(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147232
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】水力機器光通信装置および水力機器システム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/80 20130101AFI20241008BHJP
【FI】
H04B10/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060112
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 竜朗
(72)【発明者】
【氏名】中薗 昌彦
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AL11
5K102KA01
5K102KA42
5K102PB01
5K102PH31
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】通信の安定化を容易に実現可能な水力機器光通信装置等を提供する。
【解決手段】実施形態の水力機器光通信装置は、回転側無線通信部と静止側無線通信部とを有し、回転部を内部に備える水力機器に設けられる。回転側無線通信部は、回転部に設置される。静止側無線通信部は、水力機器の外部に設置され、水力機器において水が流れる流路を介して、回転側無線通信部との間において光無線通信を実行する。回転側無線通信部は、回転側送信部を含み、静止側無線通信部は、静止側受信部を含み、光無線通信を行う際には、回転側送信部が送信した第1の光信号を静止側受信部が受信するように構成されている。回転側送信部には、中空円錐形状になるように第1の光信号を静止側受信部へ発散させて送信させる回転側送信用光学部品が設置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部を内部に備える水力機器に設けられる水力機器光通信装置であって、
前記回転部に設置される回転側無線通信部と、
前記水力機器の外部に設置され、前記水力機器において水が流れる流路を介して、前記回転側無線通信部との間において光無線通信を実行する静止側無線通信部と
を有し、
前記回転側無線通信部は、
回転側送信部
を含み、
前記静止側無線通信部は、
静止側受信部
を含み、
前記光無線通信を行う際には、前記回転側送信部が送信した第1の光信号を静止側受信部が受信するように構成されており
前記回転側送信部には、中空円錐形状になるように前記第1の光信号を前記静止側受信部へ発散させて送信させる回転側送信用光学部品が設置されている、
水力機器光通信装置。
【請求項2】
前記回転側送信用光学部品は、アキシコンレンズを含む、
請求項1に記載の水力機器光通信装置。
【請求項3】
前記静止側受信部には、前記第1の光信号を前記回転側送信部に集光させて受信させる静止側受信用光学部品が設置されている、
請求項1に記載の水力機器光通信装置。
【請求項4】
前記静止側受信用光学部品は、凹レンズと凸レンズとを含む、
請求項3に記載の水力機器光通信装置。
【請求項5】
前記静止側受信用光学部品は、非球面レンズを含む、
請求項3に記載の水力機器光通信装置。
【請求項6】
前記回転側無線通信部は、
回転側受信部
を含み、
前記静止側無線通信部は、
静止側送信部
を含み、
前記光無線通信を行う際には、前記静止側送信部が送信した第2の光信号を回転側受信部が受信するように構成されており
前記回転側受信部には、前記第2の光信号を前記回転側受信部に集光させて受信させる回転側受信用光学部品が設置されている、
請求項1に記載の水力機器光通信装置。
【請求項7】
前記回転側受信用光学部品は、凹レンズと凸レンズとを含む、
請求項6に記載の水力機器光通信装置。
【請求項8】
前記回転側受信用光学部品は、魚眼レンズを含む、
請求項6に記載の水力機器光通信装置。
【請求項9】
前記静止側送信部には、前記第2の光信号を前記回転側受信部へ発散させて送信させる静止側送信用光学部品が設置されている、
請求項6に記載の水力機器光通信装置。
【請求項10】
前記静止側送信用光学部品は、シリンドリカルレンズを含む、
請求項9に記載の水力機器光通信装置。
【請求項11】
回転部を内部に備える水力機器に設けられる水力機器光通信装置であって、
前記回転部に設置される回転側無線通信部と、
前記水力機器の外部に設置され、前記水力機器において水が流れる流路を介して、前記回転側無線通信部との間において光無線通信を実行する静止側無線通信部と
を有し、
前記回転側無線通信部は、
回転側受信部
を含み、
前記静止側無線通信部は、
静止側送信部
を含み、
前記光無線通信を行う際には、前記静止側送信部が送信した第2の光信号を回転側受信部が受信するように構成されており
前記回転側受信部には、前記第2の光信号を前記回転側受信部に集光させて受信させる回転側受信用光学部品が設置されている、
水力機器光通信装置。
【請求項12】
回転部を内部に備える水力機器に設けられる水力機器光通信装置であって、
前記回転部に設置される回転側無線通信部と、
前記水力機器の外部に設置され、前記水力機器において水が流れる流路を介して、前記回転側無線通信部との間において光無線通信を実行する静止側無線通信部と
を有し、
前記回転側無線通信部は、
回転側受信部
を含み、
前記静止側無線通信部は、
静止側送信部と、
を含み、
前記光無線通信を行う際には、前記静止側送信部が送信した第2の光信号を回転側受信部が受信するように構成されており
