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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147288
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】通信装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
G06K7/10 276
G06K7/10 148
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060210
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 浩由
(72)【発明者】
【氏名】中邑 公紀
(57)【要約】      (修正有)
【課題】所定範囲に対する無線タグの位置関係の判定精度を向上させる通信装置を提供する。
【解決手段】通信システムを構成する通信装置において、読取装置のプロセッサーが備える移動制御部は、1つ以上の物品に付された1つ以上の無線タグに対するアンテナの相対位置の移動を制御し、取得部は、アンテナが受信する無線タグの電波に基づいて、無線タグの識別情報及びアンテナの複数の相対位置における無線タグに関する複数のタグデータを取得し、判定処理部は、無線タグの識別情報が、前記物品を載置するカウンター台の水平面の中央部分である第1の範囲とは異なる、カウンター台の水平面の外周部分及びカウンター台よりも水平方向の外の第2の範囲内であると登録された登録無線タグの識別情報である場合、無線タグに関する複数のタグデータ及び登録無線タグに関する複数のタグデータに基づいて、第1の範囲に対する無線タグの位置関係を判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグに対するアンテナの相対位置の移動を制御する移動制御部と、
前記アンテナにより受信される無線タグの電波に基づいて、前記無線タグの識別情報及び前記アンテナの複数の相対位置における前記無線タグに関する複数のタグデータを取得する取得部と、
前記無線タグの識別情報が、第1の範囲とは異なる第2の範囲内であると登録された登録無線タグの識別情報である場合、前記無線タグに関する複数のタグデータ及び前記登録無線タグに関する複数のタグデータに基づいて、前記第1の範囲に対する前記無線タグの位置関係を判定する判定処理部と、
を備える通信装置。
【請求項2】
前記判定処理部は、前記無線タグに関する複数のタグデータ及び前記登録無線タグに関する複数のタグデータの比較結果が前記第2の範囲内であると判定するための条件を満たす場合、前記無線タグを前記第2の範囲内であると判定する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記判定処理部は、前記無線タグに関する複数のタグデータ及び前記登録無線タグに関する複数のタグデータの比較結果が前記第2の範囲内であると判定するための条件を満たさない場合、前記無線タグに関する複数のタグデータに基づいて、前記第1の範囲に対する前記無線タグの位置関係を判定する、請求項1又は請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記判定処理部により前記無線タグに関する複数のタグデータに基づいて前記無線タグが前記第1の範囲内である又は前記第2の範囲内であると判定されない場合、ユーザに前記無線タグが前記第1の範囲及び前記第2の範囲のうちの何れの範囲内であるのかを入力させるための前記無線タグに関する情報を出力する出力部をさらに備える、請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記判定処理部は、前記無線タグの位置関係を判定する時点において、前記登録無線タグについて前記第2の範囲内であることを入力された回数が所定回数以上である場合、前記無線タグを前記第2の範囲内であると判定する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
コンピュータに、
無線タグに対するアンテナの相対位置の移動を制御する機能と、
前記アンテナにより受信される無線タグの電波に基づいて、前記無線タグの識別情報及び前記アンテナの複数の相対位置における前記無線タグに関する複数のタグデータを取得する機能と、
前記無線タグの識別情報が、第1の範囲とは異なる第2の範囲内であると登録された登録無線タグの識別情報である場合、前記無線タグに関する複数のタグデータ及び前記登録無線タグに関する複数のタグデータに基づいて、前記第1の範囲に対する前記無線タグの位置関係を判定する機能と、
を実行可能にするためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品に付された無線タグから送信される電波をアンテナで受信することにより、無線タグが含まれる範囲を判定する装置がある。このような装置は、アンテナを移動させて無線タグの位相を検出する。装置は、検出された位相の態様に基づいて無線タグが含まれる範囲を判定する。例えば、無線タグが所定範囲内に置かれている場合、装置は、検出された位相の態様に基づいて無線タグが所定範囲内と判定することができる。
【0003】
しかしながら、装置は、検出された位相の態様によっては、無線タグが含まれる範囲を正しく判定することができない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-219284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、所定範囲に対する無線タグの位置関係の判定精度を向上させる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の通信装置は、移動制御部と、取得部と、判定処理部と、を備える。前記移動制御部は、無線タグに対するアンテナの相対位置の移動を制御する。前記取得部は、前記アンテナにより受信される無線タグの電波に基づいて、前記無線タグの識別情報及び前記アンテナの複数の相対位置における前記無線タグに関する複数のタグデータを取得する。前記判定処理部は、前記無線タグの識別情報が、第1の範囲とは異なる第2の範囲内であると登録された登録無線タグの識別情報である場合、前記無線タグに関する複数のタグデータ及び前記登録無線タグに関する複数のタグデータに基づいて、前記第1の範囲に対する前記無線タグの位置関係を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る読取装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る計測データのデータ構造の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る登録データのデータ構造の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る駆動装置の構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、実施形態に係る駆動装置を説明するための模式図である。
図7図7は、実施形態に係る第1の範囲及び第2の範囲を説明するための模式図である。
図8図8は、実施形態に係る第1の範囲内の無線タグに関する複数の位相データの一例を示すグラフである。
図9図9は、実施形態に係る第2の範囲内の無線タグに関する複数の位相データの一例を示すグラフである。
図10図10は、実施形態に係る端末の構成の一例を示すブロック図である。
図11図11は、実施形態に係る読取装置のプロセッサーによる判定処理の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態に係る読取装置のプロセッサーによる学習済モデルを用いた判定処理の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態に係る読取装置のプロセッサーによるタグデータの変化量に基づく判定処理の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、実施形態に係る端末のプロセッサーによる表示処理の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、実施形態に係る端末のプロセッサーによる入力用画像の表示処理の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、実施形態に係る読取装置のプロセッサーによる学習済モデルの生成処理の一例を示すフローチャートである。
図17図17は、実施形態に係る通信システムの変形例を示すブロック図である。
図18図18は、実施形態に係る推論装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態)
以下、実施形態に係る通信システムについて図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、各部の縮尺を適宜変更している場合がある。また、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、説明のため、構成を省略して示している場合がある。
【0009】
(構成例)
図1は、通信システム1の構成の一例を示すブロック図である。
通信システム1は、通信装置10、端末400及び1つ以上の物品500に付された1つ以上の無線タグ600を含む。図1には、1つの物品500に付された1つの無線タグ600が示されるが、通信システム1は、複数の物品500に付された複数の無線タグ600を含んでもよい。なお、通信システム1は、通信装置10及び端末400を含むが、1つ以上の物品500を含まなくてもよい。通信システム1は、情報処理システムの一例である。
【0010】
通信装置10は、無線タグ600と無線通信する装置である。通信装置10は、倉庫内の検品等に適用することができるが、店舗であってもよく、通信装置10の適用例は、これに限定されない。通信装置10は、読取装置100、駆動装置200及びアンテナ300を含む。
【0011】
読取装置100は、駆動装置200及びアンテナ300を制御して、無線タグ600から情報を読み取る装置である。読取装置100は、駆動装置200及びアンテナ300を制御して、無線タグ600に関するタグデータを検出する装置でもある。検出は、計測の意味を含む。読取装置100の構成例については後述する。
【0012】
タグデータは、読取装置100により受信された無線タグ600の電波に基づいて時系列に検出されるデータである。無線タグ600の電波は、無線タグ600から送信された電波である。無線タグ600の電波は、無線タグ600からの電波ということもある。タグデータは、位相データ、ドップラー周波数データ及びRSSI(Received Signal Strength Indicator)データのうちの少なくとも1つを含む。位相データは、読取装置100により受信された無線タグ600の電波の位相を示すデータである。ドップラー周波数データは、読取装置100により受信された無線タグ600の電波の周波数を示すデータである。RSSIデータは、読取装置100により受信された無線タグ600の電波のRSSIを示すデータである。RSSIは、受信強度を示す。受信強度は、電波受信強度又は受信信号強度ともいう。
【0013】
駆動装置200は、アンテナ300を移動する装置である。アンテナ300を移動することは、アンテナ300の位置を移動することを含む。アンテナ300を移動することは、無線タグ600に対するアンテナ300の相対位置を移動することの一例である。アンテナ300の位置は、無線タグ600に対するアンテナ300の相対位置の一例である。駆動装置200の構成例については後述する。
【0014】
アンテナ300は、無線タグ600と通信する。アンテナ300は、電波を送信する。アンテナ300は、無線タグ600の電波を受信する。無線タグ600の電波は、アンテナ300から送信された電波に対する無線タグ600からの応答波の一例である。アンテナ300は、受信した電波を高周波信号に変換し、高周波信号を読取装置100に出力する。
