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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147213
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】酸素濃縮装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/10 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
A61M16/10 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060082
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】押川 丈朗
(72)【発明者】
【氏名】望月 理
(57)【要約】
【課題】酸素濃縮装置において、高濃度酸素の供給能力を維持しつつ、サイレンサを構成する部品の点数を削減する。
【解決手段】酸素濃縮装置Mは、原料空気を吸着筒20に供給する給気経路K1,K3と、低濃度酸素を吸着筒20から排気する排気経路K2,K4と、原料空気又は前記低濃度酸素の流路85,95が形成されたケーシング80,90を含んで構成されるサイレンサ70と、を備え、サイレンサ70は、給気経路K1,K3に設けられる給気サイレンサ71と、排気経路K2,K4に設けられる排気サイレンサ72と、を含み、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72は、給気サイレンサ71のケーシング80及び排気サイレンサ72のケーシング90が共通の外形形状及び外形寸法を有し、給気サイレンサ71における流路85の断面積S1が、排気サイレンサ72における流路95の断面積S2に比べて大きい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料空気から窒素を選択的に吸着する吸着材を有する吸着筒(20)を備え、前記吸着筒(20)に前記原料空気を供給して高濃度酸素及び低濃度酸素を生成する酸素濃縮装置(M)であって、
前記原料空気を前記吸着筒(20)に供給する給気経路(K1,K3)と、
前記低濃度酸素を前記吸着筒(20)から排気する排気経路(K2,K4)と、
前記原料空気又は前記低濃度酸素の流路(85,95)が形成されたケーシング(80,90)を含んで構成されるサイレンサ(70)と、を備え、
前記サイレンサ(70)は、
前記給気経路(K1,K3)に設けられる第1の前記サイレンサ(71)と、
前記排気経路(K2,K4)に設けられる第2の前記サイレンサ(72)と、を含み、
前記第1のサイレンサ(71)及び前記第2のサイレンサ(72)は、
前記第1のサイレンサ(71)の前記ケーシング(80)及び前記第2のサイレンサ(72)の前記ケーシング(90)が共通の外形形状及び外形寸法を有し、
前記第1のサイレンサ(71)における前記流路(85)の断面積(S1)が、前記第2のサイレンサ(72)における前記流路(95)の断面積(S2)に比べて大きい、酸素濃縮装置(M)。
【請求項2】
前記ケーシング(80,90)が、プレート状の形態を有する、請求項1に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項3】
前記給気経路(K1,K3)を介して前記吸着筒(20)に前記原料空気を供給する圧縮機(23a)と、
前記排気経路(K2,K4)を介して前記吸着筒(20)から前記低濃度酸素を排気する真空ポンプ(23b)と、
を備え、
前記第1のサイレンサ(71)が、前記圧縮機(23a)の吸入側の前記給気経路(K1)に設けられ、
前記第2のサイレンサ(72)が、前記真空ポンプ(23b)の吐出側の前記排気経路(K2)に設けられる、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項4】
前記圧縮機(23a)及び前記真空ポンプ(23b)が、前記圧縮機(23a)及び前記真空ポンプ(23b)を兼ねる1つのエアポンプ(23)により構成され、
前記エアポンプ(23)は、当該エアポンプ(23)を駆動する1つの回転軸(23c)を有し、
前記第1のサイレンサ(71)及び前記第2のサイレンサ(72)が、
前記回転軸(23c)の軸方向から見て、前記回転軸(23c)を基準として対称に配置される、請求項3に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項5】
前記サイレンサ(70)は、前記ケーシング(80,90)の内部において、
前記流路(85,95)の流路長に応じた周波数の音を低減する第1の減音部(R1)と、
前記流路(85,95)において共鳴を生じさせて音を低減する第2の減音部(R2)と、
前記流路(85,95)の断面積を拡大及び縮小させて音を低減する第3の減音部(R3)と、
前記流路(85,95)内に配置した吸音材(83,93)によって音を低減する第4の減音部(R4)と、を有する、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項6】
前記第1のサイレンサ(71)及び前記第2のサイレンサ(72)は、
前記第1から第4の減音部(R1~R4)の少なくとも何れか一つの減音特性が互いに異なる、請求項5に記載の酸素濃縮装置(M)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、酸素濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の酸素濃度よりも高濃度の酸素を含む空気(以下、高濃度酸素という)を生成してユーザに供給する酸素濃縮装置が知られており、特許文献1に開示されたものがある。酸素濃縮装置は、例えば肺に疾患を有し当該肺の機能が低下している患者(ユーザ)が酸素療法を行う場合に使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-65516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸素濃縮装置は、患者(ユーザ)の就寝中にも使用されるため、発生騒音を確実に抑制することが望まれる。酸素濃縮装置は、原料空気の給気経路及び低濃度酸素の排気経路に、それぞれサイレンサが設けられている。従来の酸素濃縮装置は、給気経路及び排気経路に設ける各サイレンサの外形形状及び外形寸法が異なっており、サイレンサを構成する部品の点数が多くなっている。
【0005】
本開示は、酸素濃縮装置において、高濃度酸素の供給能力を維持しつつ、サイレンサを構成する部品の点数を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の酸素濃縮装置は、原料空気から窒素を選択的に吸着する吸着材を有する吸着筒を備え、前記吸着筒に前記原料空気を供給して高濃度酸素及び低濃度酸素を生成する酸素濃縮装置であって、前記原料空気を前記吸着筒に供給する給気経路と、前記低濃度酸素を前記吸着筒から排気する排気経路と、前記原料空気又は前記低濃度酸素の流路が形成されたケーシングを含んで構成されるサイレンサと、を備え、前記サイレンサは、前記給気経路に設けられる第1の前記サイレンサと、前記排気経路に設けられる第2の前記サイレンサと、を含み、前記第1のサイレンサ及び前記第2のサイレンサは、前記第1のサイレンサの前記ケーシング及び前記第2のサイレンサの前記ケーシングが共通の外形形状及び外形寸法を有し、前記第1のサイレンサにおける前記流路の断面積が、前記第2のサイレンサにおける前記流路の断面積に比べて大きい。
【0007】
本開示の酸素濃縮装置は、第1のサイレンサ及び第2のサイレンサにおいて、共通のケーシングを使用することによって、高濃度酸素の供給能力を従来と同等に維持しつつ、サイレンサを構成する部品の点数を減らすことができる。本開示の酸素濃縮装置は、第1のサイレンサにおける流路の断面積を、第2のサイレンサにおける流路の断面積に比べて大きくすることによって、流路の断面積が減少した場合に流量低下の影響を受けやすい給気経路について、流量の低下を抑制することができ、これにより給気経路における原料空気の流量を確保できる。
【0008】
(2)本開示の前記(1)の酸素濃縮装置は、前記ケーシングが、プレート状の形態を有すると好ましい。
【0009】
上記構成の酸素濃縮装置は、ケーシングをプレート状の形態とすることによって、サイレンサを筐体内の隙間を利用して配置することが可能となる。このため、本開示の酸素濃縮装置は、サイレンサを構成する部品の点数を減らし、かつ、装置全体をコンパクト化することができる。
