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特開2024-147191投影制御装置、投影システム、投影制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147191
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】投影制御装置、投影システム、投影制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20241008BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20241008BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20241008BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G09G5/00 510B
G09G5/37 320
G09G5/37 300
G09G5/00 550C
G09G5/00 510H
H04N5/74 Z
G06F3/14 310C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060049
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】佐野 輝雄
【テーマコード(参考)】
5B069
5C058
5C182
【Fターム(参考)】
5B069BA10
5B069CA02
5B069DC10
5C058BA35
5C058EA02
5C182AA03
5C182AA04
5C182AB02
5C182AC02
5C182AC03
5C182BA01
5C182BA03
5C182BA04
5C182BA14
5C182BA29
5C182BA66
5C182BA75
5C182BC03
5C182CB11
5C182CB13
5C182CB14
5C182CB15
5C182CB23
5C182CB44
5C182CC21
5C182DA62
5C182DA65
5C182DA70
5C182FA61
5C182FA75
5C182FA77
(57)【要約】
【課題】投影領域の形状に応じて投影する投影コンテンツのレイアウトを決定することにより、投影コンテンツを見やすく投影する。
【解決手段】投影制御装置200は、投影面の画像情報に基づいて投影領域を決定し、少なくとも決定された投影領域の形状に応じて投影領域に投影する投影コンテンツのレイアウトを決定する、制御部110を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影面の画像情報に基づいて投影領域を決定し、
少なくとも前記決定された投影領域の形状に応じて前記投影領域に投影する投影コンテンツのレイアウトを決定する、
制御部を備える、
投影制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記投影領域の形状の変化に基づいて、前記投影コンテンツのレイアウトを変化させる、
請求項1に記載の投影制御装置。
【請求項3】
前記画像情報は、3次元情報であって、
前記制御部は、
前記3次元情報に基づいて前記投影面における平面の領域を平面領域として検出し、
前記検出された平面領域に基づいて前記投影領域を決定する、
請求項1に記載の投影制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記投影領域の形状及び大きさに応じて前記投影コンテンツのレイアウトを決定し、
前記投影領域の大きさに応じて前記投影コンテンツの1ページ当たりの情報量を決定する、
請求項1に記載の投影制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記平面領域に内接する最大の矩形領域の端部から規定余白幅の余白を除いた領域として前記投影領域を決定する、
請求項3に記載の投影制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記投影領域に投影可能な前記レイアウトが存在しなかった場合には、その旨を通知する、
請求項1に記載の投影制御装置。
【請求項7】
前記投影コンテンツは、操作対象の情報を含み、
前記制御部は、
前記操作対象に対して操作が行われたか否かを判定し、
前記操作対象に対して操作が行われた場合、前記操作対象に対する操作に応じた処理を実行する、
請求項1に記載の投影制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記投影領域の形状及び大きさに相当する領域に前記投影コンテンツとしてのテキストデータを流し込むことによってリフロー画像を生成し、
前記リフロー画像を生成することによって前記投影コンテンツのレイアウトを決定する、
請求項1に記載の投影制御装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の投影制御装置と、
前記投影面の前記画像情報を検出する検出部と、
前記投影面に前記投影コンテンツを前記投影制御装置の前記制御部が決定したレイアウトで投影する投影部と、
を備える、
投影システム。
【請求項10】
制御部が、
投影面の画像情報に基づいて投影領域を決定し、
少なくとも前記決定された投影領域の形状に応じて前記投影領域に投影する投影コンテンツのレイアウトを決定する、
投影制御方法。
【請求項11】
制御部に、
投影面の画像情報に基づいて投影領域を決定し、
少なくとも前記決定された投影領域の形状に応じて前記投影領域に投影する投影コンテンツのレイアウトを決定する、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影制御装置、投影システム、投影制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタで画像等を投影するだけでなく、ユーザの作業を支援する情報を投影して、ユーザの作業効率を向上させるシステムが開発されている。例えば特許文献1には、撮像領域上の書類の位置に基づいて、書類を利用した情報記入作業を支援する作業支援情報を投影する画像処理装置等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-254437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている画像処理装置は、カメラにより取得された撮像領域上の書類の位置情報に基づいて、作業支援情報を、撮像領域上の書類との相対的な位置関係を保持して投影するので、ユーザの作業効率を向上させることができる。しかし、作業支援情報を投影する際に考慮されるのは書類との相対的な位置関係だけなので、作業支援情報が投影される領域の形状やサイズによっては、作業支援情報が見づらくなってしまうという課題があった。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、投影領域の形状に応じて投影する投影コンテンツのレイアウトを決定することにより、投影コンテンツを見やすく投影することができる投影制御装置、投影システム、投影制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る投影制御装置の一態様は、
