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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147343
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】弁体駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20241008BHJP
   F16K 27/04 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
F16K27/00 C
F16K27/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060292
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】グエン フォック タン
(72)【発明者】
【氏名】横江 悟
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA03
3H051AA08
3H051BB04
3H051BB05
3H051BB10
3H051CC11
3H051CC15
(57)【要約】
【課題】流体管の接続数が増えた場合などでも貫通孔を流れる流体の流量不足を抑制する。
【解決手段】第1面32bから第2面32cまで貫通する貫通孔320が形成された接続口36を第1面32b側に有し、流体管4が第1面32b側から接続口36に接続される弁座32と、弁座32における第2面32c側に配置され貫通孔320を開閉可能な弁体31と、弁体31の駆動源10と、を備える弁体駆動装置1であって、接続口36は、貫通孔320として、流体管4が接続された際に接続方向Aから見て、流体管4を構成する筒状部41と一部がオーバーラップする位置を含むオーバーラップ貫通孔321が設けられ、オーバーラップ貫通孔321の第1面32b側の端部には、接続方向Aから見て、筒状部41の内側に広がる広がり形状部323が形成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面から第2面まで貫通する貫通孔が形成された接続口を前記第1面側に有し、流体の流れる流体管が前記第1面側から前記接続口に接続される弁座と、
前記弁座における前記第2面側に配置され、前記貫通孔を開閉可能な弁体と、
前記弁体の駆動源と、
を備え、
前記接続口は、前記貫通孔として、前記流体管が接続された際に前記流体管が接続される接続方向から見て、前記流体管を構成する筒状部と一部がオーバーラップする位置を含むオーバーラップ貫通孔が設けられ、
前記オーバーラップ貫通孔の前記第1面側の端部には、前記接続方向から見て、前記筒状部の内側に広がる広がり形状部が形成されていることを特徴とする弁体駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の弁体駆動装置において、
前記弁座は、前記オーバーラップ貫通孔を複数有することを特徴とする弁体駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の弁体駆動装置において、
前記弁座は、前記流体管が接続された際に前記接続方向から見て、前記筒状部とオーバーラップしない非オーバーラップ貫通孔を有することを特徴とする弁体駆動装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の弁体駆動装置において、
前記広がり形状部は、前記第2面側から前記第1面側に向かう方向において前記筒状部の内側に広がる段差部が設けられていることを特徴とする弁体駆動装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の弁体駆動装置において、
前記広がり形状部は、前記第2面側から前記第1面側に向かう方向において前記筒状部の内側に滑らかに広がる斜面部が設けられていることを特徴とする弁体駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な弁体駆動装置が使用されている。このような弁体駆動装置のうち、貫通孔が形成された接続口を有し、流体の流れる流体管が接続口に接続されるプレートと、貫通孔を開閉可能な弁体と、弁体の駆動源と、を備える弁体駆動装置がある。例えば、特許文献1には、貫通孔である弁口が形成された取り付け穴を有し、流体管である配管が取り付け穴に接続される弁座シートと、弁口を開閉可能な弁体と、弁体の駆動源であるステッピングモータと、を備える回転リフト式電動弁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-52655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の回転リフト式電動弁のような、貫通孔が形成された接続口を有し、流体の流れる流体管が接続口に接続される弁座と、貫通孔を開閉可能な弁体と、弁体の駆動源と、を備える従来の弁体駆動装置においては、流体の流れる経路を増やすことなどを理由として、弁座における流体管の接続数を増やしたい場合がある。