(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147223
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】マルチプレクサ
(51)【国際特許分類】
H03H 9/72 20060101AFI20241008BHJP
H03H 9/145 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H03H9/72
H03H9/145 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060095
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】野口 明
【テーマコード(参考)】
5J097
【Fターム(参考)】
5J097AA29
5J097BB14
5J097BB15
5J097CC04
5J097DD21
5J097KK04
(57)【要約】
【課題】付加回路に含まれる反射器またはIDTの合計数を減らすことができるマルチプレクサを提供する。
【解決手段】マルチプレクサ1は、フィルタ回路F1と、フィルタ回路F2と、フィルタ回路F3と、フィルタ回路F1およびF3のそれぞれに、少なくとも一部が並列接続された付加回路Aと、を備える。付加回路Aは、3以上のIDT10,20、30と、2つの反射器91、92と、を有する。IDT10は、第1端子T1とフィルタ回路F1とを繋ぐ経路またはフィルタ回路F1の内部を通る経路に接続される。IDT30は、第3端子T3とフィルタ回路F2とを繋ぐ経路またはフィルタ回路F3の内部を通る経路に接続される。IDT20は、フィルタ回路F1と共通端子Tcとを繋ぐ経路r1p、フィルタ回路F3と共通端子Tcとを繋ぐ経路r3p、または、フィルタ回路F2と共通端子Tcとを繋ぐ経路r2pに接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過帯域が互いに異なる3以上のフィルタ回路を備えるマルチプレクサであって、
共通端子、第1端子、第2端子および第3端子と、
前記第1端子と前記共通端子とを繋ぐ第1経路上に設けられた第1のフィルタ回路と、
前記第2端子と前記共通端子とを繋ぐ第2経路上に設けられた第2のフィルタ回路と、
前記第3端子と前記共通端子とを繋ぐ第3経路上に設けられた第3のフィルタ回路と、
前記第1のフィルタ回路および前記第3のフィルタ回路のそれぞれに、少なくとも一部が並列接続された付加回路と、
を備え、
前記付加回路は、第1方向に沿って並ぶ3以上のIDTと、前記第1方向において前記3以上のIDTの両外側に設けられた2つの反射器と、を有し、
前記3以上のIDTのうちの第1のIDTは、前記第1経路のうち、前記第1端子と前記第1のフィルタ回路とを繋ぐ経路または前記第1のフィルタ回路の内部を通る経路に接続され、
前記3以上のIDTのうちの第3のIDTは、前記第3経路のうち、前記第3端子と前記第3のフィルタ回路とを繋ぐ経路または前記第3のフィルタ回路の内部を通る経路に接続され、
前記3以上のIDTのうちの第2のIDTは、前記第1経路のうち前記第1のフィルタ回路と前記共通端子とを繋ぐ第1の共通端子側経路、前記第3経路のうち前記第3のフィルタ回路と前記共通端子とを繋ぐ第3の共通端子側経路、または、前記第2経路のうち前記第2のフィルタ回路と前記共通端子とを繋ぐ第2の共通端子側経路に接続される
マルチプレクサ。
【請求項2】
前記第1の共通端子側経路、前記第3の共通端子側経路および前記第2の共通端子側経路は、同電位である
請求項1に記載のマルチプレクサ。
【請求項3】
前記3以上のIDTのそれぞれは、一対の櫛歯状電極を有し、
前記一対の櫛歯状電極は、一方の櫛歯状電極および他方の櫛歯状電極によって構成され、
前記第1のIDTの前記一方の櫛歯状電極は、前記第1端子と前記第1のフィルタ回路とを繋ぐ経路または前記第1のフィルタ回路の内部を通る経路に接続され、
前記第3のIDTの前記一方の櫛歯状電極は、前記第3端子と前記第3のフィルタ回路とを繋ぐ経路または前記第3のフィルタ回路の内部を通る経路に接続され、
前記第2のIDTの前記一方の櫛歯状電極は、前記第1の共通端子側経路、前記第3の共通端子側経路、または、前記第2の共通端子側経路に接続され、
前記第1のIDT、前記第2のIDTおよび前記第3のIDTのそれぞれの前記他方の櫛歯状電極は、グランドに接続される
請求項1に記載のマルチプレクサ。
【請求項4】
前記第2のIDTは、前記第1方向において前記第1のIDTと前記第3のIDTとの間に配置される
請求項1~3のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。
【請求項5】
前記第1のフィルタ回路の通過帯域外の減衰帯域、前記第3のフィルタ回路の通過帯域外の減衰帯域、および、前記第2のフィルタ回路の通過帯域は、少なくとも一部が重なっている
請求項1~3のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。