【0015】
端末400は、情報を処理する装置である。端末400は、PC(Personal Computer)でもよいし、専用の装置でもよい。端末400は、情報を処理する装置であればよく、これに限定されない。図1には、1台の端末400が示されるが、通信システム1は、複数台の端末400を含んでもよい。端末400は、情報処理端末の一例である。端末400の構成例については後述する。
【0016】
物品500は、商品等である。
【0017】
無線タグ600は、第1の範囲に対する位置関係を判定する判定対象無線タグである。例えば、第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係は、無線タグ600が第1の範囲内又は無線タグ600が第2の範囲内である。第1の範囲及び第2の範囲は、互いに重複しない異なる範囲である。例えば、第1の範囲及び第2の範囲は、3次元の範囲である。第2の範囲は、第1の範囲外の範囲である。第2の範囲は、第1の範囲と隣接しない範囲であるものとして説明するが、第1の範囲と隣接する範囲でもよい。範囲は、領域の意味を含む。第1の範囲は、所定範囲の一例である。第1の範囲及び第2の範囲の例については後述する。無線タグ600は、第1の範囲内の無線タグの場合もあるし、第2の範囲内の無線タグの場合もある。
【0018】
第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を判定することは、無線タグ600が第1の範囲及び第2の範囲のうちの何れの範囲内であるのかを判定することを含む。無線タグ600が第1の範囲及び第2の範囲のうちの何れの範囲内であるのかを判定することは、無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定することを含む。無線タグ600が第1の範囲内であることは、無線タグ600が第1の範囲内に存在することを含む。無線タグ600が第1の範囲内であることは、無線タグ600が第1の範囲内であるとみなすことを含んでもよい。無線タグ600が第2の範囲内であることは、無線タグ600が第2の範囲内に存在することを含む。無線タグ600が第2の範囲内であることは、無線タグ600が第2の範囲内であるとみなすことを含んでもよい。第1の範囲内と判定される無線タグ600を付された物品500は、通信システム1において処理対象として扱われる物品である。第2の範囲内と判定される無線タグ600を付された物品500は、通信システム1において処理対象として扱われない物品である。
【0019】
無線タグ600は、ICチップ及びアンテナを含むICタグである。無線タグ600は、典型的にはRFID(Radio Frequency Identification)タグである。無線タグ600は、その他のICタグであってもよい。無線タグ600は、アンテナ300から送信された電波をエネルギー源として動作するパッシブ型の無線タグである。無線タグ600は、無変調信号に対してバックスキャッタ変調を行うことで、無線タグ600のICチップに格納されている情報を含む信号を、アンテナを介して送信する。無線タグ600に格納されている情報は、一意に識別可能な識別情報を含んでもよい。例えば、無線タグ600に格納されている識別情報は、EPC(Electronic Product Code)番号である。EPC番号は、物品500に関するユニーク識別コード及びシリアル番号を含む。以下では、無線タグ600に格納されている識別情報は、「識別情報」と略記することもある。識別情報は、無線タグ600に関する情報の一例である。以下では、無線タグ600に格納されている識別情報は、無線タグ600の識別情報ともいう。
【0020】
読取装置100について、図2を用いて説明する。
図2は、読取装置100の構成の一例を示すブロック図である。
読取装置100は、プロセッサー101、ROM(Read-Only Memory)102、RAM(Random-Access Memory)103、第1接続インターフェース104、第2接続インターフェース105、高周波フロントエンド部106、デジタル振幅変調部107、DA(Digital to Analog)変換部108、AD(Analog to Digital)変換部109、復調部110及び記憶デバイス111を含む。読取装置100に含まれる各部は、バス112等によって接続される。
【0021】
プロセッサー101は、読取装置100の動作に必要な演算及び制御等の処理を行うコンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサー101は、ROM102又は記憶デバイス111等に記憶された種々のプログラムをRAM103に展開する。プログラムは、プロセッサー101に種々の処理を実行させるためのプログラムである。プロセッサー101は、RAM103に展開されたプログラムを実行することで、後述する各部を実現し、種々の処理を実行する。
【0022】
プロセッサー101は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、SoC(System On a Chip)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等である。プロセッサー101は、これらのうちの複数を組み合わせたものであってもよい。プロセッサー101は、処理回路の一例である。
【0023】
ROM102は、プロセッサー101を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM102は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM102は、上記のプログラムを記憶する。ROM102は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値等を記憶する。
【0024】
RAM103は、プロセッサー101を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM103は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM103は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアである。
【0025】
第1接続インターフェース104は、読取装置100が駆動装置200と通信するためのインターフェースである。
【0026】
第2接続インターフェース105は、読取装置100が端末400と通信するためのインターフェースである。
【0027】
高周波フロントエンド部106は、アンテナ300へ高周波信号を出力する。高周波フロントエンド部106は、アンテナ300から高周波信号が入力される。
【0028】
デジタル振幅変調部107は、無線タグ600に送信するデータを、無線タグ600に送信する搬送波に付加する回路である。
【0029】
DA変換部108は、デジタル信号をアナログ信号に変換する回路である。DA変換部108は、デジタル振幅変調部107によって変調されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。DA変換部108は、高周波フロントエンド部106を介して、高周波信号をアンテナ300に出力する。
【0030】
AD変換部109は、アナログ信号をデジタル信号に変換する回路である。AD変換部109は、高周波フロントエンド部106を介して、アンテナ300から入力された高周波信号をデジタル信号に変換する。
【0031】
復調部110は、アンテナ300により受信された無線タグ600の電波に基づいて情報を取得する回路である。例えば、復調部110は、公知の技術により、AD変換部109が変換したデジタル信号から、無線タグ600の識別情報を取得する。復調部110は、受信された無線タグ600の電波に基づいて無線タグ600の識別情報を取得する情報取得部の一例である。
【0032】
復調部110は、アンテナ300により受信された無線タグ600の電波に基づいてタグデータを時系列に検出する回路でもある。復調部110は、公知の技術により、AD変換部109によって変換されたデジタル信号から、位相データを時系列に検出することができる。復調部110は、公知の技術により、AD変換部109によって変換されたデジタル信号から、ドップラー周波数データを時系列に検出することができる。復調部110は、公知の技術により、AD変換部109によって変換されたデジタル信号から、RSSIデータを時系列に検出することができる。復調部110は、アンテナ300により受信された無線タグ600の電波に基づいてタグデータを検出する検出部の一例である。
【0033】
記憶デバイス111は、データ及びプログラム等を記憶する不揮発性メモリで構成される装置である。記憶デバイス111は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等で構成されるが、これらに限定されない。記憶デバイス111は、記憶部の一例である。
【0034】
記憶デバイス111は、計測データ記憶領域1111を含む。
計測データ記憶領域1111は、計測データを記憶する。
計測データは、無線タグ600毎に、タグデータセットを含む。タグデータセットは、アンテナ300の複数の位置における複数のタグデータを含む。タグデータは、駆動装置200による一方向に沿ったアンテナ300の移動に応じて復調部110により検出される。例えば、一方向は、水平方向である。タグデータセットは、アンテナ300の複数の位置データを含む。アンテナ300の複数の位置データは、アンテナ300の複数の位置を示すデータである。アンテナ300の複数の位置は、アンテナ300の移動に基づく複数の位置である。複数のタグデータのそれぞれは、アンテナ300の複数の位置データのそれぞれと関連付けられている。以下では、アンテナ300の複数の位置における複数のタグデータは、「複数のタグデータ」と表記することもある。タグデータセットは、アンテナ300の複数の位置における無線タグ600に関する複数のタグデータの一例である。なお、以下では、アンテナ300が一方向に沿って移動する態様を例にして説明するが、アンテナ300の移動態様はこれに限定されない。アンテナ300の移動態様は、円周方向に沿って回転して移動する等の種々の態様でもよい。
【0035】
アンテナ300の複数の位置は、ホームポジションに対応する位置0から位置Lまでの間の一定間隔の位置を含んでもよい。位置0から位置Lまでの間は、一方向に沿って移動するアンテナ300の移動範囲であるものとする。アンテナ300の移動範囲は、無線タグ600に対するアンテナ300の相対位置の移動範囲の一例である。位置0は、第1の地点の一例である。位置Lは、第2の地点の一例である。一定間隔の値は、適宜設定可能である。位置Lは、適宜設定可能である。復調部110は、無線タグ600によっては、位置0から位置Lまでの間の一定間隔の位置の全部についてタグデータを検出することもある。復調部110は、無線タグ600によっては、位置0から位置Lまでの間の一定間隔の位置の一部でしかタグデータを検出しないこともある。計測データは、更新され得る。計測データの構成例については後述する。
【0036】
なお、記憶デバイス111が計測データを記憶する例について説明したが、これに限定されない。RAM103が計測データを記憶してもよい。この場合、RAM103は、記憶部の一例である。
【0037】
記憶デバイス111は、学習データ記憶領域1112を含む。
学習データ記憶領域1112は、学習データを記憶する。
学習データは、機械学習に用いられるデータである。学習データは、複数の学習用無線タグに関する複数の学習用タグデータセットを含む。学習用無線タグは、無線タグ600と同様に構成された無線タグの一例である。
【0038】
