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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147230
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】遠隔操作式フック
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/34 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B66C1/34 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060108
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】591075630
【氏名又は名称】株式会社アクティオ
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】林 伸洋
(72)【発明者】
【氏名】多々良 憲司
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004AA07
3F004AA08
3F004AB12
3F004AF06
3F004AG01
3F004CD09
3F004DA04
(57)【要約】
【課題】使用現場の環境に影響を受けることなく、より確実に、玉掛け状態の維持および解除を実行可能とすること。
【解決手段】遠隔操作によって、吊り荷の玉掛けを解除可能な、遠隔操作式フックであって、本体部10、フック部20、ホールド部30、ロック部40、ロック解除部50およびホールド解除部60を少なくとも具備する。本体部10に対し上方に回動させたフック部20を、本体部10に対し下方に回動させたホールド部30でもって拘束しつつ、ロック部40でホールド部30の上方への回動を規制することで、吊り荷側係留部21を維持する。また、ロック解除部50の引張操作に伴うロック部40のフック部20からの撤去と、ホールド解除部60の引張操作に伴うホールド部30の上方への回動によって吊り荷側係留部21を解放することで、吊り荷の玉掛けを解除できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作によって、吊り荷の玉外しを実行可能な、遠隔操作式フックであって、
本体部、フック部、ホールド部、ロック部、ロック解除部およびホールド解除部、を少なくとも具備し、
前記本体部は、前記本体部の上端側に重機側係留部を有し、
前記フック部は、前記本体部の下端側で回動自在に取り付けてあり、
前記ホールド部は、前記本体部の中間側で回動自在に取り付けてあり、
前記ロック部は、前記本体部、前記フック部および前記ホールド部のうち少なくとも何れかの部材に着脱自在に構成し、
前記ロック解除部は、前記ロック部に接続してあり、
前記ホールド解除部は、前記ホールド部に接続してあり、
上方に回動させた前記フック部を、下方に回動させた前記ホールド部でもって拘束して吊り荷側係留部を形成しつつ、前記本体部、前記フック部および前記ホールド部のうち少なくとも何れかの部材に取り付けた前記ロック部で、前記ホールド部の上方への回動を規制することで、前記吊り荷側係留部を維持し、
前記ロック解除部の引張操作に伴う前記ロック部の撤去、および、前記ホールド解除部の引張操作に伴う前記ホールド部の上方への回動によって、前記吊り荷側係留部を解放可能としたことを特徴とする、
遠隔操作式フック。
【請求項2】
前記ロック部が、
前記本体部、前記フック部および前記ホールド部のうち少なくとも何れかの部材に設ける貫通孔へと挿入可能な、挿入部と、
前記貫通孔に挿入した前記挿入部に取り付けて、前記貫通孔からの前記挿入部の抜け出しを抑制する、抑制部と、
前記挿入部に設け、前記抑制部の撤去時に、前記貫通孔からの前記挿入部の抜け出しを促進する、抜け促進部と、を少なくとも有することを特徴とする、
請求項1に記載の遠隔操作式フック。
【請求項3】
前記ロック部が、
前記本体部、前記フック部および前記ホールド部のうち少なくとも何れかの部材に設ける貫通孔へと挿入可能な、挿入部と、
前記貫通孔に挿入した前記挿入部に取り付けて、前記貫通孔からの前記挿入部の抜け出しを抑制する、抑制部と、を少なくとも有し、
前記ロック解除部が、前記抑制部に接続されていることを特徴とする、
