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特開2024-14729エアロゾル生成デバイス用の膨張材料断熱材を有する加熱ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014729
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】エアロゾル生成デバイス用の膨張材料断熱材を有する加熱ユニット
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20240125BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240125BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023094174
(22)【出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】22186386.3
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モンティコネ, ピア パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ブーフィギル, レイス スリマン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC10
4B162AC12
(57)【要約】
【課題】 エアロゾル生成デバイス用の膨張材料断熱材を有する加熱ユニットを提供する。
【解決手段】 本発明は、エアロゾル生成物品用の加熱ユニットに関し、加熱ユニットは、エアロゾル生成物品のエアロゾル形成基材を加熱炉内に受け入れると加熱するように構成された加熱炉を含み、加熱炉は、膨張材料の層によって熱絶縁される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成物品(1)用の加熱ユニット(10)であって、
エアロゾル生成物品(1)のエアロゾル形成基材を加熱炉(20)内に受け入れると加熱するように構成された前記加熱炉(20)を備え、
前記加熱炉(20)は、膨張材料の層(30)によって熱絶縁される、加熱ユニット(10)。
【請求項2】
前記膨張材料の層(30)は、トリガ温度まで一旦加熱されるとトリガされるように構成される、請求項1に記載の加熱ユニット(10)。
【請求項3】
前記トリガ温度は、少なくとも約200℃である、請求項1又は2に記載の加熱ユニット(10)。
【請求項4】
前記膨張材料の層(30)は、トリガされる前に、少なくとも5マイクロメートル(μm)、好ましくは少なくとも10μm、より好ましくは少なくとも20μm、最も好ましくは少なくとも30μmの厚さ(31)、及び/又は多くとも60μm、好ましくは多くとも50μm、より好ましくは多くとも30μm、最も好ましくは多くとも30μmの厚さ(31)を有する、請求項2又は3に記載の加熱ユニット(10)。
【請求項5】
前記膨張材料の層(30)がトリガされると、前記膨張材料の層(30)の厚さ(31)は、少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、より一層好ましくは少なくとも60倍、さらにより好ましくは少なくとも80倍、最も好ましくは少なくとも100倍、及び/又は多くとも200倍、好ましくは多くとも180倍、より好ましくは多くとも160倍、より一層好ましくは多くとも140倍、さらにより好ましくは多くとも120倍、最も好ましくは多くとも100倍に増加する、請求項2~4のいずれか1項に記載の加熱ユニット(10)。
【請求項6】
前記膨張材料の層(30)は、前記加熱炉(20)の外表面(21)に配置される、請求項1~5のいずれか1項に記載の加熱ユニット(10)。
【請求項7】
前記加熱炉(20)の断面はU字形であり、前記膨張材料の層(30)は、前記加熱炉(20)の外側面及び外底面(22)に配置される、請求項1~6のいずれか1項に記載の加熱ユニット(10)。
【請求項8】
好ましくはエポキシ又はシリコーンを含むプライマー層(40)は、前記加熱炉(20)の外表面(21)と前記膨張材料の層(30)との間に配置される、請求項1~7のいずれか1項に記載の加熱ユニット(10)。
【請求項9】
前記加熱炉(20)及び前記膨張材料の層(30)を収容する管(60)を更に備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の加熱ユニット(10)。
【請求項10】
間隙(61)は、前記加熱炉(20)の外表面(21)と前記管(60)との間に与えられる、請求項1~9のいずれか1項に記載の加熱ユニット(10)。
【請求項11】
前記間隙(61)は、少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1.0mm、より好ましくは少なくとも1.5mm、より一層好ましくは少なくとも2.0mm、最も好ましくは少なくとも3.0mm、及び/又は多くとも5mm、好ましくは多くとも4.5mm、より好ましくは多くとも4.0mm、より一層好ましくは多くとも3.5mm、最も好ましくは多くとも3.0mmである、請求項1~10のいずれか1項に記載の加熱ユニット(10)。
【請求項12】
前記膨張材料の層(30)がトリガされる前に、前記間隙(61)は、多くとも10%、好ましくは多くとも6%、より好ましくは多くとも4%、より一層好ましくは多くとも2%、最も好ましくは多くとも1%、及び/又は少なくとも0.1%、好ましくは少なくとも0.2%、より好ましくは少なくとも0.4%、より一層好ましくは少なくとも0.6%、最も好ましくは少なくとも1%を前記膨張材料の層(30)で充填される、請求項2及び請求項10又は11のいずれか1項に記載の加熱ユニット(10)。
【請求項13】
前記膨張材料の層(30)がトリガされた後、前記間隙(61)は、少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも96%を前記膨張材料の層(30)で充填される、請求項2及び請求項10から12のいずれか1項に記載の加熱ユニット(10)。
【請求項14】
エアロゾル生成物品(1)用の加熱ユニット(10)を製造する方法(300)であって、
a)エアロゾル生成物品(1)のエアロゾル形成基材を加熱炉(20)内に受け入れると加熱するように構成された前記加熱炉(20)の外表面上に膨張材料の層(30)を塗布するステップ(310)と、
b)前記膨張材料の層(30)を少なくとも約200℃の温度に加熱して、前記膨張材料の層(30)の厚さ(31)を少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、最も好ましくは多くとも100倍に増加させるステップ(320)と、
を含む方法。
【請求項15】
エアロゾル生成デバイス(100)の加熱ユニット(10)のための熱絶縁としての膨張材料の層(30)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成デバイス用の加熱ユニットに関する。加熱ユニットは、エアロゾル生成物品を加熱してユーザが吸入するエアロゾルを生成するように構成された加熱炉を含む。特に、本発明は、膨張材料の層によって熱絶縁された、そのような加熱炉に関する。本発明は、さらに、そのような加熱ユニットを製造する方法、そのような加熱ユニット並びにエアロゾル生成デバイス及びシステム用の断熱材としての膨張材料の層の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル生成デバイス、特に、電子ニコチン送達システム(ENDSとして知られる)は、ここ数十年にわたって世界中で普及してきた。これらのデバイスは、紙巻きタバコなどの従来の燃焼式タバコ製品の代替品である。
