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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147309
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20240101AFI20241008BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060239
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】木村 浩
(72)【発明者】
【氏名】ハオ イージャ
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA00
3D344AB01
3D344AD01
(57)【要約】
【課題】包囲部材として、脆性材料を用いる場合であっても、衝突時に、シャープエッジの発生を抑制可能とする車両用表示装置を提供する。
【解決手段】情報を表示する表示部110と、表示部を側方から包囲する筒状部材であって、端部133が開口部として形成された立ち壁部132と、透光性を有し、立ち壁部の開口部を塞ぐように表示部の表示面111よりも視認側に配置された板状のカバーパネル120と、を備え、車両のダッシュボード10上に立ち姿勢となるように搭載された車両用表示装置であって、立ち壁部は、金属製の脆性材料から成り、塑性材料あるいは延性材料から成り、立ち壁部において表示部の上側に位置する部分である上方立壁部132Aの端部となる上方端部133Aおよび外周側面136を覆い、外部からの衝撃を緩和する緩和部140が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示部(110)と、
前記表示部を側方から包囲する筒状部材であって、視認側端部(133)が開口部として形成された包囲部(132)と、
透光性を有し、前記包囲部の前記開口部を塞ぐように前記表示部の表示面(111)よりも視認側に配置された板状のカバー部(120)と、を備え、
車両のダッシュボード(10)上に立ち姿勢となるように搭載された車両用表示装置であって、
前記包囲部は、金属製の脆性材料から成り、
塑性材料あるいは延性材料から成り、前記包囲部において前記表示部の上側に位置する部分である上方包囲部(132A)の前記視認側端部となる上方視認側端部(133A)および外周側面(136)を覆い、外部からの衝撃を緩和する緩和部(140)が設けられた車両用表示装置。
【請求項2】
前記緩和部の視認側の端面(142a)は、前記カバー部の表面よりも視認側に突出している請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記緩和部は、前記上方包囲部に対して、前記上方包囲部および前記緩和部の一方に設けられた凸部(138)と、他方に設けられた凹部(141a)との係合によって固定された請求項1または請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記凸部の先端部に頭部(138a)が設けられており、
前記凹部は、前記頭部を挿通可能とする第1凹部(141b)と、前記凸部を挿入可能とする第2凹部(141c)とが繋がって形成されており、
前記凸部は、前記第2凹部に係合された請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記凸部、あるいは前記凹部の係合方向の面は、テーパー状に形成された請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記凹部の内周面に弾性体(141d)が設けられた請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記凹部にザグリ部(141e)が形成されており、
前記頭部は、前記ザグリ部内に隠れている請求項4に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記緩和部は、前記上方包囲部に対して、インサート成形によって固定された請求項1または請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項9】
前記緩和部は、前記上方包囲部に対して、接着によって固定された請求項1または請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項10】
前記緩和部と前記上方包囲部とが接触する面に段部(141g)が設けられた請求項9に記載の車両用表示装置。
【請求項11】