請求項1に記載の遠隔操作式フック。
【請求項4】
前記ロック部が、
前記本体部、前記フック部および前記ホールド部のうち少なくとも何れかの部材に設ける貫通孔へと挿入可能な、挿入部と、
前記貫通孔に挿入した前記挿入部に取り付けて、前記貫通孔からの前記挿入部の抜け出しを抑制する、抑制部と、を少なくとも有し、
前記ロック解除部が、前記挿入部および前記抑制部のそれぞれに接続されていることを特徴とする、
請求項1に記載の遠隔操作式フック。
【請求項5】
前記ロック解除部および前記ホールド解除部が、1本の引張用部材から分岐してあり、
前記引張用部材の引張操作時に、前記ホールド解除部よりも先行して、前記ロック解除部に引張が生じるよう構成してあることを特徴とする、
請求項1に記載の遠隔操作式フック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作によって吊り荷の玉外しを実行可能な、遠隔操作式フックに関する。
【背景技術】
【0002】
河川や海などの水中の所定箇所に吊り荷を設置する工事にあっては、吊り荷の設置後に、ダイバーによる水中での玉外し作業を行う必要がある。
このダイバーの潜水作業は危険が伴うことから、より安全に玉外し作業が可能な手法の考案が求められている。
【0003】
遠隔操作で玉外し作業を行う方法として、特許文献1には、吊り荷として消波根固ブロックなどを想定する、遠隔操作式のフックが開示されている。
このフックは、本体、回転体、ロックアームからなり、ロックアームの自重でもって、上方に回転させた回転体を位置決めし、ロックアームを操作ワイヤ等で引っ張って上方に回転させることで、回転体の位置決めを解放し、回転体の自重による下方の回転によって玉外しを行うように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-23122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のフックは、ロックアームの自重による回転動作を前提とするものであるため、浮力が生じる水中下での使用や、水中外であっても、他部材との接触等などの予期せぬ外力の発生によって、ロックアームによる回転体の位置決めが不安定となる、という問題があった。
【0006】
よって、本発明は、使用現場の環境に影響を受けることなく、より確実に、玉掛け状態の維持および玉外し作業を実行可能な手段の提供を目的の一つとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべくなされた本願発明は、遠隔操作によって、吊り荷の玉外しを実行可能な、遠隔操作式フックであって、本体部、フック部、ホールド部、ロック部、ロック解除部およびホールド解除部、を少なくとも具備し、前記本体部は、前記本体部の上端側に重機側係留部を有し、前記フック部は、前記本体部の下端側で回動自在に取り付けてあり、前記ホールド部は、前記本体部の中間側で回動自在に取り付けてあり、前記ロック部は、前記本体部、前記フック部および前記ホールド部のうち少なくとも何れかの部材に着脱自在に構成し、前記ロック解除部は、前記ロック部に接続してあり、前記ホールド解除部は、前記ホールド部に接続してあり、上方に回動させた前記フック部を、下方に回動させた前記ホールド部でもって拘束して吊り荷側係留部を形成しつつ、前記本体部、前記フック部および前記ホールド部のうち少なくとも何れかの部材に取り付けた前記ロック部で、前記ホールド部の上方への回動を規制することで、前記吊り荷側係留部を維持し、前記ロック解除部の引張操作に伴う前記ロック部の撤去、および、前記ホールド解除部の引張操作に伴う前記ホールド部の上方への回動によって、前記吊り荷側係留部を解放可能としたことを特徴とする。
また、本願発明は、前記ロック部を、前記本体部、前記フック部および前記ホールド部のうち少なくとも何れかの部材に設ける貫通孔へと挿入可能な、挿入部と、前記貫通孔に挿入した前記挿入部に取り付けて、前記貫通孔からの前記挿入部の抜け出しを抑制する、抑制部と、前記挿入部に設け、前記抑制部の撤去時に、前記貫通孔からの前記挿入部の抜け出しを促進する、抜け促進部と、を少なくとも有するよう構成することができる。
また、本願発明は、前記ロック部を、前記本体部、前記フック部および前記ホールド部のうち少なくとも何れかの部材に設ける貫通孔へと挿入可能な、挿入部と、前記貫通孔に挿入した前記挿入部に取り付けて、前記貫通孔からの前記挿入部の抜け出しを抑制する、抑制部と、を少なくとも有するものとし、前記ロック解除部が前記抑制部に接続されているよう構成することができる。
