IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 丸菱油化工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147302
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ポリエステル系繊維用難燃加工剤
(51)【国際特許分類】
   C09K 21/12 20060101AFI20241008BHJP
   D06M 13/292 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C09K21/12
D06M13/292
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060229
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000157717
【氏名又は名称】丸菱油化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105821
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 淳
(72)【発明者】
【氏名】中沼 遼
(72)【発明者】
【氏名】三輪 快
(72)【発明者】
【氏名】石川 章
【テーマコード(参考)】
4H028
4L033
【Fターム(参考)】
4H028AA35
4H028BA04
4L033AB04
4L033AC05
4L033BA39
(57)【要約】
【課題】脂肪族環状ホスホン酸エステルと同等又はそれ以上の難燃性を与えることができるポリエステル系繊維用難燃加工剤を提供する。
【解決手段】リン含有カチオン及びリン含有アニオンが水系溶媒中に含まれる難燃加工剤であって、(a)前記リン含有カチオンが、式A[P(R)](但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルケニル基を示す。)で示されるホスホニウムカチオンであり、及び(b)式B[(R)(R)P(=O)-](但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、直鎖状又は分岐状の炭素数1~8のアルキル基又は直鎖状又は分岐状の炭素数1~8のアルコキシ基を示す。)で示される基を有するアニオンである、ことを特徴とするポリエステル系繊維用難燃加工剤に係る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン含有カチオン及びリン含有アニオンが水系溶媒中に含まれる難燃加工剤であって、
(a)前記リン含有カチオンは、式A[P(R)](但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルケニル基を示す。)で示されるホスホニウムカチオンであり、及び
(b)前記リン含有アニオンは、式B[(R)(R)P(=O)-](但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、直鎖状又は分岐状の炭素数1~8のアルキル基又は直鎖状又は分岐状の炭素数1~8のアルコキシ基を示す。)で示される基を含むアニオンである、
ことを特徴とするポリエステル系繊維用難燃加工剤。
【請求項2】
前記カチオンが、下記式(1):
【化11】
(但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルケニル基を示す。)で示される、請求項1に記載のポリエステル系繊維用難燃加工剤。
【請求項3】
前記アニオンが、
(A)下記式(2)
【化12】
(但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数1~8のアルコキシ基を示す。)で示されるアニオン、及び
(B)式B[(R)(R)P(=O)-](但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、直鎖状又は分岐状の炭素数1~8のアルキル基又は炭素数1~8のアルコキシ基を示す。)で示される基を含むアニオン(但し、前記(A)のアニオンを除く。)
の少なくとも1種である、請求項1に記載のポリエステル系繊維用難燃加工剤。
【請求項4】
ポリエステル系繊維用難燃加工剤中におけるリン含有カチオン及びリン含有アニオンの合計量が0.05~5.0重量%である、請求項1に記載のポリエステル系難燃加工剤。
【請求項5】
吸尽加工又はサーモゾル加工によりポリエステル系繊維に難燃処理を施すために用いられる、請求項1に記載のポリエステル系難燃加工剤。
【請求項6】
ポリエステル系繊維に請求項1に記載のポリエステル系繊維難燃加工剤が含まれることを特徴とする難燃性ポリエステル系繊維。
