(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147212
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】キャンピングカー
(51)【国際特許分類】
B60J 5/12 20060101AFI20241008BHJP
B60P 3/36 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B60J5/12
B60P3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060081
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】313011076
【氏名又は名称】VANTECH株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 徹
(57)【要約】
【課題】縦方向の長さが長いバックドアを跳ね上げたとしても、後方に大きく張り出すことがなく、もって後方側に間隔を狭めて設けられた塀や壁が障害とはならず、前記縦方向の長さが長いバックドアが開けられないとのことがなく、前記バックドアを折りたたみ式にした構造にしたときのように下側のドアを構成する室内側のインナーパネルが汚れてしまうとの課題もないキャンピングカーを提供する。
【解決手段】垂直方向跳ね上げ式バックドア2の構造を有するキャンピングカー1であって、前記垂直方向跳ね上げ式バックドア2を複数枚のドアパネル3で構成し、バックドア閉扉時には前記複数枚のドアパネル3が縦長方向に延出して縦長バックドア2を構成すると共に、バックドア開扉時には、バックドア2の最外側に配置されたドアパネル3の裏側へ、前記最外側に配置されたドアパネル3以外のドアパネル3がスライド収納できる構造とされたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向跳ね上げ式バックドアの構造を有するキャンピングカーであって、
前記垂直方向跳ね上げ式バックドアを複数枚のドアパネルで構成し、バックドア閉扉時には前記複数枚のドアパネルが縦長方向に延出して縦長バックドアを構成すると共に、バックドア開扉時には、バックドアの最外側に配置されたドアパネルの裏側へ、前記最外側に配置されたドアパネル以外のドアパネルがスライド収納できる構造とされた、
ことを特徴とするキャンピングカー。
【請求項2】
垂直方向跳ね上げ式バックドアの構造を有するキャンピングカーであって、前記垂直方向跳ね上げ式バックドアを複数枚のドアパネルで構成し、
前記バックドアの最外側に配置されたドアパネルの幅方向両側には、該ドアパネルを垂直方向跳ね上げ、跳ね下げ可能にすべく伸縮杆によりキャンピングカーのドア枠と前記最外側に配置されたドアパネルの幅方向両側とを連結し、
前記最外側に配置されたドアパネルの裏側に設けられたドアパネルは、前記最外側に配置されたドアパネルの長手方向へ摺動可能に取り付けられ、前記最外側に位置するドアパネルの裏側に設けられたドアパネルは、跳ね上げ動作のとき、最外側に位置するドアパネルの裏側へ収納される構造とされ、
前記最外側に配置されたドアパネルの裏側に設けられたドアパネルのさらに裏側に設けられたドアパネルも、前記最外側に配置されたドアパネルの長手方向へ摺動可能に取り付けられ、前記最外側に配置されたドアパネルの裏側に設けられたドアパネルのさらに裏側に収納される構造とされた、
ことを特徴とするキャンピングカー。
【請求項3】
垂直方向跳ね上げ式バックドアの構造を有するキャンピングカーであって、前記垂直方向跳ね上げ式バックドアを2枚のドアパネルで構成し、
前記最外側に配置されたドアパネルの幅方向両側には、該ドアパネルを跳ね上げ、跳ね下げ可能にすべく伸縮杆によりキャンピングカーのドア枠と前記最外側に配置されたドアパネルの幅方向両側とを連結し、
前記最外側に配置されたドアパネルの裏側に設けられたドアパネルは、前記最外側に配置されたドアパネルの長手方向へ摺動可能に取り付けられ、前記最外側に配置されたドアパネルの裏側に設けられたドアパネルはバックドア開扉時跳ね上げのとき、前記最外側に配置されたドアパネルの裏側へ収納できる構造とされた、
ことを特徴とするキャンピングカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャンピングカーに係り、特に、キャンピングカーの跳ね上げ式バックドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、全高が略1.3m程度有するハイラックスキャンパーのキャンピングカーなどでは、そのバックドアにつき跳ね上げ式の構造が採用されており、その跳ね上げ式バックドアの縦方向長さは極めて長くとらなくてはならない。
