(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147308
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】工具ホルダおよび複合加工旋盤
(51)【国際特許分類】
B23B 29/12 20060101AFI20241008BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20241008BHJP
B23Q 11/10 20060101ALI20241008BHJP
B23B 29/24 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B23B29/12 Z
B23Q11/00 L
B23Q11/10 E
B23B29/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060237
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】飯岡 直樹
【テーマコード(参考)】
3C011
3C046
【Fターム(参考)】
3C011EE05
3C011EE08
3C046MM07
3C046NN27
(57)【要約】
【課題】高圧の冷却流体を回転工具および固定工具のいずれにも噴射することができる工具ホルダを提供する。
【解決手段】回転工具ホルダ1のホルダハウジング2に、タービン室21、一端が低圧冷却流体入口22となるとともに他端がタービン室21内に通じている低圧冷却流体通路23、および一端がタービン室21内に通じるとともに他端が高圧冷却流体出口24となる高圧冷却流体通路25が形成されている。ホルダハウジング2内に工具主軸3が配置され、工具主軸3のタービン室21内への突出部に、低圧冷却流体通路23からタービン室21内に送り込まれた低圧冷却流体を圧縮するインペラ4が固定状に設けられている。ホルダハウジング2に、高圧冷却流体出口24から送り出される高圧冷却流体を工具主軸3に装着された回転工具T1に向かって吐出する噴射ノズル8が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を有するホルダハウジングを備えかつ複合加工旋盤のタレットの工具取付ステーションに取り付けられる工具ホルダであって、
前記ホルダハウジングに、タービン室、一端が前記ホルダハウジングの外面に開口した低圧冷却流体入口となっているとともに他端が前記タービン室内に通じている低圧冷却流体通路、および一端が前記タービン室内に通じるとともに他端が前記ホルダハウジングの外面に開口した高圧冷却流体出口となっている高圧冷却流体通路が形成されており、
前記ホルダハウジング内に、一端が前記タービン室内に突出した回転自在の回転軸が配置され、前記回転軸における前記タービン室内への突出部に、前記低圧冷却流体通路から前記タービン室内に送り込まれた低圧冷却流体を圧縮する冷却流体圧縮用のインペラが固定状に設けられ、前記ホルダハウジングに、前記高圧冷却流体出口から送り出される高圧冷却流体を前記ホルダハウジングに装着された前記工具に向かって吐出する噴射ノズルが設けられている、工具ホルダ。
【請求項2】
前記回転軸が、前記タービン室内に突出した側とは反対側の端部に回転工具装着部を有する工具主軸であり、前記工具主軸の前記回転工具装着部に回転工具が装着されており、前記ホルダハウジング内に、前記工具主軸を回転させる回転自在の駆動軸が配置され、前記駆動軸と前記工具主軸との間に、前記駆動軸の回転を前記工具主軸に伝えて前記工具主軸を回転させる伝動装置が設けられており、前記噴射ノズルが前記工具主軸に装着された回転工具に高圧冷却流体を噴射するようになっている、請求項1記載の工具ホルダ。
【請求項3】
前記ホルダハウジングの外面に固定工具が装着されており、前記噴射ノズルが前記固定工具に高圧冷却流体を噴射するようになっている、請求項1記載の工具ホルダ。
【請求項4】
回転工具を保持する回転工具ホルダが取り付けられる少なくとも1つの回転工具取付ステーションと、固定工具を保持する固定工具ホルダが取り付けられる少なくとも1つの固定工具取付ステーションとが設けられているタレットを備えた複合加工旋盤であって、前記回転工具ホルダが請求項2記載の工具ホルダからなる、複合加工旋盤。
