(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147185
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】粉粒体供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/48 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B65G65/48 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060041
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】道端 善之
【テーマコード(参考)】
3F075
【Fターム(参考)】
3F075AA08
3F075BA01
3F075CA06
3F075CA09
3F075CB12
3F075CB14
3F075CC04
3F075CC06
3F075CD01
(57)【要約】
【課題】単純な構成で単位時間当たりの粉粒体の供給量を調整できる粉粒体供給装置を提供する。
【解決手段】本発明の粉粒体供給装置は、粉粒体を貯留する貯留部から受ける粉粒体を排出部33に移送する移送部4と、制限部8と、を備え、移送部は、少なくとも、上面に載った粉粒体を排出部に移送し、制限部は、第一摺切体811を備え、第一摺切体は、移送部の上面から上方に離れて位置し、移送部の上面に載った粉粒体を摺切可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を貯留する貯留部から受ける粉粒体を排出部に移送する移送部と、制限部と、を備え、
前記移送部は、少なくとも、上面に載った粉粒体を前記排出部に移送し、
前記制限部は、第一摺切体を備え、
前記第一摺切体は、前記移送部の上面から上方に離れて位置し、前記移送部の上面に載った粉粒体を摺切可能である、粉粒体供給装置。
【請求項2】
粉粒体の移送方向において前記第一摺切体よりも下流側に配置され、前記移送部の上面に載った粉粒体を前記排出部に送出する送出部を備える、請求項1に記載の粉粒体供給装置。
【請求項3】
前記移送部は、下方に凹となり、粉粒体を収容可能な収容領域を有し、上面に載った粉粒体及び前記収容領域に収容された粉粒体を移送し、
前記移送部は、受けた粉粒体を前記排出部へと移送する方向を第一方向又は第二方向に切り替え可能であり、
前記制限部は、第二摺切体をさらに備え、
前記第一摺切体は、前記第一方向に移送される粉粒体を摺り切るとともに前記第一方向に移送される粉粒体を前記収容領域に収容し、
前記第二摺切体は、前記移送部の上面に略一致して位置し、前記第二方向に移送される粉粒体を摺り切るとともに前記第二方向に移送される粉粒体を前記収容領域に収容する、請求項1又は2に記載の粉粒体供給装置。
【請求項4】
前記制限部は、前記第二方向において前記第二摺切体よりも上流側に配置される第三摺切体を備え、
前記第三摺切体は、前記移送部の上面に略一致して位置し、前記第二方向に移送される粉粒体を摺り切るとともに前記第二方向に移送される粉粒体を前記収容領域に収容し、
前記第三摺切体の上面の前記移送部の上面に対する高さは、前記第二摺切体の上面の前記移送部の上面に対する高さよりも低く、前記第三摺切体によって摺り切られた粉粒体の一部が前記第三摺切体の上方を通過することができるように構成されている、請求項3に記載の粉粒体供給装置。
【請求項5】
前記制限部は、前記第二方向において前記第二摺切体よりも上流側に配置される第三摺切体を備え、
前記第三摺切体は、前記移送部の上面に略一致して位置し、前記第二方向に移送される粉粒体を摺り切るとともに前記第二方向に移送される粉粒体を前記収容領域に収容し、
前記第二摺切体は、前記第三摺切体によって摺り切られずに前記移送部の上面に残った粉粒体を摺り切るように構成されている、請求項3に記載の粉粒体供給装置。
【請求項6】
前記制限部は、粉粒体の移送量を均一にするように構成される、請求項1又は2に記載の粉粒体供給装置。
【請求項7】
前記移送部の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記排出部から排出された粉粒体の量を検出する排出量検出手段から、排出された粉粒体の量を検出し、
検出した粉粒体の量が、予め設定された供給指示量に近づくまで粉粒体を前記第一方向に移送するように前記移送部を制御する第一移送制御をし、
検出した粉粒体の量が、前記供給指示量に近づくと、粉粒体を前記第二方向に移送するように前記移送部を制御する第二移送制御を行う、請求項3に記載の粉粒体供給装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記供給指示量が、予め設定された基準値よりも少ない場合には、前記第一移送制御を行わず、前記第二移送制御を行う、請求項7に記載の粉粒体供給装置。
【請求項9】
前記移送部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記移送部が粉粒体を前記排出部に移送する際、粉粒体を前記排出部へと移送する方向への移送と粉粒体を前記排出部へと移送する方向とは反対方向への移送を繰り返すように前記移送部を制御する加振移送制御を行う、請求項1又は2に記載の粉粒体供給装置。
【請求項10】
前記制御部は、供給する粉粒体について前記加振移送制御を行う必要があるか否かを判断し、必要がある場合にのみ、前記加振移送制御を行う、請求項9に記載の粉粒体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を供給するために用いられる、粉粒体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体供給装置として、特許文献1に記載のような粉粒体供給装置が知られている。粉粒体供給装置は、周方向に間隔をあけて複数配置される移送片を備え、各移送片間の移送領域に位置する粉粒体を回転方向に移送する上側移送体及び下側移送体と、上側移送体が移送した粉粒体を供給する第1供給口及び下側移送体が移送した粉粒体を供給する第2供給口を有する底部部材と、開閉体と、を備える。下側移送体の移送領域は、上側移送体の位相領域よりも移動できる粉粒体の体積が小さく構成されており、開閉体は、第1供給口及び第2供給口を開放した第1開放状態と、第2供給口を開放し第1供給口を閉鎖した第2開放状態と、第1供給口及び第2供給口を閉鎖した全閉状態と、を切り替え可能である。
【0003】
以上のような粉粒体供給装置によれば、開閉体が第1開放状態と第2開放状態を切り替えることで、単位時間当たりの粉粒体の払出量を調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような粉粒体供給装置では、単位時間当たりの粉粒体の供給量を調整する構成が複雑であった。そこで、本発明は、単純な構成で単位時間当たりの粉粒体の供給量を調整できる粉粒体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の粉粒体供給装置は、粉粒体を貯留する貯留部から受ける粉粒体を排出部に移送する移送部と、制限部と、を備え、前記移送部は、少なくとも、上面に載った粉粒体を前記排出部に移送し、前記制限部は、第一摺切体を備え、前記第一摺切体は、前記移送部の上面から上方に離れて位置し、前記移送部の上面に載った粉粒体を摺切可能である。
【0007】
かかる構成によれば、第一摺切体は、移送される粉粒体を摺り切ることができるので、移送部の上面に載った粉粒体を移送する構成において単位時間あたりの粉粒体の供給量を制限することができる。よって、単純な構成で単位時間当たりの粉粒体の供給量を調整できる。
【0008】
また、粉粒体の移送方向において前記第一摺切体よりも下流側に配置され、前記移送部の上面に載った粉粒体を前記排出部に送出する送出部を備えるよう構成することもできる。
【0009】
かかる構成によれば、移送部の上面に載った粉粒体を確実に排出部に送出できる。
【0010】
また、前記移送部は、下方に凹となり、粉粒体を収容可能な収容領域を有し、上面に載った粉粒体及び前記収容領域に収容された粉粒体を移送し、前記移送部は、受けた粉粒体を前記排出部へと移送する方向を第一方向又は第二方向に切り替え可能であり、前記制限部は、第二摺切体をさらに備え、前記第一摺切体は、前記第一方向に移送される粉粒体を摺り切るとともに第一方向に移送される粉粒体を前記収容領域に収容し、前記第二摺切体は、前記移送部の上面に略一致して位置し、前記第二方向に移送される粉粒体を摺り切るとともに前記第二方向に移送される粉粒体を前記収容領域に収容するよう構成することもできる。
【0011】
かかる構成によれば、制限部で第一方向及び第二方向に移送される粉粒体を摺り切るので、第一方向及び第二方向に移送される粉粒体の量を制限しつつ、第一方向と第二方向で粉粒体の単位時間あたりの最大供給量に差ができるので、粉粒体の単位時間あたりの最大供給量を変えることができる。
【0012】
