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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147244
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】酸素濃縮装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/10 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
A61M16/10 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060140
(22)【出願日】2023-04-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永岡 南陽
(72)【発明者】
【氏名】近藤 啓太
(72)【発明者】
【氏名】望月 理
(72)【発明者】
【氏名】山本 健太
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋文
(72)【発明者】
【氏名】押川 丈朗
(57)【要約】
【課題】加湿チューブを用いるタイプの加湿装置を備えた酸素濃縮装置において、高濃度酸素に対する加湿量を従来に比べて増やす。
【解決手段】酸素濃縮装置Mは、原料空気から窒素を選択的に吸着する吸着材を有し高濃度酸素を生成する吸着筒20と、生成した前記高濃度酸素を加湿する加湿装置30と、を備え、加湿装置30は、内部を通る高濃度酸素に対して外部に存在する水分を与える加湿チューブ31からなり、1本の加湿チューブ31を仮想の軸P回りに巻回して構成された巻回体32を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料空気から窒素を選択的に吸着する吸着材を有し高濃度酸素を生成する吸着筒(20)と、生成した前記高濃度酸素を加湿する加湿装置(30)と、を備える酸素濃縮装置(M)であって、
前記加湿装置(30)は、
内部を通る前記高濃度酸素に対して外部に存在する水分を与える加湿チューブ(31)からなり、1本の前記加湿チューブ(31)を仮想の軸(P)回りに巻回して構成された巻回体(32)を備える、酸素濃縮装置(M)。
【請求項2】
前記巻回体(32)は、
前記仮想の軸(P)を中心として渦巻き状に巻回された形態を有する、請求項1に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項3】
前記巻回体(32)は、
前記仮想の軸(P)を中心として螺旋状に巻回された形態を有する、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項4】
前記加湿装置(30)は、前記巻回体(32)を保持するホルダー(35)をさらに備え、
前記ホルダー(35)は、
隣接する前記加湿チューブ(31)同士を離間させた状態で前記加湿チューブ(31)を保持する、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項5】
前記巻回体(32)は、
第1の前記巻回体(32a)と、第2の前記巻回体(32b)と、を含み、
前記第1の巻回体(32a)及び前記第2の巻回体(32b)が、前記仮想の軸(P)の方向について同軸状に隣接して配置される、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項6】
前記原料空気を前記吸着筒(20)に供給するエアポンプ(23)と、
前記エアポンプ(23)に対して冷却用空気を送風する冷却ファン(26)と、
外部から前記冷却用空気を取り込む給気口(13,15)を有し、前記給気口(13,15)から前記冷却ファン(26)に流れる前記冷却用空気の流路を構成する筐体(10,12)と、をさらに備え、
前記加湿装置(30)は、前記流路における前記冷却用空気の流れ(F1)から外れた位置に配置される、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項7】
前記筐体が前記冷却ファン(26)を収容する冷却ファン用筐体(12)を含み、
前記加湿装置(30)は、前記冷却ファン用筐体(12)の外部に配置される、請求項6に記載の酸素濃縮装置(M)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、酸素濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の酸素濃度よりも高濃度の酸素を含む空気(以下、高濃度酸素という)を生成してユーザに供給する酸素濃縮装置が知られている。酸素濃縮装置は、生成した高濃度酸素を加湿する加湿装置を備える。加湿装置には、水の補給タンクを有するタイプと、加湿チューブを用いるタイプが知られている。加湿チューブを用いるタイプの加湿装置は、水の補給を不要とすることができる。