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特開2024-147206電子機器、装着型装置、判別方法及び及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147206
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】電子機器、装着型装置、判別方法及び及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
A61B5/11 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060074
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 剛
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB01
4C038VB02
4C038VB14
4C038VB24
4C038VB35
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】より簡易かつ正確に装着部位を判別する。
【解決手段】電子機器は、ユーザの身体の互いに異なる複数の部位にそれぞれ装着される複数の取付器具のうちいずれかの取付器具に取り付けられることで、取付器具を介してユーザの身体に装着される電子機器であって、取付器具に取り付けられた状態において取付器具が有する第1の出力端子に接続され、当該第1の出力端子から取付器具に対応する判別用電圧が入力される入力端子と、入力端子に入力された判別用電圧の大きさに基づいて、電子機器が取り付けられている取付器具を判別する処理部と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの身体の互いに異なる複数の部位にそれぞれ装着される複数の取付器具のうちいずれかの取付器具に取り付けられることで、前記取付器具を介して前記ユーザの身体に装着される電子機器であって、
前記取付器具に取り付けられた状態において前記取付器具が有する第1の出力端子に接続され、当該第1の出力端子から前記取付器具に対応する判別用電圧が入力される入力端子と、
前記入力端子に入力された前記判別用電圧の大きさに基づいて、前記電子機器が取り付けられている前記取付器具を判別する処理部と、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記複数の取付器具の各々は、第1の接続端子及び第2の接続端子と、前記第1の接続端子及び前記第2の接続端子の間で直列に接続された第1の抵抗素子及び第2の抵抗素子と、を備え、前記判別用電圧は、前記電子機器が前記取付器具に取り付けられた状態において前記第1の接続端子及び前記第2の接続端子の間に供給される電源電圧を、前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子により分圧した電圧であり、
前記電子機器は、前記取付器具に取り付けられた状態において前記第1の接続端子及び前記第2の接続端子に接続されて前記電源電圧を供給する一対の電圧端子を備える、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記一対の電圧端子は、基準電圧を出力する第1の電圧端子と、前記基準電圧を基準とした前記電源電圧を出力する第2の電圧端子と、を有し、
前記電子機器が第1の取付方向で前記取付器具に取り付けられた状態において、前記第1の電圧端子は前記第1の接続端子に接続され、前記第2の電圧端子は前記第2の接続端子に接続され、
前記電子機器が第1の取付方向とは反対向きの第2の取付方向で前記取付器具に取り付けられた状態において、前記第1の電圧端子は前記第2の接続端子に接続され、前記第2の電圧端子は前記第1の接続端子に接続される、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記複数の取付器具の各々が有する前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子の抵抗値は、前記複数の取付器具の各々と、前記電子機器の取付方向との組み合わせごとに、前記第1の出力端子から出力される前記判別用電圧が互いに異なるように定められている、
請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記処理部は、予め定められた方法で、前記電子機器が前記取付器具に対して、前記第1の取付方向及び前記第2の取付方向のうちいずれの取付方向で取り付けられているかを判別する、
請求項3に記載の電子機器。
【請求項6】
前記処理部は、判別した前記取付方向と、前記判別用電圧との組み合わせに基づいて、前記電子機器が取り付けられている前記取付器具を判別する、
請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記複数の取付器具の各々は、前記電子機器が取り付けられている状態において前記電子機器に対して空間的に不均一な物理的作用を及ぼす作用部を備え、
前記電子機器は、当該電子機器の或る位置に対して及ぼされる前記物理的作用を検出する検出部を備え、
前記処理部は、前記検出部による前記物理的作用の検出結果に基づいて前記取付方向を判別する、
請求項5に記載の電子機器。
【請求項8】
前記作用部は、前記電源電圧の供給に応じて通電することにより前記物理的作用としての磁場を発生させるコイルであり、
前記検出部は、前記コイルが発生させた前記磁場の大きさを検出し、
前記処理部は、前記検出部が検出した磁場の大きさに基づいて前記取付方向を判別する、
請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記取付器具は、入力された前記基準電圧又は前記電源電圧を出力する第2の出力端子を備え、
前記入力端子は、第1の入力端子及び第2の入力端子を有し、
前記電子機器が前記取付器具に対して前記第1の取付方向で取り付けられた状態において、前記第1の入力端子は前記第1の出力端子に接続され、前記第2の入力端子は前記第2の出力端子に接続され、
前記電子機器が前記取付器具に対して前記第2の取付方向で取り付けられた状態において、前記第1の入力端子は前記第2の出力端子に接続され、前記第2の入力端子は前記第1の出力端子に接続され、
前記処理部は、
前記第1の入力端子に前記基準電圧又は電源電圧が入力されたことに応じて、前記第2の入力端子に入力された前記判別用電圧を検出し、
前記第2の入力端子に前記基準電圧又は電源電圧が入力されたことに応じて、前記第1の入力端子に入力された前記判別用電圧を検出する、
請求項3に記載の電子機器。
【請求項10】
前記電子機器の動きを検出するモーションセンサを備え、
前記処理部は、前記前記電子機器が取り付けられていると判別された前記取付器具に予め対応付けられたアルゴリズムに従って、前記モーションセンサによる出力データを処理する、
