、組成物全体の組成が100質量%となるような量で用いることができる。本発明に係る液体洗浄剤組成物は、洗浄力の観点から、水を、組成物中に、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下含有する。
【0023】
本発明に係る液体洗浄剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意に、無機塩基化合物、有機塩基化合物を含有することができる。
無機塩基化合物としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。また、有機塩基化合物としては、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、n-ブチルアミン、ジ-n-ブチルアミン、tert-ブチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタノールアミン等のアルカノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンエキサミン等のポリエチレンアミンなどが挙げられる。
【0024】
油類で汚染された土壌と接触させる本発明に係る液体洗浄剤組成物の温度は、酸化劣化した重油などの油類と(a)成分との親和性を高める観点から、65℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは75℃以上、更に好ましくは80℃以上、更により好ましくは85℃以上、そして、作業性の観点から、100℃以下、好ましくは98℃以下、より好ましくは95℃以下、更に好ましくは90℃以下である。
本発明に係る液体洗浄剤組成物は、土壌と接触させたときの温度が上記温度範囲であればよく、土壌の洗浄工程で上記温度範囲が維持されるように加熱することが好ましい。
【0025】
本発明に係る液体洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、洗浄力の観点から、好ましくは5以上、より好ましくは5.0以上、更に好ましくは6.0以上、そして、洗浄力の観点から、好ましくは14.0以下、より好ましくは13.0以下、更に好ましくは12.0以下である。
本発明に係る液体洗浄剤組成物は、土壌を洗浄する際の温度〔以下、洗浄時の温度という〕におけるpHが上記範囲であることが好ましく、25℃におけるpHが上記範囲であれば、洗浄時の温度におけるpHも上記範囲を維持しているといえる。
【0026】
<pHの測定法>
本発明に係る液体洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、具体的には、下記pHの測定方法で測定される。
pHメーター(例えば、株式会社堀場製作所製、pH/イオンメーター F-23)にpH電極内部液を飽和塩化カリウム水溶液(3.33モル/L)としたpH測定用複合電極(例えば、株式会社堀場製作所製、ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続する。次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬する。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行う。測定対象となる本発明に係る液体洗浄剤組成物を25℃に調整し、前記のpHメーターの電極をこの液体洗浄剤組成物に浸漬し、1分後のpHを測定する。
なお、本発明に係る液体洗浄剤組成物の洗浄時の温度におけるpHは、上記の記載において「25℃」を「洗浄時の温度」と読み替えて、上記と同様の方法で測定することができる。
【0027】
本発明に係る液体洗浄剤組成物は、該組成物に含まれる有効成分中、(a)成分の占める割合〔(a)/(有効成分)〕が、洗浄力の観点から、好ましくは85質量%以上、より好ましくは87質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下である。本発明に係る液体洗浄剤組成物は、前記割合〔(a)/(有効成分)〕が100質量%、すなわち、本発明に係る液体洗浄剤組成物は、有効成分として(a)成分を含有する液体洗浄剤組成物であってよい。
なお、本明細書において、有効成分とは、本発明に係る液体洗浄剤組成物に含まれる水以外の成分、更には本発明に係る液体洗浄剤組成物に含まれる水を除く酸化劣化した油類の洗浄効果を有する化合物であってよい。
