(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147245
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】蒸発燃料処理装置
(51)【国際特許分類】
F02M 25/08 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
F02M25/08 311D
F02M25/08 311A
F02M25/08 311J
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060142
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大庭 歩
(72)【発明者】
【氏名】岩本 光司
(72)【発明者】
【氏名】伊奈 珠未
【テーマコード(参考)】
3G144
【Fターム(参考)】
3G144BA08
3G144GA12
3G144GA13
3G144GA28
3G144GA30
(57)【要約】
【課題】蒸発燃料処理装置において、複雑な制御をしなくても、適正な濃度の蒸発燃料を供給できるようにする。
【解決手段】本開示の一態様の蒸発燃料処理装置は、第1接続部と、第2接続部と、第1収容部と、第2収容部と、を備える。第1接続部は、内燃機関に繋がる第1配管が接続されるように構成される。第2接続部は、燃料タンクに繋がる第2配管が接続されるように構成される。第1収容部は、第1接続部及び第2接続部と連通するように配置され、第1吸着材を収容するように構成される。第2収容部は、第1収容部を介して第1接続部と連通するように配置され、第2吸着材を収容するように構成される。第1吸着材による蒸発燃料の吸着能力は、第2吸着材による蒸発燃料の吸着能力よりも低く構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発燃料処理装置であって、
内燃機関に繋がる第1配管が接続されるように構成された第1接続部と、
燃料タンクに繋がる第2配管が接続されるように構成された第2接続部と、
前記第1接続部及び前記第2接続部と連通するように配置され、第1吸着材を収容するように構成された第1収容部と、
前記第1収容部を介して前記第1接続部と連通するように配置され、第2吸着材を収容するように構成された第2収容部と、
を備え、
前記第1吸着材による蒸発燃料の吸着能力が、前記第2吸着材による蒸発燃料の吸着能力よりも低い
蒸発燃料処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸発燃料処理装置であって、
前記第1吸着材の体積は、前記第2吸着材の体積より小さく構成される
蒸発燃料処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の蒸発燃料処理装置であって、
1つの筐体、及び少なくとも1つのフィルタをさらに備え、
前記第1収容部及び前記第2収容部は、前記1つの筐体の一部を構成し、
前記第1吸着材及び前記第2吸着材は、前記1つの筐体の内部で隣接し、かつ前記フィルタを介して互いに連通するように配置される
蒸発燃料処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の蒸発燃料処理装置であって、
前記第1接続部及び前記第2接続部は、前記筐体の同一面にて隣接して配置される
蒸発燃料処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の蒸発燃料処理装置であって、
前記フィルタは、前記第1接続部及び前記第2接続部が隣接して配置される面である前記筐体の外壁面と平行に配置される
蒸発燃料処理装置。
【請求項6】
請求項3に記載の蒸発燃料処理装置であって、
前記筐体の内部において、前記第1接続部側の空間と、前記第2接続部側の空間とを隔てるように構成された仕切板、
をさらに備える蒸発燃料処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の蒸発燃料処理装置であって、
前記第1収容部を備える第1筐体と、
