(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147327
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20241008BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20241008BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20241008BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20241008BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
H04N23/57
H04N23/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060269
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
【テーマコード(参考)】
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2K005CA04
2K005CA14
2K005CA23
2K005CA34
2K005CA53
5C122GE05
5C122GE11
5C122GE19
5C122HA78
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】ジャイロセンサにおけるノイズの影響を低減する。
【解決手段】光学モジュール22と磁石21とを有する可動体20と、固定体10と、コイル11を有するとともに固定体10に設けられ、コイル11に電気信号を入力することで可動体20を固定体10に対して揺動させる揺動機構100と、を備え、揺動機構100は、第1フレキシブルプリント基板110と、揺動機構100に入力されるすべての電気信号が経由されるドライバIC101と、可動体の角速度を検出するジャイロセンサ102と、コイル11とドライバIC101とを接続する第1配線111と、を有し、第1配線111は、ジャイロセンサ102とドライバIC101とを接続する電気信号線110Gに対して第1フレキシブルプリント基板110の面方向においてオーバーラップしない位置に配置されている光学ユニット1。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールと磁石とを有する可動体と、
固定体と、
コイルを有するとともに前記固定体に設けられ、前記コイルに電気信号を入力することで前記可動体を前記固定体に対して揺動させる揺動機構と、
を備え、
前記揺動機構は、
第1フレキシブルプリント基板と、
前記揺動機構に入力されるすべての電気信号が経由されるドライバICと、
前記可動体の角速度を検出するジャイロセンサと、
前記コイルと前記ドライバICとを接続する第1配線と、
を有し、
前記第1配線は、前記ジャイロセンサと前記ドライバICとを接続する電気信号線に対して前記第1フレキシブルプリント基板の面方向においてオーバーラップしない位置に配置されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
前記揺動機構は、前記ジャイロセンサと前記ドライバICとを接続する電気信号線に対して、前記第1フレキシブルプリント基板の面方向においてオーバーラップしない位置に配置されている電源入力線を介して、外部から電気信号を入力可能に構成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記揺動機構は、前記ドライバICと前記ジャイロセンサとが異なるリジッド基板に設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の光学ユニットにおいて、
前記揺動機構は、前記リジッド基板として、前記ドライバICが設けられるドライバICリジッド基板と、前記ジャイロセンサが設けられるジャイロセンサリジッド基板と、を有し、
前記ドライバICリジッド基板と前記ジャイロセンサリジッド基板とが前記固定体の異なる面に配置されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記揺動機構は、前記ドライバICと前記ジャイロセンサとが同じリジッド基板に設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の光学ユニットにおいて、
前記揺動機構は、外部から電気信号を入力可能なランド形成リジッド基板を有し、