【0003】
従って、前記縦方向の長さが長い一枚物の部材でバックドアを構成し、該バックドアを跳ね上げると、跳ね上げたバックドアの下端部が後方に大きく張り出してしまい、駐車場などでは後方側に設けられた塀や壁が障害となり、前記縦方向の長さが長い一枚物のバックドアが開けられないとの課題があった。
また、前記バックドアを折りたたみ式にする構造も考えられるが、折りたたみ式にすると下側のドアを構成する室内側のインナーパネルが雨などで汚れてしまうとの課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の課題に対処すべく創案されたものであって、全高が略1.3m程度有するハイラックスキャンパーのキャンピングカーなどに形成された縦方向の長さが長いバックドアを跳ね上げたとしても、後方に大きく張り出すことがなく、もって駐車場などで後方側に間隔を狭めて設けられた塀や壁が障害とはならず、前記縦方向の長さが長いバックドアが開けられないとのことがなく、また、前記バックドアを折りたたみ式にした構造にしたときのように下側のドアを構成する室内側のインナーパネルが雨などで汚れてしまうとの課題もないキャンピングカーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるキャンピングカーは、
垂直方向跳ね上げ式バックドアの構造を有するキャンピングカーであって、
前記垂直方向跳ね上げ式バックドアを複数枚のドアパネルで構成し、バックドア閉扉時には前記複数枚のドアパネルが縦長方向に延出して縦長バックドアを構成すると共に、バックドア開扉時には、バックドアの最外側に配置されたドアパネルの裏側へ、前記最外側に配置されたドアパネル以外のドアパネルがスライド収納できる構造とされた、
ことを特徴とし、
または、
垂直方向跳ね上げ式バックドアの構造を有するキャンピングカーであって、前記垂直方向跳ね上げ式バックドアを複数枚のドアパネルで構成し、
前記バックドアの最外側に配置されたドアパネルの幅方向両側には、該ドアパネルを垂直方向跳ね上げ、跳ね下げ可能にすべく伸縮杆によりキャンピングカーのドア枠と前記最外側に配置されたドアパネルの幅方向両側とを連結し、
前記最外側に配置されたドアパネルの裏側に設けられたドアパネルは、前記最外側に配置されたドアパネルの長手方向へ摺動可能に取り付けられ、前記最外側に位置するドアパネルの裏側に設けられたドアパネルは、跳ね上げ動作のとき、最外側に位置するドアパネルの裏側へ収納される構造とされ、
前記最外側に配置されたドアパネルの裏側に設けられたドアパネルのさらに裏側に設けられたドアパネルも、前記最外側に配置されたドアパネルの長手方向へ摺動可能に取り付けられ、前記最外側に配置されたドアパネルの裏側に設けられたドアパネルのさらに裏側に収納される構造とされた、
ことを特徴とし、
または、
垂直方向跳ね上げ式バックドアの構造を有するキャンピングカーであって、前記垂直方向跳ね上げ式バックドアを2枚のドアパネルで構成し、
前記最外側に配置されたドアパネルの幅方向両側には、該ドアパネルを跳ね上げ、跳ね下げ可能にすべく伸縮杆によりキャンピングカーのドア枠と前記最外側に配置されたドアパネルの幅方向両側とを連結し、
前記最外側に配置されたドアパネルの裏側に設けられたドアパネルは、前記最外側に配置されたドアパネルの長手方向へ摺動可能に取り付けられ、前記最外側に配置されたドアパネルの裏側に設けられたドアパネルはバックドア開扉時跳ね上げのとき、前記最外側に配置されたドアパネルの裏側へ収納できる構造とされた、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるキャンピングカーであれば、全高が略1.3m程度有するハイラックスキャンパーのキャンピングカーなどに形成された縦方向の長さが長いバックドアを跳ね上げたとしても、該バックドアが後方に大きく張り出すことがなく、もって駐車場などで後方側に間隔を狭めて設けられた塀や壁が障害とはならず、前記縦方向の長さが長いバックドアが開けられないとのことがなく、また、前記バックドアを折りたたみ式にした構造にしたときのように下側のドアを構成する室内側のインナーパネルが雨などで汚れてしまうとの恐れもないキャンピングカーを提供できるとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明によるキャンピングカーのバックドアの開扉する動作を説明する説明図(1)である。