前記第2収容部を備える第2筐体と、
をさらに備え、
前記第1筐体は、前記第1収容部と前記第2収容部とを接続するための接続管が繋がる第3接続部と、前記第1接続部とを備え、
前記第2筐体は、前記接続管が繋がる第4接続部と、前記第2接続部とを備える
蒸発燃料処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸発燃料処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、蒸発燃料が大気へ漏洩することを抑制するために、大気と連通する室に相対的に吸着能力が低い吸着材を配置するという技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、キャニスタから蒸発燃料を内燃機関に供給するパージ動作の初期に、蒸発燃料の濃度が濃くなりやすいという課題が見出された。パージ動作の初期に、蒸発燃料の濃度を適正にするためには、パージエアの供給量を低減させる等の制御が必要となり、制御が複雑になりやすい。
【0005】
本開示の1つの局面は、蒸発燃料処理装置において、複雑な制御をしなくても、適正な濃度の蒸発燃料を供給できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、蒸発燃料処理装置である。蒸発燃料処理装置は、第1接続部と、第2接続部と、第1収容部と、第2収容部と、を備える。
第1接続部は、内燃機関に繋がる第1配管が接続されるように構成される。第2接続部は、燃料タンクに繋がる第2配管が接続されるように構成される。第1収容部は、第1接続部及び第2接続部と連通するように配置され、第1吸着材を収容するように構成される。第2収容部は、第1収容部を介して第1接続部と連通するように配置され、第2吸着材を収容するように構成される。第1吸着材による蒸発燃料の吸着能力は、第2吸着材による蒸発燃料の吸着能力よりも低く構成される。
【0007】
ここで、蒸発燃料処理装置から内燃機関に蒸発燃料を供給することをパージ動作と呼ぶ。本開示の構成では、パージ動作の初期に第1接続部に供給される燃料蒸気は、主として第1吸着材から離脱した燃料蒸気となる。本開示の構成によれば、第1吸着材は吸着能力が低いため、第1吸着材による蒸発燃料の吸着能力が高い場合よりも蒸発燃料の濃度が低くなる。よって、パージ動作の初期に濃度が高い燃料蒸気が供給されることを抑制できる。
【0008】
本開示の一態様では、第1吸着材の体積は、前記第2吸着材の体積より小さく構成されてもよい。
このような構成によれば、第1吸着材が吸着できる燃料の絶対量を減少させることができるので、パージ動作の初期に濃度が高い燃料蒸気が供給されることを抑制できる。
【0009】
本開示の一態様は、1つの筐体、及び少なくとも1つのフィルタをさらに備えてもよい。第1収容部及び第2収容部は、1つの筐体の一部を構成してもよい。第1吸着材及び第2吸着材は、1つの筐体の内部で隣接し、かつフィルタを介して互いに連通するように配置されてもよい。
このような構成によれば、1つの筐体内に、少なくとも1つのフィルタを挟むように第1吸着材及び第2吸着材を収容することができる。
【0010】
本開示の一態様では、第1接続部及び第2接続部は、筐体の同一面にて隣接して配置されてもよい。
このような構成によれば、同じ方向から蒸発燃料の吸着及び脱離をすることができる。
【0011】
本開示の一態様では、フィルタは、第1接続部及び第2接続部が隣接して配置される面である筐体の外壁面と平行に配置されてもよい。
【0012】
このような構成によれば、第1吸着材及び第2吸着材をフィルタに沿って整列して配置できるので、第1吸着材及び第2吸着材の間にデッドスペースとなる隙間が生じにくくすることができる。
【0013】
本開示の一態様は、筐体の内部において、第1接続部側の空間と、第2接続部側の空間とを隔てるように構成された仕切板、をさらに備えてもよい。
このような構成によれば、仕切板を備えるので、筐体の内部における第1接続部側の空間と、第2接続部側の空間と間を移動する蒸発燃料の経路を制限することができる。例えば、第1接続部及び第2接続部が、筐体の同一面にて隣接して配置される場合には、仕切板を備えることで、第1接続部から第2接続部までの経路を長くすることができる。この場合、第2接続部を介して供給された高濃度の蒸発燃料が、直ちに第1接続部を介して内燃機関に供給されることを抑制することができる。