前記静止側送信部には、前記第2の光信号を前記回転側受信部へ発散させて送信させる静止側送信用光学部品が設置されている、
水力機器光通信装置。
【請求項13】
回転部を内部に備える水力機器に設けられる水力機器光通信装置であって、
前記回転部に設置される回転側無線通信部と、
前記水力機器の外部に設置され、前記水力機器において水が流れる流路を介して、前記回転側無線通信部との間において光無線通信を実行する静止側無線通信部と
を有し、
前記回転側無線通信部は、
回転側送信部、
を含み、
前記静止側無線通信部は、
静止側受信部
を含み、
前記光無線通信を行う際には、前記回転側送信部が送信した第1の光信号を静止側受信部が受信するように構成されており
前記静止側受信部には、前記第1の光信号を前記回転側送信部に集光させて受信させる静止側受信用光学部品が設置されている、
水力機器光通信装置。
【請求項14】
前記回転側無線通信部は、
前記水力機器に関する測定データを出力する測定部
を含み、
前記測定部によって出力された前記測定データが、前記光無線通信によって、前記回転側無線通信部から前記静止側無線通信部へ送信される、
請求項1に記載の水力機器光通信装置。
【請求項15】
請求項1に記載の水力機器光通信装置。
を備える、
水力機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、水力機器光通信装置および水力機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水車、ポンプ等の水力機器は、水中において光無線通信を行う場合がある。
【0003】
具体的には、水力機器は、内部構造物の変形等を把握するために、歪ゲージや圧力センサなどの計測器を用いて計測を実行する場合がある。例えば、ギヤポンプ、スクリューポンプ等の容積型流体機械、熱交換器等の各種流体機械、及び、単純な配管等の内部に配置された翼などに関して。計測が実行される。また、水力機器においては、内部の流動を可視化して、機器の健全性を定量的に評価するために、撮像装置を用いて内部の画像を撮影する場合がある。そして、計測器によって取得された計測データ、および、撮像装置によって取得された撮像データ等のデータが、光無線通信によって伝送される。
【0004】
上記の光無線通信を実行する水力機器光通信装置は、例えば、水力機器の回転部に設置された無線通信部と、水力機器の外部に設置された他の無線通信部とを有し、両者の間の光無線通信が、水力機器の流路を流れる水を介して、実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の光無線通信は、水を介して実行されるため、通信状態が不安定になる場合がある。このため、通信の安定化が求められている。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、通信の安定化を容易に実現可能な、水力機器光通信装置および水力機器システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の水力機器光通信装置は、回転側無線通信部と静止側無線通信部とを有し、回転部を内部に備える水力機器に設けられる。回転側無線通信部は、回転部に設置される。静止側無線通信部は、水力機器の外部に設置され、水力機器において水が流れる流路を介して、回転側無線通信部との間において光無線通信を実行する。回転側無線通信部は、回転側送信部を含み、静止側無線通信部は、静止側受信部を含み、光無線通信を行う際には、回転側送信部が送信した第1の光信号を静止側受信部が受信するように構成されている。回転側送信部には、中空円錐形状になるように第1の光信号を静止側受信部へ発散させて送信させる回転側送信用光学部品が設置されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る水力機器システム1の要部を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る光通信装置25において、回転側無線通信部30の要部を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る光通信装置25において、静止側無線通信部40の要部を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る光通信装置25において、回転側送信用光学部品319aを模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る光通信装置25において、回転側受信用光学部品319bを模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る光通信装置25において、回転側受信用光学部品319bの他の例を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る光通信装置25において、静止側送信用光学部品4002aを模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る光通信装置25において、静止側受信用光学部品4002bを模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る光通信装置25において、静止側受信用光学部品4002bの他の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態は、一例である。また、図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には、同一の符号又は類似の符号を付している。また、説明の都合上、図面は、寸法比率が実際の比率とは異なる場合があり、一部の構成を省略している場合がある。