すなわち、本発明に係る液体洗浄剤組成物は、該組成物に含まれる水以外の成分中、(a)成分の占める割合〔(a)/(液体洗浄剤組成物に含まれる水以外の成分)〕が、洗浄力の観点から、好ましくは85質量%以上、より好ましくは87質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下である。
【0028】
また、本発明に係る液体洗浄剤組成物は、該組成物に含まれる界面活性剤の中、(a)成分の含有量の割合〔(a)/(界面活性剤)〕が、洗浄力の観点から、好ましくは85質量%以上、より好ましくは87質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下である。前記割合〔(a)/(界面活性剤)〕は、100質量%、すなわち、本発明に係る液体洗浄剤組成物は、界面活性剤として(a)成分を含有する液体洗浄剤組成物であってよい。
なお、(a)成分以外の界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、(a)成分に該当するものを除く非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。本発明に係る液体洗浄剤組成物における、界面活性剤の合計含有量は、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の合計含有量であってよい。
【0029】
本発明に係る液体洗浄剤組成物は、酸化劣化した油類を洗浄するものであり、石油系化合物により汚染された土壌を洗浄するものであってよい。すなわち、本発明に係る液体洗浄剤組成物は、土壌中の、石油系化合物のような油性汚れを洗浄する液体洗浄剤組成物であってよい。
酸化劣化した油類は、本発明の効果をより発揮させる観点から、当該酸化劣化した油類100質量部に対するn-ヘプタン不溶分が、好ましくは15質量部以上、より好ましくは20質量部以上、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下の油類が好ましい。
また、前記油類は、石油系化合物のような油性の汚れであってよく、本発明の効果をより発揮させる観点から、芳香族炭化水素化合物を含む油性の汚れであってよい。したがって、前記油類は、石油系化合物、更には芳香族炭化水素化合物であってよい。
なお、前記の油類100質量部に対するn-ヘプタン不溶分は、『ASTM規格 D3279:アスファルテン含有量とヘプタン不溶分』により求める。
【0030】
このような油類としては、例えば酸化劣化したC重油(15質量部~40質量部)、アスファルト(15質量部~25質量部)、酸化劣化したアスファルト(15質量部~40質量部)が挙げられる。これら油類の具体例中の括弧内の数値は、油類100質量部に対するn-ヘプタン不溶分を示す(以下のC重油に関して同じである)。
したがって、本発明に係る液体洗浄剤組成物は、酸化劣化したC重油、アスファルト及び酸化劣化したアスファルトから選ばれる1以上の油類が付着した土壌を洗浄する土壌用液体洗浄剤組成物であってよい。
また、前記の酸化劣化したC重油とは、C重油(2質量部~10質量部)よりもn-ヘプタン不溶分が多く、洗浄が困難な汚れである。
【0031】
本発明に係る液体洗浄剤組成物が洗浄対象とする土壌は、特に限定されるものではないが、本発明の効果をより発揮させる観点から、75μmのふるい通過分が、好ましくは15質量%以下、より好ましくは13質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、そして、0質量%以上の骨材が好ましい。
本発明に係る液体洗浄剤組成物は、細骨材、粗骨材及びフィラーから選ばれる1種以上の土壌洗浄用であってよい。
ここで、細骨材とは、例えば粒径75μm以上2.36mm以下の土壌、粗骨材とは、粒径2.36mm以上26.5mm以下の土壌、フィラーとは、粒径75μm以下の土壌であってよい。前記粒径は、JIS A1204「土の粒度試験方法」によって測定される。
【0032】
より具体的には、本発明に係る液体洗浄剤組成物が洗浄対象とする土壌は、建築や道路舗装に用いられる骨材であってよい。骨材としては、細骨材及び粗骨材から選ばれる骨材が挙げられる。骨材は細骨材が含まれることが好ましい。細骨材として、JIS A0203-2014中の番号2311で規定されるものが挙げられる。細骨材としては、川砂、陸砂、山砂、海砂、石灰砂、珪砂及びこれらの砕砂、スクリーニングス、砕石ダスト、シリカサンド、鋳物砂、高炉スラグ細骨材、フェロニッケルスラグ細骨材、軽量細骨材(人工及び天然)及び再生細骨材等が挙げられる。また、粗骨材として、JIS A0203-2014中の番号2312で規定されるものが挙げられる。例えば粗骨材としては、川砂利、陸砂利、山砂利、海砂利、石灰砂利、これらの砕石、高炉スラグ粗骨材、フェロニッケルスラグ粗骨材、軽量粗骨材(人工及び天然)及び再生粗骨材等が挙げられる。細骨材、粗骨材は種類の違うものを混合して使用しても良く、単一の種類のものを使用しても良い。