【請求項5】
回転工具を保持する回転工具ホルダが取り付けられる少なくとも1つの回転工具取付ステーションと、固定工具を保持する固定工具ホルダが取り付けられる少なくとも1つの固定工具取付ステーションとが設けられているタレットを備えた複合加工旋盤であって、
前記回転工具ホルダが請求項2記載の工具ホルダからなり、前記固定工具ホルダが請求項3記載の工具ホルダからなり、前記回転工具ホルダの前記駆動軸が前記タレットに設けられた回転駆動機構により回転させられるようになっており、前記固定工具ホルダの前記回転軸が、前記タレットに設けられた回転駆動機構により回転させられるようになっている、複合加工旋盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は工具ホルダおよびこれを用いた複合加工旋盤に関する。
【背景技術】
【0002】
回転工具が取り付けられる工具ホルダとして、特許文献1記載のものが知られている。特許文献1記載の工具ホルダは、旋盤の刃物台に取付けられるハウジングにスピンドル挿入孔を設け、このスピンドル挿入孔内に挿通されて一方向に回転駆動されるスピンドルには先端面から軸方向に延びるシャンク挿入孔と、そのシャンク挿入孔の閉塞端から軸方向に延びるねじ孔とを形成し、前記スピンドルの先端部にシャンク挿入孔に挿入される工具のシャンクを挟持するチャック機構を設け、前記ねじ孔に工具のシャンク後端面を位置決めするアジャストスクリュをねじ係合し、そのアジャストスクリュに軸方向の通路を形成し、前記ハウジングには工具の刃部外周に向けてクーラントを噴射する外部給油ノズルを設け、前記ハウジングにはその後端面から前記アジャストスクリュの背部に形成された油溜りに連通する第1給油通路と、その油溜りと外部給油ノズルに連通する第2給油通路とを設け、前記第2給油通路に開閉用の切換えバルブを組込んだ旋盤用工具ホルダである。
【0003】
特許文献1記載の工具ホルダを用いて切削加工を行なう場合は、シャンク挿入孔内に工具のシャンクを挿入し、シャンク後端面をアジャストスクリュの先端面に密着させた状態で、そのシャンクをチャック機構により挟持してスピンドルと共に工具を回転させる。
【0004】
ここで、工具が油通路を有しない工具であれば、アジャストスクリュに形成された通路の先端開口は、アジャストスクリュの先端面に密着された工具シャンクの後端面で閉塞されるので、切換えバルブを開放する。切換えバルブを開放すると、刃物台側から第1給油通路に供給されたクーラントは油溜りから第2給油通路に流れて外部給油ノズルに至り、その外部給油ノズルから工具の刃部外周に向けてクーラントが噴射される。
【0005】
一方、工具が油通路を内部に有する工具であれば、油通路はアジャストスクリュの通路と連通するので、切換えバルブを閉鎖する。切換えバルブを閉鎖すると、第1給油通路に供給されたクーラントはアジャストスクリュの通路に流れ、工具シャンクの後端から工具内に形成された油通路に流れ、油通路先端から流出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の工具ホルダでは、回転工具に供給されるクーラントの吐出圧はクーラント供給ポンプの能力に依存する。一般的なクーラント供給ポンプでは、クーラント吐出圧が低く、冷却効果、潤滑効果や切粉付着防止効果が十分ではないおそれがある。また、バイトなどの固定工具へのクーラントの噴射も同様に、クーラントの吐出圧力はクーラント供給ポンプの能力に依存し、一般的には吐出圧力が低く、冷却効果、潤滑効果や切粉付着防止効果が十分ではないおそれがある。
【0008】
この発明の目的は、上記課題を解決し、簡単な構成で冷却流体を圧縮して高圧にすることが可能になり、高圧の冷却流体を回転工具および固定工具のいずれにも噴射することができて、工具の冷却および潤滑、ならびに切粉付着防止を効果的に行いうる工具ホルダおよび複合加工旋盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0010】
1)工具を有するホルダハウジングを備えかつ複合加工旋盤のタレットの工具取付ステーションに取り付けられる工具ホルダであって、