【0014】
本開示の一態様は、第1筐体と、第2筐体と、をさらに備えてもよい。第1筐体は、第1収容部を備えるとよい。第2筐体は、第2収容部を備えるとよい。第1筐体は、第3接続部と、第1接続部とを備えてもよい。第3接続部は、第1収容部と第2収容部とを接続するための接続管が繋がるように構成される。第2筐体は、接続管が繋がる第4接続部と、第2接続部とを備えてもよい。
【0015】
このような構成によれば、第1収容部と第2収容部とが別の筐体に備えられた場合であっても、高濃度の蒸発燃料が供給されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態の蒸発燃料処理装置の断面図である。
【
図2】パージ動作継続時間と蒸発燃料の濃度との関係を示すグラフである。
【
図3】第1変形例の蒸発燃料処理装置の断面図である。
【
図4】第2変形例の蒸発燃料処理装置の断面図である。
【
図5】第3変形例の蒸発燃料処理装置の断面図である。
【
図6】第4変形例の蒸発燃料処理装置の断面図である。
【
図7】第5変形例の蒸発燃料処理装置の断面図である。
【
図8】第6変形例の蒸発燃料処理装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.実施形態]
[1-1.実施形態の構成と本開示の構成との対応関係]
実施形態のパージポート22及び別体パージポート22Bは本開示の第1接続部の一例に相当し、実施形態のチャージポート21は本開示の第2接続部の一例に相当する。また、実施形態のパージポート22は本開示の第3接続部の一例に相当し、実施形態の連結ポート22Dは本開示の第4接続部の一例に相当する。
【0018】
また、実施形態の本体ケース2は本開示の筐体の一例に相当し、実施形態の別体ケース50は本開示の第1筐体の一例に相当し、実施形態の本体ケース2は本開示の第2筐体の一例に相当する。また、実施形態のフィルタ33,34及び分離壁29は本開示の境界面の一例に相当する。
【0019】
[1-2.構成]
図1に示す蒸発燃料処理装置1Aは、周知のキャニスタとしての機能を備える。すなわち、車両の燃料タンク(図示省略)で発生した蒸発燃料を吸着及び脱離する機能を備える。蒸発燃料処理装置1Aは、本体ケース2を備える。
【0020】
本体ケース2は、内部空間を形成するケースである。本体ケース2は、例えば、合成樹脂製のケースである。なお、本体ケース2の材質はこれに限定されるものではない。
本体ケース2は、チャージポート21と、パージポート22と、を備える。本体ケース2は、大気ポート23を備えてもよい。ポート21~23は、本体ケース2における同じ側(例えば、
図1では上側)に配置されている。特に、パージポート22及びチャージポート21は、本体ケース2の外面のうちの同一面にて隣接して配置される。
【0021】
ポート21~23は、ポートの向きが揃うように配置されている。なお、ポートの向きとは、ポート21~23に導入され、或いはポート21~23から排出されるガスが誘導される方向である。ポート21~23は同じ方向にガスを誘導するように構成される。
【0022】
なお、ここでいうガスとは、蒸発燃料処理装置1Aの内部を流通する気体であって、大気及び蒸発燃料が含まれうる気体である。
以後、本体ケース2におけるチャージポート21、パージポート22、及び、大気ポート23が設けられた側を、ポート側と記載する。本体ケース2は、ポート側の反対側に開口26を有している。当該開口26は、蓋として機能するキャップ27により閉塞されている。
【0023】
チャージポート21は、車両の燃料タンクに繋がる第2配管21Aが接続されるように構成される。チャージポート21は、燃料タンクで発生した蒸発燃料を蒸発燃料処理装置1A内に取り込むように構成されている。
【0024】
パージポート22は、車両のエンジン等の内燃機関に繋がる第1配管22Aが接続されるように構成される。第1配管22Aは、図示しないパージ弁を介して図示しない吸気管に接続されてもよい。パージポート22は、蒸発燃料処理装置1A内の蒸発燃料を蒸発燃料処理装置1Aから排出し、内燃機関に供給するように構成されている。
