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特開2024-147358アイスクリーム様食品及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147358
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】アイスクリーム様食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 9/42 20060101AFI20241008BHJP
   A23L 7/10 20160101ALI20241008BHJP
【FI】
A23G9/42
A23L7/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060314
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】523124267
【氏名又は名称】株式会社瀬戸プレスフーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】上田 耕士
【テーマコード(参考)】
4B014
4B023
【Fターム(参考)】
4B014GB18
4B014GE05
4B014GG03
4B014GG07
4B014GG14
4B014GP02
4B014GP12
4B014GP14
4B014GP15
4B014GP27
4B023LC08
4B023LC09
4B023LE07
4B023LE30
4B023LG01
4B023LK05
4B023LK07
4B023LP07
4B023LP15
4B023LP20
4B023LQ01
(57)【要約】
【課題】簡易に製造することができ、簡易に保存することができる、適度な硬度のアイスクリーム様食品及びその製造方法の提供。
【解決手段】加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉を含むことを特徴とするアイスクリーム様食品、又は加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉と液体とを混合することを特徴とするアイスクリーム様食品の製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉を含むことを特徴とするアイスクリーム様食品。
【請求項2】
形状維持が可能である、請求項1に記載のアイスクリーム様食品。
【請求項3】
冷蔵保存、又は常温保存が可能である、請求項1に記載のアイスクリーム様食品。
【請求項4】
前記加熱加圧処理が、米を125℃~300℃に加熱されたステージ上に配して平板を用いて50kg/cm以上の圧力で0.5秒間以上押し潰す処理である、請求項1に記載のアイスクリーム様食品。
【請求項5】
前記加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉の質量と前記アイスクリーム様食品の総質量との比が、1:6から1:30である、請求項1に記載のアイスクリーム様食品。
【請求項6】
加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉と液体とを混合することを特徴とするアイスクリーム様食品の製造方法。
【請求項7】
冷凍することを含まない、請求項6に記載のアイスクリーム様食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイスクリーム様食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アイスクリームは、原料を混合後に冷凍して製造される。また、その保存には冷凍庫を必要とする。医療現場や介護現場等では、配膳に時間を要し、さらに食事時間も長時間要することが多いことなどから、アイスクリームの提供は困難である。
しかしながら、アイスクリームは、食欲不振のときでも食べやすく、また、タンパク質、カルシウムなどを含む場合は、栄養補給食品としても適することから、特に、医療現場や介護現場等では提供が強く求められている。
【0003】
特許文献1には、安定剤として、本葛粉、葛粉、蓮根粉、米粉、玄米粉、わらび粉、いも粉、寒天又はゼラチンのいずれか1つ、または、これら2以上の組み合わせを使用した、氷菓の製造方法が記載されているが、この方法は、冷凍して凍結させる工程を必須とする。
特許文献2には、加熱処理した米または該米に由来する成分を含む、アイスクリームが記載されているが、このアイスクリームは、アイスクリームフリーザーを使用して製造される。
特許文献3には、精白米を相互に少しの間隔を保った状態で熱源に近づけ、これらの米が膨張して少なくともその一部分が黒く焼け焦げた状態にまで加熱をして焼き上げ、その後冷却した後、フードミル等により粉末化した焦げ焼き米粉を使用したチョコレートアイスクリーム代用品が記載されているが、このチョコレートアイスクリーム代用品は、冷凍して製造される。
また、葛粉を含む氷菓は、硬度が高くなりすぎることが知られている。
【0004】
特許文献4には、白米などの植物を、加熱加圧処理した後、粉砕処理して得られた食塊形成用食用粉が記載されているが、アイスクリーム様食品については記載されていない。
【0005】
したがって、簡易に製造することができ、簡易に保存することができる、適度な硬度のアイスクリーム様食品及びその製造方法の速やかな開発が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-094025号公報
【特許文献2】特開2013-017482号公報
【特許文献3】特開2009-089680号公報
【特許文献4】特開2014-033668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、簡易に製造することができ、簡易に保存することができる、適度な硬度のアイスクリーム様食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉を含むことを特徴とするアイスクリーム様食品、及び加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉と液体とを混合することを特徴とするアイスクリーム様食品の製造方法により、簡易に製造することができ、簡易に保存することができる、適度な硬度のアイスクリーム様食品及びその製造方法が提供できることを知見した。
【0009】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下のとおりである。即ち、
<1> 加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉を含むことを特徴とするアイスクリーム様食品である。
<2> 加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉と液体とを混合することを特徴とするアイスクリーム様食品の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来における問題を解決し、前記目的を達成することができ、簡易に製造することができ、簡易に保存することができる、適度な硬度のアイスクリーム様食品及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A図1Aは、製造例1で製造した米粉の写真である。
