(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147236
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20241008BHJP
H04N 1/409 20060101ALI20241008BHJP
G06T 3/4023 20240101ALI20241008BHJP
【FI】
H04N1/387 101
H04N1/409
G06T3/40 710
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060119
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】間村 俊樹
【テーマコード(参考)】
5B057
5C077
【Fターム(参考)】
5B057AA11
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB07
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CD06
5B057CD07
5B057CE13
5B057CH18
5B057DA08
5B057DC33
5C077LL08
5C077LL19
5C077PP20
5C077PP55
5C077PP68
5C077PQ08
5C077RR06
5C077RR19
5C077TT02
(57)【要約】
【課題】 間引き処理によって生じる不必要なドットの欠損に起因する対象画像の画質低下を抑制する。
【解決手段】 間引き処理部23は、対象画像に対して間引き処理を実行する。欠落画素判定部24は、間引き処理後の対象画像における欠落画素の有無を判定する。補間処理部25は、間引き処理後の対象画像に欠落画素がある場合、欠落画素に対する補間処理を実行する。そして、間引き処理部23は、所定の間引きパターンに基づくパターンマッチングで、間引くべきドットを特定し、特定したドットを間引き、欠落画素判定部24は、間引きパターンに対応する欠落画素判定パターンに基づくパターンマッチングで、間引き処理後の対象画像における欠落画素の有無を判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象画像に対して間引き処理を実行する間引き処理部と、
前記間引き処理後の前記対象画像における欠落画素の有無を判定する欠落画素判定部と、
前記間引き処理後の前記対象画像に欠落画素がある場合、前記欠落画素に対する補間処理を実行する補間処理部とを備え、
前記間引き処理部は、所定の間引きパターンに基づくパターンマッチングで、間引くべきドットを特定し、特定した前記ドットを間引き、
前記欠落画素判定部は、前記間引きパターンに対応する欠落画素判定パターンに基づくパターンマッチングで、前記間引き処理後の前記対象画像における欠落画素の有無を判定すること、
を特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記対象画像において中間濃度の画素が含まれているか否かを判定する画素判定部をさらに備え、
前記間引き処理部は、前記対象画像において中間濃度の画素が含まれていないと判定された場合、前記間引き処理を実行し、前記対象画像において中間濃度の画素が含まれていると判定された場合、前記間引き処理を実行しないこと、
を特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
元画像に対して出力階調処理を実行して複数ビットで表現される前記対象画像を生成する出力階調処理部をさらに備え、
前記出力階調処理部は、前記出力階調処理において、前記元画像における中間濃度の画素に対応する前記対象画像における画素を、必ず、濃度なしとせず、中間濃度の画素とすること、
を特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記対象画像は、文字画像を含み、
前記間引き処理部は、前記文字画像に対応した間引きパターンに基づくパターンマッチングで、間引くべきドットを特定し、特定した前記ドットを間引くこと、
を特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像処理装置は、間引き処理の際の線切れ防止のために間引き処理より前において、対象画像に対して、1×n画素の参照領域を使用して線画エッジを検出し、線画エッジを含む線画部に対して線切れ防止のために、間引き対象画素の隣接画素の濃度を高くしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の画像処理装置では、1画素幅の細線の線切れ防止は行えるものの、文字画像のように画素幅が変動している箇所において、間引き処理によって不必要なドットの欠損を抑制することは困難である。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、間引き処理によって生じる不必要なドットの欠損に起因する対象画像の画質低下を抑制する画像処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像処理装置は、対象画像に対して間引き処理を実行する間引き処理部と、前記間引き処理後の前記対象画像における欠落画素の有無を判定する欠落画素判定部と、前記間引き処理後の前記対象画像に欠落画素がある場合、前記欠落画素に対する補間処理を実行する補間処理部とを備える。そして、前記間引き処理部は、所定の間引きパターンに基づくパターンマッチングで、間引くべきドットを特定し、特定した前記ドットを間引き、前記欠落画素判定部は、前記間引きパターンに対応する欠落画素判定パターンに基づくパターンマッチングで、前記間引き処理後の前記対象画像における欠落画素の有無を判定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、間引き処理によって生じる不必要なドットの欠損に起因する対象画像の画質低下を抑制する画像処理装置が得られる。
