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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147179
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】血液浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20241008BHJP
   A61M 1/30 20060101ALI20241008BHJP
   A61M 1/34 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A61M1/16 110
A61M1/30
A61M1/34 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060029
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森口 武史
(72)【発明者】
【氏名】金川 隆生
(72)【発明者】
【氏名】永井 翔
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077BB02
4C077CC02
4C077CC03
4C077CC07
4C077CC08
4C077DD01
4C077DD26
4C077EE01
4C077EE03
4C077EE04
4C077FF01
4C077KK30
4C077LL05
(57)【要約】
【課題】清浄液貯液部内に混入した血液を除去する。
【解決手段】本発明に基づく血液浄化装置1は、血液浄化器10と、血管アクセス流路20と、清浄液流路30と、排液流路40と、血液ポンプ30Pと、清浄液貯液部35と、第1開閉弁20Vと、第2開閉弁40Vと、第3開閉弁30Vと、第1分岐流路50と、交換用清浄液貯液部55と、交換用開閉弁50Vとを備えている。第3開閉弁30Vは、清浄液流路30に設けられている。第1分岐流路50は、第3開閉弁30Vから見て清浄液貯液部35側において清浄液流路30から分岐している。交換用清浄液貯液部55は、第1分岐流路50の清浄液流路30側とは反対側の端部に接続され、清浄液Sを貯液する。交換用開閉弁50Vは、第1分岐流路50に設けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が半透膜によって第1部および第2部に分割されている血液浄化器と、
前記血液浄化器と接続され、前記第1部と連通している血管アクセス流路と、
前記血液浄化器に接続され、前記第1部と連通している清浄液流路と、
前記血液浄化器に接続され、前記第2部と連通している排液流路と、
前記清浄液流路に設けられた双方向に送液可能な血液ポンプと、
前記清浄液流路の血液浄化器側とは反対側の端部に接続され、清浄液を貯液する清浄液貯液部と、
前記血管アクセス流路に設けられた第1開閉弁と、
前記排液流路に設けられた第2開閉弁と、
前記清浄液流路に設けられた第3開閉弁と、
前記第3開閉弁から見て清浄液貯液部側において前記清浄液流路から分岐する第1分岐流路と、
前記第1分岐流路の清浄液流路側とは反対側の端部に接続され、清浄液を貯液する交換用清浄液貯液部と、
前記第1分岐流路に設けられた交換用開閉弁とを備える、血液浄化装置。
【請求項2】
前記血液ポンプは、前記清浄液流路と前記第1分岐流路との接続部から見て、清浄液貯液部側で前記清浄液流路に設けられている、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項3】
前記血液ポンプは、前記清浄液流路と前記第1分岐流路との接続部から見て、血液浄化器側で前記清浄液流路に設けられており、
前記交換用清浄液貯液部は、鉛直方向において、前記清浄液貯液部と比較して同じ位置または高い位置に位置している、請求項1に記載の血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の血液浄化装置が、国際公開第2018/235963号(特許文献1)に開示されている。特許文献1に開示された血液浄化装置では、脱血工程において、第1開閉弁が開き、第2開閉弁が閉じた状態で、血液ポンプが吸入方向に送液する。その結果、血液が血管アクセス流路から血液浄化器の第1部に流入する。血液浄化器の第1部を通過した血液は、清浄液流路に流入する。清浄液流路に流入した血液の量に応じて、清浄液流路内の清浄液が清浄液貯液部に流入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/235963号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された血液浄化装置においては、清浄液流路に流入した血液が拡散し、清浄液貯液部に混入する場合がある。