【請求項6】
前記第1のフィルタ回路および前記第3のフィルタ回路のそれぞれは、送信フィルタ用の回路であり、
前記第2のフィルタ回路は、受信フィルタ用の回路である
請求項1~3のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。
【請求項7】
前記第1のフィルタ回路と前記付加回路とを繋ぐ経路、および、前記第3のフィルタ回路と前記付加回路とを繋ぐ経路のそれぞれに、リアクタンス素子が設けられている
請求項1~3のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。
【請求項8】
前記3以上のIDTは、前記第1のIDT、前記第2のIDTおよび前記第3のIDTからなる3つのIDTである
請求項1~3のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3以上のフィルタ回路を備えるマルチプレクサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話のデータ伝送速度を向上させるために、マルチバンドシステムが用いられている。その際、複数の周波数帯域の送受信を行う場合があるため、携帯電話のフロントエンド回路には、異なる周波数帯域の高周波信号を通過させる複数のフィルタ回路が配置される。この場合、上記複数のフィルタ回路には、通過帯域外の減衰帯域において十分な減衰量を確保することが求められる。
【0003】
特許文献1の
図10には、2つの送信フィルタ回路と、2つの受信フィルタ回路と、2つのうちの1つの送信フィルタ回路に並列接続された付加回路と、を備えるマルチプレクサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、複数のフィルタ回路のそれぞれの減衰帯域における減衰量を確保するには、複数のフィルタ回路のそれぞれに付加回路を接続することが考えられる。しかしながら、複数のフィルタ回路に対応するように複数の付加回路を接続すると、複数の付加回路に含まれる反射器またはIDT(InterDigital Transducer)の合計数が多くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、付加回路に含まれる反射器またはIDTの合計数を減らすことができるマルチプレクサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るマルチプレクサは、通過帯域が互いに異なる3以上のフィルタ回路を備えるマルチプレクサであって、共通端子、第1端子、第2端子および第3端子と、前記第1端子と前記共通端子とを繋ぐ第1経路上に設けられた第1のフィルタ回路と、前記第2端子と前記共通端子とを繋ぐ第2経路上に設けられた第2のフィルタ回路と、前記第3端子と前記共通端子とを繋ぐ第3経路上に設けられた第3のフィルタ回路と、前記第1のフィルタ回路および前記第3のフィルタ回路のそれぞれに、少なくとも一部が並列接続された付加回路と、を備え、前記付加回路は、第1方向に沿って並ぶ3以上のIDTと、前記第1方向において前記3以上のIDTの両外側に設けられた2つの反射器と、を有し、前記3以上のIDTのうちの第1のIDTは、前記第1経路のうち、前記第1端子と前記第1のフィルタ回路とを繋ぐ経路または前記第1のフィルタ回路の内部を通る経路に接続され、前記3以上のIDTのうちの第3のIDTは、前記第3経路のうち、前記第3端子と前記第3のフィルタ回路とを繋ぐ経路または前記第3のフィルタ回路の内部を通る経路に接続され、前記3以上のIDTのうちの第2のIDTは、前記第1経路のうち前記第1のフィルタ回路と前記共通端子とを繋ぐ第1の共通端子側経路、前記第3経路のうち前記第3のフィルタ回路と前記共通端子とを繋ぐ第3の共通端子側経路、または、前記第2経路のうち前記第2のフィルタ回路と前記共通端子とを繋ぐ第2の共通端子側経路に接続される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、付加回路に含まれる反射器またはIDTの合計数を減らすことができるマルチプレクサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】比較例1のマルチプレクサの回路構成図である。
【
図2】実施の形態に係るマルチプレクサの回路構成図である。
【
図3】マルチプレクサに含まれる複数のフィルタ回路のそれぞれの通過特性を示す図である。
【
図4】マルチプレクサに含まれる付加回路のIDT群等を示す模式図である。
【
図5】比較例2のマルチプレクサの回路構成図である。
【
図6】実施例のマルチプレクサに含まれる付加回路のIDT群の電極パラメータを示す図である。
【
図7】マルチプレクサに含まれる第3のフィルタ回路の通過特性を示す図である。
【
図8】マルチプレクサに含まれる第1のフィルタ回路の通過特性を示す図である。
【
図9】実施の形態の変形例1に係るマルチプレクサの回路構成図である。
【