加湿チューブを用いるタイプの加湿装置を備えた酸素濃縮装置としては、特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1に開示された加湿装置は、複数の加湿チューブ(水分透過膜を形成した中空糸)を直線状に伸ばした状態で束にして使用する。前記加湿装置は、加湿チューブ内に高濃度酸素(酸素富化空気)を通すと共に、加湿チューブの束を収容したケース(水分透過膜モジュール本体)内に原料空気を流して、原料空気に含まれる水分を高濃度酸素に付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-282652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の加湿チューブを束にして使用する場合、隣接する加湿チューブに重なる(接触する)部位が生じる。前記部位は、加湿チューブの表面が空気に触れにくい。このような加湿装置は、水分の取得について、加湿チューブの表面の全体を有効に利用することができない。このため、従来の酸素濃縮装置は、加湿チューブを用いるタイプの加湿装置を備える場合、高濃度酸素に対する加湿量が不足する場合があった。
【0006】
本開示は、加湿チューブを用いるタイプの加湿装置を備えた酸素濃縮装置において、高濃度酸素に対する加湿量を従来に比べて増やすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の酸素濃縮装置は、原料空気から窒素を選択的に吸着する吸着材を有し高濃度酸素を生成する吸着筒と、生成した前記高濃度酸素を加湿する加湿装置と、を備える酸素濃縮装置であって、前記加湿装置は、内部を通る前記高濃度酸素に対して外部に存在する水分を与える加湿チューブからなり、1本の前記加湿チューブを仮想の軸回りに巻回して構成された巻回体を備える。
【0008】
本開示の酸素濃縮装置が備える加湿装置は、加湿チューブを巻回して構成した巻回体を備える。この加湿チューブの巻回体は、加湿チューブを束にして用いた場合に比べて、加湿チューブ同士の表面の重なりが少ない。このため、本開示の酸素濃縮装置が備える加湿装置は、水分の取得について有効に利用できる加湿チューブの表面積が、同じ総長の加湿チューブを束にして用いた場合に比べて多い。よって、このような構成の加湿装置は、従来の加湿装置に比べて、高濃度酸素に対する加湿能力を高めることができる。これにより、加湿チューブを用いるタイプの加湿装置を備えた酸素濃縮装置において、高濃度酸素に対する加湿量を従来に比べて増やすことができる。
【0009】
(2)本開示の前記(1)の酸素濃縮装置において、前記巻回体は、前記仮想の軸を中心として渦巻き状に巻回された形態を有すると好ましい。
【0010】
上記構成の加湿装置は、水分の取得について、加湿チューブの表面積を有効に利用することができる。これにより、高濃度酸素に対する加湿装置の加湿能力を高めることができる。
【0011】
(3)本開示の前記(1)又は(2)の酸素濃縮装置において、前記巻回体は、前記仮想の軸を中心として螺旋状に巻回された形態を有すると好ましい。
【0012】
上記構成の加湿装置は、水分の取得について、加湿チューブの表面積を有効に利用することができる。これにより、高濃度酸素に対する加湿装置の加湿能力を高めることができる。
【0013】
(4)本開示の前記(1)~(3)の何れかの態様の酸素濃縮装置において、前記加湿装置は、前記巻回体を保持するホルダーをさらに備え、前記ホルダーは、隣接する前記加湿チューブ同士を離間させた状態で前記加湿チューブを保持すると好ましい。
【0014】
上記構成の加湿装置は、水分の取得について、加湿チューブの表面積を最大限有効に利用することができる。これにより、高濃度酸素に対する加湿装置の加湿能力をより高めることができる。
【0015】
(5)本開示の前記(1)~(4)の何れかの態様の酸素濃縮装置において、前記巻回体は、第1の前記巻回体と、第2の前記巻回体と、を含み、前記第1の巻回体及び前記第2の巻回体が、前記仮想の軸の方向について同軸状に隣接して配置されると好ましい。
【0016】
上記構成の酸素濃縮装置は、2本の加湿チューブを備える構成とすることによって、加湿装置において水分の取得について利用することができる加湿チューブの表面積を増やすことができる。
【0017】
(6)本開示の前記(1)~(5)の何れかの態様の酸素濃縮装置において、前記原料空気を前記吸着筒に供給するエアポンプと、前記エアポンプに対して冷却用空気を送風する冷却ファンと、外部から前記冷却用空気を取り込む給気口を有し、前記給気口から前記冷却ファンに流れる前記冷却用空気の流路を構成する筐体と、をさらに備え、前記加湿装置は、前記流路における前記冷却用空気の流れから外れた位置に配置されると好ましい。
【0018】
本開示の酸素濃縮装置は、冷却用ファンが発生させる冷却用空気の流れから外れた位置に加湿装置を配置することで、加湿装置の配置の自由度を高めることができる。これにより、加湿装置を有する酸素濃縮装置のスペース効率を高めることができ、酸素濃縮装置の更なるコンパクト化が可能となる。
【0019】
(7)本開示の前記(6)の酸素濃縮装置は、前記筐体が前記冷却ファンを収容する冷却ファン用筐体を含み、前記加湿装置は、前記冷却ファン用筐体の外部に配置されると好ましい。
【0020】