【0033】
<土壌の洗浄方法>
本発明は、酸化劣化した油類が付着した土壌と、(a)脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物〔(a)成分である〕と水とを含む65℃以上100℃以下の液体洗浄剤組成物と、を接触させる、土壌の洗浄方法を提供する。
液体洗浄剤組成物を65℃以上100℃以下に調整する方法としては、例えば、ヒーター、温水や蒸気などの加熱手段により洗浄容器を加熱する方法、液体洗浄剤組成物中にヒーターなどの加熱手段を導入する方法等が挙げられる。加熱手段に加え冷却手段を併用しても良い。
【0034】
本発明に係る土壌の洗浄方法は、前記油類が付着した土壌と、前記液体洗浄剤組成物との混合物を撹拌混合する、土壌の洗浄方法であってよい。
また、本発明に係る土壌洗浄方法は、前記液体洗浄剤組成物と、前記油類が付着した土壌と、を接触させる土壌の洗浄方法であってよい。前記液体洗浄剤組成物は、本発明に係る液体洗浄剤組成物が好ましい。液体洗浄剤組成物と油類が付着した土壌とを接触させる方法としては、液体洗浄剤組成物に土壌を浸漬する方法、液体洗浄剤組成物を土壌に吹き付ける方法、液体洗浄剤組成物を土壌中に通液する方法等が挙げられる。
本発明に係る土壌の洗浄方法で、土壌の洗浄に用いる液体洗浄剤組成物の好ましい態様、例えば(a)成分及びその含有量、並びに該液体洗浄剤組成物の温度及びpHの好ましい態様は、本発明に係る液体洗浄剤組成物で記載した好ましい態様と同じである。
また、本発明に係る土壌洗浄方法では、本発明に係る液体洗浄剤組成物で記載した、石油系化合物及び/又は油類で汚染された土壌を洗浄することで、該土壌から、酸化劣化した油類を効果的に除去することができる。よって、本発明に係る土壌洗浄方法で、洗浄対象となる油類及び土壌の好ましい態様も、本発明に係る液体洗浄剤組成物で記載した油類及び土壌と同じである。
【0035】
本発明に係る土壌の洗浄方法で、前記油類が付着した土壌と、前記液体洗浄剤組成物との混合物を撹拌混合する洗浄方法として、具体的には、分級洗浄処理が挙げられる。また、対象の土壌に液体洗浄剤組成物を添加し、良く混合後、洗浄土を分離し、乾燥させる方法を用いることができる。あるいは、土壌形状が塊状の場合は粉砕して粉状、細粒状とし、また、粉状、細粒状の場合はそのままで適当な容器に入れ、液体洗浄剤組成物中に浸漬し、撹拌、或いは振動を与える方法などが挙げられる。
【0036】
また、本発明に係る土壌の洗浄方法は、土壌を掘削して得られた掘削土壌を洗浄する土壌掘削洗浄方法や、土壌に洗浄液である液体洗浄剤組成物を注入して土壌の洗浄を行う土壌の洗浄方法などに好ましく適用することができる。
【0037】
本発明に係る土壌の洗浄方法において、土壌を、その土壌が存在する場所(現地)で洗浄してもよいし、原位置とは異なる場所(現地外)で洗浄してもよい。例えば、土壌を、現地とは異なる場所に設けた洗浄設備で洗浄することができる。その際、例えば、現地から掘削により採取した土壌を、現地とは異なる場所に設けた洗浄設備に移送して洗浄することができる。洗浄設備は、現地の近くに設置することが好ましい。例えば、ある区域内の所定の場所(現地)で土壌を採取し、同じ区域内の採取場所とは別の場所に洗浄設備を設けることができる。このように、いわゆる現地プラントとして洗浄設備を設けて土壌を洗浄することができる。なお、洗浄後の土壌は、採取した場所や別の場所に埋め戻して再利用することができる。
【0038】
また、本発明に係る土壌の洗浄方法では、例えば、掘削を行わずに土壌に本発明に係る液体洗浄剤組成物又は該液体洗浄剤組成物を水で希釈して得られる洗浄液を65℃以上100℃以下に調整し注入して洗浄することができる。本発明に係る土壌の洗浄方法では、例えば、前記の液体洗浄剤組成物等を所定の位置で汚染された土壌に注入し、汚染された土壌中を通過させた後、前記所定の位置とは異なる位置で前記液体洗浄剤組成物等を回収することができる。このようにして、土壌中を通過する前記液体洗浄剤組成物に酸化劣化した油類である土壌中の汚染物質を取り込み、回収することができる。前記液体洗浄剤組成物等の回収は、揚水法などで行うことができ、具体的には汲み上げポンプなどの汲み上げ手段により行うことができる。そして、回収した前記液体洗浄剤組成物等から酸化劣化した油類等の汚染物質を分離することができる。
【0039】
<再生土壌の製造方法>
