(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147301
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】評価システム及び評価プログラム
(51)【国際特許分類】
G10K 15/00 20060101AFI20241008BHJP
H04R 27/00 20060101ALI20241008BHJP
G10L 25/60 20130101ALI20241008BHJP
H04H 20/12 20080101ALI20241008BHJP
G06Q 50/26 20240101ALI20241008BHJP
【FI】
G10K15/00 L
H04R27/00 Z
G10L25/60
H04H20/12
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060227
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000223182
【氏名又は名称】TOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100163979
【弁理士】
【氏名又は名称】濱名 哲也
(72)【発明者】
【氏名】仁子 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健太
(72)【発明者】
【氏名】前田 和昭
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 清浩
(72)【発明者】
【氏名】松石 遼太
(72)【発明者】
【氏名】池内 亮太
(72)【発明者】
【氏名】荒川 稜太
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】屋外拡声システムによる放送情報の伝達状況を好適に把握できる評価システムを提供する。
【解決手段】評価システム20は、拡声スピーカ10から出力される音が伝達される伝達エリアの音検出地点に設置される音響センサ30と接続される制御部51を備える。音響センサ30は、拡声スピーカ10から放送情報が出力される第1期間において第1音情報を取得し、第1期間の所定期間前および所定期間後の少なくとも1つの第2期間において第2音情報を取得する。制御部51は、第1音情報と第2音情報とに基づいて、音検出地点における音の聞こえ易さを示す明瞭度を算出するとともに、ユーザが閲覧可能であって、当該明瞭度を含む評価データを生成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価システムであって、
拡声スピーカから出力される音が伝達される伝達エリアの音検出地点に設置される音響センサと接続される制御部を備え、
前記音響センサは、前記拡声スピーカから放送情報が出力される第1期間において第1音情報を取得し、前記第1期間の所定期間前および所定期間後の少なくとも1つの第2期間において第2音情報を取得し、
前記制御部は、
前記第1音情報と前記第2音情報とに基づいて、前記音検出地点における音の聞こえ易さを示す明瞭度を算出し、
ユーザが閲覧可能であって、前記明瞭度を含む評価データを生成する
評価システム。
【請求項2】
前記音検出地点は、第1地点と、前記第1地点と異なる第2地点と、を含み、
前記音響センサは、前記第1地点に設置される第1音響センサと、前記第2地点に設置される第2音響センサと、を有し、
前記制御部は、前記第1地点における第1明瞭度を算出し、前記第2地点における第2明瞭度を算出し、
前記評価データは、前記ユーザが前記第1明瞭度と前記第2明瞭度とを個別に閲覧可能に生成される
請求項1に記載の評価システム。
【請求項3】
前記拡声スピーカは、第1スピーカと、前記第1スピーカと異なる第2スピーカと、を有し、
前記伝達エリアは、前記第1スピーカから出力される音が伝達される第1エリアと、前記第2スピーカから出力される音が伝達される第2エリアと、を含み、
前記音響センサは、前記第1エリアの前記音検出地点に設置される第1エリア音響センサと、前記第2エリアの前記音検出地点に設置される第2エリア音響センサと、を有し、
前記制御部は、前記第1エリアの前記音検出地点における前記明瞭度を算出し、前記第2エリアの前記音検出地点における前記明瞭度を算出し、
前記評価データは、前記第1エリアの明瞭度と前記第2エリアの明瞭度とを個別に閲覧可能に生成される
請求項1に記載の評価システム。
【請求項4】
前記第1音情報は、前記第1期間における前記音検出地点の音圧に関する情報を含み、
前記第2音情報は、前記第2期間における前記音検出地点の音圧に関する情報を含み、
前記制御部は、前記第1期間における前記音検出地点の音圧と、前記第2期間における前記音検出地点の音圧との差に基づいて前記明瞭度を算出する
請求項1に記載の評価システム。
【請求項5】
前記第1音情報は、前記第1期間における前記音検出地点の音圧に関する情報を含み、
前記第2音情報は、前記第2期間における前記音検出地点の音圧に関する情報を含み、
前記評価データは、前記第1期間における前記音検出地点の音圧と、前記第2期間における前記音検出地点の音圧とを含む音圧分布を含む
請求項1に記載の評価システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記明瞭度を、前記明瞭度の高さに基づく複数の評価レベルのうちの1つと判定し、
前記評価データは、前記制御部が判定した前記音検出地点における前記評価レベルを含む
請求項1に記載の評価システム。
【請求項7】
前記第1音情報は、前記第1期間における前記音検出地点の音声信号を含み、
前記第2音情報は、前記第2期間における前記音検出地点の音声信号を含み、
前記制御部は、前記第1音情報及び前記第2音情報に基づいて、前記音検出地点における前記第1期間の放送音及び前記第2期間の暗騒音に対応する音声ファイルを生成し、
前記評価データは、前記制御部が生成した前記音声ファイルを含み、
前記音声ファイルは、前記ユーザからの再生指示に応じて再生される
請求項1に記載の評価システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記音検出地点に設置される気象センサと接続され、
前記気象センサは、前記第1期間及び前記第2期間の少なくとも1つにおける気象情報を取得し、
前記評価データは、前記明瞭度と対応付けられた前記気象情報を含む
請求項1に記載の評価システム。
【請求項9】
前記音響センサは、複数の前記音検出地点に設置される複数の前記音響センサを含み、
前記制御部は、前記複数の前記音響センサが取得した前記第1音情報と前記第2音情報とに基づいて、前記複数の音検出地点のそれぞれにおける前記明瞭度を算出し、
前記評価データは、前記ユーザが、前記ユーザにより選択される一の前記音検出地点における前記明瞭度と、前記一の前記音検出地点とは異なる他の音検出地点における前記明瞭度とを対比できるように、閲覧可能に生成される
請求項1に記載の評価システム。
【請求項10】
評価プログラムであって、
コンピュータに、
拡声スピーカから出力される音が伝達される伝達エリアの音検出地点における第1音情報及び第2音情報を取得させ、
前記第1音情報と前記第2音情報とに基づいて、前記音検出地点における音の聞こえ易さを示す明瞭度を算出させ、
前記明瞭度を含む評価データであって、ネットワークを介して前記コンピュータに接続されるクライアントが表示可能な前記評価データを生成させ、
前記第1音情報は、前記拡声スピーカから放送情報が出力される第1期間における音情報であり、
前記第2音情報は、前記第1期間の所定期間前および所定期間後の少なくとも1つの第2期間における音情報である
評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、評価システム及び評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害発生時に避難誘導等の放送情報を住民に対して伝達する屋外拡声システムが、自治体によって各地域に設置されている。屋外拡声システムは、市役所等に設置される親局と、放送地域に設置される子局を含む。子局には、放送情報を伝達するために音を出力する拡声スピーカが設けられている。特許文献1は、屋外拡声システムの一例を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