本開示の酸素濃縮装置は、冷却ファン用筐体の外部に加湿装置を配置することで、加湿装置の配置の自由度をさらに高めることができる。これにより、加湿装置を有する酸素濃縮装置のスペース効率を高めることができ、酸素濃縮装置の更なるコンパクト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の一実施形態に係る酸素濃縮装置の説明図である。
図2】酸素濃縮装置における加湿装置の配置及び空気の流れの説明図である。
図3】加湿装置を示す斜視模式図である。
図4】加湿装置を示す分解図である。
図5A】加湿チューブの断面模式図である。
図5B】巻回体における加湿チューブの配置を示す断面模式図である。
図6A】螺旋状である巻回体の断面模式図である。
図6B】螺旋状かつ渦巻き状である巻回体の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の酸素濃縮装置を詳細に説明する。
【0023】
[本開示の酸素濃縮装置の全体構成について]
図1は、本開示の一実施形態に係る酸素濃縮装置の説明図である。本開示の酸素濃縮装置は、空気中の酸素濃度よりも高い酸素濃度の酸素を含む高濃度酸素を生成して、ユーザに供給する装置である。酸素濃縮装置は、例えば、ユーザである呼吸器疾患患者等に対して高濃度酸素を提供する在宅酸素療法において用いられる。
【0024】
図1に示す酸素濃縮装置Mは、本開示の酸素濃縮装置の一実施形態である。図1に示すように、本開示の酸素濃縮装置Mは、ケーシング(筐体)10と、吸着筒20と、加湿装置30と、を備える。ケーシング10は、酸素濃縮装置Mの外装カバーであり、酸素濃縮装置Mの外殻を構成する。酸素濃縮装置Mは、ケーシング10に内蔵されるポンプボックス11及びファンボックス12を備える。ポンプボックス11は、主にエアポンプを収容するための筐体であり、ファンボックス12は、主にファンを収容するための筐体である。
【0025】
吸着筒20は、吸着筒20に供給された空気から窒素を吸着し、高濃度酸素及び低濃度酸素を生成する。酸素濃縮装置Mは、吸着筒20として、第1吸着筒21及び第2吸着筒22を備える。なお、低濃度酸素は、通常の空気よりも窒素濃度が高い空気(窒素リッチガス)であり、空気中の酸素濃度よりも低い酸素濃度の酸素を含む。吸着筒20は、空気から窒素を選択的に吸着する吸着剤を備える。本説明では、高濃度酸素を生成するために吸着筒20に供給される空気を原料空気と称する。
【0026】
加湿装置30は、吸着筒20において生成された高濃度酸素に水分を付与する。本開示の酸素濃縮装置Mが備える加湿装置30は、加湿チューブ(後で説明する加湿チューブ31)を用いるタイプであり、水を補給する必要がない。加湿装置30の構成については、後で詳細に説明する。
【0027】
酸素濃縮装置Mは、第1吸着筒21及び第2吸着筒22に加圧した原料空気(加圧空気)を供給するエアポンプ23と、高濃度酸素を貯留する酸素タンク24と、をさらに備える。本実施形態のエアポンプ23は、空気等のガスの加圧及び吸引を行うことができる加圧・真空併用型の流体機械である。エアポンプ23は、圧縮機として機能し、加圧した空気を供給する加圧部23aと、真空ポンプとして機能し、空気等のガスを吸引及び排気する排気部23bとを備える。エアポンプ23は、第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、及び第4ポートP4を備える。第1ポートP1は、加圧部23aの吸入ポートであり、第3ポートP3は、加圧部23aの吐出ポートである。第2ポートP2は、排気部23bの排気ポートであり、第4ポートP4は、排気部23bの吸入ポートである。
【0028】
酸素濃縮装置Mは、加圧部23aの第1ポートP1に接続された給気経路K1と、加圧部23aの第3ポートP3と第1吸着筒21及び第2吸着筒22とを接続する給気経路K3と、を備える。酸素濃縮装置Mは、排気部23bの第2ポートP2に接続された排気経路K2と、排気部23bの第4ポートP4と第1吸着筒21及び第2吸着筒22とを接続する排気経路K4と、を備える。
【0029】
エアポンプ23は、加圧部23aによって、給気経路K1,K3を経由して第1吸着筒21及び第2吸着筒22に加圧空気を供給するとともに、排気部23bによって、排気経路K2,K4を経由して第1吸着筒21及び第2吸着筒22内を減圧することにより吸着剤から窒素を脱着し、低濃度酸素(窒素リッチガス)を排気する。なお、本実施形態では、加圧・真空併用型のエアポンプ23を用いているが、本開示の酸素濃縮装置は、加圧空気を供給する圧縮機と、吸着筒内を減圧するための真空ポンプとを個別に装置内に有する構成であってもよい。酸素タンク24は、第1吸着筒21及び第2吸着筒22において生成した高濃度酸素を貯留する。第1吸着筒21、第2吸着筒22、及び酸素タンク24は、ケーシング10内に配置される。
【0030】
酸素濃縮装置Mは、切替弁40をさらに備える。切替弁40は、加圧部23aから第1吸着筒21及び第2吸着筒22への加圧空気の流れ、及び、第1吸着筒21及び第2吸着筒22から排気部23bへの排気(低濃度酸素)の流れを切り替える。本実施形態における切替弁40は、3ポート弁である第1制御弁41と、同じく3ポート弁である第2制御弁42とで構成されている。