前記ドライバICと前記ジャイロセンサとが設けられた前記リジッド基板と、前記ランド形成リジッド基板とは、前記固定体の同じ面にオーバーラップして配置されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項7】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記可動体は撮像素子を有するとともに、前記撮像素子は面方向に揺動可能な第2フレキシブルプリント基板と接続され、
前記揺動機構は、前記第2フレキシブルプリント基板に対して前記第2フレキシブルプリント基板の面方向にオーバーラップする位置に少なくとも一部が配置されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載の光学ユニットにおいて、
前記固定体は、前記第2フレキシブルプリント基板を固定する第2フレキシブルプリント基板固定部を有し、
前記第1フレキシブルプリント基板は、前記固定体の一面に対して圧入することが可能な圧入板が取り付けられ、
前記圧入板は、前記固定体の一面の、前記第2フレキシブルプリント基板固定部に近い側の端部に圧入される構成であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項9】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記第1フレキシブルプリント基板は、前記固定体の一面に対して圧入することが可能な圧入板が取り付けられ、
前記圧入板は、前記ドライバICに対して直線状に延設されるフレキシブルプリント基板を介して接続される位置に設けられる構成であることを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な光学ユニットが使用されている。このうち、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して揺動可能に支持する光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、光学モジュール及びマグネットを備える可動体と、コイルを備えるフレキシブルプリント基板が取り付けられる固定体と、コイルに電気信号を入力することで可動体を固定体に対して揺動させるジンバル機構と、を備える光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光学ユニットのフレキシブルプリント基板に使用される配線は、電気信号が経由されるドライバICや、可動体の角速度を検出するジャイロセンサなどと接続される。しかしながら、ジャイロセンサは、ノイズの影響を受けやすく、このような配線が、ジャイロセンサや、ジャイロセンサとドライバICとを接続する電気信号線などに対して、その面方向においてオーバーラップする配置になると、ノイズの影響を受けやすくなり誤作動を起こす虞がある。一方、近年、小型の光学ユニットを形成することが要求されており、ジャイロセンサはノイズの影響を受けやすくなっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、光学モジュールと磁石とを有する可動体と、固定体と、コイルを有するとともに前記固定体に設けられ、前記コイルに電気信号を入力することで前記可動体を前記固定体に対して揺動させる揺動機構と、を備え、前記揺動機構は、第1フレキシブルプリント基板と、前記揺動機構に入力されるすべての電気信号が経由されるドライバICと、前記可動体の角速度を検出するジャイロセンサと、前記コイルと前記ドライバICとを接続する第1配線と、を有し、前記第1配線は、前記ジャイロセンサと前記ドライバICとを接続する電気信号線に対して前記第1フレキシブルプリント基板の面方向においてオーバーラップしない位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ジャイロセンサにおけるノイズの影響を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施例1に係る光学ユニットを概略的に表す分解斜視図である。
【
図2】
図1の光学ユニットの揺動機構の周辺を表す斜視図であって、可動体を構成する光学モジュールや固定体を構成する底壁などを省略して表す図である。
【
図3】
図1の光学ユニットの揺動機構を表す展開図である。
【
図4】
図1の光学ユニットの底面図であって、固定体を構成する底壁を省略して表す図である。
【
図5】本発明の実施例2に係る光学ユニットの揺動機構の周辺を表す斜視図あって、可動体を構成する光学モジュールや固定体を構成する底壁などを省略して表す図である。
【
図6】
図5の光学ユニットの揺動機構を表す展開図である。
【
図7】本発明の実施例3に係る光学ユニットの揺動機構の周辺を表す斜視図あって、可動体を構成する光学モジュールや固定体を構成する底壁などを省略して表す図である。
【
図8】
図7の光学ユニットの揺動機構を表す展開図である。
【