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、清浄液貯液部内に混入した血液を除去できる、血液浄化装置を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく血液浄化装置は、血液浄化器と、血管アクセス流路と、清浄液流路と、排液流路と、血液ポンプと、清浄液貯液部と、第1開閉弁と、第2開閉弁と、第3開閉弁と、第1分岐流路と、交換用清浄液貯液部と、交換用開閉弁とを備えている。血液浄化器は、内部が半透膜によって第1部および第2部に分割されている。血管アクセス流路は、血液浄化器と接続され、第1部と連通している。清浄液流路は、血液浄化器に接続され、第1部と連通している。排液流路は、血液浄化器に接続され、第2部と連通している。血液ポンプは、清浄液流路に設けられた双方向に送液可能である。清浄液貯液部は、清浄液流路の血液浄化器側とは反対側の端部に接続され、清浄液を貯液する。第1開閉弁は、血管アクセス流路に設けられている。第2開閉弁は、排液流路に設けられている。第3開閉弁は、清浄液流路に設けられている。第1分岐流路は、第3開閉弁から見て清浄液貯液部側において清浄液流路から分岐している。交換用清浄液貯液部は、第1分岐流路の清浄液流路側とは反対側の端部に接続され、清浄液を貯液する。交換用開閉弁は、第1分岐流路に設けられている。
【0007】
上記の構成によれば、第3開閉弁を開き、交換用開閉弁を閉じた状態で、清浄液貯液部に貯液された清浄液を排出し、その後、第3開閉弁を閉じ、交換用開閉弁を開いた状態にすることで、交換用清浄液貯液部の清浄液を、第1分岐流路を介して清浄液貯液部に移送できる。これにより、清浄液貯液部内の清浄液に混入した血液を除去できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、清浄液貯液部内の清浄液に混入した血液を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の構成を示す回路図である。
図2】本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の脱血工程を示す回路図である。
図3】本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の除水工程を示す回路図である。
図4】本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の返血工程を示す回路図である。
図5】本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の置換工程を示す回路図である。
図6】本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の排出工程を示す回路図である。
図7】本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の移送工程を示す回路図である。
図8】本発明の実施形態2に係る血液浄化装置の構成および移送工程を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態に係る血液浄化装置について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0011】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の構成を示す回路図である。図1に示すように、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置1は、血液浄化器10と、血管アクセス流路20と、清浄液流路30と、血液ポンプ30Pと、清浄液貯液部35と、排液流路40と、排液貯液部45と、第1開閉弁20Vと、第2開閉弁40Vと、第3開閉弁30Vと、第1分岐流路50と、交換用開閉弁50Vと、交換用清浄液貯液部55と、第2分岐流路60と、第4開閉弁60Vと、を備えている。
【0012】
血液浄化器10は、その内部がたとえば中空糸膜などの半透膜15によって第1部11および第2部12に分割されている。本実施形態においては、半透膜15に囲まれた内側の空間が第1部11であり、半透膜15の外側の空間が第2部12である。
【0013】
血管アクセス流路20は、血液浄化器10と接続され、第1部11と連通している。血管アクセス流路20の血液浄化器10側とは反対側の端部に、穿刺針が設けられている。
【0014】
清浄液流路30は、血液浄化器10に接続され、第1部11と連通している。血液ポンプ30Pは、清浄液流路30に設けられている。血液ポンプ30Pは、清浄液流路30の双方向に送液可能に構成されている。清浄液貯液部35は、清浄液流路30の血液浄化器10側とは反対側の端部に接続されている。清浄液貯液部35は、清浄液Sを貯液する。清浄液Sは、たとえば生理食塩水または透析液からなる。