【0008】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、階調処理で得られた対象画像の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1間引きパターンについて説明する図である。
【
図4】
図4は、第2間引きパターンについて説明する図である。
【
図5】
図5は、
図3に示す第1間引きパターンに対応する第1欠落画素判定パターンを示す図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す第2間引きパターンに対応する第2欠落画素判定パターンを示す図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す画像処理装置の動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す画像処理装置は、例えばコピー機、複合機などといった画像形成装置である。
図1に示す画像処理装置は、画像入力部1、演算処理部2、および画像出力部3を備える。画像入力部1は、例えばイメージスキャナーを備え、1ページずつ、原稿画像を光学的に読み取り、その原稿画像の画像データを生成し、演算処理部2に出力する。演算処理部2は、画像入力部1から入力された対象画像の画像データに対して各種画像処理を行い、画像処理後の画像データを画像出力部3に出力する。画像出力部3は、その画像データに基づいて、出力すべき対象画像を出力する。具体的には、画像出力部3は、出力すべき対象画像をデータファイルや信号として出力したり、例えば電子写真方式のプリントエンジンで、出力すべき画像をプリントする。
【0012】
演算処理部2は、例えば、プログラムを実行するコンピューター、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを備え、それらのコンピューター、ASICを使用して各種処理部として動作する。ここでは、演算処理部2は、制御部11、出力階調処理部21、画素判定部22、間引き処理部23、欠落画素判定部24、補間処理部25、およびプリントデータ生成部26として動作する。
【0013】
制御部11は、図示せぬ操作パネルなどからコピージョブ、スキャントゥセンドジョブなどのジョブ要求を受け付けると、画像入力部1、演算処理部2内の処理部、および画像出力部3を使用して、ジョブ要求により指定されたジョブを実行する。
【0014】
出力階調処理部21は、元画像(画像入力部1から得られる画像)に対して出力階調処理を実行して複数ビットで表現される対象画像を生成する。例えば、対象画像は、画素ごとに、2ビットの(つまり、4階調レベルの)、または4ビット(つまり、16階調レベルの)画素値を有する。
【0015】
画素判定部22は、対象画像において中間濃度の画素が含まれているか否かを判定する。具体的には、画素判定部22は、対象画像における画素の画素値が所定閾値以上である場合、対象画像において中間濃度の画素が含まれていると判定する。そして、出力階調処理部21は、出力階調処理において、元画像における中間濃度の画素に対応する対象画像における画素を、必ず、濃度なしとせず、中間濃度の画素とする。
【0016】
図2は、階調処理で得られた対象画像の一例を示す図である。
図2に示す対象画像は、中間濃度の画素を含んでいる。ここでは、画素判定部22は、M1×N1画素(
図2では、7×7画素)の第1参照領域ごとに、第1参照領域内に中間濃度の画素が含まれているか否かを判定する。
【0017】
間引き処理部23は、対象画像に対して間引き処理を実行する。具体的には、間引き処理部23は、所定の間引きパターン(後述の第1間引きパターン、第2間引きパターンなど)に基づくパターンマッチングで、間引くべきドットを特定し、特定したドットを間引く(つまり、特定したドットのある画素の濃度をゼロにする)。
【0018】
図3は、第1間引きパターンについて説明する図である。例えば、間引き処理部23は、
図3に示すように、第1間引きパターンに基づくパターンマッチングで、エッジ部分において、間引くべきドットを特定する。第1間引きパターンは、エッジ部分において黒画素が縦に2画素連続する場合に、その2画素のうちの上側の画素のドットを間引き、エッジ部分において黒画素が横に2画素連続する場合に、その2画素のうちの左側の画素のドットを間引く。
【0019】
図4は、第2間引きパターンについて説明する図である。例えば、間引き処理部23は、
図4に示すように、第2間引きパターンに基づくパターンマッチングで、エッジ部分において、間引くべきドットを特定する。第2間引きパターンは、エッジ部分において黒画素が縦に4画素連続する場合に、その4画素のうちの最も下側の画素のドットを間引き、エッジ部分において黒画素が横に4画素連続する場合に、その2画素のうちの最も左側の画素のドットを間引く。
【0020】
ここでは、対象画像は、文字画像を含み、間引き処理部23は、その文字画像に対応した間引きパターンに基づくパターンマッチングで、間引くべきドットを特定し、特定したドットを間引く。
【0021】
この実施の形態では、間引き処理部23は、対象画像において中間濃度の画素が含まれていないと判定された場合、間引き処理を実行し、対象画像において中間濃度の画素が含まれていると判定された場合、対象画像に写真などのグラデーション画像が含まれていると判断し、間引き処理を実行しない。
【0022】
欠落画素判定部24は、その間引き処理後の対象画像における欠落画素の有無を判定する。具体的には、欠落画素判定部24は、上述の間引きパターンに対応する欠落画素判定パターンに基づくM2×N2画素の第2参照領域に対するパターンマッチングで、その間引き処理後の対象画像における欠落画素の有無を判定する。欠落画素は、上述の間引き処理で過剰にドットを間引かれた画素であり、文字画像のエッジ部分の画質を低下させている画素である。
【0023】
図5は、
