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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147178
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】接続部の耐熱シール構造
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20241008BHJP
   F16L 21/02 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
F16J15/10 V
F16L21/02 J
F16J15/10 T
F16J15/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060027
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000151977
【氏名又は名称】株式会社藤井合金製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】北山 晃平
(72)【発明者】
【氏名】藤木 顕士
(72)【発明者】
【氏名】高田 拓矢
(72)【発明者】
【氏名】河原 裕佑
(72)【発明者】
【氏名】西川 忠良
【テーマコード(参考)】
3J040
【Fターム(参考)】
3J040AA17
3J040BA02
3J040CA01
3J040EA01
3J040EA15
3J040EA25
3J040FA06
3J040FA11
3J040HA06
3J040HA15
(57)【要約】
【課題】2つの部材の接続部に、気密用シール部材用のスペースを設けるだけで、耐熱気密性能をも有するようにすること。
【解決手段】流体が流れる2つの管体の接続部にて対接する対接面相互を外周気密状態に保持する気密用シール部材(20)を備えた接続部の耐熱シール構造において、一方の対接面の周方向全域に、他方の対接面に向かって開放し且つ気密用シール部材(20)を収容させるための環状溝部(10)が形成され、環状溝部(10)内またはその近傍に、気密用シール部材(20)の性能に影響を与えない性質の基油を使用したグリースに膨張黒鉛が混入された膨張黒鉛入りグリース(30)を塗布すること。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続部にて対接する対接面相互を外周気密状態に保持する気密用シール部材を備えた接続部の耐熱シール構造において、
一方の対接面の周方向全域に、他方の対接面に向かって開放する環状溝部が形成され、
前記環状溝部内に前記気密用シール部材が収容され、
前記環状溝部内またはその近傍に、前記気密用シール部材の性能に影響を与えない性質の基油を使用したグリースに膨張黒鉛を混入した膨張黒鉛入りグリースを塗布した接続部の耐熱シール構造。
【請求項2】
請求項1に記載の接続部の耐熱シール構造において、
前記環状溝部を二つ設けると共に、前記二つの環状溝部内に気密用シール部材をそれぞれ収容し、
前記二つの環状溝部間に、前記膨張黒鉛入りグリースを塗布した接続部の耐熱シール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続部の耐熱シール構造、特に、ガス栓を、ガス配管やガス機器に継手部材を介して接続させる際の接続部の耐熱シール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガス栓の接続筒部に、ガス機器のガス取入れ筒部や配管を接続させる接続構造のように、流体が流れる二つの管体を気密状態に接続させる接続構造として、一方の管体内に他方の管体を抜け止め状態に差し込む差込式や、各管体の接続端部に各々張り出させたフランジ部相互を対接させてネジ止め等により押圧固定させる押圧式がある。どちらの接続構造においても、接続部にて相互に対接する対接面間には、気密用シール部材としてのOリング(以下、気密用Oリングという)を介在させて接続部の気密を確保している。
【0003】