屋外拡声システムでは、地域内の住民に対して放送情報が伝達されるように、地域内に拡声スピーカが設置される。しかし、屋外拡声システムの放送時に、拡声スピーカから出力される音が、住民に対して十分に伝達されない場合がある。
【0005】
本開示は、屋外拡声システムによる放送情報の伝達状況を好適に把握できる評価システム及び評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)評価システムは、拡声スピーカから出力される音が伝達される伝達エリアの音検出地点に設置される音響センサと接続される制御部を備え、前記音響センサは、前記拡声スピーカから放送情報が出力される第1期間において第1音情報を取得し、前記第1期間の所定期間前および所定期間後の少なくとも1つの第2期間において第2音情報を取得し、前記制御部は、前記第1音情報と前記第2音情報とに基づいて、前記音検出地点における音の聞こえ易さを示す明瞭度を算出し、ユーザが閲覧可能であって、前記明瞭度を含む評価データを生成する。この構成によれば、音検出地点における明瞭度を算出することによって、音検出地点における拡声スピーカが出力する音の聞こえ方を取得できる。ユーザは、評価データによって音検出地点の明瞭度を把握できる。したがって、ユーザは、評価システムによって、屋外拡声システムによる放送情報の伝達状況を好適に把握できる。
【0007】
(2)上記(1)の評価システムにおいて、前記音検出地点は、第1地点と、前記第1地点と異なる第2地点と、を含み、前記音響センサは、前記第1地点に設置される第1音センサと、前記第2地点に設置される第2音響センサと、を有し、前記制御部は、前記第1地点における第1明瞭度を算出し、前記第2地点における第2明瞭度を算出し、前記評価データは、前記ユーザが前記1明瞭度と前記第2明瞭度とを個別に閲覧可能に生成される。この構成によれば、複数の音検出地点において、屋外拡声システムが出力する音の聞こえ方を取得できる。また、ユーザは、第1明瞭度と第2明瞭度とを個別に閲覧できるため、第1地点と第2地点のそれぞれにおける放送情報の伝達状況を把握できる。
【0008】
(3)上記(1)または(2)の評価システムにおいて、前記拡声スピーカは、第1スピーカと、前記第1スピーカと異なる第2スピーカと、を有し、前記伝達エリアは、前記第1スピーカから出力される音が伝達される第1エリアと、前記第2スピーカから出力される音が伝達される第2エリアと、を含み、前記音響センサは、前記第1エリアの前記音検出地点に設置される第1エリア音響センサと、前記第2エリアの前記音検出地点に設置される第2エリア音響センサと、を有し、前記制御部は、前記第1エリアの前記音検出地点における前記明瞭度を算出し、前記第2エリアの前記音検出地点における前記明瞭度を算出し、前記評価データは、前記第1エリアの明瞭度と前記第2エリアの明瞭度とを個別に閲覧可能に生成される。この構成によれば、評価システムは、異なるスピーカから放送情報が伝達される複数の伝達エリアにおいて、拡声スピーカが出力する音の聞こえ方を評価できる。また、ユーザは、第1エリアの明瞭度と第2エリアの明瞭度とを個別に閲覧できるため、第1エリアと第2エリアのそれぞれにおける放送情報の伝達状況を把握できる。
【0009】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つの評価システムにおいて、前記第1音情報は、前記第1期間における前記音検出地点の音圧に関する情報を含み、前記第2音情報は、前記第2期間における前記音検出地点の音圧に関する情報を含み、前記制御部は、前記第1期間における前記音検出地点の音圧と、前記第2期間における前記音検出地点の音圧との差に基づいて前記明瞭度を算出する。この構成によれば、音圧に関する情報に基づいて、音検出地点における明瞭度を好適に算出できる。
【0010】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つの評価システムにおいて、前記第1音情報は、前記第1期間における前記音検出地点の音圧に関する情報を含み、前記第2音情報は、前記第2期間における前記音検出地点の音圧に関する情報を含み、前記評価データは、前記第1期間における前記音検出地点の音圧と、前記第2期間における前記音検出地点の音圧とを含む音圧分布を含む。この構成によれば、音圧に関する情報に基づいて、音検出地点における音圧分布を生成できる。
【0011】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つの評価システムにおいて、前記制御部は、前記明瞭度を、前記明瞭度の高さに基づく複数の評価レベルのうちの1つと判定し、前記評価データは、前記制御部が判定した前記音検出地点における前記評価レベルを含む。この構成によれば、ユーザが、音検出地点における明瞭度を、複数の評価レベルに基づいて把握できる。
【0012】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つの評価システムにおいて、前記第1音情報は、前記第1期間における前記音検出地点の音声信号を含み、前記第2音情報は、前記第2期間における前記音検出地点の音声信号を含み、前記制御部は、前記第1音情報及び前記第2音情報に基づいて、前記音検出地点における前記第1期間の放送音及び前記第2期間の暗騒音に対応する音声ファイルを生成し、前記評価データは、前記制御部が生成した前記音声ファイルを含み、前記音声ファイルは、前記ユーザからの再生指示に応じて再生される。この構成によれば、ユーザは、音声ファイルによって音検出地点における放送情報の聞こえ方を直接確認できる。
【0013】
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つの評価システムにおいて、前記制御部は、前記音検出地点に設置される気象センサと接続され、前記気象センサは、前記第1期間及び前記第2期間の少なくとも1つにおける気象情報を取得し、前記評価データは、前記明瞭度と対応付けられた前記気象情報を含む。この構成によれば、第1期間及び第2期間の少なくとも1つにおける音検出地点における気象を取得できるため、拡声スピーカが音を出力する際の音検出地点の気象状況を把握できる。
【0014】
(9)上記(1)から(8)のいずれか1つの評価システムにおいて、前記音響センサは、複数の前記音検出地点に設置される複数の前記音響センサを含み、前記制御部は、前記複数の前記音響センサが取得した前記第1音情報と前記第2音情報とに基づいて、前記複数の音検出地点のそれぞれにおける前記明瞭度を算出し、前記評価データは、前記ユーザが、前記ユーザにより選択される一の前記音検出地点における前記明瞭度と、前記一の前記音検出地点とは異なる他の音検出地点における前記明瞭度とを対比できるように、閲覧可能に生成される。この構成によれば、ユーザにより選択される一の音検出地点における音の聞こえ方と、他の音検出地点における音の聞こえ方とを比較できる。
【0015】
(10)評価プログラムは、コンピュータに、拡声スピーカから出力される音が伝達される伝達エリアの音検出地点における第1音情報及び第2音情報を取得させ、前記第1音情報と前記第2音情報とに基づいて、前記音検出地点における音の聞こえ易さを示す明瞭度を算出させ、前記明瞭度を含む評価データであって、ネットワークを介して前記コンピュータに接続されるクライアントが表示可能な前記評価データを生成させ、前記第1音情報は、前記拡声スピーカから放送情報が出力される第1期間における情報であり、前記第2音情報は、前記第1期間の所定期間前および所定期間後の少なくとも1つの第2期間における情報である。この構成によれば、音検出地点における明瞭度を算出することによって、音検出地点における拡声スピーカが出力する音の聞こえ方を取得できる。ユーザは、評価データによって音検出地点の明瞭度を把握できる。したがって、ユーザは、評価プログラムによって、屋外拡声システムによる放送情報の伝達状況を好適に把握できる。
【発明の効果】
【0016】
評価システム及び評価プログラムは、屋外拡声システムによる放送情報の伝達状況を好適に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】屋外拡声システム及び評価システムの構成を示す図である。