前記緩和部と前記上方包囲部とが接触する面に段部(141g)が設けられ、
前記緩和部は、前記上方包囲部に対して、圧入により固定された請求項1または請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項12】
前記緩和部の表面に所定の表面処理が加えられた請求項1または請求項2に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用表示装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1の車両用表示装置は、情報を表示する表示部と、表示部を側方から包囲して、視認側端部が開口した包囲部材と、透光性を有し、包囲部材の開口部を塞ぐように、表示部の表示面よりも視認側に配置されたカバー部材と、包囲部材の内側に配置された内部フレーム端部と、を備えている。
【0003】
包囲部材は、樹脂材料によって形成されている。カバー部材は、包囲部材の内側面から中心側に張り出すカバー受け部に支持されている。また、包囲部材の視認側端部は、カバー部材の視認側表面には被さらないようになっている。
【0004】
そして、包囲部材において表示部の上側に位置する上方包囲部の視認側端部である上方視認側端部は、カバー部材の表面よりも視認側に突出しており、上方視認側端部の突出量は、0.1mm以上、2.0mm以下に設定されている。
【0005】
これにより、車両の前端衝突のときに、乗員の頭部が、カバー部材よりも上方視認側端部に先に衝突するので、カバー部材に衝撃が直接印加されることが抑制され、カバー部材が割れるおそれを低減するようにしている。また、内部フレーム端部によって、頭部衝突の衝撃によって、上方包囲部材が下方(カバー部材側)に変位するのを抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-126155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、包囲部材の剛性を高めるために、例えば、マグネシウムのような脆性材料が採用される場合がある。脆性材料を用いた包囲部材においては、衝撃が付加されて、包囲部材が破損したときに、破断面にシャープエッジが形成される場合がある。
【0008】
本開示の目的は、上記問題に鑑み、包囲部材として、脆性材料を用いる場合であっても、衝突時に、シャープエッジの発生を抑制可能とする車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0010】
第1の開示では、情報を表示する表示部(110)と、
表示部を側方から包囲する筒状部材であって、視認側端部(133)が開口部として形成された包囲部(132)と、
透光性を有し、包囲部の開口部を塞ぐように表示部の表示面(111)よりも視認側に配置された板状のカバー部(120)と、を備え、
車両のダッシュボード(10)上に立ち姿勢となるように搭載された車両用表示装置であって、
包囲部は、金属製の脆性材料から成り、
塑性材料あるいは延性材料から成り、包囲部において表示部の上側に位置する部分である上方包囲部(132A)の視認側端部となる上方視認側端部(133A)および外周側面(136)を覆い、外部からの衝撃を緩和する緩和部(140)が設けられている。
【0011】
第1の開示によれば、包囲部が脆性材料から形成される場合であっても、衝突時の衝撃を緩和部によって緩和することができる。したがって、上方視認側端部におけるシャープエッジの発生を抑制することができる。また、仮にシャープエッジの発生があっても、緩和部によってシャープエッジの露出をなくすことができる。
【0012】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】車両用表示装置の車両への取付け状態を示す説明図である。
図2】緩和部を除く車両用表示装置の外観を示す説明図である。
図3図2におけるIII-III部を示す断面図である。
図4】緩和部の設定位置を示す説明図である。
図5】係合による上方立壁部と緩和部との固定状態を示す断面図である。
図6】頭部を追加した場合を示す断面図である。
図7】第1穴部および第2穴部を示す説明図である。
図8】テーパー状に形成された爪部を示す説明図である。
図9】第1穴部および第2穴部に設けられた弾性体を示す説明図である。
図10】頭部に対するザグリ部を示す説明図である。
図11】緩和部がインサート成形された場合を示す説明図である。
図12】緩和部が接着された場合を示す説明図である。
図13】段部(段部+圧入)を示す説明図である。