【0025】
大気ポート23は、大気に開放される。大気ポート23は、蒸発燃料を取り除いた気体を大気中に放出する。また、大気ポート23は、外部ガス(つまりパージガス)を取り込むことで、蒸発燃料処理装置1Aが吸着した蒸発燃料を脱離(つまりパージ動作)させる。
【0026】
本体ケース2の内部空間は、第1室2Aと、第2室2Bと、に仕切られている。第1室2Aは、一例として、略直方体形状、又は、円柱状である。第1室2Aは、ポート側の端部が、チャージポート21及びパージポート22に繋がっている。
【0027】
本体ケース2には、第1収容部2C及び第2収容部2Dが含まれる。第1収容部2Cは、第1室2Aの一部を形成し、第1収容部2Cによって形成された内部空間がパージポート22及びチャージポート21と連通するように配置される。また、第1収容部2Cは、内部空間に第1吸着材41を収容するように構成される。
【0028】
第2収容部2Dは、第1室2Aの一部を形成し、第2収容部2Dによって形成された内部空間が、第1収容部2Cによって形成された内部空間を介してパージポート22と連通するように配置される。第2収容部2Dは、第2吸着材42を収容するように構成される。なお、第2室2Bには、第3吸着材43を収容される。
【0029】
吸着材41~43は、一例として、複数のペレットの集合体である。ペレットとは、粒状の活性炭である。ペレットは、粉状の活性炭をバインダと共に混練し、所定の形状に成形することで生成される。なお、第1室2Aには、例えば、粉状の活性炭等、ペレット以外の吸着材が配置されてもよい。
【0030】
ここで、第1吸着材41による蒸発燃料の吸着能力は、第2吸着材42による蒸発燃料の吸着能力よりも低く構成される。第3吸着材43による蒸発燃料の吸着能力は、任意であるが、例えば、第2吸着材42による蒸発燃料の吸着能力と同一に構成することができる。吸着材41~43には、相対的に蒸発燃料を吸着しにくい希釈剤が含まれていてもよい。吸着材41~43に希釈剤が含まれる場合には、希釈剤を含む吸着材41~43による蒸発燃料の吸着能力が上記のように構成される。
【0031】
蒸発燃料の吸着能力とは、吸着材の単位体積当たりの燃料の吸着量を示す。蒸発燃料の吸着能力としては、例えば、有効ブタン作業能力(BWC)、特に、ASTM BWC(ASTM D5228によるButane Working Capacity)を採用することができる。
第1吸着材41による蒸発燃料の吸着能力は、BWCの値で1~8g/dLに設定され、第2吸着材42による蒸発燃料の吸着能力は、BWCの値で11~20g/dLに設定される。
【0032】
また、第1室2Aのポート側の端部には、第1フィルタ32が配置されている。なお、本実施形態でのフィルタ32~34,37,38は、蒸発燃料が含まれるガスの通過を許容し、吸着材41~43が通過することを抑制する機能を有する、繊維状或いは網目状の素材である。フィルタ32~34,37,38には、例えば、繊維状の合成樹脂材料や金属、網目状の金属材料等を採用できる。
【0033】
第1室2Aの第1吸着材41と第2吸着材42との間には、第2フィルタ33が配置されている。つまり、第1吸着材41及び第2吸着材42は、1つの本体ケース2の内部で隣接し、かつ第2フィルタ33を介して互いに連通するように配置される。換言すれば、第1吸着材41及び第2吸着材42は、本体ケース2の外壁面と平行な境界面(ここでは第2フィルタ33)を挟むように配置される。
【0034】
第1室2Aのキャップ27側の端部には、第3フィルタ34が配置されている。第1フィルタ32から第3フィルタ34までの間には、第1吸着材41、第2フィルタ33、及び第2吸着材42が順に配置されている。
【0035】
第1吸着材41の体積は、第2吸着材42の体積、及び第3吸着材43の体積より小さく構成される。第1吸着材41の体積は、第2吸着材42の体積の1/5程度であり、第3吸着材43の体積の1/2程度である。
【0036】