また、本願発明は、前記ロック部を、前記本体部、前記フック部および前記ホールド部のうち少なくとも何れかの部材に設ける貫通孔へと挿入可能な、挿入部と、前記貫通孔に挿入した前記挿入部に取り付けて、前記貫通孔からの前記挿入部の抜け出しを抑制する、抑制部と、を少なくとも有するものとし、前記ロック解除部が、前記挿入部および前記抑制部のそれぞれに接続されているよう構成することができる。
また、本願発明は、前記ロック解除部および前記ホールド解除部が、1本の引張用部材から分岐してあり、前記引張用部材の引張操作時に、前記ホールド解除部よりも先行して、前記ロック解除部に引張が生じるよう構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下に記載する効果のうち、少なくとも何れか1つの効果を奏する。
(1)ロック部によってホールド部の上方の回動を規制することによって、水中下で生じる浮力などの外力によってホールド部が意図せず上方に回動してしまう恐れを防止できる。
(2)ロック部を、挿入部と、挿入部に取り付ける抑制部とで構成することにより、簡易な構造で、ホールド部の上方への回動を規制できる。
(3)ロック解除部およびホールド解除部の引張操作によって、容易に玉外しを行うことができる。
(4)ロック部に抜け促進部を設けることにより、本体部等からの挿入部の抜け出し動作をより確実に実行することができる。
(5)ロック解除部およびホールド解除部を1本の引張用部材から分岐させて構成することにより、遠隔操作式フック周辺のワイヤ本数をできる限り減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る遠隔操作式フックの係留姿勢を示す概略図。
図2】実施例1に係るロック部の構造例を示す概略図。
図3】実施例1に係る遠隔操作式フックの係留姿勢の解放状態を示す概略図。
図4】変形例1に係る遠隔操作式フックを示す概略図。
図5】変形例2に係る遠隔操作式フックを示す概略図(1)。
図6】変形例2に係る遠隔操作式フックを示す概略図(2)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【実施例0011】
<1>全体構成(図1
本発明に係る遠隔操作式フックは、クレーンなどの重機と、吊り荷との間に介在させて使用する治具である。
本発明に係る遠隔操作式フックAは、本体部10、フック部20、ホールド部30、ロック部40、ロック解除部50およびホールド解除部60を少なくとも具備して構成する。
以下、各部の詳細について説明する。
【0012】
<2>本体部(図1
本体部10は、本発明に係る遠隔操作式フックAにおいて、各部との取り付け機構を設けるための部材である。
本体部10は、鉛直方向を上下方向と定義したときに、上端側に、重機側から延びるワイヤ(重機側ワイヤB)を係留するための重機側係留部11を設け、下端側に、フック部20を回動自在に取り付けるため取付機構(第1の回動部12)を設け、中間側に、ホールド部30を回動自在に取り付けるための取付機構(第2の回動部13)を設けるよう構成する。
なお、本発明において、「回動自在」とは、本体部10に対する回動角度を任意の範囲に限定する構成も含まれる。
【0013】
<2.1>本体部の形状(図1
本発明において、本体部10の態様は特段限定しない。
本実施例では、本体部10を、一端側に吊環を形成し、中間部に貫通孔を形成してある基部101と、基部101の他端側から下方に張り出すように設け、前後方向に間隔を空けて対向配置し、それぞれ貫通孔を形成してある二枚の張出部102とを少なくとも有して構成している。
当該構成では、基部101に設けた吊環が重機側係留部11に相当し、基部101に設けた貫通孔が第2の回動部13に相当し、各張出部102に設けた貫通孔が第1の回動部12に相当している。
【0014】
<2.2>重機側係留部(図1
重機側係留部11は、重機側から延びるワイヤを係留するための部位である。
本発明において、重機側係留部11の態様は特段限定せず、重機側から延びるワイヤを係留可能な態様であれば、種々の態様を採用することができる。
本実施例では、本体部10を構成する基部101の上端に設けてある吊環でもって、重機側ワイヤBを係留可能な重機側係留部11を構成している。
【0015】
<2.3>第1の回動部(図1
第1の回動部12は、本体部10に対し、フック部20を回動自在に取り付けるための部位である。