請求項1~9のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項11】
ユーザの身体の互いに異なる複数の部位にそれぞれ装着される複数の取付器具のうち少なくとも1つの取付器具と、
前記取付器具に取り付けられることで、前記取付器具を介して前記ユーザの身体に装着される電子機器と、
を備え、
前記取付器具は、当該取付器具に対応する判別用電圧を出力する第1の出力端子を有し、
前記電子機器は、
前記取付器具に取り付けられた状態において前記第1の出力端子に接続され、当該第1の出力端子から前記判別用電圧が入力される入力端子と、
前記入力端子に入力された前記判別用電圧の大きさに基づいて、前記電子機器が取り付けられている前記取付器具を判別する処理部と、
を有する、装着型装置。
【請求項12】
ユーザの身体の互いに異なる複数の部位にそれぞれ装着される複数の取付器具のうちいずれかの取付器具に取り付けられることで、前記取付器具を介して前記ユーザの身体に装着される電子機器であって、前記取付器具に取り付けられた状態において前記取付器具が有する第1の出力端子に接続され、当該第1の出力端子から前記取付器具に対応する判別用電圧が入力される入力端子を備える電子機器に設けられたコンピュータが実行する判別方法であって、
前記入力端子に入力された前記判別用電圧の大きさに基づいて、前記電子機器が取り付けられている前記取付器具を判別する、
判別方法。
【請求項13】
ユーザの身体の互いに異なる複数の部位にそれぞれ装着される複数の取付器具のうちいずれかの取付器具に取り付けられることで、前記取付器具を介して前記ユーザの身体に装着される電子機器であって、前記取付器具に取り付けられた状態において前記取付器具が有する第1の出力端子に接続され、当該第1の出力端子から前記取付器具に対応する判別用電圧が入力される入力端子を備える電子機器に設けられたコンピュータに、
前記入力端子に入力された前記判別用電圧の大きさに基づいて、前記電子機器が取り付けられている前記取付器具を判別する処理を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、装着型装置、判別方法及び及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの身体に装着されて用いられる装着型装置に加速度センサ及びジャイロセンサ等を設け、これらのセンサの出力データに基づいてユーザの運動状態を検出する技術が知られている。また、加速度センサにより検出された加速度のパターンに基づいて、ユーザの身体における装着型装置の装着部位を判別する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-207485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術においては、加速度のパターンの検出のために複雑なデータ処理が必要となる上、加速度のパターンの表れ方は必ずしも一定でないため、装着部位を毎回正確に判別することが困難であるという課題がある。
【0005】
本発明は、より簡易かつ正確に装着部位を判別することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る電子機器は、
ユーザの身体の互いに異なる複数の部位にそれぞれ装着される複数の取付器具のうちいずれかの取付器具に取り付けられることで、前記取付器具を介して前記ユーザの身体に装着される電子機器であって、
前記取付器具に取り付けられた状態において前記取付器具が有する第1の出力端子に接続され、当該第1の出力端子から前記取付器具に対応する判別用電圧が入力される入力端子と、
前記入力端子に入力された前記判別用電圧の大きさに基づいて、前記電子機器が取り付けられている前記取付器具を判別する処理部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より簡易かつ正確に装着部位を判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】装着型装置の構成を示す図である。
図2】装着型装置の構成を示す図である。
図3】装着型装置の構成を示す図である。
図4】装着型装置の構成を示す図である。
図5】電子機器の機能構成を示すブロック図である。
図6】電子機器及び取付器具の回路構成を示す回路ブロック図である。
図7】電子機器が第2の取付方向で取付器具に取り付けられた状態を示す回路ブロック図である。
図8】判別用電圧テーブルの内容を示す図である。
図9】センシング処理の制御手順を示すフローチャートである。
図10】第2の実施形態の装着型装置の構成を示す図である。
図11】第2の実施形態の電子機器及び取付器具の回路構成を示す回路ブロック図である。
図12】電子機器を第2の取付方向で取付器具に取り付ける様子を示す図である。
図13】電子機器が第2の取付方向で取付器具に取り付けられた状態を示す回路ブロック図である。
図14】第2の実施形態に係る判別用電圧テーブルの内容を示す図である。
図15】第2の実施形態に係るセンシング処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
<装着型装置の構成>
図1図4は、本発明に係る第1の実施形態の装着型装置1の構成を示す図である。
装着型装置1は、ユーザの身体の互いに異なる複数の部位にそれぞれ装着される複数の取付器具20(アタッチメント)のうち少なくとも1つの取付器具20と、電子機器10と、を備える。電子機器10は、いずれかの取付器具20に取り付けられることで、当該取付器具20を介してユーザの身体に装着される。本実施形態の装着型装置1は、図1図4に示す4つの取付器具20a~20dを備える。図1の取付器具20aは、胸部に装着される胸部用バンドである。図2の取付器具20bは、足首に装着される足首用バンドである。図3の取付器具20cは、頭部に装着される頭部用バンドである。図4の取付器具20dは、腰部に装着される腰部用バンドである。以下では、単に「取付器具20」と記した場合には、取付器具20a~20dのうちの任意の1つを指すものとする。
【0011】
電子機器10は、1次元配列された4つの端子からなる第1端子群TG1を備える。各取付器具20は、第1端子群TG1と対応する配列の4つの端子からなる第2端子群TG2を備える。第1端子群TG1の各端子を第2端子群TG2の対応する各端子に接続することで、任意の取付器具20に電子機器10を取り付けることができる。また、電子機器10は、異なる取付器具20の間で自由に付け替えることができる。第1端子群TG1及び第2端子群TG2は1次元配列されているので、電子機器10は、取付器具20に対して、通常の第1の取付方向(図10参照)、及び、第1の取付方向とは反対向きの(すなわち、第1端子群TG1の配列方向に垂直な軸の回りで第1の取付方向から180度回転させた)第2の取付方向(図12参照)のいずれの方向でも取り付けることができる。以下では、電子機器10が第1の取付方向で取付器具20に取り付けられた状態を「正方向取付状態」とも記し、電子機器10が第2の取付方向で取付器具20に取り付けられた状態を「逆方向取付状態」とも記す。