投影面の画像情報に基づいて投影領域を決定し、
少なくとも前記決定された投影領域の形状に応じて前記投影領域に投影する投影コンテンツのレイアウトを決定する、
制御部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、投影領域の形状に応じて投影する投影コンテンツのレイアウトを決定することにより、投影コンテンツを見やすく投影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る投影システムの設置例を示す図である。
図2】実施の形態に係る投影システムを構成する装置の接続例を示す図である。
図3】実施の形態に係る投影システムの機能構成の一例を示す図である。
図4】横長の投影コンテンツの一例を示す図である。
図5】縦長の投影コンテンツの一例を示す図である。
図6】小さめの投影コンテンツの一例を示す図である。
図7】作業台、作業物、平面領域、投影領域の関係を説明するための図である。
図8】縦長の投影領域に横長の投影コンテンツが投影されている例を示す図である。
図9】縦長の投影領域に縦長の投影コンテンツが投影されている例を示す図である。
図10】実施の形態1に係る投影コンテンツのデータ構造の一例を示す図である。
図11】実施の形態1に係る投影制御処理のフローチャートの一例である。
図12】実施の形態1に係るレイアウト抽出処理のフローチャートの一例である。
図13】実施の形態1に係るレイアウト決定処理のフローチャートの一例である。
図14】実施の形態2に係る投影コンテンツのデータ構造の一例を示す図である。
図15】実施の形態2に係る投影制御処理のフローチャートの一例である。
図16】実施の形態2に係るジェスチャ認識処理のフローチャートの一例である。
図17】実施の形態3に係る投影制御処理のフローチャートの一例である。
図18】縦長の投影領域にテキストデータの投影コンテンツがリフロー形式で投影されている例を示す図である。
図19】横長の投影領域にテキストデータの投影コンテンツがリフロー形式で投影されている例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態に係る投影システム等について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
【0010】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る投影システム100は、例えば図1に示すように、作業台300の上に3D(Dimensional)カメラ240やプロジェクタ250が、作業台300の下にPC(Personal Computer)210やフットスイッチ131が、それぞれ設置されて構成される。そして、投影システム100は、PC210で制御され、作業台300上の平面(作業物やユーザの手等がない領域)を3Dカメラ240で検出し、その平面上に投影コンテンツをプロジェクタ250で投影するシステムである。したがって、PC210は、投影制御装置とも呼ばれる。
【0011】
投影システム100は、例えば図2に示すように、PC210に、3Dカメラ240がUSB(Universal Serial Bus)で接続され、プロジェクタ250がHDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)及びシリアルケーブルで接続されて構成される。
【0012】
投影システム100及び投影制御装置200は、機能構成としては、図3に示すように、投影制御装置200が制御部110、記憶部120、操作入力部130、出力部140を備え、投影システム100はこれらに加えて検出部150、投影部160を備える。例えば投影制御装置200となるPC210が制御部110、記憶部120、操作入力部130、出力部140に対応し、3Dカメラ240が検出部150に対応し、プロジェクタ250が投影部160に対応する。もっとも、投影システム100が備える各装置のうち、どの装置をこれらの各機能構成部に対応させるかは任意である。例えば、投影制御装置200を操作入力部130及び出力部140に対応させずに、プロジェクタ250を操作入力部130、出力部140及び投影部160に対応させてもよい。
【0013】
制御部110は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成される。制御部110は、記憶部120に記憶されているプログラムにより、投影システム100の各種機能を実現する処理や後述する投影制御処理等を実行する。また、制御部110はタイマ機能を備え、時間を計測することができる。また、制御部110はマルチスレッドに対応し、複数の処理を並行して実行することができる。
【0014】
記憶部120は、制御部110が実行するプログラムや、必要なデータを記憶する。記憶部120は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等を含み得るが、これらに限られるものではない。なお、記憶部120は、制御部110の内部に設けられていてもよい。
【0015】
また、記憶部120は、投影コンテンツの情報として、例えば図4図5及び図6に示すような作業ガイドの画像データを記憶している。これらは、いずれもケーブル(線)を端子に接続する作業を支援するための作業ガイドの例であり、内容は同一だが、投影される領域の形状に応じて複数のレイアウトが用意されている。例えば、図4は横長のレイアウトの投影コンテンツ351、図5は縦長のレイアウトの投影コンテンツ352、図6は小さめのレイアウトの投影コンテンツ353の一例を示している。
【0016】
操作入力部130は、キーボード、マウス、図1に示したフットスイッチ131等のユーザインタフェースを備え、ユーザからの操作入力を受け付ける。
【0017】