本発明において、第1の回動部12の態様は特段限定せず、フック部20を本体部10に対して回動自在に構成できる態様であれば、種々の態様を採用することができる。
本実施例では、本体部10を構成する基部101の他端側から下方に張り出すように設け、前後方向に間隔を空けて対向配置し、それぞれ貫通孔を形成してある二枚の張出部102でもって、第1の回動部12を構成している。
【0016】
<2.4>第2の回動部(図1
第2の回動部13は、本体部10に対し、ホールド部30を回動自在に取り付けるための部位である。
本発明において、第2の回動部13の態様は特段限定せず、ホールド部30を本体部10に対して回動自在に構成できる態様であれば、種々の態様を採用することができる。
本実施例では、本体部10を構成する基部101の中間に設けた貫通孔によって、第2の回動部13を構成している。
【0017】
<3>フック部(図1
フック部20は、本体部10とともに、吊り荷を玉掛けするための係留部の形成および解放を行うための部材である。
本発明において、フック部20の態様は特段限定せず、本体部10に対し回動することで、略閉止状態のループの形成および解放が可能な態様であれば、種々の態様を採用することができる。
本実施例では、フック部20として、一端に貫通孔を設け、他端に鉤部を設けた部材を用いている。そして、張出部102に設けた貫通孔と、フック部20に設けた貫通孔とを連通するように両者を軸支することで、本体部10に対し、鉤部を解放端側とするように、フック部20を回動可能としている。
【0018】
<3.1>吊り荷側係留部(図1
吊り荷側係留部21は、吊り荷側のワイヤ(吊り荷側ワイヤC)を係留するための部位である。
本実施例では、フック部20を正面視反時計回りに上方に回動させることで、本体部10とフック部20との間に生じる余空間を略閉止状態のループとした、吊り荷側係留部21を形成している。
【0019】
<4>ホールド部(図1
ホールド部30は、吊り荷の係留姿勢をとるフック部20を拘束(ホールド)するための部材である。
本発明において、ホールド部30の態様は特段限定せず、本体部10に対して回動することで、吊り荷の係留姿勢をとるフック部20の下方への回動の規制の有無を切り換えできる態様であれば、種々の態様を採用することができる。
【0020】
本実施例では、ホールド部30として、一対のアーム部31と、当該アームを連絡する連絡部32からなる、平面視略コ字状を呈する部材を用いている。
この略コ字状部材の開口側には、貫通孔を設けてあり、この貫通孔と、前記本体部10に設けた第2の回動部13を構成する貫通孔とを連通するように両者を軸支することで、本体部10に対し、ホールド部30を回動可能としている。
【0021】
また、ホールド部30を構成する略コ字状部材には、一対のアーム部31と連絡部32によって囲まれ、上下に連通する内部空間を有しており、ホールド部30を下方に回動させたときに、吊り荷の係留姿勢にあるフック部20の先端が内部空間を通ってホールド部30の上方に露出するよう構成している。
この状態では、フック部20が下方に回動しようとしても連絡部32に干渉するため、フック部20が拘束されることになる。
【0022】
<5>ロック部(図1図2
ロック部40は、ホールド部30を位置決め(ロック)するための部材である。
本発明において、ロック部40の態様は特段限定せず、フック部20を位置決めした状態のホールド部30の上方への回動の規制の有無を切り換えできる態様であれば、種々の態様を採用することができる。
ロック部40の一例としては、本体部10の第2の回動部13の周辺や、フック部20の先端側や、ホールド部30の上縁周辺などに着脱自在に設けるピン、プレート、クサビなどの部材が考えられる。
これらの部材でもって、ホールド部30の上方への回動を規制することで、ホールド部30を位置決め(ロック)し、吊り荷の係留姿勢にあるフック部20の位置も留めておくことができる。
本実施例では、ロック部40を、フック部20の先端に設けた構成としている。
【0023】
<5.1>ロック部の構成(図2
本実施例では、ロック部40を、フック部20の先端側に設けた貫通孔に挿入可能に構成した、挿入部41と、貫通孔に挿入して露出する挿入部41の先端側に取り付けることで貫通孔からの挿入部41の抜け出しを抑制する、抑制部42と、挿入部41に設け、抑制部42の撤去時に貫通孔からの挿入部の抜け出しを促進する、抜け促進部43と、を少なくとも有している。