学習用タグデータセットは、アンテナの複数の位置における複数の学習用タグデータを含むタグデータセットの一例である。アンテナの複数の位置は、学習用無線タグに対するアンテナの相対位置の一例である。学習用タグデータは、学習用無線タグに関するタグデータの一例である。学習用タグデータは、駆動装置による一方向に沿ったアンテナの移動に応じて読取装置によりアンテナで受信された学習用無線タグの電波に基づいて検出される。例えば、一方向は、水平方向である。アンテナを移動することは、学習用無線タグに対するアンテナの相対位置を移動することの一例である。学習用タグデータは、学習用位相データ、学習用ドップラー周波数データ及び学習用RSSIデータのうちの少なくとも1つを含む。学習用タグデータセットは、アンテナの複数の位置データを含む。アンテナの複数の位置データは、アンテナの複数の位置を示すデータである。アンテナの複数の位置は、アンテナの移動に基づく複数の位置である。複数の学習用タグデータのそれぞれは、アンテナの複数の位置データのそれぞれと関連付けられている。なお、アンテナの移動態様は、アンテナが一方向に沿って移動する態様に限定されない。アンテナの移動態様は、円周方向に沿って回転して移動する等の種々の態様でもよい。
【0039】
学習用無線タグは、第1の範囲内の無線タグの場合もあるし、第2の範囲の無線タグの場合もある。複数の学習用無線タグに関する複数の学習用タグデータセットは、複数の学習用無線タグに関する複数の学習用タグデータの一例である。
【0040】
読取装置は、読取装置100と同一の読取装置であってもよいし、読取装置100とは異なる読取装置であってもよい。アンテナは、アンテナ300と同一のアンテナであってもよいし、アンテナ300とは異なるアンテナであってもよい。駆動装置は、駆動装置200と同一の駆動装置であってもよいし、駆動装置200とは異なる駆動装置であってもよい。
【0041】
学習データは、複数の正解データを含む。複数の正解データは、第1の範囲に対する複数の学習用無線タグの位置関係を示す複数のデータである。正解データは、学習用無線タグ毎に、第1の範囲に対する学習用無線タグの位置関係を示すデータである。第1の範囲に対する学習用無線タグの位置関係は、学習用無線タグが第1の範囲内又は学習用無線タグが第2の範囲内である。学習用無線タグが第1の範囲内であることは、学習用無線タグが第1の範囲内に存在することを含む。学習用無線タグが第1の範囲内であることは、学習用無線タグが第1の範囲内であるとみなすことを含んでもよい。学習用無線タグが第2の範囲内であることは、学習用無線タグが第2の範囲内に存在することを含む。学習用無線タグが第2の範囲内であることは、学習用無線タグが第2の範囲内であるとみなすことを含んでもよい。第1の範囲内の学習用無線タグについての正解データは、学習用無線タグが第1の範囲内であることを示すデータである。第2の範囲内の学習用無線タグについての正解データは、学習用無線タグが第2の範囲内であることを示すデータである。正解データは、ユーザにより入力されたデータである。学習データは、更新され得る。
【0042】
記憶デバイス111は、学習済モデル記憶領域1113を含む。
学習済モデル記憶領域1113は、学習済モデルを記憶する。
学習済モデルは、学習データに基づく機械学習により生成されたモデルである。「生成」の表記は、新たに作成の態様だけでなく、更新の態様を含む。
【0043】
学習済モデルは、第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係の判定に用いられる。学習済モデルは、無線タグ600毎に、判定用入力データの入力に基づいて、判定用出力データを出力する。判定用入力データは、アンテナ300の複数の位置における複数のタグデータを含む。判定用出力データは、無線タグ600の含まれる範囲に関するデータである。
【0044】
例えば、無線タグ600の含まれる範囲に関するデータは、無線タグ600の含まれる範囲に関するレベルを示すデータである。無線タグ600の含まれる範囲に関するレベルは、範囲に無線タグ600の含まれる可能性を示す度合である。レベルは、確率であることを例にして説明するが、これに限定されない。レベルは、10段階等の複数段階のから選択された段階であってもよい。範囲は、第1の範囲又は第2の範囲である。無線タグ600の含まれる範囲に関するレベルは、第1の範囲内のレベル及び第2の範囲内のレベルを含むものとする。第1の範囲内のレベルは、無線タグ600が第1の範囲内であることに関するレベルである。第2の範囲内のレベルは、無線タグ600が第2の範囲内であることに関するレベルである。
【0045】
なお、無線タグ600が存在する範囲に関するデータは、無線タグ600が第1の範囲内、第2の範囲内又は第3の範囲内であることを示すデータでもよい。この例では、第2の範囲は、第1の範囲と隣接しない範囲である。第3の範囲は、第1の範囲外かつ第2の範囲外の範囲であって、第1の範囲と第2の範囲との間の範囲である。例えば、第3の範囲は、3次元の範囲である。第3の範囲は、第1の範囲と接してもよいし、第1の範囲と接していなくてもよい。第3の範囲は、第2の範囲と接してもよいし、第2の範囲と接していなくてもよい。この例では、学習データは、学習用無線タグが第3の範囲内であることを示す正解データを含んでもよい。
【0046】
記憶デバイス111は、登録データ記憶領域1114を含む。
登録データ記憶領域1114は、登録無線タグ毎の登録データを記憶する。
登録無線タグは、判定処理部1014により無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定されない場合、第2の範囲内であると登録された無線タグ600である。登録無線タグは、第2の範囲内に含まれる無線タグ600の場合もあるし、第1の範囲と第2の範囲との間の範囲内に含まれる無線タグ600の場合もある。登録データは、登録無線タグの識別情報を含む。
【0047】
登録データは、登録タグデータセットを含む。登録タグデータセットは、登録無線タグに関するタグデータセットである。登録タグデータセットは、アンテナ300の複数の位置における登録無線タグに関する複数のタグデータの一例である。
【0048】
登録データは、入力回数を含む。入力回数は、後述する入力画像において、登録無線タグに対応する無線タグ600について第2の範囲内であることを入力された回数である。プロセッサー101は、入力画像において第2の範囲内であることを入力された無線タグ600を登録無線タグとして登録することができる。プロセッサー101は、無線タグ600が第1の範囲内にない状態での読み取りにおいて、第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定されない無線タグ600を登録無線タグとして登録することができる。プロセッサー101は、無線タグ600の識別情報を登録無線タグの識別情報として、登録データ記憶領域1114に保存する。プロセッサー101は、無線タグ600に関するタグデータセットを登録タグデータセットとして、登録データ記憶領域1114に保存する。
【0049】
バス112は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバス等を含む。バス112は、読取装置100の各部で授受される信号を伝送する。
【0050】
なお、読取装置100のハードウェア構成は、上述の構成に限定されるものではない。読取装置100は、適宜、上述の構成要素の省略及び変更並びに新たな構成要素の追加を可能とする。
【0051】
プロセッサー101は、移動制御部1011、通信制御部1012、取得部1013、判定処理部1014、出力部1015及びモデル処理部1016を実現する。プロセッサー101によって実現される各部は、各機能ということもできる。プロセッサー101によって実現される各部は、プロセッサー101、ROM102及びRAM103を含む制御部によって実現されるということもできる。
【0052】
移動制御部1011は、駆動装置200を制御することにより、一方向に沿ったアンテナ300の移動を制御する。
【0053】
通信制御部1012は、アンテナ300からの電波の送信の開始及び終了を制御する。
【0054】
取得部1013は、無線タグ600毎に、アンテナ300により受信された無線タグ600の電波に基づいて無線タグ600の識別情報及び無線タグ600に関するタグデータを取得する。
【0055】
判定処理部1014は、第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を判定する。
【0056】
出力部1015は、判定処理部1014により無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定される場合、判定結果を端末400に出力する。判定結果は、判定処理部1014により判定された第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を示すデータを含む。例えば、判定結果は、無線タグ600が第1の範囲内であることを示すデータ又は無線タグ600が第2の範囲内であることを示すデータを含む。判定結果は、第1の範囲内又は第2の範囲内であると判定された無線タグ600の識別情報と関連付けられている。
【0057】
出力部1015は、判定処理部1014により無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定されない場合、入力要求情報を端末400に出力する。入力要求情報は、判定処理部1014により第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定されない無線タグ600に関する情報である。入力要求情報は、ユーザに無線タグ600が第1の範囲及び第2の範囲のうちの何れの範囲内であるのかを入力させるための情報である。無線タグ600が第1の範囲及び第2の範囲のうちの何れの範囲内であるのかを入力させることは、無線タグ600を第1の範囲及び第2の範囲のうちの何れの範囲内であるものとして扱うのかを入力させることを含む。無線タグ600が第1の範囲及び第2の範囲のうちの何れの範囲内であるのかを入力させることは、無線タグ600が含まれる範囲を入力させることの一例である。入力要求情報は、入力用画像を表示させる指示を含んでもよい。入力用画像は、ユーザに無線タグ600が第1の範囲内であること又は第2の範囲内であることを入力させるための画像である。入力要求情報は、判定処理部1014により第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定されない無線タグ600の識別情報を含んでもよい。入力要求情報は、入力用画像の画像データを含んでもよい。
【0058】
モデル処理部1016は、学習済モデルを生成する。
【0059】
図3は、計測データのデータ構造の一例を示す図である。
計測データは、無線タグ600毎に、タグデータセットを含む。タグデータセットは、アンテナ300の複数の位置における複数のタグデータを含む。タグデータセットは、位置0から位置Lまでの間の一定間隔aの位置の一部又は全部のそれぞれに関連付けられたタグデータを含む。タグデータセットは、位置0から位置Lまでの間の一定間隔aの位置とは異なる各位置に関連付けられたタグデータを含んでもよい。
【0060】
タグデータセットは、アンテナ300の複数の位置における複数の位相データを含んでもよい。位相の値は、アンテナ300の位置が変わるにつれて変化する。これは、アンテナ300が移動するにつれて、アンテナ300と無線タグ600との距離が変わるからである。位相の値はアンテナ300と無線タグ600との距離に依存するので、複数の位相データの分布は、無線タグ600の位置に応じて異なる。
【0061】
タグデータセットは、アンテナ300の複数の位置における複数のドップラー周波数データを含んでもよい。ドップラー周波数の値は、アンテナ300の位置が変わるにつれて変化する。これは、アンテナ300が無線タグ600に近づく場合と、アンテナ300が無線タグ600から離れる場合とで、ドップラー周波数の値が異なるからである。複数のドップラー周波数データの分布は、無線タグ600の位置に応じて異なる。
【0062】
タグデータセットは、アンテナ300の複数の位置における複数のRSSIデータを含んでもよい。RSSIの値は、アンテナ300の位置が変わるにつれて変化する。これは、アンテナ300が移動するにつれて、アンテナ300と無線タグ600との距離が変わるからである。RSSIの値はアンテナ300と無線タグ600との距離に依存するので、複数のRSSIデータの分布は、無線タグ600の位置に応じて異なる。