【
図2】本発明によるキャンピングカーのバックドアの開扉する動作を説明する説明図(2)である。
【
図3】本本発明によるキャンピングカーのバックドアの開扉する動作を説明する説明図(3)である。
【
図4】本発明によるキャンピングカーのバックドアを開扉した状態の斜視図である。
【
図5】本発明によるキャンピングカーのバックドアを閉扉した状態の斜視図である。
【
図6】本発明によるキャンピングカーのバックドアを閉扉した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、垂直方向に向かって跳ね上げる、いわゆる跳ね上げ式バックドアの構造を有するキャンピングカー1に関するものであって、前記垂直方向跳ね上げ式バックドア2を縦方向にスライド可能にした複数枚のドアパネル3で構成し、バックドア2閉扉時には前記複数枚のドアパネル3がバックドア2の縦方向にスライド延出してキャンピングカー1のバックに有する開口を塞ぐ縦長バックドア2を構成すると共に、バックドア2開扉時には、バックドア2の最外側に配置されたドアパネル3の裏側へ、前記最外側に配置されたドアパネル3以外のドアパネル3がスライド収納できる構造とし、もってドアパネル3の長さを短くしてキャンピングカー1のうしろの間隔が狭く、壁などの障壁があったとしてもバックドア2が開扉できる構造としたキャンピングカー1であり、また、前記バックドア2の最外側に配置されたドアパネル3の幅方向両側には、該ドアパネル3を垂直方向跳ね上げ、跳ね下げ可能にすべく伸縮杆4によりキャンピングカー1のドア枠5と前記最外側に配置されたドアパネル3の幅方向両側6とを連結し、前記最外側に配置されたドアパネル3の裏側に設けられたドアパネル3は、前記最外側に配置されたドアパネル3の長手方向へ摺動可能に取り付けられて前記最外側に位置するドアパネル3の裏側に設けられたドアパネル3は、バックドア2の跳ね上げ動作のとき、最外側に位置するドアパネル3の裏側へ収納される構造とされ、また、前記最外側に配置されたドアパネル3の裏側に設けられたドアパネル3のさらに裏側に設けられたドアパネル3も、前記最外側に配置されたドアパネル3の長手方向へ摺動可能に取り付けられて前記最外側に配置されたドアパネルの裏側に設けられたドアパネル3のさらに裏側に収納される構造とされたキャンピングカー1であり、さらに、前記垂直方向跳ね上げ式バックドア2を2枚のドアパネル3で構成し、前記最外側に配置されたドアパネル3の幅方向両側には、該ドアパネル3を跳ね上げ、跳ね下げ可能にすべく伸縮杆4によりキャンピングカー1のドア枠5と前記最外側に配置されたドアパネル3の幅方向両側6とを連結し、前記最外側に配置されたドアパネル3の裏側に設けられたドアパネル3は、前記最外側に配置されたドアパネル3の長手方向へ摺動可能に取り付けられて前記最外側に配置されたドアパネル3の裏側に設けられたドアパネル3はバックドア2の開扉時跳ね上げのとき、前記最外側に配置されたドアパネル3の裏側へ収納できる構造とされたキャンピングカー1として構成したものである。
【0010】
以下、本発明を図に示す実施例に基づいて説明する。
図1乃至
図3はバックドア2を2枚のドアパネル3で構成し、該構成からなるバックドア2の垂直方向跳ね上げ、跳ね下げの動きを説明する説明図である。
【0011】
これら
図1乃至
図3において、ドアパネル3には長方形状の板状パネルは取り付けていない状態で説明してある。ドアパネル枠15のみを表示して跳ね上げ、跳ね下げの動きをわかりやすく明確に説明するためである。
【0012】
バックドア2の最外側に配置されたドアパネル3におけるドアパネル枠15の上枠とドア枠5の上枠には回動部材7によって接続されており、該ドアパネル3はこの回動部材7の軸芯を回動軸としてが回動することにより、ドアパネル3につき垂直方向跳ね上げ、跳ね下げが出来るようになっている。
【0013】
前記回動部材7の構成については、何ら限定されないが、本発明では、図示してあるように、縦長方形状枠体をなすドア枠5の上枠長手方向の二箇所から取付片8が垂下して設けられており、該取付片8に前記バックドア2の最外側に配置されたドアパネル枠15の上枠に取り付けられた回動部材7でドア枠5の上枠とドアパネル枠15の上枠とを連結する部材として構成してある。
【0014】
そして、前記回動部材7は水平方向に延びる方向を軸芯方向とした回動軸10を有しており、該回動軸10を回動軸にしてバックドア2の最外側に配置されたドアパネル3が、垂直方向跳ね上げ、跳ね下げが出来るようになっている。
【0015】
次に、
図1乃至