前記制限部は、前記制限部は、前記第二方向において前記第二摺切体よりも上流側に配置される第三摺切体を備え、前記第三摺切体は、前記移送部の上面に略一致して位置し、前記第二方向に移送される粉粒体を摺り切るとともに前記第二方向に移送される粉粒体を前記収容領域に収容し、前記第三摺切体の上面の前記移送部の上面に対する高さは、前記第二摺切体の上面の前記移送部の上面に対する高さよりも低く、前記第三摺切体によって摺り切られた粉粒体の一部が前記第三摺切体の上方を通過することができるように構成することもできる。
【0013】
かかる構成によれば、第三摺切体によって摺り切られた粉粒体の一部が第三摺切体の上方を通過することができるので、第三摺切体によって摺り切られて第三摺切体の上流側に多量の粉粒体が留まる場合に、第二摺切体と第三摺切体の間に移動することができる。よって、粉粒体が凝集して詰まったり、外部に溢れたりするなどの不具合を抑制できる。
【0014】
また、前記制限部は、前記第二方向において前記第二摺切体よりも上流側に配置される第三摺切体を備え、前記第三摺切体は、前記移送部の上面に略一致して位置し、前記第二方向に移送される粉粒体を摺り切るとともに前記第二方向に移送される粉粒体を前記収容領域に収容し、前記第二摺切体は、前記第三摺切体によって摺り切られずに前記移送部の上面に残った粉粒体を摺り切るように構成することもできる。
【0015】
かかる構成によれば、第三摺切体によって収容領域に収容されなかった粉粒体が第二摺切体によって収容されるので、移送部の上面に載った粉粒体が2回に分けて収容領域に充填されることができる。よって、収容領域のかさ密度を高めることができる。
【0016】
また、前記制限部は、粉粒体の移送量を均一にするように構成することもできる。
【0017】
かかる構成によれば、制限部は、粉粒体の移送量を均一にするので、単位時間あたりの粉粒体の供給量を均すことができる。
【0018】
また、前記移送部の動作を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記排出部から排出された粉粒体の量を検出する排出量検出手段から、排出された粉粒体の量を検出し、検出した粉粒体の量が、予め設定された供給指示量に近づくまで粉粒体を前記第一方向に移送するように前記移送部を制御する第一移送制御をし、検出した粉粒体の量が、前記供給指示量に近づくと、粉粒体を前記第二方向に移送するように前記移送部を制御する第二移送制御を行うよう構成することもできる。
【0019】
かかる構成によれば、移送部は、排出された粉粒体の量が供給指示量に近づくまで粉粒体を第一方向に移送し、排出された粉粒体の量が供給指示量に近づくと粉粒体を第二方向に移送するので、供給指示量に近づくまでは粉粒体の単位時間当たりの排出量を多くし、供給指示量に近づくと単位時間当たりの排出量を少なくできる。よって、粉粒体の排出にかかる時間を抑制しつつも、排出量が供給指示量を超過することを抑制できる。
【0020】
また、前記制御部は、前記供給指示量が、予め設定された基準値よりも少ない場合には、前記第一移送制御を行わず、前記第二移送制御を行うよう構成することもできる。
【0021】
かかる構成によれば、供給指示量が少ない場合に、第一移送制御を行わないので、排出量が供給指示量を超過することを抑制できる。
【0022】
また、前記移送部を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記移送部が粉粒体を前記排出部に移送する際、粉粒体を前記排出部へと移送する方向への移送と粉粒体を前記排出部へと移送する方向とは反対方向への移送を繰り返すように前記移送部を制御する加振移送制御を行うよう構成することもできる。
【0023】
かかる構成によれば、加振移送制御を行うことで粉粒体に衝撃を与えることができるので、簡単な構成で、凝集した粉粒体を衝撃で分散させることができる。
【0024】
また、前記制御部は、供給する粉粒体について前記加振移送制御を行う必要があるか否かを判断し、必要がある場合にのみ、前記加振移送制御を行うよう構成することもできる。
【0025】
かかる構成によれば、必要がある場合にのみ加振移送制御を行うので、加振移送制御を行う必要がない場合に粒体の供給に係る時間が長くなることを抑制できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、単純な構成で単位時間当たりの粉粒体の供給量を調整できる粉粒体供給装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる粉粒体供給装置を示す概要図である。
【
図5】同粉粒体供給装置の第一方向への移送を示す概略図である。
【
図6】同粉粒体供給装置の第二方向への移送を示す概略図である。
【
図7】同粉粒体供給装置の第二方向への移送における粉粒体の分布を示す概略図である。
【
図8】同粉粒体供給装置の動作を示すフロー図である。
【
図9】同粉粒体供給装置の動作を示すフロー図である。
【
図10】同粉粒体供給装置の動作を示すフロー図である。
【
図11】本発明の他の実施形態にかかる粉粒体供給装置を示す平面図である。
【
図12】同粉粒体供給装置の第二方向への移送を示す概略図である。
【
図13】同粉粒体供給装置の第二方向への移送における粉粒体の分布を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の第一実施形態にかかる粉粒体供給装置2について
図1乃至
図10を参照して説明する。説明の便宜上、上下方向は、
図1に記載の方向を基準に説明する。
【0029】
[概要]
図1及び
図2に示すように、粉粒体供給装置2は、粉粒体供給システム1の一部を構成している。粉粒体供給システム1は、粉粒体Mを貯留する貯留部11と、貯留部11の粉粒体Mを排出して粉粒体供給装置2に投入する粉粒体投入手段12と、粉粒体供給装置2と、排出量検出手段13と、調剤データが入力されるコントローラ14と、を備える。本実施形態の粉粒体供給システム1は、調剤データに従って、粉粒体Mとしての散剤を所望量(例えば、一服用分の量)供給するために用いられる。
【0030】
(貯留部及び粉粒体投入手段)
貯留部11は、粉粒体Mを収容する容器であり、収容する粉粒体Mを排出可能である。具体的に、貯留部11は、蓋及び底を有する筒状で、内部に粉粒体Mを収容可能であり、収容された粉粒体Mについての情報を記憶する情報記憶部、を備える。貯留部11は、蓋が開閉可能であり、蓋を開けることで、粉粒体Mの補充等を行うことができるように構成されている。また、貯留部11は、底に孔が形成されており、孔を通じて内部の粉粒体Mを貯留部11の外部に排出し、下方に位置する粉粒体投入手段12に落下させることができる。情報記憶部(図示しない)は、貯留部11に収容される粉粒体Mの種類や残量についての情報を記憶する。情報記憶部は、後述する制御部6と通信可能である。本実施形態の貯留部11は、粉粒体Mとしての散剤を貯留する容器である。なお、情報記憶部は、貯留部11と離れて設けられている構成とすることもできる。
【0031】
粉粒体投入手段12は、貯留部11の底に連結されており、貯留部11に収容された粉粒体Mを粉粒体供給装置2に投入する。粉粒体投入手段12は、貯留部11から排出された粉粒体Mの通路である。粉粒体投入手段12は、粉粒体の投入量を調整する調整手段(図示しない)を備えており、粉粒体供給装置2に投入された粉粒体Mが、溢れたり、粉粒体Mの自重で凝集したりしない程度であって、粉粒体供給装置2により供給する粉粒体Mに不足が生じない程度に投入量を調整するように構成されている。なお、調整手段は、例えば制御部6の制御によって開閉可能な弁である。貯留部11及び粉粒体投入手段12は、粉粒体供給装置2の上方に配置され、粉粒体投入手段12によって貯留部11から排出された粉粒体Mは、重力に従って落下して粉粒体供給装置2に移動する。
【0032】
本実施形態で、貯留部11と粉粒体投入手段12は、一体の粉粒体容器(散剤容器C)として構成される。散剤容器Cは、薬品棚に複数保管されている。作業者は、調剤データに含まれる散剤を収容する散剤容器Cを薬品棚から取り出し、粉粒体供給装置2の上方の投入位置に配置する。なお、このような構成に限らず、例えば、水平方向に並んで複数配置された保持体と、保持体を水平方向に移動させる移動手段と、を備えた移送機構の各保持体に散剤容器Cが保持され、移動手段による散剤容器Cの移動によって調剤データに含まれる散剤を収容する散剤容器Cが粉粒体供給装置2の上方の投入位置に選択的に移動するように構成することもできる。
【0033】
[粉粒体供給装置]
粉粒体供給装置2は、貯留部11から受けた粉粒体Mを供給対象物に供給する。
図2及び
図3に示すように、粉粒体供給装置2は、枠部3と、排出部33と、移送部4と、枠部3の内部に配置される作用部5と、粉粒体供給装置2を制御する制御部6と、粉粒体供給装置2を操作するための操作画面7と、を備える。本実施形態の粉粒体供給装置2は、外部のコントローラ14等から入力された供給指示量(調剤データに含まれる供給量)に達するまで、貯留部11から受けた粉粒体Mを少しずつ供給対象物に供給する。また、本実施形態の粉粒体供給装置2は、散剤を一服用分ずつ供給対象物としてのトレイTに供給するように構成されている。
