(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147326
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】発電量推定装置、発電量推定方法および発電量推定プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20241008BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/38 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060268
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】石原 伸晃
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AE09
5G066HB06
(57)【要約】
【課題】需要電力に基づいて太陽光発電システムにおける発電量を制御するシステムにおいて、発電量の制御性能をより正確に評価する。
【解決手段】発電量推定装置は、負荷装置に電力を供給する太陽光発電システムにおける発電量の推定値を出力する発電量推定装置であって、前記負荷装置における需要電力を示す需要情報を取得する第1取得部と、前記太陽光発電システムにおけるパワーコンディショナの台数である設備台数および日射強度に基づいて算出される、前記発電量の算出値を取得する第2取得部と、前記推定値を出力する出力部とを備え、前記出力部は、前記算出値が、前記需要情報が示す前記需要電力以上である場合、前記需要電力を前記推定値として出力する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷装置に電力を供給する太陽光発電システムにおける発電量の推定値を出力する発電量推定装置であって、
前記負荷装置における需要電力を示す需要情報を取得する第1取得部と、
前記太陽光発電システムにおけるパワーコンディショナの台数である設備台数および日射強度に基づいて算出される、前記発電量の算出値を取得する第2取得部と、
前記推定値を出力する出力部とを備え、
前記出力部は、前記第2取得部により取得された前記算出値が、前記第1取得部により取得された前記需要情報が示す前記需要電力以上である場合、前記需要電力を前記推定値として出力する、発電量推定装置。
【請求項2】
前記太陽光発電システムでは、前記発電量の実績が前記需要電力以下となるように、前記パワーコンディショナの出力抑制が行われる、請求項1に記載の発電量推定装置。
【請求項3】
前記発電量推定装置は、さらに、
前記発電量の実績値を取得する第3取得部と、
前記発電量の制御目標値である目標電力を示す制御情報を取得する第4取得部と、
前記太陽光発電システムにおける複数の前記パワーコンディショナのうちの、前記目標電力に基づいて出力抑制が行われる前記パワーコンディショナの台数である制御台数を取得する第5取得部とを備え、
前記出力部は、前記算出値が前記需要電力未満である場合、前記第3取得部により取得された前記実績値、前記第4取得部により取得された前記制御情報が示す前記目標電力、前記第5取得部により取得された前記制御台数、前記設備台数および前記算出値に基づいて前記推定値を算出し、算出した前記推定値を出力する、請求項1または請求項2に記載の発電量推定装置。
【請求項4】
前記発電量推定装置は、さらに、
前記発電量の実績値を取得する第3取得部を備え、
前記出力部は、前記算出値が前記需要電力未満であり、かつ前記第3取得部により取得された前記実績値が前記算出値以上である場合、前記実績値を前記推定値として出力する、請求項1または請求項2に記載の発電量推定装置。
【請求項5】
負荷装置に電力を供給する太陽光発電システムにおける発電量の推定値を出力する発電量推定装置、における発電量推定方法であって、
前記負荷装置における需要電力を示す需要情報を取得するステップと、
前記太陽光発電システムにおけるパワーコンディショナの台数である設備台数および日射強度に基づいて算出される、前記発電量の算出値を取得するステップと、
前記推定値を出力するステップとを含み、
前記推定値を出力するステップにおいては、取得した前記算出値が、取得した前記需要情報が示す前記需要電力以上である場合、前記需要電力を前記推定値として出力する、発電量推定方法。
【請求項6】
負荷装置に電力を供給する太陽光発電システムにおける発電量の推定値を出力する発電量推定装置、において用いられる発電量推定プログラムであって、
コンピュータを、
前記負荷装置における需要電力を示す需要情報を取得する第1取得部と、
前記太陽光発電システムにおけるパワーコンディショナの台数である設備台数および日射強度に基づいて算出される、前記発電量の算出値を取得する第2取得部と、
前記推定値を出力する出力部、
として機能させるためのプログラムであり、