【0010】
(3)本開示の前記(1)又は(2)の酸素濃縮装置において、前記給気経路を介して前記吸着筒に前記原料空気を供給する圧縮機と、前記排気経路を介して前記吸着筒から前記低濃度酸素を排気する真空ポンプと、を備え、前記第1のサイレンサが、前記圧縮機の吸入側の前記吸気経路に設けられ、前記第2のサイレンサが、前記真空ポンプの吐出側の前記排気経路に設けられると好ましい。
【0011】
上記構成の酸素濃縮装置は、第1のサイレンサに、圧縮機から発せられる音の消音に適した消音特性をもたせ、第2のサイレンサに、真空ポンプから発せられる音の消音に適した消音特性をもたせることによって、所望の消音性能を確保しつつ、サイレンサを構成する部品の点数を減らすことができる。
【0012】
(4)本開示の前記(3)の酸素濃縮装置において、前記圧縮機及び前記真空ポンプが、前記圧縮機及び前記真空ポンプを兼ねる1つの流体機械により構成され、前記流体機械は、当該流体機械を駆動する1つの回転軸を有し、前記第1のサイレンサ及び前記第2のサイレンサが、前記回転軸の軸方向から見て、前記回転軸を基準として対称に配置されると好ましい。
【0013】
上記構成の酸素濃縮装置は、圧縮機と真空ポンプを兼ねる流体機械から第1及び第2の各サイレンサへの配管の取り回しが容易となって、酸素濃縮装置を構成する筐体内のスペース効率をより高めることができる。これにより、酸素濃縮装置について、高濃度酸素の供給能力を従来と同等に維持しながらコンパクト化することができる。
【0014】
(5)本開示の前記(1)~(4)の何れかの態様の酸素濃縮装置において、前記サイレンサは、前記ケーシングの内部において、前記流路の流路長に応じた周波数の音を低減する第1の減音部と、前記流路において共鳴を生じさせて音を低減する第2の減音部と、前記流路の断面積を拡大及び縮小させて音を低減する第3の減音部と、前記流路内に配置した吸音材によって音を低減する第4の減音部と、を有すると好ましい。
【0015】
上記構成の酸素濃縮装置は、サイレンサが第1~第4の減音部を有することで、各サイレンサにおいて、所望の消音性能を確保することができる。
【0016】
(6)本開示の前記(5)の酸素濃縮装置において、前記第1のサイレンサ及び前記第2のサイレンサは、前記第1から第4の減音部の少なくとも何れか一つの減音特性が互いに異なると好ましい。
【0017】
本開示の酸素濃縮装置は、第1のサイレンサの減音特性を、給気側で発せられる音に適した減音特性とし、第2のサイレンサの減音特性を、排気側で発せられる音に適した減音特性とすることができる。これにより、酸素濃縮装置の発生騒音を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施形態に係る酸素濃縮装置の説明図である。
図2】給気サイレンサを示す分解斜視図である。
図3】給気サイレンサの内部構造の説明図である。
図4図3に示すX-X線の位置における給気サイレンサの断面模式図である。
図5】排気サイレンサを示す分解斜視図である。
図6】排気サイレンサの内部構造の説明図である。
図7図6に示すY-Y線の位置における排気サイレンサの断面模式図である。
図8】酸素濃縮装置における給気サイレンサ及び排気サイレンサの配置の説明図である。
図9】酸素濃縮装置(筐体の一部を外した状態)の部分斜視図である。
【0019】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の酸素濃縮装置を詳細に説明する。
【0020】
[本開示の酸素濃縮装置の全体構成について]
図1は、本開示の一実施形態に係る酸素濃縮装置の説明図である。本開示の酸素濃縮装置は、空気中の酸素濃度よりも高い酸素濃度の酸素を含む高濃度酸素を生成して、ユーザに供給する装置である。酸素濃縮装置は、例えば、ユーザである呼吸器疾患患者等に対して高濃度酸素を提供する在宅酸素療法において用いられる。
【0021】
図1に示す酸素濃縮装置Mは、本開示の酸素濃縮装置の一実施形態である。図1に示すように、本開示の酸素濃縮装置Mは、ケーシング(筐体)10と、吸着筒20と、サイレンサ70と、を備える。ケーシング10は、酸素濃縮装置Mの外装カバーであり、酸素濃縮装置Mの外殻を構成する。酸素濃縮装置Mは、ケーシング10に内蔵されるポンプボックス11及びファンボックス12を備える。ポンプボックス11は、主にエアポンプを収容するための筐体であり、ファンボックス12は、主にファンを収容するための筐体である。
【0022】
吸着筒20は、吸着筒20に供給された空気から窒素を吸着し、高濃度酸素及び低濃度酸素を生成する。酸素濃縮装置Mは、吸着筒20として、第1吸着筒21及び第2吸着筒22を備える。なお、低濃度酸素は、通常の空気よりも窒素濃度が高い空気(窒素リッチガス)であり、空気中の酸素濃度よりも低い酸素濃度の酸素を含む。吸着筒20は、空気から窒素を選択的に吸着する吸着剤を備える。本説明では、高濃度酸素を生成するために吸着筒20に供給される空気を原料空気と称する。
【0023】
酸素濃縮装置Mは、第1吸着筒21及び第2吸着筒22に加圧した原料空気(加圧空気)を供給するエアポンプ23と、高濃度酸素を貯留する酸素タンク24と、をさらに備える。本実施形態のエアポンプ23は、空気等のガスの加圧及び吸引を行うことができる加圧・真空併用型の流体機械である。エアポンプ23は、圧縮機として機能し、加圧した空気を供給する加圧部23aと、真空ポンプとして機能し、空気等のガスを吸引及び排気する排気部23bとを備える。エアポンプ23は、第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、及び第4ポートP4を備える。第1ポートP1は、加圧部23aの吸入ポートであり、第3ポートP3は、加圧部23aの吐出ポートである。第2ポートP2は、排気部23bの排気ポートであり、第4ポートP4は、排気部23bの吸入ポートである。
【0024】
酸素濃縮装置Mは、加圧部23aの第1ポートP1に接続された給気経路K1と、加圧部23aの第3ポートP3と第1吸着筒21及び第2吸着筒22とを接続する給気経路K3と、を備える。酸素濃縮装置Mは、排気部23bの第2ポートP2に接続された排気経路K2と、排気部23bの第4ポートP4と第1吸着筒21及び第2吸着筒22とを接続する排気経路K4と、を備える。
【0025】
エアポンプ23は、加圧部23aによって、給気経路K1,K3を経由して第1吸着筒21及び第2吸着筒22に加圧空気を供給するとともに、排気部23bによって、排気経路K2,K4を経由して第1吸着筒21及び第2吸着筒22内を減圧することにより吸着剤から窒素を脱着し、低濃度酸素(窒素リッチガス)を排気する。なお、本実施形態では、加圧・真空併用型のエアポンプ23を用いているが、本開示の酸素濃縮装置は、加圧空気を供給する圧縮機と、吸着筒内を減圧するための真空ポンプとを個別に装置内に有する構成であってもよい。酸素タンク24は、第1吸着筒21及び第2吸着筒22において生成した高濃度酸素を貯留する。第1吸着筒21、第2吸着筒22、及び酸素タンク24は、ケーシング10内に配置される。
【0026】
酸素濃縮装置Mは、切替弁40をさらに備える。切替弁40は、加圧部23aから第1吸着筒21及び第2吸着筒22への加圧空気の流れ、及び、第1吸着筒21及び第2吸着筒22から排気部23bへの排気(低濃度酸素)の流れを切り替える。本実施形態における切替弁40は、3ポート弁である第1制御弁41と、同じく3ポート弁である第2制御弁42とで構成されている。
【0027】
酸素濃縮装置Mは、制御部50をさらに備える。エアポンプ23の作動や、後述する種々の制御弁等の作動は、装置内に配設された制御部50により行われる。制御部50は、酸素濃縮装置Mを作動させるためのプログラムが記憶されている記憶部51、及び制御弁等の作動信号などを発信する演算部52を備えている。制御部50には、酸素濃縮装置Mの作動状態等を表示する表示部60、及びユーザが酸素濃縮装置Mを操作する操作部61が接続されている。
【0028】
[空気の流れについて]
図1に示すように、ケーシング10は、ケーシング10内に空気を取り込むための給気口13と、ケーシング10内から空気を排気するための排気口14とを備える。給気口13には、空気中に含まれる塵埃等を捕集するための防塵フィルタ13aが設けられている。給気口13から取り込まれる空気は、原料空気、及びエアポンプ23を冷却するための冷却用空気が含まれる。
【0029】