前記ホルダハウジングに、タービン室、一端が前記ホルダハウジングの外面に開口した低圧冷却流体入口となっているとともに他端が前記タービン室内に通じている低圧冷却流体通路、および一端が前記タービン室内に通じるとともに他端が前記ホルダハウジングの外面に開口した高圧冷却流体出口となっている高圧冷却流体通路が形成されており、
前記ホルダハウジング内に、一端が前記タービン室内に突出した回転自在の回転軸が配置され、前記回転軸における前記タービン室内への突出部に、前記低圧冷却流体通路から前記タービン室内に送り込まれた低圧冷却流体を圧縮する冷却流体圧縮用のインペラが固定状に設けられ、前記ホルダハウジングに、前記高圧冷却流体出口から送り出される高圧冷却流体を前記ホルダハウジングに装着された前記工具に向かって吐出する噴射ノズルが設けられている、工具ホルダ。
【0011】
2)前記回転軸が、前記タービン室内に突出した側とは反対側の端部に回転工具装着部を有する工具主軸であり、前記工具主軸の前記回転工具装着部に回転工具が装着されており、前記ホルダハウジング内に、前記工具主軸を回転させる回転自在の駆動軸が配置され、前記駆動軸と前記工具主軸との間に、前記駆動軸の回転を前記工具主軸に伝えて前記工具主軸を回転させる伝動装置が設けられており、前記噴射ノズルが前記工具主軸に装着された回転工具に高圧冷却流体を噴射するようになっている、上記1)記載の工具ホルダ。
【0012】
3)前記ホルダハウジングの外面に固定工具が装着されており、前記噴射ノズルが前記固定工具に高圧冷却流体を噴射するようになっている、上記1)記載の工具ホルダ。
【0013】
4)回転工具を保持する回転工具ホルダが取り付けられる少なくとも1つの回転工具取付ステーションと、固定工具を保持する固定工具ホルダが取り付けられる少なくとも1つの固定工具取付ステーションとが設けられているタレットを備えた複合加工旋盤であって、前記回転工具ホルダが上記2)記載の工具ホルダからなる、複合加工旋盤。
【0014】
5)回転工具を保持する回転工具ホルダが取り付けられる少なくとも1つの回転工具取付ステーションと、固定工具を保持する固定工具ホルダが取り付けられる少なくとも1つの固定工具取付ステーションとが設けられているタレットを備えた複合加工旋盤であって、
前記回転工具ホルダが上記2)記載の工具ホルダからなり、前記固定工具ホルダが上記3)記載の工具ホルダからなり、前記回転工具ホルダの前記駆動軸が前記タレットに設けられた回転駆動機構により回転させられるようになっており、前記固定工具ホルダの前記回転軸が、前記タレットに設けられた回転駆動機構により回転させられるようになっている、複合加工旋盤。
【発明の効果】
【0015】
上記1)の工具ホルダによれば、回転軸とともにタービン室のインペラが回転することによって、低圧冷却流体通路を通ってタービン室に送り込まれた冷却流体が圧縮されて高圧となり、高圧冷却流体が高圧流体通路を通って噴射ノズルから工具ホルダに装着された工具に噴射される。したがって、回転工具および固定工具のいずれもが取り付けられた場合であっても、高圧の冷却流体を工具に噴射することが可能になり、工具の冷却および潤滑、ならびに切粉付着防止を効果的に行うことができる。しかも、冷却流体を高圧に圧縮するための専用の装置、および当該装置を駆動するための動力を必要とせず、構成が簡単になる。
【0016】
上記2)の工具ホルダによれば、工具主軸とともにタービン室のインペラが回転することによって、低圧冷却流体通路を通ってタービン室に送り込まれた冷却流体が圧縮されて高圧となり、高圧冷却流体が高圧流体通路を通って噴射ノズルから工具主軸に装着された回転工具に噴射される。したがって、高圧の冷却流体を回転工具に噴射することが可能になり、回転工具の冷却および潤滑、ならびに切粉付着防止を効果的に行うことができる。しかも、冷却流体を高圧に圧縮するための専用の装置、および当該装置を駆動するための動力を必要とせず、構成が簡単になる。
【0017】
