(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147353
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】揺動ユニット
(51)【国際特許分類】
H02K 33/16 20060101AFI20241008BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20241008BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20241008BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20241008BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20241008BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20241008BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20241008BHJP
【FI】
H02K33/16 B
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
G03B5/00 J
G03B30/00
H04N23/68
H04N23/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060307
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
2K005
5C122
5H633
【Fターム(参考)】
2H045AB02
2H045AB03
2H045AB13
2H045BA12
2H141MA12
2H141MB23
2H141MB24
2H141MC04
2H141MC05
2H141MD13
2H141MF25
2H141MF26
2H141MZ06
2K005CA04
2K005CA23
2K005CA44
2K005CA53
5C122DA09
5C122EA06
5C122EA41
5C122FB23
5C122GE04
5C122GE05
5C122GE07
5C122HA82
5H633BB03
5H633BB08
5H633BB10
5H633BB15
5H633GG02
5H633GG07
5H633GG13
5H633HH03
5H633HH05
5H633HH13
5H633JA07
(57)【要約】
【課題】コイル8の組付け位置精度を高めて、磁気ギャップ17を適切に設定し易くし、以って可動体2を駆動する推力を高め、更に安定化させることができる揺動ユニット1を提供すること.
【解決手段】揺動ユニット1は、可動体2と、可動体2を支点部を介して揺動変位可能な状態で支持する支持体5と、可動体2を揺動させる揺動駆動部6とを備えている。揺動駆動部6は、可動体2と支持体5の一方のコイル被固定部7に固定されたコイル8と、可動体2と支持体5の他方の磁石被固定部9に固定された磁石10との対で構成されている。コイル被固定部7は、コイル8の内面12と接触することでコイル8のコイル被固定部7に対する位置決めをする位置決め部11を備えている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動体と、
前記可動体を支点部を介して揺動変位可能な状態で支持する支持体と、
前記可動体を揺動させる揺動駆動部と、を備え、
前記揺動駆動部は、前記可動体と前記支持体の一方のコイル被固定部に固定されたコイルと、前記可動体と前記支持体の他方の磁石被固定部に固定された磁石との対で構成され、
前記コイル被固定部は、前記コイルの内面と接触することで前記コイルの前記コイル被固定部に対する位置決めをする位置決め部を備えている、
ことを特徴とする揺動ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載された揺動ユニットにおいて、
前記コイルは基板に実装されており、
前記基板を前記支持体の一方の開口部に取り付けることで前記コイルは前記位置決め部によって前記支持体の前記コイル被固定部に対する位置決めが成され、
前記磁石は、
前記可動体に固定され、
前記可動体を前記支持体の他方の開口部に取り付けることで前記磁石は前記コイルの内面が作る領域に進入し前記内面と所定の隙間を有する状態で固定される、
ことを特徴とする揺動ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載された揺動ユニットにおいて、
前記可動体は、前記支持体に第1の軸線の周りに揺動可能に支持され、