ファンボックス12は、ファンボックス12内に冷却用空気を取り込むための給気口15を備える。冷却ファン26が作動すると、給気口13,15を介してファンボックス12内に空気が取り込まれる。ファンボックス12内に取り込まれた冷却用空気は、冷却ファン26に吸引されると共に、ポンプボックス11に向けて吐出される。本開示の酸素濃縮装置Mにおいて、ケーシング10及びファンボックス12は、給気口13及び給気口15から冷却ファン26に流れる冷却用空気の流路を構成する。
【0030】
運転により発生するエアポンプ23の熱は、冷却ファン26によってエアポンプ23に吹き付けられる冷却用空気により冷却される。冷却用空気は、エアポンプ23に吹き付けられた後、排気口14からポンプボックス11の外部に排気される。
【0031】
エアポンプ23が作動している場合、ケーシング10内に取り込まれた空気の一部は、給気フィルタ27から吸い込まれ、給気経路K1及び給気サイレンサ71を経て加圧部23aに吸引される。
【0032】
酸素濃縮装置Mは、サイレンサ70をさらに備える。サイレンサ70は、酸素濃縮装置Mからの発生騒音を低減させる。酸素濃縮装置Mにおいて、サイレンサ70は、給気サイレンサ(第1のサイレンサ)71と、排気サイレンサ(第2のサイレンサ)72と、を含む。給気サイレンサ71は、給気フィルタ27からエアポンプ23に至る原料空気の給気経路K1に配設されている。給気サイレンサ71は、エアポンプ23の加圧部23aにおける給気・圧縮に起因する騒音を低減させる。排気サイレンサ72は、排気部23bから排気される低酸素空気の排気経路K2に配設されている。排気サイレンサ72は、エアポンプ23の排気部23bからの排気に起因する騒音を低減させる。サイレンサ70の構成については、後で詳細に説明する。
【0033】
酸素濃縮装置Mにおいて、ポンプボックス11は、エアポンプ23、給気サイレンサ71、及び排気サイレンサ72を収容する。酸素濃縮装置Mにおいて、ファンボックス12は、冷却ファン26及び切替弁40を収容する。
【0034】
第1吸着筒21及び第2吸着筒22の内部には、エアポンプ23から供給される加圧空気中の窒素を選択的ないし優先的に吸着する吸着剤が収容されている。吸着剤としては、例えばゼオライト等を用いることができる。
【0035】
第1吸着筒21及び第2吸着筒22の下流側の流路(高濃度酸素の出口側の流路。図1では第1吸着筒21及び第2吸着筒22の下部から酸素出口28に至る流路)には、高濃度酸素等の流体の流量又は流れを制御するための種々の弁、すなわちパージ弁43、及び逆止弁44、45が設けられている。酸素タンク24は、逆止弁44、45の下流側に設けられている。高濃度酸素は、高濃度酸素の流量を制御するための流量制御部54、及び酸素濃度異常を検出するための酸素センサ55を経由して、酸素出口28に送られる。なお、高濃度酸素を供給する流路には、圧力異常等を検出するための圧力センサ(図示せず)、及び圧力を調整するための減圧弁(図示せず)が適宜設けられる。
【0036】
逆止弁44は第1吸着筒21の下流側のガス流路に配設され、逆止弁45は第2吸着筒22の下流側のガス流路に配設されている。両逆止弁44、45は、第1吸着筒21及び第2吸着筒22から排出される高濃度酸素が下流側に向かってだけ流れるように構成されている。パージ弁43は、第1吸着筒21と逆止弁44との間のガス流路と、第2吸着筒22と逆止弁45との間のガス流路とを接続するガス流路に配設されている。
【0037】
逆止弁44からの高濃度酸素と、逆止弁45からの高濃度酸素とが交互に酸素タンク24に供給され、当該酸素タンク24に貯留される。酸素タンク24の下流側には、高濃度酸素から異物を除去するためのバクテリアフィルタ47が配設されている。酸素濃縮装置Mにおいて、高濃度酸素は、酸素出口28にカニューラ継手29を設けると共に、カニューラ継手29に接続されたチューブT及びカニューラCを介して患者に供給される。
【0038】
第1制御弁41及び第2制御弁42は、いずれも3ポート弁であり、エアポンプ23から吐出された加圧空気を第1吸着筒21(第2吸着筒22)に供給する加圧状態と、吸引することで当該第1吸着筒21(第2吸着筒22)内の排気ガスを外部に排出する減圧状態とを切り替える。一方の吸着筒が加圧状態にあるときは、他方の吸着筒は減圧状態にある。
【0039】
[高濃度酸素の生成プロセスについて]
図1に示すように、給気フィルタ27から給気経路K1及び給気サイレンサ71を経て加圧部23aに吸引された原料空気は、加圧部23aにより加圧(圧縮)される。加圧された原料空気は、給気経路K3及び第1制御弁41及び第2制御弁42を経由して第1吸着筒21及び第2吸着筒22に供給される。第1吸着筒21及び第2吸着筒22からの排気ガスは、排気経路K4及び第1制御弁41及び第2制御弁42を経由して排気部23bにより減圧・吸引され、排気経路K2及び排気サイレンサ72を経て、開口部16及び排気口14からケーシング10の外部に排出される。
【0040】
酸素濃縮装置Mは、第1制御弁41、第2制御弁42、及びパージ弁43の開閉状態を切り替えて、第1吸着筒21及び第2吸着筒22内を交互に加圧及び減圧する処理を実行して、高濃度酸素を生成する。なお、本実施形態で示した酸素濃縮装置Mは、一方の吸着筒にエアポンプ23で圧縮された空気が供給されている間に、他方の吸着筒を当該エアポンプ23によって吸引することで減圧するVPSA(Vacuum Pressure Swing Adsorption System)タイプの酸素濃縮装置である。しかし、本開示の酸素濃縮装置はこれに限定されず、一方の吸着筒に圧縮機で圧縮された空気が供給されている間に、他方の吸着筒が大気開放されることで減圧されるPSA(Pressure Swing Adsorption System)タイプの酸素濃縮装置とすることもできる。
【0041】
[給気サイレンサについて]
図2は、給気サイレンサを示す分解斜視図である。図3は、給気サイレンサの内部構造の説明図である。図4は、図3に示すX-X線の位置における給気サイレンサの断面模式図である。図2図4に示すように、給気サイレンサ71は、ケーシング80を備える。
【0042】
ケーシング80は、六面体の6面のうちの1面が開放された形態を有する箱81と、前記1面を閉じる蓋82とを含んで構成される。ケーシング80は、当該ケーシング80の内部に、原料空気が通る流路85が形成される。流路85は、ケーシング80内を区切る隔壁86により形成される。流路85は、隔壁86によって、原料空気の流れの上流側から順に、第1空間85a、第2空間85b、第3空間85c、第4空間85d、第5空間85e、第6空間85f、及び第7空間85gに区画されている。ケーシング80の側面には、第1空間85aと外部とを連通する流入口87、及び、第7空間85gと外部とを連通する流出口88が形成されている。流路85は、ケーシング80内において3箇所のUターン部分(第2空間85b、第4空間85d、及び第6空間85f)を有して曲折されている。給気サイレンサ71において、原料空気は、流入口87からケーシング80内に流入し、各空間85a~85gを経由して、流出口88からケーシング80の外部に流出する。なお、流路85と交差する部分の隔壁86には貫通孔(図示せず)が形成されている。ケーシング80は、前記貫通孔の周囲にシールブロック89を設けている。シールブロック89は、流路85を流れる原料空気が前記貫通孔以外の部分を通ることを抑制する。
【0043】
ケーシング80内の各空間85a~85gは、第1空間85a及び第7空間85gの経路長が同一であり、第2空間85b、第4空間85d、及び第6空間85fの経路長が同一であり、第3空間85c及び第5空間85eの経路長が同一である。換言すると、ケーシング80内の各空間85a~85gには、3種類の経路長が設定されている。流路85の全体経路長を加えると、ケーシング80は、合計4種類の経路長が設定されている。給気サイレンサ71は、各経路長に応じた周波数の音を減音する。給気サイレンサ71は、エアポンプ23の加圧部23aから発せられる音の周波数帯に基づいて、この周波数帯の音を減音可能な経路長に設定されている。このような構成のケーシング80は、後で説明する第1の減音部R1を構成する。
【0044】
給気サイレンサ71は、さらに、吸音材83を備える。本実施形態の吸音材83は、スポンジ状の材料で構成される。吸音材83は、第1吸音材83aと第2吸音材83bとを含む。給気サイレンサ71は、各空間85a~85gに、第1吸音材83aが配置される。各空間85a~85gに配置される第1吸音材83aは、それぞれ空間の形状に応じた形状を有する。給気サイレンサ71では、各空間85a~85gの容積から第1吸音材83aの体積を除いた部分の空間が、実質的な流路85となる。
【0045】