前記出力部は、前記第2取得部により取得された前記算出値が、前記第1取得部により取得された前記需要情報が示す前記需要電力以上である場合、前記需要電力を前記推定値として出力する、発電量推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電量推定装置、発電量推定方法および発電量推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日射量等に基づいて、太陽光発電システムにおける発電量を算出する技術が提案されている。たとえば、特許文献1(特開2015-35520号公報)には、以下のような推定方法が開示されている。すなわち、推定方法は、太陽光発電システムによる発電電力を推定するための推定方法であって、発電電力を推定しようとしている推定対象時における推定対象時日射量、及び前記推定対象時における推定対象時気温を取得する取得ステップと、前記推定対象時日射量、及び前記推定対象時気温から、下記式(a)に基づいて、前記推定対象時における推定発電電力を演算する演算ステップとを含む。
推定発電電力=日射量×f(日射量,気温)・・・(a)
ただし、式(a)中、f(日射量,気温)は、日射量及び気温を変数として含んだ関数を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
需要電力に基づいて太陽光発電システムにおける発電量を制御するシステムにおいて、発電量の制御性能をより正確に評価することが可能な技術が望まれる。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、需要電力に基づいて太陽光発電システムにおける発電量を制御するシステムにおいて、発電量の制御性能をより正確に評価することが可能な発電量推定装置、発電量推定方法および発電量推定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の発電量推定装置は、負荷装置に電力を供給する太陽光発電システムにおける発電量の推定値を出力する発電量推定装置であって、前記負荷装置における需要電力を示す需要情報を取得する第1取得部と、前記太陽光発電システムにおけるパワーコンディショナの台数である設備台数および日射強度に基づいて算出される、前記発電量の算出値を取得する第2取得部と、前記推定値を出力する出力部とを備え、前記出力部は、前記第2取得部により取得された前記算出値が、前記第1取得部により取得された前記需要情報が示す前記需要電力以上である場合、前記需要電力を前記推定値として出力する。
【0007】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える発電量推定装置として実現され得るだけでなく、発電量推定装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、発電量推定装置を含むエネルギ管理システムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、需要電力に基づいて太陽光発電システムにおける発電量を制御するシステムにおいて、発電量の制御性能をより正確に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係るエネルギ管理システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態に係るエネルギ管理システムにおける需要電力Dpおよび目標電力Tpの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態に係る発電量推定装置の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施の形態に係るエネルギ管理システムにおける需要電力Dpおよび算出値Ipの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施の形態に係る発電量推定装置が推定値Epの出力を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る発電量推定装置は、負荷装置に電力を供給する太陽光発電システムにおける発電量の推定値を出力する発電量推定装置であって、前記負荷装置における需要電力を示す需要情報を取得する第1取得部と、前記太陽光発電システムにおけるパワーコンディショナの台数である設備台数および日射強度に基づいて算出される、前記発電量の算出値を取得する第2取得部と、前記推定値を出力する出力部とを備え、前記出力部は、前記第2取得部により取得された前記算出値が、前記第1取得部により取得された前記需要情報が示す前記需要電力以上である場合、前記需要電力を前記推定値として出力する。
【0011】