前記可動体は、光学モジュールを備え、
前記光学モジュールは、前記可動体に前記第1の軸線と交差する第2の軸線の周りに揺動可能に支持され、
前記揺動駆動部は、
前記可動体を前記第1の軸線周りに揺動させる第1揺動駆動部と、
前記光学モジュールを前記第2の軸線周りに揺動させる第2揺動駆動部と、で構成されている、
ことを特徴とする揺動ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載された揺動ユニットにおいて、
前記第1揺動駆動部は、第1コイルと第1磁石の対で構成され、
前記第2揺動駆動部は、第2コイルと第2磁石の対で構成され、
前記基板は、前記第1コイルが実装された第1部位と前記第2コイルが実装された第2部位との間に、実装された状態の前記第1コイルと前記第2コイルが接近及び離間する方向に変位することを許容する変位許容部が設けられている、
ことを特徴とする揺動ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された揺動ユニットにおいて、
前記位置決め部は、前記支持体に設けられた突部であり、
前記突部は、前記コイルの前記内面に接する位置決め面を有している、
ことを特徴とする揺動ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載された揺動ユニットにおいて、
前記コイルは、4つの内面を有しており、
前記凸部及び位置決め面は、前記4つの各内面に対応してそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする揺動ユニット。
【請求項7】
請求項5に記載された揺動ユニットにおいて、
前記コイルは、
第1の内面と、前記第1の内面より前記コイルの外面側に位置する第2の内面とを有する段付きコイルであり、
前記第2の内面が前記凸部の前記位置決め面に接することで位置決めされる、
ことを特徴とする揺動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の揺動ユニットの一例として、特許文献1に記載のものが挙げられる。特許文献1には、光学モジュールを備える可動体が固定体に揺動可能に支持されている光学ユニットが記載されている。前記可動体を揺動させる揺動駆動部は、前記固定体に固定されたコイルと前記可動体に固定された磁石の対で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記揺動駆動部を構成する前記コイルと前記磁石は、所定の磁気ギャップを有して組付けられる。しかし、これまでは、前記コイルの前記固定体に対する位置決めは、前記コイルが実装される基板の外径、或いは前記コイルの外周面を使って行われている。即ち、前記コイルは、上記した位置決めによって前記固定体に組み付けられていた。ところが、前記コイルの前記基板への実装は、ばらつきが生じやすい。また、前記コイルの外周面も巻き数に応じて外径がばらつきやすい。
そのため、即ち前記ばらつきのために、前記コイルと前記磁石の磁気ギャップを必要以上に大きくして組み付ける必要があり、前記磁気ギャップで発生するトルクが小さくなって前記可動体を駆動する推力が低下する、更には不安定となる問題がある。
【0005】
本発明の目的は、前記コイルの組付け位置精度を高めて、前記磁気ギャップを適切に設定し易くし、以って前記可動体を駆動する推力を高め、更に安定化させることができる揺動ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る揺動ユニットは、可動体と、前記可動体を支点部を介して揺動変位可能な状態で支持する支持体と、前記可動体を揺動させる揺動駆動部と、を備え、前記揺動駆動部は、前記可動体と前記支持体の一方のコイル被固定部に固定されたコイルと、前記可動体と前記支持体の他方の磁石被固定部に固定された磁石との対で構成され、前記コイル被固定部は、前記コイルの内面と接触することで前記コイルの前記コイル被固定部に対する位置決めをする位置決め部を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、前記揺動駆動部は、前記可動体と前記支持体の一方のコイル被固定部に固定されたコイルと、前記可動体と前記支持体の他方の磁石被固定部に固定された磁石との対で構成されている。そして、前記コイル被固定部は、前記コイルの内面と接触することで前記コイルの前記コイル被固定部に対する位置決めをする位置決め部を備えている。
前記コイルは治具に線材を巻き付けて作られるので、完成したコイルの内面は前記治具の外周面の位置と一致し、コイルの外面に比してばらつきが発生しにくい。