具体的には、上記差込式では、外側に位置する外筒の内周面又は内側に位置する内筒の外周面のどちらか一方に、また、上記押圧式では、相互に対接させる各フランジ部の対接面のどちらか一方に、それぞれ他方の面に向かって開放する環状溝部を周方向に形成し、前記環状溝部内に気密用Oリングを収容させる。その後、両管体を上記要領で接続すると、環状溝部内の気密用Oリングが、前記他方の面に押圧されて変形した状態で密着する。これにより、対接面相互間の気密は保持され、2つの管体の接続部からの流体の漏れを防止することができる。
【0004】
また、特許文献1に示すものは、気密用Oリングと共に、熱膨張率の大きな耐熱シール部材として、耐熱膨張パッキンが備えられており、火災発生時等にて、気密用Oリングが熱により消失した場合でも、耐熱膨張パッキンが熱膨張することによって、前記接続部の気密性は確保され、ガス等の漏れを防止することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-101220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したような耐熱膨張パッキンを具備させる形式のシール構造では、気密用Oリングを収容させる環状溝部の他に、耐熱膨張パッキン用の環状溝部を別途設ける必要がある。また、同じ一つの環状凹溝に気密用Oリングと耐熱膨張パッキンとを1つずつ一緒に収容させる構成のものでは、耐熱膨張パッキンを収容するスペース分、環状溝部を幅広に形成しなければならない。このように、耐熱シール部材を備えたシール構造の場合、気密用シール部材のみを具備させるシール構造に比べて、管体相互の接続部を大きく設定しなければならないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、二つの部材を気密状態に接続させる接続部に、気密用シール部材用のスペースを設けるだけで、耐熱気密性能を有するようにする接続部の耐熱シール構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための技術的手段は、
接続部にて対接する対接面相互を外周気密状態に保持する気密用シール部材を備えた接続部の耐熱シール構造において、
一方の対接面の周方向全域に、他方の対接面に向かって開放する環状溝部が形成され、
前記環状溝部内に前記気密用シール部材が収容され、
前記環状溝部内またはその近傍に、前記気密用シール部材の性能に影響を与えない性質の基油を使用したグリースに膨張黒鉛を混入した膨張黒鉛入りグリースを塗布したことである。
【0009】
上記技術的手段は次のように作用する。
例えば、ガス栓の接続筒部に、ガス機器のガス取入れ筒部や配管を接続させるための継手部材を外嵌させる接続部の場合、一方の対接面となるガス栓の接続筒部の外周面に、気密用シール部材を収容させるための環状溝部を周方向全域に渡って形成する。前記環状溝部内及びその近傍に膨張黒鉛入りグリースを塗布すると共に気密用シール部材を環状溝部内に収容した状態で、ガス栓の接続筒部を継手部材に差し込む。すると、前記環状溝部の近傍に塗布されていた膨張黒鉛入りグリースが前記環状溝部の隙間や前記対接面相互間に入り込むと共に、環状溝部内に収容されている気密用シール部材は、他方の対接面である継手部材の内周面で押圧変形されて継手部材の内周面に密着する。言い換えれば、膨張黒鉛入りグリースにより、気密用シール部材のシール性に悪影響を与えることなく、前記対接面相互の接続をスムーズに行うことができ、対接面相互間の気密を確保することができる。
なお、膨張黒鉛入りグリースは、気密用シール部材の収容前に塗布しても、収容後に塗布しても良く、さらには、膨張黒鉛入りグリースを塗布した気密用シール部材を環状溝部に収容させても良い。
火災等により2つの管体相互の接続部が高温にさらされて、気密用シール部材が熱により消失してしまった場合でも、グリース内の黒鉛は耐熱性がある上に熱膨張することから、前記接続部の対接面間の隙間に膨張黒鉛が気密用シール部材に替わって入り込み、気密性を確保することができる。よって、火災等の熱により、気密用シール部材が消失した場合でも、接続部の対接面間の気密は確保され、ガス等の流体の漏れを防止することができる。
