(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147312
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】排気装置
(51)【国際特許分類】
F01N 13/00 20100101AFI20241008BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20241008BHJP
【FI】
F01N13/00 B
F01N13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060243
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田原 大地
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004DA01
3G004DA15
3G004DA23
3G004FA01
3G004FA02
3G004FA07
(57)【要約】
【課題】排気管を備える排気装置において、排水能力を向上できるようにする。
【解決手段】本開示の一態様は、排気管とカバー部材とを備える排気装置である。排気管は、内部に排気が導入されるように構成され、当該排気管の内外を連通する連通孔が形成される。連通孔は、鉛直方向下側に向けて開口し、排水孔として機能する。カバー部材は、多孔質材によって構成される。カバー部材は、連通孔を覆いつつ、排気管の外周部の少なくとも一部を覆うように構成され、かつ当該カバー部材の外周部の少なくとも一部が外気に接触するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気装置であって、
排気管とカバー部材とを備え、
前記排気管は、内部に排気が導入されるように構成され、当該排気管の内外を連通する連通孔が形成され、
前記カバー部材は、多孔質材によって構成され、前記連通孔を覆いつつ、前記排気管の外周部の少なくとも一部を覆うように構成され、かつ当該カバー部材の外周部の少なくとも一部が外気に接触する
ように構成される排気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排気装置であって、
前記カバー部材は、前記排気管の外周部の全周を覆う
ように構成される排気装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気装置であって、
前記カバー部材は、前記排気管の外周部から前記連通孔の内部に向けて突出する突起である突起部、
を備える排気装置。
【請求項4】
請求項1に記載の排気装置であって、
前記カバー部材は、
前記排気管に取付前の形状が帯状であり、当該カバー部材の一端部を第1端部、該第1端部に対向する端部を第2端部として、
前記第1端部に凹部、前記第1端部に対向する第2端部に凸部を備え、
前記凹部と前記凸部とが係合するように、前記排気管の外周部に巻き付けて配置される
排気装置。
【請求項5】
請求項1に記載の排気装置であって、
前記カバー部材は、前記排気管の外周部において、少なくとも前記連通孔から排気の流れ方向の上流側に延びる
ように構成される排気装置。
【請求項6】
請求項1に記載の排気装置であって、
前記連通孔及び前記カバー部材は、排気の下流側に向かうにつれて鉛直方向上向きに前記排気管が湾曲する部位に配置される
排気装置。
【請求項7】
請求項1に記載の排気装置であって、
前記カバー部材を第1カバー部材として、
前記第1カバー部材の周囲を、前記第1カバー部材の外周部が外気に接するように覆う第2カバー部材、
をさらに備える排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気管を備える排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、排気管に形成された連通孔内に、排気管の内部の水分を排気管の外部に導くための多孔質体を備える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、排気管を備える排気装置においては、排気管の内部で凝縮水等の水分が発生する。排気装置は、この水分を良好に排出すること、すなわち排水能力を向上させることに対する要求がある。本開示の1つの局面は、排気管を備える排気装置において、排水能力を向上できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、排気管とカバー部材とを備える排気装置である。排気管は、内部に排気が導入されるように構成され、当該排気管の内外を連通する連通孔が形成される。