【0012】
電子機器10は、当該電子機器10の運動状態を検出するモーションセンサ15(図5参照)を備え、モーションセンサ15により、運動を行うユーザの身体のうち電子機器10が装着されている部位の動きを検出する。また、電子機器10は、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部16(図5参照)を備え、位置情報取得部16が取得した位置情報に基づいて、ユーザの移動距離や移動速度などを導出する。電子機器10は、無線通信により図示略の端末装置(スマートウォッチ、スマートフォン等)との間でデータの送受信が可能であり、モーションセンサ15及び位置情報取得部16により検出したユーザの運動の状態に係る情報及び/又はこれらを加工した情報を端末装置に送信する。
【0013】
図5は、電子機器10の機能構成を示すブロック図である。
電子機器10は、CPU12(Central Processing Unit)、メモリ13、ADC141、142(アナログデジタルコンバータ)を有するMCU11(マイクロコントローラユニット)と、モーションセンサ15と、位置情報取得部16と、報知部17と、通信部18と、バスBなどを備える。電子機器10の各部は、バスBを介して接続されている。なお、CPU12、メモリ13及びADC141、142がMCU11として1チップに集積されている構成を例示したが、これに限られず、CPU12、メモリ13及びADC141、142のうちの一部又は全部が互いに別の部品として構成されていてもよい。
【0014】
CPU12は、メモリ13に記憶されているプログラム131を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、電子機器10の動作を制御するプロセッサ(処理部)である。なお、電子機器10は、複数のプロセッサ(例えば、複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU12が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合には、複数のプロセッサにより処理部が構成される。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0015】
メモリ13は、コンピュータとしてのCPU12により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム131及び各種データを記憶する。メモリ13は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。プログラム131は、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態でメモリ13に格納されている。メモリ13に記憶されるデータとしては、後述する取付器具20の判別に用いる判別用電圧テーブル132、及び、モーションセンサ15からの出力データの処理に用いられるセンシングアルゴリズム133等がある。センシングアルゴリズム133は、取付器具20a~20dの各々に予め対応付けられた4つのアルゴリズム、すなわち、胸部用アルゴリズム133a、足首用アルゴリズム133b、頭部用アルゴリズム133c、腰部用アルゴリズム133dを含む。
【0016】
ADC141、142は、それぞれ、第1端子群TG1の第1の入力端子Ti1、第2の入力端子Ti2(図6参照)に入力されたアナログ電圧信号の大きさをデジタル信号に変換してCPU12に出力する回路素子である。
【0017】
モーションセンサ15は、加速度センサ151、ジャイロセンサ152、及び地磁気センサ153を備える。加速度センサ151は、電子機器10に加わる直交3軸方向の加速度を検出し、加速度データをCPU12に出力する。ジャイロセンサ152は、電子機器10の運動により生じる直交3軸回りの角速度を検出し、角速度データをCPU12に出力する。地磁気センサ153は、電子機器10を通る地磁気の直交3軸方向の各成分を検出し、地磁気データをCPU12に出力する。
【0018】
位置情報取得部16は、GPS(Global Positioning System)等の全地球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の測位衛星からの送信電波を受信及び復号して現在位置を算出する。現在位置の情報は、CPU12に出力される。
【0019】
報知部17は、CPU12による制御信号に従ってユーザに対する報知を行うための報知動作を行う。本実施形態の報知部17は、報知動作として報知音の出力を行うスピーカーを備える。なお、報知部17は、発光部の発光、振動部の振動、表示部の表示等により報知を行うものであってもよい。
【0020】
通信部18は、予め定められた通信規格に従った通信動作を行う。通信部18は、この通信動作により、端末装置との間で無線通信によるデータの送受信を行う。
【0021】
<電子機器及び取付器具の回路構成及び回路動作>
図6は、電子機器10及び取付器具20の回路構成を示す回路ブロック図である。
図6は、正方向(第1の取付方向)取付状態の電子機器10及び取付器具20を表している。図6において、電子機器10の第1端子群TG1の各端子は、取付器具20の第2端子群TG2の各端子に接続されている。すなわち、端子間の破線は、破線により繋がれた端子同士が接触していることを表している。
【0022】
電子機器10の第1端子群TG1は、第1の電圧端子Tv1、第1の入力端子Ti1、第2の入力端子Ti2、第2の電圧端子Tv2を有し、これらの各端子はこの順に配列されている。取付器具20の第2端子群TG2は、第1の接続端子Tc1、第1の出力端子To1、第2の出力端子To2、第2の接続端子Tc2を有し、これらの各端子はこの順に配列されている。正方向取付状態においては、第1の電圧端子Tv1が第1の接続端子Tc1に接続され、第1の入力端子Ti1が第1の出力端子To1に接続され、第2の入力端子Ti2が第2の出力端子To2に接続され、第2の電圧端子Tv2が第2の接続端子Tc2に接続される。
【0023】
電子機器10の第1の電圧端子Tv1は、MCU11のGND(基準電圧)を出力する端子に接続されている。よって、第1の電圧端子Tv1は、外部にGNDを出力するGND端子として機能する。第2の電圧端子Tv2は、MCU11のVDD(基準電圧を基準とする電源電圧)を出力する端子に接続されている。よって、第2の電圧端子Tv2は、外部にVDDを出力するVDD端子として機能する。VDDの大きさは、特には限られないが、本実施形態では3Vである。
【0024】
第1の入力端子Ti1は、CPU12により切替制御されるスイッチSW1を介してADC141又は入力回路143に接続されている。第1の入力端子Ti1は、スイッチSW1が入力回路143に接続されている場合にはDETECT端子として機能する。スイッチSW1は、初期状態では入力回路143に接続されている。スイッチSW1がADC141に接続されると、第1の入力端子Ti1はVAIN端子として機能する。