【0011】
<第1実施形態>
[A]水力機器システム1の構成
図1は、第1実施形態に係る水力機器システム1の要部を模式的に示す図である。
【0012】
本実施形態の水力機器システム1は、
図1に示すように、フランシス水車100(水力機器)と光通信装置25(水力機器光通信装置)とを備える。
図1では、フランシス水車100に関しては、鉛直面に沿った断面を模式的に示している。
【0013】
水力機器システム1を構成する各部について順次説明する。
【0014】
[A-1]フランシス水車100
本実施形態の水力機器システム1において、フランシス水車100は、
図1に示すように、ケーシング2とステーベーン3とガイドベーン4とランナ5と発電機7と吸出し管8とを有し、水力によってランナ5(回転部)が回転するように構成されている水力機器である。
【0015】
[A-1-1]ケーシング2
ケーシング2は、渦巻き状であって、内部を水が流れるように構成されている。
【0016】
[A-1-2]ステーベーン3
ステーベーン3は、ケーシング2の内側において、複数が周方向に間隔をあけて配置されている。ステーベーン3は、ケーシング2から流入する水をガイドベーン4およびランナ5に導くために設置されている。
【0017】
[A-1-3]ガイドベーン4
ガイドベーン4は、ステーベーン3の内側において、複数が周方向に間隔をあけて配置されている。ステーベーン3から流入する水をランナ5に導くために設置されている。複数のガイドベーン4のそれぞれは、回動し開度が変わることによって、ランナ5に流入する水の流量を調節可能に構成されている。
【0018】
[A-1-4]ランナ5
ランナ5は、上カバー51と下カバー(図示省略)との間において、鉛直方向に沿った回転軸Xを中心に回転方向Rに回転するように構成されている。ここでは、ランナ5は、クラウン9とバンド10とランナ羽根11とを有する。
【0019】
具体的には、ランナ5において、クラウン9は、主軸6に連結されており、鉛直方向に沿った貫通孔を含む。バンド10は、クラウン9との間にギャップが介在するように配置されている。ランナ羽根11は、複数であって、複数のランナ羽根11がクラウン9とバンド10との間のギャップにおいて、周方向に間隔をあけて配置されている。複数のランナ羽根11は、クラウン9とバンド10とのそれぞれに接合されている。
【0020】
ランナ5には、ランナコーン20がクラウン9の下面に連結されている。ランナコーン20は、例えば、上方から下方に向かって外径が小さくなっている円錐台部を有し、例えば、ボルト等を用いてクラウン9に固定されている。ランナコーン20は、例えば、中空構造であって、内部空間を含む。ここでは、ランナコーン20の内部空間は、例えば、上方側の内径が、下方側の内径よりも小さくなるように構成されており、クラウン9の貫通孔に連通している。
【0021】
[A-1-5]発電機7
発電機7は、ランナ5の上方に位置しており、主軸6を介してランナ5に連結されており、ランナ5の回転によって発電を行うように構成されている。
【0022】
[A-1-6]吸出し管8
吸出し管8は、ランナ5の下方に位置しており、下池(図示省略)または放水路(図示省略)に連結されている。
【0023】
吸出し管8には、ドラフトマンホール21が設けられている。ドラフトマンホール21は、吸出し管8の外部から内部を観察するために設置されている。ここでは、ドラフトマンホール21は、吸出し管8の外周面において回転軸Xから半径方向に離間した部分に設けられている。
【0024】
この他に、ドラフトマンホール21には、透過窓が設けられている。透過窓は、光通信装置25において光無線通信が実行される際に用いられる光信号が透過する光透過材料で構成されている。例えば、光透過材料は、ガラス、及び、透明樹脂などであって、透過率が90%以上の材料が好ましい。光透過材料は、屈折率が1.33に近い値であって、高い圧力に耐える高耐圧性材料であることが好ましい。より具体的には、光信号が可視光である場合には、光透過材料は、ガラス、アクリル樹脂、または、ポリカーボネートなどのように、透過率が高い材料であることが好ましい。この他に、光透過材料は、水と屈折率が等しいフッ素モノマー重合材であってもよい。
【0025】
[A-1-7]フランシス水車100の動作
上記のフランシス水車100の動作について説明する。
【0026】
[A-1-7-1]水車運転(発電運転)
本実施形態のフランシス水車100において、水車運転(発電運転)を実行する際には、上池(図示省略)から水圧鉄管(図示省略)を経由して水がケーシング2に流入する。そして、ケーシング2からステーベーン3とガイドベーン4とを順次介して、水がランナ5に導入され、ランナ5の外周側から内周側へ流れる。これにより、ランナ5が回転軸Xを中心にして主軸6と共に回転方向Rに回転する。すなわち、ランナ5において、水の圧力エネルギーが回転エネルギーへ変換される。そして、ランナ5の回転エネルギーが主軸6を介して発電機7に伝達され、発電機7が発電を行う。水車運転の実行の際に、ランナ5から流出した水は、吸出し管8を介して、下池または放水路に放出される。
【0027】
[A-1-7-2]ポンプ運転(揚水運転)