図14】緩和部に表面処理が施された場合を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態における車両用表示装置100について図1図4用いて説明する。本実施形態の車両用表示装置100は、車両に搭載されて、車両に関連する各種情報(画像)を表示するものとなっている。各種情報は、例えば、車速等の車両走行情報(メータ装置としての表示情報)である。各種情報としては、車両走行情報の他にも、車両用空調装置の作動状態を示す情報、カーナビゲーションシステムにおける地図上の現在位置情報および目的地案内情報、車両オーディオ装置の作動状態を示す情報等とすることも可能である。更に、車両用表示装置100では、テレビやDVD等の動画の表示も可能である。
【0016】
車両用表示装置100は、例えば、後述する表示本体部101が車両のダッシュボード10の上に立ち姿勢となるように搭載されている。この搭載形態は、いわゆる、オンダッシュ搭載と呼ばれている。車両用表示装置100は、ダッシュボード10において、車両幅方向の中央位置(図1)、あるいは運転者(視認者)と対向する位置等に配置されて、表示部110における表示面111が運転者に向けられている。
【0017】
車両用表示装置100は、表示部110、カバーパネル120、リアケース130、緩和部140、および駆動回路等を備えている。表示部110、カバーパネル120、リアケース130(立ち壁部132)、および緩和部140は、表示本体部101を形成している。
【0018】
表示部110は、表示面111にマトリックス配置される複数の画素の発光によって、所定の画像(各種情報)を表示するようになっている。表示部110としては、例えば、自発光式のものが使用されている。表示部110は、例えば、横長となる矩形状(四角形)の有機ELパネルが使用されている。有機ELパネルの「EL」は、Electro Luminescenceの略表示である。有機ELパネルは、OLED(Organic Light Emitting Diode)とも表示される。
【0019】
表示部110は、自発光式であることから、例えば、液晶式のパネルのようなバックライトを必要としないので、車両用表示装置100の厚み寸法としては、極めて薄く設定することが可能となっている(薄型化)。そして、表示部110は、可撓性(フレキシブル性)を有しており、たわませたり折曲げたりすることも可能となっている。
【0020】
カバーパネル120は、表示部110の表示面111を保護するために設けられた透光性の(透明な)板状の部材となっており、表示部110の運転者側(視認側)に設けられている。カバーパネル120は、後述する立ち壁部132の開口部を塞ぐように設けられており、本開示のカバー部に対応する。カバーパネル120は、例えば、ガラス材から形成されており、可撓性を有している。ガラス材としては、例えば、アルミノシリケート(化学強化がラス)を用いて好適である。カバーパネル120は、透光性を有することから、表示部110によって形成される画像が透過して運転者に視認されるようになっている。
【0021】
カバーパネル120の視認側の面が表面121、視認側とは反対側の面が裏面122となっている。また、カバーパネル120の外周端面は、端面123となっている。
【0022】
カバーパネル120の正面形状は、表示部110の表示面111よりも大きく、後述するリアケース130の運転者側から見た大きさに相当する横長の長方形を成している。尚、カバーパネル120の材質としては、ガラスの他にも、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)や、PC(ポリカーボネート)等の透明な樹脂部材等を用いたものとしてもよい。
【0023】
そして、表示部110とカバーパネル120との間には、例えば、光透過性、および弾性を有する光学透明接着剤124が設けられて、表示部110とカバーパネル120は、接合されている。尚、光学透明接着剤124に代えて、他の透明な弾性を有する粘着剤(例えば、光学粘着シート(OCA)等)としてもよい。
【0024】
リアケース130は、表示部110の背面側に設けられて、表示部110を収容すると共に、カバーパネル120を支持する容器体となっている。リアケース130は、強度向上および軽量化を考慮して、例えば、マグネシウム等の金属材料が使用されている。マグネシウム等の金属材料は、脆性材料である。脆性材料は、外力が付加されたときに、塑性変形を生じることなく破壊する材料である。リアケース130は、例えば、成形用金型を用いて、溶融した金属材料を射出することで成形される(射出成形)。尚、リアケース130は、金属製部材とすることで、表示部110、および後述する駆動回路に対するヒートシンクの役割を果たす部材にもなっている。
【0025】