出力部140は、音、光、文字等の情報を出力するデバイスであり、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)、ディスプレイ等の出力デバイスを備える。出力部140は、投影部160で投影コンテンツを投影できない等の問題が生じた場合に、ユーザに警告を出力するために用いられる。出力部140は、ユーザに警告を出力できれば十分なので、上述の出力デバイスを全て備える必要はなく、例えば、スピーカ、LED、ディスプレイ等のうち、少なくとも1つを備えていればよい。
【0018】
検出部150は測距センサを備え、作業台300の上面の状態(上面の複数の点の3次元位置の情報)を取得する。制御部110は、検出部150が取得した情報(作業台300の上面の複数の点の位置情報)を検出部150から取得し、検出部150から取得した情報に基づいて、上面のどこが平面で、どこが平面でないか(凹凸があるか)等を検出することができる。なお、図1に示す例では、投影システム100は検出部150として3Dカメラ240を用いることとしたが、検出部150は測距センサとして3Dカメラ240を用いなければならないわけではない。検出部150は、平面の領域を検出するための情報を取得することができるなら、任意のセンサを用いることができる。
【0019】
投影部160はプロジェクタ250(投影装置)であり、光源、投影デバイス、レンズユニット等を備える。光源、投影デバイス等の方式は任意であるが、本実施の形態では、投影デバイスとして、DMD(Digital Mirror Device)を用いるものとする。投影される映像の形状やアスペクト比も任意であるが、本実施の形態ではアスペクト比16:10の横長の長方形であるものとする。
【0020】
また、投影システム100は、作業台300等に設置された後に、投影部160の座標(DMD座標)と検出部150の座標(カメラ座標)との対応を取るために、キャリブレーション処理が行われる。
【0021】
キャリブレーション処理をどのように行うかは任意だが、例えば、まず市松模様のチェック画像を投影部160(プロジェクタ250)で作業台300の上面に投影して、投影された画像を検出部150(3Dカメラ240)で撮影する。そして、制御部110は、撮影した画像中の各交点の座標(カメラ座標)と、元のチェック画像中の各交点の座標(DMD座標)の対応関係を得る。この対応関係を用いることにより、投影システム100は、作業台300の上のある領域(カメラ座標で表される領域)に投影するには、どのような画像(DMD座標で表される画像)を投影すればよいかわかることになる。
【0022】
本実施の形態では、ユーザは、投影システム100を設置後に、上述のキャリブレーション処理を行い、その後、作業台300の上に作業物310を置いて作業を開始するものとする。作業中は、図7に示すように、作業台300の上に、作業物310が存在しない平面領域320が生じる。制御部110は、検出部150を用いて、例えば特開2014-85940号公報に記載されている検出方法により、平面領域320を検出する。そして、投影システム100は、平面領域320に内接する最大の矩形領域(図7に示す例ではこの矩形領域は平面領域320と同一になる)の端部から規定余白幅の余白を除いた領域を投影領域330として決定し、この投影領域330に投影コンテンツを投影する。
【0023】
なお、規定余白幅をどのように設定するかは任意であるが、図7では横方向の余白幅としてhの長さ、縦方向の余白幅としてvの長さが設定されている場合を示している。hやvは、例えば一定の長さ(例えば5mm)に設定されてもよいし、平面領域のサイズに応じた長さ(例えば平面領域の横の長さの5%をhとし、縦の長さの5%をvとする等)に設定されてもよい。
【0024】
また、投影コンテンツは、本実施の形態では、例えば図4に示すような、ユーザの作業を支援する情報(作業ガイド)である。ユーザが行う作業毎に、その作業用の作業ガイドが存在するため、作業ガイド(投影コンテンツ)の種類は複数存在する。そして、同一の作業用の作業ガイドであっても、それが投影される領域の形状によって、投影するレイアウトを変更した方がよい場合があるため、各作業ガイドについて、(例えば、図4図5図6に示すように)複数のレイアウトが用意されている。ユーザが作業で使用する作業物310の形状や置き場所によって、平面領域320の形状や位置が変化するので、それに応じて投影領域330の形状(形や大きさ)も変化する。そこで、制御部110は、投影領域330の形状にできるだけ合うレイアウトの投影コンテンツを選択して投影する。
【0025】
例えば、図8に示すように作業台300の左半分以上の領域に作業物310が存在すると、投影領域330は縦長の長方形になり、制御部110は、この縦長の投影領域330に投影コンテンツを投影することになる。もし横長のレイアウトの投影コンテンツ351を投影する場合、制御部110は投影領域330の横幅に合わせて投影コンテンツ351を縮小する必要があるため、図8に示すように文字が小さくなって読みづらくなってしまう。一方、縦長のレイアウトの投影コンテンツ352なら、図9に示すように、投影領域330の横幅に合わせても投影コンテンツ352はほとんど縮小されないので、文字が小さくならず見やすく投影される。
【0026】
したがって、制御部110は、投影領域330の形状(形及び大きさ)に合わせて投影コンテンツのレイアウトを選択し、投影領域330に投影する。制御部110が、投影領域330に合ったレイアウトの投影コンテンツを選択可能にするため、記憶部120には図10に示すようなデータ構造で投影コンテンツの情報が記憶されている。すなわち、投影コンテンツの情報として、図10に示すように、投影コンテンツの種類(作業ガイドの種類)を表すコンテンツ番号(C-No.)、レイアウトの種類を表すレイアウト番号(L-No.)、当該レイアウトのサイズ等の数値データ(数値データ)、当該レイアウトの投影コンテンツの各ページの画像データ(画像データ)が記憶されている。
【0027】
図10は、数値データとして、画像データの縦の長さ(標準縦長)及び横の長さ(標準横長)、画像データの縦と横の拡大率をそれぞれ変更する場合の縦横比率(縦の拡大率÷横の拡大率)の上限(縦横比率上限)及び下限(縦横比率下限)、縦横比率を変えずに画像データを最も縮小した場合の縮小率(最小縮小率)及び最も拡大した場合の拡大率(最大拡大率)、画像データのページ数(ページ数)が記憶されている例を示している。
【0028】
図10に示すように、投影コンテンツの各レイアウトは、1ページ当たりの情報量(文字数等)だけでなく、投影される際の形状によっても区別される。図10では、コンテンツ番号1の投影コンテンツの例と、コンテンツ番号2の投影コンテンツの例が、それぞれ示されている。このうち、コンテンツ番号1の投影コンテンツについては、1ページ当たりの情報量が多く(各ページが13文字/行×5行で、全部で5ページの情報からなる)横長のレイアウト番号1のレイアウトの投影コンテンツ351と、1ページ当たりの情報量が多く(各ページが7文字/行×8行で、全部で5ページの情報からなる)縦長のレイアウト番号2のレイアウトの投影コンテンツ352と、1ページ当たりの情報量が少なく(各ページが7文字×3行で、全部で10ページの情報からなる)小さめのレイアウト番号3のレイアウトの投影コンテンツ353の例が示されている。また、コンテンツ番号2の投影コンテンツについては、1ページ当たりの情報量が少なく(各ページが7文字×3行で、全部で10ページの情報からなる)小さめのレイアウト番号1のレイアウトの投影コンテンツ354の例が示されている。