図9】参考例の光学ユニットの揺動機構を表す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施例において同一の構成については、同一の符号を付し、最初の実施例においてのみ説明し、以後の実施例においてはその構成の説明を省略する。なお、各図において、X軸、Y軸及びZ軸は各々直行する方向であり、Z軸方向が光軸方向に対応する。また、X軸方向はヨーイング軸方向に対応し、Y軸方向はピッチング軸方向に対応する。
【0009】
[実施例1]
最初に、本発明の光学ユニット1として、実施例1に係る光学ユニット1Aについて
図1から
図4を用いて説明する。本実施例の光学ユニット1Aは、光学モジュール22を備える可動体20と、光学モジュール22の光軸方向(Z軸方向)と交差する周囲方向において可動体20を囲む固定体10と、を備えている。また、本実施例の光学ユニット1Aは、可動体20を固定体10に対して光軸方向と交差する方向(X軸方向及びY軸方向)を揺動軸として揺動可能に支持する揺動支持機構としてのジンバル機構30を備えている。さらに、本実施例の光学ユニット1Aは、固定体10に配置されるコイル11(コイル11A及び11B)と可動体20におけるコイル11と対向する位置に配置される磁石21(磁石21A及び21B)とを有する駆動機構41を備えている。
【0010】
<光学ユニットの全体構成>
最初に、本実施例の光学ユニット1Aの全体構成について
図1を用いて説明する。本実施例の光学ユニット1Aは、カメラやスマートフォンなどにおいて好ましく使用可能である。本実施例の光学ユニット1Aは、コンパクトに構成でき、カメラやスマートフォンをコンパクト構成できるためである。ただし、本実施例の光学ユニット1Aは、カメラやスマートフォンに限定されず、特に用途を限定することなく様々な装置に使用可能である。
【0011】
図1で表されるように、本実施例の光学ユニット1Aは、レンズ等が設けられる光学モジュール22を備える可動体20を備えている。また、光学モジュール22の光軸方向(Z軸方向)と交差する周囲方向において可動体20を囲むケース部10Aと、可動体20がケース部10Aに収容された状態で-Z方向からケース部10Aを覆うことが可能な底壁10Bと、を備える固定体10を備えている。また、可動体20と固定体10との間において、バネ性を有するジンバルフレーム部31を有し、可動体20を固定体10に対してX軸方向及びY軸方向を揺動軸として揺動可能に支持する、ジンバル機構30を備えている。さらに、固定体10に対して可動体20を揺動させる駆動機構41を備えている。
【0012】
<可動体>
図1で表されるように、可動体20は、略直方体をしている。光学モジュール22は、上面部20a、下面部20d、X軸方向における両側の側面部20b及び20e、並びに、Y軸方向における両側の側面部20c及び20f、を有するホルダー26に保持されており、可動体20(ホルダー26)の+Z方向の面である上面部20aからレンズが突出した状態となるように配置されている。また、X軸方向における可動体20の側面部20bには、駆動機構41を構成する磁石21Aが設けられている。また、Y軸方向における可動体20の側面部20cには、駆動機構41を構成する磁石21Bが設けられている。ここで、磁石21A及び磁石21Bは、いずれも、同様の構成である。
【0013】
<固定体>
図1で表されるように、固定体10は、略直方体をしており、ケース部10Aが上面部10a、X軸方向における両側の側面部10b及び10e、並びに、Y軸方向における両側の側面部10c及び10fを構成し、底壁10Bが下面部10dを構成している。固定体10は、可動体20をZ軸方向から上面部10aと下面部10dとで囲み、可動体20をX軸方向から側面部10b及び10eで囲むとともに可動体20をY軸方向から側面部10c及び10fで囲む。ここで、固定体10の+Z方向の面である上面部10aには、光学モジュール22のレンズを通す孔部12が設けられている。
【0014】
また、固定体10のX軸方向における両側の側面部10bには、駆動機構41を構成するコイル11Aが設けられている。また、固定体10のY軸方向における側面部10cには、駆動機構41を構成するコイル11Bが設けられている。コイル11Aは磁石21Aと対向する位置に配置され、コイル11Bは磁石21Bと対向する位置に配置されている。ここで、コイル11A及びコイル11Bは、いずれも、同様の構成である。なお、コイル11A及びコイル11Bは、詳細は後述する揺動機構100(揺動機構100A)を構成する。
【0015】
<ジンバル機構>
図1で表されるように、ジンバル機構30は、光学モジュール22を通す円形の孔部33を有し外形が略矩形のジンバルフレーム部31と、可動体20及び固定体10との接続部32と、を有している。接続部32は略矩形のジンバルフレーム部31の4角に形成されており、このうち対角線上の2つの接続部32は可動体20に対して揺動可能に接続されており、別の対角線上の2つの接続部32は固定体10に対して揺動可能に接続されている。なお、ジンバル機構30としては、従来から光学ユニットに使用される一般的なジンバル機構を特に限定なく使用することができる。なお、本実施例の光学ユニット1Aは、ジンバル機構30により、固定体10に対して可動体20をヨーイング軸方向及びピッチング軸方向に揺動可能な構成であるが、さらに、固定体10に対して可動体20をローリング方向に揺動可能な固定体10に対する可動体20の支持部を設けていてもよい。