本実施形態のフランシス水車100は、水車運転(発電運転)の他に、ポンプ運転(揚水運転)を実行可能に構成されていてもよい。つまり、回転電機を発電機7として用いる以外に電動機として用いてもよい。ポンプ運転(揚水運転)を実行する際には、回転電機(電動機)に電力を供給して駆動させることによって、ランナ5を回転させる。これにより、吸出し管8を介して、下池の水が吸い上げられ、その吸い上げられた水が上池に放出される。この際、ガイドベーン4の開度は、ポンプ揚程に応じて適切な揚水量になるように変えられる。
【0028】
なお、本実施形態では、水力機器がフランシス水車100である場合について説明するが、これに限らない、水力機器は、フランシス水車100以外であってもよい。
【0029】
[A-2]光通信装置25(水力機器光通信装置)
本実施形態の水力機器システム1において、光通信装置25は、
図1に示すように、回転側無線通信部30(第1無線通信部)と静止側無線通信部40(第2無線通信部)とを有し、フランシス水車100に設けられる。ここでは、光通信装置25は、回転側無線通信部30と静止側無線通信部40との間の光無線通信が、フランシス水車100において水が流れる流路を介して実行されるように構成されている。回転側無線通信部30と静止側無線通信部40との間において光無線通信が行われる距離は、例えば、10mm以上であって、本実施形態の光無線通信は、いわゆる近距離無線とは相違する。
【0030】
本実施形態の光通信装置25は、
図1に示すように、例えば、ドラフトマンホール21を介して、回転側無線通信部30と静止側無線通信部40との間の光無線通信が実行できるように、回転側無線通信部30と静止側無線通信部40とが配置されている。
【0031】
[A-2-1]回転側無線通信部30
光通信装置25において、回転側無線通信部30は、
図1に示すように、フランシス水車100において回転部であるランナコーン20に設置されている。ここでは、回転側無線通信部30は、例えば、ランナコーン20に形成された内部空間に小型発電機器(図示省略)と共に配置されており、小型発電機器(図示省略)から供給される電力で動作する。
【0032】
図2は、第1実施形態に係る光通信装置25において、回転側無線通信部30の要部を模式的に示す図である。
【0033】
回転側無線通信部30は、
図2に示すように、測定センサ300と電気回路302と直流電源304と増幅器306とAD変換器308と回転側データ収録器310(第1データ収録器)と回転側ネットワークプロトコル変換器312(第1ネットワークプロトコル変換器)と回転側撮像装置314(第1撮像装置)と回転側撮像制御器316(第1撮像制御器)と回転側無線通信器318(第1無線通信器)とを有する。この他に、本実施形態では、回転側無線通信部30は、回転側送信用光学部品319aと回転側受信用光学部品319bとを有する。回転側無線通信部30において、測定センサ300、電気回路302、直流電源304、増幅器306、および、AD変換器308は、測定部を構成している。
【0034】
[A-2-1-1]測定センサ300
測定センサ300は、フランシス水車100を構成するランナ5(
図1参照)に関する測定データを出力するように構成されている。測定センサ300は、少なくとも1つであって、例えば、ランナ5の表面に貼り付けられている。ここでは、測定センサ300は、例えば、ランナ5の表面歪または応力を測定し、測定データを出力する。この他に、測定センサ300は、ランナ5内の圧力、温度、振動などの値を測定データとして出力するように構成されていてもよい。
【0035】
[A-2-1-2]電気回路302
電気回路302は、例えば、ブリッジ回路であって、第1抵抗R1と第2抵抗R2と第3抵抗R3とを含む。電気回路302においては、測定センサ300の一端に第1抵抗R1の一端が接続され、測定センサ300の他端に第2抵抗R2の一端が接続されている。第1抵抗R1の他端に第3抵抗R3の一端が接続され、第2抵抗R2の他端が第3抵抗R3の他端に接続されている。
【0036】
測定センサ300の他端と第1抵抗R1の他端とのそれぞれには、直流電源304が接続されている。そして、測定センサ300の一端と第2抵抗R2の他端とのそれぞれには、増幅器306が接続されている。このため、測定センサ300が出力する測定データは、アナログ電圧の計測信号として、増幅器306によって増幅される。
【0037】
[A-2-1-3]AD変換器308
AD変換器308は、増幅器306に接続されており、増幅器306によって増幅された測定データをアナログ信号からデジタル信号に変換する。
【0038】
[A-2-1-4]回転側データ収録器310
回転側データ収録器310は、AD変換器308に接続されている記録装置であって、AD変換器308によってデジタル信号に変換された測定データを時系列に記録する。
【0039】
[A-2-1-5]回転側ネットワークプロトコル変換器312
回転側ネットワークプロトコル変換器312は、回転側データ収録器310に記録された測定データをネットワークプロトコル形式に変換し、回転側無線通信器318に出力する。
【0040】
[A-2-1-6]回転側撮像装置314
回転側撮像装置314は、静止画の撮影及び動画の撮影が可能なカメラであって、画像データを生成するように構成されている。
【0041】
[A-2-1-7]回転側撮像制御器316
回転側撮像制御器316は、回転側撮像装置314に接続されており、回転側撮像装置314の撮像動作を制御する。回転側撮像制御器316は、演算器(図示省略)とメモリ装置(図示省略)とを含み、メモリ装置が記憶しているプログラムを用いて演算器が演算処理を行うことによって、上記の制御を行うように構成されている。ここでは、回転側撮像制御器316は、回転側撮像装置314の撮像によって得た画像データが、回転側データ収録器310において時系列に収録されるように制御を行う。