第1室2Aは、キャップ27側の端部が第2室2Bに繋がっている。本体ケース2の内部では、蒸発燃料を含むガス等のガスは、第1室2Aと第2室2Bとを往来できる。第1室2Aと第2室2Bとは、分離壁29によって区切られている。分離壁29は、本体ケース2の側面と略平行に配置された板状の部材である。
【0037】
第2室2Bは、キャップ27側の端部から大気ポート23側に延びる細長い形状を有する空間である。第2室2Bは、一例として、略直方体形状、又は、円柱状である。第2室2Bのポート側の端部には第1フィルタ37が配置され、キャップ27側の端部には、第2フィルタ38が配置されている。第2室2Bにおいて第1フィルタ37と第2フィルタ38との間には、第3吸着材43が配置されている。
【0038】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1a)蒸発燃料処理装置1Aにおいて、パージポート22は、内燃機関に繋がる第1配管22Aが接続されるように構成される。チャージポート21は、燃料タンクに繋がる第2配管21Aが接続されるように構成される。第1収容部2Cは、パージポート22及びチャージポート21と連通するように配置され、第1吸着材41を収容するように構成される。第2収容部2Dの内部空間は、第1収容部2Cの内部空間を介してパージポート22と連通するように配置され、第2吸着材42を収容するように構成される。第1吸着材41による蒸発燃料の吸着能力は、第2吸着材42による蒸発燃料の吸着能力よりも低く構成される。
【0039】
本開示の構成によれば、第1吸着材41は吸着能力が低いため、第1吸着材41による蒸発燃料の吸着能力が高い場合よりも蒸発燃料の濃度が低くなる。例えば、
図2には、上記実施形態の蒸発燃料処理装置1A(発明品)と、第1収容部2C及び第2収容部2Dの両方に第2吸着材42を採用した構成(従来品)とを比較したグラフを示す。
図2において、横軸はパージ動作開始後の時間、縦軸は蒸発燃料の濃度を示す。このグラフによれば、パージ動作開始直後において、発明品での蒸発燃料の濃度が、従来品よりも低く抑制されることが分かる。よって、パージ動作の初期に濃度が高い燃料蒸気が供給されることを抑制できる。
【0040】
(1b)本開示の一態様では、第1吸着材41の体積は、第2吸着材42の体積より小さく構成される。
このような構成によれば、第1吸着材41が吸着できる燃料の絶対量を減少させることができるので、パージ動作の初期に濃度が高い燃料蒸気が供給されることを抑制できる。
【0041】
(1c)本開示の一態様は、1つの本体ケース2、及び少なくとも1つのフィルタ33をさらに備える。第1収容部2C及び第2収容部2Dは、1つの本体ケース2の一部を構成する。第1吸着材41及び第2吸着材42は、1つの本体ケース2の内部で隣接し、かつフィルタ33を介して互いに連通するように配置される。
【0042】
このような構成によれば、1つの本体ケース2内に、少なくとも1つのフィルタ33を挟むように第1吸着材41及び第2吸着材42を収容することができる。よって、フィルタ33によって第1吸着材41及び第2吸着材42が混ざることを抑制できる。また、第1吸着材41及び第2吸着材42の境界面が形成されやすくすることができる。
【0043】
(1d)本開示の一態様では、パージポート22及びチャージポート21は、本体ケース2の同一面にて隣接して配置される。
このような構成によれば、本体ケース2の同じ方向から蒸発燃料の吸着及び脱離をすることができる。
【0044】
(1e)本開示の一態様では、第2フィルタ33は、パージポート22及びチャージポート21が隣接して配置される面である本体ケース2の外壁面と平行に配置される。
このような構成によれば、第1吸着材41及び第2吸着材42を第2フィルタ33に沿って整列して配置できるので、第1吸着材41及び第2吸着材42の間にデッドスペースとなる隙間が生じにくくすることができる。
【0045】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0046】
(2a)上記実施形態では、第1室2A内が仕切られない構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、