【0031】
酸素濃縮装置Mは、制御部50をさらに備える。エアポンプ23の作動や、後述する種々の制御弁等の作動は、装置内に配設された制御部50により行われる。制御部50は、酸素濃縮装置Mを作動させるためのプログラムが記憶されている記憶部51、及び制御弁等の作動信号などを発信する演算部52を備えている。制御部50には、酸素濃縮装置Mの作動状態等を表示する表示部60、及びユーザが酸素濃縮装置Mを操作する操作部61が接続されている。
【0032】
酸素濃縮装置Mにおいて、ポンプボックス11は、エアポンプ23、給気サイレンサ48、及び排気サイレンサ49を収容する。酸素濃縮装置Mにおいて、ファンボックス12は、冷却ファン26及び切替弁40を収容する。
【0033】
[空気の流れについて]
図2は、酸素濃縮装置における加湿装置の配置及び空気の流れの説明図である。なお、図2においては、説明の便宜上、ポンプボックス11内の給気サイレンサ48及び排気サイレンサ49、ファンボックス12内の切替弁40等の図示を省略している。図1及び図2に示すように、ケーシング10は、ケーシング10内に空気を取り込むための給気口13と、ケーシング10内から空気を排気するための排気口14とを備える。給気口13には、空気中に含まれる塵埃等を捕集するための防塵フィルタ13aが設けられている。給気口13から取り込まれる空気は、原料空気、及びエアポンプ23を冷却するための冷却用空気が含まれる。
【0034】
ファンボックス12は、ファンボックス12内に冷却用空気を取り込むための給気口15を備える。冷却ファン26が作動すると、給気口13,15を介してファンボックス12内に空気が取り込まれる。ファンボックス12内に取り込まれた冷却用空気は、冷却ファン26に吸引されると共に、ポンプボックス11に向けて吐出される。本説明では、給気口13及び給気口15を経て冷却ファン26に吸い込まれる空気の流れを流れF1と称する。流れF1は、主に冷却用空気の流れである。本開示の酸素濃縮装置Mにおいて、ケーシング10及びファンボックス12は、給気口13及び給気口15から冷却ファン26に流れる冷却用空気の流路を構成する。流れF1は、給気口13から冷却ファン26まで前記流路を通って流れる。
【0035】
運転により発生するエアポンプ23の熱は、冷却ファン26によってエアポンプ23に吹き付けられる冷却用空気により冷却される。冷却用空気は、エアポンプ23に吹き付けられた後、排気口14からポンプボックス11の外部に排気される。
【0036】
エアポンプ23が作動している場合、ケーシング10内に取り込まれた空気の一部は、給気フィルタ27から吸い込まれ、給気経路K1及び給気サイレンサ48を経て加圧部23aに吸引される。本説明では、給気口13からケーシング10内に取り込まれた後、給気フィルタ27に向かって流れる空気の流れを流れF2と称する。流れF2は、主に原料空気の流れである。
【0037】
給気サイレンサ48は、給気フィルタ27からエアポンプ23に至る原料空気の給気経路K1に配設されている。給気サイレンサ48は、エアポンプ23の加圧部23aにおける給気・圧縮に起因する騒音を低減させる。排気サイレンサ49は、排気部23bから排気される低酸素空気の排気経路K2に配設されている。排気サイレンサ49は、エアポンプ23の排気部23bからの排気に起因する騒音を低減させる。
【0038】
第1吸着筒21及び第2吸着筒22の内部には、エアポンプ23から供給される加圧空気中の窒素を選択的ないし優先的に吸着する吸着剤が収容されている。吸着剤としては、例えばゼオライト等を用いることができる。
【0039】
第1吸着筒21及び第2吸着筒22の下流側の流路(高濃度酸素の出口側の流路。図1では第1吸着筒21及び第2吸着筒22の下部から酸素出口28に至る流路)には、高濃度酸素等の流体の流量又は流れを制御するための種々の弁、すなわちパージ弁43、及び逆止弁44、45が設けられている。酸素タンク24は、逆止弁44、45の下流側に設けられている。高濃度酸素は、高濃度酸素の流量を制御するための流量制御部54、及び酸素濃度異常を検出するための酸素センサ55を経由して、酸素出口28に送られる。なお、高濃度酸素を供給する流路には、圧力異常等を検出するための圧力センサ(図示せず)、及び圧力を調整するための減圧弁(図示せず)が適宜設けられる。
【0040】
逆止弁44は第1吸着筒21の下流側のガス流路に配設され、逆止弁45は第2吸着筒22の下流側のガス流路に配設されている。両逆止弁44、45は、第1吸着筒21及び第2吸着筒22から排出される高濃度酸素が下流側に向かってだけ流れるように構成されている。パージ弁43は、第1吸着筒21と逆止弁44との間のガス流路と、第2吸着筒22と逆止弁45との間のガス流路とを接続するガス流路に配設されている。
【0041】
逆止弁44からの高濃度酸素と、逆止弁45からの高濃度酸素とが交互に酸素タンク24に供給され、当該酸素タンク24に貯留される。酸素タンク24の下流側には、高濃度酸素から異物を除去するためのバクテリアフィルタ47、及び、生成した高濃度酸素を加湿するための加湿装置30が配設されている。酸素濃縮装置Mにおいて、高濃度酸素は、酸素出口28にカニューラ継手29を設けると共に、カニューラ継手29に接続されたチューブT及びカニューラCを介して患者に供給される。