本発明は、酸化劣化した油類が付着した土壌と、(a)脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物〔(a)成分である〕と水とを含む65℃以上100℃以下の液体洗浄剤組成物と、を接触させ、土壌に付着した酸化劣化した油類を土壌から液体洗浄剤組成物に移行させる工程〔以下、工程1という〕と、
前記土壌から移行した酸化劣化した油類を含む液体洗浄剤組成物と土壌とを分離して、再生土壌を得る工程〔以下、工程2という〕と、を有する、再生土壌の製造方法を提供する。
本発明に係る再生土壌の製造方法における、(a)成分の好ましい態様、液体洗浄剤組成物の好ましい態様、並びに対象となる土壌及び酸化劣化した油類の好ましい態様は、本発明に係る液体洗浄剤組成物又は本発明に係る土壌の洗浄方法で記載した好ましい態様と同じである。
【0040】
本発明に係る再生土壌の製造方法では、まず、工程1を行う。この工程1は、前記本発明に係る土壌の洗浄方法により酸化劣化した油類が付着した土壌の洗浄を行う工程である。工程1により、土壌から除去された酸化劣化した油類を含む液体洗浄剤組成物と洗浄された土壌とを含む混合物が得られる。
本発明に係る再生土壌の製造方法では、次いで、工程2を行う。工程2により、土壌から除去された酸化劣化した油類を含む液体洗浄剤組成物と洗浄された土壌とを含む混合物から、再生土壌が分離手段により分離される。分離手段としては、土壌を沈殿させ液体洗浄剤組成物を上澄みとして除去する方法、濾過により液体洗浄剤組成物と土壌とを分離する方法が挙げられる。また、水などにより土壌をリンスして液体洗浄剤組成物を除去することもできる。
再生土壌の保管、運搬、土木工事等での利用の観点から、液体洗浄剤組成物と土壌を分離した後、土壌を乾燥させ水分を除去することが好ましい。
得られる再生土壌は、汚染土壌地の修復用土壌や建築骨材等に用いることができる。
なお、工程1及び工程2では、液体洗浄剤組成物の代わりに、液体洗浄剤組成物を水で希釈した洗浄液を用いることもできる。
【実施例0041】
<配合成分>
表1の実施例及び比較例では、以下の成分を用いた。
<(a)成分>
(a)成分の括弧内の数値は、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基の平均付加モル数、若しくはアルキル基の炭素数を表す。
・ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル:花王株式会社製
・ポリオキシエチレン(6)ポリオキシプロピレン(1.5)アルキル(C12-14)エーテル:花王株式会社製
・ポリオキシエチレン(20)アルキル(C20)エーテル:花王株式会社製
・ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル:花王株式会社製
・ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル+ジエタノールアミン:ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテルとジエタノールアミンとを質量比=1:0.2で含む混合物
<(a’)成分>
・ソルビタンモノラウレート:花王株式会社製
・ドデシル硫酸Na:ドデシル硫酸ナトリウム、東京化成工業株式会社製
・塩化ドデシルトリメチルアンモニウム:東京化成工業株式会社製
<水>
・蒸留水
【0042】
<油類が付着した土壌の調製>
(1)土壌
油類が付着した土壌の調製には、以下のものを用いた。土壌Bは、土壌Aと比較して、ふるい目75μmの通過質量の多い、微粉の多い土壌である。
なお、土壌A及び土壌Bの粒度分布は、各ふるい目のふるいに土壌A又は土壌Bを入れ、ふるい振とう機で2分振動させたときの通過質量(質量%)を示す。
<土壌A>
6号砕石 40.0質量部
7号砕石 13.0質量部
砕砂 10.0質量部
粗砂 22.0質量部
山砂 10.0質量部
石粉 5.0質量部
<土壌Aの粒度分布>
ふるい目 19.0mm:100質量%
ふるい目 9.50mm:80.1質量%
ふるい目 4.75mm:59.4質量%
ふるい目 2.36mm:43.4質量%
ふるい目 1.18mm:29.1質量%
ふるい目 600μm :18.9質量%
ふるい目 300μm :11.7質量%
ふるい目 150μm :7.6質量%
ふるい目 75μm :5.2質量%
<土壌B>
砕砂 21.3質量部
粗砂 41.8質量部
山砂 21.3質量部
石粉 10.6質量部
骨材微粉 5.0質量部
<土壌Bの粒度分布>
ふるい目 4.75mm:100.0質量%
ふるい目 2.36mm:95.5質量%