【0034】
(枠部)
図3に示すように、枠部3は、有底の筒状体であり、後述する排出孔3bを取り囲む枠体である。具体的に、枠部3は、底部31と、周壁部32と、を備えた円筒形状である。枠部3は、後述する移送体41及び作用部5を収容する枠である。なお、枠部3は、上方の開口を塞ぐ構成とすることもできる。例えば、枠部3の上方のうち、受け領域2aの上方を除いた部分が別部材によって覆われた構成とすることもできる。
【0035】
底部31は、枠部3の底面であり、上面が平坦な略円形の板状体である。底部31は、外縁部の一部が径内方に凹んだ凹み部分を有する。また、底部31には、上下方向で貫通する孔が形成されている。具体的に底部31には、中央部分に配置され、後述する駆動軸423が厚み方向で貫通する軸孔3aが形成される。
【0036】
周壁部32は、枠部3の側面であり、底部31の周方向に沿って底部31の外縁部から上方に立設された壁体である。周壁部32は、底部31の凹み部分の外縁部に対応する箇所で、凹み部分の外縁部よりも径外方から上方に立設される。底部31の凹み部分の外縁部と周壁部32との間には、排出孔3bが形成される。具体的に、周壁部32は、底部31の凹み部分の外縁部に対応する箇所で、底部31の外縁部(底部31の凹み部分以外の外縁部)より径外方に突出した突出部分を有し、突出部分によって排出孔3bの上方三方を囲う。周壁部32は、作用部5の位置決めをする位置決め部321と、作用部5の外壁部53を収容する収容切欠部322と、を備える。周壁部32の底部31からの高さは、移送体41の厚み及び作用部5の厚みの合計と略同じ又は厚みの合計よりも高い。
【0037】
(排出部)
排出部33は、排出孔3bを有する。排出部33は、枠部3の内部に位置している粉粒体Mが、排出孔3bを通じて枠部3の外方に移動可能なように構成されている。本実施形態の枠部3は、排出部33を1つ備える。
【0038】
(移送部)
移送部4は、貯留部11(粉粒体投入手段12)から受けた粉粒体Mを排出部33に移送可能である。移送部4は、投入された粉粒体Mを移送する移送体41と、移送体41を駆動させる駆動手段42と、を備える。
【0039】
移送体41は、底部31の上に配置される略円形の板状体であり、底部31の上方で上下軸線回りに回動する。移送体41は、上面に載せた粉粒体Mを移送することができる。また、移送体41には、上面から下方に凹となり、粉粒体Mを収容可能な収容領域41aが周方向に複数形成される。移送体41は、収容領域41aに収容した粉粒体Mを移送することができる。具体的に、移送体41は、円形の板状体である円盤部411と、円盤部411の外縁部から径外方に突出する複数の移送突起部412と、を備え、各移送突起部412の間に収容領域41aが形成されている。
【0040】
円盤部411は、厚みが略均一の板状体であり、上面及び下面が平坦である。また、円盤部411には、中央部分に厚み方向に貫通する駆動孔が形成されている。駆動孔は、駆動軸423が係合可能であり、駆動軸423の駆動力が駆動孔を介して移送体41に伝達される。
【0041】
移送突起部412は、円盤部411の外縁部に周方向に間隔をあけて配置される突起である。移送突起部412は、円盤部411の外縁部に歯車状に形成されている。また、移送突起部412は、上下方向長さ(厚み)が円盤部411の厚みと略同じであり、上面及び下面が平坦である。また、
図5に示すように、移送突起部412は、下端から上端に向かって幅が広がったテーパ形状になっている。
【0042】
移送体41は、下面が底部31の上面と略一致するように配置される。なお、略一致するとは、移送体41が後述するように、第一方向及び第二方向に抵抗なく回動可能となる程度だけ底部31から上方に離れていることを指す。
【0043】
本実施形態では、収容領域41aは、移送体41が枠部3に配置された状態において、枠部3によっても画定される。具体的に、収容領域41aは、移送体41の外周面と、周壁部32の内周面に囲まれた範囲である。また、移送突起部412を下端から上端に向かって幅が広がったテーパ形状にしたことで、収容領域41aは、上方から下方に向かうにつれて幅が広くなる空間になっている(
図5及び
図6参照)。また、各収容領域41aは、排出部33と一致する位置において排出孔3bに連通する。即ち、排出部33と一致しない位置においては、収容領域41aに収容された粉粒体Mが底部31に保持されることで、収容領域41aに収容した状態で粉粒体Mを移送することが可能であり、排出部33と一致する位置においては、排出孔3bに連通することで、収容領域41aに収容された粉粒体Mが下方に落下する。なお、収容領域41aは種々の大きさに設定できるが、凝集しやすい粉粒体Mを移送する移送体41では、収容領域41aの容積を大きく設定することが好ましい。このような構成の場合には、収容領域41aに粉粒体を収容しやすい。一方、収容領域41aの容積を小さく設定することで、微量の粉粒体Mの排出が可能となる。
【0044】
駆動手段42は、上下方向を軸に移送体41を回動させる。具体的に、駆動手段42は、モータを備える駆動源421と、駆動源421の駆動力を伝達する伝達手段422と、を備える。伝達手段422は、駆動源421の動力を伝達するベルト(図示しない)と駆動軸423を備える。
【0045】
駆動手段42は、移送体41を第一方向(
図4における反時計回り)及び第二方向(
図4における時計回り)に回動させることができる。具体的に、駆動手段42は、制御部6の制御によって一方向及び他方向に回動可能なモータである。また、駆動手段42は、移送体41を所定角度ずつ間欠的に回動させることができる。さらに、駆動手段42は、回動方向(移送体41を駆動させる方向)を切り替え可能である。
【0046】
(作用部)
作用部5は、移送体41の上方に配置され、移送体41によって移送される粉粒体Mに作用して、粉粒体Mを枠部3の内部で移動させる。具体的に、作用部5は、枠部3に対する位置決めをする嵌合部51と、内壁部52と、外壁部53と、制限部8と、送出部55と、誘導部56と、を備える。
【0047】
嵌合部51は、作用部5が枠部3に対して所定の位置に配置されたときに、位置決め部321に対して嵌合することで、作用部5の枠部3に対する位置決めがなされる。嵌合部51が位置決め部321に嵌合した状態において、外壁部53は収容切欠部322に嵌合する。このとき、作用部5は、位置決め部321及び収容切欠部322に支持され、下面が移送体41の上面と略一致するように配置される。また、位置決め部321及び収容切欠部322の少なくとも一方によって、作用部5の周方向への移動が規制される。なお、略一致するとは、移送体41が第一方向及び第二方向に抵抗なく回動可能となる程度だけ作用部5が移送体41から上方に離れていることを指す。また、このとき、作用部5が移送体41から離れて配置されているので、作用部5は移送体41の回動と絶縁された状態である。さらに、外壁部53が収容切欠部322に嵌合しているので、移送体41の回動による力が粉粒体Mなどを通じて作用部5に伝わったとしても、力を収容切欠部322で受け、作用部5が回動することを抑制できる。
【0048】
内壁部52は、嵌合部51から延設され、外径が円盤部411の外径よりも小さい円柱体である。内壁部52は、移送体41と略同軸に配置され、下面が円盤部411の上面と略一致している。内壁部52は、円盤部411の径内方に粉粒体Mが進入することを抑制する。
【0049】
外壁部53は、内壁部52から径外方に離れて位置する円弧状の壁体であり、収容切欠部322に収容される部分である。外壁部53は、収容切欠部322に収容された状態で、内面が周壁部32の内周面と連続して延びるように構成されている。また、外壁部53は、後述する第一制限部81(第一摺切体811)から第二制限部82(第二摺切体821)まで延びる。
【0050】
移送される粉粒体Mは、移送体41の径外方への移動が周壁部32及び外壁部53に規制され、移送体41の径内方への移動が内壁部52に規制されることで、内壁部52の外周面と周壁部32の内周面(外壁部53の内周面)の間に位置する。即ち、内壁部52と周壁部32及び外壁部53に囲まれる円周状の領域が粉粒体Mの移送経路である。移送体41によって移送される粉粒体Mは、移送体41のうち、内壁部52よりも径外方に位置する部分(移送体41の上面および収容領域41a)によって移送される。粉粒体Mの移送経路は、粉粒体Mが投入される領域である受け領域2aを始点とし、排出部33を終点とする。粉粒体Mの移送経路は、第一方向に粉粒体Mを移送する円弧状の経路が第一移送経路R1であり、第二方向に粉粒体Mを移送する円弧状の経路が第二移送経路R2である。
【0051】
制限部8は、移送部4の単位駆動量当たりの粉粒体Mの移送量を制限する。制限部8は、第一方向に粉粒体Mが移送されるときよりも第二方向に粉粒体Mが移送されるときの方が、移送部4の単位駆動量当たりの粉粒体Mの移送量が少なくなるように構成される。制限部8は、移送体41に移送される粉粒体Mに作用して、粉粒体Mが移送方向(第一方向又は第二方向、或いはその両方)に移送される粉粒体Mの量を制限する。具体的に、制限部8は、第一方向に移送される粉粒体Mに作用する第一制限部81と、第二方向に移送される粉粒体Mに作用する第二制限部82と、を備える。第一制限部81は、粉粒体Mが投入される位置(後述する受け領域2a)に対して第一方向で下流側(第一方向で受け領域2aと排出部33の間)に位置する。第二制限部82は、粉粒体Mが投入される位置(受け領域2a)に対して第二方向で下流側(第二方向で受け領域2aと排出部33の間)に位置する。