【0042】
第1制御弁41及び第2制御弁42は、いずれも3ポート弁であり、エアポンプ23から吐出された加圧空気を第1吸着筒21(第2吸着筒22)に供給する加圧状態と、吸引することで当該第1吸着筒21(第2吸着筒22)内の排気ガスを外部に排出する減圧状態とを切り替える。一方の吸着筒が加圧状態にあるときは、他方の吸着筒は減圧状態にある。
【0043】
[高濃度酸素の生成プロセスについて]
図1に示すように、給気フィルタ27から給気経路K1及び給気サイレンサ48を経て加圧部23aに吸引された原料空気は、加圧部23aにより加圧(圧縮)される。加圧された原料空気は、給気経路K3及び第1制御弁41及び第2制御弁42を経由して第1吸着筒21及び第2吸着筒22に供給される。第1吸着筒21及び第2吸着筒22からの排気ガスは、排気経路K4及び第1制御弁41及び第2制御弁42を経由して排気部23bにより減圧・吸引され、排気経路K2及び排気サイレンサ49を経て、開口部16及び排気口14からケーシング10の外部に排出される。
【0044】
酸素濃縮装置Mは、第1制御弁41、第2制御弁42、及びパージ弁43の開閉状態を切り替えて、第1吸着筒21及び第2吸着筒22内を交互に加圧及び減圧する処理を実行して、高濃度酸素を生成する。なお、本実施形態で示した酸素濃縮装置Mは、一方の吸着筒にエアポンプ23で圧縮された空気が供給されている間に、他方の吸着筒を当該エアポンプ23によって吸引することで減圧するVPSA(Vacuum Pressure Swing Adsorption System)タイプの酸素濃縮装置である。しかし、本開示の酸素濃縮装置はこれに限定されず、一方の吸着筒に圧縮機で圧縮された空気が供給されている間に、他方の吸着筒が大気開放されることで減圧されるPSA(Pressure Swing Adsorption System)タイプの酸素濃縮装置とすることもできる。
【0045】
[加湿装置について]
図3は、加湿装置を示す斜視模式図である。図4は、加湿装置を示す分解図である。図5Aは、加湿チューブの断面模式図である。図5Bは、巻回体における加湿チューブの配置を示す断面模式図である。図3及び図4に示すように、加湿装置30は、加湿チューブ31を備える。加湿チューブ31は、水分透過膜からなる中空糸であり、チューブの外側の気体(空気)から水分を取得し、取得した水分をチューブの内部を通る高濃度酸素に付与する。加湿装置30は、前記中空糸を所定の長さに切断したものを加湿チューブ31として使用する。前記所定の長さは、1本の加湿チューブ31によって高濃度酸素に付与すべき水分量(加湿量)に基づいて決定する。
【0046】
図5Aに示すように、本実施形態の加湿装置30で使用する加湿チューブ31は、水分透過膜からなるチューブ本体31aと、チューブ本体31aの外周面を覆う保護層31bとを備える。保護層31bは空気を透過可能な素材(例えば、金属メッシュ)により構成される。このため、加湿チューブ31において、保護層31bは、チューブ本体31aの表面からの水分の取り込みを阻害することが無い。加湿チューブ31は、隣接する加湿チューブ31同士が接触した場合、その接触した部位において、チューブ本体31a同士の間には、保護層31bの分の空間が確保される。このため、加湿チューブ31は、仮に隣接する加湿チューブ31同士が接触した場合であっても、その接触した部位のチューブ本体31aの表面を、水分の取得について有効に利用することができる。
【0047】
加湿装置30は、仮想の軸P回りに1本の加湿チューブ31を巻回した巻回体32を備える。図3に示す巻回体32は、巻回体32の第1実施形態である。図3及び図4に示す巻回体32は、1本の加湿チューブ31を仮想の軸P回りに「渦巻き状」に巻回して構成されている。なお、本説明でいう「渦巻き状」は、加湿チューブ31を軸P回りに巻回する際、巻回するにしたがって軸Pに対する加湿チューブ31の距離が変化する形態を意味する。加湿チューブ31を軸P回りに径方向内側から外側に向かって巻回する場合、軸Pに対する加湿チューブ31の距離は単調に増加し、加湿チューブ31を軸P回りに径方向外側から内側に向かって巻回する場合、軸Pに対する加湿チューブ31の距離は単調に減少する。
【0048】
図6Aは、螺旋状である巻回体の断面模式図である。図6Bは、螺旋状かつ渦巻き状である巻回体の断面模式図である。加湿装置30を構成する巻回体32は、図6A及び図6Bに示す形態であってもよい。図6Aに示す巻回体32は、巻回体32の第2実施形態である。図6Aに示す巻回体32は、1本の加湿チューブ31を仮想の軸P回りに「螺旋状」に巻回して構成されている。なお、本説明でいう「螺旋状」は、加湿チューブ31を軸P回りに巻回する際、巻回するにしたがって軸Pの軸方向について加湿チューブ31の位置が変化する形態を意味する。
【0049】
図6Bに示す巻回体32は、巻回体32の第3実施形態である。加湿装置30を構成する巻回体32は、1本の加湿チューブ31を仮想の軸P回りに「渦巻き状」かつ「螺旋状」に巻回して構成されていてもよい。
【0050】