ただし、このような場合でも、弁座の面積は限られているとともに、流体の流量不足を抑制するため流体管の内径を細くしすぎることはできない。このため、流体管の接続数が増えた場合などにおいて、弁座に流体管が接続された際にその接続方向から見て流体管を構成する筒状部と貫通孔とが一部オーバーラップする構成になる場合がある。このような構成の場合、筒状部と貫通孔とのオーバーラップ領域において流体の流れる領域の断面積が小さくなり、貫通孔を流れる流体の流量不足を招く虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の弁体駆動装置は、第1面から第2面まで貫通する貫通孔が形成された接続口を前記第1面側に有し、流体の流れる流体管が前記第1面側から前記接続口に接続される弁座と、前記弁座における前記第2面側に配置され、前記貫通孔を開閉可能な弁体と、前記弁体の駆動源と、を備え、前記接続口は、前記貫通孔として、前記流体管が接続された際に前記流体管が接続される接続方向から見て、前記流体管を構成する筒状部と一部がオーバーラップする位置を含むオーバーラップ貫通孔が設けられ、前記オーバーラップ貫通孔の前記第1面側の端部には、前記接続方向から見て、前記筒状部の内側に広がる広がり形状部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、流体管の接続数が増えた場合などでも貫通孔を流れる流体の流量不足を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例1の弁体駆動装置の概略斜視図である。
図2図1の弁体駆動装置から取り付け部及び外側ケースなどを取り外した状態の概略斜視図である。
図3図1の弁体駆動装置の概略断面図である。
図4図1の弁体駆動装置の弁体を表す底面側からの概略斜視図である。
図5図1の弁体駆動装置の弁座を表す底面側からの概略斜視図である。
図6図1の弁体駆動装置の弁座を表す底面図である。
図7図1の弁体駆動装置の弁座におけるオーバーラップ貫通孔が設けられた接続口に流体管を接続させた状態を表す断面図である。
図8図1の弁体駆動装置の弁座における非オーバーラップ貫通孔が設けられた接続口に流体管を接続させた状態を表す断面図である。
図9】本発明の実施例2の弁体駆動装置の弁座におけるオーバーラップ貫通孔が設けられた接続口に流体管を接続させた状態を表す断面図である。
図10】参考例の弁体駆動装置の弁座におけるオーバーラップ貫通孔が設けられた接続口に流体管を接続させた状態を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の一実施例に係る弁体駆動装置1について、図面を参照して説明する。各実施例において同一の構成については、同一の符号を付し、最初の実施例においてのみ説明し、以後の実施例においてはその構成の説明を省略する。なお、各図中のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交する方向であり、このうちX軸方向は、弁座32の接続口である流出口36に流体管である流出管4が接続される接続方向Aに沿う方向であるとともに弁体31の回転軸方向に対応する。
【0009】
[実施例1]
最初に、本発明の実施例1の弁体駆動装置1Aについて図1から図8を参照して説明する。本実施例の弁体駆動装置1Aは、冷蔵庫などにおいて使用可能であり、弁体31を回転させて弁座32に対する配置を変えることで、流体である冷媒の流出管4(流体管)からの流出を制御する装置である。しかしながら、本発明はこのような弁体駆動装置に限定されない。なお、各図中のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交する方向であり、このうちX軸方向は、弁座32に対する弁体31の対向方向であって弁体31の回転軸方向に対応する。
【0010】
図1から図3で表されるように、本実施例の弁体駆動装置1Aは、流体である冷媒の流入管2と、流入管2から流入した流体の経路を構成する流体経路領域3と、流体経路領域3から流体を流出する流出管4と、を備えている。また、流体経路領域3に設けられる弁体31を回転させるための駆動源10(図3参照)などを収容する外側ケース12と、駆動源10に電気信号を入力するために外部装置と接続される電気接続部21と、例えば冷蔵庫のような外部装置に取り付けるための取り付け部22と、を備えている。本実施例の弁体駆動装置1Aは、図1で表されるように、外側ケース12として、上側ケース12Aと下側ケース12Bとを有している。