図1B図1Bは、市販の米粉の写真である。
図1C図1Cは、製造例2で製造した米粉の写真である
図1D図1Dは、製造例3で製造した米粉の写真である。
図2A図2Aは、実施例1で製造したアイスクリーム様食品の写真である。
図2B図2Bは、比較例1で製造した食品の写真である。
図2C図2Cは、比較例2で製造した食品の写真である。
図2D図2Dは、比較例3で製造した食品の写真である。
図3図3は、実施例1で製造したアイスクリーム様食品を2時間常温保存した後の写真である。
図4図4は、実施例1で製造したアイスクリーム様食品を2時間常温保存後に、24時間冷蔵保存した後の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(アイスクリーム様食品)
前記アイスクリーム様食品は、加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉を含み、さらに、その他の成分を含むことができる。
前記アイスクリーム様食品は、冷凍菓子代用品、又はアイスクリーム代用品とすることができる。
前記冷凍菓子、又は前記アイスクリームとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット、氷菓などが挙げられる。前記冷凍菓子、又は前記アイスクリームは、ソフトクリームであってもよい。
【0013】
前記アイスクリーム様食品は、形状維持が可能である。
形状維持が可能であるとは、一旦形作られた形状(又は硬度)を維持することを意味する。
【0014】
前記アイスクリーム様食品は、冷蔵保存、又は常温保存が可能である。
前記冷蔵保存、又は常温保存が可能であるとは、冷蔵保存、又は常温保存後においても、製造直後の形状(又は硬度)と同様の形状(又は硬度)を維持することを意味する。
【0015】
前記冷蔵の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4℃~10℃などが挙げられる。
前記冷蔵の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1時間~24時間などが挙げられる。
前記常温の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、15℃~25℃などが挙げられる。
前記常温の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1時間~3時間などが挙げられる。
【0016】
<加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉>
前記加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、米を加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉などが挙げられる。
【0017】
前記米の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、うるち米、もち米、黒米、赤米、緑米、古代米、香米などが挙げられる。これらの中でも、うるち米が好ましい。
前記米の加工による分類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、玄米、発芽米、発芽玄米、胚芽米、白米、無洗米などが挙げられる。これらの中でも、白米が好ましい。
【0018】
<<加熱加圧処理>>
前記加熱加圧処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、米を、加熱及び加圧する処理などが挙げられる。
【0019】
-加熱-
前記加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、簡易に製造することができ、簡易に保存することができる、適度な硬度のアイスクリーム様食品を得る点から、50℃~300℃が好ましく、125℃~300℃がより好ましく、150℃~250℃がさらに好ましい。
【0020】
前記加熱の回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1回であってもよいし、複数回であってもよい。後者の場合、芽胞の殺菌性には優れるものの前記米の風味の劣化が生じ易くなる傾向があるので、該後者の場合では、2回が好ましい。
【0021】
-加圧-
前記加圧の圧力(プレスされて広がった米の1平方センチメートル当たりの荷重)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、簡易に製造することができ、簡易に保存することができる、適度な硬度のアイスクリーム様食品を得る点から、50kg/cm以上が好ましく、60kg/cm以上がより好ましく、70kg/cm以上がより好ましい。前記加圧の圧力が、50kg/cm未満であると、芽胞の殺菌性が十分でないことがある。
【0022】
前記加圧の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、簡易に製造することができ、簡易に保存することができる、適度な硬度のアイスクリーム様食品を得る点から、0.5秒間以上が好ましく、0.5秒間~5秒間がより好ましく、0.5秒間~3秒間がさらに好ましい。
【0023】
前記加圧の回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通常、1回であるが、複数回であってもよい。
【0024】
加熱加圧手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステージ及び平板を備えた手段、エクストルーダー、ローラーなどが挙げられる。これらの中でも、ステージ及び平板を備えた手段が好ましい。
【0025】
前記ステージ及び平板を備えた手段を用いた加熱加圧処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、米を、加熱されたステージ上に配して平板を用いて押し潰す処理などが挙げられる。これらの中でも、米を、125℃~300℃に加熱されたステージ上に配して平板を用いて50kg/cm以上の圧力で0.5秒間以上押し潰す処理が好ましい。
【0026】
-ステージ-
前記ステージとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加熱可能であり、前記平板と共に前記米を押し潰しつつ加圧可能であればよく、加熱板乃至加熱台などが好ましい。
前記ステージの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、伝熱性に優れ、高強度であるものが好ましく、鋼鉄製がより好ましい。
【0027】
-平板-
前記平板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、プレッサー等のプレス部材が好ましい。
前記平板の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、伝熱性に優れ、高強度であるものが好ましく、鋼鉄製がより好ましい。
【0028】
-加熱加圧処理後の米の性質-
前記加熱加圧処理後の米は、加熱乃至加圧されるため、水分が除去される。
