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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147310
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】半導体装置および電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/04 20230101AFI20241008BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
H01L23/12 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060240
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 裕人
(57)【要約】
【課題】配線基板における配線の長さが長くなることを抑制できる半導体装置を提供すること。
【解決手段】MCM101は、通信対象のデバイス200とともに配線基板1に実装され、配線基板に設けられた通信線2を介してデバイス200と通信可能に構成されている。MCM101は、MCM基板10と、デバイス200との間において同一の通信態様で通信するための複数の高速通信端子群31a,31bを有した通信装置30とを備えている。また、MCM101は、一面の反対面に設けられ高速通信端子群31a,31bと通信線2とを電気的に接続するための複数の第1MCM端子群21a,21bを備えている。複数の第1MCM端子群21a,21bは、MCM基板10の異なる複数の基板辺SD1,SD2に沿って配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主基板(1)に実装可能であり、前記主基板に設けられた配線(2)を介して通信対象装置と通信可能に構成された半導体装置であり、
支持基板(10)と、
前記支持基板の一面(S1)に実装され、前記通信対象装置との間において同一の通信態様で通信するためのインタフェースである複数の通信端子群(31a,31b)を有した通信装置(30)と、
前記一面の反対面(S2)に設けられ、前記通信端子群と前記配線とを電気的に接続するための複数の接続端子群(21a,21b)と、を備え、
複数の前記接続端子群は、前記支持基板の異なる複数の基板辺に沿って配置されている半導体装置。
【請求項2】
複数の前記接続端子群は、対向する二つの前記基板辺に沿って配置されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記通信装置は、複数の前記基板辺に対向する複数の装置辺を備えており、
複数の前記通信端子群は、前記基板辺に対向する複数の前記装置辺に沿って配置されている請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記通信装置は、複数の前記基板辺に対向する複数の装置辺を備えており、
複数の前記通信端子群は、一つの前記装置辺に沿って配置されている請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記接続端子群は、受信端子群と送信端子群とを含んでおり、
前記受信端子群と前記送信端子群は、前記基板辺に沿って隣り合って設けられており、
複数の前記接続端子群は、前記受信端子群と前記送信端子群との並び順が異なる請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記接続端子群は、受信端子群と送信端子群とを含んでおり、
前記受信端子群と前記送信端子群は、前記基板辺から遠ざかる方向に隣り合って設けられており、
複数の前記接続端子群は、前記受信端子群と前記送信端子群との並び順が異なる請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項7】
配線が設けられた主基板(1)と、前記主基板の実装面に実装され前記配線を介して通信可能に構成された複数の半導体装置(101~104)と、を備えた電子制御装置であって、
前記半導体装置は、
支持基板(10)と、
前記支持基板の一面(S1)に実装され、他の前記半導体装置との間において同一の通信態様で通信するためのインタフェースである複数の通信端子群(31a,31b)を有した通信装置(30)と、
前記一面の反対面(S2)に設けられ、前記通信端子群と前記配線とを電気的に接続するための複数の接続端子群(21a,21b)と、を備え、
複数の前記接続端子群は、前記支持基板の異なる複数の基板辺に沿って配置され、
複数の前記半導体装置は、一部の前記接続端子群どうしが対向するように隣り合って配置されている電子制御装置。
【請求項8】