【0011】
図3で表されるように、本実施例の弁体駆動装置1Aは、金属板をプレス成形したプレート33上に構成されてケース体14で気密に封止され、ロータ15をケース体14の外側に密着させて周設したステータ16で回転駆動する。すなわち、ロータ15及びステータ16などで、駆動源10を構成している。ステータ16のステータコイル16aに導線が接続された電気接続部21を介してコンピューターなどの外部装置から駆動信号を入力して、ロータ15の所定角度における回転及び停止を制御する。
【0012】
ロータ15は、外周にマグネット15aが一体に固定され、プレート33側の端部にはピニオン17が形成されて、ケース体14及びプレート33に固定された支軸18に回転自在に支承される。ケース体14は、ロータ15のマグネット15aの外周面とステータコイル16aの内周面が近接するように形成されており、支軸18の一端に嵌合して中心位置に安定に支持する凹部14aが設けられる。ケース体14における凹部14aが設けられる側とは反対側には、プレート33が嵌合される。
【0013】
ここで、支軸18の他端はプレート33に固定されている。図2などで表されるように、プレート33には、流入管2と弁座32とが嵌合される。流入管2は流入口34に嵌合される。弁座32には流体の流出口36が3つ設けられ、そのうちの流出口36Aには流出管4Aが勘合され、流出口36Bには流出管4Bが嵌合され、流出口36Cには流出管4Cが嵌合される。なお、弁座32の詳細な構成については後述する。
【0014】
図3で表されるように、X軸方向において弁座32と対向する位置には、歯車30に固定された弁体31が設けられている。また、歯車30は、押圧部111により被押圧部37を介して弁座32側に向けて押されており、弁体31とは反対側において固定されている。歯車30はピニオン17と勘合しており、ロータ15を回転することでピニオン17及び歯車30を介して、弁体31は歯車30とともにX軸方向に沿う回転軸35を基準に回転可能な構成となっている。すなわち、このような構成により、弁体31と歯車30と被押圧部37とにより回転部38を形成している。
【0015】
ここで、図4は弁体31を表している。弁体31は、弁座32と対向する側の第2面32c(図3参照)に、弁座32と対向する側に突出することで弁座32と接触する接触部311と、弁座32と対向する側に凹むことで弁座32と接触しない非接触部312と、が設けられている。非接触部312として、非接触部312aと非接触部312bとの2つが設けられている。また、回転軸方向から見て中心部分に回転軸35が嵌まる丸孔31aが設けられている。
【0016】
また、図5及び図6は弁座32を表している。弁座32には、流出管4Aが嵌められる流出口36Aと、流出管4Bが嵌められる流出口36Bと、流出管4Cが嵌められる流出口36Cと、が設けられる。流出口36Aには、弁体31と対向しない側の面である第1面32b(図3参照)から弁体31と対向する側の面である第2面32c(図3参照)まで貫通する貫通孔320(オーバーラップ貫通孔321A)が設けられている。また、流出口36Bには、弁体31と対向しない側の面である第1面32bから弁体31と対向する側の面である第2面32cまで貫通する貫通孔320(非オーバーラップ貫通孔322)が設けられている。そして、流出口36Cには、弁体31と対向しない側の面である第1面32bから弁体31と対向する側の面である第2面32cまで貫通する貫通孔320(オーバーラップ貫通孔321C)が設けられている。また、回転軸方向から見て中心部分に回転軸35が嵌まる丸孔32aが設けられている。
【0017】
弁座32の第2面32c側における弁体31の配置において、流出口36と対向する位置に接触部311が配置されているときは、流出口36は閉状態となる。一方、流出口36と対向する位置に非接触部312が配置されているときは、流出口36は開状態となる。弁体31が図4で表される形状をし、弁座32が図5及び図6で表される形状をしていることで、本実施例の弁体駆動装置1Aは、弁座32に対する弁体31の回転方向における配置を調整することで、流出口36A、流出口36B及び流出口36Cの全てを閉状態にすることや、流出口36A、流出口36B及び流出口36Cのいずれか1つまたは2つを開状態にするとともに残りの流出口36を閉状態にすることなどが可能である。
【0018】
上記のように、本実施例の弁体駆動装置1Aにおいては、弁座32には、3つの流出口36(流出口36A、流出口36B及び流出口36C)が設けられる。そして、弁体31は、流出口36A、流出口36B及び流出口36Cの個別の開閉が可能である。このように、プレートに弁体31と対向する位置に接続口(流出口36)を複数有し、弁体31は対向する位置に設けられた複数の接続口を開閉可能であることで、複数の接続口のうちの所望の接続口に対して簡単に流体を流すことができる。
【0019】