【0010】
上記接続部の耐熱シール構造において、好ましくは、前記環状溝部を二つ設けると共に、前記二つの環状溝部内に気密用シール部材をそれぞれ収容し、
前記二つの環状溝部間に、前記膨張黒鉛入りグリースを塗布したことである。
二つの環状溝部間に塗布される膨張黒鉛入りグリースは、通常時にて不用意に移動することなく、二つの気密用シール部材によって安定的に保持されるから、火災時にて高温に熱せられた接続部の気密は一層確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記構成であるから次の特有の効果を有する。
流体が流れる二つの管体の接続部にて対接する対接面相互の気密性と耐熱性とを確保するために、気密用シール部材の収容スペースのみを設け、耐熱用シール部材の取り付けスペースは不要としたから、接続部の省スペース化を実現できる。よって、例えば、ガス栓の接続筒部や、ガス栓の接続筒部に接続させる継手部材を小型化できると共に、耐熱用シール部材を設けない分、部品点数が減り、組み付け作業も簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態の接続部の耐熱シール構造を採用したガス栓と継手部材との接続状態を示す断面図である。
図2】本発明の第1番目の実施の形態の接続部の耐熱シール構造を採用したガス栓と継手部材との接続状態を示す要部拡大断面図である。
図3】本発明の第2番目の実施の形態の接続部の耐熱シール構造を採用したガス栓と継手部材との接続状態を示す要部拡大断面図である。
図4】本発明の第3番目の実施の形態の接続部の耐熱シール構造を採用したガス栓の要部拡大断面図である。
図5】本発明の第4番目の実施の形態の接続部の耐熱シール構造を採用したガス栓と継手部材との接続状態を示す要部拡大断面図である。
図6】本発明の第5番目の実施の形態の接続部の耐熱シール構造を採用したガス栓と接続筒部とのフランジ部相互の接続状態を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1に示すものは、本発明の実施の形態の接続部の耐熱シール構造を、ガス栓(1)のガス流出筒部(1a)の外周面(11)と、ガス器具(31)のガス取入筒部(3)に接続雌ネジ部(23)で螺合接続される継手部材(2)の内周面(21)とで構成される接続部に実施したものである。
なお、ガス栓(1)のせん収容部(12)よりも上流側には、ガス流入筒部(1b)が設けられており、ガス流入筒部(1b)には、同図の二点鎖線に示すように、配管継手(40)を介して、ガス管としてのフレキ管(41)が接続されている。ガス流入筒部(1b)の上流端(図面の右端)から、ガス流出筒部(1a)の下流端まで、ガス流路(4)が同軸上に形成されている。
【0014】
継手部材(2)は、ガス流出筒部(1a)に気密状態に且つ抜け止め状態に外嵌可能な筒体であり、ガス流出筒部(1a)の外周面(11)が発明特定事項としての一方の対接面として機能すると共に、継手部材(2)の内周面(21)が発明特定事項としての他方の対接面として機能し、ガス流出筒部(1a)を継手部材(2)に差し込むことにより接続可能な差込式の接続部が構成される。
ガス流出筒部(1a)の外周面(11)には、環状溝部(10)が外方に開放するように周方向全域に形成されている。なお、環状溝部(10)は、気密用シール部材としてのゴム製の気密用Oリング(20)がちょうど収容可能な大きさに設定されている。
【0015】
気密用Oリング(20)はNBR素材からなり、環状溝部(10)の環状底面(10a)に密着する内径を有すると共に、環状溝部(10)の深さ以上の線径を有する大きさとする。これにより、気密用Oリング(20)を環状溝部(10)に収容させると、気密用Oリング(20)は環状溝部(10)の開放端からわずかに突出する態様となる。
【0016】
第1番目の実施の形態のものでは、図2(A)に示すように、環状溝部(10)内及びその近傍に、膨張黒鉛入りグリース(30)を、気密用Oリング(20)を収容させる前に塗布しておく。膨張黒鉛入りグリース(30)の基油は、NBR製の気密用Oリング(20)の性能に悪影響を与えることのない、鉱物油、合成油、シリコンオイル、又はこれらの混合したものとし、これに、膨張黒鉛を混入させた構成とする。