【0052】
第一制限部81は、第一摺切体811を備える。第一摺切体811は、内壁部52から外壁部53まで延びる棒状体であり、第一移送経路R1内に配置される。第一摺切体811は、下面より下方において粉粒体Mが移動可能となる程度(
図5参照)に移送体41の上面から上方(収容領域41aの上方)に離れて位置し、下面よりも上方を移送される粉粒体Mを摺り切ることで、第一方向に移送される粉粒体Mの最大量を制限する。即ち、第一摺切体811は、第一方向に移送される粉粒体Mのうち、収容領域41aの上面よりも上方に離れて位置する粉粒体Mを摺り切る。第一摺切体811は、第一方向に移送される粉粒体Mについて、第一摺切体811の下面よりも上方の粉粒体Mの通過を規制し、第一摺切体811の下面よりも下方の粉粒体Mと収容領域41aに収容された粉粒体Mの通過を許容する。つまり、第一摺切体811は、収容領域41aに収容されていない粉粒体Mの一部が移送されることを許容しつつ、第一方向に移送される粉粒体Mの最大量を制限する。また、第一摺切体811は、通過する粉粒体Mの上面を均す。移送体41の上面に載った粉粒体Mを摺り切ることで、第一方向に移送される粉粒体Mを収容領域41aに収容する。第一摺切体811は、上面が枠部3の上面と一致する。なお、「摺り切る」とは、移送される粉粒体Mに対して障害物を設置し、その障害物に当たる粉粒体Mをそれ以上移送方向で下流側に移送されないように制限することを指す。
【0053】
第二制限部82は、第二摺切体821及び第三摺切体822を備える。第二摺切体821及び第三摺切体822は、下面が、移送体41の上面と略一致するように配置されている。第二摺切体821は、第三摺切体822よりも第二方向で下流側に配置されている。
【0054】
第二摺切体821は、内壁部52から外壁部53まで延びる板状体であり、第二移送経路R2内に配置される。第二摺切体821は、下面よりも上方を移送される粉粒体Mを摺り切ることで、第二方向に移送される粉粒体Mの最大量を制限する。第二摺切体821は、第二方向に移送される粉粒体Mのうち、収容領域41aの上面よりも上方に位置する粉粒体Mを摺り切る。即ち、第二方向に移送される粉粒体Mについて、収容領域41aに収容された粉粒体Mが通過することを許容する。第二摺切体821は、収容領域41aに収容されていない粉粒体Mが移送されることを許容せず、第二方向に移送される粉粒体Mの最大量を制限する。また、第二摺切体821は、通過する粉粒体Mの上面を均す。移送体41の上面に載った粉粒体Mを摺り切ることで、第二方向に移送される粉粒体Mを収容領域41aに収容する。第二摺切体821は、上面が内壁部52及び外壁部53の上面と一致する。第二摺切体821は、内壁部52から径外方の第二方向下流側に延び粉粒体Mを移送体41の径外方に誘導する誘導体823を備える。
【0055】
第三摺切体822は、第二摺切体821と同様に、下面よりも上方を移送される粉粒体Mを摺り切ることで、第二方向に移送される粉粒体Mの最大量を制限する。第三摺切体822は、第二方向に移送される粉粒体Mのうち、収容領域41aの上面よりも上方に位置する(第三摺切体822の下面よりも上方に位置する)粉粒体Mを摺り切る。即ち、第二方向に移送される粉粒体Mについて、収容領域41aに収容された粉粒体Mが通過することを許容する。また、第三摺切体822は、移送体41の上面に載った粉粒体Mを摺り切ることで、第二方向に移送される粉粒体Mを収容領域41aに収容する。具体的に、第三摺切体822は、外壁部53から径内方に突出する突起であり、第二移送経路R2内に配置される。第三摺切体822は、先端が内壁部52からは離れて位置しており、収容領域41aの上方に配置されている。本実施形態の第三摺切体822は、第二移送経路R2内で離れて複数(具体的には2つ)配置されている。また、第三摺切体822は、上面が第二摺切体821の上面よりも低い。即ち、第三摺切体822は、上面が内壁部52及び外壁部53の上面よりも低い。第三摺切体822の上流側で粉粒体Mが滞留することなく、粉粒体Mが第三摺切体822を乗り越えて通過する。さらに、第三摺切体822の下面は、第二摺切体821の下面よりも上方に位置しており、わずかな粉粒体Mが第三摺切体822と移送体41の間を移動可能である。なお、第三摺切体822の下面と移送体41の上面との距離は、移送体41の厚みの半分以下である。
【0056】
粉粒体Mの移送経路(周方向)で、第一摺切体811(第一制限部81)と第三摺切体822(第二制限部82)の間で、排出部33が位置しない側の領域である、受け領域2aに、粉粒体投入手段12から粉粒体Mが投入される(
図4参照)。なお、受け領域2aは、粉粒体投入手段12の排出口の位置により定まる。本実施形態の、受け領域2aは、周方向の両端が第一摺切体811及び第三摺切体822で画定され、径方向の両端が内壁部52及び外壁部53に画定された領域である。受け領域2aに投入された粉粒体Mは、一部が収容領域41aに収容され、残りが移送体41の上面に載る。即ち、受け領域2aは、第一方向において、第一制限部81よりも上流側であり、かつ、第二方向において、第二制限部82よりも上流側の範囲である。
【0057】
送出部55は、第一移送経路R1を狭めることで、移送された粉粒体Mを排出部33に案内する。送出部55は、第一移送経路R1内において、第一摺切体811よりも下流側に配置され、内壁部52から排出部33まで延びる壁である。具体的には、送出部55は、第一方向における下流側が上流側よりも径外方に位置するように構成されている壁体である。送出部55は、上面が内壁部52及び外壁部53の上面と一致し、下面が、移送体41の上面と一致する。
【0058】
誘導部56は、内壁部52から径外方に突出する突起であり、第二移送経路R2内に配置される。具体的に、誘導部56は、下面が移送体41の上面と略一致し、内壁部52から径外方に延び、第二方向で下流側が上流側よりも径外方に位置するように突出した突起である。本実施形態で誘導部56は、第二移送経路R2内で離れて複数(具体的には2つ)配置されている。誘導部56は、各第三摺切体822に対して第二方向の上流側に配置されている。このように、誘導部56が第三摺切体822と一対に設けられているので、各第三摺切体822に粉粒体Mを誘導できるため、粉粒体Mを収容領域41aに収容できる確実性を高めることができる。なお、受け領域2aと誘導部56の第二方向における距離は、例えば、粉粒体Mの物性(例えば凝集性)に応じて設定できる。
【0059】
(制御部)
制御部6は、粉粒体供給装置2が粉粒体Mを移送するように制御する。具体的に、制御部6は、移送部4の駆動手段42を制御して、移送体41を回動させる制御する。また、制御部6は、粉粒体供給装置2の外部(粉粒体供給システム1の各機器)と通信可能である。制御部6の具体的な制御については後述する。
【0060】
[排出量検出手段]
排出量検出手段13は、粉粒体供給装置2が供給した粉粒体Mの量を検出可能であり、制御部6と通信可能であり、検出した粉粒体Mの量を制御部6に伝達する。具体的には、粉粒体供給装置2が供給した粉粒体Mの重量を検出できる秤である。本実施形態の排出量検出手段13は、トレイTを載置可能であり、載置されたトレイT及びトレイTに供給された粉粒体Mの重量を秤量する。そして、秤量された重量値からトレイT自体の重量値を引くことで、粉粒体供給装置2が供給した粉粒体Mの重量を検出する。なお、トレイT自体の重量値は、粉粒体Mの供給前にトレイTの重量を秤量することで検出される。このような排出量検出手段13は、制御部6と通信可能であり、検出した重量値(粉粒体Mの量)を制御部6に伝達する。
【0061】
[トレイ]
トレイTは、上方が開放され、粉粒体投入手段12が供給した粉粒体Mを収容可能な容器である。トレイTは、例えば、作業者により粉粒体供給装置2の下方に置かれ、また、取り外されるが、機械により粉粒体供給装置2の下方に置かれ、また、取り外される構成とすることもできる。トレイTは、情報を書き込み可能な書き込み部T1を備える。書き込み部T1には、トレイTが収容する粉粒体Mに関する情報が書き込まれる。具体的に、書き込み部T1には、粉粒体Mの種類に関する情報や、供給された量(重量)に関する情報が書き込まれる。本実施形態で、書き込み部T1には、各情報が文字情報で書き込まれるが、このような構成に限らず、例えば、光学的手段で機械が読み取ることができる態様で情報が書き込まれるように構成することもできるし、ICタグとして構成することもできる。
【0062】
[コントローラ]