第2の入力端子Ti2は、CPU12により切替制御されるスイッチSW2を介してADC142又は入力回路144に接続されている。第2の入力端子Ti2は、スイッチSW2が入力回路144に接続されている場合にはDETECT端子として機能する。スイッチSW2は、初期状態では入力回路144に接続されている。スイッチSW2がADC142に接続されると、第2の入力端子Ti2はVAIN端子として機能する。
DETECT端子としての第1の入力端子Ti1に接続された入力回路143は、VDDが入力された場合にハイレベル信号(以下「H」と略す)を検出する。入力回路143は、例えば、第1の入力端子Ti1に接続されたバッファ回路と、バッファ回路からの出力信号を保持するラッチ回路等を備える。入力回路143のバッファ回路の信号入力側は「L」にプルダウンされており、第1の入力端子Ti1からバッファ回路に「H」が入力されると、ラッチ回路に「H」が保持されて「H」がCPU12に出力される。
DETECT端子としての第2の入力端子Ti2に接続された入力回路144は、GNDが入力された場合にローレベル信号(以下「L」と略す)を検出する。入力回路144は、例えば、第2の入力端子Ti2に接続されたバッファ回路と、バッファ回路からの出力信号を保持するラッチ回路等を備える。入力回路144のバッファ回路の信号入力側は「H」にプルアップされており、第2の入力端子Ti2からバッファ回路に「L」が入力されると、ラッチ回路に「L」が保持されて「L」がCPU12に出力される。
VAIN端子に入力されたアナログ電圧信号は、ADC141又は142により電圧の大きさに応じたデジタル信号に変換されてCPU12に出力される。
【0025】
取付器具20は、第1の接続端子Tc1及び第2の接続端子Tc2の間で直列に接続された第1の抵抗素子R1及び第2の抵抗素子R2を備える。第1の抵抗素子R1は第1の接続端子Tc1に接続されており、第2の抵抗素子R2は第2の接続端子Tc2に接続されている。以下では、第1の抵抗素子R1の抵抗値がR1(Ω)であり、第2の抵抗素子R2の抵抗値がR2(Ω)であるものとする。抵抗値R1、R2の大きさは、例えば数kΩ~数百kΩ程度であってもよい。図6に示す正方向取付状態において、第1の接続端子Tc1には第1の電圧端子Tv1からGNDが供給され、第2の接続端子Tc2には第2の電圧端子Tv2からVDDが供給される。
【0026】
取付器具20の第1の出力端子To1は、第1の抵抗素子R1と第2の抵抗素子R2との間のノードN1に接続されている。よって、第1の出力端子To1は、第1の接続端子Tc1及び第2の接続端子Tc2の間に印加されるVDDを第1の抵抗素子R1及び第2の抵抗素子R2により分圧した判別用電圧を出力する。正方向取付状態において出力される判別用電圧V1は、下記式(1)により表される。
V1=VDD・R1/(R1+R2)
=VDD/(1+R2/R1) ・・・(1)
【0027】
取付器具20の第2の出力端子To2は、第1の接続端子Tc1と第1の抵抗素子R1との間のノードN2に接続されている。よって、正方向取付状態において、第2の出力端子To2はGNDを出力する。なお、第2の出力端子To2は、第2の接続端子Tc2と第2の抵抗素子R2との間のノードに接続されていてもよい。この場合には、正方向取付状態において、第2の出力端子To2は、VDDを出力する。
【0028】
第2の出力端子To2から出力されるGNDは、DETECT端子として機能する第2の入力端子Ti2に接続された入力回路144により検出される。この検出に応じてスイッチSW1が切り替えられてADC141に接続され、第1の入力端子Ti1がVAIN端子として機能する。第1の出力端子To1から出力される判別用電圧V1は、第1の入力端子Ti1(VAIN端子)に入力され、ADC141により、その大きさに応じたデジタル信号に変換される。
【0029】
図7は、電子機器10が第2の取付方向で取付器具20に取り付けられた状態を示す回路ブロック図である。図7では、図6との相違が分かりやすくなるよう、便宜上、取付器具20の方を図6から左右反転させている。
図7に示す逆方向取付状態においては、第1の電圧端子Tv1が第2の接続端子Tc2に接続され、第1の入力端子Ti1が第2の出力端子To2に接続され、第2の入力端子Ti2が第1の出力端子To1に接続され、第2の電圧端子Tv2が第1の接続端子Tc1に接続される。よって、取付器具20の第1の接続端子Tc1には第2の電圧端子Tv2からVDDが供給され、第2の接続端子Tc2は第1の電圧端子Tv1からGNDが供給される。逆方向取付状態において第1の出力端子To1から出力される判別用電圧V2(ノードN1の電圧)は、下記式(2)により表される。
V2=VDD・R2/(R1+R2)
=VDD/(R1/R2+1) ・・・(2)
以下では、判別用電圧V1、V2のうち任意の一方を指す場合には「判別用電圧V」と記す。
図7に示す逆方向取付状態においてノードN2はVDDとなるので、第2の出力端子To2は、VDDを出力する。
【0030】
第2の出力端子To2から出力されるVDDは、DETECT端子として機能する第1の入力端子Ti1に接続された入力回路143により検出される。この検出に応じてスイッチSW2が切り替えられてADC142に接続され、第2の入力端子Ti2がVAIN端子として機能する。第1の出力端子To1から出力される判別用電圧V2は、第2の入力端子Ti2(VAIN端子)に入力され、ADC142により、その大きさに応じたデジタル信号に変換される。
【0031】
第2の抵抗素子R2の抵抗値に対する第1の抵抗素子R1の抵抗値の比率R1/R2は、取付器具20ごとに異なっている。本実施形態では、取付器具20aにおける比率R1/R2は5であり、取付器具20bにおける比率R1/R2は3であり、取付器具20cにおける比率R1/R2は2であり、取付器具20aにおける比率R1/R2は7/5である。各取付器具20における比率R1/R2は、取付器具20a~20dの各々と、電子機器10の取付方向との組み合わせごとに、第1の出力端子To1から出力される判別用電圧Vが互いに異なるように定められている。この判別用電圧Vに係る情報は、判別用電圧テーブル132に記憶されている。
【0032】
図8は、判別用電圧テーブル132の内容を示す図である。
判別用電圧テーブル132においては、取付器具20a~20dの各々について、比率R1/R2に応じて定まる判別用電圧V1、V2の理論値がそれぞれ記憶されている。例えば、取付器具20aについては、比率R1/R2が5であるので、式(1)により表される判別用電圧V1の理論値は2.50(V)であり、式(2)により表される判別用電圧V2の理論値は0.50(V)である。他の取付器具20についても同様である。
【0033】
図8に示すように、判別用電圧Vは、取付器具20a~20dの各々と、電子機器10の取付方向との組み合わせごとに互いに異なる。このため、第1の入力端子Ti1又は第2の入力端子Ti2に入力される判別用電圧Vの大きさに基づいて、電子機器10が取付器具20a~20dのいずれに取り付けられているかを判別することができる。また、判別用電圧Vに基づいて、電子機器10が第1の取付方向及び第2の取付方向のいずれの方向で取付器具20に取り付けられているかを判別することができる。
