(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147296
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ブラケット
(51)【国際特許分類】
H02G 11/00 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
H02G11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060218
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】三樹 秀徳
【テーマコード(参考)】
5G371
【Fターム(参考)】
5G371AA01
5G371BA07
(57)【要約】
【課題】ワイヤハーネスの引っ掛かりを抑制可能としたブラケットを提供する。
【解決手段】ブラケット13は、可動部材Mの移動に伴い変位するワイヤハーネス11の周辺に配置された周辺部品12に設けられる。ブラケット13は、ワイヤハーネス11が変位可能な領域において周辺部品12が有する凹部25へのワイヤハーネス11の入り込みを回避するように、ワイヤハーネス11を支持する支持部31を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部材の移動に伴い変位するワイヤハーネスの周辺に配置された周辺部品に設けられるブラケットであって、
前記ワイヤハーネスが変位可能な領域において前記周辺部品が有する凹部への前記ワイヤハーネスの入り込みを回避するように、前記ワイヤハーネスを支持する支持部を備える、
ブラケット。
【請求項2】
前記周辺部品に固定され、前記支持部を支持するベース部を備える、
請求項1に記載のブラケット。
【請求項3】
前記ベース部は、前記凹部の内面に固定される固定部と、前記固定部と前記支持部とを繋ぐ連結部と、を備える、
請求項2に記載のブラケット。
【請求項4】
前記連結部は、板状をなしている、
請求項3に記載のブラケット。
【請求項5】
前記支持部は、前記連結部の一対の主面のそれぞれから延出する一対の延出部を含んで構成されている、
請求項4に記載のブラケット。
【請求項6】
前記固定部は、前記連結部の一対の主面のそれぞれから延出するように一対設けられている、
請求項4に記載のブラケット。
【請求項7】
前記支持部は、前記凹部の仮想的な表面に沿った形状をなす支持面を有している、
請求項1に記載のブラケット。
【請求項8】
前記支持面は、前記仮想的な表面に沿って前記凹部の一端から他端まで延びている、
請求項7に記載のブラケット。
【請求項9】
前記支持面は、前記支持面の延在方向における長さが当該延在方向に直交する幅方向における長さよりも大きい形状をなしている、
請求項8に記載のブラケット。
【請求項10】
前記周辺部品は、第1部品と第2部品とを含んで構成され、
前記凹部は、前記第1部品と前記第2部品とで前記ワイヤハーネスを挟み込みうる挟み込み部を有している、
請求項1に記載のブラケット。
【請求項11】
前記支持部および前記挟み込み部の各々は、前記凹部の深さ方向から見て線状をなし、
前記ブラケットが前記周辺部品に取り付けられた状態において、前記支持部は、前記凹部の深さ方向から見て前記挟み込み部と交差する、
請求項10に記載のブラケット。
【請求項12】
前記支持部は、前記凹部の深さ方向から見て直線状をなしている、
請求項11に記載のブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブラケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両のシート等の可動部材から延出するワイヤハーネスが記載されている。ワイヤハーネスは、例えば、可動部材に搭載された電気機器に接続されている。ワイヤハーネスは、可動部材の移動に伴って変位する。例えば、可動部材が車両のシートの場合、シートの前後移動に伴い、シートから延びているワイヤハーネスも変位する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなワイヤハーネスにおいて、ワイヤハーネスの周辺部品に凹部が存在する場合がある。