リアケース130は、表示部110の背面側となる板状の底面部131と、この底面部131の外周領域で、カバーパネル120側(視認側)に延設された立ち壁部132と、を有している。立ち壁部132は、本開示の包囲部に対応し、図2に示すように、表示部110の側方を包囲する筒状部材であって、後述する端部133が開口部として形成されている。立ち壁部132は、上下左右に対応するように、上方立ち壁部132A、下方立ち壁部132B、左方立ち壁部132C、および右方立ち壁部132Dを有している。各立ち壁部132A、132B、132C、132Dの構造は、ここでは同一としており、以下、立ち壁部132については、上方立ち壁部132Aを代表部位として説明する。上方立ち壁部132Aは、本開示の上方包囲部に対応する。
【0026】
立ち壁部132(上方立ち壁部132A)の延設された先端部は、端部133(上方端部133A)となっている。端部133は、本開示の視認側端部に対応し、また、上方端部133Aは、本開示の上方視認側端部に対応する。端部133(上方端部133A)は、カバーパネル120の表面121に被さらないように設定されている。
【0027】
上方立ち壁部132Aの内周側には、底面部131に向けて階段状に凹む、支持部134が設けられている。支持部134は、カバーパネル120の外周の裏面122を支持する部位となっている。
【0028】
カバーパネル120と支持部134との間には、接着剤137が設けられて、カバーパネル120は、支持部134(リアケース130)に固定されている。接着剤137としては、例えば、弾性を有する弾性接着剤を用いるのがよい。カバーパネル120に接合された表示部110は、支持部134よりも内側(底面部131の中心側)で、底面部131と対向するように収容される。
【0029】
上方立ち壁部132Aの内周側は内周側面135となっており、外周側は外周側面136となっている。カバーパネル120の端面123と内周側面135との間には、所定寸法の隙間が設けられている。
【0030】
緩和部140は、4つの立ち壁部132A、132B、132C、132Dのうち、少なくとも上方立ち壁部132Aに設けられ(固定されて)おり、車両衝突時の乗員(運転者)の頭部衝突等による外部からの衝撃を緩和する部材となっている。本実施形態では、緩和部140は、上方立ち壁部132Aに設けられたものとしている。尚、図4に示すように、緩和部140は、下方立ち壁部132B、左方立ち壁部132C、あるいは右方立ち壁部132Dのいずれかにも、設けられるようにしてもよい。
【0031】
緩和部140は、例えば、アルミニウムや樹脂等の塑性材料あるいは延性材料から形成されており、上方立ち壁部132Aの上方端部133A、および外周側面136を覆っている。塑性材料あるいは延性材料は、外力が付加されたときに、塑性変形を伴って破壊する材料である。緩和部140は、外周側面136を覆う本体部141と、上方端部133Aを覆う曲げ部142とを有し、図3に示すように、断面がL字状を成している。
【0032】
曲げ部142における視認側端面142aは、カバーパネル120の表面121よりも視認側に突出している。
【0033】
駆動回路(図示省略)は、表示部110の表示面111における画像の表示状態を制御する制御部である。駆動回路は、フレキシブル配線によって、表示部110に接続されている。駆動回路は、例えば底面部131の背面側に固定されている。駆動回路は、ビス等を用いた機械的な締結や、接着剤等を用いた接着等により底面部131に固定されている。
【0034】
本実施形態の車両用表示装置100の構成は、上記のようになっており、以下、その作動および作用効果について説明する。
【0035】
運転者が車両用表示装置100の作動操作(例えば、イグニッションスイッチオン)をすると、表示部110の表示面111における各画素の発光状態が、駆動回路によって制御されて、各種情報が表示される。運転者は、表示される各種情報に基づいて(画像を視認して)、車両の運転を行うことができる。
【0036】
本実施形態では、上方端部133Aおよび外周側面136を覆う緩和部140を設けている。緩和部140は、塑性材料あるいは延性材料から形成されている。よって、リアケース130(上方立ち壁部132A)が脆性材料から形成される場合であっても、衝突時の衝撃を緩和部140によって緩和することができる。したがって、上方端部133Aにおけるシャープエッジの発生を抑制することができる。また、仮にシャープエッジの発生があっても、緩和部140によってシャープエッジの露出をなくすことができる。
【0037】