【
図2】評価システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】記憶部に記憶されるセンサデータの一例を示す図である。
【
図4】音響センサが検出する音響データの一例を示す図である。
【
図6】記憶部に記憶される評価データの一例を示す図である。
【
図8】ダッシュボードのうちの気象情報表示部が省略されたデータ表示部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
図1から
図8を参照して、実施形態の評価システム20及び評価プログラム53を説明する。
【0019】
<屋外拡声システム>
屋外拡声システム1は、音声によって伝達エリアCA内の住民に放送情報を伝達するシステムである。放送情報は、例えば、自治体が地域内の住民に対して伝達する情報である。自治体が地域内の住民に対して伝達する情報の一例は、時報、天候に関する情報、自然災害等発生時の警報、住民に対する注意喚起等である。屋外拡声システム1は、伝達エリアCA内に放送情報に関する音を出力することによって、伝達エリアCA内の住民に放送情報を伝達する。
【0020】
図1は、屋外拡声システム1の構成を例示している。
図1に示されるように、屋外拡声システム1は、親局2と、子局3とを備える。親局2は、放送情報を子局3に送信する。親局2と子局3とは、有線によって接続してもよく、無線によって接続してもよい。親局2と子局3とが無線によって接続する場合、無線通信には、無線機が使用されてもよく、インターネットが使用されてもよい。子局3の数は、1つであっても複数であってもよい。本実施形態では、子局3の数は、複数である。
図1は、3つの子局3を備える屋外拡声システム1を例示する。
【0021】
親局2は、例えば、放送情報を生成する音響設備と、音響設備が生成した放送情報を子局3に送信する送信設備とを有する。子局3は、例えば、放送情報を受信する受信設備と、受信設備が受信した放送情報を放送する拡声スピーカ10とを有する。伝達エリアCAには、1または複数の子局3が設置される。
【0022】
<拡声スピーカ>
屋外拡声システム1は、拡声スピーカ10を備える。拡声スピーカ10は、伝達エリアCA内に音を出力することによって、放送情報を伝達する。拡声スピーカ10の一例は、ホーンスピーカおよびアレイスピーカである。拡声スピーカ10は、音によって伝達エリアCA内の住民に放送情報を伝達できるように、伝達エリアCA内に配置される。拡声スピーカ10は、音の伝達範囲を広げるために、伝達エリアCA内の高所に設置されてもよく、ポールに設置されてもよい。
【0023】
拡声スピーカ10は、それぞれが異なる伝達エリアCAに配置される複数の拡声スピーカ10を有する。複数の拡声スピーカ10のそれぞれは、拡声スピーカ10が配置される伝達エリアCAに応じて、他とは異なる放送情報を放送してもよい。本実施形態では、拡声スピーカ10は、第1スピーカ11と、第1スピーカ11と異なる第2スピーカ12と、を有する。拡声スピーカ10は、例えば、第1スピーカ11及び第2スピーカ12と異なる第3スピーカ13を有する。
【0024】
伝達エリアCAは、例えば、伝達エリアCAの特性に応じて複数のエリアに区分けされる。伝達エリアCAの特性は、例えば、伝達エリアCAの地形、伝達エリアCAの広さ、伝達エリアCAにおける建築物の有無の少なくとも1つである。本実施形態では、伝達エリアCAは、第1スピーカ11から出力される音が伝達される第1エリアA1と、第2スピーカ12から出力される音が伝達される第2エリアA2と、を含む。伝達エリアCAは、例えば、第3スピーカ13から出力される音が伝達される第3エリアA3を含む。第1エリアA1、第2エリアA2、及び第3エリアA3は、それぞれのエリアが離隔するように設定されてもよく、それぞれのエリアが重なるように設定されてもよい。
【0025】
放送情報は、拡声スピーカ10から、複数の放送期間において出力される。放送期間は、拡声スピーカ10による音の出力が開始する時点から、拡声スピーカ10による音の出力が終了する時点までの期間である。複数の放送期間のそれぞれは、例えば、年月日及び時刻の少なくとも1つが異なる。複数の拡声スピーカ10のそれぞれは、拡声スピーカ10が配置される伝達エリアCAに応じて、放送情報を他とは異なる放送期間において放送してもよい。
【0026】
屋外拡声システム1は、例えば、拡声スピーカ10から出力される音が伝達されているかどうかを試験するための試験放送を放送する。試験放送は、例えば、予め決まった時刻に放送される。試験放送は、例えば、毎日、放送される時報に併せて放送されてもよい。複数の放送期間は、例えば、試験放送の放送期間を含む。
【0027】
<評価システム>
評価システム20は、伝達エリアCAにおける放送情報の伝達状況を評価できるように構成される。評価システム20は、伝達エリアCAの音検出地点DPにおいて拡声スピーカ10から出力される音の聞こえ方を検出することによって、放送情報の伝達状況を評価する。
【0028】
音検出地点DPは、例えば、1つまたは複数の音検出地点DPを含む。複数の音検出地点DPのそれぞれは、拡声スピーカ10が設置される地点、または伝達エリアCAにおいて住民が放送を聴取することが想定される地点(例えば、住民が居住する地点)に設定される。音検出地点DPは、第1地点P1と、第1地点P1と異なる第2地点P2と、を含む。第1地点P1は、第1スピーカ11が設置される地点と、第1エリアA1において住民が居住する地点とのいずれでもよい。また、第2地点P2は、第1スピーカ11が設置される地点と、第1エリアA1において住民が居住する地点とのいずれでもよい。本実施形態では、第1地点P1は、第1スピーカ11が設置される地点に対応し、第2地点P2は、第1エリアA1において住民が居住する地点に対応する。
【0029】
音検出地点DPは、例えば、第3地点P3、第4地点P4、第5地点P5、及び第6地点P6を含む。本実施形態では、第1地点P1、第2地点P2、第3地点P3、及び第4地点P4は、第1エリアA1内に設定される音検出地点DPである。本実施形態では、第5地点P5は、第2エリアA2内に設定される音検出地点DPである。本実施形態では、第6地点P6は、第3エリアA3内に設定される音検出地点DPである。
【0030】
<音響センサ>
評価システム20は、拡声スピーカ10から出力される音が伝達される伝達エリアCAの音検出地点DPに設置される音響センサ30を備える。音響センサ30は、伝達エリアCAの音検出地点DPにおける音に関する音情報を検出するように、音検出地点DPに設置される。音情報は、例えば、音検出地点DPにおける音圧に関する情報である。音情報は、例えば、音検出地点DPにおける音声信号を含む。音響センサ30の一例は、マイクである。音響センサ30がマイクを含む場合、音響センサ30は、マイクへの入力音から、音情報を検出する。音響センサ30は、子局3または子局3以外の施設から電力が供給されてもよく、バッテリを有していてもよい。
【0031】
音響センサ30は、複数の音検出地点DPに設置される複数の音響センサ30を含む。複数の音検出地点DPのそれぞれには、1つの音響センサ30が設置される。音響センサ30は、第1地点P1に設置される第1音響センサ31と、第2地点P2に設置される第2音響センサ32と、を有する。第1音響センサ31は、例えば、第1スピーカ11の近傍に設置される。第1音響センサ31は、例えば、第1スピーカ11が設置されるポールに取り付けられてもよい。第2音響センサ32は、例えば、第2地点P2に位置する施設に設置される。
【0032】
音響センサ30は、例えば、第3地点P3に設置される第3音響センサ33と、第4地点P4に設置される第4音響センサ34と、第5地点P5に設置される第5音響センサ35と、第6地点P6に設置される第6音響センサ36と、を有する。
【0033】
音響センサ30は、第1エリアA1の音検出地点DPに設置される第1エリア音響センサ30Aと、第2エリアA2の音検出地点DPに設置される第2エリア音響センサ30Bと、を有する。第1エリア音響センサ30Aは、例えば、第1エリアA1に設置される1または複数の音響センサ30を含む。第1エリア音響センサ30Aは、例えば、第1音響センサ31、第2音響センサ32、第3音響センサ33、及び第4音響センサ34を含む。第2エリア音響センサ30Bは、例えば、第2エリアA2に設置される1または複数の音響センサ30を含む。第2エリア音響センサ30Bは、例えば、第5音響センサ35を含む。音響センサ30は、例えば、第3エリアA3の音検出地点DPに設置される第3エリア音響センサ30Cを有する。第3エリア音響センサ30Cは、例えば、第3エリアA3に設置される1または複数の音響センサ30を含む。第3エリア音響センサ30Cは、例えば、第6音響センサ36を含む。