隣り合って配置された二つの前記半導体装置は、対向する前記接続端子群どうしが前記配線と直流絶縁素子を介して接続されている請求項7に記載の電子制御装置。
【請求項9】
隣り合って配置された二つの前記半導体装置の少なくとも一方は、対向する前記接続端子群とは異なる前記接続端子群が前記配線を介してデバイスと接続されている請求項7または8に記載の電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、および半導体装置を備えた電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の一例として、特許文献1に開示された半導体モジュールがある。半導体モジュールは、主基板に実装される。主基板は、複数の端子群を備えている。半導体モジュールは、端子群を介して前席用モニタ装置などを接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6443556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体モジュールは、通信相手である通信対象装置とともに主基板に実装されることが考えられる。この構成では、半導体モジュールと通信対象装置とが、主基板の配線を介して接続される。しかしながら、半導体モジュールは、主基板における通信対象装置の位置によって、主基板における配線の長さが長くなる虞がある。また、半導体モジュール、通信対象装置、主基板を備えた電子制御装置でも同様の虞がある。
【0005】
開示される一つの目的は、主基板における配線の長さが長くなることを抑制できる半導体装置を提供することである。開示される他の一つの目的は、主基板における配線の長さが長くなることを抑制できる電子制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された半導体装置は、
主基板(1)に実装可能であり、主基板に設けられた配線(2)を介して通信対象装置と通信可能に構成された半導体装置であり、
支持基板(10)と、
支持基板の一面(S1)に実装され、通信対象装置との間において同一の通信態様で通信するためのインタフェースである複数の通信端子群(31a,31b)を有した通信装置(30)と、
一面の反対面(S2)に設けられ、通信端子群と配線とを電気的に接続するための複数の接続端子群(21a,21b)と、を備え、
複数の接続端子群は、支持基板の異なる複数の基板辺に沿って配置されていることを特徴とする。
【0007】
このように、半導体装置は、同一の通信態様で通信するための複数の通信端子群と主基板の配線とを電気的に接続するための複数の接続端子群を備えている。そして、半導体装置は、支持基板の異なる複数の基板辺に沿って複数の接続端子群が配置されている。このため、半導体装置は、主基板における通信対象装置の位置に依存して、配線の長さが長くなることを抑制できる。
【0008】
ここに開示された電子制御装置は、
配線が設けられた主基板(1)と、主基板の実装面に実装され配線を介して通信可能に構成された複数の半導体装置(101~104)と、を備えた電子制御装置であって、
半導体装置は、
支持基板(10)と、
支持基板の一面(S1)に実装され、他の半導体装置との間において同一の通信態様で通信するためのインタフェースである複数の通信端子群(31a,31b)を有した通信装置(30)と、
一面の反対面(S2)に設けられ、通信端子群と配線とを電気的に接続するための複数の接続端子群(21a,21b)と、を備え、
複数の接続端子群は、支持基板の異なる複数の基板辺に沿って配置され、
複数の半導体装置は、一部の接続端子群どうしが対向するように隣り合って配置されていることを特徴とする。
【0009】
このように、電子制御装置は、配線が設けられた主基板と、主基板の実装面に実装され配線を介して通信可能に構成された複数の半導体装置を備えている。半導体装置は、上記のように、支持基板の異なる複数の基板辺に沿って複数の接続端子群が配置されている。そして、半導体装置は、互いの接続端子群どうしが対向するように隣り合って配置されている。このため、電子制御装置は、主基板における二つの半導体装置の位置に依存して、配線の長さが長くなることを抑制できる。
【0010】
この明細書において開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態におけるMCMの概略構成を示す平面図である。
図2】第1実施形態におけるMCM端子の概略構成を示す平面図である。
図3】第2実施形態におけるMCMの概略構成を示す平面図である。
図4】第3実施形態におけるMCMの概略構成を示す平面図である。
図5】第3実施形態におけるMCM端子の概略構成を示す平面図である。
図6】第4実施形態におけるMCMの概略構成を示す平面図である。
図7】第4実施形態におけるMCM端子の概略構成を示す平面図である。