ふるい目 1.18mm:66.7質量%
ふるい目 600μm :45.1質量%
ふるい目 300μm :29.9質量%
ふるい目 150μm :21.1質量%
ふるい目 75μm :16.2質量%
【0043】
(2)油類が付着した土壌の調製方法
油類が付着した土壌の調製は、下記の方法で行った。土壌と油類とを最初に混合するときに土壌と油類の混合比を調整して、酸化劣化処理後の混合物で土壌と油類の質量比が揃うように、油類が付着した土壌を調製した。
(2-1)劣化C重油
市販のC重油を90℃に加熱し、90℃で土壌A又は土壌BとC重油とを、土壌:C重油=94.3:5.7の質量比となるよう混合した。C重油と土壌との混合は加熱したスパチュラを用い、被膜が均一になるまで良く混合した。その後、C重油と土壌の混合物を160℃のオーブンで1日間加熱し、酸化劣化させ、劣化C重油と土壌の混合物を得た。
(2-2)劣化As(劣化アスファルト)
ストレートアスファルト(三菱商事エネルギー株式会社製)を160℃に加熱し、160℃で土壌Aとストレートアスファルトとを、土壌:アスファルト=94.5:5.5の質量比となるよう混合した。その後、アスファルトと土壌の混合物を160℃のオーブンで1日間加熱し、酸化劣化させ、劣化アスファルトと土壌の混合物を得た。
【0044】
<油類中のn-ヘプタン不溶分の測定>
劣化C重油及び劣化アスファルト中のn-ヘプタン不溶分の測定は、下記の方法で行った。
前記の<油類が付着した土壌の調製>の(2)で調製した、土壌と劣化C重油の混合物100g又は土壌と劣化アスファルトの混合物100gを、ジクロロメタン300mLと混合して、該混合物から劣化C重油又は劣化アスファルトを抽出した。抽出作業はジクロロメタン溶液が無色透明になるまで繰り返し行った。得られた抽出液はまとめてロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、ジクロロメタンを蒸発させて除去した。その後、得られた油類中のn-ヘプタン不溶分を、ASTM D3279に従って測定した。
油類中のn-ヘプタン不溶分が多いほど、酸化劣化した油類の量が多いことを示す。
【0045】
<液体洗浄剤組成物の土壌の洗浄性評価>
500mLのガラス製のビーカーに、5cmの撹拌子を入れ、更に(a)成分又は(a’)成分と水との質量比が、表1の質量部の比率となるように、(a)成分又は(a’)成分と水を合計200g入れ、ウォーターバススターラー(アズワン社製)で、表1の温度になるまで撹拌(500rpm)、加熱を行い、液体洗浄剤組成物を調製した。ここで、該組成物に含まれる水以外の成分中、(a)成分の占める割合は100質量%であった。
液体洗浄剤組成物の温度が所定の温度になった後、該液体洗浄剤組成物に前記の<油類が付着した土壌の調製>の(2)で調製した油類が付着した土壌を50g加え、更に所定の温度を維持しながら500rpmで30分撹拌し、土壌を洗浄した。
土壌洗浄後、ビーカーを1時間静置し、土壌洗浄後の上澄みである洗浄液の色を目視で観察した。この洗浄液は、土壌洗浄後の液体洗浄剤組成物である(以下、同じ)。洗浄液の色が濃いほど劣化した油類が洗浄液側に移行しており、液体洗浄剤組成物の洗浄性が高いといえる。
また、土壌洗浄後の静置後の上澄みである洗浄液を5mL採取し、これを別途新たに調製した50mLの液体洗浄剤組成物で希釈後、紫外可視光光度計(UV2700、UV-VISSPECTROPHOTOMETER、SHIMAZU製)を用いて350nmの吸光度を測定した。希釈に用いた液体洗浄剤組成物は、土壌の洗浄に用いた液体洗浄剤組成物の組成と同じ組成の液体洗浄剤組成物である。
吸光度の値が大きいほど洗浄液に含まれる酸化劣化した油類の量が多く、酸化劣化した油類の洗浄性に優れた液体洗浄剤組成物である。
【0046】
【0047】
表1より、実施例1-1~1-10の液体洗浄剤組成物で土壌を洗浄した結果、洗浄後の洗浄液の色は、黒色、茶色又は薄黄色に着色され、酸化劣化した油類が洗浄後の洗浄液に移行し、土壌に付着した油類が洗浄により土壌から取り除かれていた。一方、比較例1-1~1-6は、洗浄後の洗浄液は無色透明であり、土壌がほとんど洗浄されていないことがわかる。
洗浄液の色が濃いほど、洗浄液に含まれる酸化劣化した油類が多いので、洗浄液の色が濃いほど、洗浄性に優れた液体洗浄剤組成物と評価できる。
なお、洗浄液の色の濃さは、前記の洗浄液における350nmの吸光度と相関しており、吸光度の値が大きいほど洗浄性が優れていることがわかる。
また、酸化劣化した油類が移行した洗浄後の土壌を含む洗浄液から、濾過や沈殿処理等の分離手段で洗浄液から土壌を分離することにより、洗浄により再生された土壌(再生土壌)を製造できた。