【0063】
図4は、登録データのデータ構造の一例を示す図である。
登録データは、登録無線タグの識別情報、登録タグデータセット及び入力回数を含む。
【0064】
駆動装置200について、図5及び図6を用いて説明する。
図5は、駆動装置200の構成の一例を示すブロック図である。
駆動装置200は、プロセッサー201、ROM202、RAM203、接続インターフェース204、駆動部205及びホームポジションセンサー206を含む。駆動装置200に含まれる各部は、バス208等によって接続される。
【0065】
プロセッサー201は、駆動装置200の動作に必要な演算及び制御等の処理を行うコンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサー201は、ROM202等に記憶された種々のプログラムをRAM203に展開する。プログラムは、プロセッサー201に種々の処理を実行させるためのプログラムである。プロセッサー201は、RAM203に展開されたプログラムを実行することで、種々の処理を実行する。プロセッサー201は、CPU、MPU、SoC、DSP、GPU、ASIC、PLD又はFPGA等である。プロセッサー201は、これらのうちの複数を組み合わせたものであってもよい。プロセッサー201は、処理回路の一例である。
【0066】
ROM202は、プロセッサー201を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM202は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM202は、上記のプログラムを記憶する。ROM202は、プロセッサー201が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値等を記憶する。
【0067】
RAM203は、プロセッサー201を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM203は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM203は、プロセッサー201が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアである。
【0068】
接続インターフェース204は、駆動装置200が読取装置100と通信するためのインターフェースである。
【0069】
駆動部205は、アンテナ300を移動する。例えば、駆動部205は、ステッピングモーターである。
【0070】
ホームポジションセンサー206は、アンテナ300が開始地点にあるか否かを検知するセンサーである。駆動部205がアンテナ300を第1の地点から第2の地点へ移動する場合、開始地点は、第1の地点であり、終了地点は、第2の地点である。駆動部205がアンテナ300を第2の地点から第1の地点へ移動する場合、開始地点は、第2の地点であり、終了地点は、第1の地点である。
【0071】
バス208は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバス等を含む。バス208は、駆動装置200の各部で授受される信号を伝送する。
【0072】
図6は、駆動装置200を説明するための模式図である。
駆動装置200は、回転軸211、レール212及び移動ステージ213を含む。
【0073】
図6に例示するように、駆動装置200及びアンテナ300は、カウンター台700の下部に配置される。カウンター台700は、無線タグ600が付された物品500を載置する水平面を有する台である。カウンター台700は、載置部の一例である。カウンター台700は、通信システム1又は通信装置10に含まれていてもよい。
【0074】
回転軸211は、駆動部205の駆動力を伝達する。回転軸211とレール212にはネジの溝が形成されている。ネジの溝は、対向して連結している。このため、駆動部205が回転駆動すると、回転軸211が回転し、レール212が回転する。
【0075】
レール212は、一方向に沿って延在する。レール212には、アンテナ300が載置された移動ステージ213が取り付けられている。
【0076】
移動ステージ213は、ボールネジナットを備え、ボールネジナットによりレール212が回転すると、レール212に沿って一方向に移動する。すなわち、移動ステージ213は、図6に示すx軸に沿った水平方向に移動する。また、移動ステージ213は、レール212の回転方向に応じて、一方向に沿って往復移動する。このように、駆動装置200は、アンテナ300をレール212に沿って、x軸に沿った水平の一方向に往復移動させる。
【0077】
なお、駆動装置200のハードウェア構成は、上述の構成に限定されるものではない。駆動装置200は、適宜、上述の構成要素の省略及び変更並びに新たな構成要素の追加を可能とする。例えば、アンテナ300の移動態様は、水平の一方向に沿って移動する態様に代えて、円周方向に沿って回転して移動する態様等の種々の態様でもよい。
【0078】
第1の範囲及び第2の範囲について説明する。
図7は、第1の範囲81及び第2の範囲82を説明するための模式図であり、カウンター台700を上方から見た平面図である。
【0079】
第1の範囲81及び第2の範囲82は、水平方向に分離された範囲である。第1の範囲81は、カウンター台700の水平面の中央部分に設定された範囲である。第2の範囲82は、カウンター台700の水平面の外周部分及びカウンター台700よりも水平方向の外に設定された範囲である。第2の範囲82は、第1の範囲81を囲むように設定されている。図7では、第2の範囲82は、第1の範囲81と隣接することなく間をあけて設定されている。
【0080】
なお、第1の範囲81及び第2の範囲82の設定は、これに限定されない。第1の範囲81は、カウンター台700の水平面の中央部分に設定された範囲であり、第2の範囲82は、カウンター台700の水平面の外周部分に設定された範囲であってもよい。第1の範囲81は、カウンター台700の水平面全体に設定された範囲であり、第2の範囲82は、カウンター台700よりも水平方向の外に設定された範囲であってもよい。第2の範囲82は、第1の範囲81を囲むように設定された範囲に限定されない。
【0081】
図7を参照し、第1の範囲とアンテナ300の移動範囲との位置関係について説明する。以下に例示するように、第1の範囲は、アンテナ300の移動範囲の一部又は全部と対向する。x軸は、アンテナ300の移動方向である。アンテナ300の移動方向は、無線タグ600に対するアンテナ300の相対位置の移動方向の一例である。z軸は、アンテナ300の移動方向と直交する方向である。アンテナ300の移動範囲は、x軸に沿った第1の地点xaと第2の地点xbとの間である。第1の地点xaは、z軸において第1の範囲と対向しない位置であって、x軸に沿った第1の範囲の一端側よりも外側の位置である。第2の地点xbは、z軸において第1の範囲と対向しない位置であって、x軸に沿った第1の範囲の他端側よりも外側の位置である。第1の範囲は、z軸において、アンテナ300の移動範囲の一部と対向する。第1の地点xa及び第2の地点xbの何れか一方は、z軸において、第1の範囲と対向しない位置であり、他方は、z軸において、第1の範囲と対向する位置でもよい。この場合、第1の範囲は、z軸に沿った方向において、アンテナ300の移動範囲の一部と対向する。第1の地点xa及び第2の地点xbの両方は、z軸において、第1の範囲と対向する位置でもよい。この場合、第1の範囲は、z軸において、アンテナ300の移動範囲の全部と対向する。
【0082】
図8は、第1の範囲内の無線タグ600に関する複数の位相データの一例を示すグラフである。
無線タグ600は、第1の範囲内において1つ以上の他の無線タグ600と重なり合っているものとする。
横軸は、水平の一方向に沿ったアンテナ300の位置を示す。縦軸は、位相の値を示す。グラフは、任意の一つの無線タグ600について、位置0から位置Lまでの間の複数の位置のそれぞれにおける位相の値を示す。図8に示すグラフには、丸印で示すように変曲点が存在する。図8に示すグラフでは、位置0から位置Lまでの間の幾つかの位置で位相データが欠落している。位相データが欠落するのは、様々な要因がある。一つの要因としては、無線タグ600が第1の範囲内において1つ以上の他の無線タグ600と重なり合っているからである。別の要因としては、アンテナ300のヌル点が存在するからである。なお、これらは例示であり、要因はこれら以外にもあり得る。
【0083】
図9は、第2の範囲内の無線タグ600に関する複数の位相データの一例を示すグラフである。
横軸は、水平の一方向に沿ったアンテナ300の位置を示す。縦軸は、位相の値を示す。グラフは、任意の一つの無線タグ600について、位置0から位置Lまでの間の複数の位置のそれぞれにおける位相の値を示す。図9に示すグラフには、丸印で示すように、変曲点が存在する。アンテナ300と無線タグ600との距離が離れているので、データ数は、元々少ない。
【0084】
図8に示す第1の範囲内のグラフと図9に示す第2の範囲内のグラフを比較すると、以下のことが分かる。第1の範囲内の無線タグ600に関する複数の位相データ及び第2の範囲内の無線タグ600に関する複数の位相データは、共に変曲点が存在する。第1の範囲内の無線タグ600に関する複数の位相データのデータ数及び第2の範囲内の無線タグ600に関する複数の位相データのデータ数は、共に少ない。そのため、複数の位相データの分布は、第1の範囲内の無線タグ600と第2の範囲内の無線タグ600とで類似する。
【0085】
図10は、端末400の構成の一例を示すブロック図である。
端末400は、プロセッサー401、ROM402、RAM403、接続インターフェース404、記憶デバイス405、入力デバイス406、表示デバイス407及び音声出力デバイス408を含む。端末400に含まれる各部は、バス409等によって接続される。プロセッサー401の構成は、プロセッサー101の構成と同様であってもよい。ROM402の構成は、ROM102の構成と同様であってもよい。RAM403の構成は、RAM103の構成と同様であってもよい。接続インターフェース404は、端末400が読取装置100と通信するためのインターフェースである。記憶デバイス405の構成は、記憶デバイス111の構成と同様であってもよい。
【0086】
入力デバイス406は、ユーザ操作に基づく指示を入力可能なデバイスである。入力デバイス406は、押下可能なボタンを含んでいてもよい。入力デバイス406は、表示デバイス407と一体で構成されたタッチパネルを含んでいてもよい。
【0087】
表示デバイス407は、種々の画像を表示可能なデバイスである。表示デバイス407は、液晶ディスプレイ又は有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等であるが、これらに限定されない。
【0088】
音声出力デバイス408は、音声を出力可能なデバイスである。音声出力デバイス408は、スピーカ等であるが、これらに限定されない。
【0089】
(動作例)
通信システム1における処理について説明する。
以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0090】
読取装置100のプロセッサー101による判定処理について説明する。判定処理は、無線タグ600について、第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を判定する処理である。
【0091】
図11は、読取装置100のプロセッサー101による判定処理の一例を示すフローチャートである。