【0003】
様々なエアロゾル化技術及びエアロゾル生成基材に基づく、異なるタイプのエアロゾル生成デバイスが、現在市場で入手可能である。エアロゾル生成デバイスの特定のサブセットが、「加熱非燃焼式」製品及び/又はシステム(HNB)ともいう、加熱式タバコ製品である。これらのHNBシステムは、通常は固体又は粉末状形態で、タバコ含有基材を加熱することから吸入可能エアロゾルを生成し得る。そのようなHNBシステムは、加熱ユニットを含む電子デバイスが、従来の紙巻きタバコで行われるようにタバコを燃焼させる代わりに、タバコ含有基材を加熱することを必要とする。
【0004】
上述した加熱ユニットには、通常、加熱キャビティ又は加熱炉が設けられ、タバコを含むエアロゾル生成物品(又は消耗品)が挿入され得る。その後、エアロゾルが形成されるまで消耗品のタバコが加熱される。加熱炉は、約250~400℃の高温を発生させ、高温が、ユーザが吸入し得るエアロゾルの急速形成に寄与する。
【0005】
加熱炉は、大きな断熱材が加熱ユニット及び/又はエアロゾル生成デバイスの周囲を加熱から保護すること、及びそのような加熱炉を含むエアロゾル生成デバイスを使用中に保持するときに被害を受けることになるユーザを保護することを必要とする。さらに、加熱炉とその周囲との間の空間が典型的には制限され、それによって、加熱ユニット及びその断熱手段、並びに/又はエアロゾル生成デバイスの製造及び組立てが困難になる。
【0006】
HNBデバイスの加熱炉の従来の実施態様は、これらの課題への取り組みに失敗し、又はこれらの課題への適切な取り組みに少なくとも失敗している。例として、加熱炉を絶縁するために発泡断熱材を正確に固定及び/又は位置決めするためのテープを必要とする発泡断熱材が、従来適用される。そのような従来の実施態様は、通常使用中に加熱炉の絶縁の損失に容易につながり得る。加えて、加熱炉の外表面全体を絶縁することは困難である。よって、熱絶縁を確実に保証することができず、それによって、エアロゾル生成物品の加熱も、より非効率的になる。別の結果として、意図したものではない、加熱ユニットの加熱が発生することがある。さらに、そのような従来の加熱炉の製造及び組立てのプロセスは、空間の制限を受けやすい。これは、加熱炉の周囲のワイヤの正確な位置決め及び取り付けに関していうと、ボトルネックを表すことがよくある。このように、従来の加熱炉の製造及び組立てのプロセスが妨げられ、容易に自動化できない。むしろ、熟練工が必要であり、結果として、プロセスには時間及びコストがかかる。
【0007】
したがって、そのような加熱ユニット及びこれらの加熱ユニットを含むエアロゾル生成デバイスに対して著しい改善が求められている。
【0008】
この背景に対して、本発明の目的は、上述した課題の1つ若しくは複数、又は全てに対処することである。特に、本発明の目的は、エアロゾル生成物品用の加熱炉を有する改善された加熱ユニットを提供することである。結果として得られる加熱炉は、特にその周囲において、熱絶縁が強化される。それに応じて、加熱炉の周囲に対する放熱又は熱損失を防止することが目的である。加えて、従来の加熱ユニットに関連する空間制限を克服することが目的である。したがって、より単純な方法で製造及び組立て可能な加熱ユニットが提供される。さらに、製造及び組立ては、既存の方法よりも容易に自動化され得る。それに応じて、そのような加熱ユニットの製造及び組立ての、改善された、コスト効果が高く、高速なプロセスを促進することも目的である。
【0009】
これらの及び他の目的は、以下の説明から明らかとなり、独立請求項の主題によって解決される。好適な実施形態は、従属請求項の主題である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
一般的態様
本発明の第1の実施形態は、エアロゾル生成物品用の加熱ユニットであって、加熱ユニットが、エアロゾル生成物品のエアロゾル形成基材を加熱炉内に受け入れると加熱するように構成された加熱炉を含み、加熱炉が膨張材料の層によって熱絶縁されている、加熱ユニットを目的とする。
【0011】
加熱ユニットは、ユーザによって保持されるエアロゾル生成デバイス内で使用され得る。したがって、エアロゾル生成デバイスは、ユーザが快適に保持することができる、ポータブル及び/又はハンドヘルド型エアロゾル生成デバイスであってもよい。例えば、エアロゾル生成デバイスは、片手の指の間及び/又は手のひらで保持され得る。
【0012】
加熱ユニットは、消耗品、即ちエアロゾル生成物品が(少なくとも部分的に)加熱炉内に受け入れられつつ、ユーザが吸入するためのエアロゾルを生成するように構成され得る。
【0013】
「エアロゾル生成物品」は、消耗品又は消耗物品とも呼ばれ得る。そのようなエアロゾル生成物品は、エアロゾル形成基材を含んでもよく、エアロゾル形成基材は、加熱されて、エアロゾル及び/又はユーザが吸入可能な蒸気を生成し得る。
【0014】
「エアロゾル形成基材」という用語は、加熱時にエアロゾルを形成し得る揮発性化合物を放出可能な基材を説明するために使用される。消耗品のエアロゾル形成基材から生成されたエアロゾルは、視認できてもできなくてもよく、蒸気、例えば、気体状態の物質の微粒子を含み得る。生成されたエアロゾルは、気体及び凝縮された蒸気の液滴も含み得る。エアロゾル形成基材は、固体、ゲル状、発泡体、又は液体形態で提供され得る。一例では、エアロゾル形成基材は、本明細書で説明される形態の組み合わせとして提供されてもよい。例えば、エアロゾル生成基材は、葉、又は再構成されたキャスト及び/若しくは圧着されたタバコシートなどの何らかの他の固体形態でのタバコを含んでもよい。タバコは、また、微粒子粉末状形態又は泡状若しくはペースト状形態の粉砕タバコであってもよい。
【0015】
本明細書で用いられる「膨張材料」は、反応性材料とも呼ばれ得る。このような材料の挙動は、膨張の原理に基づき得る。この意味では、材料の膨張は、材料が上昇した温度又は高温状態に晒され、即ち熱に晒されると拡大するように理解され得る。高温状態下のそのような拡大は、単に材料の熱膨張係数の結果としてよりも大きくなり得る。例として、ある温度(トリガ温度)に到達すると、膨張材料は拡大、ゆえに著しく膨らみ得る。これは、熱により開始される化学プロセスによって引き起こされ得る。膨張が急速に発生することも可能である。化学反応下では、炭化したものが生成されることがある。よって、膨張材料は、「炭化しながら膨らむ」材料とも呼ばれ得る。したがって、膨張材料は、熱及び/又は高温状態に晒されるときに、断熱発泡体などの断熱材を形成し得る。したがって、膨張材料は、熱絶縁の改善をもたらし得る。膨張材料の別の利点は、膨張材料が、取り扱い及び環境に関して安全な化学プロファイルを提供する(例えば、ハロゲンフリー保護である)ということであり、それはユーザにより高く評価されている。本明細書で用いられる膨張材料は、もはや熱に晒されないときでさえ、実質的に拡大形状又は拡大状態のままである(小さな変動はやはり起こり得る)材料を指してもよい。膨張材料の拡大は、また、材料の厚さ及び/又は体積が増加すること、及び/又は材料の密度が減少することであるように理解され得る。