コントローラ14は、作業者が粉粒体Mの供給に関するデータを入力するコンピュータである。本実施形態では、コントローラ14に、粉粒体Mとしての散剤を供給するための情報である調剤データが入力される。具体的に、コントローラ14に入力される情報は、供給される散剤(粉粒体M)の種類、包数、及び、一包分の供給指示量(分量)の情報を含み、例えば、A散剤を1gずつ、7服用分供給するというような情報が入力される。なお、粉粒体供給システム1の外部から例えばネットワークを介して調剤データが入力される構成とすることもできる。
【0063】
[供給動作]
以上のような構成の粉粒体供給装置2及び粉粒体供給システム1が粉粒体Mを供給するための動作について、
図4から
図7の概略図及び
図8から
図10のフロー図を参照して説明する。供給動作は、コントローラ14に調剤データが入力される、調剤データ入力工程S11からスタートする。
【0064】
(準備段階)
図8を参照して粉粒体供給装置2が粉粒体Mを供給するための準備段階S1について説明する。まず、制御部6が、入力された調剤データに含まれる散剤を収容する貯留部11(散剤容器C)が薬品棚に保管されているか否かを確認する、容器確認工程S12を行う。具体的には、制御部6が記憶する薬品棚に保管された貯留部11が収容する散剤のリストに、供給すべき種類の散剤があるか否かを確認する。調剤データに含まれる散剤を収容する貯留部11がある場合(容器確認工程S12においてYESの場合)には、操作画面7やコントローラ14を通じて、作業者に該当する貯留部11を粉粒体供給装置2(移送体41)の上方にセットするように案内する案内制御S13を行う。一方、調剤データに含まれる散剤を収容する貯留部11がない場合(容器確認工程S12においてNOの場合)にはその後の動作を行わずに終了する。
【0065】
次に、案内制御S13で案内した貯留部11(散剤容器C)がセットされるまで待つ待ち制御S14を行う。待ち制御S14では、貯留部11がセットされるまで案内制御S13を継続する。また、貯留部11がセットされたときに、制御部6がセットされた貯留部11の貯留記憶部と通信し、適切な貯留部11がセットされたか否かを確認する。適切な貯留部11がセットされた場合(待ち制御S14においてYESの場合)には、待ち制御S14を終了する。一方で、不適切な貯留部11がセットされた場合には、その旨を作業者に案内し、待ち制御S14を継続する。
【0066】
貯留部11がセットされた後で、貯留部11に収容されている散剤の量が、調剤データで指示された供給量以上あるかを判断する残量判定工程S15を行う。残量判定工程S15では、調剤データで指示された1包分の分量に供給する包数を乗じた全包分の指示量よりも貯留部11に収容されている分量よりも多いか否かを判定する。本実施形態では、制御部6が情報記憶部と通信して、貯留部11に収容された散剤の残量に関する情報を取得し、取得した残量値と全包分の指示量を比較する。貯留部11に収容された散剤の残量が足りる場合(残量判定工程S15においてYESの場合)には、準備段階S1を終了し、供給段階S2に移行する。貯留部11に収容された散剤の残量が足りない場合(残量判定工程S15においてNOの場合)には、散剤が不足する旨の警告をする不足アラートS151を行い、作業者に対して、貯留部11に収容された散剤を出し切ってから補充するか否かを確認する補充確認制御S16を行う。補充確認制御S16において、作業者が貯留部11に収容された散剤を出し切ってから補充すると判断した場合(補充確認制御S16においてYESの場合)には、準備段階S1を終了し、供給段階S2に移行する。一方で、補充確認制御S16において、作業者が貯留部11に収容された散剤を出し切る前に補充すると判断した場合(補充確認制御S16においてNOの場合)には、補充を案内する補充案内制御S17をして、再度待ち制御S14に移行する。
【0067】
(供給段階)
図5乃至
図7及び
図9を参照して供給段階S2について説明する。準備段階S1が終了すると、粉粒体供給装置2が貯留部11から散剤(粉粒体M)を受け、受けた散剤をトレイTに供給する、供給段階S2に移行する。
【0068】
供給段階S2では、まず、制御部6が調剤データを参照して、一包分の供給指示量が、予め設定された基準値としての少量基準値(所定量)よりも多いかどうかを判断する、供給量判断工程S21を行う。少量基準値は、第一移送制御S22及び残量排出制御S24によって供給できる散剤の排出量の最小値である。少量基準値は、例えば、移送体41の1つの収容領域41aに収容される散剤の量の所定倍の分量であり、具体的には、第一移送経路R1(移送体41の半周分の収容領域41a)に収容される散剤の量を基準に設定された値である。一包分の供給指示量が少量基準値よりも多い場合(供給量判断工程S21においてYESの場合)には、第一移送制御S22に移行し、一包分の供給指示量が少量基準値よりも少ない場合(供給量判断工程S21においてNOの場合)には、第二移送制御S26に移行する。これにより、供給指示量が少量である場合に第一移送制御S22を省略するので、第一移送制御S22を行うことによって供給される散剤の排出量が供給指示量を越えない。
【0069】
第一移送制御S22は、移送体41の散剤を第一方向に(
図4に実線で示す方向に)移送する工程である。具体的に、第一移送制御S22では、制御部6が、移送体41を第一方向に回動させるように移送部4を制御すると共に、粉粒体投入手段12と通信して、粉粒体投入手段12に散剤を受け領域2aに投入させる。第一移送制御S22において、制御部6は、移送体41を所定角度ずつ間欠的に回動させる。なお、第一移送制御S22において、制御部6は、移送体41を連続的に回動させる構成とすることもできる。
【0070】
図4及び
図5に示すように、第一移送制御S22で散剤は、受け領域2aから排出部33まで第一方向に移送される。また、第一方向に移送される途中で、散剤は第一摺切体811(第一制限部81)によって、摺り切られることで均される。受け領域2aにおいて、投入された散剤の厚みは不均一であり、散剤が厚く堆積している部分と散剤が薄く堆積している(又は堆積していない)部分とが形成されている。このような散剤が第一方向に移送される際に、厚く堆積している部分が第一摺切体811に接して、第一摺切体811の下面よりも上方に位置する部分が摺り切られる。よって、第一摺切体811によって一度に多量の散剤が供給されることを抑制できるし、粉粒体Mの移送量を均一にできる。また、摺り切られた散剤は、薄く堆積している部分に移動し、結果として、第一摺切体811よりも下流側において、散剤の上面は略平坦な状態(均された状態)になる。さらに、第一摺切体811によって摺り切られる際に、散剤は収容領域41aに収容される。具体的に、第一方向に移動する散剤は、第一摺切体811に接した際に、受ける力で下方に押し込まれて、収容領域41aに収容される。特に、本実施形態の収容領域41aは、上方が下方よりも狭く形成されているので、散剤が収容領域41aの全体に入りにくいが、第一摺切体811によって押し込まれることで、収容領域41aの全体に入ることができる。
【0071】
第一制限部81を通過した散剤は、第一方向でさらに下流側に移送され、排出部33から排出される。具体的に、移送体41の上面に載った散剤は、下流側に向かうにつれて径外側にせり出す送出部55に接して、送出部55によって径外方の排出部33に誘導されて、排出部33からトレイTに落下する。また、収容領域41aに収容された散剤は、移送経路周方向で排出部33と一致したときに、底部31による支持をうけなくなり、排出部33からトレイTに落下する。ここで、収容領域41aは、上側が狭く下側が広いので、収容された散剤が周方向両側の壁に引っ掛かったりすることなく確実に落下することができる。
【0072】
ここで、第一制限部81によって、第一方向に移送される散剤の最大量が制限されるので、移送体41の第一方向への移動で供給される散剤の最大量を所定量以下に制限できる。
【0073】
次に制御部6は、散剤の排出量が第一指示量Aを越えたか否かを判断する第一判断工程S23を行う。第一指示量Aは、供給指示量よりも小さく、供給指示量から余裕分を引いた値である。なお、余裕分とは、散剤の排出量が第一指示量Aを超えて第一移送制御S22を終了した時点で、受け領域2aから排出部33の間に位置しており、第一移送経路R1内に残っていると推定される散剤に相当する量である。つまり、第一指示量Aは、第一経路内に残っていると推定される散剤を残量排出制御S24によって排出しても、散剤の排出量が供給指示量を越えないよう設定される値である。なお、第一指示量Aは、供給指示量から余裕分を引いた値からさらに安定分を引いた値に設定してもよい。安定分とは、第二移送制御S26において散剤の排出量が安定するまでに第二移送制御S26による供給が必要な散剤の排出量である。第二移送制御S26を開始した直後は、収容領域41aに散剤が十分に充填されずに散剤が排出部33に移送されることがあり、散剤の排出量にばらつきが生じやすい。このばらつきを安定分で吸収することで、散剤の供給量を供給指示量に一致させやすくなる。安定分は、例えば、移送体41の1つの収容領域41aに収容される散剤の量の所定倍の分量であり、具体的には、移送体41の3つ~5つ(半周分)の収容領域41aに収容される散剤の量を基準に設定された値である。このように構成すると、第二移送制御S26では、3つ~5つの収容領域41aに収容される散剤が排出部33に移送されるように移送体41を回動させることで、単位駆動量あたりの散剤の排出量を安定させてから、散剤の払出を行うことができるので、散剤の排出量を供給指示量に一致させることができる。また、余裕分は、散剤の性質(例えば比重)により、散剤の種類毎に異なる設定とすることができる。このような場合には、余裕分を、予め制御部6などにテーブルを記憶させておき、供給する散剤に応じて設定量を変更できるように構成することもできる。また、余裕分を散剤の種類にかかわらず一定とすることもできる。本実施形態で、制御部6は、排出量検出手段13が検出した値(排出した散剤の重量)を取得して、取得した値が第一指示量Aを越えたか否かを判断する。制御部6は、第一判断工程S23で散剤の排出量が第一指示量Aを越えていないと判断された場合(第一判断工程S23においてNOの場合)には、第一移送制御S22を継続し、第一判断工程S23で散剤の排出量が第一指示量Aを越えたと判断された場合(第一判断工程S23においてYESの場合)には、第一移送制御S22を終了し、残量排出制御S24に移行する。なお、第一移送制御S22を終了すると、粉粒体投入手段12からの散剤の投入も停止する。