【0034】
<気象センサ>
評価システム20は、音検出地点DPに設置される気象センサ40を備える。気象センサ40は、例えば、音検出地点DPにおける気象情報を検出する。気象情報は、例えば、温度、湿度、風向、及び風速の少なくとも1つを含む。気象センサ40は、例えば、温度計、湿度計、風向計、及び風速計が一体に構成されてもよく、温度計、湿度計、風向計、及び風速計が独立して構成されてもよい。気象センサ40は、例えば、子局3または子局3以外の施設から電力が供給されてもよく、バッテリを有していてもよい。
【0035】
気象センサ40は、音検出地点DPにおいて、音響センサ30の近傍に設置される。気象センサ40は、1つまたは複数の気象センサ40を含む。気象センサ40が複数の気象センサ40を含む場合、複数の気象センサ40の数は、音検出地点DPの数に応じて設定される。気象センサ40の数は、音響センサ30の数よりも少なくてもよく、全ての音響センサ30の近傍に気象センサ40が設置されなくてもよい。気象センサ40は、子局3のみに設置されてもよい。
【0036】
本実施形態では、気象センサ40は、例えば、第1気象センサ41、第2気象センサ42、第3気象センサ43、第4気象センサ44、第5気象センサ45、及び第6気象センサ46を有する。第1気象センサ41は、第1地点P1に設置される。第2気象センサ42は、第2地点P2に設置される。第3気象センサ43は、第3地点P3に設置される。第4気象センサ44は、第4地点P4に設置される。第5気象センサ45は、第5地点P5に設置される。第6気象センサ46は、第6地点P6に設置される。
【0037】
<サーバ>
図2は、評価システム20の構成を例示する。
図2では、第3地点P3及び第4地点P4に関する構成が省略されている。
図2に示されるように、評価システム20は、音響センサ30と接続されるサーバ50を備える。サーバ50は、例えば、1または複数のサーバ装置である。サーバ50のサーバ装置は、親局2に設けられてもよく、親局2とは異なる地点に設けられてもよい。サーバ50には、例えば、ユーザがコンピュータ端末を介してアクセス可能である。
【0038】
サーバ50は、例えば、LAN(Local Area Network)によって、ネットワークと接続する。ネットワークの一例は、インターネットである。サーバ50は、音検出地点DPにおける音情報を受信できるように、ネットワークを介して音響センサ30と接続される。サーバ50は、音検出地点DPにおける気象情報を受信できるように、ネットワークを介して気象センサ40と接続される。
【0039】
音響センサ30は、例えば、LTE等の無線WAN(Wide Area Network)によってネットワークへ接続する。音響センサ30は、ネットワークを介して、検出した音情報をサーバ50に送信する。音響センサ30がサーバ50に送信する音情報は、例えば、第1期間T1及び第2期間T2に検出した音声信号であってもよく、当該音声信号をデジタル化した音声データであってもよく、第1期間T1及び第2期間T2における音圧であってもよい。第1期間T1は、例えば、拡声スピーカ10から放送情報が出力される期間である。第1期間T1は、例えば、放送期間に対応する。第2期間T2は、例えば、第1期間T1の所定期間前および所定期間後の少なくとも1つの期間である。
【0040】
複数の音響センサ30は、例えば、それぞれ異なる識別情報が設定される。音響センサ30は、音情報をサーバ50に送信する場合に、音情報に識別情報を併せて送信する。音響センサ30は、周期的に検出した音情報をサーバ50に送信してもよく、外部から要求信号がある場合に、検出した音情報をサーバ50に送信してもよい。外部から要求信号があると音情報をサーバ50に送信する場合、音響センサ30は、例えば、要求停止信号があると送信を終了してもよく、一定期間にわたって送信し続けた後に送信を終了してもよい。
【0041】
気象センサ40は、例えば、LTE等の無線WANによってネットワークへ接続する。気象センサ40は、ネットワークを介して、検出した気象情報をサーバ50に送信する。複数の気象センサ40は、例えば、それぞれ異なる識別情報が設定される。気象センサ40は、気象情報をサーバ50に送信する場合に、気象情報に識別情報を併せて送信する。気象センサ40は、周期的に検出した気象情報をサーバ50に送信してもよく、外部から要求信号がある場合に、検出した気象情報をサーバ50に送信してもよい。外部から要求信号があると気象情報をサーバ50に送信する場合、気象センサ40は、例えば、要求停止信号があると送信を終了してもよく、一定期間にわたって送信し続けた後に送信を終了してもよい。
【0042】
気象センサ40は、第1期間T1及び第2期間T2の少なくとも1つにおける気象情報を取得する。本実施形態の気象センサ40は、第1期間T1における気象情報を検出する。気象センサ40は、第1期間T1における気象情報に加えて、または代えて、第2期間T2における気象情報を取得してもよい。
【0043】
評価システム20は、音響センサ30と接続される制御部51を備える。制御部51は、気象センサ40と接続される。サーバ50は、評価システム20を制御する制御部51を有する。制御部51は、予め定める制御プログラムおよび制御処理を実行する演算処理部を含む。演算処理部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部51は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部51は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。
【0044】
図2から
図3に示されるように、サーバ50は、記憶部52を有する。記憶部52は、制御部51の制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報を記憶する。記憶部52は、例えば、不揮発性メモリおよび揮発性メモリの少なくとも1つを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。記憶部52は、センサデータ、音響データ、気象データ、及び評価データを記憶する。気象データは、気象センサ40から送信される気象情報に関するデータである。評価データは、評価システム20が評価した伝達状況に関する情報に関するデータである。
【0045】
センサデータは、音検出地点DPに対応する音響センサ30及び気象センサ40に関するデータである。
図3は、複数の音響センサ30のうちの第1音響センサ31から第6音響センサ36までに対応するセンサデータの一例を示す。記憶部52には、センサデータとして、音検出地点DP、及び音検出地点DPのそれぞれに対応する音響センサ30及び気象センサ40の識別情報が記憶される。音検出地点DPには、例えば、対応する音響センサ30が設置される住所が設定されてもよい。
【0046】
音響データは、例えば、音響センサ30から送信される音情報に関するデータである。音響データは、例えば、放送期間における音圧に関するデータを含む。
図4は、音響データの一例を示す。
図4の音響データは、放送期間において、第1期間T1における音圧に関するデータと、第2期間T2における音圧に関するデータである。
図4の例では、第2期間T2は、第1期間T1の所定期間前および所定期間後の両方の期間である。
図4の例では、所定期間は、0秒であるが、所定期間は、第2期間T2が第1期間T1と重ならない範囲において任意に設定できる。音響データは、例えば、第1期間T1における音圧の平均値に関するデータと、第2期間T2における音圧の平均値に関するデータを含んでもよい。
【0047】
制御部51は、複数の音検出地点DPのそれぞれに対応する音響センサ30ごとに、対応する音響センサ30から受信した音情報から音声ファイルを作成する機能を有する。具体的には、制御部51は、音情報である音声信号又は音声データを符号化することによって、所定のフォーマット(例えば、mp3)で音声ファイルを作成する。作成された音声ファイルは、音響データとして記憶部52に記憶される。音響データは、例えば、音響センサ30のマイクが検出する音声を録音した音声ファイルを含んでもよい。