【請求項7】
ポリエステル系繊維100重量部に対してポリエステル系繊維難燃加工剤がカチオン成分とアニオン成分との固形分合計量として0.01~0.5重量部含まれる、請求項6に記載の難燃性ポリエステル系繊維。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なポリエステル系繊維用難燃加工剤に関する。より具体的には、本発明は、ポリエステル系繊維を後加工によって難燃化処理するための難燃加工剤に関する。
【背景技術】
【0002】
カーテン、カーペット等の内装品をはじめとして各種の用途に使用されるポリエステル繊維製品には、難燃処理(防炎加工)が施されることが多く、製品によっては国が定める難燃性を満たすことが求められる。
【0003】
ポリエステル繊維の後加工による防炎加工処理としては、従前からリン酸グアニジン等に代表されるリン系化合物の水溶液を繊維にパディング加工する手法が使用されている。
【0004】
しかし、上記薬剤のパディング処理では、得られた難燃性の繊維に耐水性がなく、水洗で薬剤が洗い流され、難燃性がなくなるという欠点を有している。また、繊維表面に難燃剤が結晶成長することによる白化現象のほか、難燃剤の潮解性によるベタツキの発生等のように外観不良の問題にも対策が必要となる。
【0005】
このような問題を解決できる手法として、いわゆる耐久難燃加工という処理方法がある。耐久難燃加工方法としては、吸尽加工法、サーモゾル加工法等が知られている。
【0006】
吸尽加工法は、高圧液流染色機にて生地の染色を行う際、同浴に難燃剤を添加し、染色と同時に難燃加工を行う手法となる。染色が必要な生地においては特段の工程追加も必要なく、繊維に耐久性(耐水性・耐ドライクリーニング性)のある難燃加工が可能となるため、幅広い分野で使用されるポリエステル繊維の難燃加工法となっている。
【0007】
サーモゾル加工法は、乾熱処理によってポリエステル繊維を分散染料で染着させる方法で、アメリカ合衆国、デュポン社により開発された歴史的連染法である。サーモゾル加工法の条件を用いても繊維に対して耐久性の難燃化処理が可能となる。サーモゾル加工では、特別な装置を用いることなく従来のパディング加工に加えて熱処理、水洗加工を行うのみで、繊維内部に難燃剤を浸透させることが可能となり、吸尽加工に比較してより簡易に難燃化処理を行える。
【0008】
しかしながら、吸尽加工又はサーモゾル加工で用いることができる難燃剤は特定の化合物に限られている。これらに使用される難燃剤は、熱加工時にポリエステルの弛緩した非晶部分に速やかに浸透拡散し、定着するという性質を持つことが必要であるためである。
【0009】
かつて本分野に一般的に使用されてきたハロゲン系難燃剤であるヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)は、難分解・高蓄積性であり、人体及び環境に悪影響を及ぼすことが危惧されている。日本国内でも平成25年10月4日にいわゆる化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)に基づく第一種特定化合物に指定され、国内での使用は事実上不可能となっている。
【0010】
そのため、近年では一般的にハロゲン系難燃剤としては、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート(TBIC)が使用されている(例えば特許文献1)。これに対し、最近でリン系難燃剤も多用されるに至っている(例えば特許文献2)。例えば、2,4-ジアミノ-2,4,6-トリフェノキシシクロトリホスファゼン、5,5-ジメチル-2-(2’-フェニルフェノキシ)-1,3,2-ジオキサホスホリナン-2-オキシド等がリン系難燃剤として知られているリン系難燃剤が多用される理由は、そもそもハロゲン系難燃剤はそれ自体の毒性のほか、焼却時のダイオキシン発生等の懸念があることから各種の規制化が進んでいるためと考えられる。
【0011】
通常、吸尽加工とサーモゾル加工で使用できる難燃剤は同じである場合が多いが、サーモゾル加工のみに特化したリン系薬剤として、(5-エチル-2-メチル-2-オキシド-1,3,2-ジオキサホスホナリン-5-イル)メチルメチルホスホネート、 ビス(5-エチル-2-メチル-2-オキシド-1,3,2-ジオキ サホスホナリン-5-イル)メチルホスホネート等の脂肪族環状ホスホン酸エステルがある(例えば特許文献3、特許文献4)。これらは、パディング加工後に約170℃以上の熱処理を行うことでポリエステル繊維に優れた耐水性を持つ難燃加工が可能となる。また、これらの薬剤は水溶性が高く、水性の処理液に活性剤を必要としないため、活性剤の添加による不具合(堅牢度の低下、移染性等)もなく、非常に優れた薬剤と言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2012-167411