図10】実施の形態の変形例2に係るマルチプレクサの回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明に至る経緯)
本発明に至る経緯について、比較例1を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、比較例1のマルチプレクサ101の回路構成図である。
【0012】
比較例1のマルチプレクサ101は、第1のフィルタ回路F1と、第2のフィルタ回路F2と、第3のフィルタ回路F3と、2つの付加回路A101およびA102と、を備えている。第1のフィルタ回路F1、第2のフィルタ回路F2および第3のフィルタ回路F3は、通過帯域が互いに異なっている。
【0013】
2つの付加回路のうちの一方の付加回路A101は、2つのIDT110、120、および、2つの反射器191、192によって構成されている。また、他方の付加回路A102は、2つのIDT130、140、および、2つの反射器193、194によって構成されている。一方の付加回路A101は、第1のフィルタ回路F1に並列接続され、他方の付加回路A102は、第3のフィルタ回路F3に並列接続されている。
【0014】
比較例1の構成によれば、第1のフィルタ回路F1の通過帯域外の減衰帯域における減衰量を確保し、また、第3のフィルタ回路F3の通過帯域外の減衰帯域における減衰量を確保することができる。しかしながら、比較例1では2つの付加回路が必要となり、付加回路A101、A102を構成する反射器およびIDT等の合計数が多くなる。この例では、4つの反射器および4つのIDTが必要となり、マルチプレクサ101のサイズが大きくなるという問題がある。
【0015】
本発明のマルチプレクサは、付加回路に含まれる反射器またはIDTの合計数を減らすため、以下に示す構成を有している。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図表を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施例は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施例における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさまたは大きさの比は、必ずしも厳密ではない。
【0017】
(実施の形態)
[マルチプレクサの構成]
本実施の形態に係るマルチプレクサの構成について、
図2~
図4を参照しながら説明する。
【0018】
図2は、実施の形態に係るマルチプレクサ1の回路構成図である。
【0019】
実施の形態に係るマルチプレクサ1は、通過帯域が互いに異なる3以上のフィルタ回路と、付加回路と、を備えている。
【0020】
図2に示すマルチプレクサ1は、第1のフィルタ回路F1と、第2のフィルタ回路F2と、第3のフィルタ回路F3と、1つの付加回路Aと、を備えている。また、マルチプレクサ1は、共通端子Tc、第1端子T1、第2端子T2および第3端子T3を備えている。
【0021】
共通端子Tcは、第1のフィルタ回路F1、第2のフィルタ回路F2および第3のフィルタ回路F3の共通の端子であり、アンテナに接続される。第1のフィルタ回路F1、第2のフィルタ回路F2および第の3フィルタ回路F3は、各フィルタ回路の引き出し線がノードnaで束ねられて共通端子Tcに接続されている。
【0022】
第1のフィルタ回路F1は、第1端子T1と共通端子Tcとを繋ぐ第1経路r1上に設けられている。例えば、第1のフィルタ回路F1は、第1端子T1に入力された送信波を第1の通過帯域でフィルタリングして共通端子Tcへ出力する。
【0023】
第3のフィルタ回路F3は、第3端子T3と共通端子Tcとを繋ぐ第3経路r3上に設けられている。例えば、第3のフィルタ回路F3は、第3端子T3に入力された送信波を第3の通過帯域でフィルタリングして共通端子Tcへ出力する。
【0024】
第2のフィルタ回路F2は、第2端子T2と共通端子Tcとを繋ぐ第2経路r2上に設けられている。例えば、第2のフィルタ回路F2は、共通端子Tcに入力された受信波を第2の通過帯域でフィルタリングして第2端子T2へ出力する。
【0025】
各フィルタ回路F1、F2、F3は、複数の直列腕共振子と複数の並列腕共振子とによって構成される。複数の直列腕共振子は、互いに直列に接続され、複数の並列腕共振子は、隣り合う直列腕共振子の間のノードと基準端子(グランド)との間の経路上に配置されている。直列腕共振子および並列腕共振子の上記の接続構成により、各フィルタ回路F1、F2、F3は、ラダー型のバンドパスフィルタを構成している。なお、並列腕共振子とグランドとの間に、インダクタなどの回路素子が挿入されてもよい。また、第2のフィルタ回路F2は、縦結合型共振回路を含んでいてもよいし、LCフィルタであってもよい。
【0026】
図3は、マルチプレクサ1に含まれる複数のフィルタ回路F1、F2、F3のそれぞれの通過特性を示す図である。
【0027】