給気サイレンサ71は、箱81と蓋82との間に第2吸音材83bが配置される。給気サイレンサ71は、このような構成により、流路85の蓋82側に吸音材83を配置する。このような構成の吸音材83は、後で説明する第4の減音部R4を構成する。
【0046】
給気サイレンサ71は、さらに、パイプ84を備える。パイプ84は、共鳴による減音効果を奏する。本実施形態のパイプ84は、樹脂製の管材料で構成される。パイプ84の外周面には、貫通孔84a及び取付孔84bが形成されている。なお、取付孔84bは、パイプ84をケーシング80に設置するための貫通孔である。パイプ84は、取付孔84bを箱81に形成された凸部81aに嵌めて、第3空間85c及び第5空間85eに配置される。パイプ84と第3空間85c、及び、パイプ84と第5空間85eは、後で説明する第2の減音部R2を構成する。
【0047】
給気サイレンサ71において、流入口87からケーシング80内に流入した原料空気は、第1空間85aを流れた後、第2空間85bに入ったときに膨張される。次に原料空気は、第2空間85bを流れた後、第3空間85cのパイプ84を通って収縮される。次に原料空気は、第3空間85cのパイプ84内を流れた後、第4空間85dに入ったときに膨張される。次に原料空気は、第4空間85dを流れた後、第5空間85eのパイプ84を通って収縮される。次に原料空気は、第5空間85eのパイプ84内を流れた後、第6空間85fに入ったときに膨張される。次に原料空気は、第6空間85fを流れた後、第7空間85gに入ったときに収縮され、流出口88からケーシング80の外部に流出する。このように、流路85を流れる原料空気は、繰り返し膨張及び収縮される。このような構成の流路85は、後で説明する第3の減音部R3を構成する。
【0048】
給気サイレンサ71は、各空間85a~85gに第1吸音材83aを配置すると共に、第3空間85c及び第5空間85eにパイプ84を配置した状態で、箱81の開口側に第2吸音材83b及び蓋82を被せ、さらに箱81及び蓋82をビス止めすることによって、一体に構成される。
【0049】
[排気サイレンサについて]
図5は、排気サイレンサを示す分解斜視図である。図6は、排気サイレンサの内部構造の説明図である。図7は、図6に示すY-Y線の位置における排気サイレンサの断面模式図である。図5図7に示すように、排気サイレンサ72は、ケーシング90を備える。
【0050】
ケーシング90は、六面体の6面のうちの1面が開放された形態を有する箱91と、前記1面を閉じる蓋92とを含んで構成される。ケーシング90は、当該ケーシング90の内部に、低濃度酸素が通る流路95が形成される。流路95は、ケーシング90内を区切る隔壁96により形成される。流路95は、隔壁96によって、低濃度酸素の流れの上流側から順に、第1空間95a、第2空間95b、第3空間95c、第4空間95d、第5空間95e、第6空間95f、及び第7空間95gに分割されている。ケーシング90の側面には、第1空間95aと外部とを連通する流入口97、及び、第7空間95gと外部とを連通する流出口98が形成されている。流路95は、ケーシング90内において3箇所のUターン部分(第2空間95b、第4空間95d、及び第6空間95f)を有して曲折されている。排気サイレンサ72において、低濃度酸素は、流入口97からケーシング90内(流路95)に流入し、各空間95a~95gを経由して、流出口98からケーシング90の外部に流出する。なお、流路95と交差する部分の隔壁96には貫通孔(図示せず)が形成されている。ケーシング90は、前記貫通孔の周囲にシールブロック99を設けている。シールブロック99は、前記貫通孔以外の部分を低濃度酸素が通ることを抑制する。
【0051】
ケーシング90内の各空間95a~95gは、第1空間95a及び第7空間95gの経路長が同一であり、第2空間95b、第4空間95d、及び第6空間95fの経路長が同一であり、第3空間95c及び第5空間95eの経路長が同一である。換言すると、ケーシング90内の各空間95a~95gには、3種類の経路長が設定されている。流路95の全体経路長を加えると、ケーシング90は、合計4種類の経路長が設定されている。排気サイレンサ72は、各経路長に応じた周波数の音を減音する。排気サイレンサ72は、エアポンプ23の排気部23bから発せられる音の周波数帯に基づいて、この周波数帯の音を減音可能な経路長に設定されている。このような構成のケーシング90は、後で説明する第1の減音部R1を構成する。
【0052】
排気サイレンサ72は、さらに、吸音材93を備える。本実施形態の吸音材93は、スポンジ状の材料で構成される。吸音材93は、第1吸音材93aと第2吸音材93bとを含む。排気サイレンサ72は、各空間95a~95gに、第1吸音材93aが配置される。各空間95a~95gに配置される第1吸音材93aは、それぞれ空間の形状に応じた形状を有する。排気サイレンサ72では、各空間95a~95gの容積から第1吸音材93aの体積を除いた部分の空間が、実質的な流路95となる。
【0053】
排気サイレンサ72は、箱91と蓋92との間に第2吸音材93bが配置される。排気サイレンサ72は、このような構成により、流路95の蓋92側に吸音材93を配置する。このような構成の吸音材93は、後で説明する第4の減音部R4を構成する。
【0054】
排気サイレンサ72は、さらに、パイプ94を備える。パイプ94は、共鳴による減音効果を奏する。本実施形態のパイプ94は、樹脂製の管材料で構成される。パイプ94の外周面には、貫通孔94a及び取付孔94bが形成されている。なお、取付孔94bは、パイプ94をケーシング90に設置するための貫通孔である。パイプ94は、取付孔94bを箱91に形成された凸部91aに嵌めて、第3空間95c及び第5空間95eに配置される。パイプ94と第3空間95c、及び、パイプ94と第5空間95eは、後で説明する第2の減音部R2を構成する。
【0055】
排気サイレンサ72において、流入口97からケーシング90内に流入した低濃度酸素は、第1空間95aを流れた後、第2空間95bに入ったときに膨張される。次に低濃度酸素は、第2空間95bを流れた後、第3空間95cのパイプ94を通って収縮される。次に低濃度酸素は、第3空間95cのパイプ94内を流れた後、第4空間95dに入ったときに膨張される。次に低濃度酸素は、第4空間95dを流れた後、第5空間95eのパイプ94を通って収縮される。次に低濃度酸素は、第5空間95eのパイプ94内を流れた後、第6空間95fに入ったときに膨張される。次に低濃度酸素は、第6空間95fを流れた後、第7空間95gに入ったときに収縮され、流出口98からケーシング90の外部に流出する。このように、流路95を流れる低濃度酸素は、繰り返し膨張及び収縮される。このような構成の流路95は、後で説明する第3の減音部R3を構成する。
【0056】
排気サイレンサ72は、各空間95a~95gに第1吸音材93aを配置すると共に、第3空間95c及び第5空間95eにパイプ94を配置した状態で、箱91の開口側に第2吸音材93b及び蓋92を被せ、さらに箱91及び蓋92をビス止めすることによって、一体に構成される。
【0057】
本実施形態の給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72を比較すると(図3図4図6図7参照)、各第1空間85aにおける流路85の幅W1が、各第1空間95aにおける通路の幅W2に比べて大きく、この点で、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72の構成が相違している。換言すると、第1空間85aに設けられる第1吸音材83aの寸法と、第1空間95aに設けられる第1吸音材93aの寸法とが異なっている。同様に、第7空間85gにおける流路85の幅W1が、第7空間95gにおける通路の幅W2に比べて大きく、この点で、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72の構成が相違している。
【0058】
本説明では、説明の便宜上、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72に対してそれぞれ異なる符号を付して説明しているが、上記相違点以外の構成については共通している。換言すると、箱81と箱91、蓋82と蓋92、第2吸音材83bと第2吸音材93b、パイプ84とパイプ94は、それぞれ同一部材である。換言すると、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72は、第1吸音材83a及び第1吸音材93aの構成が異なることによって、異なる減音特性を有している。
【0059】