【0016】
膨張材料は、上述のように膨らみ得る任意の適当な材料を含み得る。このような熱は、通常使用中に加熱炉により引き起こされ得る。例として、膨張材料は、有機化合物を含む。これは、でんぷん又は1つ若しくは複数のペンタエリスリトール(若しくは他の種類のポリアルコール)であってもよい。膨張材料は、また、ポリリン酸アンモニウムなどの酸を含んでもよい。膨張材料は、また、メラミンなどの発泡剤を含んでもよい。任意選択的に、膨張材料は、大豆レシチンなどの結合剤を含み得る。例として、トルエン、メラミン、及び酢酸Nブチルを含む材料(例えば、iris coatings s.r.lによる「char 22」又は「char 22 pittura」)が、膨張材料として使用され得る。
【0017】
このような物質を用いて、加熱時の膨張材料のメカニズムが、以下のように理解され得る。膨張材料の酸性源が、加熱時に炭素源が炭化することを強化し得る。その後、発泡剤から放出され得る気体は、そのような炭化を促進して、材料の厚さ及び/又は体積を増加させ得る。
【0018】
塩素化パラフィンなどの断熱発泡体の形成を強化するための薬品が追加されることも可能であり得る。別の例では、ケイ酸ナトリウムとグラファイトとの混合物が、膨張材料により含まれ得る。そのような例では、材料が高温状態に晒されているときに硬い炭化発泡体が生成され得る。
【0019】
加熱ユニット及び/若しくは加熱炉の使用中、又はそれらの最初の使用前、典型的にはそのような加熱ユニットを含むエアロゾル生成デバイスの製造時に、そのような高温状態が発生し得る。
【0020】
膨張材料の「層」は、被覆、薄膜、包装、又はコーティングと理解され得る。
【0021】
加熱炉は、「熱絶縁」されており、それは、加熱炉の内側よりも加熱ユニット(及び/又は加熱炉)の周囲に向かって伝達される熱がより少ないことを意味する。
【0022】
第1の実施形態の上記構成は、加熱炉の熱絶縁が改善されるという利点を有する。膨張材料の層によって、加熱炉の熱絶縁が、従来の熱絶縁手段と比較して容易にされ、簡略化される。膨張材料は、より確実で予測可能且つ再現性のある方法で、そのような熱絶縁を可能にする。それにより、加熱ユニットの全体的な加熱効率が改善される。これによって、加熱ユニットのライフサイクルの間のコスト及び電力消費が節約される。加えて、そのような構成は、電池持続時間を改善し得る。さらに、加熱ユニットの複雑性は、従来の断熱手段と比較して低減され得る。
【0023】
別の利点は、そのような加熱ユニットの製造が著しく改善され得るということである。加熱炉を熱絶縁するために膨張材料の層を設けることは、容易に自動化可能である。したがって、製造は、高速化可能であり、製造中のエラー又は欠陥が除去され得る。特に、従来の発泡断熱材などの従来の断熱用手段は、発泡断熱材を正確に固定及び/又は位置決めするために追加のテープを必要とする。発明者は、そのような別個の要素(発泡体及び追加のテープ)を管理する負担を不要にする方法を発見した。したがって、膨張材料の層は、熱絶縁のための簡略化された解決策を提供する。特に、従来の材料の異なる熱膨張係数に起因する異なる材料拡大に対処する必要はもはや全くない。したがって、提案された構成は、加熱ユニットの費用対効果の高い高速製造のための道を開く。
【0024】
加えて、加熱ユニットは、その部品の組立て全体の改善をもたらし得る。膨張材料は、高温状態に到達した後で膨らみ、例えばその厚さが増加し得る。これによって、高温状態に到達する前に、組立て用の設置空間が増加する。それにより、加熱炉付近のワイヤ及び/又はケーブルなどの異なる部品の組立てが、強化される。加えて、加熱ユニットの芯材体積(VMC)が減少してもよく(例えば、膨らむことにより、高温状態に到達する前に薄い層を提供することが十分であり得る)、それによって、加熱ユニットの部品のコストが減少する。
【0025】
膨張材料の層の機能/拡大
第2の実施形態によれば、先行する実施形態において、膨張材料の層は、トリガ温度まで一旦加熱されるとトリガされるように構成される。
【0026】
トリガされている膨張材料の層は、膨張材料が活性化されるように理解され得る。このようにして、化学反応が起こることがあり、それが、膨張材料の拡大及びその密度の減少につながる。これにより、軽量加熱ユニットが提供され得る。
【0027】
トリガ温度まで「一旦」加熱することは、トリガ温度に初めて到達したときに膨張材料のトリガが発生するように理解され得る。相当な期間の間に一旦トリガ温度に到達したら、加熱炉温度などの膨張材料及びその周囲のさらなる温度変化に関わりなく、膨張材料の層の体積は、経時的に略一定のままであってもよい。
【0028】
この構成は、トリガすること、例えば活性化が、計画可能で確実な、予測可能且つ再現性のある方法で実行され得るという利点を有する。
【0029】
第3の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、トリガ温度は、少なくとも約200℃である。
【0030】
トリガ温度は、また、塗布される膨張材料に応じて、200℃より高くてもよい。例えば、トリガ温度が少なくとも210℃、220℃、230℃、又はそれ以上であることが可能であり得る。当業者であれば、トリガ温度が、加熱炉上に配置される膨張材料に依存することを理解する。
【0031】
第4の実施形態によれば、第2又は第3の実施形態のいずれか1つにおいて、膨張材料の層がトリガされると、膨張材料の層の熱抵抗が増加する。
【0032】
熱抵抗の増加は、膨張材料の層の厚さを横切る温度を低下させるための、膨張材料の層の能力増大と理解され得る。物理学の観点から、熱抵抗は、第1の点から、第1の点とは別個の且つ第1の点から離れた第2の点へ、材料を通して熱が伝達される困難度の定量化である。実際には、材料の熱抵抗の影響は、第2の点における温度T2が第1の点における温度T1よりも低く、即ちT1>T2であるように、第1の点から第2の点への材料内の熱伝達を減衰させることである。本発明の文脈において、膨張材料の層の熱抵抗は、膨張材料の層をトリガすると厚さが増加することに起因して増加し得る。材料の熱伝導率が、トリガ時の化学反応によって低下することも可能であり得る。これは、追加的に熱絶縁を改善する。
【0033】
第5の実施形態によれば、第2から第4の実施形態のいずれか1つにおいて、膨張材料の層は、トリガされる前に、少なくとも5マイクロメートル(μm)、好ましくは少なくとも10μm、より好ましくは少なくとも20μm、最も好ましくは少なくとも30μmの厚さ、及び/又は多くとも60μm、好ましくは多くとも50μm、より好ましくは多くとも30μm、最も好ましくは多くとも30μmの厚さを有する。
【0034】
上記構成は、比較的薄い厚さの膨張材料の層が、最初に、即ちその製造時に加熱炉に与えられるという利点を有する。そのような薄い厚さの層は、エアロゾル生成デバイス内の加熱ユニットの組立て、及び/又はそのようなエアロゾル生成デバイスのコンパクト性の向上を容易にする。
【0035】
層がトリガされる前に、その厚さは、トリガ後に十分な熱絶縁が見込まれないほど小さすぎるべきではない。発明者は、第5の実施形態に従ってこれらの矛盾した要件の最適なバランスが保証され得ることを発見した。特に、そのような層の厚さは、到達するトリガ時の膨張の進行、及び改善された、例えば上昇した熱絶縁を可能にし、関与するのに十分であると発見された。
【0036】