例えば、第1のフィルタ回路F1は、703MHz-748MHzを通過帯域(Band28Tx)とする送信フィルタ用の回路である。第3のフィルタ回路F3は、832MHz-862MHzを通過帯域(Band20Tx)とする送信フィルタ用の回路である。第2のフィルタ回路F2は、758MHz-821MHzを通過帯域(Band20Rx+Band28Rx)とする受信フィルタ用の回路である。第2のフィルタ回路F2は、2つの送信フィルタに対応する共用の受信フィルタとして用いられている。
【0028】
この例では、第2のフィルタ回路F2の通過帯域は、第1のフィルタ回路F1の通過帯域よりも高く、第3のフィルタ回路F3の通過帯域よりも低くなっている。また、第1のフィルタ回路F1の減衰帯域、第3のフィルタ回路F3の減衰帯域、および、第2のフィルタ回路F2の通過帯域は、少なくとも一部が互いに重なっている。また、第1のフィルタ回路F1の通過帯域よりも高周波側の減衰帯域の一部は、第3のフィルタ回路F3の通過帯域に重なっている。第3のフィルタ回路F3の通過帯域よりも低周波側の減衰帯域の一部は、第1のフィルタ回路F1の通過帯域に重なっている。
【0029】
図2に示す付加回路Aは、フィルタ回路の通過帯域外の減衰量を確保するため、フィルタ回路と逆位相・同振幅の相殺成分を有するキャンセル回路である。
図2に示すように、付加回路Aは、第1のフィルタ回路F1および第3のフィルタ回路F3のそれぞれに並列接続されている。このマルチプレクサ1では、付加回路Aに含まれる反射器またはIDTの合計数を減らすため、1つの付加回路Aが2つのフィルタ回路F1およびF3で共用されている。
【0030】
付加回路Aは、3つのIDTと、3つのIDTの両外側に設けられた2つの反射器と、によって構成されるIDT群Gを有している。IDT群Gは、例えば、縦結合型の弾性波共振器である。3つのIDTは、第1のIDT10、第2のIDT20および第3のIDT30によって構成されている。この例では、付加回路Aが備えるIDTの数が、マルチプレクサ1が備える複数のフィルタ回路の数と同じ数(3つ)になっている。
【0031】
第1のIDT10は、第1経路r1のうち、第1端子T1と第1のフィルタ回路F1とを繋ぐ経路に接続される。この例では第1のIDT10は、リアクタンス素子C1を介して、第1端子T1と第1のフィルタ回路F1とを繋ぐ経路上のノードn1に接続されている。なお、第1のIDT10は、第1経路r1のうち、第1のフィルタ回路F1の内部を通る経路に接続されてもよい。上記において内部を通る経路に接続されているとは、第1のIDT10が、第1のフィルタ回路F1内にて互いに隣り合う2つの直列腕共振子の間に接続されていることを意味する。
【0032】
第3のIDT30は、第3経路r3のうち、第3端子T3と第3のフィルタ回路F3とを繋ぐ経路に接続される。この例では第3のIDT30は、リアクタンス素子C3を介して、第3端子T3と第3のフィルタ回路F3とを繋ぐ経路上のノードn3に接続されている。なお、第3のIDT30は、第3経路r3のうち、第3のフィルタ回路F3の内部を通る経路に接続されてもよい。上記において内部を通る経路に接続されているとは、第3のIDT30が、第3のフィルタ回路F3内にて互いに隣り合う2つの直列腕共振子の間に接続されていることを意味する。
【0033】
第2のIDT20は、第1経路r1のうち第1のフィルタ回路F1と共通端子Tcとを繋ぐ第1の共通端子側経路r1p、第3経路r3のうち第3のフィルタ回路F3と共通端子Tcとを繋ぐ第3の共通端子側経路r3p、または、第2経路r2のうち第2のフィルタ回路F2と共通端子Tcとを繋ぐ第2の共通端子側経路r2pに接続される。なお、第1の共通端子側経路r1p、第3の共通端子側経路r3pおよび第2の共通端子側経路r2pは、同電位である。
【0034】
この例では、第2のIDT20は、第1のフィルタ回路F1と共通端子Tcとを繋ぐ経路上のノードn2に接続されている。なお、第2のIDT20は、ノードnaに接続されてもよいし、第2のフィルタ回路F2、第3のフィルタ回路F3および共通端子Tcを繋ぐ経路上のノードnbに接続されてもよい。また、第2のIDT20は、他のリアクタンス素子を介してノードn2に接続されてもよい(図示省略)。
【0035】
図4は、マルチプレクサ1に含まれる付加回路AのIDT群G等を示す模式図である。
【0036】
同図には、IDTおよび反射器が形成される圧電性基板に対して垂直な方向からIDT群Gを見た図が示されている。同図に示す第1方向d1は、圧電性基板の主面に沿う方向であって、IDTの弾性波が伝搬する方向である。第2方向d2は、圧電性基板の主面に沿う方向であって、第1方向d1と直交する方向である。
【0037】
IDT群Gは、第1方向d1に沿って並ぶ3つのIDT10、20および30と、第1方向d1において3つのIDT10~30の両外側に設けられた2つの反射器91および92と、を有している。
【0038】
2つの反射器は、第1の反射器91および第2の反射器92によって構成されている。2つの反射器91、92のそれぞれは、第2方向d2に延びるように配置された複数の反射電極指と、複数の反射電極指の一端同士を接続するバスバー電極と、によって構成されている。複数の反射電極指は、第1方向d1に沿って所定のピッチで配列されている。