この場合、可動部材の移動に伴ってワイヤハーネスが移動したときに、ワイヤハーネスが周辺部品の凹部に入り込むことで当該凹部に引っ掛かるおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、ワイヤハーネスの引っ掛かりを抑制可能としたブラケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のブラケットは、可動部材の移動に伴い変位するワイヤハーネスの周辺に配置された周辺部品に設けられるブラケットであって、前記ワイヤハーネスが変位可能な領域において前記周辺部品が有する凹部への前記ワイヤハーネスの入り込みを回避するように、前記ワイヤハーネスを支持する支持部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示のブラケットによれば、ワイヤハーネスの引っ掛かりを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態におけるワイヤハーネスの支持構造を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、同形態におけるブラケットの斜視図である。
【
図3】
図3は、同形態におけるブラケットの側面図である。
【
図5】
図5は、同形態におけるワイヤハーネスの支持構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のブラケットは、
[1]可動部材の移動に伴い変位するワイヤハーネスの周辺に配置された周辺部品に設けられるブラケットであって、前記ワイヤハーネスが変位可能な領域において前記周辺部品が有する凹部への前記ワイヤハーネスの入り込みを回避するように、前記ワイヤハーネスを支持する支持部を備える。
【0010】
この構成によれば、ワイヤハーネスが周辺部品の凹部に入り込むことを、ブラケットの支持部によって回避可能となる。したがって、周辺部品の凹部に対するワイヤハーネスの引っ掛かりを抑制することが可能となる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記ブラケットは、前記周辺部品に固定され、前記支持部を支持するベース部を備えていてもよい。
この構成によれば、周辺部品に固定されたベース部によって支持部を支持することが可能となる。
【0012】
[3]上記[2]において、前記ベース部は、前記凹部の内面に固定される固定部と、前記固定部と前記支持部とを繋ぐ連結部と、を備えていてもよい。
この構成によれば、固定部によって周辺部品の凹部内にブラケットを取り付けることが可能となる。
【0013】
[4]上記[3]において、前記連結部は、板状をなしていてもよい。
この構成によれば、ブラケットの薄型化および軽量化を図ることが可能となる。
[5]上記[4]において、前記支持部は、前記連結部の一対の主面のそれぞれから延出する一対の延出部を含んで構成されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、ブラケットの連結部を板状としつつも、一対の延出部によってブラケットの剛性を向上させることが可能となる。
[6]上記[4]または[5]において、前記固定部は、前記連結部の一対の主面のそれぞれから延出するように一対設けられていてもよい。
【0015】
この構成によれば、固定部が一対設けられることで、ブラケットを周辺部品に強固に固定することが可能となる。また、ブラケットの連結部を板状としつつも、一対の固定部によってブラケットの剛性を向上させることが可能となる。
【0016】
[7]上記[1]から[6]のいずれかにおいて、前記支持部は、前記凹部の仮想的な表面に沿った形状をなす支持面を有していてもよい。
この構成によれば、ブラケットが周辺部品に取り付けられた状態において、支持面が凹部から突出する、または、支持面が凹部内に入り込むことが抑制される。このため、ワイヤハーネスの引っ掛かりをブラケットの支持面によってより好適に抑制することが可能となる。
【0017】
[8]上記[7]において、前記支持面は、前記仮想的な表面に沿って前記凹部の一端から他端まで延びていてもよい。
この構成によれば、ワイヤハーネスの引っ掛かりをブラケットの支持面によってより好適に抑制することが可能となる。
【0018】
[9]上記[8]において、前記支持面は、前記支持面の延在方向における長さが当該延在方向に直交する幅方向における長さよりも大きい形状をなしていてもよい。
この構成によれば、支持面を細長い形状とすることが可能となるため、ワイヤハーネスに対する支持面の接触面積を小さく構成することが可能となる。したがって、ワイヤハーネスと支持面との間の摩擦を抑えることが可能となるため、支持面上においてワイヤハーネスをなめらかに滑るように変位させることが可能となる。
【0019】