これにより、即ち前記コイルの内面を前記位置決めに使っているので、前記コイルの組付け位置精度が従来よりも高くなり、前記磁気ギャップを適切に設定し易くなり、以って前記可動体を駆動する推力を高め、更に安定化させることができる。
【0008】
また、本発明は、上記揺動ユニットにおいて、前記コイルは基板に実装されており、前記基板を前記支持体の一方の開口部に取り付けることで前記コイルは前記位置決め部によって前記支持体の前記コイル被固定部に対する位置決めが成され、前記磁石は、前記可動体に固定され、前記可動体を前記支持体の他方の開口部に取り付けることで前記磁石は前記コイルの内面が作る領域に進入し前記内面と所定の磁気ギャップを有する状態で固定されることを特徴とする。
【0009】
本発明では、前記コイルは基板に実装されており、前記基板を前記支持体の一方の開口部に取り付けることで前記コイルは前記位置決め部によって前記支持体の前記コイル被固定部に対する位置決めが成される。これにより、前記基板に実装された前記コイルを前記支持体に対して従来よりも高い位置精度で且つ簡単に組み付けることができる。
また、前記磁石は、前記可動体に固定され、前記可動体を前記支持体の他方の開口部に取り付けることで、前記磁石は、前記コイルの内面が作る領域に進入し、前記内面と所定の磁気ギャップを有する状態で固定される。これにより、前記可動体を前記支持体に取り付けることで、前記磁気ギャップが高精度で設定された揺動ユニットを簡単に組み立てることができる。
【0010】
また、本発明は、上記揺動ユニットにおいて、前記可動体は、前記支持体に第1の軸線の周りに揺動可能に支持され、前記可動体は、光学モジュールを備え、前記光学モジュールは、前記可動体に前記第1の軸線と交差する第2の軸線の周りに揺動可能に支持され、前記揺動駆動部は、前記可動体を前記第1の軸線周りに揺動させる第1揺動駆動部と、前記光学モジュールを前記第2の軸線周りに揺動させる第2揺動駆動部とで構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、前記揺動駆動部は、前記光学モジュールを備える前記可動体を前記第1の軸線周りに揺動させる第1揺動駆動部と、前記光学モジュールを前記第1の軸線と交差する前記第2の軸線周りに揺動させる第2揺動駆動部とで構成されている。これにより、前記第1揺動駆動部と前記第2揺動駆動部の両駆動を組み合わせる制御を行うことで、光学モジュールの光軸の方向を前記光学モジュールの正面側において、あらゆる方向に高精度で向ける、或いは振動させることができる。
【0012】
また、本発明は、上記揺動ユニットにおいて、前記第1揺動駆動部は、第1コイルと第1磁石の対で構成され、前記第2揺動駆動部は、第2コイルと第2磁石の対で構成され、前記基板は、前記第1コイルが実装された第1部位と前記第2コイルが実装された第2部位との間に、実装された状態の前記第1コイルと前記第2コイルが接近及び離間する方向に変位することを許容する変位許容部を有することを特徴とする。
【0013】
本発明では、前記基板は、実装された状態の前記第1コイルと前記第2コイルが接近及び離間する方向に変位することを許容する変位許容部を有している。言い換えると、前記基板に実装されている前記第1コイルと前記第2コイルの位置は、互いに接近及び離間する方向に変位可能である。これにより、前記第1コイルを前記位置決め部に接触させて行う位置決めと、前記第2コイルを前記位置決め部に接触させて行う位置決めとを、互いの干渉をほとんど受けずに行うことができる。
【0014】
また、本発明は、上記揺動ユニットにおいて、前記位置決め部は、前記支持体に設けられた突部であり、前記突部は、前記コイルの前記内面に接する位置決め面を有していることを特徴とする。
【0015】
本発明では、前記位置決め部は、前記コイルの前記内面に接する位置決め面を有しているので、簡単な構造で前記コイルの前記コイル被固定部に対する位置決めを行うことができる。
【0016】
また、本発明は、上記揺動ユニットにおいて、前記コイルは、4つの内面を有しており、前記凸部及び位置決め面は、前記4つの各内面に対応してそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明では、前記凸部及び位置決め面は、前記コイルの4つの各内面に対応してそれぞれ設けられているので、高精度で前記コイルの前記コイル被固定部に対する位置決めを行うことができる。
【0018】
また、本発明は、上記揺動ユニットにおいて、前記コイルは、第1の内面と、前記第1の内面より前記コイルの外面側に位置する第2の内面とを有する段付きコイルであり、前記第2の内面が前記凸部の前記位置決め面に接することで位置決めされることを特徴とする。
【0019】