【0034】
<センシング処理>
以下では、電子機器10が取り付けられている取付器具20を判別する動作を含む電子機器10の各種動作を実現するために、CPU12が実行するセンシング処理の制御手順について説明する。
図9は、センシング処理の制御手順を示すフローチャートである。
センシング処理は、電子機器10の電源が投入された場合、又は、電源投入後に、運動状態の検出の開始を指示する所定のユーザ操作がなされた場合等に開始される。電源投入に応じて、電子機器10の第1の電圧端子Tv1、第2の電圧端子Tv2からそれぞれGND、VDDが出力される。このとき、スイッチSW1は入力回路143に、また、スイッチSW2は入力回路144にそれぞれ接続されており、第1の入力端子Ti1及び第2の入力端子Ti2はいずれもDETECT端子として機能する。
【0035】
センシング処理が開始されると、CPU12は、第2の入力端子Ti2に「L」が入力されているか否かを判別する(ステップS101)。「L」が入力されていると判別された場合には(ステップS101で“YES”)、CPU12は、電子機器10がいずれかの取付器具20に取り付けられている状態であると判別する(ステップS102)。また、CPU12は、スイッチSW1を切り替えてADC141に接続させ、第1の入力端子Ti1をVAIN端子に設定し、スイッチSW2をオフ状態に維持して第2の入力端子Ti2をDETECT端子に設定したままとする(ステップS103)。
【0036】
一方、第2の入力端子Ti2に「L」が入力されていないと判別された場合には(ステップS101で“NO”)、CPU12は、第1の入力端子Ti1に「H」が入力されているか否かを判別する(ステップS104)。「H」が入力されていると判別された場合には(ステップS104で“YES”)、CPU12は、電子機器10がいずれかの取付器具20に取り付けられている状態であると判別する(ステップS105)。また、CPU12は、スイッチSW2を切り替えてADC142に接続させ、第2の入力端子Ti2をVAIN端子に設定し、スイッチSW1をオフ状態に維持して第1の入力端子Ti1をDETECT端子に設定したままとする(ステップS106)。
【0037】
ステップS103又はS106が終了すると、CPU12は、VAIN端子に接続されているADC141又は142により判別用電圧Vの大きさを検出する(ステップS107)。CPU12は、図8の判別用電圧テーブル132を参照し、検出された判別用電圧Vと照合することで、電子機器10が取り付けられている取付器具20を判別する(ステップS108)。ここでは、CPU12は、検出された判別用電圧Vが、図8の各判別用電圧Vの理論値を中心とする所定の電圧範囲内(例えば±0.1Vの範囲内)に入っているか否かを判別し、該当する判別用電圧Vの理論値に対応する種別の取付器具20を、取り付けられている取付器具20として判別する。例えば、検出された判別用電圧Vが2.05Vであれば、2.00±0.1Vの範囲内であるので、CPU12は、2.00Vに対応する「取付器具20c」に取り付けられていると判別する。
【0038】
なお、判別用電圧テーブル132を参照することで、検出された判別用電圧Vに該当する判別用電圧Vの理論値から、電子機器10の取付方向(第1の取付方向又は第2の取付方向)を一意に特定できるので、CPU12は、さらに取付方向を判別してもよい。また、CPU12は、取付方向の判別結果に応じて、電子機器10の動作設定を変更してもよい。例えば、第2の取付方向であると判別された場合に、モーションセンサ15の各センサの座標軸設定を、第1の取付方向の場合の座標軸設定に対して所定軸を中心に180度回転させてもよい。あるいは、予め第1の取付方向用のセンシングアルゴリズム133と、第2の取付方向用のセンシングアルゴリズム133とを用意しておき、取付方向の判別結果に応じて、下記のステップS109で使用するアルゴリズムを切り替えてもよい。
また、取付方向を判別する方法は上記に限られない。例えば、ステップS101において第2の入力端子Ti2に「L」が入力されていると判別された場合に第1の取付方向であると判別し、ステップS104において第1の入力端子Ti1に「H」が入力されていると判別された場合に第2の取付方向であると判別してもよい。この方法で取付方向を判別する場合には、ステップS108において、判別用電圧テーブル132のうち取付方向に対応するデータ列のみを参照してもよい。
【0039】
CPU12は、判別した取付器具20に対応するセンシングアルゴリズムに従ってモーションセンサ15の出力データの処理を開始する(ステップS109)。ここでは、CPU12は、電子機器10が取り付けられていると判別された取付器具20が取付器具20aである場合には胸部用アルゴリズム133aを用い、取付器具20bである場合には足首用アルゴリズム133bを用い、取付器具20cである場合には頭部用アルゴリズム133cを用い、取付器具20dである場合には腰部用アルゴリズム133dを用いてモーションセンサ15の出力データの処理を行う。
【0040】
CPU12は、DETECT端子に「L」又は「H」が入力されているか否かを判別する(ステップS110)。「L」又は「H」が入力されていると判別された場合(詳しくは、第1の入力端子Ti1に「H」が入力されているか、又は第2の入力端子Ti2に「L」が入力されていると判別された場合)には(ステップS110で“YES”)、CPU12は、再度ステップS110を実行する。「L」又は「H」が入力されている状態ではないと判別された場合(詳しくは、第1の入力端子Ti1に「H」が入力されておらず、かつ、第2の入力端子Ti2に「L」が入力されていないと判別された場合)には(ステップS110で“NO”)、CPU12は、電子機器10が取付器具20から取り外された状態であると判別して、センシングアルゴリズムの選択の設定をクリアする(ステップS111)。
【0041】
ステップS111が終了した場合、又は、ステップS104で「L」又は「H」が入力されていないと判別された場合には(ステップS104で“NO”)、CPU12は、電子機器10の電源をオフする操作がなされたか否かを判別する(ステップS112)。CPU12は、当該操作がなされていないと判別された場合には(ステップS112で“NO”)、処理をステップS101に戻し、当該操作がなされたと判別された場合には(ステップS112で“YES”)、センシング処理を終了させる。
【0042】
<効果>
以上のように、第1の実施形態に係る電子機器10は、ユーザの身体の互いに異なる複数の部位にそれぞれ装着される取付器具20a~20dのうちいずれかの取付器具20に取り付けられることで、取付器具20を介してユーザの身体に装着される。電子機器10は、取付器具20に取り付けられた状態において取付器具20が有する第1の出力端子To1に接続され、当該第1の出力端子To1から取付器具20に対応する判別用電圧Vが入力される第1の入力端子Ti1、第2の入力端子Ti2と、第1の入力端子Ti1又は第2の入力端子Ti2に入力された判別用電圧Vの大きさに基づいて、電子機器10が取り付けられている取付器具20を判別するCPU12と、を備える。また、複数の取付器具20の各々に対して共通の1つの電子機器10を取り付けることができるので、装着型装置1の構成を簡素化することができる。