【0074】
第一移送制御S22を終了すると、次に残量排出制御S24に移行する。残量排出制御S24は、第一移送経路R1内に残った散剤を排出する工程である。具体的に、残量排出制御S24では、移送体41を第一方向に所定角度(例えば半周分から2周分)回動させて、残った散剤を排出する。なお、残量排出制御S24における移送体41の回動は、連続的な回動であるが、間欠的な回動とすることもできる。
【0075】
制御部6は、残量排出制御S24が終了した後に、第二判断工程S25を行う。第二判断工程S25は、散剤の排出量が第二指示量Bを越えていないか否かを判断する工程である。本実施形態で第二指示量Bは、供給指示量と同量であるが、このような場合に限らず、供給指示量から許容される誤差分を引いた量(最低供給量)とすることもできる。第二判断工程S25で、制御部6は、排出量検出手段13が検出した値(排出した散剤の重量)を取得して、取得した値が第二指示量Bを越えたか否かを判断する。制御部6は、第二判断工程S25で散剤の排出量が第二指示量Bを越えていないと判断された場合(第二判断工程S25においてYESの場合)には、第二移送制御S26に移行し、第二判断工程S25で散剤の排出量が第二指示量Bを越えたと判断された場合(第二判断工程S25においてNOの場合)には、供給段階S2から確認段階S3に移行する。
【0076】
第二移送制御S26は、移送体41の散剤を第二方向に(
図4に破線で示す方向に)移送する工程である。具体的に、第二移送制御S26では、制御部6が、移送体41を第二方向に回動させるように移送部4を制御すると共に、粉粒体投入手段12と通信して、粉粒体投入手段12に散剤を受け領域2aに投入させる。第二移送制御S26において、制御部6は、移送体41を所定角度ずつ間欠的に回動させる。また、第二移送制御S26において、粉粒体投入手段12は第一移送制御S22と比べてゆっくり(少量ずつ)散剤を受け領域2aに投入するように制御される。
【0077】
図4及び
図6に示すように、第二移送制御S26で散剤は、受け領域2aから排出部33まで第二方向に移送される。また、第二方向に移送される途中で、散剤は第二摺切体821及び第三摺切体822(第二制限部82)によって、摺り切られることで均される。まず、受け領域2aに投入された散剤が第二方向に移送される際に、厚く堆積している部分が第三摺切体822に接して、第三摺切体822の下面よりも上方に位置する部分が摺り切られる。第三摺切体822によって摺り切られる際に、散剤は収容領域41aに収容される。また、収容領域41aに収容されない散剤は、第三摺切体822の径内方を通って下流側に移送される。第三摺切体822の先端が内壁部52から離れているため、第三摺切体822の上流側で粉粒体Mが滞留することがない。次に、収容領域41aに収容されない散剤がさらに第二方向に移送される際に、厚く堆積している部分が第二摺切体821に接して、第二摺切体821の下面よりも上方に位置する部分が摺り切られる。第二摺切体821によって摺り切られる際に、散剤は収容領域41aに収容される。よって、第二摺切体821によって一度に多量の散剤が供給されることを抑制できるし、粉粒体Mの移送量を均一にできる。具体的に、第二方向に移動する散剤は、第二摺切体821及び第三摺切体822に接した際に受ける力で下方に押し込まれて、収容領域41aに収容される。特に、本実施形態の収容領域41aは、上方が下方よりも狭く形成されているので、散剤が収容領域41aの全体に入りにくいが、第二摺切体821及び第三摺切体822によって押し込まれることで、収容領域41aの全体に入ることができる。さらに、第三摺切体822の下面は、移送体41の厚みの半分以下の距離だけ移送体41の上面よりも上方に位置しているので、第三摺切体822で散剤を摺り切る際に、収容領域41aの上面よりも上方の散剤を第三摺切体822で下方に押して、確実に収容領域41aに収容されることができる。
【0078】
また、移送体41の上面よりも上方に位置している散剤について第二摺切体821及び第三摺切体822が摺り切るので、収容領域41aに収容された散剤の上面が均された状態となる。
【0079】
さらに、
図7にドットで示すように、第二方向に移送される散剤は、誘導部56及び第二摺切体821(誘導体823)によって移送体41の径外方に誘導される。具体的に、第二方向に移動する散剤は、誘導部56及び第二摺切体821(誘導体823)に当接することで、誘導部56及び第二摺切体821(誘導体823)に沿って移送体41の径外方に移動する。よって、第二摺切体821及び第三摺切体822で散剤を摺り切ることができるので、収容領域41aに散剤を確実に収容することができる。
【0080】
第二摺切体821を通過した散剤は、第二方向でさらに下流側に移送され、排出部33から排出される。具体的に、収容領域41aに収容された散剤は、移送経路周方向で排出部33と一致したときに、底部31による支持をうけなくなり、排出孔3bからトレイTに落下する。ここで、収容領域41aは、上側が狭く下側が広いので、収容された散剤が周方向両側の壁に引っ掛かったりすることなく確実に落下することができる。
【0081】
ここで、第二制限部82によって、第二方向に移送される散剤の最大量が制限されるので、移送体41の第二方向への移動で供給される散剤の最大量を所定量以下に制限できる。
【0082】
第二移送制御S26で第二方向に移送され、排出部33から排出される、単位時間当たりの散剤の量は、第一移送制御S22で第一方向に移送され排出部33から排出される、単位時間当たりの散剤の量よりも少ない。具体的に、第一制限部81が許容する散剤の通過量は、第二制限部82が許容する通過量よりも多い(第二制限部82が許容する通過量は、第一制限部81が許容する通過量よりも少ない)ので、第一移送制御S22と第二移送制御S26で移送体41を同じ速度で回動させた場合の単位時間当たりの散剤の供給量に差ができる。
【0083】
また、制御部6は、第二移送制御S26で、散剤に対して、凝集した散剤を分散させるような衝撃(振動)を与えつつ移送する加振移送制御を行う。加振移送制御は、移送体41が散剤を排出部33に(第二方向に)移送する際に、排出部33に移送する方向(第二方向)への移送と、排出部33へ移送する方向とは反対側(第一方向)への移送を繰り返させる制御である。具体的に、加振移送制御を行いつつ散剤を移送する制御(第二移送制御S26)をする場合には、移送体41を移送方向(第二方向)に所定角度回動させてから、移送方向(第二方向)への回動角度よりも小さい角度移送方向の反対方向(第一方向)に回動させることで、移送方向(第二方向)に移動させつつ、散剤に衝撃(振動)を与える。特に、回動方向が切り替えられる際に(停止及び逆方向に回動する際に)散剤に衝撃が与えられる。また、移送する方向とは反対側に移送することで、制限部8と散剤の間に空間が形成されるので、該空間に凝集した散剤が分散できるため、凝集した散剤を分散させやすい。加振移送制御により、散剤が凝集することを抑制でき、また、凝集した散剤を分散させることができるので、散剤が凝集して移送や収容領域41aへの収容ができなくなることを抑制できる。なお、散剤を移送する制御(第二移送制御S26)での加振移送制御において、移送体41を移送方向(第二方向)に所定角度回動させてから、移送方向(第二方向)への回動角度よりも大きい角度移送方向の反対方向(第一方向)に回動させることで、散剤を分散させ、その後に、移送方向の反対方向(第一方向)に戻った角度よりも大きく移送方向(第二方向)に回動させて散剤を移送する構成とすることもできる。
【0084】
本実施形態で、制御部6は、散剤の移送に関して加振移送制御を行う必要があるか否かを判断し、必要がある場合にのみ加振移送制御を行う。具体的に、制御部6は、凝集しやすい散剤を移送する際には加振移送制御を行う。なお、本実施形態では、制御部6が、凝集しやすい散剤の種類を記憶しており、記憶された凝集しやすい種類と合致する散剤を移送する場合にのみ加振移送制御を行うが、このような構成に限らず、例えば、散剤の性質(安息角や圧縮度、Carrの流動性指数等)や環境(温度や湿度)に基づいて加振移送制御を行う必要があるか否かを判断することもできる。