例えば、カウンター台700には、通信システム1において処理対象とする必要のある1つ以上の物品500に付された1つ以上の無線タグ600が載せられている。処理対象とする必要のある1つ以上の物品500は、直接カウンター台700上に載せられてもよいし、筐体に入れられた状態でカウンター台700上に載せられてもよい。例えば、筐体は、カゴであるが、これに限定されない。1つ以上の無線タグ600の全てが第1の範囲内に置かれていることもある。1つ以上の無線タグ600のうちの少なくとも1つが第1の範囲からはみ出て、第1の範囲と第2の範囲との間の範囲に置かれていることもある。第2の範囲には、通信システム1において処理対象とする必要のない物品500が存在することもある。第1の範囲と第2の範囲との間の範囲には、通信システム1において処理対象とする必要のない物品500が存在することもある。
【0092】
読取装置100のプロセッサー101は、ユーザにより端末400で入力された判定処理の開始指示の取得に基づいて、判定処理を開始してもよい。
【0093】
ここでは、開始地点は、第1の地点であり、終了地点は、第2の地点であるものとする。そのため、駆動部205は、アンテナ300を一方向に第1の地点から第2の地点へ移動する。
【0094】
移動制御部1011は、アンテナ300が開始地点に存在するか否かを判定する(ACT1)。アンテナ300が開始地点に存在しない場合(ACT1、NO)、処理は、ACT1からACT2へ遷移する。アンテナ300が開始地点に存在する場合(ACT1、YES)、処理は、ACT1からACT3へ遷移する。
【0095】
移動制御部1011は、アンテナ300を開始地点へ移動するように制御する(ACT2)。ACT2では、例えば、移動制御部1011は、開始地点への移動指示を駆動装置200に送信する。開始地点への移動指示は、アンテナ300を開始地点へ移動させる指示である。駆動装置200のプロセッサー201は、読取装置100から開始地点への移動指示を受信する。プロセッサー201は、開始地点への移動指示に基づいて、アンテナ300を開始地点へ移動するように駆動部205を制御する。駆動部205は、プロセッサー201による制御に基づいて、アンテナ300を開始地点へ移動する。
【0096】
移動制御部1011は、アンテナ300の移動を制御する(ACT3)。ACT3では、例えば、移動制御部1011は、アンテナ300を開始地点から終了地点へ一方向に沿って移動するように制御する。移動制御部1011は、終了地点への移動指示を駆動装置200に送信する。終了地点への移動指示は、アンテナ300を開始地点から終了地点へ移動させる指示である。駆動装置200のプロセッサー201は、読取装置100から終了地点への移動指示を受信する。プロセッサー201は、終了地点への移動指示に基づいて、アンテナ300を開始地点から終了地点へ一方向に移動するように駆動部205を制御する。駆動部205は、プロセッサー201による制御に基づいて、アンテナ300を開始地点から終了地点へ一方向に移動する。
【0097】
通信制御部1012は、アンテナ300からの電波送信の開始を制御する(ACT4)。ACT4では、例えば、通信制御部1012は、開始地点からのアンテナ300の移動の開始に基づいて、アンテナ300からの電波送信の開始を制御する。通信制御部1012は、駆動装置200からの移動開始通知に基づいてアンテナ300からの電波送信の開始を制御してもよい。移動開始通知は、開始地点からアンテナ300の移動が開始したことを示してもよい。アンテナ300は、無線タグ600の識別情報を無線タグ600から読み取るための電波送信を開始する。
【0098】
取得部1013は、無線タグ600毎に、識別情報及びタグデータを取得する(ACT5)。ACT5では、例えば、取得部1013は、無線タグ600毎に、復調部110により取得された識別情報及び復調部110により検出されたタグデータを取得する。取得部1013が識別情報及びタグデータを取得した場合(ACT5、YES)、処理は、ACT5からACT6へ遷移する。取得部1013が識別情報及びタグデータを取得しない場合(ACT5、NO)、処理は、ACT5からACT7へ遷移する。
【0099】
取得部1013は、識別情報及びタグデータの取得に基づいて、識別情報で識別される無線タグ600に関するタグデータを計測データ記憶領域1111に保存する(ACT6)。
【0100】
通信制御部1012は、アンテナ300の移動が終了したか否かを判定する(ACT7)。ACT7では、例えば、通信制御部1012は、開始地点から終了地点までのアンテナ300の移動が終了したか否かを判定する。通信制御部1012は、駆動装置200からの移動終了通知に基づいて、アンテナ300の移動が終了したと判定してもよい。移動終了通知は、終了地点への到達によりアンテナ300の移動が終了したことを示してもよい。アンテナ300の移動が終了した場合(ACT7、YES)、処理は、ACT7からACT8へ遷移する。アンテナ300の移動が終了していない場合(ACT7、NO)、処理は、ACT7からACT5へ遷移する。
【0101】
取得部1013は、アンテナ300が開始地点で移動を開始した後から終了地点で移動を終了するまでの間、ACT5及びACT6の処理を繰り返す。
【0102】
ACT5では、取得部1013は、無線タグ600毎に、識別情報及びアンテナ300の複数の位置における複数のタグデータを取得する。例えば、取得部1013は、無線タグ600毎に、識別情報及びアンテナ300の複数の位置における複数の位相データ、ドップラー周波数データ又はRSSIデータを取得することができる。
【0103】
ACT6では、取得部1013は、無線タグ600毎に、アンテナ300の複数の位置における複数のタグデータを計測データ記憶領域1111に保存する。例えば、取得部1013は、無線タグ600毎に、アンテナ300の複数の位置における複数の位相データ、ドップラー周波数データ又はRSSIデータを計測データ記憶領域1111に保存することができる。
【0104】
通信制御部1012は、アンテナ300からの電波送信の終了を制御する(ACT8)。ACT8では、例えば、通信制御部1012は、アンテナ300の移動の終了に基づいて、アンテナ300からの電波送信の終了を制御する。アンテナ300の移動の終了は、開始地点から終了地点までの一方向に沿ったアンテナ300の移動の終了である。アンテナ300は、無線タグ600の識別情報を読み取るための電波送信を終了する。
【0105】
判定処理部1014は、1つの判定対象無線タグを選択する(ACT9)。ACT9では、例えば、判定処理部1014は、タグデータセットが計測データ記憶領域1111に記憶されている1つ以上の無線タグ600から判定対象無線タグとして、1つの無線タグ600を選択する。判定処理部1014は、判定対象無線タグとして選択された無線タグ600について、ACT10~ACT19の処理を実行する。
【0106】
判定処理部1014は、判定対象無線タグとして選択された無線タグ600の識別情報を登録無線タグ毎の登録データに含まれる登録無線タグの識別情報と比較する(ACT10)。無線タグ600の識別情報が何れかの登録無線タグの識別情報と一致する場合、判定処理部1014は、無線タグ600の識別情報が登録無線タグの識別情報であると判定する。無線タグ600の識別情報が登録無線タグの識別情報である場合(ACT10、YES)、処理は、ACT10からACT11へ遷移する。無線タグ600の識別情報が何れの登録無線タグの識別情報とも一致しない場合、判定処理部1014は、無線タグ600の識別情報が登録無線タグの識別情報ではないと判定する。無線タグ600の識別情報が登録無線タグの識別情報ではない場合(ACT10、NO)、処理は、ACT10からACT13へ遷移する。
【0107】
判定処理部1014は、以下のACT11及びACT12の処理により、無線タグ600に関するタグデータセット及び登録タグデータセットに基づいて、第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を判定する。登録タグデータセットは、無線タグ600の識別情報で識別される登録無線タグに関するものである。
【0108】
判定処理部1014は、無線タグ600に関するタグデータセット及び登録タグデータセットの比較結果が条件を満たすか否かを判定する(ACT11)。比較結果は、無線タグ600に関するタグデータセット及び登録タグデータセットの相関である。ここでは、相関係数を相関の例にして説明する。相関係数は、無線タグ600に関するタグデータセット及び登録タグデータセットの相関を示す値である。条件は、無線タグ600が第2の範囲内であると判定するための条件である。条件は、比較結果が所定以上の相関を有することである。比較結果が所定以上の相関を有する場合、比較結果は条件を満たす。比較結果が所定以上の相関を有しない場合、比較結果は条件を満たさない。
【0109】
ここでは、条件は、相関係数に関する相関判定用閾値を含む例について説明する。相関係数が相関判定用閾値以上である場合、比較結果は、所定以上の相関を有するものとする。相関係数が相関判定用閾値未満である場合、比較結果は、所定以上の相関を有しないものとする。関判定用閾値は、適宜設定可能である。比較結果が所定以上の相関を有する場合、無線タグ600に関するタグデータセットは、登録タグデータセットと類似する。登録タグデータセットと類似することは、登録タグデータセットからの変化が少ないことの意味を含む。無線タグ600に関するタグデータセットが登録タグデータセットと類似する場合、無線タグ600は、第1の範囲内に含まれていない。この無線タグ600は、通信システム1において処理対象とする必要のある物品500に付された無線タグ600ではない。そのため、判定処理部1014は、無線タグ600を第2の範囲内であると判定する。
【0110】
相関係数の計算例について説明する。例えば、判定処理部1014は、(式1)に示される相関関数を用いて、相関係数を計算する。相関関数は、(式1)に示される関数に限定されない。
【数1】
rは、相関係数である。nは、データ数(x、y)の個数である。xは、xの値である。yは、yの値である。xは、xの平均である。yは、yの平均である。相関係数は、1に近づくほど正の相関が強くなる。相関係数は、0に近づくほど相関がなくなる。相関係数は、-1に近づくほど負の相関が強くなる。
【0111】
判定処理部1014は、無線タグ600に関するタグデータセット及び登録タグデータセットに基づいて相関係数を計算することができる。この例では、(式1)におけるxについてのデータは、無線タグ600に関するタグデータセットに含まれる複数のタグデータである。(式1)におけるyについてのデータは、登録タグデータセットに含まれる複数のタグデータである。
【0112】
判定処理部1014は、複数のタグデータの全てのデータを用いて相関係数を計算してもよい。判定処理部1014は、複数のタグデータの一部のデータを用いて相関係数を計算してもよい。複数のタグデータの一部のデータは、複数のタグデータのうち、変曲点のタグデータを含む範囲のデータでもよい。複数のタグデータの一部のデータは、複数のタグデータのうち、変曲点のタグデータを含まない範囲のデータでもよい。
【0113】
なお、相関は、相関係数に限定されない。判定処理部1014は、アンテナ300の複数の位置に対する変曲点の位置に基づいて相関を示す値を求めてもよい。判定処理部1014は、複数のタグデータの数に基づいて相関を示す値を求めてもよい。判定処理部1014は、タグデータの変化量に応じた傾きに基づいて相関を示す値を求めてもよい。
【0114】
比較結果が条件を満たす場合(ACT11、YES)、処理は、ACT11からACT12へ遷移する。比較結果が条件を満たさない場合(ACT11、NO)、処理は、ACT11からACT13へ遷移する。
【0115】
判定処理部1014は、比較結果が条件を満たす場合、無線タグ600を第2の範囲内であると判定する(ACT12)。
【0116】
判定処理部1014は、無線タグ600に関するタグデータセットに基づいて、第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を判定する(ACT13)。一例では、判定処理部1014は、比較結果が条件を満たさない場合、ACT13の処理を実行する。別の例では、判定処理部1014は、無線タグ600の識別情報が登録無線タグの識別情報ではない場合、ACT13の処理を実行する。ACT13では、判定処理部1014は、無線タグ600が第1の範囲内であると判定することができる。判定処理部1014は、無線タグ600が第2の範囲内であると判定することができる。判定処理部1014は、無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定しないと決定することができる。ACT13の処理例については後述する。