本開示の酸素濃縮装置Mにおいて、サイレンサ70を構成するケーシング80,90は、プレート状の形態を有する。ここでいう「プレート状」とは、箱81,91の高さ(蓋82,92の厚み方向の寸法)が、箱81,91の幅及び奥行きに対して十分に小さい扁平状の形状を意味する。本実施形態のサイレンサ70において、ケーシング80,90は、その高さが、幅及び奥行きに比べて十分に小さい扁平状の形態を有する。
【0060】
[第1~第4の減音部について]
本開示の酸素濃縮装置Mが有するサイレンサ70は、以下に示す第1~第4の減音部を有している。なお、以下の説明では、給気サイレンサ71を例示して、給気サイレンサ71が有する第1~第4の減音部について説明するが、排気サイレンサ72も同様に第1~第4の減音部を有している。排気サイレンサ72が有する第1~第4の減音部についての詳細な説明は省略する。
【0061】
[第1の減音部について]
本実施形態の給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72は、第1の減音部R1を有する。第1の減音部R1は、音の伝達経路の経路長を所定の長さに設定することで、その長さに応じた特定の周波数の音を低減する。ケーシング80は、流路85が、複数(本実施形態では7個)の空間(第1空間85a~第7空間85g)に区画されている。例えば、給気サイレンサ71は、第1空間85aの経路長に応じた特定の周波数の音を、第1空間85aにおいて減音することができる。これと同様に,給気サイレンサ71は、第2空間85b~第7空間85gの各経路長に応じた特定の周波数の音を、各空間85b~85gにおいて減音することができる。さらに、給気サイレンサ71は、流路85の全体の経路長に応じた特定の周波数の音を、流路85において減音することができる。給気サイレンサ71は、流路85の全体の経路長、及び、第1空間85a~第7空間85gの各経路長を調整することによって、所望の周波数(ターゲット周波数とも称する)の音を狙って減音することができる。給気サイレンサ71は、第1空間85a~第7空間85gを含む流路85が、第1の減音部R1を構成する。空間の経路長をL、音速をC、ターゲット周波数をfとした場合、以下の数式(1)が成立する。
f=1/4×(L/C)・・・(1)
【0062】
[第2の減音部について]
本実施形態の給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72は、第2の減音部R2を有する。給気サイレンサ71は、第3空間85c及び第5空間85eに設けたパイプ84を有する。パイプ84は、外周面に形成された貫通孔84aを有する。第3空間85c及び第5空間85eの容積をV、パイプ84の貫通孔84aの径をd、音速をC、ターゲット周波数をfとした場合、以下の数式(2)が成立する。
f=C/2π×(d/V)1/2・・・(2)
【0063】
給気サイレンサ71は、第3空間85c及び第5空間85eの容積Vと、パイプ84の貫通孔84aの径dを調整することによって、ターゲット周波数fの音を低減させる。給気サイレンサ71は、第3空間85c及び第5空間85eと貫通孔84aを有するパイプ84が、第2の減音部R2を構成する。給気サイレンサ71は、第1吸音材83aの寸法を変えることで、流路85の幅を変更し、これにより、第3空間85c及び第5空間85eの容積Vを制御することができる。給気サイレンサ71は、これにより、ターゲット周波数fを容易に変化させることができる。さらに、給気サイレンサ71は、パイプ84の内径、貫通孔84aの個数、径dを変更することによっても、ターゲット周波数fを変化させることができる。
【0064】
[第3の減音部について]
本実施形態の給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72は、第3の減音部R3を有する。給気サイレンサ71において、流入口87からケーシング80内に流入した原料空気は、第1空間85aを流れた後、第2空間85bに入ったときに膨張される。次に原料空気は、第2空間85bを流れた後、第3空間85cのパイプ84を通って収縮される。次に原料空気は、第3空間85cのパイプ84内を流れた後、第4空間85dに入ったときに膨張される。次に原料空気は、第4空間85dを流れた後、第5空間85eのパイプ84を通って収縮される。次に原料空気は、第5空間85eのパイプ84内を流れた後、第6空間85fに入ったときに膨張される。次に原料空気は、第6空間85fを流れた後、第7空間85gに入ったときに収縮され、流出口88からケーシング80の外部に流出する。このように、流路85を流れる原料空気は、繰り返し膨張及び収縮される。流路85は、原料空気を繰り返し膨張及び収縮されることができ、これにより、流路85内を伝播する音を減音する。給気サイレンサ71は、第1空間85a~第7空間85gを含む流路85が、第3の減音部R3を構成する。
【0065】
[第4の減音部について]
本実施形態の給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72は、第4の減音部R4を有する。給気サイレンサ71は、流路85の底面、上面、及び側面等に吸音効果を有する吸音材83を配置している。給気サイレンサ71は、吸音材83を設けることによって、流路85内を伝播する音を減音する。給気サイレンサ71は、第1吸音材83a及び第2吸音材83bを含む吸音材83が、第4の減音部R4を構成する。なお、原料空気の流れを阻害する位置に第1吸音材83aを配置することによって、原料空気の脈動を抑制することができ、これにより、さらに騒音(振動音)の低減効果を高めることができる。
【0066】
本開示の酸素濃縮装置Mは、給気サイレンサ71における第1~第4の減音部R1~R4の各減音特性を個別に調整することによって、エアポンプ23の加圧部23aから発せられる特有の音を、効果的に減音することができる。本開示の酸素濃縮装置Mは、排気サイレンサ72における第1~第4の減音部R1~R4の各減音特性を個別に調整することによって、エアポンプ23の排気部23bから発せられる特有の音を、効果的に減音することができる。本開示の酸素濃縮装置Mは、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72に、第1~第4の減音部R1~R4をそれぞれ設けることによって、所望の減音性能を確保することができる。
【0067】
本開示の酸素濃縮装置Mでは、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72が有する各減音部R1~R4を調整することによって、給気サイレンサ71に給気経路K1を伝播する音に適した減音特性を持たせると共に、排気サイレンサ72に排気経路K2を伝播する音に適した減音特性を持たせるように構成している。このため、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72は、各減音部R1~R4のうちの少なくとも何れか一つの構造が互いに異なっており、各減音部R1~R4のうちの少なくとも何れか一つの減音特性が互いに異なっている。
【0068】
具体的には、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72を比較すると、第1空間85a及び第7空間85gにおける流路85の幅W1が,第1空間95a及び第7空間95gにおける流路95の幅W2に比べて大きい。このため、第1空間85a及び第7空間85gにおける流路85の断面積S1が,第1空間95a及び第7空間95gにおける流路95の断面積S2に比べて大きい。このため、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72では、第1空間85a及び第7空間85gの容積と、第1空間95a及び第7空間95gの容積が異なっている。このため、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72は、第3の減音部R3の構造が互いに異なっている。
【0069】
さらに、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72を比較すると、第1空間85a及び第7空間85gに配置する第1吸音材83aの形状及び寸法と、第1空間95a及び第7空間95gに配置する第1吸音材93aの形状及び寸法と、が異なっている。このため、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72は、第4の減音部R4の構造が互いに異なっている。
【0070】
[サイレンサの配置について]