このように、太陽光発電システムにおける発電量の算出値が負荷装置における需要電力以上である場合において、需要電力を太陽光発電システムにおける発電量の推定値として出力する構成により、需要電力を上限値とする推定値を出力することができるので、需要電力を超えないように理想的な発電制御が行われた場合における発電量の推定値を基準として用いて、発電量の制御性能を評価することができる。したがって、需要電力に基づいて太陽光発電システムにおける発電量を制御するシステムにおいて、発電量の制御性能をより正確に評価することができる。
【0012】
(2)上記(1)において、前記太陽光発電システムでは、前記発電量の実績が前記需要電力以下となるように、前記パワーコンディショナの出力抑制が行われてもよい。
【0013】
このような構成により、逆潮流が行われないようにパワーコンディショナの出力抑制が行われる太陽光発電システムにおいて、発電量の制御性能をより正確に評価することができる。
【0014】
(3)上記(1)または(2)において、前記発電量推定装置は、さらに、前記発電量の実績値を取得する第3取得部と、前記発電量の制御目標値である目標電力を示す制御情報を取得する第4取得部と、前記太陽光発電システムにおける複数の前記パワーコンディショナのうちの、前記目標電力に基づいて出力抑制が行われる前記パワーコンディショナの台数である制御台数を取得する第5取得部とを備えてもよく、前記出力部は、前記算出値が前記需要電力未満である場合、前記第3取得部により取得された前記実績値、前記第4取得部により取得された前記制御情報が示す前記目標電力、前記第5取得部により取得された前記制御台数、前記設備台数および前記算出値に基づいて前記推定値を算出し、算出した前記推定値を出力してもよい。
【0015】
このように、実績値、目標電力、制御台数、設備台数および算出値を用いて推定値を算出する構成により、たとえば、パワーコンディショナの出力抑制が行われなかったと仮定した場合における発電量の推定値を基準として用いて、発電量の制御性能をより正確に評価することができる。
【0016】
(4)上記(1)または(2)において、前記発電量推定装置は、さらに、前記発電量の実績値を取得する第3取得部を備えてもよく、前記出力部は、前記算出値が前記需要電力未満であり、かつ前記第3取得部により取得された前記実績値が前記算出値以上である場合、前記実績値を前記推定値として出力してもよい。
【0017】
このような構成により、実績値が算出値以上である場合において、実際の発電量を発電量の制御性能の評価基準として用いることができるので、理論値である算出値を評価基準として用いる場合と比べて、発電量の制御性能をより正確に評価することができる。
【0018】
(5)本開示の実施の形態に係る発電量予測方法は、負荷装置に電力を供給する太陽光発電システムにおける発電量の推定値を出力する発電量推定装置、における発電量推定方法であって、前記負荷装置における需要電力を示す需要情報を取得するステップと、前記太陽光発電システムにおけるパワーコンディショナの台数である設備台数および日射強度に基づいて算出される、前記発電量の算出値を取得するステップと、前記推定値を出力するステップとを含み、前記推定値を出力するステップにおいては、取得した前記算出値が、取得した前記需要情報が示す前記需要電力以上である場合、前記需要電力を前記推定値として出力する。
【0019】
このように、太陽光発電システムにおける発電量の算出値が負荷装置における需要電力以上である場合において、需要電力を太陽光発電システムにおける発電量の推定値として出力する方法により、需要電力を上限値とする推定値を出力することができるので、需要電力を超えないように理想的な発電制御が行われた場合における発電量の推定値を基準として用いて、発電量の制御性能を評価することができる。したがって、需要電力に基づいて太陽光発電システムにおける発電量を制御するシステムにおいて、発電量の制御性能をより正確に評価することができる。
【0020】
(6)本開示の実施の形態に係る発電量予測プログラムは、負荷装置に電力を供給する太陽光発電システムにおける発電量の推定値を出力する発電量推定装置、において用いられる発電量推定プログラムであって、コンピュータを、前記負荷装置における需要電力を示す需要情報を取得する第1取得部と、前記太陽光発電システムにおけるパワーコンディショナの台数である設備台数および日射強度に基づいて算出される、前記発電量の算出値を取得する第2取得部と、前記推定値を出力する出力部、として機能させるためのプログラムであり、前記出力部は、前記第2取得部により取得された前記算出値が、前記第1取得部により取得された前記需要情報が示す前記需要電力以上である場合、前記需要電力を前記推定値として出力する。
【0021】