【0039】
3つのIDTは、第1方向d1において、第1のIDT10、第2のIDT20および第3のIDT30の順で配置されている。つまり、第2のIDT20は、第1方向d1において第1のIDT10と第3のIDT30との間に配置されている。
【0040】
3つのIDT10~30のそれぞれは、互いに対向する一対の櫛歯状電極を有している。一対の櫛歯状電極は、一方の櫛歯状電極および他方の櫛歯状電極によって構成されている。具体的には、IDT10の一対の櫛歯状電極は、一方の櫛歯状電極10aおよび他方の櫛歯状電極10bによって構成されている。IDT20の一対の櫛歯状電極は、一方の櫛歯状電極20aおよび他方の櫛歯状電極20bによって構成されている。IDT30の一対の櫛歯状電極は、一方の櫛歯状電極30aおよび他方の櫛歯状電極30bによって構成されている。
【0041】
一方の櫛歯状電極は、第1方向d1と交差する第2方向d2に延びるように配置された複数の電極指と、当該複数の電極指のそれぞれの一端同士を接続するバスバー電極と、によって構成されている。他方の櫛歯状電極は、第2方向d2に延びるように配置された複数の電極指と、当該複数の電極指のそれぞれの一端同士を接続するバスバー電極と、によって構成されている。これらの電極指は、第1方向d1に沿って所定のピッチで配列されている。これらの電極指は、第1方向d1から見た場合、電極指の一部が互いに重なっている。
【0042】
一方の櫛歯状電極10a、20a、30aのバスバー電極は、電極指の一部が重なる領域である交叉領域から見て、第2方向d2のマイナス側に配置されている。他方の櫛歯状電極10b、20b、30bのバスバー電極は、上記の交叉領域から見て、第2方向d2のプラス側に配置されている。すなわち、一方の櫛歯状電極10a、20a、30aと他方の櫛歯状電極10b、20b、30bとは、交叉領域を基準として反対方向および反対の向きに配置されている。
【0043】
第1のIDT10、第2のIDT20および第3のIDT30のそれぞれの他方の櫛歯状電極10b、20b、30bは、他方の櫛歯状電極10b、20b、30bのそれぞれに接続された引き出し配線を介してグランドに接続される。
【0044】
第1のIDT10、第2のIDT20および第3のIDT30のそれぞれの一方の櫛歯状電極10a、20a、30aは、一方の櫛歯状電極10a、20a、30aのそれぞれに接続された引き出し配線を介して信号線に接続される。具体的には、第1のIDT10の一方の櫛歯状電極10aは、引き出し配線およびリアクタンス素子C1を介してノードn1に接続されている。第3のIDT30の一方の櫛歯状電極30aは、引き出し配線およびリアクタンス素子C3を介してノードn3に接続されている。第2のIDT20の一方の櫛歯状電極20aは、引き出し配線を介してノードn2に接続されている。
【0045】
付加回路Aは、第1のフィルタ回路F1の通過帯域外の減衰帯域のうちの所定の帯域において、第1のフィルタ回路F1と逆位相・同振幅の相殺成分をノードn2に出力する。これにより、第1のフィルタ回路F1の減衰帯域おける減衰量を確保することができる。また、付加回路Aは、第3のフィルタ回路F3の通過帯域外の減衰帯域のうちの所定の帯域において、第3のフィルタ回路F3と逆位相・同振幅の相殺成分をノードn2に出力する。これにより、第3のフィルタ回路F3の減衰帯域おける減衰量を確保することができる。
【0046】
本実施の形態の付加回路Aでは、第1のIDT10が、第1端子T1と第1のフィルタ回路F1とを繋ぐ経路に接続され、第3のIDT30が、第3端子T3と第3のフィルタ回路F3とを繋ぐ経路に接続され、第2のIDT20が、第1の共通端子側経路r1p、第3の共通端子側経路r3pまたは第2の共通端子側経路r2pに接続されている。
【0047】
上記構成を有するマルチプレクサ1によれば、1つの付加回路Aにて、2つのフィルタ回路F1およびF3に接続される2つの付加回路と同等の機能を実現することができる。これにより、付加回路Aに含まれる反射器またはIDTの合計数を減らすことができる。この例では、付加回路Aが、2つの反射器および3つのIDTによって構成され、比較例2よりも反射器およびIDTの合計数を減らすことができる。
【0048】
[フィルタ回路の通過帯域外の減衰帯域における減衰量]
フィルタ回路の通過帯域外の減衰帯域における減衰量について説明する。ここでは比較例2と、実施の形態の一例である実施例とを比べながら説明する。
【0049】
図5は、比較例2のマルチプレクサ102の回路構成図である。
【0050】
図5に示すように、比較例2のマルチプレクサ102は、付加回路を備えておらず、3つのフィルタ回路F1、F2およびF3のみを備えている。
【0051】
実施例のマルチプレクサ1は、3つのフィルタ回路F1、F2およびF3と、上記の付加回路Aとを備えている。
【0052】
図6は、実施例のマルチプレクサ1に含まれる付加回路AのIDT群Gの電極パラメータを示す図である。