図8は、酸素濃縮装置における給気サイレンサ及び排気サイレンサの配置の説明図である。図9は、酸素濃縮装置(筐体の一部を外した状態)の部分斜視図である。図8に示すように、本開示の酸素濃縮装置Mにおいて、回転軸23cの中心を通る直線Lを基準として、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72は、線対称となる位置に配置される。なお、本実施形態では、回転軸23cの中心を通る直線Lを基準として、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72を、線対称となる位置に配置した場合を例示しているが、本開示の酸素濃縮装置は、回転軸23cの中心(軸心位置)を基準として、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72を、点対称となる位置に配置される。なお、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72の配置は、厳密に線対称及び点対称でなくてもよく、線対称及び点対称となる位置からの若干のずれがあってもよい。
【0071】
図8及び図9に示すように、本開示の酸素濃縮装置Mは、エアポンプ23とポンプボックス11の内壁との間の隙間に、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72を配置している。本開示の酸素濃縮装置Mは、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72をプレート状の形態としているため、このような隙間に給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72を配置することが可能となっている。本開示の酸素濃縮装置Mは、このような構成により、設置面積(回転軸23cの軸方向から見た場合のケーシング10の部分の投影面積)を縮小することができる。
【0072】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態の酸素濃縮装置Mは、原料空気から窒素を選択的に吸着する吸着材を有する吸着筒20を備え、吸着筒20に原料空気を供給して高濃度酸素及び低濃度酸素を生成する。酸素濃縮装置Mは、原料空気を吸着筒20に供給する給気経路K1,K3と、低濃度酸素を吸着筒20から排気する排気経路K2,K4と、原料空気又は低濃度酸素の流路85,95が形成されたケーシング80,90を含んで構成されるサイレンサ70と、を備える。サイレンサ70は、給気経路K1,K3に設けられる給気サイレンサ71と、排気経路K2,K4に設けられる排気サイレンサ72と、を含む。給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72は、給気サイレンサ71のケーシング80及び排気サイレンサ72のケーシング90が共通の外形形状及び外形寸法を有する。給気サイレンサ71における流路85の断面積S1が、排気サイレンサ72における流路95の断面積S2に比べて大きい。
【0073】
このような構成の酸素濃縮装置Mは、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72において、共通のケーシング80,90を使用することによって、高濃度酸素の供給能力を従来と同等に維持しつつ、サイレンサ70を構成する部品の点数を減らすことができる。このような構成の酸素濃縮装置Mは、給気サイレンサ71における流路の断面積S1を、排気サイレンサ72における流路の断面積S2に比べて大きくすることによって、流路の断面積が減少した場合に流量低下の影響を受けやすい加圧部23a側の流路(給気経路)について、流量の低下を抑制することができ、これにより原料空気の流量を確保することができ、ひいては、高濃度酸素の流量を確保することができる。
【0074】
(2)上記実施形態の酸素濃縮装置Mは、ケーシング80,90が、プレート状の形態を有する。
【0075】
このような構成の酸素濃縮装置Mは、ケーシング80,90をプレート状の形態とすることによって、サイレンサ70をポンプボックス11内の隙間を利用して配置することが可能となる。このため、酸素濃縮装置Mは、サイレンサ70を構成する部品の点数を減らし、かつ、装置全体をコンパクト化することができる。
【0076】
(3)上記実施形態の酸素濃縮装置Mは、給気経路K1,K3を介して吸着筒20に原料空気を供給する加圧部(圧縮機)23aと、排気経路K2,K4を介して吸着筒20から低濃度酸素を排気する排気部(真空ポンプ)23bと、を備える。給気サイレンサ71が、加圧部23aの吸入側の給気経路K1に設けられ、排気サイレンサ72が、排気部23bの吐出側の排気経路K2に設けられる。
【0077】
このような構成の酸素濃縮装置Mは、給気サイレンサ71に、加圧部(圧縮機)23aから発せられる音の消音に適した消音特性をもたせ、排気サイレンサ72に、排気部(真空ポンプ)23bから発せられる音の消音に適した消音特性をもたせることによって、所望の消音性能を確保しつつ、サイレンサ70を構成する部品の点数を減らすことができる。
【0078】
(4)上記実施形態の酸素濃縮装置Mは、加圧部(圧縮機)23a及び排気部(真空ポンプ)23bが、加圧部(圧縮機)23a及び排気部(真空ポンプ)23bを兼ねる1つのエアポンプ23により構成される。エアポンプ23は、当該エアポンプ23を駆動する1つの回転軸23cを有する。酸素濃縮装置Mは、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72が、回転軸23cの軸方向から見て、回転軸23cを基準として対称に配置される。
【0079】
このような構成の酸素濃縮装置Mは、エアポンプ23から第1及び第2の各サイレンサ71,72への配管の取り回しが容易となって、酸素濃縮装置Mを構成するポンプボックス11内のスペース効率をより高めることができる。これにより、酸素濃縮装置Mについて、高濃度酸素の供給能力を従来と同等に維持しながらコンパクト化することができる。
【0080】
(5)上記実施形態の酸素濃縮装置Mにおいて、サイレンサ70は、ケーシング80,90の内部において、流路85,95の流路長に応じた周波数の音を低減する第1の減音部R1と、流路85,95において共鳴を生じさせて音を低減する第2の減音部R2と、流路85,95の断面積を拡大及び縮小させて音を低減する第3の減音部R3と、流路85,95内に配置した吸音材83,93によって音を低減する第4の減音部R4と、を有する。
【0081】
このような構成の酸素濃縮装置Mは、サイレンサ70が第1~第4の減音部R1~R4を有することで、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72において、所望の消音性能を確保することができる。
【0082】
(6)上記実施形態の酸素濃縮装置Mにおいて、給気サイレンサ71及び排気サイレンサ72は、第1から第4の減音部R1~R4の少なくとも何れか一つの減音特性が互いに異なる。
【0083】
このような構成の酸素濃縮装置Mは、給気サイレンサ71の減音特性を、エアポンプ23の給気側(加圧部23a)で発せられる音に適した減音特性とし、排気サイレンサ72の減音特性を、エアポンプ23の排気側(排気部23b)で発せられる音に適した減音特性とすることができる。これにより、酸素濃縮装置Mからの発生騒音を確実に抑制することができる。
【0084】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0085】
M :酸素濃縮装置
20 :吸着筒
23 :エアポンプ(流体機械)
23a:加圧部(圧縮機)
23b:排気部(真空ポンプ)
23c:回転軸
70 :サイレンサ
71 :給気サイレンサ(第1のサイレンサ)
72 :排気サイレンサ(第2のサイレンサ)
80 :ケーシング
83 :吸音材
90 :ケーシング
93 :吸音材
K1 :(吸入側の)給気経路
K2 :(排気側の)排気経路
K3 :(吐出側の)給気経路
K4 :(吸入側の)排気経路
S1 :(給気サイレンサの経路における)断面積
S2 :(給気サイレンサの経路における)断面積
R1 :第1の減音部
R2 :第2の減音部
R3 :第3の減音部
R4 :第4の減音部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料空気から窒素を選択的に吸着する吸着材を有する吸着筒(20)を備え、前記吸着筒(20)に前記原料空気を供給して高濃度酸素及び低濃度酸素を生成する酸素濃縮装置(M)であって、
前記原料空気を前記吸着筒(20)に供給する給気経路(K1,K3)と、