【0006】
カバー部材は、多孔質材によって構成される。カバー部材は、連通孔を覆いつつ、排気管の外周部の少なくとも一部を覆うように構成され、かつ当該カバー部材の外周部の少なくとも一部が外気に接触するように構成される。
【0007】
このような構成によれば、連通孔から排出された凝縮水等の水分が、毛細管現象によりカバー部材を伝って、配管の外周部に沿うように誘導される。そして、カバー部材に含まれた水分は、排気管の熱を利用して気化されるため、良好に蒸発する。この結果、カバー部材は蒸発した分だけ新たな水分を吸収可能になる。よって、排気装置における排水能力を向上させることができる。
【0008】
本開示の一態様では、カバー部材は、排気管の外周部の全周を覆ってもよい。
このような構成によれば、カバー部材は、排気管の全周を用いて、より広い範囲で水分を蒸発させることができるので、排水能力をより向上させることができる。
【0009】
本開示の一態様では、カバー部材は突起部を備えてもよい。突起部は、排気管の外周部から連通孔の内部に向けて突出する突起である。
このような構成によれば、突起部が連通孔の内部に突出するので、カバー部材が突起部を介して水分を吸収しやすくすることができる。
【0010】
本開示の一態様では、カバー部材は、排気管に取付前の形状が帯状に形成される。カバー部材の一端部を第1端部、該第1端部に対向する端部を第2端部として、カバー部材は、凹部及び凸部を備えてもよい。凹部は、第1端部に形成され、凸部は、第1端部に対向する第2端部に形成される。カバー部材は、凹部と凸部とが係合するように、排気管の外周部に巻き付けて配置されてもよい。
【0011】
このような構成によれば、カバー部材を排気管の外周部に巻き付けて配置する構成の場合に、凹部と凸部とが係合するように組み付けることができるので、カバー部材の位置決めを容易に行うことができる。
【0012】
本開示の一態様では、カバー部材は、排気管の外周部において、少なくとも連通孔から排気の流れ方向の上流側に延びてもよい。排気の流れ方向とは、排気管内部における主たる排気が流れる方向を示す。
【0013】
ここで、排気管において排気の流れ方向の上流側は、下流側よりも高温になりがちである。よって、このような構成によれば、より温度が高い領域にカバー部材を触れさせるのでカバー部材が吸収した水分を気化させ易くすることができる。
【0014】
本開示の一態様では、連通孔及びカバー部材は、排気の下流側に向かうにつれて鉛直方向上向きに排気管が湾曲する部位に配置されてもよい。
このような構成によれば、水分が溜まりやすい場所にて良好に排水を行うことができる。
【0015】
本開示の一態様は、カバー部材を第1カバー部材として、第1カバー部材の周囲を、第1カバー部材の外周部が外気に接するように覆う第2カバー部材、をさらに備えてもよい。
【0016】
このような構成によれば、第2カバー部材が第1カバー部材の周囲を覆うので、第1カバー部材が排気管から脱落しにくくなるように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図2Aは実施形態のカバー部材を示す平面図、
図2Bはカバー部材を示す正面である。
【
図3】
図3Aは第1の形態である排気管湾曲部を示す正面図であり、
図3Bは第2の形態である排気管湾曲部を示す正面図である。
【
図4】
図4Aは断面が四角形の排気管を示す断面図、
図4Bは断面が三角形の排気管を示す断面図、
図4Cは断面が半円形の材料を組み合わせた排気管を示す断面図である。
【
図5】
図5Aは三角形の連通孔を示す平面図、
図5Bは四角形の連通孔を示す平面図、
図5Cは複数の連通孔を有する排気管を示す斜視図である。
【
図7】