このように、太陽光発電システムにおける発電量の算出値が負荷装置における需要電力以上である場合において、需要電力を太陽光発電システムにおける発電量の推定値として出力する構成により、需要電力を上限値とする推定値を出力することができるので、需要電力を超えないように理想的な発電制御が行われた場合における発電量の推定値を基準として用いて、発電量の制御性能を評価することができる。したがって、需要電力に基づいて太陽光発電システムにおける発電量を制御するシステムにおいて、発電量の制御性能をより正確に評価することができる。
【0022】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0023】
[構成および基本動作]
図1は、本開示の実施の形態に係るエネルギ管理システムの構成を示す図である。エネルギ管理システム301は、発電量推定装置101と、負荷装置151と、太陽光発電システム201と、発電制御装置251とを備える。たとえば、エネルギ管理システム301は、工場、ビルおよび一般家庭等の電力需要施設に設けられる。
【0024】
太陽光発電システム201は、負荷装置151に電力を供給する。より詳細には、太陽光発電システム201は、キュービクル21と、複数のPCS(パワーコンディショナ:Power Conditioning System)22と、複数の発電部23と、蓄電池24とを備える。発電部23は、複数の太陽電池パネルが直列接続されたストリングである。発電部23は、電力線を介して対応のPCS22に電気的に接続される。PCS22は、対応の発電部23において発電された直流電力を電力線経由で受けて、受けた直流電力に基づく交流電力を生成する。各PCS22において生成された交流電力は、キュービクル21を介して負荷装置151に供給されるか、または蓄電池24に充電される。
【0025】
負荷装置151は、太陽光発電システム201における発電電力を受ける。また、負荷装置151は、消費電力が太陽光発電システム201から受ける発電電力よりも大きい場合、電力系統からの電力をさらに受ける。
【0026】
発電制御装置251は、太陽光発電システム201における発電量を制御する。より詳細には、発電制御装置251は、負荷装置151における需要電力Dpに基づいて、太陽光発電システム201の出力抑制、および太陽光発電システム201における発電電力の蓄電池24への充電の少なくともいずれか一方を行う。
【0027】
たとえば、太陽光発電システム201では、太陽光発電システム201における発電量の実績値Apが需要電力Dp以下となるように、PCS22の出力抑制が行われる。すなわち、太陽光発電システム201では、太陽光発電システム201における発電電力の電力系統への逆潮流が生じないようにするための、PCS22の出力抑制が行われる。
【0028】
図2は、本開示の実施の形態に係るエネルギ管理システムにおける需要電力Dpおよび目標電力Tpの一例を示す図である。
図2において、横軸は時刻であり、縦軸は電力[W]である。
【0029】
図2を参照して、たとえば、発電制御装置251は、負荷装置151における需要電力Dpを算出する。より詳細には、発電制御装置251は、電力系統からの受電点における負荷装置151の受電電力Dr、および太陽光発電システム201から負荷装置151へ供給される供給電力Dsをモニタする。発電制御装置251は、受電電力Drに供給電力Dsを加えた値である需要電力Dpを算出する。発電制御装置251は、所定の処理周期C1に従うタイミングにおいて、需要電力Dpを算出する。処理周期C1は、たとえば1秒である。
【0030】
発電制御装置251は、需要電力Dpを算出すると、算出した需要電力Dpに基づいて、太陽光発電システム201における発電量の制御目標値である目標電力Tpを決定する。一例として、発電制御装置251は、需要電力Dpから所定のマージン値を差し引いた値を目標電力Tpとして決定する。発電制御装置251は、決定した目標電力Tpを示す制御情報を、太陽光発電システム201へ送信する。
【0031】
太陽光発電システム201におけるPCS22は、発電制御装置251から制御情報を受信し、受信した制御情報に従って、キュービクル21への交流電力の出力を抑制する。より詳細には、PCS22は、発電部23から取得した各種情報、および制御情報が示す目標電力Tpに基づいて、キュービクル21への交流電力の出力を抑制する。
【0032】
発電量推定装置101は、太陽光発電システム201における発電量の推定値Epを出力する。たとえば、推定値Epは、発電制御装置251による制御性能の評価に用いられる。
【0033】
<発電量推定装置>
図3は、本開示の実施の形態に係る発電量推定装置の構成を示す図である。
図3を参照して、発電量推定装置101は、取得部11と、処理部12と、通知部13と、記憶部14とを備える。取得部11は、第1取得部の一例であり、第2取得部の一例であり、第3取得部の一例であり、第4取得部の一例であり、かつ第5取得部の一例である。処理部12は、出力部の一例である。取得部11、処理部12および通知部13の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部14は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0034】