第6の実施形態によれば、第2から第5の実施形態のいずれか1つにおいて、膨張材料の層がトリガされると、膨張材料の層の厚さは、少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、より一層好ましくは少なくとも60倍、さらにより好ましくは少なくとも80倍、最も好ましくは少なくとも100倍、及び/又は多くとも200倍、好ましくは多くとも180倍、より好ましくは多くとも160倍、より一層好ましくは多くとも140倍、さらにより好ましくは多くとも120倍、最も好ましくは多くとも100倍に増加する。
【0037】
上記実施形態による、膨張材料の層の厚さの増加は、厚さの増加の物理的な防止及び/又は制限が実質的に存在しない条件下で、測定され得る。当業者であれば、物理的妨害、障害、及び/又は障害物がある場合には、厚さの増加がより小さくなることがあり、例えば拡大の程度が制限される場合があることを理解する。これは、別の部品が膨張材料の層に接触している、及び/又は押し付けられている場合であり得る。概して、これは、本発明による場合であるべきではない。
【0038】
例として、100倍の増加は、トリガ前の厚さが0.03mmである場合に、トリガ後の厚さが約3mmであり得ること(3mm/0.03mm=100)を意味する。上述した厚さの増加の倍数は、加熱炉の熱絶縁を著しく改善する。したがって、加熱ユニットの全体的な加熱効率が強化される。十分な熱絶縁(高い倍数が所望される)と、トリガ後の位置決めを容易にするために許容できる拡大(低い倍数が所望される)との間で、最適なバランスが取られるべきである。
【0039】
例として、膨張材料の層が、加熱炉の周囲に配置されることが可能であってもよく、その場合に、加熱炉は略円筒形状を有する。このような場合、膨張材料の層の厚さは、径方向に沿って測定され得る。したがって、膨張材料の層は、トリガ時に第6の実施形態において指定される倍数だけ径方向に拡大し得る。
【0040】
第7の実施形態によれば、先行する実施形態において、膨張材料の層は、膨張材料の温度が25℃~50℃、好ましくは25℃~30℃、最も好ましくは25℃まで低下した後でさえ、増加した厚さを実質的に維持する。
【0041】
増加した厚さを「維持する」ことは、厚さが実質的に変動、変化、変更、又は逸脱しないように、理解され得る。トリガ温度に(初めて)到達すると、通常厚さの増加が発生すると理解されるべきである。典型的には、短い期間が必要であり、膨張材料の層がある厚さの増加に到達するには十分であり得る。例として、短い期間は、約1秒又は複数秒の大きさであってもよい。一例では、短い期間は、炉(例えば、ユーザのためのエアロゾルを提供するために目標とされる温度に到達する炉)の加熱時間と比較可能であり得る。そのようなトリガ又は活性化の後、膨張材料の層が晒される温度は、膨張材料の層の厚さに対して実質的に軽微な影響を有する。
【0042】
好ましくは、そのようなトリガ又は活性化の後、例えば温度が著しく低下した場合に、膨張材料の層の厚さに対する影響が全くない。例えば、加熱ユニットの使用が停止される場合に、膨張材料の層の温度は、略周囲温度、例えば約20℃~25℃まで冷却され得る。これは、層の厚さに対して実質的な効果を全く有しない場合がある。さらに、膨張材料の層の温度を再びトリガ温度又はそれ以上に上昇させることが、その厚さに影響を及ぼさない場合がある。
【0043】
第7の実施形態の構成は、加熱ユニットの製造及び組立てを改善する。膨張材料の層の増加した厚さを維持することによって、加熱ユニット内の空間、面積、及び/又は寸法が、組立て前により正確に決定され得るという利点がもたらされる。そのような空間、面積、及び/又は寸法は、それによってより確実で再現性のある方法で予測され得る。例として、膨張材料の層をトリガした後、且つトリガする前に充填された空間を知ることによって、加熱デバイス内の未使用空間を回避することが可能となる。これは、優れた熱絶縁を保証しつつ、よりコンパクトな加熱ユニットを提供する。
【0044】
膨張材料の層の配置/形状
第8の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、膨張材料の層は、加熱炉の外表面に配置される。
【0045】
加熱炉の外表面は、消耗品が加熱炉内に受け入れられているときに消耗品に面した面の、反対側の面として理解され得る。言い換えると、外表面は、実質的に加熱炉の外側又は周囲の方を向いている。よって、加熱炉の外表面は、加熱ユニット、及びそのような加熱ユニット/加熱炉を含むエアロゾル生成デバイスの他の部分に面している。そのような他の部分は、損傷を受けることがあるため、加熱されるべきではない。それは、加熱ユニットの加熱効率にも悪影響を及ぼす。さらに、加熱ユニットの外側及び/又はそのような加熱ユニットを含むエアロゾル生成デバイスの外側は、加熱されるべきではない。これによってユーザによる通常使用が不快なものとなり、損なわれるためである。
【0046】
加熱炉の外表面に膨張材料の層を配置することは、外表面の少なくとも一部が層によって覆われていることを意味する。これにより、加熱炉は熱絶縁され、それによって、加熱ユニットの残りの部分及び/又は加熱ユニットの外側に熱が伝達されることが実質的に妨げられる。これは、熱効率及びユーザにとっての快適性を促進する。例として、膨張材料の層が加熱炉の外表面に「配置」されることは、層が加熱炉上に塗布され、噴霧され、浸漬され、コーティングされ、又は堆積されるということで理解され得る。好ましくは、それは、加熱炉上に固定される。
【0047】
第9の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、加熱炉の断面はU字形であり、膨張材料の層は、加熱炉の外側面及び外底面に配置される。
【0048】
加熱炉の断面は、例えば、加熱炉の長手方向軸に対して見られ得る。典型的には、長手方向軸は、加熱炉内への消耗品の挿入方向に略平行に配置され得る。膨張材料の層は、加熱炉の外側面及び外底面に配置されて、熱絶縁を改善する。このようにして、実質的に加熱炉の外部全体が、熱絶縁され得る。加熱炉が円筒形状を有する場合、外側面は、シェル面とも呼ばれ得る。さらに、外底面は、円筒の正面と呼ばれ得る。
【0049】
そのような構成の場合、加熱炉の外底面もまた、容易に断熱され得る。典型的には、底面は、加熱ユニットの組立て中にアクセスすることが困難であり、熱絶縁の観点では弱点であり得る。(厚い)発泡断熱材などの従来の断熱手段は、課題である外底面への考慮を欠いている。発明者は、この問題をうまく克服し、対決する方法を発見した。加熱炉の外底面上に膨張材料の層を提供することが、外側面上に膨張材料の層を提供することよりも多くの努力を必要としない場合がある。例えば、外底面上の膨張材料の層の製造ステップは、外側面上のものと同時に実行されてもよい。したがって、加熱ユニットは、簡略化された、且つ費用対効果の高い製造に適している。
【0050】
加えて、膨張材料の層の全体的な厚さが、容易に制御され、同時に決定され得る。これは加熱ユニットの一様な熱絶縁を促進する。しかしながら、加熱炉の外表面の一部に、外表面の他の部分と比較して比較的厚い膨張材料の層を設けることも可能であり得る。一例では、炉の一部、例えば炉の一側面上に膨張材料のさらなる層を配置することが可能であり得る。これは、上記一部(例えば一側面)が周囲の部分(例えば、ケース又は熱的に脆弱な若しくは既に温かい構成要素、したがってより良好な断熱を必要とする)により近いことが有益であり得る。これは、加熱炉の局所的な熱偏差に従って熱絶縁の制御及び事前定義を強化する。これは、加熱炉の外表面の一部が加熱ユニットの通常使用中に他の部分よりも高温になる場合に重要であり得る。