また、曲げ部142における視認側端面142aは、カバーパネル120の表面121よりも視認側に突出するようにしている。よって、衝突時の乗員の頭部との衝突位置は、主に、視認側端面142aとなり、衝突時の衝撃がカバーパネル120に直接的に付加されることを抑制でき、カバーパネル120の割れを抑制できる。
【0038】
以下、図5図14を用いて、上方立ち壁部132Aに対する緩和部140の具体的な固定方法の例について説明する。
【0039】
1.係合
車両用表示装置100Aでは、図5に示すように、緩和部140は、上方立ち壁部132Aに対して、上方立ち壁部132Aおよび緩和部140の一方に設けられた凸部138と、他方に設けられた凹部141aとの係合によって固定されている。
【0040】
ここでは、凸部138は、例えば、円柱状を成して、上方立ち壁部132Aに一体的に設けられており、また、凹部141aは、緩和部140に設けられた穴部となっている。凹部141aに凸部138を差し込むようにして係合することで(図5中の白矢印)、緩和部140は、上方立ち壁部132Aに固定されている。緩和部140は、ワンタッチで、上方立ち壁部132Aに固定することが可能である。
【0041】
2.係合(頭部138a付き)
車両用表示装置100Bでは、図6図7に示すように、凸部138の先端部に頭部138aが設けられており、凹部141aは、頭部138aを挿通可能とする第1凹部141bと、凸部138を挿入可能とする第2凹部141cとが繋がって形成されており、凸部138は、第2凹部141cに係合されている。
【0042】
図7(a)に示すように、まず、頭部138aを第1凹部141bに挿通させ、次に、図7(b)に示すように、緩和部140を白矢印の方向にスライドさせ、凸部138を第2凹部141cに係合させることで、緩和部140は、上方立ち壁部132Aに固定されている。ここでは、頭部138aによって、緩和部140の外れを防止できる。
【0043】
尚、ここでは、緩和部140には、曲げ部142の先端部からカバーパネル120側に張り出す張り出し部143が設けられている。この張り出し部143によって、カバーパネル120の外周側を保護することができる。
【0044】
3.テーパー形状の追加
車両用表示装置100Cでは、図8に示すように、凸部138、あるいは凹部141aの係合方向の面は、テーパー状に形成されている。ここでは、凸部138の周壁にテーパーを設けている。これにより、凸部138と凹部141aとの接触面積を減らして、挿入性を向上させることができる。尚、頭部138aを設ける場合は、頭部138aの緩和部140側の面にテーパーを設けてもよい。
【0045】
4.弾性体141dの追加
車両用表示装置100Dでは、図9に示すように、凹部141a(第1凹部141b、第2凹部141c)の内周面に弾性体141dが設けられている。弾性体141dは、例えば、ゴムやウレタン等である。これにより、凸部138の挿入性および係合性(嵌合性)を向上させることができる。
【0046】
5.ザグリ部141eの追加
車両用表示装置100Eでは、図10に示すように、凹部141aにザグリ部141eが形成されており、頭部138aは、ザグリ部141e内に隠れている。これにより、図6で説明した車両用表示装置100Bに対して、頭部138aを目立たないようにして、スッキリとしたデザインにすることができる。
【0047】
尚、ここでは、図6と同様に、緩和部140には、曲げ部142の先端部からカバーパネル120側に張り出す張り出し部143が設けられている。
【0048】
6.インサート成形
車両用表示装置100Fでは、図11に示すように、緩和部140は、上方立ち壁部132Aに対して、インサート成形によって固定されている。これにより、リアケース130の射出成形時に、緩和部140も同時に形成することができるので、緩和部140の組付け工程を省略することができる。
【0049】
7.接着
車両用表示装置100Gでは、図12に示すように、緩和部140は、上方立ち壁部132Aに対して接着によって固定されている。接着にあたっては、接着剤141fや両面テープ等を用いることができる。
【0050】
8.段部141gを用いた接着、あるいは圧入
車両用表示装置100Hでは、図13に示すように、緩和部140と上方立ち壁部132Aとが接触する面に、段部141gが設けられている。緩和部140を上記の7項のように接着する場合に、段部141gを設けることで、接着面積を拡大して、強固な接着状態を形成できる。
【0051】
尚、緩和部140の固定については、上記の接着に対して、段部141gを用いた圧入としてもよい。
【0052】
9.緩和部140の表面処理の追加
車両用表示装置100Iでは、図14に示すように、緩和部140の表面に所定の表面処理が加えられている。表面処理は、例えば、塗装、メッキ、蒸着、ホットスタンプ等である。これにより、緩和部140の意匠性を向上させることができる。尚、緩和部140の突出する先端側の角部には、安全のために、R面取りやテーパー面取り等を追加してもよい。