本発明では、前記コイルは段付きコイルであり、前記段付きコイルの前記第2の内面が前記位置決め面に接することで位置決めされる。これにより、前記突部の前記位置決め面と反対側の面、言い換えると前記磁石と対向する面の位置を前記磁石から離すことが可能になる。従って、前記磁気ギャップを前記段付きコイルでない場合よりも小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態1に係る揺動ユニットの外観を上方から見た斜視図。
【
図2】実施形態1に係る揺動ユニットの外観を下方から見た斜視図。
【
図4】実施形態1に係るコイルが実装された基板の斜視図。
【
図5】実施形態1に係る支持体を下方から見た斜視図。
【
図6】実施形態1に係る支持体を上方から見た斜視図。
【
図8】実施形態1に係る揺動ユニットの要部を断面で示す図。
【
図9】実施形態1に係るコイルと位置決め部を示す図(A)(B)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る揺動ユニットの実施形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
以下の説明においては、互いに直交する3つの軸を、各図に示すように、それぞれX軸、Y軸、Z軸とする。3つの軸(X,Y,Z)の矢印の示す方向が各方向の+方向であり、その逆が-方向である。ここでは、X軸方向は第1の軸線の方向であり、Y軸方向は第2の軸線の方向である。
【0022】
[実施形態1]
図1から
図9に基いて本発明の実施形態1を説明する。
図1と
図8に示したように、本実施形態の揺動ユニット1は、可動体2と、可動体2を一対の支点部3,4を介して揺動変位可能な状態で支持する支持体5と、可動体2を揺動させる揺動駆動部6とを備えている。
揺動駆動部6は、コイル8と磁石10とを所定の磁気ギャップ17を有して配置することで構成されている。コイル8は、支持体5のコイル被固定部7に固定されている。磁石10は、可動体2の磁石被固定部9に固定されている。コイル被固定部7は、コイル8の支持体5に対する位置決めをするための位置決め部11を備えている。位置決め部11は、コイル8の内面12と接触することでコイル8のコイル被固定部7に対する位置決めが成されるように構成されている。
【0023】
図4と
図8に示したように、コイル8は、長尺な基板13に実装されている。本実施形態では、コイル8として、第1コイル81と第2コイル82の2つが基板13に実装されている。尚、本発明の揺動ユニット1としては、コイル8は1つであってもよい。
コイル8、即ちコイル81,82は、基板13を支持体5の一方の開口部14に取り付けることで、上記の通り位置決め部11によって支持体5のコイル被固定部7に対する位置決めが成される。磁石10は、上記の通り可動体2に固定されている。可動体2を支持体5の他方の開口部15に取り付けることで磁石10はコイル8の内面12が作る領域16に進入し内面12と所定の磁気ギャップ17を有する状態で固定される。
【0024】
図1に示したように、可動体2は、支点部3,4によって支持体5に第1の軸線L1の周りに揺動可能に支持されている。
図7と
図8に示したように、本実施形態では、支点部3,4は、可動体2に取り付けられた球体27を、支持体5に固定されたバネ部材28の凹面部29に弾性的に接触させることで第1の軸線L1周りの揺動を可能にしている。
本実施形態では、可動体2は、光学モジュール18を備えている。ここでは、光学モジュール18は凹面ミラーである。
図1と
図8において、符号Lは光学モジュール18の光軸を示している。
この揺動ユニット1は、射出された光線や画像を前記凹面ミラーで所望の方向に反射するように可動体2を、即ち光学モジュール18を揺動させる用途に使われる。この用途の具体例として、凹面ミラーである光学モジュール18の揺動を高速で往復させ、即ち振動するように制御するAR(Augmented Reality(拡張現実))グラス用のアクチュエータ等が挙げられる。或いは、光学モジュール18を薄型カメラにすることで、カメラ付き携帯電話機等の薄型カメラの姿勢制御を行うアクチュエータとして用いることができる。
【0025】
光学モジュール18は、支点部19,20よって可動体2に第1の軸線L1と交差する第2の軸線L2の周りに揺動可能に支持されている。即ち、光学モジュール18は、可動体2を支持体5として、可動体2に揺動可能に支持されている。言い換えると、光学モジュール18は、自らは可動体2となって、支持体5としての可動体2に、第2の軸線L2の周りに揺動可能に支持されている。支点部19,20は、支点部3,4と同様の構造であるので、その説明は省略する。
図8に示したように、揺動駆動部6は、可動体2を第1の軸線L1周りに揺動させる第1揺動駆動部61と、光学モジュール18を第2の軸線L2周りに揺動させる第2揺動駆動部62との2つで構成されている。