【0016】
<駆動機構>
次に、駆動機構41について説明するが、上記のようにコイル11Aとコイル11Bとは同様の構成であるとともに磁石21Aと磁石21Bとは同様の構成である。このため、下記の説明は、X軸方向とY軸方向とを読み替えて、コイル11Bと磁石21Bとで構成される駆動機構41(ヨーイング軸揺動機構)の説明とみなすことができる。
【0017】
図1で表されるように、駆動機構41は、コイル11Aと磁石21Aとからなるピッチング軸揺動機構と、コイル11Bと磁石21Bとからなるヨーイング軸揺動機構と、を有している。ただし、このような構成に限定されず、ピッチング軸揺動機構とヨーイング軸揺動機構とのうちのいずれか1方のみを備える構成としてもよい。さらに、固定体10に対して可動体20をローリング方向に揺動可能な固定体10に対する可動体20の支持部を設け、コイル11と磁石21との対で構成されるローリング軸揺動機構を設けていてもよい。
【0018】
<揺動機構>
次に、本実施例の光学ユニット1Aの要部である揺動機構100としての本実施例の揺動機構100Aについて、
図2から
図4、並びに、参考例の光学ユニットの揺動機構100Dを表す
図9、を参照して説明する。ここで、揺動機構100は、コイル11を有するとともに固定体10に設けられ、コイル11に電気信号を入力することで可動体20を固定体10に対して揺動させる機構である。本実施例の揺動機構100Aは、固定体10のケース部10Aに取り付けられ、外部から入力される電気信号に基づいてコイル11A及びコイル11Bに所望の電気を流して固定体10に対して可動体20を揺動させる機構である。
【0019】
図2及び
図3で表されるように、本実施例の揺動機構100Aは、ドライバIC101と、ジャイロセンサ102と、可撓性の第1フレキシブルプリント基板110と、を有している。ここで、ドライバIC101は、揺動機構100Aに入力されるすべての電気信号が経由される。また、ジャイロセンサ102は、固定体10に対して可動体20を揺動させた際の可動体20の角速度を検出する。また、第1フレキシブルプリント基板110には、ドライバIC101やジャイロセンサ102や接続端子103やランド104などが設けられるリジッド基板120、コイル11、磁気を検知する磁気センサの一例であるホール素子13、などが設けられている。なお、本実施例の揺動機構100Aにおいて、接続端子103は固定体10に対して可動体20を揺動させるために外部電源に繋がる端子に電気的に接続される端子であり、ランド104は外部電源に繋がる端子やその他の電子部品などを半田付けなどで接続することが可能な端子である。
【0020】
また、
図2及び
図3で表されるように、本実施例の揺動機構100Aは、第1フレキシブルプリント基板110として、コイル11としてのコイル11Aとホール素子13としてのホール素子13Aとが形成されるフレキシブルプリント基板110Aと、コイル11としてのコイル11Bとホール素子13としてのホール素子13Bとが形成されるフレキシブルプリント基板110Bと、フレキシブルプリント基板110Aとフレキシブルプリント基板110Bとを繋ぐフレキシブルプリント基板110Cと、フレキシブルプリント基板110BからドライバIC101まで繋がるフレキシブルプリント基板110Dと、を有している。そして、フレキシブルプリント基板110Aとフレキシブルプリント基板110Bとフレキシブルプリント基板110Cとフレキシブルプリント基板110Dとで、第1配線111(第1配線111A)を形成している。
【0021】
また、
図2及び
図3で表されるように、本実施例の揺動機構100Aは、硬く柔軟性がほとんどないリジッド基板120として、ドライバIC101が設けられるリジッド基板120Aと、ジャイロセンサ102及びランド104が設けられるリジッド基板120Bと、接続端子103が設けられるリジッド基板120Cと、複数の第1フレキシブルプリント基板110の中継地点となるリジッド基板120Dと、を有している。そして、リジッド基板120Aとリジッド基板120Dとが第1フレキシブルプリント基板110としてのフレキシブルプリント基板110Fで接続され、リジッド基板120Bとリジッド基板120Dとが第1フレキシブルプリント基板110としてのフレキシブルプリント基板110G及びフレキシブルプリント基板110Hで接続され、リジッド基板120Cとリジッド基板120Dとが第1フレキシブルプリント基板110としてのフレキシブルプリント基板110Eで接続されている。
【0022】