【0051】
さらなる層
第10の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、好ましくはエポキシ又はシリコーンを含むプライマー層が、加熱炉の外表面と膨張材料の層との間に配置される。
【0052】
プライマー層は、膨張材料の層と少なくとも一部相互作用し得る層として理解され得る。プライマー層は、膨張材料の層の加熱炉への粘着力を改善することに役立つ。プライマー層は、膨張材料の層と化学反応して、粘着力をさらに改善することが可能であり得る。加えて、加熱炉の外表面が、例えば、サンドブラスト、クリーニング、レーザスクラッチ、又はプラズマ表面処理によって処理されることが可能である。これは、膨張材料の層の加熱炉への粘着力をさらに強化し得る。例として、プライマー層は、加熱炉上に塗布、噴霧、浸漬、塗装、又は付着させるように理解され得る。好ましくは、それは、加熱炉上に固定される。
【0053】
プライマー層が第10の実施形態で説明されるように配置される場合、膨張材料の層は、加熱炉の外表面上に直接接触しない場合がある。むしろ、膨張材料の層は、プライマー層に直接接触してもよい。上記に関わらず、膨張材料の層は、加熱炉の外表面「に」配置される。これは、膨張材料の層が、表面に近接して配置され、例えば加熱炉の外側面及び外底面において加熱炉を熱絶縁するためである。
【0054】
第11の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、上層が、膨張材料の層の上面に配置される。
【0055】
上層は、加熱炉の外部及び/又は周囲に露出している層として理解され得る。したがって、それは、消耗品が受け入れられ得る加熱炉の内側に位置しない。上層は、加熱炉の最も外側の層と呼ばれ得る。例として、上層は、膨張材料の層上に塗布、噴霧、浸漬、塗装、又は付着され得る。好ましくは、それは、膨張材料の層に固定される。
【0056】
上層は、膨張材料の層を保護することに役立ち得る。例えば、加熱ユニットは、湿気、埃、及び/又は汚れなどの環境の影響に晒され、又は環境の影響を受け得る。これは、加熱ユニットが、より長い期間使用されていない場合であってもよい。例として、空気中の湿気の凝縮が起こることがあり、その結果、水滴が形成される。そのような液滴は、膨張材料の層の作用に悪影響を及ぼし得る。これは、トリガ前に当てはまり得るが、トリガ後にも当てはまる。したがって、上層は、膨張材料の層のいかなる劣化にも有益に対抗し得る。
【0057】

第12の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、加熱ユニットは、加熱炉及び膨張材料の層を収容する管をさらに含む。
【0058】
管は、実質的に中空の細長い部品である。管は、加熱炉及び膨張材料の層を収容、例えば、包含又は封入する。当業者であれば、プライマー層及び/又は上層が適用される場合に、これらの層も収容し得ることを理解する。管は、容器及び/又は赤外線の反射器として機能し得る。したがって、管に到達する熱は、実質的に反射され得る。これは、その内側と比較して、特に加熱炉と比較して、加熱ユニットの外側をより冷たく保つことに役立つ。さらに、これによって熱効率が改善される。管は、加熱ユニットの残りの部分を一緒に保持する目的に役立ち得る。典型的には、管は、加熱されるべきではない。これは、膨張材料の層によって達成され得る。
【0059】
例として、管は、略円筒形状であってもよい。これによって、加熱ユニットの組立てが容易になる。例えば、加熱炉は、管の中に少なくとも一部容易に置かれてもよい。加熱炉が管の形状に合致するように整形される場合、組立ては、さらに先進的でさえある。例えば、加熱炉は、略円筒形状でもあり得る。
【0060】
第13の実施形態によれば、先行する実施形態において、間隙が、加熱炉の外表面と管との間に設けられる。
【0061】
間隙は、実質的な空白として理解され得る。これは、加熱炉を他の部分に接続することが容易になり得るため、加熱ユニットの組立てを改善する。例として、ワイヤ及び/又はケーブルを適当に配置するためにより多くの空間が得られるため、電源への電気接続が強化される。このような手法は、自動化にも適する場合があり、自動化によって製造コストが減少する。加えて、そのような間隙は、製造中のエラーを除去する。全体として、より信頼性の高い加熱ユニットが提供され得る。
【0062】
間隙は、加熱炉の外表面と管との間で測定され得る。したがって、プライマー層の厚さ、膨張材料の層の厚さ、及び上層の厚さは、そのような間隙を測定する際に重要でない場合がある。
【0063】
第14の実施形態によれば、先行する実施形態において、間隙は、少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1.0mm、より好ましくは少なくとも1.5mm、より一層好ましくは少なくとも2.0mm、最も好ましくは少なくとも3.0mm、及び/又は多くとも5mm、好ましくは多くとも4.5mm、より好ましくは多くとも4.0mm、より一層好ましくは多くとも3.5mm、最も好ましくは多くとも3.0mmである。
【0064】
間隙のサイズは、所望する設置空間、加熱される消耗品のサイズ、トリガされた膨張材料の層の厚さの想定される増加、及び/又は想定される熱絶縁(対立する目標であり得る)に依存し得る。間隙は、大きすぎるべきではなく、そうでなければトリガ後に残された空白が存在することがあり、それは、あまりコンパクトではない加熱ユニットにつながる。間隙は、小さすぎるべきではなく、十分な設置空間を可能にする。したがって、最適なバランスを取るべきである。
【0065】
例として、管及び加熱炉が略円筒形状を有する場合、間隙は、径方向に測定され得る。さらに、間隙は、円周方向に沿って一定であり得る。その他の場合、管が円周方向に沿って一定でなくてもよく、例えば、間隙は、円周方向に対称的でなくてもよく、又は実質的に非対称でなくてもよい。
【0066】
第15の実施形態によれば、第2の実施形態及び第13又は第14の実施形態のいずれか1つにおいて、膨張材料の層がトリガされる前に、間隙は、多くとも10%、好ましくは多くとも6%、より好ましくは多くとも4%、より一層好ましくは多くとも2%、最も好ましくは多くとも1%、及び/又は少なくとも0.1%、好ましくは少なくとも0.2%、より好ましくは少なくとも0.4%、より一層好ましくは少なくとも0.6%、最も好ましくは少なくとも1%を膨張材料の層で充填される。
【0067】
間隙は、ある量だけ膨張材料の層で充填され、それは、その層がある量だけ間隙の一部を占有することを意味する。トリガ前は、そのような占有された空間は小さくてもよい。これによって、組立てが改善される。占有された空間は、上述した対立する目標の1つ又は複数、例えば、(トリガ温度到達時の)トリガされた膨張材料の層の想定される厚さの増加に依存し得る。これらの対立する目標を考慮するための最適なバランスが見つけられる。
【0068】
好ましくは、間隙の充填は、円周方向に沿って一定である。しかしながら、間隙が円周方向に沿って一定に充填されないことも可能である。
【0069】
第16の実施形態によれば、第2の実施形態及び第13~第15の実施形態のいずれか1つにおいて、膨張材料の層がトリガされた後、間隙は、少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも96%を膨張材料の層で充填される。