尚、本発明の揺動ユニット1としては、第1揺動駆動部61と第2揺動駆動部62の一方だけを有する構造でもよい。
【0026】
第1揺動駆動部61は、第1コイル81と第1磁石101の対で構成されている。第2揺動駆動部62は、第2コイル82と第2磁石102の対で構成されている。本実施形態では、磁石10は、第1磁石101と第1磁石102の2つで構成されている。第1磁石101は、磁石被固定部9としての第1磁石被固定部91に固定されている。第2磁石102は、磁石被固定部9としての第2磁石被固定部92に固定されている。
本実施形態では、
図7と
図8に示したように、第2磁石被固定部92は、光学モジュール18が固定される被固定部を兼ねている。
本実施形態では、
図4と
図8に示したように、基板13は、第1コイル81が実装された第1部位21と第2コイル82が実装された第2部位22との間に、実装された状態の第1コイル81と第2コイル82が接近及び離間する方向に変位することを許容する変位許容部23が設けられている。
【0027】
<位置決め部>
図5、
図6、
図8及び
図9に示したように、位置決め部11は、支持体5に設けられた突部24で構成されている。突部24は、コイル81,82の内面12に接する位置決め面25を有している。
図8においては、突部24の位置決め面25とコイル81,82の各内面12と間に隙間があるように記載されているが、これは図面が不明確になることを避けたものであり、
図9(A)に示したように、位置決め面25と内面12は、前記位置決めの効果が得られるようにほぼ接触するように作られる。
図5及び
図6に示したように、支持体5は、開口部14、開口部15、コイル被固定部7、突部24を有するように、樹脂材による一体成形で作られている。
また、本実施形態では、
図4に示したように、コイル81,82は、4つの内面12を有する平面視で正方形に形成されている。そして、
図5に示したように、凸部24及び位置決め面25は、4つの各内面12,12,12,12に対応してそれぞれ設けられている。
【0028】
<コイルの組付け及び位置合わせの説明>
コイル81,82が実装されている基板(
図4)を、支持体5の一方の開口部14側(
図5)に取り付けて
図2に示した状態にする。その際、コイル81,82の各内面12(
図4)が位置決め部11を成す突部24(
図5)の位置決め面25(
図9(A))に接触するように組み付ける。これにより、コイル81,82を、支持体5のコイル被固定部7に対する位置決めが成された状態で組付けることができる。
また、磁石101,102が固定されている可動体2(
図7)を支持体5の他方の開口部15側(
図6)に取り付けて
図1と
図3に示した状態にする。可動体2は、上記のように支持体の開口部15側に取り付けることで、磁石101,102がコイル81,82の各内面12が作る領域16に進入し各内面12と所定の磁気ギャップ17を有する状態で固定されるように設計されている。
【0029】
<実施形態1の効果の説明>
(1)本実施形態では、揺動駆動部6(61,62)は、支持体5のコイル被固定部7に固定されたコイル8(81.82)と、可動体2の磁石被固定部9(91,92)に固定された磁石10(101,102)との対で構成されている。そして、コイル被固定部7は、コイル8(81,82)の内面12と接触することでコイル8(81,82)のコイル被固定部7に対する位置決めをする位置決め部11を備えている。
上記したように、コイル8(81,82)は、図示を省く治具に線材を巻き付けて作られるので、完成したコイル8(81,82)の内面12は前記治具の外周面の位置と一致する。即ち、コイル8(81,82)の内面12は、コイル8(81,82)の外面に比して寸法的なばらつきが発生しにくい。本実施形態では、コイル8(81,82)の内面12を前記位置決めに使っているので、コイル8(81,82)の組付け位置精度が従来よりも高くなり、前記磁気ギャップを適切に設定し易くなる。以って、可動体2を駆動する推力を高め、更に安定化させることができる。
【0030】
(2)また、本実施形態では、コイル8(81,82)は基板13に実装されている。そして、この基板13を支持体5の一方の開口部14に取り付けることで、コイル8(81,82)は、位置決め部11によって支持体5のコイル被固定部7に対する位置決めが成される。これにより、基板13に実装されたコイル8(81,82)を支持体5に対して従来よりも高い位置精度で且つ簡単に組み付けることができる。
また、磁石10(101,102)は可動体2に固定されている。そして、可動体2を支持体5の他方の開口部15に取り付けることで、磁石10(101,102)は、コイル8(81,82)の内面12が作る領域16に進入し、内面12と所定の磁気ギャップ17を有する状態で固定される。これにより、可動体2を支持体5に取り付けることで、磁気ギャップ17が高精度で設定された揺動ユニット1を簡単に組み立てることができる。