【0048】
第1音情報は、第1期間T1における音検出地点DPの音声信号を含む。第2音情報は、第2期間T2における音検出地点DPの音声信号を含む。音響センサ30が第1期間T1に検出する音声信号は、例えば、放送音である。音響センサ30が第2期間T2に検出する音声信号は、例えば、暗騒音である。制御部51は、第1音情報及び第2音情報に基づいて、音検出地点DPにおける第1期間T1の放送音に対応する音声ファイル、及び第2期間T2の暗騒音に対応する音声ファイルを生成する。第1音情報は、第1期間T1における音検出地点DPの音声信号に対応する音声データを含んでもよい。第2音情報は、第2期間T2における音検出地点DPの音声信号に対応する音声データを含んでもよい。
【0049】
制御部51は、音響センサ30から音情報を取得した場合に、センサデータに基づいて、音響センサ30の識別情報から音情報が取得された伝達エリアCA及び音検出地点DPを特定する。制御部51は、気象センサ40から気象情報を取得した場合に、センサデータに基づいて、気象センサ40の識別情報から気象情報が取得された伝達エリアCA及び音検出地点DPを特定する。制御部51は、音情報及び気象情報を、放送期間ごとに伝達エリアCA及び音検出地点DPと関連付けて、記憶部52に記憶させる。
【0050】
図2に示されるように、記憶部52は、放送スケジュールを記憶する。放送スケジュールは、例えば、試験放送の放送予定に関する情報である。制御部51は、放送スケジュールに基づいて、試験放送の放送期間に受信した音情報及び気象情報を、記憶部52に記憶させる。放送スケジュールは、子局3から拡声放送を行うようにスケジュールされた時間の情報を含む。放送スケジュールは、第1期間T1を示す情報を含む。
【0051】
<音検出地点における明瞭度>
図1及び
図2に示されるように、評価システム20は、拡声スピーカ10が出力する音に関して、複数の音検出地点DPのそれぞれにおける明瞭度を算出する。明瞭度は、音の聞こえ易さを示す。明瞭度は、音検出地点DPにおいて拡声スピーカ10が出力する音の聞こえ方を評価する指標である。評価システム20は、制御部51が音響センサ30から受信した音情報に基づいて音検出地点DPにおける明瞭度を算出することによって、音検出地点DPにおける明瞭度を算出する。評価システム20は、取得した明瞭度に基づいて放送情報の伝達状況を評価する。
【0052】
サーバ50は、評価プログラム53を有する。評価プログラム53は、コンピュータに所定の処理を実行させるように、記憶部52に記憶されるプログラムである。コンピュータは、評価システム20であってもよく、サーバ50であってもよく、制御部51であってもよい。本実施形態では、評価プログラム53は、制御部51に所定の処理を実行させる。
【0053】
評価プログラム53は、コンピュータに、音響センサ30の検出結果に基づいて、音の聞こえ易さを示す明瞭度を算出させる。評価プログラム53は、コンピュータに、拡声スピーカ10から出力される音が伝達される伝達エリアCAの音検出地点DPにおける第1音情報及び第2音情報を取得させる。評価プログラム53は、コンピュータに、第1音情報と第2音情報とに基づいて、音検出地点DPにおける明瞭度を算出させる。評価プログラム53は、コンピュータに、ネットワークを介してコンピュータに接続されるクライアントが表示可能な評価データを生成させる。クライアントは、例えば、ネットワークを介してサーバ50に接続されるコンピュータ端末である。本実施形態では、クライアントは、ユーザ端末54である。
【0054】
音響センサ30は、第1期間T1において第1音情報を取得し、第2期間T2において第2音情報を取得する。第1音情報は、第1期間T1における音情報である。第2音情報は、第2期間T2における音情報である。本実施形態では、音響センサ30は、音検出地点DPにおける音圧を取得するように構成される。第1音情報は、第1期間T1における音検出地点DPの音圧に関する情報を含む。第2音情報は、第2期間T2における音検出地点DPの音圧に関する情報を含む。
【0055】
制御部51は、第1音情報と第2音情報とに基づいて、音検出地点DPにおける明瞭度を算出する。制御部51は、複数の音響センサ30が取得した第1音情報と第2音情報とに基づいて、複数の音検出地点DPのそれぞれにおける明瞭度を算出する。制御部51は、例えば、第1音情報と第2音情報とを比較して、音検出地点DPにおける明瞭度を算出する。第1音情報が音圧に関する情報を含み、第2音情報が音圧に関する情報を含む場合、明瞭度は、第1期間T1における音圧と、第2期間T2における音圧との差である。例えば、第1期間T1における音圧は、第1期間T1にわたる音圧の平均値であり、第2期間T2における音圧は、第2期間T2にわたる音圧の平均値である。制御部51は、第1期間T1における音検出地点DPの音圧と、第2期間T2における音検出地点DPの音圧との差に基づいて明瞭度を算出する。
【0056】
静かな環境において第1期間T1に拡声スピーカ10から放送情報が出力される場合、第1期間T1における音圧は第2期間T2における音圧以上であり、音圧差は所定の閾値以上となる。明瞭度は、例えば、第1期間T1における音圧から第2期間T2における音圧を引いた音圧差の値に基づいて決定する。すなわち、第2期間T2は、拡声音が出力される第1期間T1に対する暗騒音の期間に相当するため、音圧差は、拡声音におけるS/N比に相当する。音圧差が正の値であり、かつ、その差が大きい程、明瞭度は高いと言える。音圧差が低い、または負の値であると明瞭度が低いと言える。明瞭度が高い程、第1期間T1において、拡声スピーカ10が出力する音の聞こえ方がよくなるため、放送情報の伝達状況は、明瞭度が高い程、よいと評価される。
【0057】
制御部51は、第1エリアA1、第2エリアA2、及び第3エリアA3の各々について、音検出地点DPごとに明瞭度を算出する。制御部51は、第1エリアA1について、第1地点P1における第1明瞭度を算出し、第2地点P2における第2明瞭度、第3地点P3における第3明瞭度、及び第4地点P4における第4明瞭度を算出する。第1明瞭度は、第1音響センサ31が取得した第1音情報と第2音情報とに基づいて算出され、第2明瞭度は、第2音響センサ32が取得した第1音情報と第2音情報とに基づいて算出され、第3明瞭度は、第3音響センサ33が取得した第1音情報と第2音情報とに基づいて算出され、第4明瞭度は、第4音響センサ34が取得した第1音情報と第2音情報とに基づいて算出される。同様に、制御部51は、第2エリアA2について、第5地点P5における第5明瞭度を算出し、第3エリアA3について、第6地点P6における第6明瞭度を算出する。
【0058】
図2及び
図5に示されるように、制御部51は、明瞭度を、明瞭度の高さに基づく複数の評価レベルのうちの1つと判定する。複数の評価レベルは、明瞭度の高さ(すなわち、第1音情報の音圧と第2音情報の音圧との音圧差)に基づいて段階的に設定される。例えば、
図5の例では、複数の評価レベルは4段階に設定される。明瞭度の評価レベルは、音圧差が所定の閾値を超えているか否かに応じて判定される。制御部51は、例えば、音圧差が第1閾値を超えていれば最も高い明瞭度の評価レベル(第4レベル)と判定し、音圧差が第1閾値以下で第2閾値(第1閾値>第2閾値)を超えていれば次に高い明瞭度の評価レベル(第3レベル)と判定し、音圧差が第2閾値以下で第3閾値(第3閾値>第2閾値)を超えていれば次に高い明瞭度の評価レベル(第2レベル)と判定し、音圧差が第3閾値以下であれば最も低い明瞭度の評価レベル(第1レベル)と判定する。第1閾値の一例は10dBA、第2閾値の一例は3dBA、第3閾値の一例は0dBAである。評価レベルは、例えば、評価レベルごとにアイコンが設定される。
図5の例では、評価レベルは、評価レベルごとに顔を模したアイコンが設定される。評価プログラム53は、コンピュータに、明瞭度を、明瞭度の高さに基づく複数の評価レベルのうちの1つと判定させてもよい。複数の評価レベルは、2、3、または5つ以上の評価レベルを含んでもよく、複数の評価レベルを判定するための閾値は、ユーザによって変更可能に設定されてもよい。
【0059】