前記低濃度酸素を前記吸着筒(20)から排気する排気経路(K2,K4)と、
前記原料空気又は前記低濃度酸素の流路(85,95)が形成されたケーシング(80,90)を含んで構成されるサイレンサ(70)と、を備え、
前記サイレンサ(70)は、
前記給気経路(K1,K3)に設けられる第1の前記サイレンサ(71)と、
前記排気経路(K2,K4)に設けられる第2の前記サイレンサ(72)と、
前記第1のサイレンサ(71)に設けられる第1吸音材(83a)と、
前記第2のサイレンサ(72)に設けられ前記第1吸音材(83a)と形状及び寸法の少なくとも何れかが異なる第2吸音材(93a)と、を含み、
前記第1のサイレンサ(71)及び前記第2のサイレンサ(72)は、
前記第1のサイレンサ(71)の前記ケーシング(80)及び前記第2のサイレンサ(72)の前記ケーシング(90)が共通の外形形状及び外形寸法を有し、かつ、
前記第1吸音材(83a)が前記流路(85)内に配置されると共に、前記第2吸音材(93a)が前記流路(95)内に配置され、
前記第1のサイレンサ(71)における前記第1吸音材(83a)が配置された部分を除く前記流路(85)の断面積(S1)が、前記第2のサイレンサ(72)における前記第2吸音材(93a)が配置された部分を除く前記流路(95)の断面積(S2)に比べて大きい、酸素濃縮装置(M)。
【請求項2】
前記第1のサイレンサ(71)の前記ケーシング(80)及び前記第2のサイレンサ(72)の前記ケーシング(90)は、共通の内形形状及び内形寸法を有する、請求項1に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項3】
前記ケーシング(80,90)が、プレート状の形態を有する、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項4】
前記給気経路(K1,K3)を介して前記吸着筒(20)に前記原料空気を供給する圧縮機(23a)と、
前記排気経路(K2,K4)を介して前記吸着筒(20)から前記低濃度酸素を排気する真空ポンプ(23b)と、
を備え、
前記第1のサイレンサ(71)が、前記圧縮機(23a)の吸入側の前記給気経路(K1)に設けられ、
前記第2のサイレンサ(72)が、前記真空ポンプ(23b)の吐出側の前記排気経路(K2)に設けられる、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項5】
原料空気から窒素を選択的に吸着する吸着材を有する吸着筒(20)を備え、前記吸着筒(20)に前記原料空気を供給して高濃度酸素及び低濃度酸素を生成する酸素濃縮装置(M)であって、
前記原料空気を前記吸着筒(20)に供給する給気経路(K1,K3)と、
前記低濃度酸素を前記吸着筒(20)から排気する排気経路(K2,K4)と、
前記原料空気又は前記低濃度酸素の流路(85,95)が形成されたケーシング(80,90)を含んで構成されるサイレンサ(70)と、
前記給気経路(K1,K3)を介して前記吸着筒(20)に前記原料空気を供給する圧縮機(23a)と、
前記排気経路(K2,K4)を介して前記吸着筒(20)から前記低濃度酸素を排気する真空ポンプ(23b)と、
を備え、
前記圧縮機(23a)及び前記真空ポンプ(23b)が、前記圧縮機(23a)及び前記真空ポンプ(23b)を兼ねる1つのエアポンプ(23)により構成され、
前記エアポンプ(23)は、当該エアポンプ(23)を駆動する1つの回転軸(23c)を有し、
前記サイレンサ(70)は、
前記圧縮機(23a)の吸入側の前記給気経路(K1,K3)に設けられる第1の前記サイレンサ(71)と、
前記真空ポンプ(23b)の吐出側の前記排気経路(K2,K4)に設けられる第2の前記サイレンサ(72)と、を含み、
前記第1のサイレンサ(71)及び前記第2のサイレンサ(72)は、
前記第1のサイレンサ(71)の前記ケーシング(80)及び前記第2のサイレンサ(72)の前記ケーシング(90)が共通の外形形状及び外形寸法を有し、
前記第1のサイレンサ(71)における前記流路(85)の断面積(S1)が、前記第2のサイレンサ(72)における前記流路(95)の断面積(S2)に比べて大きく、
前記回転軸(23c)の軸方向から見て、前記第1のサイレンサ(71)及び前記第2のサイレンサ(72)は、前記回転軸(23c)を基準として対称に配置される、酸素濃縮装置(M)。
【請求項6】
前記サイレンサ(70)は、前記ケーシング(80,90)の内部において、
前記流路(85,95)の流路長に応じた周波数の音を低減する第1の減音部(R1)と、
前記流路(85,95)において共鳴を生じさせて音を低減する第2の減音部(R2)と、
前記流路(85,95)の断面積を拡大及び縮小させて音を低減する第3の減音部(R3)と、
前記流路(85,95)内に配置した吸音材(83,93)によって音を低減する第4の減音部(R4)と、を有する、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項7】
前記第1のサイレンサ(71)及び前記第2のサイレンサ(72)は、
前記第1から第4の減音部(R1~R4)の少なくとも何れか一つの減音特性が互いに異なる、請求項に記載の酸素濃縮装置(M)。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料空気から窒素を選択的に吸着する吸着材を有する吸着筒(20)を備え、前記吸着筒(20)に前記原料空気を供給して高濃度酸素及び低濃度酸素を生成する酸素濃縮装置(M)であって、
前記原料空気を前記吸着筒(20)に供給する給気経路(K1,K3)と、
前記低濃度酸素を前記吸着筒(20)から排気する排気経路(K2,K4)と、
前記原料空気又は前記低濃度酸素の流路(85,95)が形成されたケーシング(80,90)を含んで構成されるサイレンサ(70)と、を備え、
前記サイレンサ(70)は、
前記給気経路(K1,K3)に設けられる第1の前記サイレンサ(71)と、
前記排気経路(K2,K4)に設けられる第2の前記サイレンサ(72)と、
前記第1のサイレンサ(71)に設けられる第1吸音材(83a)と、
前記第2のサイレンサ(72)に設けられ前記第1吸音材(83a)と形状及び寸法の少なくとも何れかが異なる第2吸音材(93a)と、を含み、
前記第1のサイレンサ(71)及び前記第2のサイレンサ(72)は、
前記第1のサイレンサ(71)を構成する第1の前記ケーシング(80)及び前記第2のサイレンサ(72)を構成する第2の前記ケーシング(90)が共通の外形形状及び外形寸法を有し
前記第1のケーシング(80)は、第1の箱(81)及び第1の蓋(82)を含んで構成され、
前記第2のケーシング(90)は、第2の箱(91)及び第2の蓋(92)を含んで構成され、
前記第1の箱(81)及び前記第2の箱(91)が共通の外形形状及び外形寸法を有し、かつ、共通の内形形状及び内形寸法を有し、
前記第1の蓋(82)及び前記第2の蓋(92)が共通の外形形状及び外形寸法を有し、
前記第1のケーシング(80)は、前記第1吸音材(83a)が前記流路(85)内に配置されると共に、前記第2のケーシング(90)は、前記第2吸音材(93a)が前記流路(95)内に配置され、
前記第1のサイレンサ(71)における前記第1吸音材(83a)が配置された部分を除く前記流路(85)の断面積(S1)が、前記第2のサイレンサ(72)における前記第2吸音材(93a)が配置された部分を除く前記流路(95)の断面積(S2)に比べて大きい、酸素濃縮装置(M)。
【請求項2】
前記第1のケーシング(80)は、前記第1の箱(81)の内部に設けられた第1の隔壁(86)をさらに含み、
前記第2のケーシング(90)は、前記第2の箱(91)の内部に設けられた第2の隔壁(96)をさらに含み、
前記第1の隔壁(86)及び前記第2の隔壁(96)は、共通の外形形状及び外形寸法を有し、かつ、前記第1の箱(81)の内部における前記第1の隔壁(86)の配置と、前記第2の箱(91)の内部における前記第2の隔壁(96)の配置とが共通しており、
前記第1のケーシング(80)及び前記第2のケーシング(90)は、共通の内形形状及び内形寸法を有する、請求項1に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項3】
前記ケーシング(80,90)が、プレート状の形態を有する、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項4】
前記給気経路(K1,K3)を介して前記吸着筒(20)に前記原料空気を供給する圧縮機(23a)と、
前記排気経路(K2,K4)を介して前記吸着筒(20)から前記低濃度酸素を排気する真空ポンプ(23b)と、