【0029】
このような数値データを用いて制御部110が最適なレイアウトの投影コンテンツを選択して投影する処理(投影制御処理)について、図11を参照して説明する。この投影制御処理は、投影システム100で上述のキャリブレーション処理を完了後、投影部160で投影コンテンツを投影可能になった場合や、ユーザが操作入力部130から投影制御処理の実行を指示した場合に、実行が開始される。
【0030】
まず、制御部110は、投影コンテンツを投影する際のパラメータ(投影コンテンツのコンテンツ番号、レイアウト番号、ページ位置等)を設定する(ステップS101)。このステップでは制御部110は例えばユーザが投影させたい作業ガイドの種類を示すコンテンツ番号をユーザに入力してもらい、レイアウト番号やページ位置を1に初期化することにより、パラメータを設定する。また例えば、前回投影していた投影コンテンツのコンテンツ番号、レイアウト番号及びページ位置を設定することによって、制御部110は、前回投影していた投影コンテンツを投影でき、ユーザはその続きを容易に参照できるようになる。
【0031】
次に、制御部110は、検出部150で投影面の画像情報(3次元情報)を取得し、取得した画像情報に基づいて投影面における平面の領域を平面領域として検出する(ステップS102)。
【0032】
そして、制御部110は、検出した平面領域に基づいて投影領域を決定する(ステップS103)。制御部110は、例えば平面領域に内接する最大の矩形領域の端部から規定余白幅の余白を除いた領域として投影領域を決定する。なお、ステップS102で取得される画像情報は、制御部110が投影領域を決定できるのであれば、2次元情報を含んでもよい。ただし、画像情報が3次元情報であれば、制御部110は投影面における平面の領域をより正確に検出することができる。
【0033】
次に、制御部110は、レイアウト抽出処理を実行し、ステップS101で設定された投影コンテンツにおいて、ステップS103で決定した投影領域に投影可能なレイアウトを抽出する(ステップS104)。レイアウト抽出処理の詳細は後述する。
【0034】
そして、制御部110は、レイアウト抽出処理で投影領域に投影可能なレイアウトが1つ以上抽出されたか否かを判定する(ステップS105)。
【0035】
投影可能なレイアウトが1つも抽出されなかった場合(ステップS105;No)、制御部110は、投影領域に投影可能なレイアウトの投影コンテンツが存在しないことを出力部140によりユーザに通知して(ステップS106)、投影制御処理を終了する。このユーザへの通知は、例えば、スピーカからの音の出力によって行っても、LED等の発光によって行っても、ディスプレイへの表示によって行ってもよい。
【0036】
投影可能なレイアウトが1つ以上抽出されていた場合(ステップS105;Yes)、制御部110はレイアウト決定処理を実行し、レイアウト抽出処理で抽出されたレイアウトの中から投影領域に応じて投影コンテンツのレイアウトを決定する(ステップS107)。レイアウト決定処理の詳細は後述するが、この処理で投影領域に最もフィットする(最も適合する)レイアウトの投影コンテンツが決定される。
【0037】
次に、制御部110は、レイアウト決定処理で決定されたレイアウトの投影コンテンツを投影領域に投影する(ステップS108)。その際、制御部110は、レイアウト決定処理でレイアウトを決定した際に用いた拡大率、縦横比率(後述する変数CCに最終的に保存された縦の長さMY及び横の長さMX)で投影する。また、後述するステップS110で平面領域が変化したと判定されてステップS103に戻ってからの最初の投影の際には、制御部110は必要に応じて投影する投影コンテンツのページ位置を修正する処理も行う。
【0038】
そして、制御部110は、ステップS102と同様の処理を行って、平面領域を検出する(ステップS109)。そして、制御部110は、今回検出した平面領域が、現在の投影領域を設定した際の平面領域から所定の閾値以上変化したか否かを判定する(ステップS110)。平面領域が変化した場合(ステップS110;Yes)、ステップS103に戻り、制御部110は、ステップS109で検出した平面領域に基づいて投影領域を決定する。なお、平面領域の変化とは、平面領域の形状、大きさ、位置等が変化することを指し、平面領域が所定の閾値以上変化したか否かを判定する工程では、平面領域の大きさが所定の閾値以上変化したか否かを判定してもよく、平面領域の形状(例えば、縦横比率)が所定の閾値以上変化したか否かを判定してもよい。
【0039】
平面領域が変化していない場合(ステップS110;No)、制御部110は、投影を終了するか否かを判定する(ステップS111)。例えば、制御部110は、投影制御処理の終了の指示を操作入力部130で取得したら、投影を終了すると判定する。
【0040】
投影を終了する場合(ステップS111;Yes)、制御部110は、投影制御処理を終了する。投影を終了しないなら(ステップS111;No)、制御部110は、投影コンテンツのページを切り替えるか否かを判定する(ステップS112)。例えば、フットスイッチ131が押されたら、制御部110は、ページを切り替える。
【0041】
ページを切り替えない場合(ステップS112;No)、ステップS109に戻る。ページを切り替える場合(ステップS112;Yes)、制御部110は、投影している投影コンテンツのページを切り替えて(ステップS113)、ステップS109に戻る。なお、ページ切り替えの入力をどのように受け付けるかは任意だが、制御部110は、例えばフットスイッチ131が押されたことを検出したら、ページを順送りする。また、操作入力部130のキーボードから例えばカーソルキーの入力を受け付けて、右カーソルキーならページを順送り、左カーソルキーならページを逆送り等のようにしてページを切り替えてもよい。
【0042】
次に、投影制御処理のステップS104で実行されるレイアウト抽出処理について、図12を参照して説明する。なお、レイアウト抽出処理においては、抽出したレイアウトのレイアウト番号を保存する変数として、抽出レイアウトリストELという配列変数(複数の値を保存可能な変数)を使用する。
【0043】