図3に示す様に、該伸縮杆4の長手方向両端は、前記縦長方形状枠体をなすドア枠5の両側枠の所定箇所とバックドア2の最外側に配置されたドアパネル枠15の両側枠上方箇所に連結されている。
【0016】
該連結構成によって、前記伸縮杆4が延びると伸縮杆4の前記バックドア2の最外側に配置されたドアパネル枠15の両側枠上方箇所でバックドア2の最外側に配置されたドアパネル3を上方に押し上げ、もってバックドア2の最外側に配置されたドアパネル3は垂直方向に跳ね上がる構造となっている。
【0017】
さらに、バックドア2の最外側に配置されたドアパネル3の裏側には、2枚目のドアパネル3が設けられており、該2枚目のドアパネル3は、前記バックドア2の最外側に配置されたドアパネル3裏側に所定間隔をあけて保持される構成になっている。
【0018】
そして、バックドア2の最外側に配置されたドアパネル3が跳ね上がると、この2枚目のドアパネル3がバックドア2の最外側に配置されたドアパネル3裏側内部に収納するように構成されているのである。
【0019】
該構成につき
図1乃至
図3を参考に説明すると、バックドア2の最外側に配置されたドアパネル3におけるドアパネル枠15の両側枠上面には、該上面に載置され、両側枠の長手方向へ移動するローラ17を備えた連結部材14が取り付けられている。
そして、該連結部材14は前記2枚目のドアパネル3におけるドアパネル枠15の後端側に設けられたパネル揺動部材12と接続されている。
【0020】
ところで、前記連結部材14は図示する様に、両側枠の上面に少なくとも所定の間隔をあけて2個以上載置されることが必要である。2個以上連結部材14を設けなければ、2枚目のドアパネル3をバックドア2の最外側に配置されたドアパネル3の配置方向と平行に配置することが出来ないからである。
【0021】
さらに、前記2つの連結部材14の下端部はパネル揺動部材12を構成する平行保持片16と回動可能に接続されており、この平行保持片16と前記引張部材13が連結されて、2枚目のドアパネル3をバックドア2の最外側に配置されたドアパネル3の後端側、換言すれば回動部材7側へ引っ張るように構成されている。
【0022】
すなわち、パネル揺動部材12とドア枠5の両側枠とが引張部材13で連結されており、前記伸縮杆4が延びると、バックドア2の最外側に配置されたドアパネル3を上方に跳ね上げるものとなり、それに伴い前記引張部材13が2枚目のドアパネル3をバックドア2の最外側に配置されたドアパネル3の裏側においてドア枠5の上枠側に向かって移動する様引っ張るものとなる。
【0023】
図3は、バックドア2の最外側に配置されたドアパネル3が伸縮杆4によって、最大限跳ね上げられた状態を示しており、そのとき、2枚目のドアパネル3は引張部材13によってバックドア2の最外側に配置されたドアパネル3の裏側にすべて収納される様引っ張られており、複数枚のドアパネル3がバックドア2の最外側に配置されたドアパネル3の長さ方向の長さ内で重ねられる。
よって、極めて短い長さになったバックドア2で跳ね上げて開扉できるとの利点を有するものとなっている。
【0024】
尚、かかるバックドア2を閉扉するときは、バックドア2の最外側に配置されたドアパネル3の下端部を例えば、両手で押し下げればよい。すると、伸縮杆4が縮み、バックドア2の最外側に配置されたドアパネル3は前記回転軸10を軸にして下側に回動する。そして、その裏側に配置された2枚目のドアパネル3は自らの自重により前述した摺動溝の先端側まで前記連結部材14が移動し、これに伴い、2枚目のドアパネル3はバックドア2の最外側に配置されたドアパネル3の先端側からせり出し、
図1、
図5、
図6に示すように、2枚のドアパネル3でバックパネル2は閉扉することになる。
【0025】
図4は、キャンピングカー1において、本発明によるバックドア2を2枚のドアパネル3で構成し、それを跳ね上げて開扉した状態を示す斜視図であり、
図5、
図6は、閉扉した状態を示す正面図、斜視図である。
【0026】
尚、図面ではバックドア2を2枚のドアパネルで構成した例を説明したが、この実施例に限定されるものではなく、ドアパネル3を3枚重ねあるいは4枚重ねに構成することも可能である。そして、その場合は、さらにバックドア2を開扉する際の外側に張り出す寸法を短くすることができ、バックドア2とその後ろの壁などとの間隔が狭い場合であってもバックドア2を開扉できることになる。
【符号の説明】
【0027】
1 キャンピングカー
2 バックドア
3 ドアパネル
4 伸縮杆
5 ドア枠
6 ドアパネルの幅方向両側
7 回動部材
8 取付片
10 回転軸
12 パネル移動部
13 引張部材
14 連結部材