次に、本実施例の弁体駆動装置1Aの要部である弁座32の詳細な構成について説明する。なお、上記のように、本実施例の弁体駆動装置1Aは、第1面32bから第2面32cまで貫通する貫通孔320が形成された接続口である流出口36を第1面32b側に有し、流体の流れる流体管である流出管4が第1面32b側から流出口36に接続される弁座32を備えている。また、弁座32における第2面32c側に配置され、貫通孔320を開閉可能な弁体31を備えている。さらに、回転軸35を基準に弁体31を回転駆動させる駆動源10を備えている。
【0020】
ここで、本実施例の弁体駆動装置1Aは、貫通孔320として、流出管4が接続された際に流出管4が接続される接続方向Aから見て、流出管4を構成する筒状部41と一部がオーバーラップする位置を含む(図7のオーバーラップ領域O1参照)オーバーラップ貫通孔321を有している。具体的には、流出口36のうちの流出口36Aは貫通孔320としてのオーバーラップ貫通孔321Aを有し、流出口36のうちの流出口36Cは貫通孔320としてのオーバーラップ貫通孔321Cを有している。なお、図7は、弁座32におけるオーバーラップ貫通孔321が設けられた流出口36に流出管4を接続させた状態を表しており、詳細には、流出口36Aに流出管4Aを接続させた状態を表している。また、オーバーラップ貫通孔321Cを有する流出口36Cに流出管4Cを接続させた状態を表していると見なすこともできる。
【0021】
そして、本実施例の弁体駆動装置1Aは、図5から図7で表されるように、オーバーラップ貫通孔321(オーバーラップ貫通孔321A及びオーバーラップ貫通孔321C)の第1面32b側の端部には、広がり形状部323が形成されている。詳細には、本実施例の弁体駆動装置1Aにおいては、図7で表されるように、広がり形状部323は、接続方向Aから見て、筒状部41の内側に広がる構成をしている。すなわち、本実施例の弁体駆動装置1Aは、筒状部41と貫通孔320とのオーバーラップ領域O1において流体の流れる領域の断面積が小さくならないように構成されている。具体的には、図7で表されるように、貫通孔320の内径L0に対して、貫通孔320の第1面32b側の端部の開口長さL1が短くなりすぎないようにしている。したがって、本実施例の弁体駆動装置1Aは、流出管4の接続数が3本と多くなっているにもかかわらず、貫通孔320を流れる流体の流量不足を抑制することが可能になっている。
【0022】
一方、図10で表されるように、オーバーラップ貫通孔321の第1面32b側の端部に広がり形状部323が形成されていない、参考例の弁体駆動装置11においては、貫通孔320の内径L0に対して、貫通孔320の第1面32b側の端部の開口長さL3が短くなりすぎる。詳細には、貫通孔320における筒状部41との接触部分(貫通孔320の第1面32b側の端部)において、オーバーラップ領域O1ぶんだけ流体の流れる断面積が小さくなる。このような構成であると、貫通孔320の第1面32b側の端部において流体の流量が十分に多くすることが困難になる虞がある。
【0023】
また、上記のように、本実施例の弁体駆動装置1Aでは、弁座32は、オーバーラップ貫通孔321を、オーバーラップ貫通孔321A及びオーバーラップ貫通孔321Cと、複数有している。本実施例の弁体駆動装置1Aは、このように、オーバーラップ貫通孔321を複数有する構成としていることで、貫通孔320を流れる流体の流量不足を抑制しつつ、流体の流出経路を増やすことなどを可能にしている。
【0024】
また、本実施例の弁体駆動装置1Aでは、図8で表されるように、弁座32は、オーバーラップ貫通孔321に加えて、接続方向Aから見て、筒状部41とオーバーラップしない非オーバーラップ貫通孔322を有している。このような構成とすることで、貫通孔320を流れる流体の流量不足を抑制しつつ、一部の貫通孔320(すなわち、非オーバーラップ貫通孔322)の構成を簡単にすることができる。なお、図5及び図6で表されるように、本実施例の弁体駆動装置1Aにおいては、非オーバーラップ貫通孔322は、流出口36Bに設けられる貫通孔320に対応する。
【0025】
また、本実施例の弁体駆動装置1Aでは、図7で表されるように、広がり形状部323は、第2面32c側から第1面32b側に向かう方向(図中の接続方向Aとは反対方向)において筒状部の内側に広がる段差部324が設けられている。このような構成とすることで、広がり形状部323の構成、別の表現をすると、貫通孔320を流れる流体の流量不足を抑制する構成、を簡単に形成することができる。なお、本実施例の弁体駆動装置1Aでは段差部324は一段の段差を形成するものであるが、段差部324の段数や大きさなど、段差部324の構成に特に限定は無い。
【0026】
[実施例2]