制御部51は、第1エリアA1、第2エリアA2、及び第3エリアA3の各々について、音検出地点DPごとに音圧分布を作成する。具体的には、各音検出地点DPにおいて、放送期間ごとに、第1期間T1で取得した第1音情報が示す音圧と、対応する第2期間T2で取得した第2音情報が示す音圧との分布を作成する。音圧分布は、例えば、時間を横軸に、音圧(dBA)を縦軸に描画される。
図4は、音圧分布の一例を示す。
【0060】
制御部51は、放送スケジュールを参照して第1期間T1を特定し、この第1期間T1の所定時間前後である第2期間T2を特定する。制御部51は、例えば、1日の中で複数回、定時放送を行う場合等、放送スケジュールに複数の第1期間T1が含まれる場合、第1期間T1ごとに第2期間T2を特定する。制御部51は、特定した第1期間T1ごとに、当該第1期間T1及び当該第1期間T1に対応する第2期間T2の間、音響センサ30から音響データを受信して上記音声ファイルの作成や上記明瞭度評価や音圧分布の作成を実行するとよい。
【0061】
複数の評価レベルは、例えば、音検出地点DPにおける拡声スピーカ10が出力する音の聞こえ易さに対応する。
図5の例では、複数の評価レベルは、4つの評価レベルを含む。評価レベルが第1レベルから第4レベルに上がる程、音検出地点DPにおいて、拡声スピーカ10が出力する音を聞き易い。
【0062】
制御部51は、例えば、音検出地点DPにおける放送情報の伝達状況を、評価レベルに基づいて評価する。制御部51は、例えば、評価レベルが第1レベルから第4レベルまで上がる程、音検出地点DPにおいて放送情報の伝達状況がよいと評価する。
【0063】
評価データは、例えば、ユーザが閲覧可能である。制御部51は、ユーザが閲覧可能である評価データを生成する。評価データは、明瞭度を含む。評価データは、第1期間T1における音検出地点DPの音圧と、第2期間T2における音検出地点DPの音圧とを含む音圧分布を含む。評価データは、制御部51が判定した音検出地点DPにおける評価レベルを含む。評価データは、制御部51が生成した音声ファイルを含む。音声ファイルは、ユーザからの再生指示に応じて再生される。評価データは、明瞭度と対応付けられた気象情報を含む。
【0064】
図2及び
図6に示されるように、サーバ50は、複数の放送期間ごとに、第1エリアA1、第2エリアA2、及び第3エリアA3の各音検出地点DPにおける明瞭度を記憶する。
図6に示すように、制御部51は、放送期間ごとに、複数の音検出地点DPのそれぞれについて、対応する第1期間T1及び第2期間T2に対応する音響センサ30から受信した音声の音圧分布と、第1期間T1と第2期間T2の音圧差(明瞭度)と、音圧差から導出した明瞭度の評価レベルと、第1期間T1及び第2期間T2の音声から作成した音声ファイルと、気象センサ40から受信した第1期間T1及び第2期間T2の気象情報とを対応付けて評価データを生成する。制御部51は、放送期間及び音検出地点DPごとに生成した評価データを記憶部52に記憶させる。記憶部52は、制御部51が生成した評価データをユーザが閲覧可能に記憶する。
図6は、記憶部52に記憶される評価データの一例である。
図6は、第1地点P1から第5地点P5のそれぞれに対する評価データの一例を例示する。
【0065】
<ユーザ端末>
図2に示されるように、評価システム20は、ユーザ端末54を備える。ユーザ端末54は、例えば、コンピュータ端末である。ユーザ端末54は、サーバ50と有線通信または無線通信によって接続される。ユーザ端末54は、例えば、LTE等の無線WANによってネットワークを介してサーバ50に接続してもよく、LANによってネットワークを介してサーバ50に接続してもよい。
【0066】
ユーザ端末54は、例えば、CPUまたはMPUを有する情報処理装置である。ユーザ端末54の一例は、パーソナルコンピュータである。ユーザ端末54は、携帯電話、スマートフォンまたはタブレット型コンピュータ等の端末であってもよい。ユーザ端末54は、2つ以上の端末から構成されてもよい。ユーザ端末54は、評価システム20を制御可能に構成されてもよい。例えば、ユーザ端末54は、サーバ50が音響センサ30または気象センサ40への要求信号を送信するように、サーバ50を制御してもよい。ユーザ端末54は、記憶部52の放送スケジュールを更新可能であってもよい。
【0067】
ユーザ端末54は、表示部54Aを有する。表示部54Aは、例えば、ディスプレイである。制御部51は、記憶部52に記憶されるデータを表示部54Aに表示させるように構成される。制御部51は、例えば、評価データを表示部54Aに表示させる。ユーザ端末54は、評価システム20とは別に構成されてもよい。制御部51は、評価システム20とは別のコンピュータ端末に、評価データを表示してもよい。
【0068】
図2に示されるように、評価システム20は、親局2と接続されてもよい。記憶部52に放送スケジュールが記憶されず、評価システム20は、親局2から放送スケジュールを取得してもよい。評価システム20は、音響センサ30から受信した音情報を親局2に送信してもよい。親局2は、音響センサ30から受信した音情報に関する情報に基づいて子局3の拡声スピーカ10が出力する音を制御してもよい。親局2は、例えば、所定の音検出地点DPにおける明瞭度の評価レベルが所定レベルを満たさない場合(例えば、明瞭度が第1レベルの場合)に、所定の音検出地点DPに対応する子局3の拡声スピーカ10が出力する音を大きくする。
【0069】
評価システム20は、音情報と気象情報との関係を分析する分析サーバ70と接続されてもよい。分析サーバ70は、評価システム20とは別に設けられてもよく、評価システム20に含まれてもよい。評価システム20は、分析サーバ70に音響データ及び気象データを送信する。分析サーバ70は、例えば、評価システム20から受信した音響データ及び気象データに基づいて、所定の音検出地点DPにおける気象と音の聞こえ方との関係を算出するように構成される。
【0070】
評価システム20は、外部気象データ保持部71と接続されてもよい。外部気象データ保持部71は、例えば、気象センサ40が取得した気象情報とは別の気象情報を保持するサーバである。評価システム20は、外部気象データ保持部71から、放送期間における音検出地点DPの気象情報を取得してもよい。外部気象データ保持部71は、評価システム20とは別に設けられてもよく、評価システム20に含まれてもよい。
【0071】
<ダッシュボード>
図2および
図7に示されるように、評価システム20は、ダッシュボード60を生成する。ダッシュボード60は、例えば、ユーザ端末54の表示部54Aに表示されるユーザインターフェイスであり、例えば、ブラウザやネイティブアプリ等のプログラムで表示可能なウェブページとして生成される。評価データは、ダッシュボード60によってユーザが閲覧可能である。制御部51は、ダッシュボード60によってユーザに評価データを閲覧させる。
【0072】
ユーザ端末54には、ダッシュボード60を表示するためのOS(Operating System)及びアプリがインストールされる。アプリは、例えば、Webブラウザを含む。アプリは、サーバ50からダッシュボード60のウェブページを取得して表示する機能を有する。アプリは、ユーザがダッシュボード60を介して評価システム20を制御可能に構成されてもよい。評価プログラム53は、ダッシュボード60を生成するためのプログラムを含んでもよい。ダッシュボード60を生成するためのプログラムは、例えば、ユーザ端末54上で動作するように、ユーザ端末54のアプリに保存されてもよい。
【0073】
ダッシュボード60は、例えば、期間選択部61を備える。期間選択部61は、ユーザが、放送期間を選択可能に構成される。期間選択部61は、例えば、年月日及び時刻から放送期間を選択可能に構成される。期間選択部61は、例えば、ユーザが年月日及び時刻をリストから選択可能であってもよく、ユーザが年月日及び時刻を直接入力可能であってもよい。
【0074】
ダッシュボード60は、エリア選択部62Aと、地点選択部62Bとを含む。エリア選択部62Aは、ユーザが、複数の伝達エリアCAから1つを選択可能に構成される。複数の伝達エリアCAのそれぞれは、複数の子局3のいずれか1つに対応する。エリア選択部62Aは、例えば、子局3が設置される地点の地名がリスト表示される。地名は、例えば、市町村区の名称である。ユーザは、選択したい伝達エリアCAの地名を選択することによって、複数の伝達エリアCAから1つを選択できるため、ユーザが伝達エリアCAを選択し易い。