まず、制御部110は、記憶部120の抽出レイアウトリストELを初期化(空に)する(ステップS201)。次に制御部110は、レイアウト番号を示す変数iを1に初期化し(ステップS202)、ELの要素番号を示す変数jを1に初期化する(ステップS203)。
【0044】
そして、制御部110は、ステップS101で設定されたコンテンツ番号の投影コンテンツとして記憶部120に記憶されているレイアウトの中から変数iで示されるレイアウト番号のレイアウトを選択し(ステップS204)、選択したレイアウトの最大サイズと最小サイズを算出する(ステップS205)。例えば、図10のC-No.1かつL-No.1に示す画像データの場合、標準縦横長が60×120で最大拡大率が200%、最小縮小率が50%なので、縦横比率を変更しない場合の最大サイズは120×240、最小サイズは30×60になる。
【0045】
そして、最大サイズにおいて縦方向を更に拡大するために、縦横比率上限の1.2を用いると144×240になる。また、最大サイズにおいて横方向を更に拡大するために、縦横比率下限の0.8を用いると120×300になる。逆に最小サイズにおいて縦方向を更に縮小するために、縦横比率下限の0.8を用いると24×60になる。また、最小サイズにおいて横方向を更に縮小するために、縦横比率上限の1.2を用いると30×50になる。したがって、最大サイズとしては144×240及び120×300が算出され、最小サイズとしては24×60及び30×50が算出される。
【0046】
そして、制御部110は、算出されたこれらのサイズと、投影領域のサイズとを比較し、ステップS204で選択したレイアウトは、サイズ調整すれば投影領域のサイズに縦横ともに収まるか否かを判定する(ステップS206)。
【0047】
ステップS204で選択したレイアウトがサイズ調整しても投影領域のサイズに収まらない場合(ステップS206;No)、ステップS209に進む。一方、サイズ調整すれば投影領域のサイズに収まる場合(ステップS206;Yes)、制御部110は、変数i(ステップS204で選択したレイアウトのレイアウト番号)を抽出レイアウトリストELのj番目の要素であるEL[j]に格納し(ステップS207)、変数jの値を1増やす(ステップS208)。
【0048】
そして、制御部110は、変数iの値を1増やし(ステップS209)、変数iの値がステップS101で設定されたコンテンツ番号の投影コンテンツのレイアウトとして記憶部120に記憶されているレイアウトの個数を超えたか否かを判定する(ステップS210)。変数iの値がレイアウトの個数を超えていない場合(ステップS210;No)、制御部110はステップS204に戻り、次のレイアウト番号のレイアウトを選択して、上述の処理を繰り返す。
【0049】
変数iの値がレイアウトの個数を超えた場合(ステップS210;Yes)、制御部110は、抽出レイアウトリストELに格納されているレイアウトを、抽出されたレイアウトとして(ステップS211)、レイアウト抽出処理を終了する。
【0050】
次に、投影制御処理のステップS107で実行されるレイアウト決定処理について、図13を参照して説明する。なお、レイアウト決定処理においては、レイアウトを決定するために使用する変数として、変数haと変数CCを使用する。変数haは、投影領域の面積にできるだけ近い面積のレイアウトを決定するために、それまでに選択したレイアウトの中で「レイアウトの面積÷投影領域の面積」の最大値を保存する変数である。また、変数CCは、決定候補のレイアウトのレイアウト番号及び変形パラメータ(縦の長さMY、横の長さMX、面積MA)を保存する変数である。また、レイアウト抽出処理により抽出されたレイアウトのレイアウト番号が格納されている配列変数である抽出レイアウトリストELと、抽出レイアウトリストELの要素番号を示す変数iも使用される。
【0051】
まず、制御部110は、変数haを0に初期化し、変数CCをUNDEF(未定義)に初期化し、抽出レイアウトリストELの要素番号を示す変数iを1に初期化する(ステップS301)。
【0052】
そして、制御部110は、抽出レイアウトリストELのi番目の要素EL[i]で示されるレイアウト番号のレイアウトを選択する(ステップS302)。
【0053】
そして、制御部110は、選択したレイアウトを投影領域の縦の長さに合わせて変形したときと横の長さに合わせて変形したときとで、投影領域からはみ出ることなく面積が大きくなる方の変形をしたときの縦の長さ、横の長さ及び面積を求め、縦の長さを変数MYに、横の長さを変数MXに、面積を変数MAに代入する(ステップS303)。
【0054】
例えば選択されたレイアウトのサイズが縦60×横120で、縦横比率上限及び縦横比率下限は、ともに1.0で、最大拡大率が200%であり、投影領域のサイズが縦120×横180である場合を説明する。この場合、投影領域の縦の長さに合わせて(拡大後のレイアウトの縦の長さが投影領域の縦の長さと同じになるように)長さを200%に拡大したレイアウトは縦120×横240となるが、これでは横の長さが投影領域の180を超えてしまうため、最大でも150%までしか拡大できず、この場合の拡大後のレイアウトは縦90×横180となる。また、投影領域の横の長さに合わせて(拡大後のレイアウトの横の長さが投影領域の横の長さと同じになるように)長さを150%に拡大したレイアウトは縦90×横180となる。したがって、この例の場合は、レイアウトを変形したときの最大サイズは縦90×横180となり、変数MYに90が、変数MXに180が、変数MAに90×180=16200が代入されることになる。
【0055】
次に制御部110は、変数MAを投影領域の面積で割った値を変数aに代入し(ステップS304)、変数aの値が変数haの値より大きいか否かを判定する(ステップS305)。変数aの値が変数haの値以下の場合(ステップS305;No)、ステップS308に進む。
【0056】
変数aの値が変数haの値より大きい場合(ステップS305;Yes)、変数haに変数aの値を代入する(ステップS306)。そして、今回ステップS302で選択したレイアウトのレイアウト番号と、ステップS303で求めた変形パラメータ(縦の長さMY、横の長さMX、面積MA)とにより、変数CCを上書き更新する(ステップS307)。
【0057】
そして、制御部110は、変数iの値を1増やし(ステップS308)、変数iの値がレイアウト抽出処理で抽出されたレイアウトの個数(抽出レイアウトリストELの要素数)を超えたか否かを判定する(ステップS309)。変数iの値が抽出されたレイアウトの個数を超えていない場合(ステップS309;No)、制御部110はステップS302に戻り、抽出レイアウトリストELに格納されている次のレイアウトを選択して、上述の処理を繰り返す。
【0058】