【特許文献2】特許第6818327号
【特許文献3】特開平7-145562
【特許文献4】特開平7-42087
【特許文献5】特開2021-54924
【特許文献6】国際公開WO2014/2958
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記のような脂肪族環状ホスホン酸エステルは、いわゆる化学兵器禁止法(化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律(平成7年4月5日法律第65号))の化学兵器の前駆物質として指定されているものが存在しており、その取扱い・管理については慎重を要する。例えば、製造、使用及び輸出入を行う場合は、実数量を経済産業大臣に届け出をしなければならないほか、取り扱いの量によっては国際査察を受け入れなければならない等の事務的な手間がかかるため、敬遠される傾向がある。
【0014】
従って、本発明の主な目的は、脂肪族環状ホスホン酸エステルと同等又はそれ以上の難燃性を与えることができるポリエステル系繊維用難燃加工剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の樹脂成分を含む組成を採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、下記のポリエステル系繊維用難燃加工剤に係るものである。
1. リン含有カチオン及びリン含有アニオンが水系溶媒中に含まれる難燃加工剤であって、
(a)前記リン含有カチオンは、式A[P(R)](但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルケニル基を示す。)で示されるホスホニウムカチオンであり、及び
(b)前記リン含有アニオンは、式B[(R)(R)P(=O)-](但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、直鎖状又は分岐状の炭素数1~8のアルキル基又は直鎖状又は分岐状の炭素数1~8のアルコキシ基を示す。)で示される基を有するアニオンである、
ことを特徴とするポリエステル系繊維用難燃加工剤。
2. 前記カチオンが、下記式(1):
【化1】
(但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルケニル基を示す。)で示される、 請求項1に記載のポリエステル系繊維用難燃加工剤。
3. 前記アニオンが、
(A)下記式(2)
【化2】
(但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数1~8のアルコキシ基を示す。)で示されるアニオン、及び
(B)式B[(R)(R)P(=O)-](但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、直鎖状又は分岐状の炭素数1~8のアルキル基又は炭素数1~8のアルコキシ基を示す。)で示される基を含むアニオン(但し、前記(A)のアニオンを除く。)
の少なくとも1種である、前記項1に記載のポリエステル系繊維用難燃加工剤。
4. ポリエステル系繊維用難燃加工剤中におけるリン含有カチオン及びリン含有アニオンの合計量が0.05~5.0重量%である、前記項1に記載のポリエステル系難燃加工剤。
5. 吸尽加工又はサーモゾル加工によりポリエステル系繊維に難燃処理を施すために用いられる、前記項1に記載のポリエステル系難燃加工剤。
6. ポリエステル系繊維に前記項1に記載のポリエステル系繊維難燃加工剤が含まれることを特徴とする難燃性ポリエステル系繊維。
7. ポリエステル系繊維100重量部に対してポリエステル系繊維難燃加工剤がカチオン成分とアニオン成分との固形分合計量として0.01~0.5重量部含まれる、前記項6に記載の難燃性ポリエステル系繊維。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、脂肪族環状ホスホン酸エステルと同等又はそれ以上の難燃性を与えることができるポリエステル系繊維用難燃加工剤を提供することができる。
【0018】
特に、ポリエステル系繊維用難燃加工剤は、特定の有機ホスホニウム塩化合物を含むことから、従来の難燃剤よりも難燃性能が高いだけでなく、低い濃度で優れた難燃性を実現できるため、経済的にも有利である。
【0019】
また、本発明の難燃加工剤は、燃焼時に人体に有害なダイオキシン類似物を発生するおそれがなく、また化学兵器禁止法等の厳しい法規制に該当しないため、その管理・取り扱いが比較的容易である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1.ポリエステル系繊維用難燃加工剤