図8】第5実施形態における電子制御装置の概略構成を示す平面図である。
図9】第6実施形態における電子制御装置の概略構成を示す平面図である。
図10】第7実施形態における電子制御装置の概略構成を示す平面図である。
図11】第8実施形態における電子制御装置の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用できる。なお、以下においては、互いに直交する2方向をX方向、Y方向とする。また、X方向とY方向とに直行する方向をZ方向とも称する。
【0013】
(第1実施形態)
図1、2を用いて第1実施形態のマルチチップモジュール101に関して説明する。本実施形態では、半導体装置の一例として、マルチチップモジュール(MCM)101を採用している。MCM101は、配線基板1に実装可能であり、配線基板1に設けられた通信線2を介してデバイス200と通信可能に構成されるものである。デバイス200は、配線基板1に実装可能な装置である。なお、図1には、マルチチップモジュール101に加えて、配線基板1およびデバイス200を図示している。よって、本実施形態では、配線基板1およびデバイス200に関しても説明する。
【0014】
<配線基板>
配線基板1は、樹脂やセラミックスなどの電気絶縁性の基材に、導電性の部材を主成分とする複数の配線が設けられたプリント基板である。配線基板1は、たとえば、XY平面において矩形形状をなしている。配線基板1は、MCM101が実装される実装面を有している。
【0015】
また、配線は、基材の表面に設けられた表層配線や、基材の内部に設けられた内層配線や、異なる層の配線を電気的に接続する層間接続部材などを含んでいる。表層配線の一部は、MCM101などが実装されるランドを構成している。配線基板1は、配線が基材を介して積層された多層基板を採用できる。なお、図1では、配線の一部である通信線2を図示している。
【0016】
図1では、一つのMCM101が実装された配線基板1を図示している。しかしながら、配線基板1は、複数のMCM101が実装されていてもよい。また、配線基板1は、MCM101やデバイス200以外の回路構成部品(電子部品)が実装されていてもよい。さらに、配線基板1は、実装面の反対面(裏面)に回路構成部品が実装されていてもよい。回路構成部品とは、抵抗やコンデンサなどの受動素子、ダイオード、トランジスタ、修正回路などの能動素子である。配線基板1は、主基板に相当する。配線基板1は、マザー基板とも称することができる。
【0017】
<デバイス>
デバイス200は、回路構成部品の一つである。デバイス200は、通信線2を介してMCM101と接続されている。デバイス200は、BGAなどの表面実装タイプのチップである。デバイス200は、たとえばSSDなどの記憶装置などを採用できる。BGAは、Ball grid arrayの略称である。SSDは、Solid State Driveの略称である。また、デバイス200は、後ほど説明するMCM10と同様のMCMであっても採用できる。デバイス200は、通信対象装置に相当する。
【0018】
<MCM>
図1図2に示すように、MCM101は、MCM基板10、MCM端子20、回路装置30、電源装置40などを備えている。MCM101は、MCM基板10の上に、ベアチップ状の回路装置30と電源装置40が搭載された半導体モジュールである。MCM基板10は、支持基板に相当する。MCM端子20は、接続端子に相当する。回路装置30は、通信装置に相当する。
【0019】
MCM基板10は、電気絶縁性の基材に、導電性の配線11が形成されている。MCM基板10は、一面S1と一面S1の反対面S2とを有している。配線11は、基材の表面に設けられた表層配線や、基材の内部に設けられた内層配線を含んでいる。表層配線の一部は、回路装置30などが実装されるランドを構成している。
【0020】
図1に示すように、MCM基板10は、たとえば、XY平面において矩形形状をなしている。そのため、MCM基板10は、XY平面において四つの基板辺SD1~SD4を有している。基板辺SD1~SD4は、MCM基板10の側面と、一面S1および反対面S2とを区画する辺である。基板辺SD1,SD2は、Y方向に平行な辺である。基板辺SD3,SD4は、X方向に平行な辺である。なお、基板辺SD1~SD4は、MCM基板10の四つの側面とみなすこともできる。なお、「XY平面において」とは、Z方向から見た場合、XY平面視などと言い換えることもできる。
【0021】
図1図2に示すように、MCM基板10は、反対面S2に複数のMCM端子20が設けられている。また、MCM基板10は、一面S1に回路装置30と電源装置40が実装されている。
【0022】
<回路装置と電源装置>