【0053】
図6には、IDT群を構成する3つのIDT10、20、30および2つの反射器91、92のそれぞれの電極パラメータが示されている。同図には、電極パラメータとして、IDTまたは反射器の波長、IDT電極の交叉幅、対数、デューティおよび電極間ギャップが示されている。なお、各IDT10、20、30については、各IDTのメインとなるメイン部分、および、メイン部分よりも電極指の配列ピッチが短い狭ピッチ部分のそれぞれの電極パラメータが示されている。
【0054】
上記の条件において、比較例2および実施例のマルチプレクサのフィルタ回路の減衰帯域における減衰量について説明する。
【0055】
図7は、第3のフィルタ回路F3の通過特性を示す図である。なお、
図7には付加回路Aも含めた第3のフィルタ回路F3の通過特性が示されている。
【0056】
図7に示すように、第3のフィルタ回路F3の減衰帯域のうち同図に示すM3-M4間の帯域では、実施例のほうが比較例2よりも減衰量(同図に示す挿入損失)が大きくなっている。具体的には、実施例のほうが比較例2よりもM3-M4間における減衰量のワースト値が小さくなっている。このように、第3のフィルタ回路F3に上記の付加回路Aを接続することで、第3のフィルタ回路F3の減衰帯域における減衰量を確保することができる。
【0057】
図8は、第1のフィルタ回路F1の通過特性を示す図である。なお、
図8には付加回路Aも含めた第1のフィルタ回路F1の通過特性が示されている。
【0058】
図8に示すように、第1のフィルタ回路F1の減衰帯域のうち同図に示すm3-m4間の帯域では、実施例のほうが比較例2よりも減衰量が大きくなっている。具体的には、実施例のほうが比較例2よりもm3-m4間における減衰量のワースト値が小さくなっている。このように、第1のフィルタ回路F1に上記の付加回路Aを接続することで、第1のフィルタ回路F1の減衰帯域における減衰量を確保することができる。
【0059】
[実施の形態の変形例1]
実施の形態の変形例1に係るマルチプレクサ1Aの構成について説明する。変形例1では、付加回路Aaが5つのIDTを備えている例について説明する。
【0060】
図9は、実施の形態の変形例1に係るマルチプレクサ1Aの回路構成図である。
【0061】
変形例1のマルチプレクサ1Aは、第1のフィルタ回路F1と、第2のフィルタ回路F2と、第3のフィルタ回路F3と、1つの付加回路Aaと、を備えている。また、マルチプレクサ1Aは、共通端子Tc、第1端子T1、第2端子T2および第3端子T3を備えている。
【0062】
付加回路Aaは、5つのIDTと、5つのIDTの両外側に設けられた2つの反射器と、によって構成されるIDT群Gaを有している。IDT群Gaは、例えば、縦結合型の弾性波共振器である。5つのIDTは、第1のIDT10、第2のIDT20、第3のIDT30、第4のIDT40および第5のIDT50によって構成されている。5つのIDTは、第1方向d1において、第1のIDT10、第4のIDT40、第2のIDT20、第5のIDT50および第3のIDT30の順で配置されている。
【0063】
第1のIDT10は、第1経路r1のうち、第1端子T1と第1のフィルタ回路F1とを繋ぐ経路に接続される。この例では第1のIDT10は、第1端子T1と第1のフィルタ回路F1とを繋ぐ経路上のノードn1に接続されている。
【0064】
第4のIDT40は、第1経路r1のうち、第1のフィルタ回路F1の内部を通る経路に接続されている。
【0065】
第3のIDT30は、第3経路r3のうち、第3端子T3と第3のフィルタ回路F3とを繋ぐ経路に接続される。この例では第3のIDT30は、第3端子T3と第3のフィルタ回路F3とを繋ぐ経路上のノードn3に接続されている。
【0066】
第5のIDT50は、第3経路r3のうち、第3のフィルタ回路F3の内部を通る経路に接続されている。
【0067】
第2のIDT20は、第1経路r1のうちの第1の共通端子側経路r1p、第3経路r3のうちの第3の共通端子側経路r3p、または、第2経路r2のうちの第2の共通端子側経路r2pに接続される。この例では、第2のIDT20は、ノードn2に接続されている。なお、第2のIDT20は、ノードnaに接続されてもよいし、ノードnbに接続されてもよい。
【0068】
変形例1のマルチプレクサ1Aによれば、1つの付加回路Aaにて、2つのフィルタ回路F1およびF3に接続される2つの付加回路と同等の機能を実現することが可能である。これにより、付加回路Aaに含まれる反射器の合計数を減らすことができる。この例では、付加回路Aaが、2つの反射器、5つのIDTによって構成され、比較例2よりも反射器の合計数を減らすことができる。
【0069】
[実施の形態の変形例2]
実施の形態の変形例2に係るマルチプレクサ1Bの構成について説明する。変形例2では、付加回路Abが4つのIDTを備えている例について説明する。
【0070】
図10は、実施の形態の変形例2に係るマルチプレクサ1Bの回路構成図である。
【0071】