記憶部14は、太陽光発電システム201におけるPCS22の定格出力Rvを記憶している。
【0035】
(需要電力Dpおよび目標電力Tp)
取得部11は、負荷装置151における需要電力Dpを示す需要情報を取得する。より詳細には、取得部11は、処理周期C1に従う出力タイミングtxにおいて、発電制御装置251から最新の需要情報を取得する。取得部11は、取得した需要情報を記憶部14に保存する。なお、取得部11は、発電制御装置251から需要情報を取得する代わりに、電力系統からの受電点における負荷装置151の受電電力Dr、および太陽光発電システム201から負荷装置151へ供給される供給電力Dsをモニタし、受電電力Drに供給電力Dsを加えた需要電力Dpを算出してもよい。
【0036】
また、取得部11は、太陽光発電システム201における発電量の制御目標値である目標電力Tpを示す制御情報を取得する。より詳細には、取得部11は、処理周期C1に従う出力タイミングtxにおいて、発電制御装置251から最新の制御情報を取得する。取得部11は、取得した制御情報を記憶部14に保存する。
【0037】
(台数Pnorm,Pcntl)
取得部11は、太陽光発電システム201における複数のPCS22のうちの、故障していないPCS22の台数Pnorm、および目標電力Tpに基づいて出力抑制が行われるPCSの台数Pcntlを取得する。より詳細には、取得部11は、処理周期C1に従う出力タイミングtxにおいて、太陽光発電システム201における各PCS22と通信を行うことにより、台数Pnorm,Pcntlを算出する。取得部11は、算出した台数Pnorm,Pcntlを記憶部14に保存する。
【0038】
(算出値Ip)
取得部11は、太陽光発電システム201におけるPCS22の台数Pnormおよび日射強度Sr[W/m^2]に基づいて算出される、太陽光発電システム201における発電量の算出値Ipを取得する。より詳細には、取得部11は、処理周期C1に従う出力タイミングtxにおいて、図示しない日射計から日射強度Srを取得する。取得部11は、日射強度Srを取得すると、記憶部14における定格出力Rv、台数Pnorm、および日射強度Srに基づいて、以下の式(1)により表される算出値Ipを算出する。なお、日射強度Srは、1000[W/m^2]以下の値であるものとする。取得部11は、算出した算出値Ipを記憶部14に保存する。ここで、「a^b」は、aのb乗を意味する。
Ip=Rv×Pnorm×Sr/1000 ・・・ (1)
【0039】
(実績値Ap)
取得部11は、太陽光発電システム201における発電量の実績値Apを取得する。より詳細には、取得部11は、処理周期C1に従う出力タイミングtxにおいて、太陽光発電システム201における各PCS22と通信を行うことにより、各PCS22において生成された交流電力の電力量を取得し、取得した電力量の合計値を実績値Apとして算出する。取得部11は、算出した実績値Apを記憶部14に保存する。
【0040】
(推定値Ep)
処理部12は、推定値Epを出力する。より詳細には、処理部12は、処理周期C1に従う出力タイミングtxにおいて、取得部11により記憶部14に保存された需要電力Dp、目標電力Tp、台数Pnorm,Pcntl、算出値Ipおよび実績値Apに基づいて、推定値Epを通知部13へ出力する。通知部13は、処理部12から受けた推定値Epを、音声または表示によりエネルギ管理システム301の管理者に通知する。
【0041】
ここで、エネルギ管理システム301では、目標電力Tpは需要電力Dp以下の値に設定され、かつ実績値Apが需要電力Dp以下となるようにPCS22の出力抑制が行われる。したがって、需要電力Dp、目標電力Tp、算出値Ipおよび実績値Apの大小関係は、以下の式(2)から式(9)のいずれかを満たす。
Ip≧Dp≧Tp≧Ap ・・・ (2)
Ip≧Dp≧Ap≧Tp ・・・ (3)
Dp≧Tp≧Ip≧Ap ・・・ (4)
Dp≧Ip≧Tp≧Ap ・・・ (5)
Dp≧Ip≧Ap≧Tp ・・・ (6)
Dp≧Tp≧Ap≧Ip ・・・ (7)
Dp≧Ap≧Tp≧Ip ・・・ (8)
Dp≧Ap≧Ip≧Tp ・・・ (9)
【0042】
処理部12は、需要電力Dp、目標電力Tp、算出値Ipおよび実績値Apの大小関係に応じて、異なる推定値Epを出力する。
【0043】
図4は、本開示の実施の形態に係るエネルギ管理システムにおける需要電力Dpおよび算出値Ipの一例を示す図である。
図4において、横軸は時刻であり、縦軸は電力[W]である。
図4における破線は、需要電力Dpを示している。
図4における実線は、太陽光発電システム201における発電量の算出値Ipを示している。
【0044】