本発明のポリエステル系繊維用難燃加工剤(本発明難燃加工剤)は、リン含有カチオン及びリン含有アニオンが水系溶媒中に含まれる難燃加工剤であって、
(a)前記リン含有カチオンは、式A[P(R)](但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルケニル基を示す。)で示されるホスホニウムカチオン(カチオン成分)、及び
(b)前記リン含有アニオンは、式B[(R)(R)P(=O)-](但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数1~8のアルコキシ基を示す。)で示される基を有するアニオン(アニオン成分)
である、ことを特徴とする。
【0021】
本発明難燃加工剤は、基本的には水溶液の形態をとり、上記カチオン成分及びアニオン成分が水系溶媒に溶解していること(イオン化していること)が好ましいが、本発明の効果を妨げない範囲内で多少析出していても良い。また、上記カチオン成分及びアニオン成分における価数は、限定的でなく、例えば1価あるいは2価以上の多価のいずれであっても良い。さらに、本発明難燃加工剤は、本発明の効果を妨げない範囲内において、上記カチオン成分及びアニオン成分以外のイオン成分を含んでいても良いが、上記カチオン成分及びアニオン成分以外のイオン成分を含まない系をより好ましく採用することができる。
【0022】
なお、本発明においては、水に溶解することによって上記カチオン成分(リン含有カチオン)及び/又はアニオン成分(リン含有アニオン)を供給できる化合物も上記カチオン成分又はアニオン成分として以下に列記する。従って、例えばリン酸等のように、水に溶解してリン酸イオン(リン含有アニオン)を生成する化合物も包含される。また例えばトリブチル(メチル)ホスホニウムジメチルホスフェート等の有機ホスホニウム塩のように、水に溶解してリン含有カチオン成分とリン含有アニオン成分との両者を供給できる化合物は上記カチオン成分及びアニオン成分として用いることができる。このような化合物は、カチオン成分とアニオン成分の2つを用意する必要がなく、比較的容易に本発明難燃加工剤を調製できるという点で有利である。
【0023】
カチオン成分は、式A[P(R)](但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルケニル基を示す。)で示されるホスホニウムカチオンである。
【0024】
上記カチオンとしては、例えば下記式(1)で示すことができるカチオンを好適に用いることができる。R~Rは、前記と同じである。
【化3】
上記R~Rのアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであっても良い。アルキル基としては、例えばエチル基、メチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基、プロピレン基、ヘキシル基等が挙げられる。アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基等が挙げられる。
【0025】
本発明におけるカチオン成分の好ましい具体例としては、例えばテトラブチルホスホニウム、メチルトリブチルホスホニウム、エチルトリブチルホスホニウム等を挙げることができる。
【0026】
アニオン成分は、式B[(R)(R)P(=O)-](但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、直鎖状又は分岐状の炭素数1~8のアルキル基又は直鎖状又は分岐状の炭素数1~8のアルコキシ基を示す。)で示される基を含む。アニオン成分中において、式Bで示される基は1個又はそれ以上を含まれていても良い。
【0027】
上記アルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであっても良い。例えば、エチル基、メチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、プロピレン基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
【0028】
上記アルコキシ基は、R~Rが、互いに同一又は異なって、-OR(Rは、炭素数1~8のアルキル基)で示されるものである。Rは、直鎖状又は分岐状のいずれであっても良い。例えば、エチル基、メチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、プロピレン基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
【0029】