【0053】
(その他の実施形態)
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、1つの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、更に請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0054】
上方立ち壁部132Aと緩和部140との固定に当たっては、例えば、ボルト、ナット等を用いた機械的な締結としてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、自発光式の表示部110として、有機ELパネルを代表例として説明したが、これに限定されることなく、他の蛍光表示管、無機ELディスプレイ等に適用してもよい。
【0056】
(付記)
この明細書には、以下に列挙する複数の技術的思想1~12と、それらの複数の組み合わせが開示されている。
【0057】
(技術的思想1)
情報を表示する表示部(110)と、
表示部を側方から包囲する筒状部材であって、視認側端部(133)が開口部として形成された包囲部(132)と、
透光性を有し、包囲部の開口部を塞ぐように表示部の表示面(111)よりも視認側に配置された板状のカバー部(120)と、を備え、
車両のダッシュボード(10)上に立ち姿勢となるように搭載された車両用表示装置であって、
包囲部は、金属製の脆性材料から成り、
塑性材料あるいは延性材料から成り、包囲部において表示部の上側に位置する部分である上方包囲部(132A)の視認側端部となる上方視認側端部(133A)および外周側面(136)を覆い、外部からの衝撃を緩和する緩和部(140)が設けられた車両用表示装置。
【0058】
(技術的思想2)
緩和部の視認側の端面(142a)は、カバー部の表面よりも視認側に突出している技術的思想1に記載の車両用表示装置。
【0059】
(技術的思想3)
緩和部は、上方包囲部に対して、上方包囲部および緩和部の一方に設けられた凸部(138)と、他方に設けられた凹部(141a)との係合によって固定された技術的思想1または技術的思想2に記載の車両用表示装置。
【0060】
(技術的思想4)
凸部の先端部に頭部(138a)が設けられており、
凹部は、頭部を挿通可能とする第1凹部(141b)と、凸部を挿入可能とする第2凹部(141c)とが繋がって形成されており、
凸部は、第2凹部に係合された技術的思想3に記載の車両用表示装置。
【0061】
(技術的思想5)
凸部、あるいは凹部の係合方向の面は、テーパー状に形成された技術的思想3または技術的思想4に記載の車両用表示装置。
【0062】
(技術的思想6)
凹部の内周面に弾性体(141d)が設けられた技術的思想3~技術的思想5のいずれか1つに記載の車両用表示装置。
【0063】
(技術的思想7)
凹部にザグリ部(141e)が形成されており、
頭部は、ザグリ部内に隠れている技術的思想4~技術的思想6のいずれか1つに記載の車両用表示装置。
【0064】
(技術的思想8)
緩和部は、上方包囲部に対して、インサート成形によって固定された技術的思想1または技術的思想2に記載の車両用表示装置。
【0065】
(技術的思想9)
緩和部は、上方包囲部に対して、接着によって固定された技術的思想1または技術的思想2に記載の車両用表示装置。
【0066】
(技術的思想10)
緩和部と上方包囲部とが接触する面に段部(141g)が設けられた技術的思想9に記載の車両用表示装置。
【0067】
(技術的思想11)
緩和部と上方包囲部とが接触する面に段部(141g)が設けられ、
緩和部は、上方包囲部に対して、圧入により固定された技術的思想1または技術的思想2に記載の車両用表示装置。
【0068】
(技術的思想12)
緩和部の表面に所定の表面処理が加えられた技術的思想1~技術的思想11のいずれか1つに記載の車両用表示装置。
【符号の説明】
【0069】
10 ダッシュボード
100、100A~100I 車両用表示装置
110 表示部
111 表示面
120 カバーパネル(カバー部)
132 立ち壁部(包囲部)
132A 上方立ち壁部(上方包囲部)
133 端部(視認側端部)
133A 上方端部(上方視認側端部)
136 外周側面
138 凸部
138a 頭部
140 緩和部
141a 凹部
141b 第1凹部
141c 第2凹部
141d 弾性体
141e ザグリ部
141g 段部
142a 視認側端面
図1
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