ここで、フレキシブルプリント基板110Gはジャイロセンサ102とドライバIC101とを接続する電気信号線であり、フレキシブルプリント基板110Hはリジッド基板120Bに設けられたランド104とドライバIC101とを接続する電気信号線(電源入力線)であり、フレキシブルプリント基板110Eはリジッド基板120Cに設けられた接続端子103とドライバIC101とを接続する電気信号線(電源入力線)である。そして、フレキシブルプリント基板110Fは、フレキシブルプリント基板Dの配線とフレキシブルプリント基板110Eの配線とフレキシブルプリント基板110Gの配線とフレキシブルプリント基板110Hの配線とを有する電気信号線である。詳細には、フレキシブルプリント基板110Fにおいては、フレキシブルプリント基板Dの配線とフレキシブルプリント基板110Eの配線とフレキシブルプリント基板110Gの配線とフレキシブルプリント基板110Hの配線とが、第1フレキシブルプリント基板110の面方向において並べて配置されている。なお、本実施例の電気信号線はいずれもフレキシブルプリント基板で構成されているが、第1配線111を構成する第1フレキシブルプリント基板110以外は、フレキシブルプリント基板とは異なる電気信号線で構成することも可能である。
【0023】
ここで、本実施例の揺動機構100Aの特徴を説明するために、その比較として、参考例の光学ユニットの揺動機構100Dについて
図9を参照して説明する。なお、参考例の光学ユニットの揺動機構100Dは、各々の配置が異なるだけで本実施例の揺動機構100Aと同様の構成部材を有している。このため、本実施例の揺動機構100Aと同様の構成部材については、同じ符号で示すとともに、詳細な説明は省略する。
【0024】
図9で表されるように、揺動機構100Dは、本実施例の揺動機構100Aと略同様の構成の第1配線111(第1配線111D)を備えている。ここで、揺動機構100Dは、ドライバIC101とジャイロセンサ102とが同じ1つのリジッド基板120Hに設けられている。そして、装置を小型化するための装置構成の都合上、リジッド基板120Hに設けられるジャイロセンサ102とドライバIC101とを繋ぐ電気信号線が、領域Rにおいて、第1配線111Dの一部をなすフレキシブルプリント基板110Dに対して、第1フレキシブルプリント基板110の面方向において重なる位置に配置されている。
【0025】
コイル11には大きな電流が流れるとともに、ジャイロセンサ102は敏感な電子機器である。また、コイル11やホール素子13に流れる電流や電圧は、駆動機構41の動作に伴い変動する。このため、ジャイロセンサ102とドライバIC101とを繋ぐ電気信号線が第1フレキシブルプリント基板110の面方向において第1配線111D(フレキシブルプリント基板110D)に対して重なる位置に配置されていると、フレキシブルプリント基板110Dに大きな電流が流れた際にジャイロセンサ102とドライバIC101とを繋ぐ電気信号線にノイズが発生する虞が生じる。
【0026】
一方、本実施例の光学ユニット1Aは、
図3で表されるように、第1配線111(第1配線111Aのフレキシブルプリント基板110D)は、ジャイロセンサ102とドライバIC101とを接続する電気信号線(フレキシブルプリント基板110G)に対して第1フレキシブルプリント基板110の面方向においてオーバーラップしない位置に配置されている。このような構成とすることで、第1配線111Aに電流が流れることに伴うジャイロセンサ102へのノイズの影響を抑制することができる。
【0027】
また、
図3で表されるように、本実施例の揺動機構100Aは、ジャイロセンサ102とドライバIC101とを接続するフレキシブルプリント基板110Gに対して、第1フレキシブルプリント基板110の面方向においてオーバーラップしない位置に配置されている電源入力線であるフレキシブルプリント基板110E及びフレキシブルプリント基板110Hを介して、外部から電気信号を入力可能に構成されている。このような構成とすることで、電源入力線に電流が流れることに伴うジャイロセンサ102へのノイズの影響を抑制することができる。
【0028】
また、
図2及び
図3で表されるように、本実施例の揺動機構100Aにおいては、ドライバIC101及びジャイロセンサ102が、異なるリジッド基板120A及びリジッド基板120Bに設けられている。ドライバIC101にはすべての信号が入力されるが、このような構成とすることで、ドライバIC101に信号が入力される際にジャイロセンサ102に接続されるフレキシブルプリント基板110Gへ電流が流れることを効果的に抑制することができる。
【0029】
また、本実施例の揺動機構100Aにおいては、フレキシブルプリント基板110Aは側面部10bに取り付けられている。そして、