回路装置30と電源装置40は、はんだなどの導電性の接続部材を介してMCM基板10に実装されている。つまり、回路装置30と電源装置40は、接続部材を介して、MCM基板10のランドと電気的に接続されている。なお、MCM基板10は、回路装置30と電源装置40とは異なる回路構成部品が実装されていてもよい。また、MCM基板10は、反対面S2に、回路装置30とは異なる回路構成部品が実装されていてもよい。
【0023】
回路装置30は、MCM基板10との対向面と、対向面の反対面(以下、表面)とを有している。図1に示すように、回路装置30は、たとえば、XY平面において矩形形状をなしている。そのため、回路装置30は、XY平面において四つの装置辺SD11~SD14を有している。装置辺SD11~SD41は、回路装置30の側面と、対向面および表面とを区画する辺である。なお、装置辺SD11~SD14は、回路装置30の四つの側面とみなすこともできる。
【0024】
装置辺SD11,SD12は、Y方向に平行な辺である。装置辺SD13,SD14は、X方向に平行な辺である。装置辺SD11と装置辺SD12は、互いに対向する装置辺といえる。装置辺SD13と装置辺SD14は、互いに対向する装置辺といえる。
【0025】
また、装置辺SD11は、基板辺SD2よりも基板辺SD1側に偏った辺である。装置辺SD12は、基板辺SD1よりも基板辺SD2側に偏った辺である。装置辺SD13は、基板辺SD4よりも基板辺SD3側に偏った辺である。装置辺SD14は、基板辺SD3よりも基板辺SD4側に偏った辺である。
【0026】
よって、装置辺SD11は、基板辺SD1と対向する辺とみなせる。同様に、装置辺SD12と基板辺SD2、装置辺SD13と基板辺SD3、装置辺SD14と基板辺SD4は、それぞれ対向する辺とみなせる。なお、本開示は、これに限定されない。各装置辺SD11~SD14と各基板辺SD1~SD4は、上記のような平行は位置関係でなくてもよい。
【0027】
回路装置30は、少なくとも通信機能を有している。本実施形態では、一例として、高速通信機能と低速通信機能とを備えた回路装置30を採用している。高速通信機能と低速通信機能は、相対的に通信速度が異なる機能である。また、高速通信機能と低速通信機能は、異なる通信規格に準拠した通信機能ともいえる。
【0028】
回路装置30は、高速通信機能によってデバイス200との間で通信(高速通信)を行う。なお、回路装置30は、デバイス200との間で通信を行う通信機能を備えていればよい。よって、回路装置30は、低速通信機能を備えていなくてもよい。また、回路装置30は、演算機能を有していてもよい。
【0029】
本実施形態では、回路装置30の一例として、システムオンチップ(SoC、System on Chip)を採用する。システムオンチップは、マイコンなどの処理装置を含んでおり、システムの動作に必要な機能が一つの半導体チップに実装されている。なお、回路装置30は、通信機能を有した半導体チップともいえる。回路装置30は、メモリ装置などであってもよい。
【0030】
図1では、一つの回路装置30を図示している。しかしながら、回路装置30は、MCM基板10に少なくとも一つ実装されていればよい。よって、回路装置30は、MCM基板10に複数実装されていてもよい。つまり、MCM基板10は、種類(機能)が異なる複数の回路装置30が実装されていてもよい。なお、電源装置40は、回路装置30に電力を供給する電源IC(電源回路)を備えている。
【0031】
回路装置30と電源装置40は、MCM基板10との対向面に複数の装置端子を備えている。たとえば、回路装置30は、マイコンと装置端子とが電気的に接続されている。電源装置40は、電源ICと装置端子とが電気的に接続されている。装置端子は、MCM基板10のランドと電気的に接続するための端子である。また、装置端子は、MCM基板10の配線11を介して、MCM端子20と接続されている。
【0032】
ここで、回路装置30の装置端子に関して説明する。回路装置30は、複数の装置端子を含む複数の装置端子群31a,31b,32,33を備えている。符号31a,31bは、高速通信端子群(FT1、FT2)である。符号32は、低速通信端子群(ST1)である。符号33は、外部接続端子群である(OT1)。図1では、図面を簡略化するために、各装置端子群31a,31b,32,33を点線の囲いで示している。よって、各点線の囲いには、複数の装置端子が含まれている。高速通信端子群31a,31bは、通信端子群に相当する。
【0033】
高速通信端子群31a,31bは、高速通信機能で用いられる装置端子の集合体である。回路装置30は、高速通信端子群31a,31bを介してデバイス200と通信を行うことになる。高速通信端子群31a,31bは、デバイス200との間において同一の通信態様で通信するためのインタフェースである。また、高速通信端子群31a,31bは、同じ規格の通信端子群ともいえる。さらに、高速通信端子群31a,31bは、同じ通信規格に準拠した通信に用いられる通信端子群ともいえる。よって、デバイス200は、高速通信端子群31a,31bのいずれと接続されてもよい。なお、回路装置30は、冗長的に同じ装置端子群である高速通信端子群31a,31bが設けられているともいえる。