図7Aは複数の凹部及び凸部を有するカバー部材を示す断面図、
図7Bはそのカバー部材の平面図である。
【
図8】
図8Aは薄肉部を有するカバー部材を示す断面図、
図8Bはそのカバー部材の平面図である。
【
図10】
図10Aは薄肉部に突起部32を備えるカバー部材を示す平面図、
図10Bはそのカバー部材のXB-XB断面図、
図10Cはカバー部材を示す左側面図である。
【
図11】第3変形例の排気装置を示す断面図である。
【
図14】第6変形例の排気装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.実施形態]
[1-1.排気装置の構成]
図1A、
図1B、
図1Cに示す排気装置1Aは、排気を流通させる機能を備える装置である。排気装置1Aは、エンジン等の内燃機関を有する移動体(例えば乗用車等の車両)に搭載される。なお、
図1等においては、鉛直方向上方を「UP」、鉛直方向下方を「DOWN」、排気の流れ方向を「FLOW」として図示する。排気の流れ方向とは、排気管10Aの内部における主たる排気が下流側に流れる方向を示し、
図1では右向きである。上流側は、下流側とは反対側である。
【0019】
排気装置1Aは、排気管10Aとカバー部材30Aとを備える。排気管10Aは、筒状の部材であり、内部に排気が流れる流路を形成し、この流路に排気が導入されるように構成される。排気装置1Aは、例えば、ステンレス鋼等を材料とする金属管である。
【0020】
排気管10Aには、排気管10Aの内外を連通する連通孔11Aが形成される。連通孔11Aは、排気管10Aにおいて鉛直方向下側に向けて開口し、凝縮水等の水分Wを排水するための孔として機能する。連通孔11Aの形状は例えば円形である(
図5C、
図6参照)。
【0021】
排気管10Aの外周部12は、排気の流れ方向に沿う一部が、カバー部材30Aによって覆われる。カバー部材30Aは、多孔質材によって構成される。多孔質材とは、毛細管現象が生じ得る素材、材料、或いは構造を示す。多孔質材には、例えば、グラスウール等のグラスファイバ、セラミックファイバ、シリカファイバ、スチールウール等のスチールファイバ、セラミック、軽石が含まれうる。多孔質材は、排気の熱に耐えうる程度の耐熱性を備える。
【0022】
カバー部材30Aは、排気管10Aの連通孔11Aを覆いつつ、排気管10Aの外周部12の全周を覆うように構成される。換言すれば、カバー部材30Aは、外周部12を全周に渡って連続的に覆うように構成される。なお、カバー部材30Aは、連通孔11Aを覆いつつ、排気管10Aの外周部12の少なくとも一部を覆うように構成されてもよい。
【0023】
加えて、カバー部材30Aは、カバー部材30Aの外周部、ここでは外周部の全面が、外気に接触するように露出して配置される。なお、カバー部材30Aは、少なくとも一部が外気に接触するように構成されていればよい。
【0024】
カバー部材30Aは、カバー部材30Aにおける排気の流れ方向の中央に連通孔11Aが位置するように、排気管10Aの外周部12を取り囲んで配置される。つまり、カバー部材30Aは、連通孔11Aから排気の流れ方向の上流側及び下流側に延びるように構成される。
【0025】
ここで、カバー部材30Aは、
図2A及び
図2Bに示すように、排気管10Aに取付けられる前の形状が略長方形の帯状に形成される。カバー部材30Aの端部であって長方形の短辺の1つを第1端部32、第1端部32に対向する端部であってもう1つの短辺を第2端部33とする。カバー部材30Aは、凹部33A、及び凸部32Aを備える。
【0026】
凹部33Aは、第2端部33を切り欠いた形状に形成され、凸部32Aは、第1端部32から突出するように形成される。カバー部材30Aは、
図1Cに示すように、凹部33Aと凸部32Aとが係合するように、排気管10Aの外周部12に巻き付けて配置される。なお、凹部33A及び凸部32Aは、端部32,33に近づくにつれて幅が狭くなる(端部32,33と平行な方向での長さが短くなる)ように構成される。この構成では、カバー部材30Aが周方向に引っ張られたときに凹部33A及び凸部32A間の摩擦が大きくなり、係合状態が維持されやすくなる。
【0027】
加えて、カバー部材30Aは、
図2A及び