変数iの値が抽出されたレイアウトの個数を超えた場合(ステップS309;Yes)、制御部110は、変数CCに保存されている(最後に上書き更新された)レイアウトを、決定されたレイアウトとして(ステップS310)、レイアウト決定処理を終了する。
【0059】
なお、上述したレイアウト決定処理では、制御部110は、投影領域に投影する投影コンテンツのレイアウトを決定する際に、投影コンテンツのレイアウトを変形して投影領域内でできるだけ大きく投影できるレイアウトに決定したが、投影コンテンツのレイアウトの決定の基準はこれに限らない。例えば、できるだけ投影コンテンツのレイアウトを変形せずに、標準のサイズの状態で投影領域の内部に収まり、さらにそのような投影コンテンツのレイアウトの中で最も投影領域の面積に近い面積を持つレイアウトを、投影領域に投影する投影コンテンツのレイアウトとして決定してもよい。
【0060】
以上説明した投影制御処理、レイアウト抽出処理、レイアウト決定処理により、制御部110は、投影面の画像情報に基づいて投影領域を決定し、決定された投影領域の形状に応じて投影コンテンツのレイアウトを決定するので、投影コンテンツを投影領域に見やすく投影することができる。
【0061】
また、制御部110は、投影面の平面領域が変化すると、変化後の平面領域に基づいて投影領域を決定し、投影領域の形状の変化に基づいて、投影領域に投影する投影コンテンツのレイアウトを変化させる。したがって、投影領域の形状が変化しても、投影コンテンツを投影領域に見やすく投影することができる。
【0062】
また、検出部150で取得される画像情報が3次元情報であれば、制御部110は、より正確に平面領域を検出することができ、より正確な平面の領域に基づいて投影領域を決定できるので、投影コンテンツを投影領域に見やすく投影することができる。
【0063】
また、制御部110は、投影領域の形状及び大きさに応じて投影領域に投影する投影コンテンツのレイアウトを決定する。すなわち、制御部110は、投影領域の大きさに応じて投影コンテンツの1ページ当たりの情報量を決定する。このため、投影領域が小さければ1ページ当たりの情報量が少ない投影コンテンツが選択されるので、投影された文字等が小さくならず、見やすく投影することができる。
【0064】
また、制御部110は、検出された平面領域に内接する最大の矩形領域の端部から規定余白幅の余白を除いた領域として投影領域を決定する。プロジェクタ250が投影する領域の形状は矩形なので、このように投影領域を決定することにより、投影コンテンツをできるだけ大きく投影するとともに、作業物等が存在する領域との間に適度な余白が保たれるので、投影コンテンツを見やすく投影することができる。なお、規定余白幅を0として、制御部110は、検出した平面領域を投影領域に決定してもよい。このように投影領域を決定することにより、制御部110は、投影コンテンツをできるだけ大きく投影することができる。
【0065】
また、制御部110は、投影領域に投影可能なレイアウトが存在しなかった場合には、その旨(投影領域に投影可能なレイアウトの投影コンテンツが存在しないこと)を出力部140によってユーザに通知する。これにより、投影コンテンツが投影されない場合に、ユーザは平面領域が小さすぎて投影コンテンツを投影できないということを知ることができる。
【0066】
また、制御部110は、投影領域の形状に応じて投影コンテンツのレイアウトを決定するので、投影コンテンツを必要以上に拡大/縮小したり変形したりする必要がなくなり、見やすく投影することができる。
【0067】
(実施の形態2)
上述の実施の形態1では、投影コンテンツは投影領域に投影されるだけであり、制御部110は、ユーザの操作を取得する場合には、操作入力部130で取得する必要があった。しかし、投影システム100は、検出部150を備えるので、検出部150でユーザのジェスチャを取得することも可能である。投影コンテンツに、ユーザの操作を入力できる要素(ボタン等の操作対象)を付加し、投影コンテンツが投影された投影領域の上でユーザがジェスチャ(例えばボタンを押すジェスチャ)で操作可能な実施の形態2について説明する。
【0068】
実施の形態2では、投影コンテンツには、操作対象が含まれる。例えば、図14に示す例では、コンテンツ番号1の投影コンテンツのうち、レイアウト番号1のレイアウトの投影コンテンツ361は、画像データに、操作対象として、ページを前に戻すボタン371と次に進めるボタン372を含んでいる。同様に、レイアウト番号2のレイアウトの投影コンテンツ362も、画像データに、操作対象として、ページを前に戻すボタン371と次に進めるボタン372を含んでいる。そして記憶部120には図14に示すように、投影コンテンツの種類を表すコンテンツ番号(C-No.)、レイアウトの種類を表すレイアウト番号(L-No.)、当該レイアウトのサイズやボタンの位置等の情報(数値機能データ)、当該レイアウトの投影コンテンツにおける操作対象も描かれた画像データ(画像データ)が記憶されている。
【0069】
図14は、数値機能データとして、実施の形態1と同様の数値データに加えて、ボタンの数、各ボタンの位置、ボタンのサイズ、ボタンの機能(当該ボタンに割り当てられた処理)が記憶されている例を示している。これにより、ユーザが投影された投影コンテンツに含まれる操作対象(例えばボタン)に対してジェスチャ(例えばボタンを押すジェスチャ)を行ったときに、制御部110は、そのジェスチャに割り当てられた処理(例えば次のページに進む)を実行することが可能になる。
【0070】
実施の形態2に係る投影制御処理は、このようなジェスチャ認識機能を備えるために、図15に示すように、実施の形態1に係る投影制御処理(図11)のステップS110とステップS111の間に、ジェスチャ認識処理(ステップS121)を追加した処理となる。なお、実施の形態2に係るレイアウト抽出処理及びレイアウト決定処理は実施の形態1と同様であり、それぞれ図12及び図13に示すとおりであるので、説明を省略する。
【0071】
実施の形態2に係る投影制御処理(図15)のステップS121で実行されるジェスチャ認識処理について、図16を参照して説明する。
【0072】
まず制御部110は、検出部150で投影領域を撮影し(ステップS401)、投影領域に投影されている投影コンテンツのボタンの位置に障害物が存在するか否かを判定する(ステップS402)。すなわち、制御部110は、ボタンのX,Y座標を図14に示すような数値機能データの「ボタン位置」及び「ボタンサイズ」から求め、そのX,Y座標における深度(奥行方向で障害物または投影面までの距離)を取得し、取得した深度の大きさに基づいて、障害物が存在するか否かを判定する。ボタンの位置に障害物が存在しない場合(ステップS402;No)、制御部110は、ジェスチャ認識処理を終了する。
【0073】