【0034】
低速通信端子群32は、低速通信機能で用いられる装置端子の集合体である。外部通信端子群33は、外部接続用の装置端子の集合体である。外部接続用とは、MCM101と、MCM101が実装される電子制御装置とは異なる電子制御装置との通信に用いられることを示している。
【0035】
各装置端子群31a,31b,32,33は、各装置辺SD11~SD14に沿って設けられている。また、各装置端子群31a,31b,32,33は、各装置辺SD11~SD14に偏った位置に設けられているともいえる。つまり、「沿って」とは、偏った位置と言い換えることもできる。ここでは、一例として、高速通信端子群31aが装置辺SD11に沿って設けられ、高速通信端子群31bが装置辺SD12に沿って設けられている。また、低速通信端子群32が装置辺SD13に沿って設けられ、外部通信端子群33が装置辺SD14に沿って設けられている。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
【0036】
<MCM端子>
図2に示すように、MCM端子20は、反対面S2に設けられている。ここでは、一例として、複数のMCM端子20が環状に配置された環状端子群と、環状端子群で囲まれた位置に複数のMCM端子20が矩形状に配置された中央端子群とを備えた例を採用する。
【0037】
MCM端子20は、MCM基板10のランドと電気的に接続されている。MCM端子20は、はんだボールなどの導電性の接続部材である。MCM端子20は、配線基板1のランド(配線)と電気的に接続するための端子である。よって、MCM101は、MCM端子20を介して配線基板1に実装されることで、回路装置30などが配線基板1と電気的に接続される。
【0038】
MCM基板10は、複数のMCM端子20を含む複数のMCM端子群21a,21b,22,23を備えている。これらのMCM端子群21a,21b,22,23は、環状端子群の一部である。符号21a,21bは、第1MCM端子群(FT1、FT2)である。符号22は、第2MCM端子群(ST1)である。符号23は、第3MCM端子群である(OT1)。図1では、図面を簡略化するために、各端子群21a,21b,22,23を点線の囲いで示している。よって、各点線の囲いには、複数のMCM端子20が含まれている。第1MCM端子群21a,21bは、接続端子群に相当する。
【0039】
第1MCM端子群21a,21bは、高速通信機能で用いられるMCM端子20の集合体である。第1MCM端子群21aは、配線11を介して高速通信端子群31aと電気的に接続されている。第1MCM端子群21bは、配線11を介して高速通信端子群31bと電気的に接続されている。
【0040】
第1MCM端子群21a,21bは、高速通信端子群31a,31bと通信線2とを電気的に接続するためのMCM端子20の集合体といえる。よって、第1MCM端子群21a,21bは、デバイス200との間において同一の通信態様で通信するためのインタフェースともいえる。そのため、デバイス200は、第1MCM端子群21a,21bのいずれと接続されてもよい。
【0041】
第2MCM端子群22は、低速通信機能で用いられるMCM端子20の集合体である。第2MCM端子群22は、配線11を介して低速通信端子群32と電気的に接続されている。
【0042】
第3MCM端子群23は、外部接続用のMCM端子20の集合体である。第3MCM端子群23は、配線11を介して外部通信端子群33と電気的に接続されている。
【0043】
各MCM端子群21a,21b,22,23は、各基板辺SD1~SD4に沿って設けられている。また、各MCM端子群21a,21b,22,23は、各基板辺SD1~SD4に偏った位置に設けられているともいえる。ここでは、一例として、第1MCM端子群21aが基板辺SD1に沿って設けられ、第1MCM端子群21bが基板辺SD2に沿って設けられている。また、第2MCM端子群22が基板辺SD3に沿って設けられ、第3MCM端子群23が基板辺SD4に沿って設けられている。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
【0044】
特に、第1MCM端子群21aと第1MCM端子群21bは、異なる複数の基板辺SD1,SD2に沿って配置されている。ここでは、一例として、対向する二つの基板辺SD1と基板辺SD2に沿って配置された例を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。たとえば、第1MCM端子群21aが基板辺SD3、第1MCM端子群21bが基板辺SD4に沿って配置されていてもよい。また、第1MCM端子群21aが基板辺SD1、第1MCM端子群21bが基板辺SD4に沿って配置されていてもよい。