図4に示すように、本実施形態の加湿装置30は、2個の巻回体32(2本の加湿チューブ31)を備える。以下の説明では、加湿装置30が有する2個の巻回体32のうち、一方を第1巻回体32aと称し、他方を第2巻回体32bとも称する。本実施形態の加湿装置30は、第1巻回体32a及び第2巻回体32bを、軸Pの軸方向について隣接して同軸状に(各軸Pを一致させて)配置している。このような加湿装置30は、2個の巻回体32をコンパクトに配置しながら、水分の取得に利用できる加湿チューブ31の表面積を増大させている。加湿装置30は、加湿チューブ31の表面積を増大しつつ、加湿装置30の外形寸法が大きくなることを抑制する。
【0051】
本実施形態の加湿装置30は、高濃度酸素の流路において、第1巻回体32a及び第2巻回体32bを並列に接続している。このため、本実施形態の加湿装置30は、高濃度酸素の供給能力を低下させることなく、加湿能力を高めることができる。なお、本実施形態の加湿装置30において、第1巻回体32a及び第2巻回体32bは、高濃度酸素の流路において直列に接続されてもよい。
【0052】
加湿装置30は、ホルダー35をさらに備える。ホルダー35は、加湿チューブ31からなる巻回体32を保持する。本実施形態の加湿装置30において、巻回体32は、ホルダー35によって、加湿チューブ31が巻回された状態に保持されることにより構成される。
【0053】
図5Bは、図3のX-X線における加湿チューブ31の断面を示している。ホルダー35によって保持された巻回体32は、図5Bに示すように、隣接する加湿チューブ31同士の間に隙間Bが確保される。巻回体32は、隙間Bが確保されることによって、加湿チューブ31の表面において空気と接触し得ない部分がほぼ無くなり、水分の取得について加湿チューブ31の表面積を最大限有効に利用することができる。これにより、高濃度酸素に対する加湿装置30の加湿能力をより高めることができる。なお、巻回体32は、隙間Bが「0」であってもよい。隙間Bを「0」とした場合、巻回体32をよりコンパクトに構成することができる。
【0054】
図3及び図4に示すように、ホルダー35は、第1ホルダー36、第2ホルダー37、及びセパレータ38により構成される。第1ホルダー36、第2ホルダー37、及びセパレータ38は、いずれも樹脂製の枠体である。第1ホルダー36は、第1巻回体32aを保持する。第2ホルダー37は、第2巻回体32bを保持する。
【0055】
第1ホルダー36は、複数の溝部36a及び複数の爪部36bを備える。溝部36aは、加湿チューブ31を嵌め入れて保持することが可能な凹部であり、加湿チューブ31の外径A(図5A参照)に略一致する溝幅を有する。複数の溝部36aは、巻回体32として構成された加湿チューブ31の軸線が描く軌跡に沿って配置される。このため、複数の溝部36aに対して、加湿チューブ31を所定の順序で嵌め込んでいくことによって、軸P回りに巻回された第1巻回体32aが構成される。爪部36bは、セパレータ38に形成された孔(後で説明する係止部38a)に引っ掛けることが可能な鉤状の形態を有する。
【0056】
第2ホルダー37は、複数の溝部37a及び複数の爪部37bを備える。溝部37aは、加湿チューブ31を嵌め入れて保持することが可能な凹部であり、加湿チューブ31の外径A(図5A参照)に略一致する溝幅を有する。複数の溝部37aは、巻回体32として構成された加湿チューブ31の軸線が描く軌跡に沿って配置される。このため、複数の溝部37aに対して、加湿チューブ31を所定の順序で嵌め込んでいくことによって、軸P回りに巻回された第2巻回体32bが構成される。爪部37bは、セパレータ38に形成された孔(後で説明する係止部38a)に引っ掛けることが可能な鉤状の形態を有する。説明の便宜上、第2ホルダー37には、第1ホルダー36と別の符号を付与しているが、第1ホルダー36及び第2ホルダー37は同一の形状及び寸法を有する部材である。第1ホルダー36及び第2ホルダー37は、表裏を逆転させた状態で使用する。
【0057】
セパレータ38は、軸Pの方向において、第1ホルダー36及び第2ホルダー37の間に配置される。セパレータ38は、第1ホルダー36に保持された第1巻回体32aと、第2ホルダー37に保持された第2巻回体32bとが接触するのを防止する役割を果たす。セパレータ38は、第1ホルダー36及び第2ホルダー37を連結する部材としての役割も有する。セパレータ38は、複数の係止部38aを備える。係止部38aは、1つ又は2つの孔を有する。係止部38aは、前記孔に挿入した各爪部36b,37bを係止することできる。
【0058】
ホルダー35は、セパレータ38の第1面側に第1ホルダー36を隣接させた状態で、係止部38aによって爪部36bを係止すると共に、セパレータ38の第2面側に第2ホルダー37を隣接させた状態で、係止部38aによって爪部37bを係止することで、一体に構成される。加湿装置30は、このような構成のホルダー35を用いることにより、第1巻回体32a及び第2巻回体32bを、仮想の軸Pの方向について同軸状に隣接して配置することができる。このような2個の巻回体32(2個の加湿チューブ31)を備える酸素濃縮装置Mは、水分の取得について利用することができる加湿チューブ31の表面積を増やすことができる。
【0059】