なお、前記基油に混入させる膨張黒鉛の割合は、5質量%以上が望ましく、また、膨張黒鉛の粒度は、+80mesh以上で、86%が望ましい。
【0017】
次に、図2(B)に示すように、膨張黒鉛入りグリース(30)が塗布された環状溝部(10)内に、気密用Oリング(20)を収容する。気密用Oリング(20)の内径及び線径の大きさは上記したとおりであるから、気密用Oリング(20)は膨張黒鉛入りグリース(30)を押し退けるようにして環状溝部(10)内に収容され、気密用Oリング(20)の収容後においては、膨張黒鉛入りグリース(30)は、気密用Oリング(20)と環状溝部(10)との隙間に流れ込むと同時に、環状溝部(10)の開放端からガス流出筒部(1a)の外周面(11)へ移動する。
【0018】
上記したように、環状溝部(10)内に、膨張黒鉛入りグリース(30)と気密用Oリング(20)とを収容させたガス栓(1)のガス流出筒部(1a)を、ガス取入筒部(3)に螺合接続されている継手部材(2)に差し込む。
すると、図2(C)に示すように、ガス栓(1)のガス流出筒体(1a)の外周面(11)にはみ出している膨張黒鉛入りグリース(30)は継手部材(2)の内周面(21)で押されて、相互に対接面となるガス流出筒部(1a)の外周面(11)と継手部材(2)の内周面(21)との間に流れ込むように移動する。
これと同時に、気密用Oリング(20)は、継手部材(2)の内周面(21)で押圧されて変形させられ、継手部材(2)の内周面(21)に密着する。これにより、継手部材(2)とガス流出筒部(1a)間の気密が確保される。
【0019】
図3(A)~(C)に示すものは、第2番目の実施の形態の接続部の耐熱シール構造を採用したガス栓(1)のガス流出筒部(1a)及び継手部材(2)との接続状態を示す要部拡大断面図である。
第2番目の実施の形態では、図3(A)に示すように、ガス流出筒部(1a)に形成された環状溝部(10)の底面(10a)に密着するように、気密用Oリング(20)を環状溝部(10)に収容させ、その後に、図3(B)に示すように、膨張黒鉛入りグリース(30)を、環状溝部(10)及びその周辺に塗布する。
【0020】
この状態にあるガス栓(1)のガス流出筒部(1a)を、図3(C)に示すように、継手部材(2)に差し込むと、気密用Oリング(20)収容後に塗布された膨張黒鉛入りグリース(30)は、環状溝部(10)と気密用Oリング(20)との隙間及びガス流出筒部(1a)の外周面(11)と継手部材(2)の内周面(21)との間に移動する。気密用Oリング(20)は、継手部材(2)の内周面(21)によって押圧変形されて、継手部材(2)の内周面(21)に密着することにより、継手部材(2)とガス流出筒部(1a)間の気密は確保可能となる。
【0021】
図4(A)及び(B)に示すものは、第3番目の実施の形態の接続部の耐熱シール構造を採用したガス栓(1)のガス流出筒部(1a)及び継手部材(2)との接続状態を示す要部拡大断面図である。
第3番目の実施の形態では、膨張黒鉛入りグリース(30)を塗布した気密用Oリング(20)を、図4(A)に示すように、環状溝部(10)に収容するもので、ガス栓(1)のガス流出筒部(1a)を、継手部材(2)に差し込むと、図4(B)に示すように、気密用Oリング(20)に付着している膨張黒鉛入りグリース(30)が、ガス栓(1)のガス流出筒体(1a)の外周面(11)と継手部材(2)の内周面(21)との間に入り込む。これと同時に、気密用Oリング(20)は継手部材(2)の内周面(21)に押圧されて変形し、継手部材(2)の内周面(21)に密着することから、継手部材(2)とガス流出筒部(1a)間の気密を確保することができる。
【0022】
図5(A)及び(B)に示すものは、第4番目の実施の形態の接続部の耐熱シール構造を採用したガス栓(1)のガス流出筒部(1a)及び継手部材(2)との接続状態を示す要部拡大断面図である。