【0045】
<効果>
以上のように、MCM101は、同じ規格の高速通信端子群31a,31bを備えた回路装置30を備えている。また、MCM101は、高速通信端子群31a,31bと通信線2とを電気的に接続するための第1MCM端子群21a,21bを備えている。そして、その第1MCM端子群21a,21bは、異なる複数の基板辺SD1,SD2に沿って配置されている。
【0046】
よって、MCM101は、配線基板1におけるデバイス200の位置に依存して、通信線2の長さが長くなることを抑制できる。つまり、MCM101は、第1MCM端子群が一つだけ設けられた構成よりも通信線2の長さを短くしやすい。
【0047】
また、MCM101は、対向する二つの基板辺SD1と基板辺SD2に沿って、第1MCM端子群21aと第1MCM端子群21bが配置されている。このため、MCM101は、基板辺SD1と基板辺SD2のどちらにデバイス200が配置されても通信線2の長さを短くできる。
【0048】
さらに、回路装置30は、高速通信端子群31aが装置辺SD11に沿って設けられ、高速通信端子群31bが装置辺SD12に沿って設けられている。装置辺SD11は、基板辺SD1と対向する辺である。一方、装置辺SD12は、基板辺SD2と対向する辺である。このため、MCM101は、高速通信端子群31aと第1MCM端子群21aとを接続する配線11の長さを短くできる。同様に、MCM101は、高速通信端子群31bと第1MCM端子群21bとを接続する配線11の長さを短くできる。
【0049】
なお、本実施形態では、二つの高速通信端子群31a,31bと二つの第1MCM端子群21a,21bを備えたMCM101を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、三つ以上の高速通信端子群31a,31bと三つ以上の第1MCM端子群21a,21bを備えたMCM101であっても採用できる。しかしながら、MCM101は、高速通信端子群31a,31bの個数と、第1MCM端子群21a,21bの個数が同数であると好ましい。これらの点は、他の実施形態でも同様である。
【0050】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、第2実施形態~第8実施形態に関して説明する。上記実施形態および第2実施形態~第8実施形態は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【0051】
(第2実施形態)
図3に示すように、MCM102は、高速通信端子群31a,31bの位置がMCM101と異なる。つまり、MCM102は、一つの装置辺SD12に沿って、高速通信端子群31a,31bが配置されている。これに伴って、MCM102は、高速通信端子群31aと第1MCM端子群21aとを接続している配線11の長さがMCM101と異なる。しかしながら、MCM102は、MCM101と同様、通信線2の長さを短くしやすい。なお、MCM102は、半導体装置に相当する。
【0052】
(第3実施形態)
図4に示すように、MCM103は、第1MCM端子群21a,21bの構成がMCM101と異なる。第1MCM端子群21aは、送信端子群21atと受信端子群21arとを備えている。第1MCM端子群21bは、送信端子群21btと受信端子群21brとを備えている。図5に示すように、各端子群21at,21ar,21bt,21brは、複数のMCM端子20を有している。図4では、送信端子群をTX、受信端子群をRXと示している。なお、MCM103は、半導体装置に相当する。
【0053】
送信端子群21atと受信端子群21arは、基板辺SD1に沿って隣り合って設けられている。送信端子群21btと受信端子群21brは、基板辺SD2に沿って隣り合って設けられている。
【0054】
さらに、第1MCM端子群21aと第1MCM端子群21bとでは、端子群21at,21arの並び順と、端子群21bt,21brの並び順が異なる。第1MCM端子群21aは、基板辺SD4側から受信端子群21ar、送信端子群21atの順で並べられている。一方、第1MCM端子群21bは、基板辺SD4側から送信端子群21bt、受信端子群21brの順で並べられている。つまり、MCM103は、端子群21at,21arの並び順と、端子群21bt,21brの並び順が逆である。MCM103は、MCM101と同様、通信線2の長さを短くしやすい。
【0055】
なお、MCM103は、高速通信端子群31a,31bの構成として、MCM102の構成を採用できる。この点は、MCM104でも同様である。
【0056】
(第4実施形態)