変形例2のマルチプレクサ1Bは、第1のフィルタ回路F1と、第2のフィルタ回路F2と、第3のフィルタ回路F3と、1つの付加回路Abと、を備えている。また、マルチプレクサ1Bは、共通端子Tc、第1端子T1、第2端子T2および第3端子T3を備えている。
【0072】
付加回路Abは、4つのIDTと、4つのIDTの両外側に設けられた2つの反射器と、によって構成されるIDT群Gbを有している。IDT群Gbは、例えば、縦結合型の弾性波共振器である。4つのIDTは、第1のIDT10、第2のIDT20、第3のIDT30および第4のIDT41によって構成されている。4つのIDTは、第1方向d1において、第1のIDT10、第2のIDT20、第3のIDT30および第4のIDT41の順で配置されている。
【0073】
第1のIDT10は、第1経路r1のうち、第1端子T1と第1のフィルタ回路F1とを繋ぐ経路に接続される。この例では第1のIDT10は、第1端子T1と第1のフィルタ回路F1とを繋ぐ経路上のノードn1に接続されている。
【0074】
第3のIDT30は、第3経路r3のうち、第3端子T3と第3のフィルタ回路F3とを繋ぐ経路に接続される。この例では第3のIDT30は、第3端子T3と第3のフィルタ回路F3とを繋ぐ経路上のノードn3に接続されている。
【0075】
第2のIDT20は、第1経路r1のうちの第1の共通端子側経路r1p、第3経路r3のうちの第3の共通端子側経路r3p、または、第2経路r2のうちの第2の共通端子側経路r2pに接続される。この例では、第2のIDT20は、ノードn2に接続されている。なお、第2のIDT20は、ノードnaに接続されてもよいし、ノードnbに接続されてもよい。
【0076】
第4のIDT41は、どの経路にも接続されておらず、浮き電極となっている。
【0077】
変形例2のマルチプレクサ1Bによれば、1つの付加回路Abにて、2つのフィルタ回路F1およびF3に接続される2つの付加回路と同等の機能を実現することが可能である。これにより、付加回路Abに含まれる反射器またはIDTの合計数を減らすことができる。この例では、付加回路Abが、2つの反射器、4つのIDTによって構成され、比較例2よりも反射器の合計数を減らすことができる。
【0078】
(まとめ)
本発明の一態様に係るマルチプレクサの構成を以下に例示する。
【0079】
[例1]本発明の一態様に係るマルチプレクサ1は、通過帯域が互いに異なる3以上のフィルタ回路を備えるマルチプレクサである。マルチプレクサ1は、共通端子Tc、第1端子T1、第2端子T2および第3端子T3と、第1端子T1と共通端子Tcとを繋ぐ第1経路r1上に設けられた第1のフィルタ回路F1と、第2端子T2と共通端子Tcとを繋ぐ第2経路r2上に設けられた第2のフィルタ回路F2と、第3端子T3と共通端子Tcとを繋ぐ第3経路r3上に設けられた第3のフィルタ回路F3と、第1のフィルタ回路F1および第3のフィルタ回路F3のそれぞれに、少なくとも一部が並列接続された付加回路Aと、を備える。付加回路Aは、第1方向d1に沿って並ぶ3以上のIDTと、第1方向d1において3以上のIDTの両外側に設けられた2つの反射器91、92と、を有する。3以上のIDTのうちの第1のIDT10は、第1経路r1のうち、第1端子T1と第1のフィルタ回路F1とを繋ぐ経路または第1のフィルタ回路F1の内部を通る経路に接続される。3以上のIDTのうちの第3のIDT30は、第3経路r3のうち、第3端子T3と第3のフィルタ回路F3とを繋ぐ経路または第3のフィルタ回路F3の内部を通る経路に接続される。3以上のIDTのうちの第2のIDT20は、第1経路r1のうち第1のフィルタ回路F1と共通端子Tcとを繋ぐ第1の共通端子側経路r1p、第3経路r3のうち第3のフィルタ回路F3と共通端子Tcとを繋ぐ第3の共通端子側経路r3p、または、第2経路r2のうち第2のフィルタ回路F2と共通端子Tcとを繋ぐ第2の共通端子側経路r2pに接続される。
【0080】
この構成によれば、1つの付加回路Aにて、2つのフィルタ回路F1およびF3に接続される2つの付加回路と同等の機能を実現することができる。これにより、付加回路Aに含まれる反射器またはIDTの合計数を減らすことができる。また、マルチプレクサ1のサイズを小さくすることが可能である。
【0081】
[例2]第1の共通端子側経路r1p、第3の共通端子側経路r3pおよび第2の共通端子側経路r2pは、同電位である。
【0082】
これによれば、第2のIDT20の接続先を複数の選択肢の中から選ぶことができ、マルチプレクサの回路設計を行う際の自由度を上げることができる。また、第2のIDT20から引き出す配線の引き回しを簡素化することができる。これにより、マルチプレクサ1のサイズを小さくすることが可能である。例2の構成は、例1に適用可能である。
【0083】