【0070】
トリガすると、膨張材料の層の厚さが増加した。それにより、間隙は、大部分が充填される。これは、加熱ユニットのコンパクトな設計を可能にする。加えて、トリガ前の設置空間は、トリガ後に有益に減少し、又は完全に占有される。組立て後、加熱炉の外表面へのアクセスが必要ない場合があるため、これは有益である。その代わりに、熱絶縁が重要になり、これは増加した厚さによっても保証される。間隙のそのような充填は、また、加熱ユニットの構造的完全性を増大させる。このようにして、加熱ユニットに外力が作用する場合、例えば加熱ユニットを有するデバイスが床に落ちたときに、構造的な利点がもたらされる。
【0071】
間隙は、略100%まで充填されてもよい。間隙が充填される程度は、プライマー層及び上層の存在、並びにそれらのそれぞれの厚さに依存し得る。典型的には、それらの厚さは小さくてもよい。間隙が充填される程度は、間隙内に位置し得る他の部品にも依存し得る。例えば、1つ又は複数のケーブル及び/又はワイヤが、電源への電気接続を提供するために間隙内に位置し得る。ケーブル及び/又はワイヤが、トリガすることによって管に向かって径方向にシフトされる場合があり得る。それらが加熱炉から離れるようにシフトされるため、これによって、これらの部品の耐久性、寿命、耐用年数が強化され得る。
【0072】
製造方法
本発明の第17の実施形態は、エアロゾル生成物品用の加熱ユニットを製造する方法であって、方法が、
a)エアロゾル生成物品のエアロゾル形成基材を加熱炉に受け入れると加熱するように構成された加熱炉の外表面上に膨張材料の層を塗布するステップと、
b)膨張材料の層を少なくとも約200℃の温度に加熱して、膨張材料の層の厚さを少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、最も好ましくは多くとも100倍に増加させるステップと、を含む、方法を目的とする。
【0073】
第1~第16の実施形態のいずれか1つに係る加熱ユニットに関する上記で述べた特徴及び利点は、エアロゾル生成物品用のそのような加熱ユニットを製造する方法に相互に当てはまる。したがって、加熱ユニットに関して説明した特徴は、方法を説明するためにも使用され得ることを理解されたい。同様に、当業者であれば、製造の方法に関して説明した特徴及び利点が加熱ユニットにも適用可能であることを認識する。
【0074】
方法のステップa)は、加熱炉が、エアロゾル生成物品のエアロゾル形成基材を加熱炉内に受け入れると加熱して、エアロゾル生成物品が加熱炉内に受け入れられている間、ユーザが吸入するためのエアロゾルを生成するように構成されることを含み得る。例として、加熱ユニットは、ユーザによって保持されるエアロゾル生成デバイス内で使用され得る。
【0075】
方法のステップb)は、膨張材料の層の厚さが、少なくとも40倍、好ましくは少なくとも60倍、より一層好ましくは少なくとも80倍、最も好ましくは少なくとも100倍、及び/又は多くとも200倍、好ましくは多くとも180倍、より好ましくは多くとも160倍、より一層好ましくは多くとも140倍、さらにより好ましくは多くとも120倍に増加することを含み得る。
【0076】
方法のステップb)は、加熱ユニット及び/又は加熱炉の通常使用中、例えば、初回使用の間に発生し得ることを理解され得る。しかしながら、ユーザによる通常使用の前にそのような高温状態を提供することも可能であり得る。この場合、高温状態は、加熱ユニットを含むエアロゾル生成デバイスなどの最終製品がユーザに引き渡される前に適用され得る。
【0077】
第18の実施形態によれば、先行する実施形態の方法において、ステップa)は、膨張材料を含む溶液内に加熱炉を浸漬すること及び/若しくはスピンさせること、又は加熱炉上に膨張材料を含む溶液を噴霧することを含む。
【0078】
そのような加熱炉上への膨張材料の塗布によって、製造方法の費用対効果はより高くなる。これは、特に、実施するのに扱いにくい従来の断熱手段、例えば、適切な固定及び/又は位置決めのための追加テープを有する従来の発泡断熱材と比較した場合であり得る。ステップa)は、加熱炉上に膨張材料を塗布すること、塗装すること、ブラッシングすること、テーピングすること、又は付着させることを含むことも可能であり得る。好ましくは、浸漬すること及びスピンさせることが行われる。したがって、厚さの適切な固定及び制御が実現され得る。
【0079】
加熱炉上への膨張材料の塗布は、単一の急速製造ステップで実行され得る。そのような単一ステップは、容易に自動化可能であり、それによって、大量生産の観点から有利になる。
【0080】
膨張材料の断熱材としての使用
本発明の第19の実施形態は、エアロゾル生成デバイスの加熱ユニット用の断熱材として膨張材料の層の使用を目的とする。
【0081】
膨張材料は、重工業部門において重要な構成要素の安全性を増大させて、建物の構造用鋼を保護するなどのために、防火の技術分野において使用されている。このような用途は、外部火災の場合に鋼鉄の完全性を増大させることに成功していることを証明した。
【0082】
先駆的な方法で、発明者は、そのような技術をエアロゾル生成デバイスの分野において可能にする方法を発見した。
【0083】
エアロゾル生成デバイス及びシステム
本発明の第20の実施形態は、エアロゾル生成デバイスであって、第1~第16の実施形態のいずれか1つに係る加熱ユニットと、ユーザが吸入するエアロゾルを生成するための加熱ユニットに電流を提供するように構成された電源と、を含む、エアロゾル生成デバイスを目的とする。有利なことに、加熱ユニットは、例えば、加熱炉の壁に接触して配置されて、伝導によってそこに熱を伝達する加熱要素を含む、抵抗加熱タイプのものであってもよい。加熱ユニットは、また、例えば、加熱炉の周囲の円周方向に配置された少なくとも1つの誘導コイルを含み、上記加熱炉の壁に接触するか若しくは壁によって形成されるサセプタ要素、又は加熱炉に挿入される消耗物品に配置されたサセプタ要素を誘導加熱するように構成される、誘導タイプのものであってもよい。加熱ユニットは、また、消耗品受けキャビティとしての加熱炉、マイクロ波放射源、特に固体トランジスタベースのマイクロ波源、及び加熱炉内に挿入される消耗物品とマイクロ波源から生成されるマイクロ波フィールドとの間でインピーダンス整合を達成するためのインピーダンス整合ユニットを含む、マイクロ波加熱ユニットであってもよい。
【0084】
電源は、任意の適当な電源、例えばリン酸鉄リチウムバッテリといったバッテリなどの、例えばDC電圧源であってもよい。代替として、電源は、ニッケルカドミウムバッテリ、ニッケル水素バッテリ、又はリチウムベースのバッテリ、例えばリチウムコバルトバッテリ、リン酸鉄リチウムバッテリ、チタン酸リチウムバッテリ、又はリチウムポリマーバッテリであってもよい。電源は、エアロゾル生成デバイスの一部の中に位置してもよく、又はそれは、コンデンサなどの電荷蓄積デバイスの別の形態であってもよい。電源は、再充電することを可能にしてもよく、エアロゾル生成デバイスの1つ又は複数の、好ましくは多数の通常使用サイクルの間に十分なエネルギーを蓄積することを可能にするコンデンサを有し得る。
【0085】
本発明の第21の実施形態は、第20の実施形態に係るエアロゾル生成デバイス及びエアロゾル形成基材を含むエアロゾル生成物品を含む、エアロゾル生成システムを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0086】
以下では、好適な実施形態について単なる実施例として説明する。以下の添付図面に対して参照が行われる。