図2で表されるように、フレキシブルプリント基板110Bは側面部10cに取り付けられ、リジッド基板120Aは側面部10eに取り付けられ、リジッド基板120Bは上面部10aに取り付けられている。すなわち、本実施例の揺動機構100Aは、リジッド基板120として、ドライバIC101が設けられるドライバICリジッド基板であるリジッド基板120Aと、ジャイロセンサ102が設けられるジャイロセンサリジッド基板であるリジッド基板120Bと、を有している。そして、ドライバICリジッド基板(リジッド基板120A)とジャイロセンサリジッド基板(リジッド基板120B)とが固定体10の異なる面、すなわち、側面部10cと上面部10aとに配置されている。このような構成とすることで、例えば、ドライバICリジッド基板とジャイロセンサリジッド基板とを、同じ側面部10c、または、同じ上面部10a、に並べて配置する構成よりも装置を小型化することができる。
【0030】
また、ドライバICリジッド基板とジャイロセンサリジッド基板とを同じ面に並べて配置する構成とする場合、ドライバIC101に高い熱がかかることを抑制するという観点から、ドライバIC101を同じリジッド基板120におけるランド104の真裏などに配置することができない。このため、このような構成においては、特に、ランド104とドライバIC101とを異なるリジッド基板120に設けることで、装置を小型化することができる。
【0031】
また、
図4で表されるように、本実施例の揺動機構100Aにおいては、可動体20は撮像素子23を有するとともに、撮像素子23は面方向(Z軸方向)に揺動可能な第2フレキシブルプリント基板24と接続されている。そして、本実施例の揺動機構100Aは、第2フレキシブルプリント基板24に対して第2フレキシブルプリント基板24の面方向にオーバーラップする位置に、リジッド基板120Bなど、少なくとも一部が配置されている。このような構成とすることで、第2フレキシブルプリント基板24の面方向から見て装置を小型化することができる。
【0032】
[実施例2]
次に、本発明の光学ユニット1としての実施例2の光学ユニット1Bについて
図5及び
図6を用いて説明する。ここで、
図5は実施例1の光学ユニット1Aにおける
図2に対応する図であり、
図6は実施例1の光学ユニット1Aにおける
図3に対応する図である。なお、上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット1Bは、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1の光学ユニット1Aと同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1の光学ユニット1Aと同様の技術的特徴を有する。
【0033】
図3で表されるように、実施例1の光学ユニット1Aにおいては、ドライバIC101とジャイロセンサ102とが異なるリジッド基板120Aとリジッド基板120Bとに設けられていた。一方、本実施例の光学ユニット1Bは、
図6で表されるように、ドライバIC101とジャイロセンサ102とが同じリジッド基板120Eに設けられている。そして、実施例1の光学ユニット1Aにおいては、ランド104は、ジャイロセンサ102を有するリジッド基板120Bに設けられていた。一方、本実施例の光学ユニット1Bにおいては、ランド104は、ジャイロセンサ102を有さないリジッド基板120Fに設けられている。ここで、リジッド基板120Fは、電源入力線の役割も兼ねる電気信号線であるフレキシブルプリント基板110Iを介して、ドライバIC101に接続されている。
【0034】
また、上記のように、実施例1の光学ユニット1Aにおいては、第1配線111Aは、ジャイロセンサとドライバICとを接続する電気信号線に対して第1フレキシブルプリント基板110の面方向においてオーバーラップしない位置に配置されていた。一方、本実施例の光学ユニット1Bにおいては、
図6で表されるように、ジャイロセンサ102は、ドライバIC101に対して、リジッド基板120Eにおける、フレキシブルプリント基板110D、フレキシブルプリント基板110E及びフレキシブルプリント基板110Iのいずれとも異なる側に配置されている。別の観点から説明すると、本実施例の光学ユニット1Bにおいては、第1配線111としての第1配線111Bや電源入力線としてのフレキシブルプリント基板110Eや電源入力線としてのフレキシブルプリント基板110Iは、いずれも、ジャイロセンサ102とドライバIC101とを接続する電気信号線だけでなく、ジャイロセンサ102自体とも、第1フレキシブルプリント基板110の面方向においてオーバーラップしない位置に配置されている。このような構成とすることで、第1フレキシブルプリント基板110に電流が流れることに伴うジャイロセンサ102へのノイズの影響を特に効果的に抑制することができる。
【0035】