これらの中でも、以下のような(A)及び(B)の少なくとも1種のアニオン成分を好適に用いることができる。すなわち、アニオン性を有するリン含有化合物を好適に用いることができる。これらは、水に溶解してリン酸イオン等のリン含有アニオンを供給できる化合物である。換言すれば、リン含有化合物が水に溶解することによって生じるリン含有アニオンをアニオン成分として使用することができる。これらは、公知又は市販のものを使用することができる。
【0030】
(A)下記式(2)
【化4】
(但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数1~8のアルコキシ基を示す。)で示されるアニオン、及び
(B)式B[(R)(R)P(=O)-](但し、R~Rは、互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、直鎖状又は分岐状の炭素数1~8のアルキル基又は炭素数1~8のアルコキシ基を示す。)で示される基を含むアニオン(但し、前記(A)のアニオンを除く。)
の少なくとも1種を好適に用いることができる。
【0031】
上記(A)の具体例としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、ブチルホスホン酸、n-オクチルホスホン酸、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート等の少なくとも1種のリン含有化合物を挙げることができる。
【0032】
上記(B)の具体例としては、上記(A)以外のアニオンであって、エチドロン酸、フィチン酸、トリポリリン酸、[ニトリロトリス(メチレン)]トリス(ホスホン酸)、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、N,N,N',N'-エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)等の少なくとも1種を挙げることができる。これらの例示のように、特に、上記式Bで示される基を含むキレート剤を好適に用いることができる。
【0033】
上記エチドロン酸は、下記式(3)により表される化合物である。
【化5】
【0034】
上記フィチン酸は、下記式(4)により表される化合物である。
【化6】
【0035】
上記トリポリリン酸は、下記式(5)により表される化合物である。
【化7】
【0036】
上記[ニトリロトリス(メチレン)]トリス(ホスホン酸)下記式(6)により表される化合物である。
【化8】
【0037】
上記2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸は、下記式(7)により表される化合物である。
【化9】
【0038】
上記N,N,N',N'-エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)は、下記式(8)により表される化合物である。
【化10】
【0039】
水系溶媒としては、a)水、b)水と水溶性有機溶剤の混合溶液又はc)水溶性固体物質が水に溶解してなる水溶液を用いることができる。
【0040】
水溶性有機溶剤としては、例えばエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の一価アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,8-プロパンジオール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で用いることができる。
【0041】
水溶性固体物質としては、公知の難燃加工剤に配合されている各種の成分(添加剤)を挙げることができる。
【0042】
本発明難燃加工剤中におけるカチオン成分の含有量は、限定的ではないが、通常0.01~10重量%程度とすれば良いが、特に0.05~5.0重量%とすることが好ましく、その中でも0.05~2.5重量%とすることがより好ましい。
【0043】
本発明難燃加工剤中におけるアニオン成分の含有量は、限定的ではないが、通常0.01~10重量%程度とすれば良いが、特に0.05~5.0重量%とすることが好ましく、その中でも0.05~2.5重量%とすることがより好ましい。
【0044】
また、本発明難燃加工剤中におけるカチオン成分とアニオン成分との比率は、特に限定されないが、化学等量比でカチオン成分:アニオン成分=1:00.9~1.1程度とすることが好ましい。
【0045】
本発明難燃加工剤においては、本発明の効果を妨げない範囲内において他の添加剤が含まれていても良い。例えば、防腐剤、消臭剤、増粘剤、樹脂バインダー、可縫製向上剤、仕上げ剤、消臭剤、柔軟剤、撥水剤、撥油剤、架橋剤(イソシアネート系、エチレンイミン系、グリシジル系)等が挙げられる。ただし、本発明難燃加工剤では、難燃成分である脂肪族環状ホスホン酸エステルは、本発明の効果を妨げない限り、微量(通常0.1重量%以下)の含有は許容されるが、特に0重量%とすることが好ましい。