図3に示す第1間引きパターンに対応する第1欠落画素判定パターンを示す図である。第1欠落画素判定パターンは、注目画素を中心とした3×3画素の第2参照領域において、注目画素が濃度なし(濃度ゼロ)となっており、かつ、第2参照領域内の周辺画素のうちの2画素が黒画素であり、かつ、その2画素が連続していない画素パターンである。間引き処理後の対象画像において、間引き処理によってドットが間引かれた画素を注目画素として、第2参照領域の画素パターンが第1欠落画素判定パターンのいずれかに一致する場合には、当該第2参照領域において、欠落画素があると判定される。
【0024】
図6は、
図4に示す第2間引きパターンに対応する第2欠落画素判定パターンを示す図である。第2欠落画素判定パターンは、2×9画素または9×2画素の第2参照領域において、第2参照領域の長手方向に沿って7つの濃度なし画素(注目画素列)が連続しており、かつ、その連続する7つの濃度なし画素の両側に黒画素が隣接している画素パターンである。間引き処理後の対象画像において、間引き処理によって縦または横に連続してドットが間引かれた7つの画素を上述の注目画素列として、第2参照領域の画素パターンが第2欠落画素判定パターンのいずれかに一致する場合には、当該第2参照領域において、欠落画素があると判定される。
【0025】
補間処理部25は、その間引き処理後の対象画像に欠落画素がある場合、欠落画素に対する補間処理を実行する。
【0026】
例えば、上述の第1欠落画素判定パターンで欠落画素があると判定された場合、補間処理部25は、第1欠落画素判定パターンに対応する第1補間パターンで補間処理を実行する。具体的には、第1欠落画素判定パターンにおける上述の注目画素が黒画素に変更される。あるいは、第1欠落画素判定パターンにおける2つの黒画素の間の画素が黒画素に変更されるようにしてもよい。
【0027】
例えば、上述の第2欠落画素判定パターンで欠落画素があると判定された場合、補間処理部25は、第2欠落画素判定パターンに対応する第2補間パターンで補間処理を実行する。具体的には、第2欠落画素判定パターンにおける上述の注目画素列(7つの濃度なし画素)のすべての画素が黒画素に変更される。
【0028】
プリントデータ生成部26は、補間処理後の対象画像のプリントに使用するプリントデータを生成する。例えば、画像出力部3が、電子写真方式のプリントエンジンである場合、プリントエンジンは、感光体ドラム、露光装置、現像装置、定着器などを備え、プリントデータは、露光装置による露光パターンを示す2値データである。
【0029】
次に、上記画像処理装置の動作について説明する。
図7は、
図1に示す画像処理装置の動作について説明するフローチャートである。
【0030】
まず、画像入力部1が、例えばイメージスキャナーにて読み取った原稿画像のビットマップ画像データを生成し、制御部11は、画像入力部1からその原稿画像の画像データを取得し、元画像の画像データとして図示せぬメモリーなどに格納する。
【0031】
次に、出力階調処理部21は、その元画像に対して出力階調処理を実行して複数ビットで表現される対象画像を生成する(ステップS1)。
【0032】
画素判定部22は、対象画像において中間濃度の画素が含まれているか否かを判定する(ステップS2)。
【0033】
対象画像において中間濃度の画素が含まれていると判定された場合には、プリントデータ生成部26は、間引き処理、欠落画素の判定、および補間処理を行わずに、その対象画像のプリントに使用するプリントデータを生成する(ステップS3)。
【0034】
一方、対象画像において中間濃度の画素が含まれていないと判定された場合には、間引き処理部23は、所定の間引きパターンに基づくパターンマッチングで間引き処理を実行する(ステップS4)。
【0035】
間引き処理の実行後、欠落画素判定部24は、上述の間引きパターンに対応する欠落画素判定パターンに基づくパターンマッチングで、その間引き処理後の対象画像における欠落画素の有無を判定する(ステップS5)。
【0036】
その間引き処理後の対象画像に欠落画素があると判定された場合、補間処理部25は、欠落画素に対する補間処理を実行する(ステップS6)。
【0037】
一方、その間引き処理後の対象画像に欠落画素がないと判定された場合、補間処理部25は、欠落画素に対する補間処理を実行しない。
【0038】
そして、プリントデータ生成部26は、補間処理が実行されなかった場合には間引き処理後の対象画像のプリントに使用するプリントデータを生成し、補間処理が実行された場合には補間処理後の対象画像のプリントに使用するプリントデータを生成する(ステップS3)。
【0039】
このようにして、プリントデータが生成されると、制御部11は、生成されたプリントデータに基づく画像を、画像出力部3に出力(例えばプリント)させる。
【0040】
以上のように、上記実施の形態によれば、間引き処理部23は、対象画像に対して間引き処理を実行する。欠落画素判定部24は、間引き処理後の対象画像における欠落画素の有無を判定する。補間処理部25は、間引き処理後の対象画像に欠落画素がある場合、欠落画素に対する補間処理を実行する。そして、間引き処理部23は、所定の間引きパターンに基づくパターンマッチングで、間引くべきドットを特定し、特定したドットを間引き、欠落画素判定部24は、間引きパターンに対応する欠落画素判定パターンに基づくパターンマッチングで、間引き処理後の対象画像における欠落画素の有無を判定する。
【0041】
これにより、間引き処理によって生じる不必要なドットの欠損が適切に検出され解消されるため、間引き処理によって生じる不必要なドットの欠損に起因する対象画像の画質低下が抑制される。
【0042】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、例えば、画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
21 出力階調処理部
22 画素判定部
23 間引き処理部
24 欠落画素判定部
25 補間処理部