[10]上記[1]から[9]のいずれかにおいて、前記周辺部品は、第1部品と第2部品とを含んで構成され、前記凹部は、前記第1部品と前記第2部品とで前記ワイヤハーネスを挟み込みうる挟み込み部を有していてもよい。
【0020】
この構成によれば、周辺部品の凹部が挟み込み部を有するため、当該凹部に対するワイヤハーネスの引っ掛かりをブラケットによってより効果的に抑制することが可能となる。
[11]上記[10]において、前記支持部および前記挟み込み部の各々は、前記凹部の深さ方向から見て線状をなし、前記ブラケットが前記周辺部品に取り付けられた状態において、前記支持部は、前記凹部の深さ方向から見て前記挟み込み部と交差する構成であってもよい。
【0021】
この構成によれば、凹部の挟み込み部に対するワイヤハーネスの引っ掛かりをブラケットの支持部によってより好適に抑制することが可能となる。
[12]上記[11]において、前記支持部は、前記凹部の深さ方向から見て直線状をなしていてもよい。
【0022】
この構成によれば、支持部を細長い形状とすることが可能となる。したがって、ブラケットの薄型化および軽量化を図ることが可能となる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のブラケットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「平行」や「垂直」や「直交」は、厳密に平行や垂直や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね平行や垂直や直交の場合も含まれる。
【0023】
また、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0024】
(ワイヤハーネスの支持構造10)
図1に示すワイヤハーネスの支持構造10は、可動部材Mから延出するワイヤハーネス11と、ワイヤハーネス11の周辺に配置される周辺部品12と、周辺部品12に設けられたブラケット13と、を備える。
【0025】
ワイヤハーネス11は、例えば、自動車等の車両に用いられる。ワイヤハーネス11は、車両に搭載される可動部材Mに設けられた図示しない電気機器に接続されている。また、ワイヤハーネス11は、可動部材Mの当該電気機器と、それとは別の車載機器とを電気的に接続する。可動部材Mは、例えば、車両の前後方向に沿って移動可能に構成された車両シートである。ワイヤハーネス11は、可動部材Mの移動に伴い変位する。
【0026】
(周辺部品12)
ワイヤハーネス11の周辺に配置される周辺部品12は、周辺部品12は、例えば、第1部品14と第2部品15とを含んで構成される。なお、周辺部品12は、第1部品14および第2部品15のみから構成されていてもよいし、第1部品14と第2部品15の他に1つまたは複数の部品を含む構成であってもよい。
【0027】
第1部品14は、例えばフロアカーペットである。すなわち、第1部品14は、例えば、容易に撓むことが可能な柔軟部材である。第1部品14としてのフロアカーペットは、車両における室内空間の床部を形成するフロアパネル16の上面に略沿って配置される。
【0028】
第2部品15は、例えば空調用のエアダクトである。第2部品15は、例えば合成樹脂にて形成されている。第2部品15は、第1部品14に形成された貫通孔14aを通じて第1部品14を貫通している。第2部品15は、貫通孔14aを通ることで、第1部品14の表面側から裏面側にかけて配置される。
【0029】
図1は、車幅方向に対して直交する周辺部品12の縦断面形状を示している。第1部品14の表面は、第1面21と、第1面21から変位する第2面22とを含む。第1面21は、例えば、略水平をなしている。第2面22は、例えば、第1面21に対して下方に変位している。第2面22は、例えば、車両後方に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面である。第1部品14の貫通孔14aは、第2面22に設けられている。
【0030】
第2部品15の表面は、第3面23と、第3面23から変位する第4面24とを含む。第3面23は、例えば、略水平をなしている。第4面24は、例えば、第3面23に対して下方に変位している。第4面24は、例えば、車両前方に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面である。
【0031】
第1部品14の第1面21と第2部品15の第3面23とは、例えば、水平と直交する鉛直方向において略同じ高さに位置している。第1面21と第3面23とは、周辺部品12の表面を形成している。第1部品14の第2面22と第2部品15の第4面24とは、例えば車両の前後方向において、互いに対向している。