【0075】
地点選択部62Bは、ユーザが、エリア選択部62Aで選択された伝達エリアCA内の複数の音検出地点DPから1つを選択可能に構成される。地点選択部62Bは、例えば、複数の音検出地点DPに対応する地点名がリスト表示される。リスト表示される地点名は、例えば、音響センサ30が設置される施設名である。施設名は、例えば、市役所、学校、公園等の公共施設の名称である。ユーザは、選択したい音検出地点DPに対応する地点名を選択することによって、複数の音検出地点DPから1つを選択できるため、ユーザが音検出地点DPを選択し易い。
【0076】
ダッシュボード60は、エリア選択部62Aで選択された伝達エリアCAの周辺地図が表示される地図表示部62Cを含んでもよい。地図表示部62Cの地図上には、エリア選択部62Aで選択された伝達エリアCAに対応する子局3と、複数の音検出地点DPに対応するアイコンとが表示される。
図7は、伝達エリアCAから第1エリアA1が選択された場合を例示する。
図7では、第1エリアA1に設置される第1スピーカ11が「11」というアイコンで表示され、第2地点P2が「P2」というアイコンで表示され、第3地点P3が「P3」というアイコンで表示される。ユーザは、選択したい音検出地点DPに対応するアイコンを選択することによって、複数の音検出地点DPから1つを選択できる。地図表示部62Cによって、ユーザは、直感的に音検出地点DPを選択できる。地図表示部62Cに表示される地図、及び複数の音検出地点DPに対応するアイコンは、ユーザによって設定されてもよい。地図表示部62Cには、例えば、伝達エリアCA内における工事の状況が表示されてもよい。
【0077】
ダッシュボード60は、例えば、データ表示部63を備える。データ表示部63は、期間選択部61において選択された放送期間において、エリア選択部62A及び地点選択部62Bで選択された音検出地点DPにおける評価データを表示する。データ表示部63は、第1音情報表示部64、明瞭度表示部65、第2音情報表示部66、音声再生部67、及び気象情報表示部68を含む。
【0078】
第1音情報表示部64には、評価データに含まれる音圧分布が表示される。音圧分布は、例えば、放送期間に対する音圧のグラフである。
図7の例では、第1期間T1における音圧と、第2期間T2における音圧とが表示される。明瞭度表示部65には、評価データに含まれる評価レベルが表示される。明瞭度表示部65は、評価レベルに加えて、または代えて、評価データに含まれる明瞭度の数値が表示されてもよい。
【0079】
第2音情報表示部66には、第1音情報及び第2音情報が表示される。
図7の例では、第2音情報表示部66に表示される第1音情報は、第1期間T1における音圧であり、第2音情報表示部66に表示される第2音情報は、第2期間T2における音圧である。
図7の例では、第1音情報は、拡声区間の欄に表示されており、第2音情報は、暗騒音区間の欄に表示されている。
【0080】
音声再生部67には、ユーザが音声ファイルを聴取するための再生ボタンが表示される。ダッシュボード60は、再生ボタンが操作されると、期間選択部61において選択された放送期間において、エリア選択部62A及び地点選択部62Bで選択された音検出地点DPに対応する評価データに含まれる音声ファイルを再生する。音声ファイルは、ダッシュボード60からストリーミング再生されてもよく、音声ファイルがユーザ端末54にダウンロードされてもよい。気象情報表示部68には、評価データに含まれる気象情報が表示される。気象情報表示部68には、外部気象データ保持部71から取得した気象情報が表示されてもよい。
【0081】
評価データは、ユーザが第1明瞭度と第2明瞭度とを個別に閲覧可能に生成される。ユーザは、例えば、地点選択部62Bによって音検出地点DPを選択することによって、第1明瞭度と第2明瞭度とを、別々に閲覧可能である。評価データは、第1エリアA1の明瞭度と第2エリアA2の明瞭度とを個別に閲覧可能に生成される。ユーザは、例えば、エリア選択部62Aによって伝達エリアCAを選択することによって、第1エリアA1の明瞭度と第2エリアA2の明瞭度とを、別々に閲覧可能である。
【0082】
制御部51は、地点選択部62Bによって選択された音検出地点DPに対応する評価データを特定し、当該評価データに含まれる音圧分布、明瞭度、評価レベル、及び気象情報を取得する。制御部51は、評価データから取得した音圧分布、明瞭度、評価レベル、及び気象情報を、ダッシュボード60に表示する。なお、ダッシュボード60は、評価データに含まれる音圧分布、明瞭度、評価レベル、及び気象情報の少なくとも一つを表示すればよい。
【0083】
図8に示されるように、ダッシュボード60は、第1音情報表示部64において、地点選択部62Bで選択された音検出地点DPに対応する評価データ内の音圧分布(以下、主音圧分布と呼ぶ。)とともに、当該選択された音検出地点DPが属するエリア(エリア選択部62Aで選択されている伝達エリアCA)内の他の音検出地点DPに対応する評価データ内の音圧分布(以下、副音圧分布と呼ぶ。)を表示してもよい。副音圧分布は、主音圧分布に係る地点選択部62Bで選択された音検出地点DPが属する伝達エリアCAの中で、最も良好な明瞭度を含む評価データを有する他の音検出地点DPの音圧分布が選択されるとよい。
図6の例で説明すると、例えば、第1エリアA1内の第4地点P4が地点選択部62Bで選択されているとき、第4地点P4の評価データ内の音圧分布が主音圧分布として表示されるとともに、同じ第1エリアA1内の中で最も良好な明瞭度(30)を示す第1地点P1の評価データ内の音圧分布が副音圧分布として表示される。このとき、一例として、主音圧分布を視覚的により目立つ態様で表示し、これに重畳する形で、副音圧分布を視覚的により目立たない態様で表示するとよい。
図8に示す例では、主音圧分布は実線で表示され、副音圧分布は一点鎖線で表示されている。
【0084】
評価データは、ユーザが、ユーザにより選択される一の音検出地点DPにおける明瞭度と、一の音検出地点DPとは異なる他の音検出地点DPにおける明瞭度とを対比できるように、閲覧可能に生成される。他の音検出地点DPは、例えば、一の音検出地点DPが含まれる伝達エリアCAのうちの最も明瞭度が良好な音検出地点DPである。他の音検出地点DPは、一の音検出地点DPとは別に、ユーザによって選択されてもよい。
図8に示す例では、実線の主音圧分布が、一の音検出地点DPにおける明瞭度に対応し、一点鎖線の副音圧分布が、他の音検出地点DPに対応する。
【0085】
本実施形態では、明瞭度表示部65、第2音情報表示部66、及び音声再生部67には、ユーザによって選択された音検出地点DPに対応する情報が表示される。明瞭度表示部65に、複数の音響センサ30のうちの少なくとも2つが取得した明瞭度が表示されてもよい。第2音情報表示部66に、複数の音響センサ30のうちの少なくとも2つが取得した第1音情報及び第2音情報が表示されてもよい。音声再生部67に、複数の音響センサ30のうちの少なくとも2つが取得した音情報に対応する音声ファイルを再生する再生ボタンが表示されてもよい。
【0086】
<作用>
放送地域内に設置される拡声スピーカ10の種類、数量、及び設置箇所は、放送情報を住民に伝達できるように、伝達エリアCAの特性に基づいて設定される。拡声スピーカ10の種類、数量、設置箇所は、音の伝達性を可視化するソフトウェアを用いるシミュレーション、及び伝達エリアCAに仮のスピーカを配置する鳴動試験を経て決定される。しかし、屋外拡声システム1の運用時に、想定通りに放送情報が住民に対して十分に伝達されない場合がある。想定通りに放送情報が住民に対して十分に伝達されない場合の例としては、拡声スピーカ10が鳴動しない場合、拡声スピーカ10が音を出力する際の気象条件によって伝達されない場合、工事等の環境音によって伝達されない場合等がある。
【0087】
評価システム20は、音響センサ30によって音検出地点DPにおける拡声スピーカ10が出力する音の聞こえ方を取得できる。評価システム20は、放送期間(第1期間T1)の音声と暗騒音期間(第2期間T2)の音声との比較に基づいて音検出地点DPにおける明瞭度を算出するため、個々の音検出地点DPで実際にどう聞こえたかを高い再限度でユーザが評価、確認することができる。また、音圧分布や明瞭度の表示だけでは納得がいかない場合、さらに対応する音声ファイルを再生することで実際に放送されたときの聞こえ方を確認することができる。ユーザは、例えば、拡声スピーカ10の設置業者、自治体の職員、または自治体の住民である。