【0087】
図1】膨張材料の層をトリガする前の、本発明の第1の実施形態に係るエアロゾル生成物品用の加熱ユニットの側面断面図を示す。
図2】膨張材料の層をトリガした後の、本発明の第1の実施形態に係るエアロゾル生成物品用の加熱ユニットの側面断面図を示す。
図3】本発明の第2の実施形態に係る加熱炉及び加熱ユニットの層の一部の側面断面図を示す。
図4】膨張材料の層をトリガする前の、本発明の第3の実施形態に係るエアロゾル生成物品用の加熱ユニットの側面断面図を示す。
図5】膨張材料の層をトリガした後の、本発明の第3の実施形態に係るエアロゾル生成物品用の加熱ユニットの側面断面図を示す。
図6】本発明の実施形態に係るエアロゾル生成物品用の加熱ユニットを製造する方法のフローチャートである。
図7】本発明の実施形態に係るエアロゾル生成デバイス及びエアロゾル生成システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0088】
以下では、本発明は、添付図面を参照してより詳細に説明される。しかしながら、本発明は、以下で明示的に開示されていない他の実施形態においても使用され得る。以下で詳述されるように、実施形態は互いに互換性があり、一実施形態の個々の特徴は、別の実施形態にも適用され得る。
【0089】
以下の図面及び明細書全体を通して、特に明記しない限り、同一の参照番号は同一の要素を参照する。図面は、縮尺通りに描かれていなくてもよく、図面中の相対サイズ、比率、及び要素の描写は、明確化、例示、及び便宜上の目的で誇張され得る。図面は、特許請求の範囲を限定するものではなく、単に本発明の理解を支援するものである。
【0090】
図1は、エアロゾル生成物品1用の加熱ユニット10を示し、加熱ユニット10は加熱炉20を含み、加熱炉20は、エアロゾル生成物品1が加熱炉20内に受け入れられるとエアロゾル生成物品1のエアロゾル形成基材を加熱するように構成される。加熱炉20は、典型的には、アルミニウム又はステンレス鋼などの金属材料の略管状カップによって形成される。加熱炉20は、膨張材料の層30によって熱絶縁される。この図に示されているが、エアロゾル生成物品1は、概して加熱ユニット10の一部ではない。したがって、加熱ユニット10は、エアロゾル生成物品1とは別個の個別部品として提供され得る。
【0091】
膨張材料は、反応性材料である。膨張の原理に基づいて、材料は、上昇した温度又は高温状態(トリガ温度)に晒されると拡大する。典型的には、そのような拡大は、少なくとも約200℃の高温状態で発生する。材料拡大が、その熱膨張係数に起因する単なる材料拡大よりも大きくなると認識され得る。これは、加熱ユニットを検査及び/又は調査すると、例えばトリガ温度を含む異なる温度において膨張材料の層30を比較すると、識別可能であり得る。膨張材料は、でんぷんなどの炭素源又は1つ若しくは複数のペンタエリスリトール(若しくは他の種類のポリアルコール)、ポリリン酸アンモニウムなどの酸性源、及びメラミンなどの発泡剤を含み得る。そのような物質は、トリガされると膨張材料の層30の厚さが増加する結果をもたらし得る。トリガすると、膨張材料の層30の酸性源は、炭素源の炭化を強化し得る。次いで、発泡剤から放出された気体が、そのような炭化を増大させて膨張材料の層30の厚さ及び/又は体積を増加させ得る。有益なことに、これによって膨張材料の密度が減少する。
【0092】
膨張材料の層30は、加熱炉20の外表面21に配置され、外表面21は、エアロゾル生成物品1が加熱炉20内に受け入れられる場合に、エアロゾル生成物品1に面する面の反対側の面である。このようにして、外表面21は、実質的に加熱炉20の外側又は周囲の方を向いている。したがって、加熱炉20の外表面21は、加熱ユニット10の他の部分、例えば加熱すべきでない他の部分に面し得る。トリガすると、膨張材料の層30は、加熱炉20の周囲に改善された熱絶縁をもたらし得る。これにはいくつかの利点を伴う。例えば、これによって、エアロゾル生成物品1の加熱がより効率的になり、電力消費が減少し、それによりバッテリ持続時間が増加する。さらに、加熱ユニット10の周囲及び外側が、意図せず高温になることが防止される。ユーザがこれらの部分に接触することがあるため、これは望ましくない場合がある。
【0093】
この図面の実施形態では、加熱炉20には、浸漬すること及びスピンさせることによって膨張材料の層30が与えられ得る。それにより、膨張材料の層30の厚さ31(この図面には示されない)は、簡略化した方法で制御され得る。このような処理は、また、容易に自動化可能であり、自動化によって、製造時間及びコストが減少する。膨張材料の層30は、トリガされる前に少なくとも約5μm(0.005mm)から多くとも約60μm(0.06mm)の厚さを有する。好ましくは、厚さは約30μmである。これは、比較的薄い厚さの膨張材料の層が設けられるという利点を有し、それによって材料コストの節約になる。この薄い厚さに起因する別の恩恵は、それが加熱ユニット10の組立てを支援することである。例えば、ワイヤ及び/又はケーブルの配置及び位置決めは、設置空間の増加に起因して著しく簡略化され得る。
【0094】
この図面の実施形態は、U字形断面を有する加熱炉20を有し得る。加熱炉20の断面は、加熱炉20の長手方向軸に沿った断面としてこの図面に示されている。そのような長手方向軸(破線Lとしてこの図面に示される)は、エアロゾル生成物品1の加熱炉20内への挿入方向に略平行に配置される。
【0095】
膨張材料の層30は、加熱炉20の外側面21及び外底面22に配置される。加熱炉20の外側面21及び外底面22は、加熱炉20の(全体)外表面21と呼ばれ得る。このような構成によって、特に加熱炉20の全体外表面21及び外部の周囲の、熱絶縁が改善され得る。この図面に示される通り、加熱炉20は、円筒形状を有し得る。したがって、外側面21は、円筒のシェル面と呼ばれてもよく、外底面22は、円筒の正面と呼ばれてもよい。多数の異なる形状の加熱炉20も可能であり、本発明に照らして想定される。特に、加熱炉は、長手方向Lに垂直に非円形横断断面を示し得る。それは、特に弓形部分によって接合された少なくとも2つの平坦面を含んでもよく、平坦面は、加熱炉20に挿入されるときにエアロゾル生成消耗品1への熱伝達を改善するための圧縮面を提供する。
【0096】
図2は、膨張材料の層30をトリガした後の、本発明の第1の実施形態に係るエアロゾル生成物品1用の加熱ユニット10の側面断面図を示す。この実施形態は、前の図面に示された実施形態に対応する。図示した例によって、膨張材料の層30の厚さ31が、前の図面(太く黒い直線又は太く黒いU字形によって示される)と比較して増加することが分かり得る。このような厚さ31の増加は、トリガする前の厚さ31と比較して少なくとも10倍から多くとも200倍の範囲にあってもよい。例として、トリガする前の厚さ31は、約30μm(0.03mm)であってもよく、トリガした後の厚さ31は、約3mmであってもよい。したがって、厚さ31は、100倍に増加している。
【0097】
増加した厚さ31の膨張材料の層30が外底面22に与えられることも特に理解されたい。このような外底面22は、典型的には、断熱のための従来の手段を用いてアクセスし、熱絶縁することは困難である。したがって、図示された実施形態は、全体的な熱絶縁を著しく改善する。
【0098】