【0042】
[A-2-1-8]回転側無線通信器318
回転側無線通信器318は、
図2に示すように、回転側送信部3180a(第1送信部)と回転側受信部3180b(第1受信部)と回転側制御部3180c(第1制御部)とを含み、静止側無線通信部40との間の光無線通信を実行可能に構成されている。
【0043】
[A-2-1-8-1]回転側送信部3180a
回転側送信部3180aは、回転側ネットワークプロトコル変換器312によって変換された測定データについて、電気信号から光信号に変換し、その光信号(第1の光信号)を送信する。ここでは、回転側送信部3180aは、その変換した光信号を、例えば、可視光のレーザ光L30として出射する。回転側送信部3180aは、高速通信の性能を向上させるために、例えば、広がり角が20°未満であるレーザ光L30を出射するレーザを光源として有する。
【0044】
[A-2-1-8-2]回転側受信部3180b
回転側受信部3180bは、静止側無線通信部40から送信された光信号(第2の光信号)を受信する。ここでは、回転側受信部3180bは、例えば、光電子増倍管を含み、静止側無線通信部40からレーザ光L40として出射された光信号を光電子増倍管が受光するように構成されている。
【0045】
[A-2-1-8-3]回転側制御部3180c
回転側制御部3180cは、演算器(図示省略)とメモリ装置(図示省略)とを含み、メモリ装置が記憶しているプログラムを用いて演算器が演算処理を行うことによって、回転側無線通信部30を構成する各部の動作を制御するように構成されている。ここでは、回転側制御部3180cは、例えば、静止側無線通信部40から送信された光信号に基づいて、各部の動作を制御する。
【0046】
[A-2-1-9]回転側送信用光学部品319a,回転側受信用光学部品319b
回転側送信用光学部品319aは、回転側送信部3180aがレーザ光L30を出射する光出射面に設置されている。詳細については後述するが、回転側送信用光学部品319aは、回転側送信部3180aが光信号として出射したレーザ光L30を静止側無線通信部40(静止側受信部4000b)へ発散させて送信させるように構成されている。
【0047】
回転側受信用光学部品319bは、回転側受信部3180bがレーザ光L40を受光する受光面に設置されている。詳細については後述するが、回転側受信用光学部品319bは、光信号として入射するレーザ光L40を回転側受信部3180bに集光させて受信させるように構成されている。
【0048】
[A-2-2]静止側無線通信部40
光通信装置25において、静止側無線通信部40は、
図1に示すように、フランシス水車100の外部に設置されている。静止側無線通信部40は、静止体である。
【0049】
図3は、第1実施形態に係る光通信装置25において、静止側無線通信部40の要部を模式的に示す図である。
【0050】
静止側無線通信部40は、
図3に示すように、静止側無線通信器400(第2無線通信器)と静止側ネットワークプロトコル変換器402a(第2ネットワークプロトコル変換器)と静止側データ収録器402b(第2データ収録器)と静止側撮像制御器402c(第2撮像制御器)と静止側撮像装置404(第2撮像装置)と表示部406と操作部408とを有する。この他に、本実施形態の静止側無線通信部40は、静止側送信用光学部品4002aと静止側受信用光学部品4002bとを有する。静止側無線通信部40において、静止側ネットワークプロトコル変換器402a、静止側データ収録器402b、および、静止側撮像制御器402cは、制御処理装置402を構成している。
【0051】
[A-2-2-1]静止側無線通信器400
静止側無線通信器400は、
図3に示すように、静止側送信部4000a(第2送信部)と静止側受信部4000b(第2受信部)と静止側制御部4000c(第2制御部)とを含み、回転側無線通信部30との間の光無線通信を実行可能に構成されている。
【0052】
[A-2-2-1-1]静止側送信部4000a
静止側送信部4000aは、静止側ネットワークプロトコル変換器402aによって変換されたデータについて、電気信号から光信号に変換し、その光信号(第2の光信号)を送信する。ここでは、静止側送信部4000aは、その変換した光信号を、例えば、可視光のレーザ光L40として出射する。静止側送信部4000aは、高速通信の性能を向上させるために、例えば、広がり角が20°未満であるレーザ光L40を出射するレーザを光源として有する。
【0053】
[A-2-2-1-2]静止側受信部4000b
静止側受信部4000bは、回転側無線通信部30から送信された光信号(第1の光信号)を受信する。ここでは、静止側受信部4000bは、例えば、光電子増倍管を含み、回転側無線通信部30からレーザ光L30として出射された光信号を光電子増倍管が受光するように構成されている。静止側受信部4000bが受信した光信号は、電気信号に変換されて、静止側ネットワークプロトコル変換器402aに出力される。
【0054】
[A-2-2-1-3]静止側制御部4000c
静止側制御部4000cは、演算器(図示省略)とメモリ装置(図示省略)とを含み、メモリ装置が記憶しているプログラムを用いて演算器が演算処理を行うことによって、静止側無線通信部40を構成する各部の動作を制御するように構成されている。ここでは、静止側制御部4000cは、例えば、回転側無線通信部30から送信された光信号に基づいて、各部の動作を制御する。