【0024】
<5.2>挿入部(図2
挿入部41は、ホールド部30の上方への回動を規制するための部材である。
本実施例では、挿入部41として、頭部と軸部を有するピンを用いており、この軸部を、フック部20の先端側に設けた貫通孔に挿入した状態で、ホールド部30を上部へ回動しようとする際に、挿入部41がホールド部30に干渉することで、ホールド部30を位置決め(ロック)可能としている。
【0025】
<5.2.1>紛失防止部(図2
挿入部41には、貫通孔から挿入部41を抜き取った際に、当該挿入部41の紛失を防止するための、紛失防止部411を接続しておく。
本実施例では、紛失防止部411をワイヤで構成している。
紛失防止部411の他端は、後述するロック解除部50などに接続しておくことができる。
【0026】
<5.3>抑制部(図2
抑制部42は、挿入部41の抜け出しを抑制するための部材である。
本実施例では、抑制部42として、挿入部41の軸部の先端側に設けた貫通孔に差し込み可能なスナップピンを用いている。
【0027】
<5.4>抜け促進部(図2
抜け促進部43は、使用状態(取付状態)の挿入部41を抜き出して取り外す際に、挿入部41の抜け出しを促進させるための部材である。
本発明において、抜け促進部43の態様は特段限定しない。
本実施例では、抜け促進部43を、挿入部41の軸部の周囲に取り付けたるスプリングで構成している。
このスプリングの一端を挿入部41に固定し、スプリングの他端は挿入部の挿入対象(本実施例ではフック部20)に接触できるよう解放させておく。
当該構成により、挿入部41をフック部20に取り付けて抑制部42で抜け止めした状態では、圧縮するスプリングの弾性力でもって挿入部41を抜け出し方向に付勢しておくことができる。
【0028】
<6>ロック解除部(図1
ロック解除部50は、フック部20を位置決め(ホールド)した状態のホールド部30の位置決め(ロック)を解除するための部材である。
本発明において、ロック解除部50の態様は特段限定せず、ロック部40に接続してロック部40を取付対象から取り外すために引張力を付与可能な部材(引張用部材)であれば、種々の態様を採用することができる。
ロック解除部50を構成する引張用部材としては、ロック部40に取り付ける紐状部材、棒状部材、またはこれらの組合せを用いることができる。
【0029】
本実施例では、ロック解除部50として、抑制部42に接続するワイヤを用いている。このワイヤの他端は、重機側ワイヤBの任意の箇所などに設けてある巻き取りモータ(図示せず)に連結したり、遠隔の作業員が存する作業場所まで延伸させておいたりするなどして、機械的およびまたは人力的に引張可能に構成する。
【0030】
<7>ホールド解除部(図1
ホールド解除部60は、フック部20を位置決めした状態のホールド部30を、上方へと回動動作させるための部材である。
本発明において、ホールド解除部60の態様は特段限定せず、ホールド部30に接続してホールド部30の上方へ回動動作させるために引張力を付与可能な部材(引張用部材)であれば、種々の態様を採用することができる。
ホールド解除部60を構成する引張用部材としては、ホールド部30に取り付ける紐状部材、棒状部材、またはこれらの組合せを用いることができる。
【0031】
本実施例では、ホールド解除部60として1本のワイヤを用いている。このワイヤの一端をホールド部30に接続し、他端を、重機側ワイヤBの任意の箇所などに設けてある巻き取りモータ(図示せず)に連結したり、遠隔の作業員が存する作業場所まで延伸させておいたりするなどして、機械的およびまたは人力的に引張可能に構成する。
【0032】
ホールド解除部60は、ロック解除部50と独立させて個別に引張可能としてもよいし、両者を1つにまとめて構成してもよい。
このとき、各ワイヤの長さを調整するなどして、先行して抑制部42側に引張が発生したのち、ホールド部30側に引張が発生するようにしておくことが好ましい。
【0033】
<8>使用イメージ(図1図3
以下、図1,2を参照しながら、本発明に係る遠隔操作式フックの使用イメージについて説明する。
本イメージでは、地上のクレーンから、吊り荷を運搬して水底へと設置したのち、遠隔操作によって吊り荷の玉掛けを解除する作業を想定している。
【0034】
<8.1>係留姿勢の形成・維持(図1
まず、本発明に係る遠隔操作式フックAの係留姿勢の準備を行う。