本実施形態のホルダー35は、第1ホルダー36及び第2ホルダー37を同一部材で構成している。このため、本開示の酸素濃縮装置Mは、ホルダー35を少ない部品点数で構成することができ、ホルダー35の製造コストを抑制することができる。なお、ホルダー35は、爪部36bと爪部37bとが直接連結されて、第1ホルダー36及び第2ホルダー37がセパレータ38を介さずに連結される構成であってもよい。この場合のホルダー35は、セパレータ38を省略してもよい。
【0060】
[加湿装置の配置について]
本開示の酸素濃縮装置Mが有する加湿装置30は、複数の加湿チューブ31を束にして使用する場合に比べて、隣接する加湿チューブ31同士の重なり(接触)を抑制することができ、これにより、加湿チューブ31の表面の全体を水分の取得について有効に利用することができる。このため、本開示の加湿装置30は、同じ総長の加湿チューブを用いた従来の加湿装置に比べて、高濃度酸素に対してより多くの水分を付与することができる(加湿量を増やすことができる)。このため、加湿装置30は、従来の加湿装置とは異なり、空気の流れ(例えば、冷却用空気の流れF1)上を選んで配置しなくても、所望の加湿能力を確保することができる。
【0061】
図1及び図2に示すように、酸素濃縮装置Mにおいて、加湿装置30は、ファンボックス12の外部に配置される。この加湿装置30の配置は、冷却用空気の流れF1から外れた位置となっている。酸素濃縮装置Mは、冷却用空気の流れF1から外れた位置に加湿装置30を配置することによって、加湿装置30の配置の自由度が向上する。
【0062】
従来の酸素濃縮装置では、空気の流れ(例えば、冷却用空気の流れF1)上を選んで加湿装置を配置することで加湿能力を確保しようとして、冷却ファンを収容する筐体内に加湿装置を配置していた。このため、従来の酸素濃縮装置では、筐体内の限られたスペースに加湿装置を配置せざるを得ず、ファンを収容する筐体が必然的に大型化されて、酸素濃縮装置のコンパクト化を阻害する要因となっていた。
【0063】
本実施形態の加湿装置30は、従来の加湿装置に比べて加湿能力が高いため、加湿装置30を冷却用空気の流れF1上に配置しなくても、所望の加湿能力を確保することができる。
【0064】
本開示の酸素濃縮装置Mは、加湿装置30をファンボックス12の外部(冷却用空気の流れF1から外れた位置)に配置することによって、ファンボックス12を大型化する必要がなくなり、これにより、酸素濃縮装置Mのコンパクト化が可能となっている。
【0065】
さらに、本開示の酸素濃縮装置Mにおいて、加湿装置30は、ファンボックス12の上方の給気フィルタ27の近傍に配置される(図1参照)。この位置は、原料空気の流れF2の近傍である。本開示の酸素濃縮装置Mは、図2に示す原料空気の流れF2によって、加湿装置30の周囲に存在する空気の入れ替えが促進されるため、冷却用空気の流れF1から外れた位置に加湿装置30を配置した場合であっても、加湿装置30自体の加湿能力の向上との相乗効果によって、所望の加湿能力を確保することができる。
【0066】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態の酸素濃縮装置Mは、原料空気から窒素を選択的に吸着する吸着材を有し高濃度酸素を生成する吸着筒20と、生成した前記高濃度酸素を加湿する加湿装置30と、を備える。酸素濃縮装置Mにおいて、加湿装置30は、内部を通る高濃度酸素に対して外部に存在する水分を与える加湿チューブ31からなり、1本の加湿チューブ31を仮想の軸P回りに巻回して構成された巻回体32を備える。
【0067】
上記実施形態の酸素濃縮装置Mが備える加湿装置30は、加湿チューブ31を巻回して構成した巻回体32を備える。この加湿チューブ31の巻回体32は、加湿チューブ31を束にして用いた場合に比べて、加湿チューブ31同士の表面の重なりが少ない。このため、加湿装置30は、水分の取得について有効に利用できる加湿チューブ31の表面積が、同じ総長の加湿チューブ31を束にして用いた場合に比べて多い。よって、このような構成の加湿装置30は、従来の加湿装置に比べて、高濃度酸素に対する加湿能力を高めることができる。これにより、加湿チューブ31を用いるタイプの加湿装置30を備えた酸素濃縮装置Mにおいて、高濃度酸素に対する加湿量を従来に比べて増やすことができる。
【0068】
(2)上記実施形態の酸素濃縮装置Mにおいて、巻回体32は、仮想の軸Pを中心として渦巻き状に巻回された形態を有する。
【0069】
このような構成の巻回体32を備える加湿装置30は、水分の取得について、加湿チューブ31の表面積を有効に利用することができる。これにより、高濃度酸素に対する加湿装置30の加湿能力を高めることができる。
【0070】
(3)上記実施形態の酸素濃縮装置Mにおいて、巻回体32は、仮想の軸Pを中心として螺旋状に巻回された形態を有する。
【0071】
このような構成の巻回体32を備える加湿装置30は、水分の取得について、加湿チューブ31の表面積を有効に利用することができる。これにより、高濃度酸素に対する加湿装置30の加湿能力を高めることができる。
【0072】
(4)上記実施形態の酸素濃縮装置Mにおいて、加湿装置30は、巻回体32を保持するホルダー35をさらに備える。ホルダー35は、隣接する加湿チューブ31同士を離間させた状態で、加湿チューブ31を保持する。