【0055】
[A-2-2-2]静止側ネットワークプロトコル変換器402a
静止側ネットワークプロトコル変換器402aは、静止側無線通信器400から供給された電気信号をネットワークプロトコル形式に変換し、静止側データ収録器402bに出力する。
【0056】
[A-2-2-3]静止側データ収録器402b
静止側データ収録器402bは、静止側ネットワークプロトコル変換器402aに接続されている記録装置であって、静止側ネットワークプロトコル変換器402aによって変換された電気信号を時系列に記録する。
【0057】
[A-2-2-4]静止側撮像制御器402c
静止側撮像制御器402cは、静止側撮像装置404に接続されており、静止側撮像装置404の撮像動作を制御する。静止側撮像制御器402cは、演算器(図示省略)とメモリ装置(図示省略)とを含み、メモリ装置が記憶しているプログラムを用いて演算器が演算処理を行うことによって、上記の制御を行うように構成されている。ここでは、静止側撮像制御器402cは、静止側撮像装置404の撮像によって得た画像データが、静止側データ収録器402bにおいて時系列に収録されるように制御を行う。また、静止側撮像制御器402cは、光通信装置25を構成する各部の動作を制御するように構成されていてもよい。
【0058】
[A-2-2-5]静止側撮像装置404
静止側撮像装置404は、静止画の撮影及び動画の撮影が可能なカメラであって、画像データを生成するように構成されている。静止側撮像装置404は、例えば、ドラフトマンホール21の透過窓を介して、吸出し管8の内部について撮像する。
【0059】
[A-2-2-6]表示部406
表示部406は、例えば、モニタ(ディスプレイ)を含み、静止側撮像制御器402cを介して、静止側データ収録器402bが記憶している画像データを、表示画面に表示するように構成されている。
【0060】
[A-2-2-7]操作部408
操作部408は、例えば、キーボード、マウス等のユーザインターフェイス装置を含み、ユーザの操作に応じて操作信号を静止側撮像制御器402cに出力する。静止側撮像制御器402cは、操作信号に基づいて、各部の動作を制御する。
【0061】
[A-2-2-8]静止側送信用光学部品4002a,静止側受信用光学部品4002b
静止側送信用光学部品4002aは、静止側送信部4000aがレーザ光L40を出射する光出射面に設置されている。詳細については後述するが、静止側送信用光学部品4002aは、静止側送信部4000aが光信号として出射したレーザ光L40を回転側無線通信部30(回転側受信部3180b)へ発散させて送信させるように構成されている。
【0062】
静止側受信用光学部品4002bは、静止側受信部4000bがレーザ光L30を受光する受光面に設置されている。詳細については後述するが、静止側受信用光学部品4002bは、光信号として入射するレーザ光L30を静止側受信部4000bに集光させて受信させるように構成されている。
【0063】
[B]光学部品319a,319b,4002a,4002bの詳細
上記した光学部品319a,319b,4002a,4002bのそれぞれの詳細内容について説明する。
【0064】
[B-1]回転側送信用光学部品319a
図4は、第1実施形態に係る光通信装置25において、回転側送信用光学部品319aを模式的に示す図である。
【0065】
図4では、回転側送信部3180aから出射された後に、回転側送信用光学部品319aを通過したレーザ光L30の形状に関して、ハッチングを付して図示している。なお、
図4において右側に位置する図は、
図4において左側に位置する図のうち太い実線で示す部分の面(回転軸Xが直交する面)の様子を図示している。
【0066】
図4に示すように、本実施形態の回転側送信用光学部品319aは、例えば、アキシコンレンズを含み、発散レンズとして機能するように構成されている。ここでは、回転側送信部3180aから光信号として出射されたレーザ光L30は、回転側送信用光学部品319aを構成するアキシコンレンズによって、中空円錐形状に発散された状態で、静止側受信部4000bに送信される。アキシコンレンズは、アルファ角αと頂角πとで規定される円錐形状のプリズムであって、例えば、レーザ光L30が静止側受信部4000bに受光される中空円錐形状になるように、アルファ角αと頂角πとが設定されたアキシコンレンズが用いられる。
【0067】
具体的には、本実施形態では、回転側送信部3180aは、ランナコーン20が回転した状態であってもレーザ光L30の光軸の位置を同じにするために、レーザ光L30の光軸を回転軸Xに一致させてレーザ光L30を出射する。そして、回転側送信部3180aから出射されたレーザ光L30は、回転側送信用光学部品319aから中空円錐形状に発散した状態で出射される。つまり、回転側送信用光学部品319aから出射されるレーザ光L30は、回転軸Xに直交する面における形状が円環形状(同心円状)である。回転側送信用光学部品319aから出射される円環形状のレーザ光L30は、進行方向において一定の厚みであって、進行方向に沿って円環形状の径が一定の割合で増加する。そして、回転側送信用光学部品319aによって中空円錐形状に発散されたレーザ光L30は、ドラフトマンホール21(
図1参照)を介して、静止側受信部4000bに入射し、静止側受信部4000bにおいて受光される。
【0068】