具体的には、作業員による手動でフック部20を上方に回動させつつ、ホールド部30を下方に回動させてフック部20をホールドし、さらにロック部40をフック部20に取り付けて、ホールド部30をロックすることで、吊り荷側係留部21を形成する。
この状態の遠隔操作式フックAについて、本体部10に設けた重機側係留部11への重機側ワイヤBの係留と、吊り荷側係留部21への吊り荷側ワイヤCの係留を行って、吊り荷の運搬・設置作業を行う。
【0035】
<8.2>係留姿勢の解除(図3
水中下で吊り荷を所定位置に設置した場合には、水中外からロック解除部50およびホールド解除部60を動作させる。
具体的には、以下の動作が行われる。
(1)ロック解除部50の引張によって、ロック部40を構成する抑制部42を挿入部41から抜き取る。このとき、挿入部41に対する抑制部42の差し込み方向が何れの方向を向いていたとしても、ロック解除部50の引張によって、挿入部41が貫通孔内を回転して、抑制部42の差し込み方向が上下方向を向くように作用し、抑制部42を確実に抜き取ることができる。
(2)圧縮状態の抜け促進部43の弾性力によって、挿入部41は、フック部20から抜け出るように作用する。
(3)ホールド解除部60の引張によって、ホールド部30を上方に回動させると、フック部20の回動規制が解かれ、吊り荷側係留部21が解放可能な状態となる。このとき、水中下では、フック部20が自重によって下方に回動しない場合も考えられるものの、ホールド部30を上方に回動させたまま、重機側ワイヤBの巻き上げを行えば、フック部20は自然に下方に回動して、吊り荷側ワイヤCの玉外しが行われることになる。
【0036】
<8.3>まとめ
このように、本発明に係る遠隔操作式フックによれば、吊り荷に対して、確実に玉掛け状態を維持しつつ、かつ玉外しを確実に実行することができる。
なお、本発明に係る遠隔操作式フックは、水中下でのみ使用可能な構成ではなく、水中外でも使用できることは言うまでも無い。
【実施例0037】
本発明に係る遠隔操作式フックは、以下に記載する変形例を、矛盾のない範囲で適宜組み合わせた構成とすることもできる。
【0038】
<1>変形例1(図4
本発明に係る遠隔操作式フックは、ロック解除部50およびまたはホールド解除部60を、紐状部材と棒状部材の組合せで構成することもできる。
例えば、図4に示す例では、ホールド解除部60について、遠隔操作式フックに近い箇所を棒状部材61、その他の箇所を紐状部材62として組合せた構成としている。
本変形例によれば、ロック解除部50およびまたはホールド解除部60のうち遠隔操作式フックに近い箇所を棒状部材61とすることにより、図1等で示す、ロック解除部50およびまたはホールド解除部60の全部をワイヤなどの紐状部材62で構成する場合と比較して、フック部20やホールド部30との間での絡まりを軽減させることができる。
【0039】
<2>変形例2(図5図6
本発明に係る遠隔操作式フックは、実施例1に記載のロック部40の取り付け箇所を、フック部20から本体部10(図5)やホールド部30(図6)に置換、または新たに追加した構成とすることもできる。
本変形例によっても、実施例1と同様、遠隔操作で玉外し作業を行うことができる。
【0040】
<3>変形例3(図示せず)
本発明に係る遠隔操作式フックは、実施例1に記載の抜け促進部43を設けずに、挿入部41の抜き取りを、挿入部41に接続している紛失防止部411の引張操作によって実施する構成とすることもできる。
この場合、紛失防止部411は、ロック解除部50およびホールド解除部60の何れかから分岐させて構成してもよいし、新たな部材として独立して引張操作可能に構成してもよい。何れの構成であっても、紛失防止部411よりも先行して、ロック解除部50側に引張が発生するように構成する必要がある。
本変形例によっても、実施例1と同様、遠隔操作で玉外し作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
A :遠隔操作式フック
10 :本体部
101:基部
102:張出部
11 :重機側係留部
12 :第1の回動部
13 :第2の回動部
20 :フック部
21 :吊り荷側係留部
30 :ホールド部
31 :アーム部
32 :連絡部
40 :ロック部
41 :挿入部
411:紛失防止部
42 :抑制部
43 :抜け促進部
50 :ロック解除部
60 :ホールド解除部
61 :棒状部材
62 :紐状部材
B :重機側ワイヤ
C :吊り荷側ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6