【0043】
また、複数の取付器具20の各々は、第1の接続端子Tc1及び第2の接続端子Tc2と、第1の接続端子Tc1及び第2の接続端子Tc2の間で直列に接続された第1の抵抗素子R1及び第2の抵抗素子R2と、を備え、判別用電圧Vは、電子機器10が取付器具20に取り付けられた状態において第1の接続端子Tc1及び第2の接続端子Tc2の間に供給されるVDDを、第1の抵抗素子R1及び第2の抵抗素子R2により分圧した電圧であり、電子機器10は、取付器具20に取り付けられた状態において第1の接続端子Tc1及び第2の接続端子Tc2に接続されてVDDを供給する第1の電圧端子Tv1及び第2の電圧端子Tv2を備える。これにより、電子機器10から取付器具20に供給したVDDを用いて、取付器具20により判別用電圧Vを出力させることができる。よって、取付器具20の構成を簡素化することができる。また、第1の抵抗素子R1及び/又は第2の抵抗素子R2の抵抗値を変えるだけで判別用電圧Vを変えることができるので、取付器具20のバリエーションを容易に増やすことができる。また、各取付器具20において回路構成は同一であるので、簡易に取付器具20毎の構成を異ならせることができる。
【0044】
また、第1の電圧端子Tv1はGNDを出力し、第2の電圧端子Tv2はVDDを出力し、正方向取付状態において、第1の電圧端子Tv1は第1の接続端子Tc1に接続され、第2の電圧端子Tv2は第2の接続端子Tc2に接続され、逆方向取付状態において、第1の電圧端子Tv1は第2の接続端子Tc2に接続され、第2の電圧端子Tv2は第1の接続端子Tc1に接続される。これにより、正方向取付状態及び逆方向取付状態のいずれにおいても、VDDを分圧した判別用電圧Vを取付器具20から出力させることができる。このため、電子機器10の取付方向によらずに、電子機器10が取り付けられている取付器具20を判別することができる。よって、腰部の背中側といった視認が困難な部位に電子機器10を装着する場合等において、逆向きに電子機器10を取り付けたとしても、取付方向に応じて電子機器10を正常に動作させることができる。また、取付器具20から、電子機器10の取付方向に応じて異なる判別用電圧V1を出力させることができるので、判別用電圧Vを、取付方向の判別にも用いることができる。
【0045】
また、複数の取付器具20の各々が有する第1の抵抗素子R1及び第2の抵抗素子R2の抵抗値は、複数の取付器具20の各々と、電子機器10の取付方向との組み合わせごとに判別用電圧Vが互いに異なるように定められている。これにより、電子機器10が装着されている取付器具20、及び取付方向を判別用電圧Vから特定することができる。よって、取付方向を判別しなくても、装着されている取付器具20を判別することができる。
【0046】
また、取付器具20は、入力されたGND又はVDDを出力する第2の出力端子To2を備え、正方向取付状態において、第1の入力端子Ti1は第1の出力端子To1に接続され、第2の入力端子Ti2は第2の出力端子To2に接続され、逆方向取付状態において、第1の入力端子Ti1は第2の出力端子To2に接続され、第2の入力端子Ti2は第1の出力端子To1に接続され、CPU12は、第1の入力端子Ti1にGND又はVDDが入力されたことに応じて、第2の入力端子Ti2に入力された判別用電圧Vを検出し、第2の入力端子Ti2にGND又はVDDが入力されたことに応じて、第1の入力端子Ti1に入力された判別用電圧Vを検出する。これにより、電子機器10が取り付けられていない状態においてVAIN端子が不定の電圧を検出しないようにすることができる。
【0047】
また、電子機器10は、当該電子機器10の動きを検出するモーションセンサ15を備え、CPU12は、電子機器10が取り付けられていると判別された取付器具20に予め対応付けられたアルゴリズムに従って、モーションセンサ15による出力データを処理する。これにより、電子機器10の装着部位に対応するアルゴリズムを用いて、部位のフォームをより適切に検出したり解析したりすることができる。
【0048】
また、第1の実施形態に係る装着型装置1は、上記の電子機器10及び取付器具20を備えるので、ユーザの身体における電子機器10の装着部位を、より簡易かつ正確に判別することができる。
【0049】
また、第1の実施形態に係る判別方法において、CPU12は、第1の入力端子Ti1又は第2の入力端子Ti2に入力された判別用電圧Vの大きさに基づいて、電子機器10が取り付けられている取付器具20を判別する。これにより、ユーザの身体における電子機器10の装着部位を、より簡易かつ正確に判別することができる。
【0050】
また、第1の実施形態に係るプログラム131は、CPU12に、第1の入力端子Ti1又は第2の入力端子Ti2に入力された判別用電圧Vの大きさに基づいて、電子機器10が取り付けられている取付器具20を判別する処理を実行させる。これにより、ユーザの身体における電子機器10の装着部位を、より簡易かつ正確に判別することができる。
【0051】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。以下では第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態と共通する構成については共通の符号を付して説明を省略する。
【0052】
図10は、第2の実施形態の装着型装置1の構成を示す図である。
図11は、第2の実施形態の電子機器10及び取付器具20の回路構成を示す回路ブロック図である。
図11は、正方向取付状態の電子機器10を示す。本実施形態の取付器具20は、第1の接続端子Tc1及び第2の接続端子Tc2の間に、第1の抵抗素子R1及び第2の抵抗素子R2と並列に接続されたコイル21を備える。取付器具20に電子機器10が接続されると、第1の接続端子Tc1及び第2の接続端子Tc2の間へのVDDの供給に応じてコイル21に電流が流れる(コイル21が通電する)。これにより、コイル21は、コイル21の開口部を貫通する磁力線を有する磁場Mを発生させる。コイル21は、電子機器10が取り付けられている状態において電子機器10に対して空間的に不均一な物理的作用を及ぼす(ここでは、磁場を発生させる)「作用部」に相当する。
【0053】
電子機器10は、コイル21が発生させた磁場M及びその大きさを検出する磁気センサ19を備える。図10及び図11に示すように、磁気センサ19は、正方向取付状態においてコイル21の開口部に対向する位置に設けられている。磁気センサ19としては、内蔵するコイルが発生させた誘導起電力により磁場の大きさを検出する方式を始めとする、各種公知の検出方式のものを用いることができる。磁気センサ19は、電子機器10の或る位置に対して及ぼされる物理的作用を検出する「検出部」に相当する。なお、磁気センサ19を省略し、地磁気センサ153により磁場Mを検出してもよい。