【0032】
(周辺部品12の凹部25)
周辺部品12は、ワイヤハーネス11が変位可能な領域において凹部25を有する。ワイヤハーネス11が変位可能な領域とは、ブラケット13が周辺部品12に設けられていない状態においてワイヤハーネス11が変位しうる領域である。
【0033】
周辺部品12の凹部25は、例えば、第1部品14と第2部品15との間に形成されている。詳しくは、凹部25は、第1部品14の第2面22と第2部品15の第4面24とによって形成されている。換言すると、第2面22および第4面24は、凹部25の内面を形成している。凹部25は、例えば、第1部品14の第1面21と第2部品15の第3面23とで形成される周辺部品12の表面から下方に窪む形状をなしている。なお、
図1では、凹部25の範囲を2点鎖線のハッチングで図示している。
【0034】
周辺部品12の凹部25は、仮想的な表面25aを有している。以下では、仮想的な表面25aについて、単に表面25aと呼称する場合もある。凹部25の表面25aは、第1部品14の第1面21と第2部品15の第3面23とを繋ぐ面である。本実施形態では、凹部25の表面25aは、例えば、凹部25の上端面に相当する。また、凹部25の表面25aは、例えば、凹部25の深さ方向D1に対して垂直をなしている。なお、本実施形態では、凹部25の深さ方向D1は、車両の高さ方向に対して略平行な方向である。凹部25は、例えば、車幅方向から見て、第2面22、第4面24および表面25aを三辺とする略三角形状をなしている。
【0035】
周辺部品12の凹部25は、第1部品14と第2部品15とでワイヤハーネス11を挟み込みうる挟み込み部26を有している。本実施形態では、挟み込み部26は、例えば、第1部品14と第2部品15とが交差する箇所に形成される。すなわち、挟み込み部26は、第1部品14の貫通孔14aとその貫通孔14aを通る第2部品15との間に形成される。また、本実施形態の挟み込み部26は、凹部25の最下部に形成されている。ブラケット13が周辺部品12に設けられていない状態では、凹部25に入り込んだワイヤハーネス11が、挟み込み部26を形成する貫通孔14aと第2部品15との間に挟み込まれるおそれがある。
【0036】
(ブラケット13)
ブラケット13は、例えば、合成樹脂にて形成されている。ブラケット13は、ワイヤハーネス11を支持可能な支持部31と、周辺部品12に固定されるとともに支持部31を支持するベース部32と、を備える。
【0037】
ベース部32は、凹部25の内面に固定される固定部33と、固定部33と支持部31とを繋ぐ連結部34と、を備える。
図2に示すように、ベース部32の連結部34は、互いに平行をなす一対の主面34aを有する板状をなしている。ブラケット13は、例えば、連結部34の主面34aが車幅方向に対して直交するように周辺部品12に取り付けられている。すなわち、ブラケット13は、連結部34が車両の前後方向に対して平行となるように、周辺部品12に取り付けられる。
【0038】
固定部33は、連結部34の一対の主面34aのそれぞれから延出するように一対設けられている。各固定部33は、例えば、連結部34に対して垂直な平板状をなしている。各固定部33には、例えば、固定部材35(
図1参照)が通される固定孔33aが貫通形成されている。各固定部33は、固定部材35によって周辺部品12の凹部25の内面に固定されている。詳しくは、各固定部33は、周辺部品12を構成する第2部品15の第4面24に固定されている。なお、固定部材35には、かしめリベット、ボルト、粘着テープや、それら以外の周知の構成の固定部材を用いることができる。
【0039】
(支持部31)
図2および
図4に示すように、ブラケット13の支持部31は、例えば、連結部34の上端部に設けられている。支持部31は、例えば、連結部34の一対の主面34aのそれぞれから延出する一対の延出部36を含んで構成されている。各延出部36は、例えば、連結部34に対して垂直に延出している。各延出部36からなる支持部31の上面には、支持面37が形成されている。支持面37は、例えば平面状をなしている。
【0040】
図3および
図5に示すように、ブラケット13が周辺部品12に取り付けられた状態において、支持面37は、凹部25の表面25aに沿って凹部25の一端25bから他端25cまで延びている。なお、