第4番目の実施の形態は、気密性を高くしたものであり、ガス流出筒部(1a)の外周面(11)に形成する二つの環状溝部(10a)(10b)内に気密用Oリング(20a)(20b)をそれぞれ収容するもので、図5(A)に示すように、二つの環状溝部(10a)(10b)間の外周面(11)に膨張黒鉛入りグリース(30)を塗布した後に、気密用Oリング(20a)(20b)を収容する構成とした。二つの気密用Oリング(20a)(20b)によって、二つの環状溝部(10)間に塗布された膨張黒鉛入りグリース(30)は通常状態にて保持される。
【0023】
二つの環状溝部(10)にそれぞれ気密用Oリング(20a)(20b)を収容し、二つの環状溝部(10a)(10b)間の外周面(11)に膨張黒鉛入りグリース(30)を塗布した状態にて、ガス栓(1)のガス流出筒部(1a)を継手部材(2)に差し込む。すると、図5(B)に示すように、環状溝部(10)間の外周面(11)に塗布されている膨張黒鉛入りグリース(30)が二つの気密用Oリング(20)で保持された状態で、継手部材(2)内へのガス流出筒部(1a)の挿入を行うことができる。これと同時に、気密用Oリング(20)は継手部材(2)の内周面(21)に押圧変形した状態で密着し、継手部材(2)とガス流出筒部(1a)間は、二つの気密用Oリング(20a)(20b)によって気密状態に保持可能となる。
【0024】
図6に示す第5番目の実施の形態のものは、ガス栓(1)の上流側接続端部に半径方向に張り出させたフランジ部(13)の上流側の対向端面(13a)と、配管の下流端に設けられる配管接続筒部(32)の下流側接続端部に張り出させたフランジ部(33)の対向端面(33a)とを対接させると共に、ネジ止め(図示せず)等により押圧固定させる押圧式の接続部の耐熱シール構造である。
ガス栓(1)のフランジ部(13)の対向端面(13a)には、1つの環状溝部(10)が、ガス栓(1)のガス流路(44)と同心状に下方に開放するように形成されてあり、環状溝部(10)内に、気密用Oリング(20)を、膨張黒鉛入りグリース(30)と共に収容させる。
フランジ部(13)の対向端面(13a)とフランジ部(33)の対向端面(33a)とを対接させてネジ等で締結させると、膨張黒鉛入りグリース(30)が気密用Oリング(20)と環状溝部(10)との隙間及び対向端面(13a)(33a)相互間に移動すると共に、環状溝部(10)内の気密用Oリング(20)は、フランジ部(33)の対向端面(33a)に密着することにより、ガス流路(44)の気密性が確保される。
なお、膨張黒鉛入りグリース(30)の塗布は、気密用Oリング(20)を環状溝部(10)に収容する前でも後でもどちらでも良く、さらには、予め気密用Oリング(20)に塗布しておいても良い。
【0025】
上記した第1番目~第4番目の実施の形態ではガス栓(1)のガス流出筒体(1a)と継手部材(2)とによる差込式の接続構造を、また、第5番目の実施の形態では押圧式の接続構造を説明した。これら接続構造を有するガス栓及び周辺機器の接続部が、火災発生時等にて高温にさらされたとき、気密用Oリング(20)又は(20a)(20b)は熱により消失してしまうことはあっても、優れた耐熱性を有する黒鉛を含有させた膨張黒鉛入りグリース(30)は消失してしまうことはない上に、熱膨張することにより、気密用Oリング(20)又は(20a)(20b)に替わって、膨張黒鉛入りグリース(30)が各接続部の気密性を確保する。よって、火災時等の熱で、気密用Oリング(20)が消失した場合でも、接続部の対接面間からのガス漏れを防止することができる。
【0026】
気密用Oリング(20)又は(20a)(20b)を収容するための環状溝部(10)のみを設けておけば良いから、ガス栓(1)のガス流出筒部(1a)や継手部材(2)の長さを短くしたり、ガス栓(1)のフランジ部(13)や配管接続筒部(32)のフランジ部(33)を張り出し幅を小さく設定することができる。このように、流体が流れる2つの管体を気密状態に対接させて接続させるための部材を小型化することにより、接続部の省スペース化を実現できる。また、耐熱用シール部材を別途設ける必要がないから、部品点数を低減させて、組み付け作業を簡略化できる。
【符号の説明】
【0027】
(10)・・・・・・環状溝部
(20)・・・・・・気密用Oリング(気密用シール部材)
(30)・・・・・・膨張黒鉛入りグリース
図1
図2
図3
図4
図5
図6