【0085】
次に制御部6は、散剤の排出量が第二指示量Bを越えたか否かを判断する第三判断工程S27を行う。本実施形態で、制御部6は、排出量検出手段13が検出した値(排出した散剤の重量)を取得して、取得した値が第二指示量Bを越えたか否かを判断する。制御部6は、第三判断工程S27で散剤の排出量が第二指示量Bを越えていないと判断された場合(第三判断工程S27においてNOの場合)には、第二移送制御S26を継続し、第三判断工程S27で散剤の排出量が第二指示量Bを越えたと判断された場合(第一判断工程S23においてYESの場合)には、第二移送制御S26を終了(供給終了工程S28)し、確認段階S3に移行する。なお、第二移送制御S26を終了すると、粉粒体投入手段12からの散剤の投入も停止する。
【0086】
(確認段階)
図10に示すように、確認段階S3では、供給された散剤の量についての確認をする。
【0087】
まず、制御部6は、第二移送制御S26が終了した後に、一包確認工程S31を行う。一包確認工程S31は、散剤の排出量が許容範囲内であるか否かを判断する工程である。本実施形態の一包確認工程S31では、排出量が供給指示量に対して許容される誤差分を考慮した許容値の範囲内であるか否かを判断する。一包確認工程S31で、制御部6は、排出量検出手段13が検出した値(排出した散剤の重量)を取得して、取得した値が許容値の範囲内であるか否かを判断する。制御部6は、一包確認工程S31で散剤の排出量が許容値の範囲内であると判断された場合(一包確認工程S31においてYESの場合)には、包数確認工程S33に移行し、一包確認工程S31で散剤の排出量が許容値の範囲内でないと判断された場合(一包確認工程S31においてNOの場合)には、散剤の排出量が許容範囲内でないことを作業者に報知する報知制御S32を行ってから包数確認工程S33に移行する。報知制御S32では、例えば、コントローラ14や操作画面7に散剤の排出量が許容範囲でないことを表示することや、トレイTの書き込み部T1に散剤の排出量が許容範囲内でない旨を書き込むことができる。
【0088】
包数確認工程S33では、調剤データにおいて指示された指示包数分の散剤の供給を行ったかどうかを判断する工程である。具体的に、制御部6は、調剤データにかかる散剤の供給をした回数が、調剤データにおいて指示された指示包数以上であるかどうかを判断し、供給した回数が指示包数以上である場合に、調剤データにおいて指示された指示包数分の散剤の供給を行ったと判断する。制御部6は、調剤データにおいて指示された指示包数分の散剤の供給を行ったと判断した場合(包数確認工程S33においてYESの場合)には、全量確認工程S34に移行し、調剤データにおいて指示された指示包数分の散剤の供給を行っていない(包数確認工程S33においてNOの場合)には、再度供給段階S2(供給量判断工程S21)に移行する。
【0089】
全量確認工程S34では、一の調剤データにかかる散剤の排出量の合計値が許容範囲内であるか否かを判断する。具体的に、全量確認工程S34では、排出量の合計値が、1包分の分量に供給する包数を乗じた全包分の指示量に許容誤差を考慮した全量許容値の範囲内であるかどうかを判断する。なお、排出量の合計値は、一の調剤データについて、排出量検出手段13が検出した値(排出した一服用分の散剤の重量)の合計値である。制御部6は、全量確認工程S34で散剤の排出量の合計値が全量許容値の範囲内であると判断された場合(全量確認工程S34においてYESの場合)には、確認段階S3を終了し、全量確認工程S34で散剤の排出量の合計値が全量許容値の範囲内でないと判断された場合(全量確認工程S34においてNOの場合)には、散剤の排出量の合計値が許容範囲内でないことを作業者に報知する全量報知制御S35を行ってから確認段階S3を終了する。全量報知制御S35では、例えば、コントローラ14や操作画面7に散剤の排出量の合計値が許容範囲内でないことを表示することや、トレイTの書き込み部T1に散剤の排出量の合計値が許容範囲内でない旨を書き込むことができる。
【0090】
(作用効果のまとめ)
以上のような構成によれば、第二方向に移送される粉粒体Mの量が制限されるので、移送部4の移送方向を切り替えることで、粉粒体Mの単位時間あたりの最大供給量を変えることができる。よって、単純な構成で単位時間当たりの粉粒体Mの最大供給量を調整できる。
【0091】
また、制限部8で第一方向及び第二方向に移送される粉粒体Mの量を制限できるので、第一方向と第二方向で粉粒体Mの単位時間あたりの最大供給量に差ができるので、粉粒体Mの単位時間あたりの最大供給量を変えることができる。
【0092】
さらに、制限部8は、粉粒体Mの移送量を均一にするので、単位時間あたりの粉粒体Mの供給量を均すことができる。粉粒体Mの供給量が均されることで、一度に多量の粉粒体Mが排出されづらくなり、例えば、第一指示量Aや第二指示量Bを大幅に超過することを抑制できる。
【0093】
また、制限部8は、移送中の粉粒体Mを摺り切るので、簡単な構成で粉粒体Mの移送量を制限でき、しかも、単位時間あたりの粉粒体Mの供給量を均すことができる。
【0094】
さらに、移送部4は、排出された粉粒体Mの量(重量)が供給指示量に近づくまで粉粒体Mを第一方向に移送し、排出された粉粒体Mの量が供給指示量に近づくと粉粒体Mを第二方向に移送するので、供給指示量に近づくまでは粉粒体Mの単位時間当たりの排出量を多くし、供給指示量に近づくと単位時間当たりの排出量を少なくできる。よって、粉粒体Mの排出にかかる時間を抑制しつつも、排出量が供給指示量を超過することを抑制できる。
【0095】
さらに、供給指示量が少ない場合に、第一移送制御S22を行わないので、粉粒体Mの供給量が供給指示量を超過することを抑制できる。
【0096】
また、第一摺切体811は、移送される粉粒体Mを摺り切ることができるので、移送体41の上面に載った粉粒体Mを移送する構成において単位時間あたりの粉粒体Mの供給量を制限することができる。よって、単純な構成で単位時間当たりの粉粒体Mの供給量を調整できる。
【0097】
さらに、送出部55を備えるので、移送体41の上面に載った粉粒体Mを確実に排出部33に送出できる。
【0098】
また、第二摺切体821と第三摺切体822によって収容領域41aに粉粒体Mが収容されるので、移送体41の上面に載った粉粒体Mが複数回に分けて収容領域41aに充填されることができる。よって、収容領域41aのかさ密度を高めることができる。
【0099】
さらに、加振移送制御を行うことで粉粒体Mに衝撃を与えることができるので、簡単な構成で、凝集した粉粒体Mを衝撃で分散させることができる。
【0100】
また、必要がある場合にのみ加振移送制御を行うので、加振移送制御を行う必要がない場合に粉粒体Mの供給に係る時間が長くなることを抑制できる。
【0101】
さらに、制御部6は、残量排出制御S24を行うので、第一移送工程で移送経路に残った粉粒体Mが第二方向に移送させることで、制限部8等から圧力を受けて凝集し、供給の妨げとなることを抑制できる。
【0102】
また、粉粒体供給装置2は、一服用分の散剤を供給対象物であるトレイTに供給し、供給後に一包確認工程S31を行うので、一服用分の散剤の分量を確実に許容範囲内に収めることができる。
【0103】
[他の実施形態等]
次に
図11乃至
図13を参照して、本発明の他の実施形態にかかる粉粒体供給装置2について説明する。第一実施形態と共通の構成については同一の符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
【0104】
本実施形態の粉粒体供給装置2は、第三摺切体822の構成が第一実施形態と異なり、また、誘導部56を備えない点で第一実施形態と異なる。また、各収容領域41aの容積が第一実施形態よりも小さい。
【0105】
第三摺切体822は、内壁部52から外壁部53まで延びる板状体であり、第二移送経路R2内に配置されている。第三摺切体822は、内壁部52から径外方に延び、径外方ほど第二方向下流側に向かう誘導摺切体825と、誘導摺切体825から径方向に沿って外壁部53まで延びる摺切本体826と、を備える。また、第三摺切体822は、上面が第二摺切体821の上面よりも低い。即ち、第三摺切体822は、上面が内壁部52及び外壁部53の上面よりも低い。第三摺切体822の上流側で粉粒体Mが滞留することなく、粉粒体Mが第三摺切体822を乗り越えて通過する。さらに、第三摺切体822の下面は、第二摺切体821の下面よりも上方に位置しており、わずかな粉粒体Mが第三摺切体822と移送体41の間を移動可能である。第三摺切体822の下面と移送体41の上面との距離は、移送体41の厚みの半分以下である。
【0106】
以上のような粉粒体供給装置2における粉粒体Mの移送について説明する。なお、第一方向への移送は、第一実施形態と同様であるので、第二方向への移動についてのみ説明する。
【0107】
図12及び
図13(a)に示すように、第二方向に移送される粉粒体Mは、まず、第三摺切体822に接する。第三摺切体822に接した粉粒体Mは、誘導摺切体825によって径外方に誘導される。そして、粉粒体Mが第三摺切体822(摺切本体826)によって摺り切られる際に、収容領域41aに収容される。