したがって、本実施形態では、ランナコーン20が回転した状態で回転側送信部3180aから第1の光信号として出射されたレーザ光L30が、回転側送信用光学部品319aによって中空円錐形状に発散される。このため、本実施形態では、既存のドラフトマンホール21を介して、回転側送信部3180aから第1の光信号として出射されたレーザ光L30が、静止側受信部4000bにおいて安定的に受光される。その結果、本実施形態では、通信の安定化を容易に実現することができる。
【0069】
また、回転側送信部3180aから出射されたレーザ光L30が、回転側送信用光学部品319aによって、静止側受信部4000bへ直進するため、ドラフトマンホール21の透過窓を小さくすることができる。その結果、吸出し管8の強度低下が抑制されるので、信頼性を向上可能である。
【0070】
[B-2]回転側受信用光学部品319b
図5は、第1実施形態に係る光通信装置25において、回転側受信用光学部品319bを模式的に示す図である。
図5において、一点鎖線は、例えば、静止側送信部4000aの光出射面と、回転側受信部3180bの受光面とを結ぶ線に相当する。
【0071】
図5に示すように、本実施形態の回転側受信用光学部品319bは、例えば、凸レンズ319b_1と凹レンズ319b_2とを含み、集光レンズとして機能するように構成されている。回転側受信用光学部品319bでは、静止側送信部4000a(
図3)から第2の光信号として出射されたレーザ光L40が、凹レンズ319b_2と凸レンズ319b_1とを順次介して、回転側受信部3180bに集光される。そして、その集光されたレーザ光L40は、既存のドラフトマンホール21を介して、回転側受信部3180bにおいて受光される。
【0072】
したがって、本実施形態では、既存のドラフトマンホール21を介して、静止側送信部4000aから第2の光信号として出射されたレーザ光L40が、回転側受信部3180bにおいて安定的に受光される。その結果、本実施形態では、通信の安定化を容易に実現することができる。
【0073】
回転側受信用光学部品319bは、上記の構成以外であってもよい。
【0074】
図6は、第1実施形態に係る光通信装置25において、回転側受信用光学部品319bの他の例を模式的に示す図である。
図6において、一点鎖線は、例えば、静止側送信部4000aの光出射面と、回転側受信部3180bの受光面とを結ぶ線に相当する。
【0075】
図6に示すように、本実施形態の回転側受信用光学部品319bは、例えば、第1非球面レンズ319b_11と第2非球面レンズ319b_21と第3非球面レンズ319b_31とを含む魚眼レンズであって、静止側送信部4000a(
図3)から第2の光信号として出射されたレーザ光L40が、魚眼レンズを構成する各非球面レンズを順次介して、回転側受信部3180bに集光される。つまり、レーザ光L40は、超広角領域から魚眼レンズに入射し、集光される。そして、その集光されたレーザ光L40は、既存のドラフトマンホール21を介して、回転側受信部3180bにおいて受光される。したがって、上記の場合と同様に、通信の安定化を容易に実現することができる。
【0076】
[B-3]静止側送信用光学部品4002a
図7は、第1実施形態に係る光通信装置25において、静止側送信用光学部品4002aを模式的に示す図である。
【0077】
図7では、静止側送信部4000aから出射された後に、静止側送信用光学部品4002aを通過したレーザ光L40の形状に関して、ハッチングを付して図示している。なお、
図7において右側に位置する図は、
図7において左側に位置する図のうち太い実線で示す部分の面(回転軸Xが直交する面)の様子を図示している。また、
図7において、一点鎖線は、例えば、静止側送信部4000aの光出射面と、回転側受信部3180bの受光面とを結ぶ線に相当する。
【0078】
図7に示すように、静止側送信用光学部品4002aは、例えば、平凹型のシリンドリカルレンズを含み、発散レンズとして機能するように構成されている。ここでは、静止側送信部4000aが光信号として出射したレーザ光L40は、光軸に直交する面における形状がシート形状(帯状)になる。そのシート状のレーザ光L40の幅が、進行方向に沿って一定の割合で増加する。そして、静止側送信用光学部品4002aによって発散されたレーザ光L40は、ドラフトマンホール21(
図1参照)を介して、回転側受信部3180bに入射し、回転側受信部3180bにおいて受光される。
【0079】
したがって、本実施形態では、静止側送信部4000aから第2の光信号として出射されたレーザ光L40が、静止側送信用光学部品4002aによってシート形状で発散される。このため、ランナコーン20が回転した状態であるために回転側受信部3180bが振動した状態である場合であっても、既存のドラフトマンホール21を介して、静止側送信部4000aから第2の光信号として出射されたレーザ光L40が、回転側受信部3180bにおいて安定的に受光される。その結果、本実施形態では、通信の安定化を容易に実現することができる。
【0080】
なお、上記の静止側送信用光学部品4002aは、シリンドリカルレンズを含む場合について説明したが、これに限らない。例えば、静止側送信用光学部品4002aは、同様な効果を得るように、凹レンズ、凸レンズなどのレンズを用いて構成されていてもよい。
【0081】
[B-4]静止側受信用光学部品4002b
図8は、第1実施形態に係る光通信装置25において、静止側受信用光学部品4002bを模式的に示す図である。
図8において、一点鎖線は、例えば、回転側送信部3180aの光出射面と、静止側受信部4000bの受光面とを結ぶ線に相当する。
【0082】