【0117】
判定処理部1014により無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定される場合(ACT14、YES)、処理は、ACT14からACT15へ遷移する。判定処理部1014により無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定されない場合(ACT14、NO)、処理は、ACT14からACT16へ遷移する。なお、判定処理部1014によるACT14の処理は、図12に例示する学習済モデルを用いた判定処理又は図13に例示するタグデータの変化量に基づく判定処理に限定されない。判定処理部1014は、以下に例示するように処理してもよい。
【0118】
第1の例では、複数のタグデータに変曲点が存在し、かつ、複数のタグデータのデータ数が第1の閾値よりも少なく第2の閾値よりも多い範囲内であることを第1の条件としてもよい。第1の閾値は、第2の閾値よりも大きい値である。第1の閾値及び第2の閾値は、適宜設定可能である。この例では、複数のタグデータが第1の条件を満たす場合、判定処理部1014は、無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定されないと決定することができる。他方、複数のタグデータが第1の条件を満たさない場合、判定処理部1014は、無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定されると決定することができる。判定処理部1014は、判定されるとの決定に基づいて、図12又は図13に例示する判定処理により、無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定してもよい。
【0119】
第2の例では、無線タグ600に関するタグデータセット及び比較用タグデータセットの相関を示す相関係数が閾値未満であることを第2の条件としてもよい。比較用タグデータセットは、第1の範囲内の無線タグに関するタグデータセットでもよいし、第2の範囲内の無線タグに関するタグデータセットでもよい。比較用タグデータセットは、複数の比較用タグデータを含む。複数の比較用タグデータのそれぞれは、アンテナの複数の位置データのそれぞれと関連付けられている。複数の比較用タグデータは、予め取得されたデータである。閾値は、適宜設定可能である。この例では、判定処理部1014は、上述の(式1)を用いて、無線タグ600に関するタグデータセット及び比較用タグデータセットの相関を示す相関係数を求める。相関係数が第2の条件を満たす場合、判定処理部1014は、無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定されないと決定することができる。他方、相関係数が第1の条件を満たさない場合、判定処理部1014は、無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定されると決定することができる。判定処理部1014は、判定されるとの決定に基づいて、図12又は図13に例示する判定処理により、無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定してもよい。
【0120】
第3の例では、複数の学習済モデルから取得される第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を示す複数のデータに基づく第1の値と第2の値との差分が閾値未満であることを第3の条件としてもよい。複数の学習済モデルは、同じ学習データに基づく機械学習により生成されたモデルであるが、互いに異なる学習済モデルである。例えば、複数の学習済モデルは、重みの初期値が互いに異なる学習済モデルであるが、異なる態様は、これに限定されない。複数の学習済モデルの数は、適宜設定可能である。第1の値は、第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を示す複数のデータのうち、無線タグ600が第1の範囲内であることを示すデータの数である。第2の値は、第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を示す複数のデータのうち、無線タグ600が第2の範囲内であることを示すデータの数である。差分は、第1の値及び第2の値のうちの大きい値から小さい値を引いて得られる数である。閾値は、適宜設定可能である。この例では、差分が第3の条件を満たす場合、判定処理部1014は、無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定されないと決定することができる。他方、差分が第3の条件を満たさない場合、判定処理部1014は、無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定されると決定することができる。この場合、判定処理部1014は、第1の値と第2の値の大小関係に基づいて、無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定することができる。
【0121】
出力部1015は、第2接続インターフェース105を介して、無線タグ600についての判定結果を端末400に出力する(ACT15)。出力部1015は、第2接続インターフェース105を介して、読取装置100により読み取られた無線タグ600の識別情報を端末400に出力する。判定結果は、識別情報と関連付けられている。
【0122】
端末400は、無線タグ600についての判定結果に応じて、無線タグ600を付された物品500を処理対象として扱うか否かを変えてもよい。無線タグ600が判定処理部1014により第1の範囲内であると判定される場合、端末400は、無線タグ600を付された物品500を処理対象として扱う。無線タグ600を付された物品500を処理対象として扱うことは、無線タグ600又は無線タグ600の識別情報を処理対象として扱うことを含む。無線タグ600が判定処理部1014により第2の範囲内であると判定される場合、端末400は、無線タグ600を付された物品500を処理対象として扱わない。無線タグ600を付された物品500を処理対象として扱わないことは、無線タグ600又は無線タグ600の識別情報を処理対象として扱わないことを含む。
【0123】
出力部1015は、第2接続インターフェース105を介して、入力要求情報を端末400に出力する(ACT16)。
【0124】
端末400は、入力要求情報に基づいて、入力用画像を表示デバイス407に表示することができる。ユーザは、入力用画像において、無線タグ600が第1の範囲内であること又は第2の範囲内であることを入力することができる。無線タグ600が第1の範囲内であることの入力は、無線タグ600を第1の範囲内であるものとして扱うことの入力を含む。無線タグ600が第2の範囲内であることの入力は、無線タグ600を第2の範囲内であるものとして扱うことの入力を含む。端末400は、判定処理部1014により第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定されない無線タグ600について、ユーザによる入力に基づいて、無線タグ600を付された物品500を処理対象として扱うか否かを変えてもよい。ユーザにより無線タグ600が第1の範囲内であることを入力される場合、端末400は、無線タグ600を付された物品500を処理対象として扱う。ユーザにより無線タグ600が第2の範囲内であることを入力される場合、端末400は、無線タグ600を付された物品500を処理対象として扱わない。
【0125】
なお、読取装置100が表示デバイスを含む場合、出力部1015は、入力要求情報を端末400に出力しなくてもよい。この例では、出力部1015は、入力用画像を表示デバイスに表示させるために、入力要求情報を表示デバイスに出力する。読取装置100の表示デバイスは、入力要求情報に含まれる入力用画像の画像データに基づいて、入力用画像を表示する。
【0126】
判定処理部1014は、入力結果を端末400から取得する(ACT17)。入力結果は、入力用画像においてユーザにより入力された無線タグ600が第1の範囲内であること又は第2の範囲内であることを示すデータを含む。入力結果は、判定処理部1014により第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定されない無線タグ600の識別情報を含む。
【0127】
入力結果が第2の範囲内であることを示すデータを含む場合(ACT18、YES)、処理は、ACT18からACT19へ遷移する。入力結果が第1の範囲内であることを示すデータを含む場合(ACT18、NO)、処理は、ACT18からACT20へ遷移する。
【0128】
判定処理部1014は、入力結果に基づいて登録データ記憶領域1114に記憶されているデータを更新する(ACT19)。ACT19では、例えば、判定処理部1014は、入力結果に含まれる識別情報に一致する登録無線タグの識別情報を検索する。入力結果に含まれる識別情報に一致する登録無線タグの識別情報が登録データ記憶領域1114に記憶されている場合について説明する。この場合、判定処理部1014は、この登録無線タグについての登録データに含まれる入力回数を1増やす。入力結果に含まれる識別情報に一致する登録無線タグの識別情報が登録データ記憶領域1114に記憶されていない場合について説明する。この場合、判定処理部1014は、新たな登録データを登録データ記憶領域1114に保存する。登録データは、無線タグ600の識別情報を登録無線タグの識別情報として含む。登録データは、無線タグ600に関するタグデータセットを、登録タグデータセットとして含む。登録データは、入力回数として1回を含む。
【0129】
判定処理部1014は、判定対象無線タグとして全ての無線タグ600を選択したか否かを判定する(ACT20)。ACT20では、例えば、判定処理部1014は、タグデータセットが計測データ記憶領域1111に記憶されている全ての無線タグ600を選択したか否かを判定する。
【0130】
判定処理部1014が判定対象無線タグとして全ての無線タグ600を選択した場合(ACT20、YES)、処理は、終了する。判定処理部1014が判定対象無線タグとして全ての無線タグ600を選択していない場合(ACT20、NO)、処理は、ACT20からACT9へ遷移する。
【0131】
なお、ACT10において、無線タグ600の識別情報が登録無線タグの識別情報である場合、判定処理部1014は、以下のように処理してもよい。判定処理部1014は、無線タグ600の位置関係を判定する時点において登録無線タグの入力回数が所定回数以上である場合、無線タグ600を第2の範囲内であると判定する。この例では、無線タグ600に関するタグデータセット及び登録タグデータセットの比較結果が条件を満たすか否かは問わない。
【0132】
上述のACT13における判定処理部1014による判定処理例について説明する。1つ目の例は、学習済モデルを用いた判定処理である。2つ目の例は、タグデータの変化量に基づく判定処理である。判定処理部1014による判定処理例は、これらに限定されない。
【0133】
図12は、読取装置100のプロセッサー101による学習済モデルを用いた判定処理の一例を示すフローチャートである。
判定処理部1014は、学習済モデルに、判定用入力データを入力する(ACT21)。ACT21では、例えば、判定処理部1014は、判定対象無線タグとして選択された無線タグ600について、判定用入力データを計測データから取得する。判定処理部1014は、学習済モデルに、取得した判定用入力データを入力する。
【0134】
判定処理部1014は、学習済モデルへの判定用入力データの入力に基づいて、学習済モデルから出力される判定用出力データを取得する(ACT22)。
【0135】