図5は、周辺部品12およびブラケット13を凹部25の深さ方向D1から見た平面図である。第1部品14は、凹部25の深さ方向D1から見たとき、例えば車両の前後方向に沿って延在している。そして、凹部25の一端25bおよび他端25cは、第1部品14の延在方向における凹部25の両端部である。ここで、支持面37が延びる方向を支持面37の延在方向D2とする。支持面37の延在方向D2は、凹部25の深さ方向D1から見たときの第1部品14の延在方向に沿った方向である。支持面37の延在方向D2における長さは、延在方向D2に直交する幅方向における長さよりも大きい。すなわち、支持面37は、幅狭形状をなしている。支持面37は、凹部25の表面25aの一部の範囲に設けられるものである。支持面37は、例えば、凹部25の深さ方向D1において、凹部25の表面25aと同じ位置に設けられている。つまり、支持面37の位置は、凹部25の表面25aの位置と一致している。
【0041】
図5に示すように、支持部31は、凹部25の深さ方向D1から見て直線状をなしている。凹部25に形成された挟み込み部26は、凹部25の深さ方向D1から見て、例えば、支持面37の延在方向D2と直交する方向に沿った直線状をなしている。ブラケット13が周辺部品12に取り付けられた状態において、支持部31は、凹部25の深さ方向D1から見て挟み込み部26と交差している。
【0042】
図4に示すように、ブラケット13の連結部34には、第1補強リブ38aおよび第2補強リブ38bが形成されている。第1補強リブ38aは、連結部34の一方の主面34aに形成されている。第2補強リブ38bは、連結部34の他方の主面34aに形成されている。
【0043】
図2および
図4に示すように、第1補強リブ38aは、例えば一対設けられている。各第1補強リブ38aは、例えば直線状に形成されている。例えば、一対の第1補強リブ38aのうちの1つは、固定部33から支持部31まで繋がる形状をなしている。また、第2補強リブ38bは、例えば、第1補強リブ38aに対して平行な直線状に形成されている。
図4に示すように、第2補強リブ38bは、例えば1つ設けられている。第2補強リブ38bは、一対の第1補強リブ38aの中間に対応する位置に設けられている。第2補強リブ38bは、例えば、固定部33から支持部31まで繋がっている。第1補強リブ38aおよび第2補強リブ38bが形成されることで、ブラケット13の剛性が向上されるようになっている。
【0044】
図3に示すように、ブラケット13は、連結部34の主面34aと直交する方向から見て、ベース部32の第1縁部32aと、ベース部32の第2縁部32bと、支持面37とを3辺とする略三角形状をなしている。
【0045】
ベース部32の第1縁部32aは、例えば、所定の間隔を空けて第1部品14の第2面22と対向している。なお、延在方向D2における支持部31の一端は、例えば第1部品14に接している。
【0046】
ベース部32の第2縁部32bは、当該第2縁部32bの全体が第2部品15の第4面24に接するように構成されている。固定部33は、ベース部32の第2縁部32bに設けられている。第2部品15の第4面24は、第3面23に移行する箇所において湾曲部24aを有している。ベース部32の第2縁部32bは、湾曲部24aの形状に合わせた湾曲形状を有する湾曲当接部32cを有している。湾曲当接部32cは、第4面24の湾曲部24aに対してほぼ隙間なく接している。これにより、ブラケット13が第2部品15の第4面24に対して安定して支持されるようになっている。
【0047】
本実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、ワイヤハーネス11は、可動部材Mの移動に伴って例えば車両の前後方向に変位する。例えば、可動部材Mが車両前方に移動されると、ワイヤハーネス11も車両前方に変位し、可動部材Mが車両後方に移動されると、ワイヤハーネス11も車両後方に変位する。ここで、ワイヤハーネス11が例えば第1部品14の第1面21から第2部品15の第3面23にかけて変位するとき、ワイヤハーネス11は、ブラケット13の支持面37に摺接しながら変位する。すなわち、ワイヤハーネス11がブラケット13の支持面37に支持されることで、ワイヤハーネス11が周辺部品12の凹部25に入り込むことが抑制されるようになっている。これにより、ワイヤハーネス11が凹部25の挟み込み部26に達することが抑制され、その結果、ワイヤハーネス11が挟み込み部26に引っ掛かることが抑制される。
【0048】
本実施形態の効果について説明する。