図2Bに示すように、突起部31を備える。突起部31は、カバー部材30Aの厚みが大きくなるように構成された部位である。突起部31は、排気管10Aの外周部12から連通孔11Aの内部に向けて突出する突起である。ただし、
図2Bに示すように、突起部31の高さHは、通常、排気管10Aの厚みD以下になるように低く設定される。また、高さHが厚みDに対して僅かに大きく(高く)設定されていてもよい。なお、
図2Bで示す排気管10Aは、理解を容易にするために、平面に引き伸ばされた状態を図示している。
【0028】
本実施形態において、突起部31の高さHを上記のように設定しているのは、突起部31が排気管10Aの内周面よりも排気管10Aの中心軸側に入り込む構造では、排気管10A中の排気の流れを妨げ、或いは異音の原因になりうるからである。本実施形態の構成では、排気管10A中の排気の流れを妨げることを抑制し、異音の発生を抑制できる。
【0029】
上記のような排気装置1Aは、
図3A及び
図3Bに示すように、排気管湾曲部3に配置されてもよい。排気管湾曲部3とは、排気の下流側に向かうにつれて鉛直方向上向きに排気管10Aが湾曲する部位である。排気管湾曲部3は、
図3Aに示すように、排気管10Aの一部であって、排気の下流側に向かうにつれて、鉛直方向下向き湾曲してから鉛直方向上向きに湾曲する部位でもよい。また、排気管湾曲部3は、
図3Bに示すように、水平に延びる排気管10Aの排気の下流側の部位であって、鉛直方向上向きに湾曲する部位でもよい。つまり、排気管湾曲部3は、水分が溜まりやすい場所である。
【0030】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1a)上記の排気装置1Aは、排気管10Aとカバー部材30Aとを備える。排気管10Aは、内部に排気が導入されるように構成され、排気管10Aの内外を連通する連通孔11Aが形成される。
【0031】
カバー部材30Aは、多孔質材によって構成される。カバー部材30Aは、連通孔11Aを覆いつつ、排気管10Aの外周部12の少なくとも一部を覆うように構成され、かつ当該カバー部材30Aの外周部12の少なくとも一部が外気に接触するように構成される。
【0032】
このような構成によれば、連通孔11Aから排出された水分が、毛細管現象によりカバー部材30Aを伝って、配管の外周部12に沿うように誘導される。そして、カバー部材30Aに含まれた水分は、排気管10Aの熱を利用して気化されるため、良好に蒸発する。この結果、カバー部材30Aは蒸発した分だけ新たな水分を吸収可能になる。よって、排気装置1Aにおける排水能力を向上させることができる。
【0033】
また、このような構成によれば、連通孔11Aを覆うようにカバー部材30Aを配置するので、連通孔11Aから排気が流出することを抑制できる。また、連通孔11Aから異音が漏洩することを抑制できる。
【0034】
さらに、このような構成によれば、水分が排気管10Aから垂れ落ちることを抑制できるので、車両に搭載された排気装置1Aが駐車場の床等を水分で汚さないように構成できる。また、カバー部材30Aを用いて排気管10Aの周辺部品への断熱を実現することができる。つまり、カバー部材30Aを断熱材として機能させることができる。
【0035】
(1b)本開示の一態様では、カバー部材30Aは、排気管10Aの外周部12の全周を覆うように構成される。
このような構成によれば、カバー部材30Aは、排気管10Aの全周を用いて、より広い範囲で水分を蒸発させることができる。よって、排水能力をより向上させることができる。
【0036】
(1c)本開示の一態様では、カバー部材30Aは突起部31を備える。突起部31は、排気管10Aの外周部12から連通孔11Aの内部に向けて突出する突起である。
このような構成によれば、突起部31によって連通孔11Aが組付け位置が固定されるため、排気管10Aに対するカバー部材30Aの位置決めを容易にすることができる。また、突起部31が連通孔11Aの内部に突出するので、カバー部材30Aが突起部31を介して水分を吸収しやすくすることができる。
【0037】
(1d)本開示の一態様では、カバー部材30Aは、排気管10Aに取付前の形状が帯状に形成される。カバー部材30Aは、凹部33Aと凸部32Aとが係合するように、排気管10Aの外周部12に巻き付けて配置される。