【0046】
本発明難燃加工剤は、カチオン成分及びアニオン成分と水系溶媒とを含む水溶液を本発明難燃加工剤として用いることができる。従って、例えば前記各成分を水系溶媒に添加し、カチオン成分及びアニオン成分を水系溶媒に溶解させる工程を含む方法によって、本発明難燃加工剤を好適に調製することができる。この場合、各成分の添加順序等も特に限定されない。また、混合に際しては、例えばミキサー、ニーダー等の公知又は市販の装置を用いて実施することができる。
【0047】
本発明難燃加工剤におけるカチオン成分及びアニオン成分の含有量は、上記で示したような濃度範囲に調整すれば良いが、例えば使用時等において水で希釈することを前提として、濃厚な水溶液として提供することもできる。
【0048】
2.難燃性ポリエステル系繊維
本発明難燃加工剤の適用対象となるポリエステル系繊維の種類は、限定的でなく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等を含む繊維が挙げられる。
【0049】
本発明の効果を妨げない範囲内において、a)他の合成樹脂等とポリエステル樹脂との混合樹脂、ポリマーアロイ等の繊維、b)ポリエステル系繊維と他の合成繊維又は天然繊維(綿、絹、麻等)と混紡された繊維等を本発明難燃処理剤の処理対象とすることもできる。また、繊維の形態も、短繊維又は長繊維のいずれであっても良い。繊維径も、限定的でなく、例えば5~50μm程度に設定することができるが、これに限定されない。
【0050】
また、本発明では、ポリエステル系繊維そのもののほか、ポリエステル系繊維により作製された生地(布地、布帛)等であっても良い。生地としては、織物又は不織布のいずれであっても良い。また、生地は、ポリエステル系繊維単体からなる生地に加え、ポリエステル系繊維と他の繊維(合成繊維又は天然繊維)とを含む生地であっても良い。生地の場合、その目付けは例えば30~500g/m程度とすることができるが、これに限定されない。
【0051】
このように、本発明難燃加工剤によって難燃化されることにより、本発明難燃加工剤を含有するポリエステル系難燃性繊維も、本発明に包含される。この場合、ポリエステル系繊維に対して本発明難燃加工剤が付与される量は、例えば繊維の種類も所望の難燃性等に応じて適宜設定することができるが、通常はポリエステル系繊維100重量部に対して、カチオン成分とアニオン成分との固形分合計量として通常0.05~5.0重量部程度とし、好ましくは0.1~0.5重量部とすれば良い。このように、比較的少ない付与量であっても、高い難燃性を得ることができるので、生産コスト上も有利である。
【0052】
3.難燃性ポリエステル系繊維の製造方法
本発明難燃加工剤を用いてポリエステル系繊維を難燃化処理することにより、難燃性ポリエステル系繊維を製造する方法は、特に限定されず、公知の加工方法及び加工機器を使用して実施することもできる。例えば、パディング加工、バッキング加工、浸漬加工、吸尽加工、スプレー加工、サーモゾル加工、グラビア加工等のいずれも適用することができる。この中でも、本発明難燃加工物は、特に吸尽加工又はサーモゾル加工に好ましく適用することができる。
【0053】
一般に、本発明難燃加工剤の難燃成分のようなイオン性の水溶性化合物は、吸尽加工又はサーモゾル加工を行ってもポリエステル系繊維に耐久性のある難燃加工はできないと考えられていた。この点において、本発明において、特定のカチオン成分及びアニオン成分の組み合わせ(特に有機ホスホニウム塩)が、こういった加工条件によってもポリエステル系繊維内に難燃成分を拡散でき、その結果として得られる難燃性はこれまで予期できなかった性能といえる。
【0054】
特に、本発明では、サーモゾル加工として、(a)ポリエステル系繊維に対して本発明難燃加工剤を用いてパディングする工程(パディング工程)及び(b)加熱下でキュアリングする工程(キュアリング工程)を含む方法を好適に採用することができる。
【0055】
パディング工程では、ポリエステル系繊維を本発明難燃加工剤に浸漬した後、絞り込みを行う。パディング工程は、公知のパディング方法に従って実施することができる。また、公知又は市販のパディング加工装置を用いて実施することもできる。本発明において、パディングは、ドライ形式又はウエット形式のいずれでも良い。また、絞り込み時の絞り率も、限定的ではないが、通常は30~200%程度の範囲内で適宜設定することができる。
【0056】
キュアリング工程では、本発明難燃加工剤を含むポリエステル系繊維を熱処理すれば良い。熱処理条件は、例えば大気中150~200℃程度で熱処理することができるが、これに限定されない。熱処理時間も、例えば30秒~10分程度の範囲内で実施できるが、これ以外の時間も設定可能である。
【0057】