上記3)の工具ホルダによれば、回転軸とともにタービン室のインペラが回転することによって、低圧冷却流体通路を通ってタービン室に送り込まれた冷却流体が圧縮されて高圧となり、高圧冷却流体が高圧流体通路を通って噴射ノズルから工具ホルダに装着された固定工具に噴射される。したがって、高圧の冷却流体を固定工具に噴射することが可能になり、固定工具の冷却および潤滑、ならびに切粉付着防止を効果的に行うことができる。しかも、タレットに設けられ、かつ回転工具が装着された工具ホルダの工具主軸を回転させる回転駆動機構によって、インペラが固定状に設けられた回転軸を回転させるようにしておけば、冷却流体を高圧に圧縮するための専用の装置、および当該装置を駆動するための動力を必要とせず、構成が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の実施形態1の回転工具ホルダを概略的に示す断面図である。
【
図2】この発明の実施形態2の固定工具ホルダを概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
以下の説明において、
図1および
図2の下側を前、これと反対側を後といい、両図の左右を左右というものとする。
実施形態1
この実施形態は
図1に示すものである。
図1は複合加工旋盤におけるタレットの回転工具取付ステーションに取り付けられる回転工具ホルダの全体構成を概略的に示す。
【0021】
図1において、回転工具ホルダ1(工具ホルダ)は、図示しない複合加工旋盤のタレットの回転工具取付ステーションに取り付けられるものであって、ホルダハウジング2と、ホルダハウジング2内に長手方向を左右方向に向けた状態で左右方向に延びる軸線の回りに回転自在に配置された工具主軸3(回転軸)と、工具主軸3の右端部に固定状に設けられたインペラ4と、ホルダハウジング2内に長手方向を前後方向に向けた状態で前後方向に延びる軸線の回りに回転自在に配置され、工具主軸3を回転させる駆動軸5とを備えている。
【0022】
ホルダハウジング2に、ホルダハウジング2の右側部に位置するタービン室21、一端がホルダハウジング2前面の右側部分に開口した低圧冷却流体入口22となっているとともに他端がタービン室21内に通じている低圧冷却流体通路23、一端がタービン室21内に通じるとともに他端がホルダハウジング2の左端面に開口した高圧冷却流体出口24となっている高圧冷却流体通路25、一端がホルダハウジング2の左端面に開口するとともに他端がタービン室21内に開口した工具主軸挿入孔26、および一端がホルダハウジング2における低圧冷却流体入口22よりも左方の部分に設けられた前方突出部27の突出端面に開口するとともに他端が工具主軸挿入孔26に開口した駆動軸挿入孔28が形成されている。なお、高圧冷却流体通路25は、工具主軸挿入孔26および駆動軸挿入孔28との干渉を避けるように、ホルダハウジング2における工具主軸挿入孔26および駆動軸挿入孔28よりも
図1紙面裏側を迂回している。また、ホルダハウジング2の左端面に、高圧冷却流体出口24から送り出される高圧冷却流体を吐出する噴射ノズル8が設けられている。
【0023】
工具主軸3は、工具主軸挿入孔26内に配置されて、左右方向に間隔をおいて配置された転がり軸受6によりホルダハウジング2に回転自在に支持されている。工具主軸3の右端部はタービン室21内に突出している。工具主軸3の左端部には回転工具装着部31が設けられており、回転工具装着部31に回転工具T1がコレット32およびロックナット33を利用して取り付けられている。噴射ノズル8は、工具主軸3に装着された回転工具T1に向かって高圧冷却流体を吐出する。
【0024】
インペラ4は、工具主軸3におけるタービン室21内への突出部に固定状に設けられている。
【0025】
駆動軸5は、駆動軸挿入孔28内に配置されて、前後方向に間隔をおいて配置された転がり軸受7によりホルダハウジング2に回転自在に支持されている。駆動軸5は、たとえば回転工具ホルダが装着される複合加工旋盤のタレットに設けられた図示しない回転駆動機構により回転させられるようになっている。
【0026】
駆動軸5と工具主軸3との間に、駆動軸5の回転力を工具主軸3に伝えて工具主軸3を回転させる伝動装置9が設けられている。伝動装置9は、駆動軸5の後端部に設けられた駆動かさ歯車91と、工具主軸5の長さの中間部に設けられて駆動かさ歯車91と噛み合う従動かさ歯車92とからなる。
【0027】