図3に示す第1変形例の蒸発燃料処理装置1Bのように、第1室2A内を仕切る仕切板30Aを備えてもよい。仕切板30Aは、本体ケース2の内部において、パージポート22側の空間と、チャージポート21側の空間とを隔てるように構成される。
【0047】
より詳細には、仕切板30Aは、長方形の板状に形成される。仕切板30Aは、長方形の一辺である上辺が本体ケース2の内面のうちの、チャージポート21及びパージポート22側の面に接触するように配置される。また、上辺に隣接する2つの辺が、本体ケース2内面のうちの両側面に接触するように配置される。さらに、上辺に対向する辺である下辺が、第1吸着材41の内部に配置される。なお、第1フィルタ32は、仕切板30Aを挟んで仕切板30Aの両側に配置される。仕切板30Aの下辺が、「第1収容部2C内、特に、第1フィルタ32と第2フィルタ33との間」に位置する。また、仕切板30Aの下辺が第2フィルタ33に触れることなく、第1吸着材41と当接するように配置される。
【0048】
このような構成によれば、仕切板30Aを備えるので、本体ケース2の内部におけるパージポート22側の空間と、チャージポート21側の空間と間を移動する蒸発燃料の経路を制限することができる。本実施形態のように、パージポート22及びチャージポート21が、本体ケース2の同一面にて隣接して配置される場合には、仕切板30Aを備えることで、パージポート22からチャージポート21までの経路を長くすることができる。この場合、チャージポート21を介して供給された高濃度の蒸発燃料が、直ちにパージポート22に供給されることを抑制することができる。
【0049】
(2b)本開示の一態様では、
図4に示す第2変形例の蒸発燃料処理装置1Cのように、仕切板30Bを備えてもよい。仕切板30Bは、上辺に対向する下辺が、第2フィルタ33を越えて延び、第2吸着材42の内部に配置される。第1吸着材41及び第2フィルタ33は、仕切板30Bよりもパージポート22側の空間のみに配置される。仕切板30Bよりもチャージポート21側、及び第2フィルタ33よりもキャップ27側には、第2吸着材42が配置される。
図4に示すように、第1収容部2Cは第2収容部2Dを介してチャージポート21と連通する。
【0050】
(2c)本開示の一態様では、
図5に示す第3変形例の蒸発燃料処理装置1Dのように、仕切板30Cを備えてもよい。仕切板30Cは、
図3に示す第1変形例の仕切板30Aが第2フィルタ33を越えるように延長された構成である。第1フィルタ32、第2フィルタ33、及び第1吸着材41は、仕切板30Cを挟んで仕切板30Cの両側に配置される。仕切板30Cの下辺が、「第2収容部2D内、特に、第2フィルタ33と第3フィルタ34との間」に位置する。また、仕切板30Cの下辺が第3フィルタ34に触れることなく、第2吸着材42と当接するように配置される。また、仕切板30Cの下辺がキャップ27に触れることもない。
【0051】
(2d)本開示の一態様では、
図6に示す第4変形例の蒸発燃料処理装置1Eのように、第1室2Aには、第1吸着材41のみが配置されてもよい。この場合、第2室2Bは、第2吸着材42と同様に構成された第3吸着材43が配置されてもよい。
【0052】
(2e)本開示の一態様では、
図7に示す第5変形例の蒸発燃料処理装置1Fのように、大気ポート23(
図7では図示省略)には、任意のモジュールが接続されてもよい。例えば、
図7に示す例では、活性炭ユニット60が備えられる。活性炭ユニット60は、活性炭ユニット60の内外を連通するポート部23Aと、活性炭ユニット60の内部に配置された吸着材61と、を備える。吸着材61は、例えば、ハニカム上の活性炭、繊維状の活性炭等である。
【0053】
なお、大気ポート23に配置される任意のモジュールとして、例えば、ELCM(すなわち、Evaporative Leak Check Module)等を備えてもよい。ELCMは、蒸発燃料処理装置1Aの漏れ検査を行うためのモジュールである。
【0054】
(2f)本開示の一態様では、
図8に示す第6変形例の蒸発燃料処理装置1Gのように、パージポート22に別体ケース50が装着されてもよい。第6変形例の蒸発燃料処理装置1Gは、別体ケース50と、本体ケース2と、を備える。別体ケース50は、第1収容部2Cを備える。本体ケース2は、第2収容部2Dを備える。
【0055】