【0038】
このような構成によれば、カバー部材30Aを排気管10Aの外周部12に巻き付けて配置する構成の場合に、凹部33Aと凸部32Aとが係合するように組み付けることができる。よって、カバー部材30Aの端部の位置決めを容易に行うことができる。
【0039】
(1e)本開示の一態様では、カバー部材30Aは、排気管10Aの外周部12において、少なくとも連通孔11Aから排気の流れ方向の上流側に延びるように構成される。
【0040】
ここで、排気管10Aにおいて排気の流れ方向の上流側は、下流側よりも高温になりがちである。また、車両の走行に伴って生じる走行風が当たりやすい。よって、このような構成によれば、より温度が高い領域であり、走行風が当たりやすい領域にカバー部材30Aを触れさせるのでカバー部材30Aが吸収した水分を気化させ易くすることができる。
【0041】
(1f)本開示の一態様では、連通孔11A及びカバー部材30Aは、排気の下流側に向かうにつれて鉛直方向上向きに排気管10Aが湾曲する部位である排気管湾曲部3に配置されてもよい。
【0042】
このような構成によれば、水分が溜まりやすい場所である排気管湾曲部3にて良好に排水を行うことができる。
【0043】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0044】
(2a)上記実施形態では、断面形状が円形である排気管10Aを採用したが、これに限定されるものではない。例えば、
図4Aに示すような断面形状が四角形である排気管10B、
図4Bに示すような断面形状が六角形等である排気管10C等、断面形状が多角形である排気管を採用してもよい。また、複数の部材を繋ぎ合わせて構成された排気管を採用してもよい。具体的には、例えば
図4Cに示すように、断面形状が半円形である2つの部材を繋ぎ合わせて、断面形状が円形になるように構成された排気管10Dを採用してもよい。
【0045】
(2b)上記実施形態では、円形に形成された連通孔11Aを採用したが、これに限定されるものではない。例えば、
図5Aに示すように、三角形に形成された連通孔11Bを採用してもよいし、
図5Bに示すように、四角形に形成された連通孔11Cを採用してもよい。また、これらの連通孔11A~11Cは、1つだけ形成されていてもよいし、
図5Cに示すように複数個形成されていてもよい。
【0046】
(2c)上記実施形態では、カバー部材30Aを排気管10Aに固定する際の固定方法については言及しておらず、任意の固定方法を採用することができる。例えば、
図6に示す第1変形例の排気装置1Bのように、排気管10Aとカバー部材30Aとはピン13を利用して固定されてもよい。ピン13は、予め排気管10Aの外周部12から突出するように配置されている。ピン13は、例えば溶接等によって外周部12に固定されている。カバー部材30Aは、ピン13がカバー部材30Aを貫いて刺し込まれることで位置決めされる。
【0047】
(2d)また或いは、排気管10Aとカバー部材30Aとは、
図7Aに示すように、ステープラ71を用いて固定されてもよい。ステープラ71には、ホチキス、タッカ等と呼ばれる複数の針が連結された構造を有する固定部材が該当する。
【0048】
ステープラ71を採用する際には、
図7Bに示すカバー部材30Bを採用してもよい。カバー部材30Bの第1端部32には、複数の凸部32B及び複数の凹部32Cが形成されている。また、第2端部33にも、複数の凸部33B及び複数の凹部33Cが形成されている。ただし、第2端部33において、第1端部32の凸部32Bに対応する箇所には、凹部33Cが配置され、第1端部32の凹部32Cに対応する箇所には、凸部33Bが配置される。
【0049】
このようなカバー部材30Bは、
図7Aに示すように、第1端部32の凹部32Cと第2端部33の凸部33Bとを突き合わせた状態で、これらにステープラ71が打ち込まれて固定される。なお、図示はしないが、カバー部材30Bは、第1端部32の凸部32Bと第2端部33の凹部33Cとを突き合わせた状態で、同様にステープラ71が打ち込まれて固定される。
【0050】