図6に示すように、MCM104は、第1MCM端子群21a,21bの構成がMCM101と異なる。第1MCM端子群21aは、送信端子群21atと受信端子群21arとを備えている。第1MCM端子群21bは、送信端子群21btと受信端子群21brとを備えている。図7に示すように、各端子群21at,21ar,21bt,21brは、複数のMCM端子20を有している。なお、MCM104は、半導体装置に相当する。
【0057】
送信端子群21atと受信端子群21arは、基板辺SD1から遠ざかる方向に隣り合って設けられている。つまり、送信端子群21atと受信端子群21arは、X方向において隣り合って設けられている。
【0058】
送信端子群21btと受信端子群21brは、基板辺SD2から遠ざかる方向に隣り合って設けられている。つまり、送信端子群21btと受信端子群21brは、X方向において隣り合って設けられている。
【0059】
さらに、第1MCM端子群21aと第1MCM端子群21bとでは、端子群21at,21arの並び順と、端子群21bt,21brの並び順が異なる。第1MCM端子群21aは、基板辺SD1側から受信端子群21ar、送信端子群21atの順で並べられている。一方、第1MCM端子群21bは、基板辺SD2側から送信端子群21bt、受信端子群21brの順で並べられている。つまり、MCM104は、端子群21at,21arの並び順と、端子群21bt,21brの並び順が逆である。MCM104は、MCM101と同様、通信線2の長さを短くしやすい。
【0060】
(第5実施形態)
図8を用いて、MCM101を備えた電子制御装置1001に関して説明する。電子制御装置1001は、通信線2などの配線が設けられた配線基板1と、配線基板1の実装面に実装され配線を介して通信可能に構成された複数のMCM101を備えている。
【0061】
各MCM101は、独立して演算処理を行うものである。つまり、複数のMCM101は、異なる演算機能を有した回路装置30を備えている。そして、複数のMCM101は、高速通信機能を用いて互いに通信を行う。なお、本実施形態では、一例として、二つのMCM101を備えた電子制御装置1001を採用している。
【0062】
さらに、電子制御装置1001は、電子制御装置1001とは異なる電子制御装置との電気的な接続に用いられるコネクタ300を備えている。また、配線基板1は、配線として、通信線2に加えて外部接続線3を備えている。外部接続線3は、コネクタ300と電気的に接続されている。なお、異なる電子制御装置は、外部装置ともいえる。
【0063】
二つのMCM101は、互いの基板辺SD1が同じ方向を向くように配置されている。よって、二つのMCM101は、一方のMCM101の基板辺SD2と、他方のMCM101における基板辺SD1とが対向するように配置されている。つまり、二つのMCM101は、XY平面において、一方のMCM101における第1MCM端子群21bと、他方のMCM101における第1MCM端子群21aとが対向するように隣り合って配置されている。このように、二つのMCM101は、一部の第1MCM端子群21a,21bどうしが対向するように隣り合って配置されているといえる。
【0064】
このため、電子制御装置1001は、配線基板1における二つのMCM101の位置に依存して、通信線2の長さが長くなることを抑制できる。よって、電子制御装置1001は、配線基板1上での高周波の伝導ノイズや放射ノイズの抑制ができ、かつ、配線基板1のサイズを小型化できる。また、電子制御装置1001は、二つのMCM101の配置自由度を向上できる。
【0065】
なお、電子制御装置1001は、MCM101のかわりに、MCM102~104を備えていてもよい。この点は、第6実施形態~第8実施形態でも同様である。また、電子制御装置1001は、MCM101~MCM104の少なくとも二つを備えていればよい。例えば、電子制御装置1001は、MCM101とMCM102を備えていてもよい。この点は、第6実施形態、第7実施形態でも同様である。
【0066】
一例として、MCM101のかわりに、二つのMCM103を備えた電子制御装置1001に関して説明する。電子制御装置1001は、XY平面において、一方のMCM103の受信端子群21brと、他方のMCM103の送信端子群21atとが対向配置される。また、電子制御装置1001は、XY平面において、一方のMCM103の送信端子群21btと、他方のMCM103の受信端子群21arとが対向配置される。
【0067】
そして、対向配置された受信端子群21brと送信端子群21atは、通信線2で電気的に接続される。対向配置された送信端子群21btと受信端子群21arは、通信線2で電気的に接続される。
【0068】
このため、電子制御装置1001は、XY平面において、通信線2を交差させることを抑制できる。よって、電子制御装置1001は、配線基板1の配線が複雑になることを抑制できる。また、電子制御装置1001は、通信線2の長さを短くできる。
【0069】