図8に示すように、本実施形態の静止側受信用光学部品4002bは、例えば、凸レンズ4002b_1と凹レンズ4002b_2とを含み、集光レンズとして機能するように構成されている。静止側受信用光学部品4002bでは、回転側送信部3180a(
図2参照)から第1の光信号として出射されたレーザ光L30が、凹レンズ4002b_2と凸レンズ4002b_1とを順次介して、静止側受信部4000bに集光される。そして、その集光されたレーザ光L30は、ドラフトマンホール21を介して、静止側受信部4000bにおいて受光される。
【0083】
したがって、本実施形態では、既存のドラフトマンホール21を介して、回転側送信部3180aから第1の光信号として出射されたレーザ光L30が、静止側受信部4000bにおいて安定的に受光される。その結果、本実施形態では、通信の安定化を容易に実現することができる。
【0084】
静止側受信用光学部品4002bは、上記の構成以外であってもよい。
【0085】
図9は、第1実施形態に係る光通信装置25において、静止側受信用光学部品4002bの他の例を模式的に示す図である。
図8において、一点鎖線は、例えば、回転側送信部3180aの光出射面と、静止側受信部4000bの受光面とを結ぶ線に相当する。
【0086】
図9に示すように、本実施形態の静止側受信用光学部品4002bは、例えば、第1非球面レンズ4002b_11と第2非球面レンズ4002b_21と第3非球面レンズ4002b_31とを含む魚眼レンズであって、回転側送信部3180a(
図2参照)から第1の光信号として出射されたレーザ光L30が、魚眼レンズを構成する各非球面レンズを順次介して、静止側受信部4000bに集光される。つまり、レーザ光L30は、超広角領域から魚眼レンズに入射し、集光される。そして、その集光されたレーザ光L30は、既存のドラフトマンホール21を介して、静止側受信部4000bにおいて受光される。したがって、上記の場合と同様に、通信の安定化を容易に実現することができる。
【0087】
[C]まとめ
以上のように、本実施形態の光通信装置25は、回転側送信部3180aに回転側送信用光学部品319aが設置され、回転側受信部3180bには回転側受信用光学部品319bが設置されている。そして、静止側受信部4000bに静止側受信用光学部品4002bが設置され、静止側送信部4000aに静止側送信用光学部品4002aが設置されている。このため、上記したように、本実施形態では、フランシス水車100の運転が実行されるときであっても、光無線通信の安定化を容易に実現することができるため、大容量のデータを高速に伝送可能である。また、本実施形態では、光無線通信を実行するために、主軸6を中実構造から中空構造に変更等することが不要である。
【0088】
[D]変形例
上記の実施形態では、回転側送信部3180aと回転側受信部3180bと静止側受信部4000bと静止側送信部4000aとのそれぞれに、光学部品319a,319b,4002a,4002bを設置する場合について説明したが、これに限らない。回転側送信部3180aと回転側受信部3180bと静止側受信部4000bと静止側送信部4000aとの少なくとも1つに、光学部品を設置することが好ましい。
【0089】
上記の実施形態では、ドラフトマンホール21を介して光無線通信が実行できるように、回転側無線通信部30と静止側無線通信部40とを配置する場合について説明したが、これに限らない(
図1参照)。例えば、光無線通信が回転軸Xに沿って実行可能なように吸出し管8に透過窓(図示省略)を設け、回転側無線通信部30と静止側無線通信部40を回転軸Xにおいて並ぶように配置してもよい。
【0090】
また、上記の実施形態では、光無線通信は、可視光のレーザ光を用いて実行される場合について説明したが、これに限らない。光無線通信は、例えば、紫外線、X線などのように、可視波長帯以外の波長帯の光を用いて、光無線通信を実行してもよい。
【0091】
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
1:水力機器システム、2:ケーシング、3:ステーベーン、4:ガイドベーン、5:ランナ、6:主軸、7:発電機、8:吸出し管、9:クラウン、10:バンド、11:ランナ羽根、20:ランナコーン、21:ドラフトマンホール、25:光通信装置、30:回転側無線通信部、40:静止側無線通信部、51:上カバー、100:フランシス水車、300:測定センサ、302:電気回路、304:直流電源、306:増幅器、308:変換器、310:回転側データ収録器、312:回転側ネットワークプロトコル変換器、314:回転側撮像装置、316:回転側撮像制御器、318:回転側無線通信器、319a:回転側送信用光学部品、319b:回転側受信用光学部品、319b_1:凸レンズ、319b_11:非球面レンズ、319b_2:凹レンズ、319b_21:非球面レンズ、319b_31:非球面レンズ、400:静止側無線通信器、402:制御処理装置、402a:静止側ネットワークプロトコル変換器、402b:静止側データ収録器、402c:静止側撮像制御器、404:静止側撮像装置、406:表示部、
408:操作部、3180a:回転側送信部、3180b:回転側受信部、3180c:回転側制御部、4000a:静止側送信部、4000b:静止側受信部、4000c:静止側制御部、4002a:静止側送信用光学部品、4002b:静止側受信用光学部品、4002b_1:凸レンズ、4002b_11:非球面レンズ、4002b_2:凹レンズ、4002b_21:非球面レンズ、4002b_31:非球面レンズ、L30:レーザ光、L40:レーザ光、R:回転方向、R1:抵抗、R2:抵抗、R3:抵抗、X:回転軸