【0015】
排液流路40は、血液浄化器10に接続され、第2部12と連通している。排液貯液部45は、排液流路40の血液浄化器10側とは反対側の端部に接続されている。排液貯液部45は、排液Dを貯液する。なお、血液浄化装置1は排液貯液部45を備えていなくてもよい。
【0016】
第1分岐流路50は、第3開閉弁30Vから見て清浄液貯液部35側において清浄液流路30から分岐している。本実施形態において、血液ポンプ30Pは、清浄液流路30と第1分岐流路50との(第1)接続部51から見て、清浄液貯液部35側で清浄液流路30に設けられている。交換用清浄液貯液部55は、第1分岐流路50の清浄液流路30側とは反対側の端部に接続されている。交換用清浄液貯液部55は、清浄液Sを貯液する。交換用清浄液貯液部55は、鉛直方向において、清浄液貯液部35と比較して同じ位置または高い位置に位置している。より具体的には、交換用清浄液貯液部55は、鉛直方向において清浄液貯液部35と同じ位置に位置している。なお、本実施形態において、交換用清浄液貯液部55は、鉛直方向において清浄液貯液部35より低い位置に位置していてもよい。
【0017】
第2分岐流路60は、清浄液流路30から分岐している。第2分岐流路60は、血液浄化器10と接続されている。第2分岐流路60は、清浄液流路30と第2部12とを連通させる。本実施形態において、第2分岐流路60と清浄液流路30との接続部である第2接続部61は、血液ポンプ30Pから見て血液浄化器10側に位置している。また、第2接続部61は、接続部51から見て血液浄化器10側に位置している。
【0018】
本実施形態において、血液検知器70は、清浄液流路30に設けられている。血液検知器70は、清浄液流路30中を流れる清浄液Sに血液が含まれているか否かを検知できる。血液検知器70は、LEDを用いた非接触式の漏血検知器として一般に用いられるものが採用可能である。血液検知器70は、血液ポンプ30Pおよび接続部51の各々から見て、血液浄化器10側に位置している。
【0019】
第1開閉弁20Vは、血管アクセス流路20に設けられている。第1開閉弁20Vは、血管アクセス流路20を開閉する。第2開閉弁40Vは、排液流路40に設けられている。第2開閉弁40Vは、排液流路40を開閉する。
【0020】
第3開閉弁30Vは、清浄液流路30に設けられている。第3開閉弁30Vは、清浄液流路30を開閉する。本実施形態において、第3開閉弁30Vは、血液ポンプ30P、接続部51および第2接続部61の各々から見て、血液浄化器10側に位置している。第4開閉弁60Vは、第2分岐流路60に設けられている。第4開閉弁60Vは、第2分岐流路60を開閉する。交換用開閉弁50Vは、第1分岐流路50に設けられている。交換用開閉弁50Vは、第1分岐流路50を開閉する。
【0021】
以下、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置1の動作について説明する。血液浄化装置1の透析開始前に、血液浄化器10、血管アクセス流路20、清浄液流路30、排液流路40、第1分岐流路50および第2分岐流路60は、清浄液Sを用いてプライミングされている。まず、血液浄化装置1の血液浄化実施時の動作について説明する。なお、血液浄化実施時において、血管アクセス流路20の穿刺針が患者に接続された状態であり、第3開閉弁30Vは開き、交換用開閉弁50Vは閉じた状態である。
【0022】
図2は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の脱血工程を示す回路図である。図2に示すように、血液浄化装置1の脱血工程においては、第1開閉弁20Vが開き、第2開閉弁40Vが閉じ、第4開閉弁60Vが閉じた状態で、血液ポンプ30Pが矢印A1で示す吸入方向に送液する。その結果、血液が血管アクセス流路20から血液浄化器10の第1部11に流入する。血液浄化器10の第1部11を通過した血液は、血液検知器70によって血液が検知されるまで、清浄液流路30に流入する。あるいは、血液ポンプ30Pに対して予め定められた設定内容に基づいて、所定量の血液が血液浄化器10の第1部11を通過し、清浄液流路30に流入する。清浄液流路30に流入した血液の量に応じて、血液流路30内の清浄液Sが清浄液貯液部35に流入する。
【0023】
図3は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の除水工程を示す回路図である。図3に示すように、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置1の除水工程においては、第1開閉弁20Vが閉じ、第2開閉弁40Vが開き、第4開閉弁60Vが閉じた状態で、血液ポンプ30Pが矢印A2で示す排出方向に送液する。その結果、血液浄化器10の第1部11に流入していた血液は、血液ポンプ30Pからの加圧により、半透膜15によって濾過される。第1部11から半透膜15を通過して第2部12に到達した排液Dは、排液流路40に流入し、排液貯液部45に貯液される。排液貯液部45に貯液された排液Dの量が除水量となる。