を備え、
前記第1のサイレンサ(71)が、前記圧縮機(23a)の吸入側の前記給気経路(K1)に設けられ、
前記第2のサイレンサ(72)が、前記真空ポンプ(23b)の吐出側の前記排気経路(K2)に設けられる、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項5】
原料空気から窒素を選択的に吸着する吸着材を有する吸着筒(20)を備え、前記吸着筒(20)に前記原料空気を供給して高濃度酸素及び低濃度酸素を生成する酸素濃縮装置(M)であって、
前記原料空気を前記吸着筒(20)に供給する給気経路(K1,K3)と、
前記低濃度酸素を前記吸着筒(20)から排気する排気経路(K2,K4)と、
前記原料空気又は前記低濃度酸素の流路(85,95)が形成されたケーシング(80,90)を含んで構成されるサイレンサ(70)と、
前記給気経路(K1,K3)を介して前記吸着筒(20)に前記原料空気を供給する圧縮機(23a)と、
前記排気経路(K2,K4)を介して前記吸着筒(20)から前記低濃度酸素を排気する真空ポンプ(23b)と、
を備え、
前記圧縮機(23a)及び前記真空ポンプ(23b)が、前記圧縮機(23a)及び前記真空ポンプ(23b)を兼ねる1つのエアポンプ(23)により構成され、
前記エアポンプ(23)は、当該エアポンプ(23)を駆動する1つの回転軸(23c)を有し、
前記サイレンサ(70)は、
前記圧縮機(23a)の吸入側の前記給気経路(K1,K3)に設けられる第1の前記サイレンサ(71)と、
前記真空ポンプ(23b)の吐出側の前記排気経路(K2,K4)に設けられる第2の前記サイレンサ(72)と、を含み、
前記第1のサイレンサ(71)及び前記第2のサイレンサ(72)は、
前記第1のサイレンサ(71)の前記ケーシング(80)及び前記第2のサイレンサ(72)の前記ケーシング(90)が共通の外形形状及び外形寸法を有し、
前記第1のサイレンサ(71)における前記流路(85)の断面積(S1)が、前記第2のサイレンサ(72)における前記流路(95)の断面積(S2)に比べて大きく、
前記回転軸(23c)の軸方向から見て、前記第1のサイレンサ(71)及び前記第2のサイレンサ(72)は、前記回転軸(23c)を基準として対称に配置される、酸素濃縮装置(M)。
【請求項6】
前記サイレンサ(70)は、前記ケーシング(80,90)の内部において、
前記流路(85,95)の流路長に応じた周波数の音を低減する第1の減音部(R1)と、
前記流路(85,95)において共鳴を生じさせて音を低減する第2の減音部(R2)と、
前記流路(85,95)の断面積を拡大及び縮小させて音を低減する第3の減音部(R3)と、
前記流路(85,95)内に配置した吸音材(83,93)によって音を低減する第4の減音部(R4)と、を有する、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項7】
前記第1のサイレンサ(71)及び前記第2のサイレンサ(72)は、
前記第1から第4の減音部(R1~R4)の少なくとも何れか一つの減音特性が互いに異なる、請求項6に記載の酸素濃縮装置(M)。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料空気から窒素を選択的に吸着する吸着材を有する吸着筒(20)を備え、前記吸着筒(20)に前記原料空気を供給して高濃度酸素及び低濃度酸素を生成する酸素濃縮装置(M)であって、
前記原料空気を前記吸着筒(20)に供給する給気経路(K1,K3)と、
前記低濃度酸素を前記吸着筒(20)から排気する排気経路(K2,K4)と、
前記原料空気又は前記低濃度酸素の流路(85,95)が形成されたケーシング(80,90)を含んで構成されるサイレンサ(70)と、を備え、
前記サイレンサ(70)は、
前記給気経路(K1,K3)に設けられる第1の前記サイレンサ(71)と、
前記排気経路(K2,K4)に設けられる第2の前記サイレンサ(72)と、
前記第1のサイレンサ(71)に設けられる第1吸音材(83a)と、
前記第2のサイレンサ(72)に設けられ前記第1吸音材(83a)と形状及び寸法の少なくとも何れかが異なる第2吸音材(93a)と、を含み、
前記第1のサイレンサ(71)及び前記第2のサイレンサ(72)は、
前記第1のサイレンサ(71)を構成する第1の前記ケーシング(80)及び前記第2のサイレンサ(72)を構成する第2の前記ケーシング(90)が共通の外形形状及び外形寸法を有し、かつ、共通の内形形状及び内形寸法を有し、
前記第1のケーシング(80)は、前記第1吸音材(83a)が前記流路(85)内に配置されると共に、前記第2のケーシング(90)は、前記第2吸音材(93a)が前記流路(95)内に配置され、
前記第1のサイレンサ(71)における前記第1吸音材(83a)が配置された部分を除く前記流路(85)の断面積(S1)が、前記第2のサイレンサ(72)における前記第2吸音材(93a)が配置された部分を除く前記流路(95)の断面積(S2)に比べて大きい、酸素濃縮装置(M)。
【請求項2】
前記ケーシング(80,90)が、プレート状の形態を有する、請求項1に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項3】
前記給気経路(K1,K3)を介して前記吸着筒(20)に前記原料空気を供給する圧縮機(23a)と、
前記排気経路(K2,K4)を介して前記吸着筒(20)から前記低濃度酸素を排気する真空ポンプ(23b)と、
を備え、
前記第1のサイレンサ(71)が、前記圧縮機(23a)の吸入側の前記給気経路(K1)に設けられ、
前記第2のサイレンサ(72)が、前記真空ポンプ(23b)の吐出側の前記排気経路(K2)に設けられる、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項4】
原料空気から窒素を選択的に吸着する吸着材を有する吸着筒(20)を備え、前記吸着筒(20)に前記原料空気を供給して高濃度酸素及び低濃度酸素を生成する酸素濃縮装置(M)であって、
前記原料空気を前記吸着筒(20)に供給する給気経路(K1,K3)と、
前記低濃度酸素を前記吸着筒(20)から排気する排気経路(K2,K4)と、
前記原料空気又は前記低濃度酸素の流路(85,95)が形成されたケーシング(80,90)を含んで構成されるサイレンサ(70)と、
前記給気経路(K1,K3)を介して前記吸着筒(20)に前記原料空気を供給する圧縮機(23a)と、
前記排気経路(K2,K4)を介して前記吸着筒(20)から前記低濃度酸素を排気する真空ポンプ(23b)と、
を備え、
前記圧縮機(23a)及び前記真空ポンプ(23b)が、前記圧縮機(23a)及び前記真空ポンプ(23b)を兼ねる1つのエアポンプ(23)により構成され、
前記エアポンプ(23)は、当該エアポンプ(23)を駆動する1つの回転軸(23c)を有し、
前記サイレンサ(70)は、
前記圧縮機(23a)の吸入側の前記給気経路(K1,K3)に設けられる第1の前記サイレンサ(71)と、
前記真空ポンプ(23b)の吐出側の前記排気経路(K2,K4)に設けられる第2の前記サイレンサ(72)と、を含み、
前記第1のサイレンサ(71)及び前記第2のサイレンサ(72)は、
前記第1のサイレンサ(71)の前記ケーシング(80)及び前記第2のサイレンサ(72)の前記ケーシング(90)が共通の外形形状及び外形寸法を有し、
前記第1のサイレンサ(71)における前記流路(85)の断面積(S1)が、前記第2のサイレンサ(72)における前記流路(95)の断面積(S2)に比べて大きく、
前記回転軸(23c)の軸方向から見て、前記第1のサイレンサ(71)及び前記第2のサイレンサ(72)は、前記回転軸(23c)を基準として対称に配置される、酸素濃縮装置(M)。
【請求項5】
前記サイレンサ(70)は、前記ケーシング(80,90)の内部において、
前記流路(85,95)の流路長に応じた周波数の音を低減する第1の減音部(R1)と、
前記流路(85,95)において共鳴を生じさせて音を低減する第2の減音部(R2)と、
前記流路(85,95)の断面積を拡大及び縮小させて音を低減する第3の減音部(R3)と、
前記流路(85,95)内に配置した吸音材(83,93)によって音を低減する第4の減音部(R4)と、を有する、請求項1又は請求項に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項6】
前記第1のサイレンサ(71)及び前記第2のサイレンサ(72)は、
前記第1から第4の減音部(R1~R4)の少なくとも何れか一つの減音特性が互いに異なる、請求項に記載の酸素濃縮装置(M)。