また、一例として、MCM101のかわりに、二つのMCM104を備えた電子制御装置1001に関して説明する。電子制御装置1001は、XY平面において、一方のMCM103の送信端子群21btと、他方のMCM103の受信端子群21arとが対向配置される。また、電子制御装置1001は、一方のMCM103の受信端子群21brと他方のMCM103の送信端子群21atは対向配置されない。
【0070】
そして、対向配置された送信端子群21btと受信端子群21arは、通信線2で接続される。対向配置されてない受信端子群21brと送信端子群21atは、通信線2で接続される。両通信線2は、異なる層の配線が用いられる。
【0071】
このため、電子制御装置1001は、配線基板1内において通信線2を交差させることを抑制できる。よって、電子制御装置1001は、MCM103を採用した構成と同様、配線の複雑化を抑制できるとともに、通信線2の長さを短くできる。
【0072】
(第6実施形態)
図9に示すように、電子制御装置1002は、カップリングコンデンサ400およびレベルシフタ500を備えている。また、電子制御装置1002は、複数のMCM101が冗長構成となっている。その他の構成は、電子制御装置1001と同様である。カップリングコンデンサ400は、直流絶縁素子に相当する。
【0073】
カップリングコンデンサ400の一方の端子は、一方のMCM101における第1MCM端子群21bと通信線2を介して接続されている。また、カップリングコンデンサ400の他方の端子は、他方のMCM101における第1MCM端子群21aと通信線2を介して接続されている。つまり、電子制御装置1002は、一方のMCM101における第1MCM端子群21bと、他方のMCM101における第1MCM端子群21aがカップリングコンデンサ400を介して接続されている。よって、電子制御装置1002は、二つのMCM101がDC(直流)的に絶縁されている。なお、第1MCM端子群21bと第1MCM端子群21aは、カップリングコンデンサ400を備えたインタフェースを介して接続されてもよい。
【0074】
レベルシフタ500は、絶縁のために、配線基板1に設けられた配線の一部である低速通信線4を介して第2MCM端子群22どうしを接続している。しかしながら、電子制御装置1002は、レベルシフタ500を備えていなくてもよい。
【0075】
電子制御装置1002は、カップリングコンデンサ400を備えているため、冗長構成をとりつつ、電子制御装置1001と同様の効果を奏することができる。
【0076】
(第7実施形態)
図10に示すように、電子制御装置1003は、MCM101と高速通信可能なデバイス200を備えている。その他の構成は、電子制御装置1001と同様である。
【0077】
デバイス200は、一方のMCM101における第1MCM端子群21aと通信線2を介して電気的に接続されている。また、デバイス200は、他方のMCM101における第1MCM端子群21bと通信線2を介して電気的に接続されている。つまり、二つのMCM101は、互いに対向配置された第1MCM端子群21a,21bとは異なる第1MCM端子群21a,21bが通信線2を介してデバイス200と接続されている。なお、電子制御装置1003は、少なくとも一つのMCM101がデバイス200と接続されていればよい。
【0078】
よって、電子制御装置1003は、MCM101間の通信に用いられないMCM端子群21a,21bを有効活用できる。電子制御装置1003は、電子制御装置1001と同様の効果を奏することができる。
【0079】
(第8実施形態)
図11に示すように、電子制御装置1004は、三つのMCM101を備えていてもよい。さらに、電子制御装置1004は、四つ以上のMCM101を備えていてもよい。つまり、電子制御装置1004は、回路規模に応じてMCM101の数を変えることができる。電子制御装置1004は、電子制御装置1001と同様の効果を奏することができる。
【0080】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0081】
1…配線基板、2…通信線、3…外部接続線、4…低速通信線、10…MCM基板、20…MCM端子、21a,21b…第1MCM端子群、21at,21bt…送信端子群、21ar,21br…受信端子群、22…第2MCM端子群、23…第3MCM端子群、30…回路装置、31a,31b…高速通信端子群、32…低速通信端子群、33…外部接続端子群、40…電源装置、100~104…MCM、200…デバイス、300…コネクタ、400…カップリングコンデンサ、500…レベルシフタ、1000~1003…電子制御装置、SF1…一面、SF2…反対面、SD1~SD4…基板辺、SD11~SD14…装置辺
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11