【0024】
図4は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の返血工程を示す回路図である。図4に示すように、血液浄化装置1の返血工程においては、第1開閉弁20Vが開き、第2開閉弁40Vが閉じ、第4開閉弁60Vが閉じた状態で、血液ポンプ30Pが矢印A2で示す排出方向に送液する。その結果、血液浄化器10において除水された血液が、血管アクセス流路20に流入し、患者に返血される。
【0025】
なお、除水工程において意図的に除水量を多くした場合には、返血工程において、浄化された血液とともに除水量を多くした分に相当する清浄液Sを患者に補充してもよい。
【0026】
ここで、返血工程後においては、血液浄化器10、血管アクセス流路20および清浄液流路30には、血液がわずかに残留する。このため、脱血工程、除水工程および返血工程をこの順で繰り返し実施すると、清浄液流路30に流入した血液が清浄液流路30内の清浄液Sを拡散し、清浄液貯液部35内の清浄液Sに混入する。
【0027】
しかしながら、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置においては、清浄液貯液部35内の清浄液に混入した血液を除去可能に構成されている。次に、血液浄化装置1の混入血液除去時の動作について説明する。当該動作は、血管アクセス流路20の穿刺針が患者に接続された状態のまま実施することができる。
【0028】
図5は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の置換工程を示す回路図である。図5に示すように、返血工程後に行われる血液浄化装置1の置換工程においては、第1開閉弁20Vが閉じ、第2開閉弁40Vが開き、第3開閉弁30Vが閉じ、第4開閉弁60Vが開き、交換用開閉弁50Vが開いた状態で、血液ポンプ30Pを停止させる。これにより、交換用清浄液貯液部55に収容された清浄液Sの自重により、清浄液Sが、第1分岐流路50、清浄液流路30、第2分岐流路60、血液浄化器10の第2部12および排液流路40を、この順に流れる。これにより、血液浄化器10の第2部12内の清浄液Sが置換される。
【0029】
図6は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の排出工程を示す回路図である。図6に示すように、血液浄化装置1の交換工程においては、第1開閉弁20Vが閉じ、第2開閉弁40Vが開き、第3開閉弁30Vが開き、第4開閉弁60Vが閉じ、交換用開閉弁50Vが閉じた状態で、血液ポンプ30Pが矢印A2で示す排出方向に送液する。その結果、清浄液貯液部35に収容されていた清浄液Sが全て清浄液流路30に排出される。これにより、清浄液貯液部35に混入して残留していた血液が、清浄液Sとともに排出される。なお、排出工程において、清浄液は、清浄液流路30、血液浄化器10および排液流路40をこの順に流れ、排液貯液部45に貯液される。
【0030】
図7は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の移送工程を示す回路図である。図7に示すように、排出工程の後に実施される血液浄化装置1の移送工程においては、第1開閉弁20Vが閉じ、第2開閉弁40Vが閉じ、第3開閉弁30Vが閉じ、第4開閉弁60Vが閉じ、交換用開閉弁50Vが開いた状態で、血液ポンプ30Pが矢印A1で示す吸入方向に清浄液Sを送液する。その結果、交換用清浄液貯液部55に収容された清浄液Sが清浄液貯液部35に流入する。なお、血液ポンプ30Pを動作させない場合、血液ポンプ30Pが清浄液流路30を閉じた状態にするため、交換用清浄液貯液部55に収容された清浄液Sは、自重により清浄液貯液部35に流入することはない。血液浄化装置1は、この移送工程の後、血管アクセス流路20の穿刺針が患者に接続された状態のまま血液浄化の動作を再び実施することができる。
【0031】
なお、移送工程により交換用清浄液貯液部55に収容された清浄液Sを使用した後は、交換用清浄液貯液部55に清浄液Sが補充されてもよいし、清浄液Sの入った別の貯液部が交換用清浄液貯液部55と交換されてもよい。交換用清浄液貯液部55の交換は、交換用清浄液貯液部55を使用していない工程(交換用開閉弁50Vが閉じている工程)で行われる。
【0032】
上述のように、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置1は、清浄液流路30に設けられた第3開閉弁30Vと、第3開閉弁30Vから見て清浄液貯液部35側において清浄液流路30から分岐する第1分岐流路50と、第1分岐流路50の清浄液流路側とは反対側の端部に接続された、清浄液Sを貯液する交換用清浄液貯液部55と、第1分岐流路50に設けられた交換用開閉弁50Vとを備えている。