また、本実施例の揺動機構100Bのように、ドライバIC101とジャイロセンサ102とが同じリジッド基板120に設けられている構成とすることで、ドライバIC101とジャイロセンサ102とを別のリジッド基板120に設ける構成よりもさらに装置を小型化しやすくなる。実際に、本実施例の光学ユニット1Bは、実施例1の光学ユニット1AよりもX軸方向において小型となっている。
【0036】
また、上記のように、本実施例の揺動機構100Bは、リジッド基板120F、詳細には、外部から電気信号を入力可能なランド形成リジッド基板を有している。そして、ドライバIC101とジャイロセンサ102とが設けられたリジッド基板120Eと、ランド形成リジッド基板であるリジッド基板120Fとは、
図5で表されるように、フレキシブルプリント基板110Iで折り畳まれ、固定体10の同じ面である上面部10aにオーバーラップして配置されている。このような構成とすることで、装置を特に小型化することができる。
【0037】
なお、本実施例の光学ユニット1Bにおいても、実施例1の光学ユニット1Aと同様、
図4で表されるような第2フレキシブルプリント基板24を有し、固定体10は、
図4で表されるような第2フレキシブルプリント基板24を固定する第2フレキシブルプリント基板固定部25を有している。そして、
図5で表されるように、本実施例の第1配線111Bは、固定体10の一面に対して圧入することが可能な圧入板130が取り付けられ、圧入板130は、固定体10の一面である側面部10eに圧入される。ここで、Y軸方向における圧入板130の圧入位置は、第2フレキシブルプリント基板固定部25に近い側の端部(-Y方向側端部)である。このような構成とすることで、第2フレキシブルプリント基板24の振動に伴って第1配線111が振動することを効果的に抑制することができる。
【0038】
また、本実施例の光学ユニット1Bにおいては、
図6で表されるように、リジッド基板120Eにおいてフレキシブルプリント基板110Dとフレキシブルプリント基板110Iとが一直線上に配置されない。このような構成とすることで、揺動機構100を固定体10に対して配置しやすくなる。
【0039】
[実施例3]
次に、本発明の光学ユニット1としての実施例3の光学ユニット1Cについて
図7及び
図8を用いて説明する。ここで、
図7は実施例1の光学ユニット1Aにおける
図2に対応する図であり、
図8は実施例1の光学ユニット1Aにおける
図3に対応する図である。なお、上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット1Cは、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1及び実施例2の光学ユニット1と同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1及び実施例2の光学ユニット1と同様の技術的特徴を有する。
【0040】
図7及び
図8で表されるように、本実施例の揺動機構100Cは、
図5及び
図6で表される実施例2の揺動機構100Bに対して、第1配線111がドライバIC101とジャイロセンサ102とが設けられたリジッド基板120(リジッド基板120G)から反対方向に延設されること以外は、略同様な構成となっている。このため、本実施例の揺動機構100Cは、実施例2の揺動機構100Bと略同様な特徴を有している。
【0041】
ただし、本実施例の光学ユニット1Cにおいては、圧入板130は、Y軸方向における固定体10の一面である側面部10eの略中央の位置、別の観点から説明すると、X軸方向においてドライバIC101とオーバーラップする位置、に圧入される構成となっている。さらに別の観点から説明すると、圧入板130は、ドライバIC101に対して直線状に延設されるフレキシブルプリント基板(
図8で表されるフレキシブルプリント基板110Dのうちのフレキシブルプリント基板110D1部分)を介して接続される位置に設けられる構成である。このような構成とすることで、第1配線111(第1配線111C)を固定体10の一面にしっかりと固定することができる。
【0042】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0043】
最後に、本発明について包括的に以下に記載する。
(1)
光学モジュールと磁石とを有する可動体と、固定体と、コイルを有するとともに前記固定体に設けられ、前記コイルに電気信号を入力することで前記可動体を前記固定体に対して揺動させる揺動機構と、を備え、前記揺動機構は、第1フレキシブルプリント基板と、前記揺動機構に入力されるすべての電気信号が経由されるドライバICと、前記可動体の角速度を検出するジャイロセンサと、前記コイルと前記ドライバICとを接続する第1配線と、を有し、前記第1配線は、前記ジャイロセンサと前記ドライバICとを接続する電気信号線に対して前記第1フレキシブルプリント基板の面方向においてオーバーラップしない位置に配置されていることを特徴とする光学ユニット。
【0044】
(2)