図4を参照して、処理部12は、算出値Ipが需要電力Dp以上である場合、需要電力Dpを推定値Epとして出力する。すなわち、処理部12は、需要電力Dp、目標電力Tp、算出値Ipおよび実績値Apが上述した式(2)または式(3)を満たす場合、需要電力Dpを推定値Epとして通知部13へ出力する。
【0045】
より詳細には、処理部12は、出力タイミングtxごとに、記憶部14における最新の算出値Ipと最新の需要電力Dpとを比較する。処理部12は、ある出力タイミングtxにおいて、算出値Ipが需要電力Dp以上である場合、当該需要電力Dpを当該出力タイミングtxにおける推定値Epとして通知部13へ出力する。
【0046】
一方、処理部12は、算出値Ipが需要電力Dp未満である場合、実績値Ap、目標電力Tp、台数Pcntl,Pnormおよび算出値Ipに基づいて推定値Epを算出し、算出した推定値Epを出力する。たとえば、処理部12は、算出値Ipが需要電力Dp未満であり、かつ実績値Apが算出値Ip未満である場合、実績値Ap、目標電力Tp、台数Pcntl,Pnormおよび算出値Ipに基づいて、以下の式(10)により表される推定値Epを算出して通知部13へ出力する。すなわち、処理部12は、需要電力Dp、目標電力Tp、算出値Ipおよび実績値Apが上述した式(4)から式(6)のいずれかを満たす場合、以下の式(10)により表される推定値Epを算出して通知部13へ出力する。
Ep=(Ip-Tp)×(Pcntl/Pnorm)+Ap ・・・ (10)
【0047】
より詳細には、処理部12は、出力タイミングtxごとに、記憶部14における最新の算出値Ipと最新の需要電力Dpとを比較し、算出値Ipが需要電力Dp未満である場合、最新の算出値Ipと最新の実績値Apとを比較する。処理部12は、実績値Apが算出値Ip未満である場合、上記式(10)に従って推定値Epを算出し、算出した推定値Epを通知部13へ出力する。
【0048】
一方、処理部12は、算出値Ipが需要電力Dp未満であり、かつ実績値Apが算出値Ip以上である場合、実績値Apを推定値Epとして出力する。すなわち、処理部12は、需要電力Dp、目標電力Tp、算出値Ipおよび実績値Apが上述した式(7)から式(9)のいずれかを満たす場合、実績値Apを推定値Epとして通知部13へ出力する。
【0049】
より詳細には、処理部12は、出力タイミングtxごとに、記憶部14における最新の算出値Ipと最新の需要電力Dpとを比較し、算出値Ipが需要電力Dp未満である場合、最新の算出値Ipと最新の実績値Apとを比較する。処理部12は、実績値Apが算出値Ip以上である場合、当該実績値Apを当該出力タイミングtxにおける推定値Epとして通知部13へ出力する。
【0050】
[動作の流れ]
図5は、本開示の実施の形態に係る発電量推定装置が推定値Epの出力を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0051】
図5を参照して、まず、発電量推定装置101は、処理周期C1に従う出力タイミングtxを待ち受け(ステップS11でNO)、出力タイミングtxが到来すると(ステップS11でYES)、需要情報、制御情報、台数Pnorm,Pcntl、算出値Ipおよび実績値Apを取得する(ステップS12)。
【0052】
次に、発電量推定装置101は、算出値Ipと需要電力Dpとを比較する(ステップS13)。
【0053】
次に、発電量推定装置101は、算出値Ipが需要電力Dp以上である場合(ステップS14でYES)、需要電力Dpを推定値Epとして出力する(ステップS15)。
【0054】
次に、発電量推定装置101は、新たな出力タイミングtxを待ち受ける(ステップS11でNO)。
【0055】
一方、発電量推定装置101は、算出値Ipが需要電力Dp未満である場合(ステップS14でNO)、算出値Ipと実績値Apとを比較する(ステップS16)。
【0056】
次に、発電量推定装置101は、実績値Apが算出値Ip以上である場合(ステップS17でYES)、実績値Apを推定値Epとして出力する(ステップS18)。
【0057】
次に、発電量推定装置101は、新たな出力タイミングtxを待ち受ける(ステップS11でNO)。
【0058】
一方、発電量推定装置101は、実績値Apが算出値Ip未満である場合(ステップS17でNO)、上述した式(10)に従って推定値Epを算出する(ステップS19)。
【0059】
次に、発電量推定装置101は、算出した推定値Epを出力する(ステップS20)。
【0060】
次に、発電量推定装置101は、新たな出力タイミングtxを待ち受ける(ステップS11でNO)。
【0061】
なお、本開示の実施の形態に係る太陽光発電システム201では、実績値Apが需要電力Dp以下となるように、PCS22の出力抑制が行われる構成であるとしたが、これに限定するものではない。太陽光発電システム201では、実績値Apが、需要電力Dpよりも大きい電力値以下となるように、PCS22の出力抑制が行われる構成であってもよい。この場合、太陽光発電システム201における発電電力のうちの、負荷装置151により消費されなかった電力は、蓄電池24に充電される。