ボタンの位置に障害物が存在する場合(ステップS402;Yes)、制御部110はそのボタンが押されたか否かを判定する(ステップS403)。制御部110は、例えば、投影されたボタン上に障害物が一定時間(1秒間)存在することを検出したらそのボタンが押されたと判定する。また、制御部110は、検出部150で取得した3次元情報に基づいて、検出部150から当該障害物までの距離を算出し、その距離と検出部150から当該ボタンまで距離との差が所定の値(例えば1cm)未満だったら当該ボタンが押されたと判定してもよい。
【0074】
ボタンが押されていない場合(ステップS403;No)、制御部110は、ジェスチャ認識処理を終了する。ボタンが押された場合(ステップS403;Yes)、制御部110は押されたボタンに割り当てられた処理を実行し(ステップS404)、ジェスチャ認識処理を終了する。
【0075】
上述のジェスチャ認識処理において、制御部110は、押されたボタンの種類や、押されたボタンに割り当てられた処理の情報を、記憶部120に記憶されている図14に示すような投影コンテンツの情報から取得する。なお、投影コンテンツを投影領域に投影する際に拡大縮小や縦横比の変更等の変形処理が行われた場合には、当該変形処理に応じてボタンの位置やサイズも変更されることになるが、この場合、制御部110は、変更された後のボタンの位置やサイズ等の情報に基づいて当該ボタンが押されたか否かの判定を行う。
【0076】
実施の形態2では、記憶部120に記憶されている投影コンテンツの情報にジェスチャを認識するための情報(ジェスチャ認識用情報)が含まれ、制御部110はこのジェスチャ認識用情報と検出部150で取得した情報とを用いてジェスチャ認識処理を行い、認識したジェスチャに応じた処理をすることができる。したがって、実施の形態2に係る投影システムは、投影領域に単に投影コンテンツを投影するだけでなく、その際の操作性を向上させることができる。
【0077】
(実施の形態3)
上述の実施の形態では、投影領域に投影される投影コンテンツのデータは画像データである。したがって、投影コンテンツのレイアウトを決定したら、拡大縮小や縦横比の変更により若干の変形はできるが、例えば縦長のレイアウトを横長に変形するというような大幅な変形はできないし、各ページに表示する情報量を変更することもできなかった。しかし、投影コンテンツをテキストデータにすれば、投影領域の形状によらずに当該領域に当該テキストを流し込む形で投影することが可能になる。投影コンテンツを画像データではなくテキストデータとして記憶した実施の形態3について説明する。なお、テキストデータを与えられた領域に流し込んだ画像をリフロー画像と言うこととし、このようなリフロー画像で投影することを、「リフロー形式で投影する」と言うこととする。
【0078】
実施の形態3では、投影コンテンツは、テキストデータであり、必要に応じて「改行」や「改頁」の情報を含む。実施の形態3では、投影コンテンツのレイアウトは投影領域に流し込まれることによって定まる(すなわち、リフロー画像を生成することにより、投影コンテンツのレイアウトが決定される)ため、実施の形態1のように同一の投影コンテンツについて複数のレイアウトが用意されていなくてもよい。つまり、各投影コンテンツには、レイアウト番号が1番の1つのテキストデータのみが用意されていてもよい。
【0079】
実施の形態3に係る投影制御処理について図17を参照して説明する。まず、制御部110は、投影コンテンツを投影する際のパラメータ(投影コンテンツのコンテンツ番号、投影領域に流し込むテキスト位置等)を設定する(ステップS501)。このステップは実施の形態1に係る投影制御処理(図11)のステップS101と同様の処理であるが、実施の形態3では投影データは画像データではなく、テキストデータなので、基本的にはページの概念がない。したがって、ここでのパラメータ設定においては、実施の形態1での「ページ位置」の代わりに「テキスト位置」を設定する。テキスト位置とは、テキストデータ中のどの位置から投影領域に流し込むかを示すものであり、初期値は0である。
【0080】
例えば、テキストデータが「青い端子に青い線を接続してください」で、テキスト位置が0の時に、投影領域に投影コンテンツのテキストデータを流し込んだら、テキストデータの10文字分(「青い端子に青い線を接」)が流し込めたとする。すると、次のページに進む場合のテキスト位置は(それ以前に流し込んだ文字数が加算されるので)10となる。
【0081】
次のステップS502及びステップS503の処理は、実施の形態1の投影制御処理(図11)のステップS102及びステップS103の処理と同様のため、説明を省略する。ステップS504では、制御部110は、ステップS503で決定した投影領域にテキストデータを所定の文字数(例えば10文字)以上流し込めるか否かを判定する。この判定方法であるが、1文字のサイズを横CX×縦CY、投影領域のサイズを横RX×縦RY、引数Vの小数点以下を切り捨てる関数をINT(V)とすると、
INT(RX÷CX)×INT(RY÷CY)≧所定の文字数 …(1)
であれば、投影領域にテキストデータを所定の文字数以上流し込めることになる。したがって、ステップS504では制御部110は、例えば上記の式(1)に基づいて判定する。
【0082】
そして、投影領域に所定の文字数未満しか流し込めない場合(ステップS504;No)、制御部110は、投影コンテンツを投影可能な投影領域が存在しないので投影できないことを出力部140によりユーザに通知して(ステップS505)、投影制御処理を終了する。投影領域に所定の文字数未満しか流し込めない場合には、ユーザにとって意味のある文章として把握可能な内容を投影できない可能性が高いためである。
【0083】
投影領域に所定の文字数以上流し込める場合(ステップS504;Yes)、制御部110は、テキストデータを現在のテキスト位置から投影領域(投影領域の形状及び大きさに相当する領域)に流し込んだリフロー画像を生成する(ステップS506)する。そして、制御部110は、生成したリフロー画像を投影領域に投影する(ステップS507)。その次のステップS508からステップS511までの処理は、実施の形態1の投影制御処理(図11)のステップS109からステップS112までの処理と同様のため、説明を省略する。ただし、ステップS509での判定がYesの場合にはステップS503に戻り、ステップS511での判定がNoの場合にはステップS508に戻る。
【0084】
ステップS512では、制御部110は、ページ切り替えに応じてテキスト位置を変更し、ステップS506に戻る。ステップS512でのテキスト位置の変更において、制御部110は、次のページに切り替える場合には、現在投影しているリフロー画像を生成した時に流し込んだ文字数分(例えば10)だけテキスト位置を増加させる(例えばテキスト位置は0から10に変更される)。また、制御部110は、テキスト位置を順方向(次のページ)に変更する度に、その変更履歴を記憶部120に保存してもよい。このようにすることにより、制御部110は、前のページに切り替える場合には、テキスト位置の変更履歴を逆方向に辿っていけばよいことになる。