(1)ブラケット13の支持部31は、周辺部品12の凹部25へのワイヤハーネス11の入り込みを回避するように、ワイヤハーネス11を支持する。この構成によれば、ワイヤハーネス11が周辺部品12の凹部25に入り込むことを、ブラケット13の支持部31によって回避可能となる。したがって、周辺部品12の凹部25に対するワイヤハーネス11の引っ掛かりを抑制することが可能となる。また、ブラケット13は、周辺部品12に対して別体をなすため、第2部品15の形状を変更することなく、ブラケット13単体によってワイヤハーネス11の凹部25への入り込みを抑制することが可能となる。
【0049】
(2)ブラケット13は、周辺部品12に固定されるとともに支持部31を支持するベース部32を備える。この構成によれば、周辺部品12に固定されたベース部32によって支持部31を支持することが可能となる。
【0050】
(3)ベース部32は、凹部25の内面に固定される固定部33と、固定部33と支持部31とを繋ぐ連結部34と、を備える。この構成によれば、固定部33によって周辺部品12の凹部25内にブラケット13を取り付けることが可能となる。
【0051】
(4)連結部34は、板状をなしている。この構成によれば、ブラケット13の薄型化および軽量化を図ることが可能となる。
(5)支持部31は、連結部34の一対の主面34aのそれぞれから延出する一対の延出部36を含んで構成されている。この構成によれば、ブラケット13の連結部34を板状としつつも、一対の延出部36によってブラケット13の剛性を向上させることが可能となる。
【0052】
(6)固定部33は、連結部34の一対の主面34aのそれぞれから延出するように一対設けられている。この構成によれば、固定部33が一対設けられることで、ブラケット13を周辺部品12に強固に固定することが可能となる。また、ブラケット13の連結部34を板状としつつも、一対の固定部33によってブラケット13の剛性を向上させることが可能となる。
【0053】
(7)支持部31は、凹部25の仮想的な表面25aに沿った形状をなす支持面37を有している。この構成によれば、ブラケット13が周辺部品12に取り付けられた状態において、支持面37が凹部25から突出する、または、支持面37が凹部25内に入り込むことが抑制される。このため、ワイヤハーネス11の引っ掛かりをブラケット13の支持面37によってより好適に抑制することが可能となる。
【0054】
(8)支持面37は、仮想的な表面25aに沿って凹部25の一端25bから他端25cまで延びている。この構成によれば、ワイヤハーネス11の引っ掛かりをブラケット13の支持面37によってより好適に抑制することが可能となる。
【0055】
(9)支持面37は、支持面37の延在方向D2における長さが当該延在方向D2に直交する幅方向における長さよりも大きい形状をなす。この構成によれば、支持面37を細長い形状とすることが可能となるため、ワイヤハーネス11に対する支持面37の接触面積を小さく構成することが可能となる。したがって、ワイヤハーネス11と支持面37との間の摩擦を抑えることが可能となるため、支持面37上においてワイヤハーネス11をなめらかに滑るように変位させることが可能となる。
【0056】
(10)周辺部品12は、第1部品14と第2部品15とを含んで構成される。周辺部品12の凹部25は、第1部品14と第2部品15とでワイヤハーネス11を挟み込みうる挟み込み部26を有している。この構成によれば、周辺部品12の凹部25が挟み込み部26を有するため、当該凹部25に対するワイヤハーネス11の引っ掛かりをブラケット13によってより効果的に抑制することが可能となる。
【0057】
(11)支持部31および挟み込み部26の各々は、凹部25の深さ方向D1から見て線状をなしている。ブラケット13が周辺部品12に取り付けられた状態において、支持部31は、凹部25の深さ方向D1から見て挟み込み部26と交差する。この構成によれば、凹部25の挟み込み部26に対するワイヤハーネス11の引っ掛かりをブラケット13の支持部31によってより好適に抑制することが可能となる。
【0058】
(12)支持部31は、凹部25の深さ方向D1から見て直線状をなしている。この構成によれば、支持部31を細長い形状とすることが可能となる。したがって、ブラケット13の薄型化および軽量化を図ることが可能となる。
【0059】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0060】
・上記実施形態において、ブラケット13の支持面37は、第1部品14の延在方向に沿って細長い形状をなすが、これに特に限定されるものではなく、凹部25の形状等に応じて支持部31の形状を適宜変更してもよい。
【0061】