判定処理部1014は、判定用出力データに基づいて第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を判定する(ACT23)。判定用出力データに基づいて第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を判定することは、無線タグ600に関する複数のタグデータに基づいて第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を判定することの一例である。
【0136】
判定用出力データが、無線タグ600の含まれる範囲に関するレベルを示すデータである例について説明する。この例では、第1の範囲内のレベルが第1のレベル判定用閾値以上である場合、判定処理部1014は、無線タグ600が第1の範囲内であると判定することができる。第1のレベル判定用閾値は、適宜設定可能である。第2の範囲内のレベルが第2のレベル判定用閾値以上である場合、判定処理部1014は、無線タグ600が第2の範囲内であると判定することができる。第2のレベル判定用閾値は、適宜設定可能である。第1の範囲内のレベルが第1のレベル判定用閾値未満であり、第2の範囲内のレベルが第2のレベル判定用閾値未満である場合、判定処理部1014は、無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定しないと決定することができる。
【0137】
判定用出力データが、無線タグ600が第1の範囲内、第2の範囲内又は第3の範囲内であることを示すデータである例について説明する。この例では、判定用出力データが、無線タグ600が第1の範囲内であることを示すデータである場合、判定処理部1014は、無線タグ600が第1の範囲内であると判定することができる。判定用出力データが、無線タグ600が第2の範囲内であることを示すデータである場合、判定処理部1014は、無線タグ600が第2の範囲内であると判定することができる。判定用出力データが、無線タグ600が第3の範囲内であることを示すデータである場合、判定処理部1014は、無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定しないと決定することができる。
【0138】
図13は、読取装置100のプロセッサー101によるタグデータの変化量に基づく判定処理の一例を示すフローチャートである。
判定処理部1014は、判定対象無線タグとして選択された無線タグ600について、複数のタグデータのうちの異なる2つのタグデータに基づいて、タグデータの変化量を計算する(ACT31)。例えば、タグデータの変化量は、2つのタグデータの差分である。
【0139】
判定処理部1014は、タグデータの変化量を、第1の変化量判定用閾値及び第2の変化量判定用閾値と比較する(ACT32)。第1の変化量判定用閾値は、第2の変化量判定用閾値よりも大きい値であるものとする。第1の変化量判定用閾値及び第2の変化量判定用閾値は、適宜設定可能である。
【0140】
判定処理部1014は、タグデータの変化量に基づいて第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を判定する(ACT33)。タグデータの変化量に基づいて第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を判定することは、無線タグ600に関する複数のタグデータに基づいて第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を判定することの一例である。タグデータの変化量が第1の変化量判定用閾値以上である場合、判定処理部1014は、無線タグ600が第1の範囲内であると判定することができる。タグデータの変化量が第2の変化量判定用閾値未満である場合、判定処理部1014は、無線タグ600が第2の範囲内であると判定することができる。タグデータの変化量が第2の変化量判定用閾値以上であって第1の変化量判定用閾値未満である場合、判定処理部1014は、無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定しないと決定することができる。
【0141】
端末400のプロセッサー401による入力用画像の表示処理について説明する。
入力用画像の表示処理は、端末400の表示デバイス407に入力用画像を表示する処理である。ユーザは、入力デバイス406を介して、無線タグ600が第1の範囲内であること又は第2の範囲内であることを入力することができる。
【0142】
図14は、端末400のプロセッサー401による入力用画像の表示処理の一例を示すフローチャートである。
【0143】
プロセッサー401は、接続インターフェース404を介して、入力要求情報を読取装置100から取得する(ACT41)。
【0144】
プロセッサー401は、入力要求情報に基づいて、入力用画像を表示デバイス407に表示する(ACT42)。ACT42では、例えば、プロセッサー401は、入力要求情報に含まれる識別情報に基づいて、無線タグ600を付された物品500の情報をサーバから取得する。物品500の情報は、物品500に固有な情報である。例えば、物品500に固有な情報は、物品500の名称を示す情報を含むが、これに限定されない。サーバは、物品500に関するユニーク識別コード毎に、ユニーク識別コードと関連付けられた物品500の情報を記憶してもよい。プロセッサー401は、取得した物品500の情報を認識可能な態様で含む入力用画像を表示デバイス407に表示する。
【0145】
プロセッサー401は、ユーザ操作に基づく入力デバイス406を介した入力を検出する(ACT43)。入力デバイス406を介して入力されない場合(ACT43、NO)、プロセッサー401は、ACT43の処理を継続する。入力デバイス406を介して入力される場合(ACT43、YES)、処理は、ACT43からACT44へ遷移する。
【0146】
プロセッサー401は、入力結果を記憶デバイス405に保存する(ACT44)。なお、プロセッサー401は、入力結果をRAM403に保存してもよい。
【0147】
プロセッサー401は、入力結果を読取装置100に出力する(ACT45)。
【0148】
図15は、端末400の表示デバイス407に表示される入力用画像IMの一例を示す図である。
入力用画像IMは、無線タグ600が第1の範囲内であること又は第2の範囲内であることをユーザに入力させるためのメッセージを含む。メッセージは、物品500の名称を含む。、
入力用画像IMは、物品500が第1の範囲内であることを選択するためのボタンBAを含む。物品500が第1の範囲内であることは、物品500に付された無線タグ600が第1の範囲内であることの一例である。ボタンBAは、物品500が第1の範囲内であることを入力するためのキーの一例である。
【0149】
入力用画像IMは、物品500が第2の範囲内であることを選択するためのボタンBBを含む。物品500が第2の範囲内であることは、物品500に付された無線タグ600が第2の範囲内であることの一例である。ボタンBBは、物品500が第2の範囲内であることを入力するためのキーの一例である。
【0150】
読取装置100のプロセッサー101による学習済モデルの生成処理について説明する。学習済モデルの生成処理は、学習済モデルを生成する処理である。
図16は、読取装置100のプロセッサー101による学習済モデルの生成処理の一例を示すフローチャートである。
モデル処理部1016は、任意のタイミングで学習済モデルの生成処理を開始し、学習済モデルを新たに作成してもよい。モデル処理部1016は、任意のタイミングで学習済モデルの生成処理を開始し、学習済モデルを更新してもよい。
【0151】
モデル処理部1016は、学習データを取得する(ACT51)。ACT51では、例えば、モデル処理部1016は、学習データ記憶領域1112から学習データを取得する。
【0152】
モデル処理部1016は、学習データに基づく機械学習により、学習済モデルを生成する(ACT52)。ACT52では、例えば、モデル処理部1016は、機械学習により、学習データを学習する。モデル処理部1016は、アンテナの複数の位置における学習用無線タグに関する複数の学習用タグデータと、第1の範囲に対する学習用無線タグの位置関係を示す正解データとの関係を推定する。モデル処理部1016は、推定に基づいて学習済モデルを生成する。機械学習は、ニューラルネットワーク等であるが、これに限定されない。
【0153】
複数の学習用位相データは、アンテナと学習用無線タグとの距離によって変化する。複数の学習用位相データの分布は、学習用無線タグの位置に応じて異なる。アンテナの複数の位置における複数の学習用位相データと、学習用無線タグの位置との間には、一定の相関関係があり得る。複数の学習用ドップラー周波数データは、アンテナが学習用無線タグに近づく場合と、アンテナが学習用無線タグから離れる場合とで異なる。複数の学習用ドップラー周波数データの分布は、学習用無線タグの位置に応じて異なる。アンテナの複数の位置における複数の学習用ドップラー周波数データと、学習用無線タグの位置との間には、一定の相関関係があり得る。複数の学習用RSSIデータは、アンテナと学習用無線タグとの距離によって変化する。複数の学習用RSSIデータの分布は、学習用無線タグの位置に応じて異なる。アンテナの複数の位置における複数の学習用RSSIデータと、学習用無線タグの位置との間には、一定の相関関係があり得る。このように、アンテナの複数の位置における複数の学習用タグデータと、学習用無線タグの位置との間には、一定の相関関係があり得る。
【0154】
モデル処理部1016は、生成した学習済モデルを学習済モデル記憶領域1113に保存する(ステップS53)。
【0155】
なお、学習済モデルの生成は、読取装置100以外の装置によって実現されてもよい。
【0156】
(変形例)
通信システム1の変形例について説明する。
図17は、通信システム1の変形例を示すブロック図である。
この変形例では、通信装置10は、推論装置900を含む。推論装置900は、学習済モデルに関する処理を実行可能な装置である。読取装置100は、読取装置100が推論装置900と通信するための第3接続インターフェースを含む。
【0157】
図17は、推論装置900の構成の一例を示すブロック図である。
推論装置900は、プロセッサー901、ROM902、RAM903、接続インターフェース904及び記憶デバイス905を含む。推論装置900に含まれる各部は、バス906等によって接続される。プロセッサー901の構成は、プロセッサー101の構成と同様であってもよい。ROM902の構成は、ROM102の構成と同様であってもよい。RAM903の構成は、RAM103の構成と同様であってもよい。接続インターフェース904は、推論装置900が読取装置100と通信するためのインターフェースである。記憶デバイス905の構成は、記憶デバイス111の構成と同様であってもよい。
【0158】
記憶デバイス905は、上述の学習データを記憶する。記憶デバイス905は、上述の学習済モデルを記憶する。
プロセッサー901は、学習済モデルに、無線タグ600毎に、判定用入力データを入力する。プロセッサー901は、無線タグ600毎に、学習済モデルへの判定用入力データの入力に基づいて学習済モデルから出力される判定用出力データを取得する。プロセッサー901は、学習データに基づく機械学習により、学習済モデルを生成する。
【0159】
変形例における読取装置100及び推論装置900の動作例について説明する。
読取装置100の判定処理部1014は、第3接続インターフェースを介して、無線タグ600毎に、タグデータセットを推論装置900に送信する。推論装置900のプロセッサー901は、接続インターフェース904を介して、無線タグ600毎に、タグデータセットを読取装置100から受信する。プロセッサー901は、無線タグ600毎に、タグデータセットに基づいて、学習済モデルに判定用入力データを入力する。プロセッサー901は、無線タグ600毎に、学習済モデルへの判定用入力データの入力に基づいて、学習済モデルから出力される判定用出力データを取得する。プロセッサー901は、第3の接続インターフェースを介して、無線タグ600毎に、判定用出力データを読取装置100に送信する。読取装置100の判定処理部1014は、第3接続インターフェースを介して、無線タグ600毎に、判定用出力データを推論装置900から受信する。判定用出力データを受信することは、判定用出力データを取得することの一例である。