【0054】
図12は、電子機器10を第2の取付方向で取付器具20に取り付ける様子を示す図である。
図13は、電子機器10が第2の取付方向で取付器具20に取り付けられた状態を示す回路ブロック図である。
図12及び図13に示すように、逆方向取付状態においては、磁気センサ19の位置は、コイル21の開口部に対向しない位置となる。このため、逆方向取付状態において磁気センサ19により検出される磁場Mの大きさは、正方向取付状態において検出される磁場Mよりも大幅に小さくなる。このように、磁気センサ19が検出する磁場Mの大きさは、電子機器10の取付方向によって相違するので、本実施形態のCPU12は、検出された磁場Mの大きさに基づいて、電子機器10の取付方向を判別することができる。
【0055】
図14は、第2の実施形態に係る判別用電圧テーブル132の内容を示す図である。
本実施形態では、取付器具20aにおける比率R1/R2は5であり、取付器具20bにおける比率R1/R2は2であり、取付器具20cにおける比率R1/R2は1であり、取付器具20aにおける比率R1/R2は1/2である。図14の判別用電圧テーブル132においても、各比率R1/R2に応じた判別用電圧Vの理論値が記憶されている。本実施形態では、磁場Mの大きさに基づいて取付方向が判別され、第1の取付方向であると判別された場合には、判別用電圧テーブル132のうちの判別用電圧V1が用いられ、第2の取付方向であると判別された場合には、判別用電圧テーブル132のうちの判別用電圧V2が用いられる。すなわち、判別した取付方向と、判別用電圧V1又はV2との組み合わせに基づいて、電子機器10が取り付けられている取付器具20が判別される。このため、判別用電圧V1及び判別用電圧V2の理論値が一部重複していてもよい。
【0056】
図15は、第2の実施形態に係るセンシング処理の制御手順を示すフローチャートである。
本実施形態のセンシング処理では、CPU12は、まず、磁気センサ19が磁場Mを検出したか否かを判別する(ステップS201)。例えば、CPU12は、磁気センサ19により検出される磁場Mの大きさが地磁気の大きさよりも大きい場合に磁場Mを検出していると判別する。また、CPU12は、検出された磁場Mの大きさが所定の閾値以上であるか否かを判別する(ステップS202)。閾値は、正方向取付状態において検出される磁場Mの大きさよりも小さく、かつ、逆方向取付状態において検出される磁場Mの大きさよりも大きい値に設定される。
【0057】
磁場Mの大きさが閾値以上であると判別された場合には(ステップS202で“YES”)、CPU12は、電子機器10が第1の取付方向で取付器具20に取り付けられた状態(正方向取付状態)であると判別する(ステップS203)。また、CPU12は、第1の入力端子Ti1をVAIN端子に設定し、第2の入力端子Ti2をDETECT端子に設定したままとする(ステップS204)。
【0058】
一方、ステップS202で磁場Mの大きさが閾値未満であると判別された場合には(ステップS202で“NO”)、CPU12は、電子機器10が第2の取付方向で取付器具20に取り付けられた状態(逆方向取付状態)であると判別する(ステップS205)。また、CPU12は、第2の入力端子Ti2をVAIN端子に設定し、第1の入力端子Ti1をDETECT端子に設定したままとする(ステップS206)。
【0059】
ステップS204又はS206が終了すると、CPU12は、DETECT端子に「L」又は「H」が入力されているか否かを判別する(ステップS207)。「L」又は「H」が入力されている状態ではないと判別された場合(詳しくは、第1の入力端子Ti1に「H」が入力されておらず、かつ、第2の入力端子Ti2に「L」が入力されていないと判別された場合)には(ステップS207で“NO”)、CPU12は、処理をステップS201に戻す。「L」又は「H」が入力されていると判別された場合(詳しくは、第1の入力端子Ti1に「H」が入力されているか、又は第2の入力端子Ti2に「L」が入力されていると判別された場合)には(ステップS207で“YES”)、CPU12は、電子機器10が取付器具20に取り付けられた状態であると判別する(ステップS208)。なお、ステップS203、S205における取り付け状態か否かの判別結果のみを用いることとして、ステップS207、S208を省略してもよい。ただし、ステップS207、S208を実行することで、コイル21以外の外部要因により磁気センサ19が磁場Mを誤検出した場合において、実際に電子機器10が取付器具20に取り付けられているか否かを正確に判別することができる。
以降のステップS209~S214は、図9のステップS107~S112と同様であるので説明を省略する。ただし、ステップS210は、判別用電圧テーブル132のうち取付方向に対応するデータ列を参照する点で図9のステップS108と異なる。
【0060】
上記では、作用部としてコイル21を例示し、検出部としてコイル21を例示したが、作用部及び検出部はこれらに限られない。
例えば、取付器具20に作用部として光(物理的作用)を射出する発光部を設け、電子機器10のうち正方向取付状態において発光部からの光を受光可能な位置に、検出部としての受光部を設けてもよい。あるいは、取付器具20のうち、正方向取付状態において受光部に対向する位置、及び、逆方向取付状態において受光部に対向する位置にそれぞれ波長の異なる発光部を設け、電子機器10の受光部が受光した光の波長により取付方向を判別してもよい。この場合には、受光部による受光状態に基づいて、電子機器10が取付器具20に取り付けられているか否かの判別を行うこともできる。
また、取付器具20に、作用部として、電子機器10に接触して応力(物理的作用)を及ぼし得る突起部を設け、電子機器10のうち、正方向取付状態において突起部が接触する位置に、検出部としての接触センサを設けてもよい。あるいは、正方向取付状態においてのみ相互に接触する第1突起部及び第1接触センサと、逆方向取付状態においてのみ相互に接触する第2突起部及び第2接触センサと、を設け、第1接触センサ及び第2接触センサのいずれが接触を検知したかに基づいて取付方向を判別してもよい。この場合には、第1接触センサ及び第2接触センサによる接触の検知状態に基づいて、電子機器10が取付器具20に取り付けられているか否かの判別を行うこともできる。
【0061】
<効果>