次に、本発明の弁体駆動装置1としての実施例2の弁体駆動装置1Bについて図9を用いて説明する。ここで、図9は実施例1の弁体駆動装置1Aにおける図7に対応する図である。なお、上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の弁体駆動装置1Bは、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1の弁体駆動装置1Aと同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1の弁体駆動装置1Aと同様の技術的特徴を有する。
【0027】
図7で表されるように、実施例1の弁体駆動装置1Aにおいては、広がり形状部323は、第2面32c側から第1面32b側に向かう方向において筒状部の内側に広がる段差部324で構成されていた。一方、本実施例の弁体駆動装置1Bにおいては、広がり形状部323は、第2面32c側から第1面32b側に向かう方向において筒状部41の内側に滑らかに広がる斜面部325が設けられている。このような構成とすることで、例えば広がり形状部323を形成する際に弁座32を削りすぎることを抑制することができ、弁座32の剛性の低下を抑制しつつ貫通孔320を流れる流体の流量不足を抑制することができる。
【0028】
なお、本実施例の弁体駆動装置1Bにおいては、筒状部41の端部と斜面部325における図中の接続方向Aの端部との開口長さL1と、筒状部41の端部と斜面部325における図中の接続方向Aとは反対方向の端部との開口長さL2と、が略同等となるように、斜面部325が形成されている。ただし、このような構成に限定されない。また、斜面部325の傾斜角度や長さについても特に限定は無い。
【0029】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0030】
最後に、本発明について包括的に以下に記載する。
(1)
第1面から第2面まで貫通する貫通孔が形成された接続口を前記第1面側に有し、流体の流れる流体管が前記第1面側から前記接続口に接続される弁座と、前記弁座における前記第2面側に配置され、前記貫通孔を開閉可能な弁体と、前記弁体の駆動源と、を備え、前記接続口は、前記貫通孔として、前記流体管が接続された際に前記流体管が接続される接続方向から見て、前記流体管を構成する筒状部と一部がオーバーラップする位置を含むオーバーラップ貫通孔が設けられ、前記オーバーラップ貫通孔の前記第1面側の端部には、前記接続方向から見て、前記筒状部の内側に広がる広がり形状部が形成されていることを特徴とする弁体駆動装置。
【0031】
(2)
上記(1)に記載の弁体駆動装置において、前記弁座は、前記オーバーラップ貫通孔を複数有することを特徴とする弁体駆動装置。
【0032】
(3)
上記(1)または(2)に記載の弁体駆動装置において、前記弁座は、前記流体管が接続された際に前記接続方向から見て、前記筒状部とオーバーラップしない非オーバーラップ貫通孔を有することを特徴とする弁体駆動装置。
【0033】
(4)
上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の弁体駆動装置において、前記広がり形状部は、前記第2面側から前記第1面側に向かう方向において前記筒状部の内側に広がる段差部が設けられていることを特徴とする弁体駆動装置。
【0034】
(5)
上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の弁体駆動装置において、前記広がり形状部は、前記第2面側から前記第1面側に向かう方向において前記筒状部の内側に滑らかに広がる斜面部が設けられていることを特徴とする弁体駆動装置。
【符号の説明】
【0035】
1…弁体駆動装置、1A…弁体駆動装置、1B…弁体駆動装置、2…流入管、3…流体経路領域、4…流出管(流体管)、4A…流出管(流体管)、4B…流出管(流体管)、4C…流出管(流体管)、10…駆動源、11…弁体駆動装置、12…外側ケース、12A…上側ケース、12B…下側ケース、14…ケース体、14a…凹部、15…ロータ、15a…マグネット、16…ステータ、16a…ステータコイル、17…ピニオン、18…支軸、21…電気接続部、22…取り付け部、30…歯車、31…弁体、31a…丸孔、32…弁座、32a…丸孔、32b…第1面、32c…第2面、33…プレート、34…流入口、35…回転軸、36…流出口(接続口)、36A…流出口(接続口)、36B…流出口(接続口)、36C…流出口(接続口)、37…被押圧部、38…回転部、41…筒状部、111…押圧部、311…接触部、312…非接触部、312a…非接触部、312b…非接触部、320…貫通孔、321…オーバーラップ貫通孔、321A…オーバーラップ貫通孔、321C…オーバーラップ貫通孔、322…非オーバーラップ貫通孔、323…広がり形状部、324…段差部、324A…段差部、324C…段差部、325…斜面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10