【0073】
このような構成のホルダー35を備える加湿装置30は、水分の取得について、加湿チューブ31の表面積を最大限有効に利用することができる。これにより、高濃度酸素に対する加湿装置30の加湿能力をより高めることができる。
【0074】
(5)上記実施形態の加湿装置30において、巻回体32は、第1巻回体32aと、第2巻回体32bと、を含んでいる。第1巻回体32a及び第2巻回体32bは、仮想の軸Pの方向について同軸状に隣接して配置されている。
【0075】
このような構成の巻回体32を備える酸素濃縮装置Mは、2本の加湿チューブ31を備える構成とすることによって、加湿装置30において水分の取得について利用することができる加湿チューブ31の表面積を増やすことができる。
【0076】
(6)上記実施形態の酸素濃縮装置Mは、原料空気を吸着筒20に供給するエアポンプ23と、エアポンプ23に対して冷却用空気を送風する冷却ファン26と、外部から冷却用空気を取り込む給気口13,15を有し、給気口13,15から冷却ファン26に流れる冷却用空気の流路を構成するケーシング10及びファンボックス12と、をさらに備える。上記実施形態の酸素濃縮装置Mにおいて、加湿装置30は、流路における冷却用空気の流れF1から外れた位置に配置される。
【0077】
このような構成の酸素濃縮装置Mは、冷却ファン26が発生させる冷却用空気の流れF1から外れた位置に加湿装置30を配置することで、加湿装置30の配置の自由度を高めることができる。これにより、加湿装置30を有する酸素濃縮装置Mのスペース効率を高めることができ、酸素濃縮装置Mの更なるコンパクト化が可能となる。
【0078】
(7)上記実施形態の酸素濃縮装置Mにおいて、加湿装置30は、ファンボックス12の外部に配置される。
【0079】
このような構成の酸素濃縮装置Mは、ファンボックス12の外部に加湿装置30を配置することで、加湿装置30の配置の自由度をさらに高めることができる。これにより、加湿装置30を有する酸素濃縮装置Mのスペース効率を高めることができ、酸素濃縮装置Mの更なるコンパクト化が可能となる。
【0080】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0081】
M :酸素濃縮装置
10 :ケーシング(筐体)
12 :ファンボックス(冷却ファン用筐体)
13 :給気口
15 :給気口
20 :吸着筒
23 :エアポンプ
26 :冷却ファン
30 :加湿装置
31 :加湿チューブ
32 :巻回体
32a:第1巻回体(第1の巻回体)
32b:第2巻回体(第2の巻回体)
35 :ホルダー
F1 :(冷却用空気の)流れ
P :仮想の軸
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料空気から窒素を選択的に吸着する吸着材を有し高濃度酸素を生成する吸着筒(20)と、生成した前記高濃度酸素を加湿する加湿装置(30)と、を備える酸素濃縮装置(M)であって、
前記加湿装置(30)は、
内部を通る前記高濃度酸素に対して外部に存在する水分を与える加湿チューブ(31)からなり、1本の前記加湿チューブ(31)を仮想の軸(P)回りに巻回して構成された巻回体(32)と、
前記巻回体(32)を保持するホルダー(35)と、を備え、
前記ホルダー(35)は、
隣接する前記加湿チューブ(31)同士を離間させた状態で前記加湿チューブ(31)を保持する、酸素濃縮装置(M)。
【請求項2】
前記巻回体(32)は、
前記仮想の軸(P)を中心として渦巻き状に巻回された形態を有する、請求項1に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項3】
前記巻回体(32)は、
前記仮想の軸(P)を中心として螺旋状に巻回された形態を有する、請求項1に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項4】
前記巻回体(32)は、
第1の前記巻回体(32a)と、第2の前記巻回体(32b)と、を含み、
前記第1の巻回体(32a)及び前記第2の巻回体(32b)が、前記仮想の軸(P)の方向について同軸状に隣接して配置される、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項5】
前記原料空気を前記吸着筒(20)に供給するエアポンプ(23)と、
前記エアポンプ(23)に対して冷却用空気を送風する冷却ファン(26)と、
外部から前記冷却用空気を取り込む給気口(13,15)を有し、前記給気口(13,15)から前記冷却ファン(26)に流れる前記冷却用空気の流路を構成する筐体(10,12)と、をさらに備え、
前記加湿装置(30)は、前記流路における前記冷却用空気の流れ(F1)から外れた位置に配置される、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置(M)。
【請求項6】
前記筐体が前記冷却ファン(26)を収容する冷却ファン用筐体(12)を含み、
前記加湿装置(30)は、前記冷却ファン用筐体(12)の外部に配置される、請求項に記載の酸素濃縮装置(M)。