(2e)上記実施形態では、カバー部材30A,30Bの第1端部32及び第2端部33を係合させる構成を採用したが、これらの係合させる構成は、上記に限定されるものではない。例えば、
図8A及び
図8Bに示すように、カバー部材30Cを係合する構成を採用してもよい。
【0051】
カバー部材30Cは、
図8Bに示すように、第1端部32に、薄肉部32D、32Eが形成されるとともに、第2端部33に、薄肉部33D、33Eが形成される。
薄肉部32D、33Dは、カバー部材30Cの第1の面(
図8Bでは手前側)が切り欠かれたような形状であり、薄肉部32E、33Eは、カバー部材30Dの第2の面(
図8Bでは奥側)が切り欠かれたような形状である。第2の面は、第1の面の裏側の面である。また、薄肉部32D、32E、33D、33Eは、カバー部材30Cの他の部位よりも厚みが薄い部位である。
【0052】
カバー部材30Cは、排気管10Aに巻き付けられたときに、第1端部32の薄肉部32Dが第2端部33の薄肉部33Eと重ねられるとともに、第1端部32の薄肉部32Eが第2端部33の薄肉部33Dと重ねられる。そして、カバー部材30Cは、薄肉部32D、32E、33D、33Eが重ねられた部位にて、ステープラ71が打ち込まれて固定される。
【0053】
(2f)
図9に示す第2変形例の排気装置1Cのように、カバー部材30Aは、排気管10Aの周囲を、複数回、巻かれた多重構造とされてもよい。そして、多重構造のカバー部材30Aは、ステープラ72によって固定される。ステープラ72は、最も外側に位置するカバー部材30Aから最も内側に位置するカバー部材30Aまでを貫通するように配置される。
【0054】
(2g)また例えば、
図10A、
図10B、
図10Cに示すカバー部材30Dを採用してもよい。カバー部材30Dは、第1端部32に、薄肉部32Fが形成されるとともに、薄肉部32Fから突出する突起部32Gを備える。薄肉部32Fは、カバー部材30Dの一方側の面(
図10Bでは上側)が切り欠かれたような形状であり、カバー部材30Dの他の部位よりも厚みが薄い部位である。カバー部材30Dは、第2端部33にも薄肉部33Fが形成されるとともに、薄肉部32Fにおいてさらに凹んだ穴状の部位である凹穴部33Gが形成される。カバー部材30Dは、排気管10Aに巻き付けられたときに、突起部32Gが凹穴部33Gに嵌り込んでカバー部材30Dの第1端部32及び第2端部33が固定されるように設定されている。
【0055】
(2h)上記には、排気管10Aとカバー部材30A~30Dとの間に隙間が生じていない構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、
図11に示す第3変形例の排気装置1Dのように、排気管10Fとカバー部材30Aとの間に一部隙間が存在する構成としてもよい。排気管10Fは、管の一部が内側に窪むように構成された窪部14を備えてもよい。
【0056】
(2i)
図12A、
図12B、
図12Cに示す第4変形例の排気装置1Eのように、押さえ部材50Aをさらに備えてもよい。押さえ部材50Aは、本開示の第2カバー部材の一例に相当する。
【0057】
押さえ部材50Aは、カバー部材30Aの周囲を、カバー部材30Aの外周部が少なくとも一部が外気に接するように覆うように構成される。押さえ部材50Aは、複数の細長い部材が格子状に組み合わされて、網目状に形成される部材である。押さえ部材50Aは、伸縮可能に構成され、カバー部材30Aを周囲から締め付けるように構成されてもよい。
【0058】
押さえ部材50Aをカバー部材30Aの外周部に沿って組み付けると、
図12Cに示すように、カバー部材30Aの外側には、押さえ部材50A同士の多数の隙間51が比較的広範囲に渡って形成される。これらの隙間51の部位は、カバー部材30Aの外周部が外気に露出される部位である。
【0059】
このような構成によれば、押さえ部材50Aがカバー部材30Aの周囲を覆うので、カバー部材30Aが排気管10A~10Fから脱落しにくくなるように構成することができる。
【0060】
(2j)
図13A、
図13B、
図13Cに示す第5変形例の排気装置1Fのように、押さえ部材50Aに代えて、押さえ部材50Bを備えてもよい。