上述した回転工具ホルダ1において、回転工具T1を用いた加工時には、複合加工旋盤のタレットに設けられた回転駆動機構により駆動軸5が回転させられ、伝動装置9を介して工具主軸3が回転させられる。工具主軸3の回転に伴ってインペラ4が回転し、低圧冷却流体入口22から低圧冷却流体通路23を通ってタービン室21内に送り込まれたクーラントや、冷却ガスなどの低圧冷却流体が圧縮されて高圧となり、高圧冷却流体が高圧冷却流体通路25を通って高圧冷却流体出口24に流れる。高圧冷却流体出口24に流れた高圧冷却流体は、噴射ノズル8から回転工具T1に噴射され、回転工具T1の冷却および潤滑、ならびに切粉付着防止が行われる。
実施形態2
この実施形態は
図2に示すものである。
図2は複合加工旋盤におけるタレットの固定工具取付ステーションに取り付けられる固定工具ホルダの全体構成を概略的に示す。
【0028】
図2において、固定工具ホルダ100(工具ホルダ)は、図示しない複合加工旋盤のタレットの固定工具取付ステーションに取り付けられるものであって、ホルダハウジング200と、ホルダハウジング200内に長手方向を前後方向に向けた状態で前後方向に延びる軸線の回りに回転自在に配置された回転軸300と、回転軸300の後端部に固定状に設けられたインペラ400とを備えている。
【0029】
ホルダハウジング200に、ホルダハウジング200の前側部に位置するタービン室201、一端がホルダハウジング200前面の右側部分に開口した低圧冷却流体入口202となっているとともに他端がタービン室201内に通じている低圧冷却流体通路203、一端がタービン室201内に通じるとともに他端がホルダハウジング200の後面の左側部分に開口した高圧冷却流体出口204となっている高圧冷却流体通路205、および一端がホルダハウジング200の前面における低圧冷却流体入口202よりも左側部分に開口するとともに他端がタービン室201内に開口した回転軸挿入孔206が形成されている。
【0030】
ホルダハウジング200の後面左端部に、バイトなどの固定工具T2が取り付けられている。また、ホルダハウジング200の後面における固定工具T2の取付位置よりも右側の部分に、高圧冷却流体出口204から送り出される高圧冷却流体を固定工具T2に向かって吐出する噴射ノズル500が設けられている。
【0031】
回転軸300は、回転軸挿入孔206内に配置されて、前後方向に間隔をおいて配置された転がり軸受600によりホルダハウジング200に回転自在に支持されている。回転軸300の後端部はタービン室201内に突出している。回転軸300は、たとえば固定工具ホルダ100が装着される複合加工旋盤のタレットに設けられ、かつ当該タレットの回転工具取付ステーションに取り付けられた回転工具ホルダの回転工具を回転させる図示しない回転駆動機構により回転させられるようになっている。
【0032】
インペラ400は、回転軸300におけるタービン室201内への突出部に固定状に設けられている。
【0033】
上述した固定工具ホルダ100において、固定工具T2を用いた加工時には、複合加工旋盤のタレットに設けられ、かつ当該タレットの回転工具取付ステーションに取り付けられた回転工具ホルダの回転工具を回転させる回転駆動機構により回転軸300が回転させられる。回転軸300の回転に伴ってインペラ400が回転し、低圧冷却流体入口202から低圧冷却流体通路203を通ってタービン室201内に送り込まれたクーラントや、冷却ガスなどの低圧冷却流体が圧縮されて高圧となり、高圧冷却流体が高圧冷却流体通路205を通って高圧冷却流体出口204に流れる。高圧冷却流体出口204に流れた高圧冷却流体は、噴射ノズル500から固定工具T2に噴射され、固定工具T2の冷却および潤滑、ならびに切粉付着防止が行われる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明による工具ホルダは、複合加工旋盤に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0035】
1:回転工具ホルダ(工具ホルダ)、2:ホルダハウジング、21:タービン室、22:低圧冷却流体入口、23:低圧冷却流体通路、24:高圧冷却流体出口、25:高圧冷却流体通路、3:工具主軸(回転軸)、4:インペラ、8:噴射ノズル、100:固定工具ホルダ(工具ホルダ)、200:ホルダハウジング、201:タービン室、202:低圧冷却流体入口、203:低圧冷却流体通路、204:高圧冷却流体出口、205:高圧冷却流体通路、300:回転軸、400:インペラ、500:噴射ノズル、T1:回転工具、T2:固定工具。