[例3]3以上のIDTのそれぞれは、一対の櫛歯状電極を有する。一対の櫛歯状電極は、一方の櫛歯状電極および他方の櫛歯状電極によって構成される。第1のIDT10の一方の櫛歯状電極10aは、第1端子T1と第1のフィルタ回路F1とを繋ぐ経路または第1のフィルタ回路F1の内部を通る経路に接続される。第3のIDT30の一方の櫛歯状電極30aは、第3端子T3と第3のフィルタ回路F3とを繋ぐ経路または第3のフィルタ回路F3の内部を通る経路に接続される。第2のIDT20の一方の櫛歯状電極20aは、第1の共通端子側経路r1p、第3の共通端子側経路r3p、または、第2の共通端子側経路r2pに接続される。第1のIDT10、第2のIDT20および第3のIDT30のそれぞれの他方の櫛歯状電極10b、20bおよび30bは、グランドに接続される。
【0084】
この構成によれば、複数の一方の櫛歯状電極をそれぞれの信号経路に接続し、複数の他方の櫛歯状電極をまとめグランドに接続することができ、IDTから引き出す配線の引き回しを簡素化することができる。これにより、マルチプレクサ1のサイズを小さくすることが可能である。例3の構成は、例1または例2に適用可能である。
【0085】
[例4]第2のIDT20は、第1方向d1において第1のIDT10と第3のIDT30との間に配置される。
【0086】
例えば、IDT10および20の間にIDT30を配置すると、IDT20、30から信号経路に引き出す配線を立体クロスさせる必要があるが、上記の構成によれば、IDT10、20、30から信号経路に引き出す配線を、クロスさせることなく引き回すことができる。これにより、配線の引き回しを簡素化することができる。例4の構成は、例1~例3のいずれかに適用可能である。
【0087】
[例5]第1のフィルタ回路F1の通過帯域外の減衰帯域、第3のフィルタ回路F3の通過帯域外の減衰帯域は、および、第2のフィルタ回路F2の通過帯域は、少なくとも一部が重なっている。
【0088】
これによれば、第1のフィルタ回路F1および第3のフィルタ回路F3に接続する付加回路Aを共用することができ、付加回路Aに含まれる反射器またはIDTの合計数を減らすことができる。また、第2のフィルタ回路F2の通過帯域において挿入損失が低下することを抑制できる。例5の構成は、例1~例4のいずれかに適用可能である。
【0089】
[例6]第1のフィルタ回路F1および第3のフィルタ回路F3のそれぞれは、送信フィルタ用の回路であり、第2のフィルタ回路F2は、受信フィルタ用の回路である。
【0090】
これによれば、送信フィルタの通過帯域外の減衰帯域における減衰量を確保し、受信フィルタの通過帯域において挿入損失が低下することを抑制できる。例6の構成は、例1~例5のいずれかに適用可能である。
【0091】
[例7]第1のフィルタ回路F1と付加回路Aとを繋ぐ経路、および、第3のフィルタ回路F3と付加回路Aとを繋ぐ経路のそれぞれに、リアクタンス素子C1、C3が設けられている。
【0092】
これによれば、減衰帯域における減衰量の調整を簡易に行うことが可能となる。例7の構成は、例1~例6のいずれかに適用可能である。
【0093】
[例8]
3以上のIDTは、第1のIDT10、第2のIDT20および第3のIDT30からなる3つのIDTである。
【0094】
この構成によれば、比較例1に比べて、付加回路Aに含まれる反射器またはIDTの合計数を減らすことができる。これにより、マルチプレクサ1のサイズを小さくすることが可能である。例8の構成は、例1~例7のいずれかに適用可能である。
【0095】
(その他の実施の形態など)
以上、本発明の実施の形態に係るマルチプレクサについて、実施の形態および実施例を挙げて説明したが、本発明のマルチプレクサは、上記実施の形態および実施例に限定されるものではない。上記実施の形態および実施例における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる実施例や、本発明のマルチプレクサを内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0096】
例えば、本発明に係るマルチプレクサのフィルタ回路を構成する共振子は、例えば、弾性表面波共振子であるが、それに限られず、弾性境界波を利用した弾性波共振子であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、マルチバンド化およびマルチモード化された周波数規格に適用できる低損失のマルチプレクサとして、携帯電話などの通信機器に広く利用できる。
【符号の説明】
【0098】
1、1A、1B マルチプレクサ
10 第1のIDT
10a 一方の櫛歯状電極
10b 他方の櫛歯状電極
20 第2のIDT
20a 一方の櫛歯状電極
20b 他方の櫛歯状電極
30 第3のIDT
30a 一方の櫛歯状電極
30b 他方の櫛歯状電極
40、41 第4のIDT
50 第5のIDT
91 第1の反射器
92 第2の反射器
A、Aa、Ab 付加回路
C1、C3 リアクタンス素子
d1 第1方向
d2 第2方向
F1 第1のフィルタ回路
F2 第2のフィルタ回路
F3 第3のフィルタ回路
G、Ga、Gb IDT群
n1、n2、n3、na、nb ノード
r1 第1経路
r1p 第1の共通端子側経路
r2 第2経路
r2p 第2の共通端子側経路
r3 第3経路
r3p 第3の共通端子側経路
Tc 共通端子
T1 第1端子
T2 第2端子
T3 第3端子