押さえ部材50Bは、例えば、多数の孔52が形成された金属薄板として構成される。押さえ部材50Bは、カバー部材30Aの外周部のうちの、多数の孔52が形成された部位、及びカバー部材30Aの上流側の側面及び下流側の側面が外気に露出した状態で、カバー部材30Aの外周部を覆うように構成される。
【0061】
(2k)
図14に示す第6変形例の排気装置1Gのように、例えば、クランプ式の押さえ部材50Cを備えてもよい。押さえ部材50Cは、制振材56と、外板57と、固定部材58とを備えてもよい。
【0062】
制振材56は、排気管10Aの外周部12に配置されたカバー部材30Aのさらに外周面側に配置され、伸縮性を有する部材である。制振材56は、例えば長繊維を編みこむことで形成されたてもよい。長繊維とはグラスファイバ、セラミックファイバ、シリカファイバ、ステンレス材などが例示される。制振材56は、伸縮することで排気管10A等の振動を抑制する。
【0063】
外板57は、金属で形成される帯状の部材である。外板57は、湾曲した排気管10Aの外周部12を囲むように、排気管10Aの外周側面の形状に沿った形状である。外板57は、制振材56の外側に配置される。外板57の断面は、略C字状である。
【0064】
外板57は、外板57の端部からそれぞれ外側に延び出す板状の接続片57A,57Bを備える。接続片57A,57Bは、対向した状態でボルト及びナットを含む固定部材58にて固定される。
【0065】
(2l)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0066】
(2m)上述した排気装置1A~1Gの他、当該排気装置1A~1Gを構成要素とするシステム、排気方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【0067】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
排気装置であって、
排気管とカバー部材とを備え、
前記排気管は、内部に排気が導入されるように構成され、当該排気管の内外を連通する連通孔が形成され、
前記カバー部材は、多孔質材によって構成され、前記連通孔を覆いつつ、前記排気管の外周部の少なくとも一部を覆うように構成され、かつ当該カバー部材の外周部の少なくとも一部が外気に接触する
ように構成される排気装置。
[項目2]
項目1に記載の排気装置であって、
前記カバー部材は、前記排気管の外周部の全周を覆う
ように構成される排気装置。
[項目3]
項目1又は項目2に記載の排気装置であって、
前記カバー部材は、前記排気管の外周部から前記連通孔の内部に向けて突出する突起である突起部、
を備える排気装置。
[項目4]
項目1から項目3までのいずれか1項に記載の排気装置であって、
前記カバー部材は、
前記排気管に取付前の形状が帯状であり、当該カバー部材の一端部を第1端部、該第1端部に対向する端部を第2端部として、
前記第1端部に凹部、前記第1端部に対向する第2端部に凸部を備え、
前記凹部と前記凸部とが係合するように、前記排気管の外周部に巻き付けて配置される
排気装置。
[項目5]
項目1から項目4までのいずれか1項に記載の排気装置であって、
前記カバー部材は、前記排気管の外周部において、少なくとも前記連通孔から排気の流れ方向の上流側に延びる
ように構成される排気装置。
[項目6]
項目1から項目5までのいずれか1項に記載の排気装置であって、
前記連通孔及び前記カバー部材は、排気の下流側に向かうにつれて鉛直方向上向きに前記排気管が湾曲する部位に配置される
排気装置。
[項目7]
項目1から項目6までのいずれか1項に記載の排気装置であって、
前記カバー部材を第1カバー部材として、
前記第1カバー部材の周囲を、前記第1カバー部材の外周部が外気に接するように覆う第2カバー部材、
をさらに備える排気装置。
【符号の説明】
【0068】
1A~1G…排気装置、3…排気管湾曲部、10A~10F…排気管、11A~11C…連通孔、12…外周部、13…ピン、14…窪部、30A~30D…カバー部材、31…突起部、32…第1端部、32A,32B,33B…凸部、32C,33A,33C…凹部、32D~32F,33D~33F…薄肉部、32G…突起部、33…第2端部、33G…凹穴部、50A~50C…押さえ部材、71,72…ステープラ。