【0033】
上記の構成によれば、第3開閉弁30Vを開き、交換用開閉弁50Vを閉じた状態で、清浄液貯液部35に貯液された清浄液Sを排出し、その後、第3開閉弁30Vを閉じ、交換用開閉弁50Vを開いた状態にすることで、交換用清浄液貯液部55の清浄液Sを、第1分岐流路50を介して清浄液貯液部35に移送できる。これにより、清浄液貯液部35内の清浄液Sに混入した血液を除去できる。
【0034】
さらに、本実施形態に係る血液ポンプ30Pは、清浄液流路30と第1分岐流路50との接続部51から見て、清浄液貯液部側で清浄液流路30に設けられている。
【0035】
上記の構成によれば、交換用清浄液貯液部55から清浄液貯液部35への清浄液Sの移送を、血液ポンプ30Pを用いて実施できるため、清浄液Sの移送を素速く完了できる。
【0036】
(実施形態2)
次に、以下、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置について図を参照して説明する。本発明の実施形態2に係る血液浄化装置は、血液ポンプの位置が主に実施形態1に係る血液浄化装置1と異なるため、血液浄化装置1と同様である構成および効果については説明を繰り返さない。
【0037】
図8は、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置の構成および移送工程を示す回路図である。図8に示すように、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置1aにおいて、血液ポンプ30Paは、接続部51から見て、血液浄化器10側で清浄液流路30に設けられている。第3開閉弁30Vは、血液ポンプ30Paから見て、清浄液貯液部35側に位置している。第2接続部61は、血液ポンプ30Paから見て清浄液貯液部35側に位置している。
【0038】
なお、本実施形態において血液検知器は設けられていないが、実施形態1と同様に清浄液流路30に設けられてもよい。
【0039】
また、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置1aを用いた血液浄化は、脱血工程、除水工程および返血工程を、実施形態1に係る血液浄化装置1における動作と同様の動作により、実施することができる。さらに、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置1aにおける置換工程および排出工程も、実施形態1に係る血液浄化装置1における動作と同様の動作により、実施することができる。
【0040】
ただし、図8に示すように、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置1aにおける移送工程は、血液ポンプ30Paを動作させないことを除いて、実施形態1と同様の動作により、実施することができる。すなわち、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置1aにおいては、移送工程において、交換用清浄液貯液部55に収容された清浄液Sが、自重により清浄液貯液部35に流入する。
【0041】
よって、本発明の実施形態2においても、第3開閉弁30Vを開き、交換用開閉弁50Vを閉じた状態で、清浄液貯液部35に貯液された清浄液Sを排出し、その後、第3開閉弁30Vを閉じ、交換用開閉弁50Vを開いた状態にすることで、交換用清浄液貯液部55の清浄液Sを、第1分岐流路50を介して清浄液貯液部35に移送できる。これにより、清浄液貯液部35内の清浄液Sに混入した血液を除去できる。
【0042】
また、本発明の実施形態2においては、血液ポンプ30Paは、接続部51から見て、血液浄化器10側で清浄液流路30に設けられている。そして、交換用清浄液貯液部55は、鉛直方向において、清浄液貯液部35と比較して同じ位置または高い位置に位置している。
【0043】
上記の構成によれば、交換用清浄液貯液部55から清浄液貯液部35への清浄液Sの移送を、清浄液Sの自重により実施できるため、血液ポンプ30Pの動作を単純化できる。
【0044】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1,1a 血液浄化装置、10 血液浄化器、11 第1部、12 第2部、15 半透膜、20 血管アクセス流路、20V 第1開閉弁、30 清浄液流路、30P,30Pa 血液ポンプ、30V 第3開閉弁、35 清浄液貯液部、40 排液流路、40V 第2開閉弁、45 排液貯液部、50 第1分岐流路、50V 交換用開閉弁、51 接続部、55 交換用清浄液貯液部、60 第2分岐流路、60V 第4開閉弁、61 第2接続部、70 血液検知器、D 排液、S 清浄液。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8