また、キュアリング工程に先立って、必要に応じて、予め予備乾燥を実施することもできる。予備乾燥の条件は、限定的ではないが、通常は大気中50~100℃程度で熱処理することができるが、これに限定されない。熱処理時間も、例えば1~20分程度の範囲内で実施できるが、これ以外の時間も設定可能である。
【0058】
キュアリング工程の後、必要であれば余分な難燃加工剤等を取り除くために洗浄工程を実施することもできる。洗浄工程は、例えば40~80℃程度の温水を用いて実施することができる。
【0059】
このようにして本発明難燃加工剤の難燃成分(カチオン成分及びアニオン成分等)を含む難燃性ポリエステル系繊維を得ることができる。すなわち、少なくともカチオン成分及びアニオン成分がポリエステル系繊維に付着してなる難燃性ポリエステル系繊維を提供することができる。
【実施例0060】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、本実施例中における「%」は「重量%」を意味する。
【0061】
[調製例A]
製品名「ヒシコーリンPX-4MP(日本化学工業製、トリブチル(メチル)ホスホニウムジメチルホスフェート)10gにイオン交換水を加え、固形分が20%になるように希釈し、難燃加工剤Aを得た。
【0062】
[調製例B]
トリブチル(エチル)ホスホニウムジエチルホスファート(東京化成工業製)10gにイオン交換水を加え、固形分が20%になるように希釈し、難燃加工剤Bを得た。
【0063】
[調製例C]
テトラブチルホスホニウムヒドロキシドの40%水溶液(東京化成工業製)10.367gをビーカーに投入し、撹拌しつつDibutyl phosphate(東京化成工業製)3.153gを徐々に加え、さらに10分間室温で撹拌した。得られた水溶液をイオン交換水で固形分が20%になるように希釈し、難燃加工剤Cを得た。
【0064】
[調製例D]
難燃加工剤CのDibutyl phosphateをメチルホスホン酸(東京化成工業製)0.720gに置き換えた以外は、実施例3と同様にして、固形分を20%に調整し、難燃加工剤Dを得た。
【0065】
[調製例E]
難燃加工剤CのDibutyl phosphateをエチルホスホン酸(東京化成工業製)0.826gに置き換えた以外は、実施例3と同様にして、固形分を20%に調整し、難燃加工剤Eを得た。
【0066】
[調製例F]
難燃加工剤CのDibutyl phosphateをブチルホスホン酸(東京化成工業製)1.036gに置き換えた以外は、実施例3と同様にして、固形分を20%に調整し、難燃加工剤Fを得た。
【0067】
[調製例G]
難燃加工剤CのDibutyl phosphateをリン酸(ラサ工業製)0.654gに置き換えた以外は、実施例3と同様にして、固形分を20%に調整し、難燃加工剤Gを得た。
【0068】
[調製例H]
難燃加工剤CのDibutyl phosphateを亜リン酸(東京化成工業製)0.615gに置き換えた以外は、実施例3と同様にして、固形分を20%に調整し、難燃加工剤Hを得た。
【0069】
[調製例I]
難燃加工剤CのDibutyl phosphateを次亜リン酸(大道製薬製)1.980gに置き換えた以外は、実施例3と同様にして、固形分を20%に調整し、難燃加工剤Iを得た。
【0070】
[調製例J]
難燃加工剤CにおけるDibutyl phosphateをフィチン酸(東京化成工業製)1.650gに置き換えた以外は、実施例3と同様にして、固形分を20%に調整し、難燃加工剤Jを得た。
【0071】
[調製例K]
難燃加工剤CにおけるDibutyl phosphateをエチドロン酸(キレスト社製)1.030gに置き換えた以外は、実施例3と同様にして、固形分を20%に調整し、難燃加工剤Kを得た。
【0072】
[調製例L]
難燃加工剤CのDibutyl phosphateをBis(2-ethilhexyl)hydrogen phosphate(東京化成工業製)4.836gに置き換えた以外は、実施例3と同様にして、固形分を20%に調整し、難燃加工剤Lを得た。
【0073】
[調製例M]
難燃加工剤CのDibutyl phosphateを製品名「キレストPH-320」(キレスト社製、Nitrilotris(methylene phosphonic acid))1.495gに置き換えた以外は、実施例3と同様にして、固形分を20%に調整し、難燃加工剤Mを得た。
【0074】
[調製例N]
難燃加工剤CのDibutyl phosphateを製品名「キレストPH-430」(Phosphonobutane tricarboxylic acid)0.103gに置き換えた以外は、実施例3と同様にして、固形分を20%に調整し、難燃加工剤Nを得た。
【0075】
[調製例O]
製品名「ノンネンR031-5」(丸菱油化工業製、脂肪族環状ホスホン酸エステルの80%水溶液)にイオン交換水を加え、固形分が20%となるように希釈し、難燃加工剤Oを得た。