【0062】
また、本開示の実施の形態に係る発電量推定装置101では、処理部12は、算出値Ipが需要電力Dp未満であり、かつ実績値Apが算出値Ip未満である場合、上述した式(10)により表される推定値Epを算出して通知部13へ出力する構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、処理部12は、算出値Ipが需要電力Dp未満であり、かつ実績値Apが算出値Ip未満である場合、算出値Ipを推定値Epとして通知部13へ出力する構成であってもよい。
【0063】
また、本開示の実施の形態に係る発電量推定装置101では、処理部12は、算出値Ipが需要電力Dp未満であり、かつ実績値Apが算出値Ip以上である場合、実績値Apを推定値Epとして通知部13へ出力する構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、処理部12は、算出値Ipが需要電力Dp未満であり、かつ実績値Apが算出値Ip以上である場合、算出値Ipを推定値Epとして通知部13へ出力する構成であってもよい。
【0064】
また、本開示の実施の形態に係る発電量推定装置101では、処理部12は、処理周期C1に従う出力タイミングtxにおいて、推定値Epを通知部13へ出力する構成であるとしたが、これに限定するものではない。処理部12は、処理周期C1よりも長い周期たとえば24時間周期で、直近の24時間における出力タイミングtxごとの推定値Epを通知部13へ出力する構成であってもよい。
【0065】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0066】
上述の実施形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体必須メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0067】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
負荷装置に電力を供給する太陽光発電システムにおける発電量の推定値を出力する発電量推定装置であって、
前記負荷装置における需要電力を示す需要情報を取得する第1取得部と、
前記太陽光発電システムにおけるパワーコンディショナの台数である設備台数および日射強度に基づいて算出される、前記発電量の算出値を取得する第2取得部と、
前記推定値を出力する出力部とを備え、
前記出力部は、前記第2取得部により取得された前記算出値が、前記第1取得部により取得された前記需要情報が示す前記需要電力以上である場合、前記需要電力を前記推定値として出力し、
前記発電量推定装置は、さらに、
前記発電量の実績値を取得する第3取得部と、
前記発電量の制御目標値である目標電力を示す制御情報を取得する第4取得部と、
前記太陽光発電システムにおける複数の前記パワーコンディショナのうちの、前記目標電力に基づいて出力抑制が行われる前記パワーコンディショナの台数である制御台数を取得する第5取得部とを備え、
前記出力部は、以下の式(A)、式(B)または式(C)を満たす場合、前記実績値、前記目標電力、前記制御台数、前記設備台数および前記算出値に基づいて前記推定値を算出し、算出した前記推定値を出力し、
前記出力部は、以下の式(D)、式(E)または式(F)を満たす場合、前記実績値を前記推定値として出力する、発電量推定装置。
Dp≧Tp≧Ip≧Ap ・・・ (A)
Dp≧Ip≧Tp≧Ap ・・・ (B)
Dp≧Ip≧Ap≧Tp ・・・ (C)
Dp≧Tp≧Ap≧Ip ・・・ (D)
Dp≧Ap≧Tp≧Ip ・・・ (E)
Dp≧Ap≧Ip≧Tp ・・・ (F)
ここで、Dpは前記需要電力であり、Tpは前記発電量の制御目標値である目標電力であり、Apは前記発電量の実績値であり、Ipは前記発電量の算出値である。
【0068】
[付記2]
負荷装置に電力を供給する太陽光発電システムにおける発電量の推定値を出力する発電量推定装置であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
前記負荷装置における需要電力を示す需要情報を取得し、
前記太陽光発電システムにおけるパワーコンディショナの台数である設備台数および日射強度に基づいて算出される、前記発電量の算出値を取得し、
前記推定値を出力し、
前記処理回路は、
取得した前記算出値が、取得した前記需要情報が示す前記需要電力以上である場合、前記需要電力を前記推定値として出力する、発電量推定装置。
【符号の説明】
【0069】
11 取得部
12 処理部
13 通知部
14 記憶部
21 キュービクル
22 PCS
23 発電部
101 発電量推定装置
151 負荷装置
201 太陽光発電システム
251 発電制御装置
301 エネルギ管理システム