以上のように、第2の実施形態のCPU12は、磁気センサ19による磁場Mの検出結果に基づいて(予め定められた方法で)、電子機器10が取付器具20に対して、第1の取付方向及び第2の取付方向のうちいずれの取付方向で取り付けられているかを判別し、判別した取付方向と、判別用電圧V1又はV2との組み合わせに基づいて、電子機器10が取り付けられている取付器具20を判別する。磁気センサ19を設けることで、DETECT端子による「L」又は「H」の検出と、磁気センサ19が検出した磁気の大きさと、の2つの要素によって電子機器10の取付方向を判別できるので、より確実に取付方向を判別することができる。また、磁気センサ19以外の、取付方向の判別に用いる構成を簡略化することもできる。例えば、電子機器10の第1の入力端子Ti1及び第2の入力端子Ti2を、VAIN端子として機能する1つの端子に統合し、これに合わせて、取付器具20の第1の出力端子To1及び第2の出力端子To2を、判別用電圧Vを出力する1つの端子に統合することができる。この場合には、DETECT端子への「L」又は「H」の入力を検出したり、VAIN端子を設定したりする処理を省略することができる。また、磁気センサ19を用いて取付方向が判別されるので、取り付けられている取付器具20の判別のためには、少なくとも、各取付器具20の判別用電圧V1が互いに異なっており、各取付器具20の判別用電圧V2が互いに異なっていればよい。すなわち、判別用電圧V1、V2を全て互いに異ならせる必要がない。
【0062】
また、複数の取付器具20の各々は、電子機器10が取り付けられている状態において電子機器10に対して空間的に不均一な磁場Mを及ぼすコイル21を備え、電子機器10は、当該電子機器10の或る位置に対して及ぼされる磁場Mを検出する磁気センサ19を備え、CPU12は、磁気センサ19による磁場Mの検出結果に基づいて取付方向を判別する。これにより、電子機器10の取付方向を正確に判別することができる。
【0063】
また、CPU12は、検出部が検出した磁場の大きさに基づいて取付方向を判別する。これにより、簡易な方法で電子機器10の取付方向を判別することができる。
【0064】
<変形例1>
続いて上記第1の実施形態及び第2の実施形態の変形例1について説明する。以下では、各実施形態との相違点について説明し、各実施形態と共通する内容については説明を省略する。
【0065】
本変形例では、CPU12は、加速度センサ151の出力データに基づいて特定した重力加速度方向と、取付器具20に対する電子機器10の取付方向の判別結果と、に基づいて、ユーザの身体への取付器具20の装着方向の適否をさらに判別する。この判別は、頭部用、胸部用、及び腰部用などの、通常の使用時において天地(上下方向)が逆転しない取付器具20について行うことができる。
例えば、取付器具20の装着方向が適正である場合について、正方向取付状態で検出される重力加速度方向と、逆方向取付状態で検出される重力加速度方向とを予め取得してメモリ13に記憶させておく。これにより、電子機器10の取付方向が判別された後、取付方向に対応する重力加速度方向とは逆向きの重力加速度方向が検出された場合に、CPU12は、ユーザが取付器具20を逆向きに(天地逆に)装着していると判別することができる。ユーザが取付器具20を逆向きに装着していると判別された場合には、CPU12は、報知部17により所定の報知動作を行わせてもよい。
【0066】
<変形例2>
続いて上記第1の実施形態及び第2の実施形態の変形例2について説明する。以下では、各実施形態との相違点について説明し、各実施形態と共通する内容については説明を省略する。変形例2は、変形例1と組み合わせてもよい。
【0067】
本変形例では、CPU12は、電子機器10が取付器具20に対して第1の取付方向で取り付けられている場合に、電子機器10を第1の動作モードで動作させ、第2の取付方向で取り付けられている場合に、電子機器10を第1の動作モードとは異なる第2の動作モードで動作させる。
例えば、CPU12は、第2の動作モードにおいては、モーションセンサ15による加速度、角速度、及び地磁気のサンプリングレートを、第1の動作モードよりも低減させる。この場合、第1の動作モードは、ランニング等の動きの激しい運動時の動作解析に好適に用いることができ、第2の動作モードは、歩行等の、より動きの少ない運動時の動作解析や、電子機器10をVR(仮想現実)用又はAR(拡張現実)用等のコントローラとして使用する場合に好適に用いることができる。また、第2の動作モードとすることで、第1の動作モードよりも電子機器10の消費電力を低減することができる。
【0068】
<その他>
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、電子機器10が取付器具20に取り付けられているか否かを判別する方法は、DETECT端子により「L」又は「H」を検出する方法や、第2の実施形態の作用部による物理的作用を検出部により検出する方法に限られない。例えば、電子機器10が取付器具20に取り付けられた状態において、第1の抵抗素子R1及び第2の抵抗素子R2を通る回路に流れる電流を、電子機器10側で検出することによって判別してもよい。
【0069】
また、第2の入力端子Ti2及び第2の出力端子To2を省略し、第1端子群TG1及び第2端子群TG2に含まれる端子の数を3つにしてもよい。この場合は、電子機器10が取付器具20に取り付けられたことを、任意の方法により検出し、電子機器10の取り付けが検出されたことに応じて、スイッチSW1をオン状態に切り替えて第1の入力端子Ti1をVAIN端子として機能させればよい。
【0070】
また、取付器具20が出力する判別用電圧Vは、電子機器10から入力されるVDDを分圧した電圧に限られない。例えば、各取付器具20が、取付器具20ごとに異なる判別用電圧Vを独立に(電子機器10から入力されるVDDを用いずに)生成して第1の出力端子To1から出力してもよい。
【0071】
また、取付器具20の上下方向(鉛直方向)についての装着向きが逆向きにならない態様においては、加速度センサ151の出力データにより特定される重力加速度方向に基づいて電子機器10の取付方向を判別してもよい。
【0072】
また、取付器具20は、上記実施形態で例示したバンド状のものに限られない。例えば、取付器具20は、衣服や装具(帽子等)に取り付けられていてもよく、当該衣服や装具を身に付けることでユーザの所定の部位に装着されるようになっていてもよい。
【0073】
また、以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてメモリ13のフラッシュメモリを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD、SSD、CD-ROM等の情報記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0074】
また、上記実施形態における装着型装置1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0075】
1 装着型装置
10 電子機器
12 CPU(処理部)
15 モーションセンサ
151 加速度センサ
19 磁気センサ(検出部)
20、20a~20d 取付器具
21 コイル(作用部)
R1 第1の抵抗素子
R2 第2の抵抗素子
Tc1 第1の接続端子
Tc2 第2の接続端子
Ti1 第1の入力端子
Ti2 第2の入力端子
To1 第1の出力端子
To2 第2の出力端子
Tv1 第1の電圧端子
Tv2 第2の電圧端子
図1
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