【0076】
[調製例P]
1,3-Dimethylimidazolium Dimethyl Phosphate(東京化成工業製)10gをビーカーに投入し、撹拌しつつ、イオン交換水で固形分が20%になるように希釈し、難燃加工剤Pを得た。
【0077】
[調製例Q]
製品名「ヒシコーリンPX-4BT(日本化学工業製、Tetrabutylphosphonium benzotriazolate)10gをビーカーに投入し、撹拌しつつ、イオン交換水で有効成分が20%になるように希釈し、難燃加工剤Qを得た。
【0078】
[調製例R]
テトラブチルホスホニウムヒドロキシドの40%水溶液(東京化成工業製)13.822gをビーカーに投入し、撹拌しつつDiphenyl phosphate(東京化成工業製)5.004gを徐々に加え、さらに10分間室温で撹拌した。得られた水溶液をイオン交換水で固形分が20%になるように希釈し、難燃加工剤Rを得た。
【0079】
[実施例1~14及び比較例1~5]
表1に示すように、各調製例で得られた難燃加工剤をリン化合物ベースで目的濃度となるように水で希釈し、加工液とした。
各加工液を用い、絞り率100%にてポリエステル布(目付220g/mの白色ポリエステル布)をパティング処理した。さらに、80℃で10分間予備乾燥した後、180℃で1分間キュアリングを行った。次いで、生地表面に上つきした難燃加工剤を10分間50℃の湯洗いで洗い流し、80℃で乾燥させることによって難燃加工試験布を得た。各難燃加工試験布において、上記ポリエステル布100重量部に対する難燃加工剤の付与量(カチオン成分及びアニオン成分の合計量)は、表1の「薬剤濃度」にそれぞれ示す。
【0080】
[試験例1]
各実施例及び比較例で得られた難燃加工試験布の難燃性について評価した。その結果を表1に示す。
なお、表1中の「-」は試験を実施しなかったことを示す。これらは、水洗い洗濯なしの段階で不合格となったため、以降の試験を中止したものである。
【0081】
(1)難燃加工試験布の処理
難燃評価は、水洗い洗濯なしの試料として、難燃加工試験布をそのまま用いた(「洗濯なし」と表記)。また、水洗い洗濯した後の試料として、難燃加工試験布を日本産業規格「JIS L 1091(1999)」に記載された方法に従って洗濯したものを用いた(「洗濯」と表記)。さらに、ドライクリーニング後の試料として、難燃加工試験布を日本産業規格「JIS L 1091(1999)」に記載された方法に従ってドライクリーニングしたものを用いた(「ドライ」と表記)。これらの試料を用いて、以下の方法によってポリエステル布の難燃性を評価した。
【0082】
(2)難燃性の評価
(2-1)ミクロバーナー試験(残炎試験)
日本産業規格「JIS L 1091(1999)」に記載されているA-1法(ミクロバーナ法)に準じて残炎時間(秒)、燃焼面積(cm)を測定し、難燃性を評価した。残炎時間(秒)、燃焼面積(cm)は、いずれも数値が小さいほど難燃性が高いことを示す。評価結果は、それぞれ難燃加工試験布の生地の縦方向及び横方向で試験を行ったので、縦方向の結果と横方向の結果の2つずつを示す。
(2-2)コイル法(接炎試験)
日本産業規格「JIS L 1091(1999)」に記載されているD法(接炎試験)に準じて接炎回数(難燃加工試験布が溶融し尽くすまでに必要なバーナーの炎を接する回数)を測定し、難燃性を評価した。接炎回数が多いほど難燃性が高いことを示す。評価結果は、それぞれ難燃加工試験布の生地の縦方向及び横方向で試験を行ったので、縦方向の結果と横方向の結果の2つずつを示す。
【0083】
【表1】
【0084】
表1の結果からも明らかなように、脂肪族環状ホスホン酸エステルで構成された難燃加工剤2.0%を付与した比較例1は十分な難燃性能が発揮されているが、薬剤濃度を半分の1.0%とした比較例2では難燃性能が不十分であることがわかる。
【0085】
また、イミダゾリウムとリン含有アニオンで構成された比較例3、ホスホニウムカチオンとベンゾトリアゾレートで構成された難燃加工剤を用いた比較例4では、ポリエステル繊維に十分な難燃性を付与することができなかった。
【0086】
さらに、ホスホニウムカチオン及びリン含有アニオンの組み合わせであっても、リン含有アニオンに付属する炭素鎖がアルキル基でなくフェニル基である比較例5も、ポリエステル繊維に所望の難燃性を付与することができなかった。
【0087】
これら比較例に対し、本発明のホスホニウムカチオンとリン含有アニオンを組み合わせた難燃加工剤による加工を行った実施例1~14は、加工薬剤濃度が0.25~0.5%という極めて低い濃度であっても、ポリエステル繊維に高い難燃性能を付与することができた。しかも、その難燃性能は、洗濯及びドライクリーニングを実施した後にも十分に維持されることが確認できた。