【0160】
(効果)
通信装置10は、無線タグ600の識別情報が登録無線タグの識別情報である場合、無線タグ600に関するタグデータセット及び登録タグデータセットに基づいて、第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を判定する。
ここで、通信装置10は、第1の範囲内に含まれない無線タグ600の識別情報を読み取ることがある。無線タグ600の位置は、手に取る等の人為的な干渉が入らない限り変わらない。そのため、通信装置10は、処理毎に、第1の範囲内に含まれない無線タグ600の識別情報を毎回読み取ることになる。通信装置10は、無線タグ600が登録無線タグである場合に、第2の範囲内であると登録された登録無線タグの登録タグデータセットを用いて無線タグ600の位置関係を判定することができる。例えば、2つのタグデータセットが類似する場合、通信装置10は、無線タグ600を第2の範囲内であると判定することができる。そのため、通信装置10は、登録タグデータセットを用いることにより、第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係の判定精度を向上させることができる。また、通信装置10は、タグデータセットに基づいて第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定することの難しい無線タグ600の位置関係を判定することができる。そのため、通信装置10は、このような無線タグ600を読み取る毎に、ユーザに無線タグ600の範囲を入力させることを回避することができる。ユーザは、無線タグ600の範囲を入力するといった作業を回避することができる。
【0161】
通信装置10は、無線タグ600に関するタグデータセット及び登録タグデータセットの比較結果が条件を満たす場合、無線タグ600を第2の範囲内であると判定する。
2つのタグデータセットが類似する場合、無線タグ600は、第1の範囲内に含まれないといえる。通信装置10は、2つのタグデータセットの比較といった簡易な処理により、無線タグ600を第2の範囲内であると判定することができる。そのため、通信装置10は、第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係の判定精度を向上させつつ、処理負荷を軽減することができる。また、通信装置10は、無線タグ600を第2の範囲内であると判定することができるので、この無線タグ600を読み取る毎に、ユーザに無線タグ600の範囲を入力させることを回避することができる。
【0162】
通信装置10は、無線タグ600に関するタグデータセット及び登録タグデータセットの比較結果が条件を満たさない場合、無線タグ600に関する複数のタグデータに基づいて、第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を判定する。
2つのタグデータセットが類似しない場合、無線タグ600は、登録無線タグとして登録された時点における位置から移動した可能性がある。しかしながら、無線タグ600は、第1の範囲内に含まれる可能性もあるし、第1の範囲内に含まれない可能性もある。そのため、通信装置10は、無線タグ600に関するタグデータセットに基づいて、第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係を判定する。つまり、通信装置10は、無線タグ600が登録無線タグであるということだけでは、無線タグ600を第2の範囲内であると判定することはない。これにより、通信装置10は、第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係の判定精度を向上させることができる。
【0163】
通信装置10は、無線タグ600に関するタグデータセットに基づいて無線タグ600が第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定しない場合、入力要求情報を出力する。
無線タグ600は、実際に第1の範囲内に含まれるか否かによらず、通信装置10により第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定することの難しい位置にあることがある。通信装置10は、このような無線タグ600について、ユーザに無線タグ600の範囲を入力させることができる。これにより、通信装置10は、無線タグ600の範囲を誤って第1の範囲内である又は第2の範囲内であると判定することを回避することができる。
【0164】
通信装置10は、入力回数が所定回数以上である場合、無線タグ600を第2の範囲内であると判定する。
入力回数が所定回数以上である場合は、端末400において第2の範囲内であることが所定回数以上入力されている。このようなケースでは、無線タグ600は、継続的に第1の範囲に含まれていないといえる。そのため、無線タグ600は、手に取る等の人為的な干渉の入る可能性のほとんどない物品500に付されている可能性が高い。通信装置10は、このような無線タグ600について、無線タグ600に関するタグデータセットを用いることなく、無線タグ600を第2の範囲内であると判定する。これにより、通信装置10は、第1の範囲に対する無線タグ600の位置関係の判定精度を維持しつつ、処理負荷を軽減することができる。
【0165】
(付記)
実施形態は、以下のように表現することができる。
(1) 無線タグに対するアンテナの相対位置の移動を制御する移動制御部と、
前記アンテナにより受信される無線タグの電波に基づいて、前記無線タグの識別情報及び前記アンテナの複数の相対位置における前記無線タグに関する複数のタグデータを取得する取得部と、
前記無線タグの識別情報が、第1の範囲とは異なる第2の範囲内であると登録された登録無線タグの識別情報である場合、前記無線タグに関する複数のタグデータ及び前記登録無線タグに関する複数のタグデータに基づいて、前記第1の範囲に対する前記無線タグの位置関係を判定する判定処理部と、
を備える通信装置。
(2) 前記判定処理部は、前記無線タグに関する複数のタグデータ及び前記登録無線タグに関する複数のタグデータの比較結果が前記第2の範囲内であると判定するための条件を満たす場合、前記無線タグを前記第2の範囲内であると判定する、(1)に記載の通信装置。
(3) 前記判定処理部は、前記無線タグに関する複数のタグデータ及び前記登録無線タグに関する複数のタグデータの比較結果が前記第2の範囲内であると判定するための条件を満たさない場合、前記無線タグに関する複数のタグデータに基づいて、前記第1の範囲に対する前記無線タグの位置関係を判定する、(1)又は(2)に記載の通信装置。
(4) 前記判定処理部により前記無線タグに関する複数のタグデータに基づいて前記無線タグが前記第1の範囲内である又は前記第2の範囲内であると判定されない場合、ユーザに前記無線タグが前記第1の範囲及び前記第2の範囲のうちの何れの範囲内であるのかを入力させるための前記無線タグに関する情報を出力する出力部をさらに備える、(3)に記載の通信装置。
(5) 前記判定処理部は、前記無線タグの位置関係を判定する時点において、前記登録無線タグについて前記第2の範囲内であることを入力された回数が所定回数以上である場合、前記無線タグを前記第2の範囲内であると判定する、(1)に記載の通信装置。
(6) コンピュータに、
無線タグに対するアンテナの相対位置の移動を制御する機能と、
前記アンテナにより受信される無線タグの電波に基づいて、前記無線タグの識別情報及び前記アンテナの複数の相対位置における前記無線タグに関する複数のタグデータを取得する機能と、
前記無線タグの識別情報が、第1の範囲とは異なる第2の範囲内であると登録された登録無線タグの識別情報である場合、前記無線タグに関する複数のタグデータ及び前記登録無線タグに関する複数のタグデータに基づいて、前記第1の範囲に対する前記無線タグの位置関係を判定する機能と、
を実行可能にするためのプログラム。
【0166】
(他の実施形態)
上記の実施形態では、駆動装置200がアンテナ300を移動する例について説明したが、これに限定されない。アンテナ300の位置は固定であり、駆動装置200は、無線タグ600を移動する装置であってもよい。この例では、駆動装置200は、無線タグ600を載せたステージを移動するようにしてもよい。無線タグ600を載せたステージは、一方向に移動するステージに限定されない。無線タグ600を載せたステージは、回転するステージ等の種々の移動態様のステージでもよい。無線タグ600を移動することは、無線タグ600に対するアンテナ300の相対位置を移動することの一例である。アンテナ300の位置は、無線タグ600に対するアンテナ300の相対位置の一例である。なお、駆動装置200は、アンテナ300及び無線タグ600の両方を移動する装置であってもよい。アンテナ300及び無線タグ600の両方を移動することは、無線タグ600に対するアンテナ300の相対位置を移動することの一例である。アンテナ300の位置は、無線タグ600に対するアンテナ300の相対位置の一例である。
【0167】
通信装置は、上記の例で説明したように複数の装置で実現されてもよいし、複数の装置の機能を一体化した一つの装置で実現されてもよい。読取装置、駆動装置、アンテナ及び計測デバイスは、機能を一体化した一つの装置で実現されてもよい。読取装置は、機能を分散させた複数の装置で実現されてもよい。
【0168】
上述の実施形態は、装置だけでなく、装置が実行する方法に適用されてもよい。上述の実施形態は、装置のコンピュータに各機能を実行させることが可能なプログラムに適用されてもよい。上述の実施形態は、プログラムを記憶する記録媒体に適用されてもよい。
【0169】
プログラムは、装置に記憶された状態で譲渡されてよいし、装置に記憶されていない状態で譲渡されてもよい。後者の場合は、プログラムは、ネットワークを介して譲渡されてよいし、記録媒体に記録された状態で譲渡されてもよい。記録媒体は、非一時的な有形の媒体である。記録媒体は、コンピュータ可読媒体である。記録媒体は、CD-ROM、メモリカード等のプログラムを記憶可能かつコンピュータで読取可能な媒体であればよく、その形態は問わない。
【0170】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0171】
1…通信システム、10…通信装置、81…第1の範囲、82…第2の範囲、83…計測対象、100…読取装置、101…プロセッサー、102…ROM、103…RAM、104…第1接続インターフェース、105…第2接続インターフェース、106…高周波フロントエンド部、107…デジタル振幅変調部、108…DA変換部、109…AD変換部、110…復調部、111…記憶デバイス、112…バス、200…駆動装置、201…プロセッサー、202…ROM、203…RAM、204…接続インターフェース、205…駆動部、206…ホームポジションセンサー、208…バス、211…回転軸、212…レール、213…移動ステージ、300…アンテナ、400…端末、401…プロセッサー、402…ROM、403…RAM、404…接続インターフェース、405…記憶デバイス、406…入力デバイス、407…表示デバイス、408…音声出力デバイス、409…バス、500…物品、600…無線タグ、700…カウンター台、800…計測デバイス、900…推論装置、901…プロセッサー、902…ROM、903…RAM、904…接続インターフェース、905…記憶デバイス、906…バス、1011……移動制御部、1012…通信制御部、1013…取得部、1014…判定処理部、1015…出力部、1016…モデル処理部、1111…計測データ記憶領域、1112…学習データ記憶領域、1113…学習済モデル記憶領域、1114…登録データ記憶領域。

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