【0031】
(3)また、本実施形態では、揺動駆動部6は、光学モジュール18を備える可動体2を第1の軸線L1周りに揺動させる第1揺動駆動部61と、光学モジュール18を第1の軸線L1と交差する第2の軸線L2周りに揺動させる第2揺動駆動部とで構成されている。これにより、第1揺動駆動部61と第2揺動駆動部62の両駆動を組み合わせる制御を行うことで、光学モジュールの光軸の方向を前記光学モジュールの正面側において、あらゆる方向に高精度で向ける、或いは振動させることができる。
【0032】
(4)また、本実施形態では、基板13は、実装された状態の第1コイル81と第2コイル82が接近及び離間する方向に変位することを許容する変位許容部23を有している。即ち、基板13に実装されている第1コイル81と第2コイル82の位置は、互いに接近及び離間する方向に変位可能である。これにより、第1コイル81を位置決め部11に接触させて行う位置決めと、第2コイル82を位置決め部11に接触させて行う位置決めとを、互いの干渉をほとんど受けずに行うことができる。
【0033】
(5)また、本実施形態では、位置決め部11は、コイル8(81,82)の内面12に接する位置決め面25を有しているので、簡単な構造でコイル8(81,82)のコイル被固定部7に対する位置決めを行うことができる。
(6)また、本実施形態では、凸部24及び位置決め面25は、コイル8(81,82)の4つの各内面12,12,12,12に対応してそれぞれ設けられているので、高精度でコイル8(81,82)のコイル被固定部7に対する位置決めを行うことができる。
【0034】
[実施形態2]
次に、実施形態2に係る揺動ユニット1について、
図9(B)に基づいて説明する。実施形態1と同一部分については同一符号を付して、その構成及び対応する効果の説明は省略する。
本実施形態では、コイル8は、第1の内面121と、第1の内面121よりコイル8の外面26側に位置する第2の内面122とを有する段付きコイル80である。そして、第2の内面122が凸部24の位置決め面25に接することで位置決めされるように構成されている。
また、
図9(B)に示したように、本実施形態では、突部24の位置決め面25とは反対側の面31は、コイル8の第1の内面121とほぼ面一となるように構成されている。更に、突部24の先端面32は、段付きコイル80の段面33と接触している。
【0035】
上記したように、本実施形態では、コイル8は段付きコイル80であり、段付きコイル80の第2の内面122が位置決め面25に接することで位置決めされる。これにより、
図9(B)に示されているように、突部24の位置決め面25と反対側の面31、言い換えると磁石10と対向する面の位置を磁石10から離すことが可能になる。従って、磁気ギャップ17を段付きコイル80でない場合よりも小さくすることができる。以って、駆動ユニット1の可動体2を駆動する推力を高め、更に安定化させることができる。
図9(B)に示したように、磁気ギャップ17を小さくする上で、突部24の位置決め面25と反対側の面31は、コイル8の第1の内面121とほぼ面一となるように構成することが好ましい。
【0036】
〔他の実施形態〕
本発明に係る揺動ユニット1は、以上述べた実施形態の構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことは勿論可能である。
上記実施形態では、コイル8は支持体5に固定され、磁石10は可動体2に固定される場合を説明したが、コイル8は可動体2に固定され、磁石10は支持体5に固定される構造にしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…揺動ユニット、2…可動体、3…支点部、4…支点部、5…支持体、
6…揺動駆動部、7…コイル被固定部、8…コイル、9…磁石被固定部、
10…磁石、11…位置決め部、12…内面、13…基板、14…一方の開口部、
15…他方の開口部、16…内面が作る領域、17…磁気ギャップ、
18…光学モジュール、19…支点部、20…支点部、21…第1部位、
22…第2部位、23…変位許容部、24…突部、25…位置決め面、
26…コイルの外面、27…球体、28…バネ部材、29…凹面部、
31…反対側の面、32…先端面、33…段面、61…第1揺動駆動部、
62…第2揺動駆動部、80…コイル、81…第1コイル、82…第2コイル、
91…第1磁石被固定部、92…第2磁石被固定部、101…第1磁石、
102…第2磁石、121…第1の内面、122…第2の内面、
L…光学モジュールの光軸、L1…第1の軸線、L2…第2の軸線