【0085】
このような処理を行うことにより、制御部110は、投影コンテンツのテキストデータを投影領域に流し込んだリフロー画像を投影するので、投影領域の形状に応じて見やすく投影コンテンツを投影できる。例えば、図18に示すように作業台300の左半分以上を占める形で作業物310が存在した場合には、縦長の投影領域330が得られるが、制御部110は、この投影領域に投影コンテンツ381のテキストデータを流し込んだリフロー画像を生成して投影することにより、図18に示すように、投影領域330にリフロー形式で投影する。
【0086】
また、例えば、図19に示すように作業台300の上に作業物310が存在した場合には、横長の投影領域330が得られるが、制御部110は、この投影領域に投影コンテンツ381のテキストデータを流し込んだリフロー画像を生成して投影することにより、図19に示すように、投影領域330にリフロー形式で投影する。
【0087】
図18図19とを比較するとわかるように、投影される投影コンテンツ381は、どちらもテキストデータとしては同じ「青い端子に青い線を接続してください[改行][改行]赤い端子に赤い線を接続してください」であるが、リフロー形式で投影されるため、投影領域330の形状に合わせて投影コンテンツ381の投影のされ方が変化する。つまり、実施の形態3では、実施の形態1や実施の形態2と比較すると、投影コンテンツのレイアウトの種類を投影領域の形状に合わせた形で用意する必要はない。また実施の形態3では、制御部110は、投影領域の形状及び大きさに相当する領域に投影コンテンツとしてのテキストデータを流し込むことによってリフロー画像を生成し、リフロー画像を生成することによって投影コンテンツのレイアウトを決定する。したがって、より効率的に投影コンテンツを記憶部120に記憶することができる。また、リフロー形式で投影することにより、投影される領域に応じてフレキシブルに投影コンテンツを投影することができるので、投影領域の形状によらず、より見やすく投影コンテンツを投影することができる。
【0088】
なお、投影コンテンツの情報として、テキストデータだけでなく、文字フォント種、文字サイズ、文字サイズの上限と下限、文字間隔の下限と上限、行間隔の下限と上限等の情報も記憶されている場合には、制御部110は、投影領域のサイズとこれらの情報とを考慮して、最適なテキストデータ、最適な文字サイズ、最適な文字間隔、及び最適な行間隔を決定してもよい。
【0089】
実施の形態3では、テキストデータの投影コンテンツを記憶部120に記憶しておくことにより、制御部110は、投影領域にテキストデータをリフロー形式で投影させることができる。これにより、投影コンテンツに含まれる文字は投影領域の形状に応じて、適切に配置されるので、実施の形態3に係る投影システムは、投影コンテンツを見やすく投影することができる。
【0090】
(変形例)
上述の実施の形態では、投影領域は、検出された平面領域に内接する最大の矩形領域の端部から規定余白幅の余白を除いた領域としたが、投影領域はこのような長方形に限定されず、任意の形状に設定してもよい。例えば、作業物の種類によっては、平面領域が長方形に近い形状にならず、平面領域に内接する最大の矩形領域の面積が非常に小さくなってしまう場合もある。その場合には、制御部110は、投影領域を平面領域の形状に近い形状に設定してもよい。また投影領域を例えば「凹」のような一部に凹みのある形状や、「凸」のような一部に出っ張りのある形状等に設定してもよい。
【0091】
(その他の変形例)
なお、投影システム100は、PC210、3Dカメラ240、プロジェクタ250からなるシステムに限らず、測距機能を備えたプロジェクタ250単体のシステムや、3Dカメラ240とプロジェクタ250からなるシステムとして実現することもできる。また、上述の実施の形態では制御部110はPC210が備えるものとして説明したが、例えばプロジェクタ250が制御部110、記憶部120、操作入力部130及び出力部140も備え、投影システム100の制御を全てプロジェクタ250の備える制御部110が行うようにしてもよい。この場合、プロジェクタ250の制御部110、記憶部120、操作入力部130及び出力部140が投影制御装置200を構成し、プロジェクタ250の光源、投影デバイス、レンズユニットは投影部160を構成する。
【0092】
また、投影制御装置200としてのPC210は、通常のPCに限らず、制御部110、記憶部120、操作入力部130及び出力部140を備えたコンピュータであれば任意のコンピュータを用いることができる。投影制御装置200は、例えばワンボードマイコンでもよい。
【0093】
また、上記実施の形態では、制御部110が実行する投影制御処理等のプログラムが、記憶部120に予め記憶されているものとして説明した。しかし、プログラムを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto-Optical disc)、メモリカード、USBメモリ等の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータに読み込んでインストールすることにより、上述の各処理を実行することができるコンピュータを構成してもよい。
【0094】
さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の各処理を実行できるように構成してもよい。
【0095】
また、制御部110は、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ、マルチコアプロセッサ等の任意のプロセッサ単体で構成されるものの他、これら任意のプロセッサと、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられて構成されてもよい。
【0096】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。
【符号の説明】
【0097】
100…投影システム、110…制御部、120…記憶部、130…操作入力部、131…フットスイッチ、140…出力部、150…検出部、160…投影部、200…投影制御装置、210…PC、240…3Dカメラ、250…プロジェクタ、300…作業台、310…作業物、320…平面領域、330…投影領域、351,352,353,354,361,362,381…投影コンテンツ、371,372…ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19