上記(1)に記載の光学ユニットにおいて、前記揺動機構は、前記ジャイロセンサと前記ドライバICとを接続する電気信号線に対して、前記第1フレキシブルプリント基板の面方向においてオーバーラップしない位置に配置されている電源入力線を介して、外部から電気信号を入力可能に構成されていることを特徴とする光学ユニット。
【0045】
(3)
上記(1)または(2)に記載の光学ユニットにおいて、前記揺動機構は、前記ドライバICと前記ジャイロセンサとが異なるリジッド基板に設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【0046】
(4)
上記(3)に記載の光学ユニットにおいて、前記揺動機構は、前記リジッド基板として、前記ドライバICが設けられるドライバICリジッド基板と、前記ジャイロセンサが設けられるジャイロセンサリジッド基板と、を有し、前記ドライバICリジッド基板と前記ジャイロセンサリジッド基板とが前記固定体の異なる面に配置されていることを特徴とする光学ユニット。
【0047】
(5)
上記(1)または(2)に記載の光学ユニットにおいて、前記揺動機構は、前記ドライバICと前記ジャイロセンサとが同じリジッド基板に設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【0048】
(6)
上記(5)に記載の光学ユニットにおいて、前記揺動機構は、外部から電気信号を入力可能なランド形成リジッド基板を有し、前記ドライバICと前記ジャイロセンサとが設けられた前記リジッド基板と、前記ランド形成リジッド基板とは、前記固定体の同じ面にオーバーラップして配置されていることを特徴とする光学ユニット。
【0049】
(7)
上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の光学ユニットにおいて、前記可動体は撮像素子を有するとともに、前記撮像素子は面方向に揺動可能な第2フレキシブルプリント基板と接続され、前記揺動機構は、前記第2フレキシブルプリント基板に対して前記第2フレキシブルプリント基板の面方向にオーバーラップする位置に少なくとも一部が配置されていることを特徴とする光学ユニット。
【0050】
(8)
上記(7)に記載の光学ユニットにおいて、前記固定体は、前記第2フレキシブルプリント基板を固定する第2フレキシブルプリント基板固定部を有し、前記第1フレキシブルプリント基板は、前記固定体の一面に対して圧入することが可能な圧入板が取り付けられ、前記圧入板は、前記固定体の一面の、前記第2フレキシブルプリント基板固定部に近い側の端部に圧入される構成であることを特徴とする光学ユニット。
【0051】
(9)
上記(1)から(8)のいずれか1つに記載の光学ユニットにおいて、前記第1フレキシブルプリント基板は、前記固定体の一面に対して圧入することが可能な圧入板が取り付けられ、前記圧入板は、前記ドライバICに対して直線状に延設されるフレキシブルプリント基板を介して接続される位置に設けられる構成であることを特徴とする光学ユニット。
【符号の説明】
【0052】
1…光学ユニット、1A…光学ユニット、1B…光学ユニット、1C…光学ユニット、10…固定体、10a…上面部、10b…側面部、10c…側面部、10d…下面部、10e…側面部、10f…側面部、10A…ケース部、10B…底壁、11…コイル、11A…コイル、11B…コイル、12…孔部、13…ホール素子、13A…ホール素子、13B…ホール素子、20…可動体、20a…上面部、20b…側面部、20c…側面部、20d…下面部、20e…側面部、20f…側面部、21…磁石、21A…磁石、21B…磁石、22…光学モジュール、23…撮像素子、24…第2フレキシブルプリント基板、25…第2フレキシブルプリント基板固定部、26…ホルダー、30…ジンバル機構、31…ジンバルフレーム部、32…接続部、33…孔部、41…駆動機構、100…揺動機構、100A…揺動機構、100B…揺動機構、100C…揺動機構、100D…揺動機構、101…ドライバIC、102…ジャイロセンサ、103…接続端子、104…ランド、110…第1フレキシブルプリント基板、110A…フレキシブルプリント基板、110B…フレキシブルプリント基板、110C…フレキシブルプリント基板、110D…フレキシブルプリント基板、110E…フレキシブルプリント基板(電源入力線)、110F…フレキシブルプリント基板、110G…フレキシブルプリント基板(電気信号線)、110H…フレキシブルプリント基板(電源入力線)、110I…フレキシブルプリント基板(電源入力線)、111…第1配線、111A…第1配線、111B…第1配線、111C…第1配線、120…リジッド基板、120A…リジッド基板(ドライバICリジッド基板)、120B…リジッド基板(ジャイロセンサリジッド基板)、120C…リジッド基板、120D…リジッド基板、120E…リジッド基板、120F…リジッド基板(ランド形成リジッド基板)、120G…リジッド基板、120H…リジッド基板、R…領域