第1収容部2Cには、第1吸着材41が収容され、第2収容部2Dには、第2吸着材42が収容される。この場合、第1収容部2Cは別体ケース50の内部空間を形成し、第2収容部2Dは、第1室2A全体としての内部空間を形成する。
図8に示すように、第1収容部2Cは第2収容部2Dを介してチャージポート21と連通する。
【0056】
別体ケース50は、別体パージポート22Bと、連結ポート22Dとをさらに備える。別体パージポート22Bには、別体ケース50と本体ケース2とを接続するための接続管22Cが繋がるように構成される。接続管22Cは、端部が連結ポート22Dに接続される。
【0057】
本体ケース2では、接続管22Cのうちの連結ポート22Dに接続されていない端部がパージポート22に接続されるように構成される。
このような構成によれば、第1収容部2Cが別体ケース50に備えられ、第2収容部2Dが本体ケース2に備えられた場合であっても、高濃度の蒸発燃料が供給されることを抑制できる。
【0058】
(2g)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0059】
(2h)上述した蒸発燃料処理装置1A~1Gの他、当該蒸発燃料処理装置1A~1Gを構成要素とするシステム、蒸発燃料処理方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【0060】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
蒸発燃料処理装置であって、
内燃機関に繋がる第1配管が接続されるように構成された第1接続部と、
燃料タンクに繋がる第2配管が接続されるように構成された第2接続部と、
前記第1接続部及び前記第2接続部と連通するように配置され、第1吸着材を収容するように構成された第1収容部と、
前記第1収容部を介して前記第1接続部と連通するように配置され、第2吸着材を収容するように構成された第2収容部と、
を備え、
前記第1吸着材による蒸発燃料の吸着能力が、前記第2吸着材による蒸発燃料の吸着能力よりも低い
蒸発燃料処理装置。
[項目2]
項目1に記載の蒸発燃料処理装置であって、
前記第1吸着材の体積は、前記第2吸着材の体積より小さく構成される
蒸発燃料処理装置。
[項目3]
項目1又は項目2に記載の蒸発燃料処理装置であって、
1つの筐体、及び少なくとも1つのフィルタをさらに備え、
前記第1収容部及び前記第2収容部は、前記1つの筐体の一部を構成し、
前記第1吸着材及び前記第2吸着材は、前記1つの筐体の内部で隣接し、かつ前記フィルタを介して互いに連通するように配置される
蒸発燃料処理装置。
[項目4]
項目3に記載の蒸発燃料処理装置であって、
前記第1接続部及び前記第2接続部は、前記筐体の同一面にて隣接して配置される
蒸発燃料処理装置。
[項目5]
項目3又は項目4に記載の蒸発燃料処理装置であって、
前記フィルタは、前記第1接続部及び前記第2接続部が隣接して配置される面である前記筐体の外壁面と平行に配置される
蒸発燃料処理装置。
[項目6]
項目3から項目5までの何れか1項に記載の蒸発燃料処理装置であって、
前記筐体の内部において、前記第1接続部側の空間と、前記第2接続部側の空間とを隔てるように構成された仕切板、
をさらに備える蒸発燃料処理装置。
[項目7]
項目1に記載の蒸発燃料処理装置であって、
前記第1収容部を備える第1筐体と、
前記第2収容部を備える第2筐体と、
をさらに備え、
前記第1筐体は、前記第1収容部と前記第2収容部とを接続するための接続管が繋がる第3接続部と、前記第1接続部とを備え、
前記第2筐体は、前記接続管が繋がる第4接続部と、前記第2接続部とを備える
蒸発燃料処理装置。
【符号の説明】
【0061】
1A~1G…蒸発燃料処理装置、2…本体ケース、2C…第1収容部、2D…第2収容部、21…チャージポート、21A…第2配管、22…パージポート、22A…第1配管、22B…別体パージポート、22C…接続管、22D…連結ポート、23…大気ポート、29…分離壁、30A~30C…仕切板、32~34,37,38…フィルタ、41…第1吸着材、42…第2吸着材、43…第3吸着材、50…別体ケース、60…活性炭ユニット、61…吸着材。