【0088】
評価システム20は、複数の音検出地点DPにおける音情報を検出する。第1地点P1の音情報と、第2地点P2の音情報とを比較することによって、屋外拡声システム1の伝達エリアCAにおける放送情報の伝達状況を評価できる。例えば、第2地点P2において音が聞こえないという状況において、第1スピーカ11が音を出力していないか、または第1スピーカ11は音を出力しているが、第2地点P2まで聞こえていないかを判断できる。
【0089】
評価システム20は、音検出地点DPにおいて音情報と気象情報とを検出するため、ユーザは、音検出地点DPにおける音の聞こえ方と、気象条件との関係を取得できる。一例として、所定の音検出地点DPでは、所定の風向の場合に音が聞こえ難いという関係が考えられる。
【0090】
評価システム20は、ダッシュボード60をユーザに提供する。評価システム20は、ダッシュボード60によって、音情報をユーザに対して好適に表示できる。ダッシュボード60では、評価レベルによって明瞭度の高さが表示されるため、ユーザは、音検出地点DPにおける明瞭度を直感的に理解し易い。ダッシュボード60では、複数の音検出地点DPにおける第1音情報及び第2音情報を比較できるため、ユーザは、任意の2箇所における音検出地点DPにおける音の聞こえ方を比較できる。
【0091】
<効果>
(1)想定通りに放送情報が住民に伝達されない場合に、ユーザは、第1明瞭度と第2明瞭度に基づいて、その原因を特定し易い。ユーザは、例えば、第1明瞭度と第2明瞭度とから、伝達エリアCAの特性に起因する原因を特定できる場合がある。
【0092】
(2)想定通りに放送情報が住民に伝達されない場合に、第1エリアA1の明瞭度と、第2エリアA2の明瞭度とに基づいて、ユーザは、その原因を特定し易い。ユーザは、例えば、第1エリアA1の明瞭度と、第2エリアA2の明瞭度とから、親局2、子局3、及び拡声スピーカ10等の施設に起因する原因を特定できる場合がある。親局2、子局3、及び拡声スピーカ10等の施設に起因する原因は、例えば、親局2及び子局3との通信の途絶、拡声スピーカ10の不調等が考えられる。
【0093】
(3)想定通りに放送情報が住民に伝達されない場合に、気象状況が異なる場合の評価データを比較することによって、ユーザは、その原因を特定し易い。ユーザは、例えば、気象状況が異なる場合の明瞭度から、気象条件に起因する原因を特定できる場合がある。
【0094】
(4)想定通りに放送情報が住民に伝達されない場合に、放送期間が異なる場合の評価データを比較することによって、ユーザは、その原因を特定し易い。ユーザは、例えば、異なる放送期間における明瞭度から、年月日及び時刻に起因する原因を特定できる場合がある。年月日及び時刻に起因する原因は、例えば、所定の拡声スピーカ10の故障、周辺地域の工事等が考えられる。
【0095】
<変形例>
上記実施形態は、評価システム20及び評価プログラム53が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。評価システム20及び評価プログラム53は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例を示す。
【0096】
・評価システム20が拡声スピーカ10を含んで構成されてもよい。制御部51は、リアルタイムの音情報に応じて拡声スピーカ10を制御してもよい。制御部51は、例えば、所定の音検出地点DPにおける明瞭度が第1レベルの場合に、所定の音検出地点DPの拡声スピーカ10が出力する音が大きくなるように、拡声スピーカ10を制御する。
【0097】
・音検出地点DPは、1つの音検出地点DPのみから構成されてもよい。本変形例では、拡声スピーカ10は、1つの拡声スピーカ10のみを有し、伝達エリアCAは、1つの伝達エリアCAを含む。本変形例では、評価システム20は、1つの音響センサ30と、1つの気象センサ40を備える。
【0098】
・音情報は、音圧以外の情報を含んでもよい。音情報は、例えば、周波数に関する情報を含んでもよい。本変形例では、第1音情報は、第1期間T1における音検出地点DPの周波数に関する情報を含み、第2音情報は、第2期間T2における音検出地点DPの周波数に関する情報を含む。例えば、周波数に関する情報から、伝達エリアCA内の住民の年齢に応じて、拡声スピーカ10から出力される音の周波数を制御するように構成されてもよい。
【0099】
・評価システム20から音響センサ30が省略されてもよい。本変形例では、評価システム20は、例えば、評価システム20の外部の音響センサから音情報を取得する。
【0100】
・評価システム20から気象センサ40が省略されてもよい。本変形例では、評価システム20は、例えば、子局3の近傍に設置される外部気象センサから、音検出地点DPにおける気象情報を取得してもよい。
【0101】
・制御部51は、例えば、試験放送の放送予定に基づいて、要求信号を音響センサ30及び気象センサ40に送信してもよい。音響センサ30は、サーバ50から要求信号を受信した場合に、音情報をサーバ50に送信するように構成される。気象センサ40は、サーバ50から要求信号を受信した場合に気象情報をサーバ50に送信するように構成される。このように構成されることによって、音響センサ30及び気象センサ40の待機電力の増加を抑制できる。
【0102】
・制御部51は、第1音情報、第2音情報、及び明瞭度のうちの1つまたは2つを、ユーザに表示してもよい。ユーザに表示する第1音情報、第2音情報、及び明瞭度のうちの1つまたは2つは、予め設定されていてもよく、ユーザが選択できてもよい。
【0103】
・制御部51は、複数の音響センサ30のうちの少なくとも2つが取得した明瞭度をユーザに表示してもよい。本変形例では、明瞭度表示部65に、複数の音響センサ30のうちの少なくとも2つが取得した第1音情報及び第2音情報に基づいて算出された明瞭度が表示されてもよい。
【0104】
・制御部51は、複数の音響センサ30のうちの3つ以上が取得した第1音情報及び明瞭度の少なくとも1つをユーザに表示してもよい。複数の音響センサ30のうちの3つ以上の音響センサ30が取得した第1音情報及び第2音情報が、第1音情報表示部64に表示されてもよい。複数の音響センサ30のうちの3つ以上の音響センサ30が取得した第1音情報及び第2音情報に基づいて算出される明瞭度が、明瞭度表示部65に表示されてもよい。複数の音響センサ30のうちの3つ以上の音響センサ30は、例えば、ユーザによって選択されてもよい。
【0105】
・
図8において、複数の音響センサ30のうちの少なくとも2つのうちの1つは、ユーザによって選択された音検出地点DPに設置される音響センサ30であってもよい。言い換えると、第1音情報表示部64には、ユーザが選択した2つ以上の音検出地点DPにおける第1音情報及び第2音情報が表示されてもよい。
【0106】
・ダッシュボード60の表示は、任意に変更できる。データ表示部63において、第1音情報表示部64、明瞭度表示部65、第2音情報表示部66、音声再生部67、及び気象情報表示部68の少なくとも1つの表示が省略されてもよい。ダッシュボード60から表示を省略される第1音情報表示部64、明瞭度表示部65、第2音情報表示部66、音声再生部67、及び気象情報表示部68の少なくとも1つは、ユーザによって選択可能であってもよい。データ表示部63において、第1音情報表示部64、明瞭度表示部65、第2音情報表示部66、音声再生部67、及び気象情報表示部68のそれぞれが表示される領域は、変更可能であってもよい。各領域は、例えば、大きさ、表示位置、表示色等を変更可能に構成される。
【0107】
・クライアントは、評価システム20に含まれなくてもよい。本変形例のクライアントには、例えばユーザ端末54と同様に、評価データを表示するためのOS及びアプリがインストールされる。
【符号の説明】
【0108】
A1…第1エリア、A2…第2エリア、CA…伝達エリア、DP…音検出地点、P1…第1地点、P2…第2地点、T1…第1期間、T2…第2期間、10…拡声スピーカ、11…第1スピーカ、12…第2スピーカ、20…評価システム、30…音響センサ、30A…第1エリア音響センサ、30B…第2エリア音響センサ、31…第1音響センサ、32…第2音響センサ、40…気象センサ、51…制御部、53…評価プログラム。