【0108】
ここで、
図12及び
図13(b)に示すように、第三摺切体822によって摺り切られた粉粒体Mの一部が第三摺切体822を乗り越えて、第二方向で下流側に移動する。そして、乗越えた粉粒体Mが第二摺切体821によって摺り切られる。
【0109】
このような構成によれば、第三摺切体822によって摺り切られた粉粒体Mの一部が第三摺切体822の上方を通過することができるので、第三摺切体822によって摺り切られて第三摺切体822の上流側に多量の粉粒体Mが留まる場合に、第二摺切体821と第三摺切体822の間に移動することができる。よって、粉粒体Mが凝集して詰まったり、外部に溢れたりするなどの不具合を抑制できる。
【0110】
また、第三摺切体822が内壁部52から外壁部53まで連続して延びるので、摺り切る際に粉粒体Mが径方向で逃げることで、粉粒体Mが摺り切られずに下流側に移送されることを抑制できる。よって、粉粒体Mを確実に収容領域41aに収容できる。
【0111】
以上、本発明の実施形態について例を挙げて説明したが、本発明は各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0112】
例えば、粉粒体供給装置2は、一服用分の散剤を供給する場合について説明したが、このような構成に限らず、散剤以外の粉粒体Mを供給することもできるし、散剤を供給する場合であっても、複数回服用分の散剤を供給するように構成することもできる。
【0113】
また、移送体41は、円形であって、回動方向が切り替えられることで第一方向への移送と第二方向への移送が切り替わる場合について説明したが、このような構成に限らず、受け領域2aから2方向に移送可能な種々の構成を採用できる。例えば、移送体41を、ベルトコンベア等の直線方向に移送を行うものとして構成し、ベルトコンベアの両端部に排出部33を設けるとともに、移送方向を切り替え可能に構成することもできる。ただし、移送体41を円形に構成する方が、粉粒体供給装置2全体をコンパクトにでき、また、貯留部11や粉粒体投入手段12を組み合わせて一体化することが容易である。
【0114】
さらに、制限部8が第一制限部81と第二制限部82を備える場合について説明したが、第一制限部81及び第二制限部82のいずれか一方のみを備える構成とすることもできる。このような構成であっても、制限部8が設けられた側に移送する場合と制限部8が設けられていない側に移送する場合とで、単位時間当たりの供給量に差をつけることができる。
【0115】
また、制限部8が、移送経路の高さを低くして、移送される粉粒体Mを摺り切る場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、粉粒体Mが移動可能な移送経路の幅を狭くするように構成されるなど、移送される粉粒体Mの量を制限可能な種々の構成を採用できる。特に排出量が大きい移動方向(第一方向)について制限部8を設けないことができる。
【0116】
さらに、第二制限部82(第二摺切体821及び第三摺切体822)に関し、下面が移送体41の上面に略一致する場合について説明したが、このような構成に限らず、下面から上方に離れる場合であってもよい。
【0117】
また、移送体41には収容領域41aが形成される場合について説明したが、このような構成に限らず、収容領域41aが形成されない場合であってもよい。収容領域41aが形成される場合であっても、収容領域41aが外縁部に形成される場合に限らない。
【0118】
さらに、制限部8の下面が平坦である場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、制限部8の下面を、移送方向の下流側が下方に位置するような傾斜面として構成することもできる。このような構成によれば、粉粒体Mが傾斜面に沿って下方に移動できるので、粉粒体Mを収容領域41aに収容しやすい。
【0119】
また、制御部6が、確認段階S3を行う場合について説明したが、このような構成に限らず、確認段階S3を行わない構成とすることもできる。
【0120】
さらに、制御部6が、加振移送制御を行う場合について説明したが、このような構成に限らず、加振移送制御を行わない構成とすることもできる。また、加振移送制御を行う場合であっても、第一移送制御S22及び第二移送制御S26の両方で加振移送制御を行うように構成したり、残量排出制御S24で加振移送制御を行うよう構成したり、全ての種類の粉粒体Mを移送する際に加振移送制御を行うように構成したりすることもできる。また、加振移送制御として、別途設けられる加振手段で移送体41を振動させるように構成することもできる。
【0121】
また、貯留部11から粉粒体投入手段12で粉粒体Mが供給される場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、作業者が手作業で貯留部11から粉粒体Mを粉粒体供給装置2に移すこともできる。このような構成の場合、貯留部11は、粉粒体供給装置2に対応した散剤容器Cでなく、薬瓶や、一般的なトレイとして構成することもできる。
【0122】
さらに、粉粒体供給装置2は、貯留部11と別体である場合について説明したが、このような構成に限らず、貯留部11や粉粒体投入手段12と一体(
図1に二点鎖線で示す範囲が一体となる構成)であってもよい。このような構成の場合には、貯留部11に貯留された粉粒体Mが順次受け領域2aに流れるように構成できる。一体構成の場合には、粉粒体供給装置2に投入される粉粒体Mの種類を1種類に限定できるので、各粉粒体Mについて粉粒体供給装置2を専用とすることができる。よって、異種の粉粒体が混ざること(特に、粉粒体Mが散剤の場合には、クロスコンタミネーション)を防止できる。また、このような構成の場合に、貯留部11や粉粒体投入手段12、粉粒体供給装置2を一体のカートリッジとして構成し、該カートリッジを移送機構によってトレイTが配置される場所の上方に移動させることもできる。カートリッジを移送機構によって移動させる場合には、案内制御S13において、移送機構にカートリッジを移送させるように案内する制御をすることができる。また、機械によりカートリッジを移送する場合おいて、移送機構を、例えばロボットアームとして構成し、薬品棚から適切なカートリッジを取り出して移送させる構成とすることもできる。
【0123】
また、排出量検知手段は、重量を測る秤である場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、排出された粉粒体Mの体積を測定する手段であってもよい。また、排出量検知手段は、供給対象物の重量を測る場合について説明したが、このような構成に限らず、貯留部11、粉粒体投入手段12及び粉粒体供給装置2の合計重量を測ることで、粉粒体供給装置2による粉粒体Mの供給量を検知する構成とすることもできる。このような構成の場合には、貯留部11、粉粒体投入手段12及び粉粒体供給装置2の合計重量の減少量に基づいて粉粒体Mの排出量を検知できる。
【0124】
さらに、粉粒体供給装置2の供給対象物は、トレイTである場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、分包紙であってもよい。このような構成の場合には、たとえば、粉粒体供給システム1に包装装置を含めることができる。粉粒体供給装置2は、包装装置によって形成される分包紙の各収容体に対して、散剤を一服用分ずつ供給する。なお、粉粒体供給装置2は、ホッパを介して散剤を分包紙に供給するようにしてもよい。
【0125】
また、報知制御S32及び全量報知制御S35において、包材(分包紙)に対して、散剤の排出量または散剤の排出量の合計値が許容範囲でないことを印字する構成とすることもできる。さらに、このような構成において、散剤の超過または不足量を包材に印字する構成とすることもできる。また、一包確認工程S31で散剤の排出量が許容範囲内でないと判断された場合には、包数確認工程S33を省略し、供給量判断工程S21に戻り、一服用分の散剤の供給をやり直すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0126】
1…粉粒体供給システム、11…貯留部、111…容器部、12…粉粒体投入手段、13…排出量検出手段、14…コントローラ、2…粉粒体供給装置、2a…受け領域、3…枠部、3a…軸孔、3b…排出孔、31…底部、32…周壁部、33…排出部、321…位置決め部、322…収容切欠部、4…移送部、41…移送体、41a…収容領域、411…円盤部、412…移送突起部、42…駆動手段、421…駆動源、422…伝達手段、423…駆動軸、5…作用部、51…嵌合部、52…内壁部、53…外壁部、55…送出部、56…誘導部、6…制御部、7…操作画面、8…制限部、81…第一制限部、811…第一摺切体、82…第二制限部、821…第二摺切体、822…第三摺切体、823…誘導体、824…外側摺切体、825…誘導摺切体、826…摺切本体、M…粉粒体、R1…第一移送経路、R2…第二移送経路、T…トレイ、T1…書き込み部