・上記実施形態のブラケット13では、支持面37が凹部25の仮想的な表面25aに沿った形状をなす。すなわち、支持面37の位置は、凹部25の表面25aの位置と一致しているが、これ以外に例えば、支持面37が表面25aよりも凹部25の内側に位置していてもよい。
【0062】
・上記実施形態のブラケット13では、支持面37が凹部25の表面25aの一部の範囲に設けられるが、これ以外に例えば、支持面37が凹部25の表面25a全体に設けられていてもよい。この場合、ブラケット13の支持部31が凹部25の表面25a全体を覆うような構成となる。
【0063】
・上記実施形態のブラケット13では、固定部33が連結部34に設けられているが、これに限らず、例えば、固定部33が支持部31に設けられていてもよい。
・上記実施形態のブラケット13では、支持部31が連結部34の一対の主面34aのそれぞれから延出する一対の延出部36を含んで構成されるが、これに特に限定されるものではない。例えば、支持部31は、連結部34の一方の主面34aのみから延出する構成であってもよい。
【0064】
・ブラケット13は、周辺部品12における凹部25の内面以外の部位に固定されていてもよい。
・上記実施形態のブラケット13では、凹部25の深さ方向D1から見て支持部31が直線状をなすが、これに特に限定されるものではない。例えば、凹部25の深さ方向D1から見て、支持部31の全体または一部が湾曲する形状であってもよい。
【0065】
・上記実施形態の周辺部品12では、凹部25の深さ方向D1から見て挟み込み部26が直線状をなすが、これに特に限定されるものではない。例えば、凹部25の深さ方向D1から見て、挟み込み部26の全体または一部が湾曲する形状であってもよい。
【0066】
・凹部25の深さ方向D1から見て、ブラケット13の支持部31と凹部25の挟み込み部26とが交差していない構成であってもよい。
・凹部25を含む周辺部品12の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、周辺部品12が単一の部品から構成されるものであってもよい。
【0067】
・上記実施形態では、凹部25が複数の部品(第1部品14および第2部品15)にて形成されるが、これに限らず、凹部25は単一の部品に形成された凹部であってもよい。
・凹部25が挟み込み部26を有していない構成であってもよい。凹部25が挟み込み部26を有していなくとも、ワイヤハーネス11が凹部25に引っ掛かる可能性はある。
【0068】
・周辺部品12における凹部25の深さ方向D1は、車両の高さ方向に対して略平行な方向に限定されない。例えば、凹部25の深さ方向D1が車両の前後方向や車幅方向に対して略平行な構成であってもよい。
【0069】
・可動部材Mは、車両シートに限定されない。すなわち、可動部材Mは、車両におけるサイドドア、バックドア、サンルーフ、サイドミラー、ルームミラー、ステアリング装置等、可動する部材に置き換え可能である。
【0070】
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0071】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
可動部材の移動に伴い変位するワイヤハーネスと、
前記ワイヤハーネスの周辺に配置され、前記ワイヤハーネスが変位可能な領域において凹部を有する周辺部品と、
前記周辺部品に設けられるブラケットと、を備えるワイヤハーネスの支持構造であって、
前記ブラケットは、前記凹部への前記ワイヤハーネスの入り込みを回避するように前記ワイヤハーネスを支持する支持部を有している、
ワイヤハーネスの支持構造。
【0072】
この構成によれば、ワイヤハーネスが周辺部品の凹部に入り込むことを、ブラケットの支持部によって回避可能となる。したがって、周辺部品の凹部に対するワイヤハーネスの引っ掛かりを抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
10 ワイヤハーネスの支持構造
11 ワイヤハーネス
12 周辺部品
13 ブラケット
14 第1部品
14a 貫通孔
15 第2部品
16 フロアパネル
21 第1面
22 第2面
23 第3面
24 第4面(凹部の内面)
24a 湾曲部
25 凹部
25a 凹部の仮想的な表面
25b 凹部の一端
25c 凹部の他端
26 挟み込み部
31 支持部
32 ベース部
32a 第1縁部
32b 第2縁部
32c 湾曲当接部
33 固定部
33a 固定孔
34 連結部
34a 主面
35 固定部材
36 延出部
37 支持面
38a 第1補強リブ
38b 第2補強リブ
D1 凹部の深さ方向
D2 支持面の延在方向
M 可動部材