膨張材料の層30がトリガされると、その後で膨張材料の層30の厚さ31に対して実質的に変化がないと理解されたい。したがって、厚さ31は、維持されるか又は同一のままにされる。これは、膨張材料の温度がその後で変化する場合でさえ、そうであってもよい。しかしながら、場合によっては、厚さ31はその後でわずかに変化することがあってもよく、それは、材料の熱膨張係数に起因し得る。しかしながら、そのような拡大は小さい場合がある。
【0099】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る加熱炉20及び加熱ユニット10の層30、40、50(この図面には完全には示されない)の一部の側面断面図を示す。この第2の実施形態は、前の実施形態と互換性があり、単に層30、40、50の構成を示している。前の図面と比較して、この図面は、約90°回転された加熱炉20の一部を示す。
【0100】
プライマー層40は、加熱炉20の外表面21と膨張材料の層30との間に配置される。プライマー層40は、エポキシ又はシリコーンを含み、膨張材料の層30と(化学的)相互作用して、加熱炉20上の膨張材料の層30の粘着力を改善し得る。プライマー層40は、膨張材料の層30に関して説明されるのと類似のプロセスを用いて塗布され得る。
【0101】
さらに、上層50が、膨張材料の層30の上部に配置される。上層50は、加熱炉20の外部及び/又は周囲に露出され、即ちそれは、加熱炉20の内側部分から離れる方を向いている。これを説明するためにこの図面に破線が描かれており、この破線は、加熱炉20の中心軸を表し得る。上層50は、膨張材料の層30に関して説明されるのと類似のプロセスを用いて塗布され得る。上層50は、環境影響から膨張材料の層30を保護する目的に役立つ。そのような保護は、膨張材料の層30をトリガする前及びトリガした後で相互に適用し、相互に評価されている。特に、上層50は、膨張材料の層30のいかなる劣化にも有益に対抗し得る。これによって、加熱ユニット10の寿命及び完全性が改善される。
【0102】
この図面には、3つの層全て、即ち、プライマー層40、膨張材料の層30、及び上層50が示されているが、3つの層全てが必要とされるわけではないと理解されたい。むしろ、膨張材料の層30が存在すること、例えば、加熱炉20の外側面21上に配置されることで十分である。しかしながら、プライマー層40及び上層50の追加配置は、膨張材料の層30の有利な影響及びトリガ時のその熱絶縁の最大潜在力に到達することに役立ち得る。
【0103】
図4は、膨張材料の層30をトリガする前の、本発明の第3の実施形態に係るエアロゾル生成物品1用の加熱ユニット10の側面断面図を示す。この実施形態は、図1に示される実施形態に対応する。
【0104】
上述した例に加えて、この図面の加熱ユニット10は、管60を含み、管60は、加熱炉20及び膨張材料の層30を収容する。管60は、加熱炉20及び膨張材料の層30を封入するための略中空の細長部品である。それは、プライマー層40及び/又は上層50が(前の図面に示される通り)加熱炉20上に配置される場合にこれらの層も収容すると理解されたい。管60は、容器及び/又は赤外線の反射器として機能する。したがって、管60に到達する熱は、加熱ユニット10の外側を、その内側、特に加熱炉20よりも冷たく保つように反射され得る。これは、追加的に熱効率を改善し、ユーザの利便性を向上させる。
【0105】
例として、間隙61は、加熱炉20の外表面21と管60との間に設けられ得る。加熱炉を他の部分に接続することが容易にされ得るため、且つ設置用の空間が作られるため、そのような間隙61は、加熱ユニット10を組立てることに役立つ。間隙61は、少なくとも0.5mmであり、多くとも5mmであってもよい。好ましくは、間隙は約3.0mmである。この図面では、間隙61は、円周方向に沿って一定であり得る。しかしながら、間隙61は、円周方向に沿って(その幅が)変化してもよい。膨張材料の層30がトリガされる前に、間隙61は、多くとも10%及び/又は少なくとも0.1%を膨張材料の層30で充填され、好ましくは、約1%が充填される。これは、エラーが起こりにくいため、組立てを著しく改善する。
【0106】
図5は、膨張材料の層30をトリガした後の、本発明の第3の実施形態に係るエアロゾル生成物品1用の加熱ユニット10の側面断面図を示す。この実施形態は、前の図面に示された実施形態に対応する。
【0107】
図1と比較された図2と同様に、この図面もまた、膨張材料の層30の厚さ31が前の図面と比較して増加することを示している。そのような厚さ31の増加は、前述したものと類似の大きさであってもよい。
【0108】
膨張材料の層30がトリガされた後、間隙61は、少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも96%を膨張材料の層30で充填される。この図面の概略的な性質に起因して、充填の正確な量を視覚的に示すことはできないが、少なくとも60%であるはずである。このような充填は、加熱ユニット10のコンパクトな設計を容易にし、トリガ前に存在し、且つトリガ後にはもはや必要でない場合がある(組立てが既に実行されているため)、設置空間を減少させる。加えて、熱絶縁は、膨張材料の層30の厚さ31の増加に起因して増大する。
【0109】
図6は、本発明の実施形態に係るエアロゾル生成物品用の加熱ユニットを製造する方法300のフローチャートを示す。
【0110】
方法300は、a)エアロゾル生成物品のエアロゾル形成基材を加熱炉内に受け入れると加熱するように構成された加熱炉の外表面上に膨張材料の層を塗布するステップ(310)と、
b)膨張材料の層を少なくとも約200℃の温度まで加熱して、少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、多くとも好ましくは多くとも100倍に膨張材料の層の厚さを増加させるステップ(320)と、を含む。
【0111】
図7は、本発明の実施形態によるエアロゾル生成デバイス100及びエアロゾル生成システム200を示す。システム200は、エアロゾル生成デバイス100及びエアロゾル形成基材を含むエアロゾル生成物品1を含む。
【0112】
エアロゾル生成デバイス100は、前述した実施形態のいずれか1つに係る加熱ユニット10を含む。さらに、エアロゾル生成デバイス100は、ユーザが吸入するエアロゾルを生成するために、加熱ユニット10、好ましくは加熱炉20に電流を提供するように構成された電源101を含む。電源101は、任意の適当な電源101、例えばDC電圧源であってもよい。
【0113】
上述した実施形態の全てにおいて、加熱ユニット10は、ポータブル又はハンドヘルド型加熱ユニット10である。同じことが、エアロゾル生成デバイス100、エアロゾル生成システム200、及びエアロゾル生成物品1に当てはまる。これらの部品は、ユーザが指の間、例えば片手の指の間に快適に保持することができると理解されたい。
【0114】
保護の範囲は、特許請求の範囲によって決定され、上記図面に開示された実施形態によって限定されない。
【符号の説明】
【0115】
1 エアロゾル生成物品
10 加熱ユニット
20 加熱炉
21 加熱炉の外表面
22 加熱炉の外底面
30 膨張材料の層
31 膨張材料の層の厚さ
40 プライマー層
50 上層
60 管
61 間隙
100 エアロゾル生成デバイス
101 電源
200 エアロゾル生成システム
300 方法
310 方法のステップ:塗布すること
320 方法のステップ:加熱すること
L 加熱炉の長手方向軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】