前記加熱加圧処理後の米の含水率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が特に好ましい。前記含水率が、10質量%を超えると、澱粉の水分活性が高く、黴、バクテリア等が生育し易く、日持ち性が悪く、保存性に劣り、食品としての安全性、信頼性等にかけることがある。一方、前記含水率が、前記好ましい範囲であると、前記米はそれ自体が乾燥剤として機能するだけでなく、芽胞の殺菌性と前記米の品質安定性とに優れる。なお、前記含水率は、例えば、常圧加熱減量法等に従って測定することができる。
【0029】
前記加熱加圧処理後の米の形状としては、プレスされてなる形状であれば、特に制限はなく、前記米の形状等に応じて異なり、例えば、薄片状、シート状、フィルム状などが挙げられる。前記加熱加圧処理後の米は、プレスされてなる形状であるため、前記加熱加圧処理前の米よりも表面積が大きくなり、前記米の内部に含まれていた香成分等が表面に露出し、前記米の風味が増強され、前記加熱加圧処理前の米とは異なる風味を有し、食品素材として使用した際における呈味成分等の抽出効率に優れ、有効成分等の抽出効率にも優れる。
【0030】
前記加熱加圧処理後の米は、前記加熱加圧処理前の米とは異なり、顕微鏡により観察すると、少なくとも一部が多孔質化されている。そのため、前記加熱加圧処理後の米は、多孔質化されている分、表面積が大きくなり、粉砕等すると容易に粉末化できる。なお、前記加熱加圧処理後の米の多孔質化の程度は、前記米の種類、加工条件等によって異なる。
【0031】
前記加熱加圧処理後の米の厚みの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、8mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1mm以下がさらに好ましく、0.8mm以下が特に好ましい。
前記加熱加圧処理後の米の厚みの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0mm超が好ましく、0.1mm以上がより好ましい。
前記厚みが、8mmを超えると、含水率が高くなることがあり、保存性が良好でないことがあり、米の粉砕処理が困難となることがある。なお、前記厚みは、例えば、マイクロメータ等を用いて測定することができる。
【0032】
前記加熱加圧処理後の米の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、前記米における水分以外の固形分等の体積に対応し、該固形分等の体積が大きくなる程、その径が大きくなる。
【0033】
前記加熱加圧処理後の米1mgあたりの栄養分の濃度(含有量)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記加熱加圧処理前の米1mgあたりの栄養分の濃度(含有量)よりも、栄養分(タンパク質、炭水化物、脂質、糖質、カルシウム、鉄分、マグネシウム、亜鉛、ビタミン類、食物繊維、必須アミノ酸等)の濃度が高いことが好ましく、必須アミノ酸(トリプトファン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン)の濃度が高いことがより好ましい。
【0034】
前記加熱加圧処理後の米1mgあたりの栄養分の抽出濃度(抽出量)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記加熱加圧処理前の米1mgあたりの栄養分の抽出濃度よりも、前記栄養分の抽出濃度が高いことが好ましく、前記必須アミノ酸の抽出濃度が高いことがより好ましい。
【0035】
<<粉砕処理>>
前記粉砕処理としては、前記加熱加圧処理した米を粉砕する処理であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロール粉砕、胴搗粉砕、気流粉砕などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
前記加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉の質量と前記アイスクリーム様食品の総質量との比(前記加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉の質量:前記アイスクリーム様食品の総質量)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、簡易に製造することができ、簡易に保存することができる、適度な硬度のアイスクリーム様食品を得る点から、1:6~1:30が好ましく、1:6~1:20がより好ましく、1:7~1:20がさらに好ましく、1:7~1:16が特に好ましく、1:8~1:16が最も好ましい。
【0037】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳、乳製品、粉乳、豆乳、豆乳粉、果汁、粉末果汁、水、食品添加剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、適度な硬度のアイスクリーム様食品を得る点から、前記アイスクリーム様食品は、葛粉を含まないことが好ましい。
また、前記アイスクリーム様食品は、増粘剤を必要としない。
【0038】
前記乳としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、牛乳、加工乳などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記乳製品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生クリーム等のクリーム、ヨーグルト等の発酵乳などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
前記粉乳としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
前記豆乳としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無調整豆乳、調製豆乳、豆乳飲料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記豆乳粉(豆乳パウダーとも称する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無調整豆乳、調製豆乳、豆乳飲料等の豆乳を粉末化したものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記果汁としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、果物や野菜の汁などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記粉末果汁(果汁パウダーとも称する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、果物や野菜の汁等を粉末化したものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蒸留水、ミネラルウォーター、水道水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
前記食品添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、甘味料、酸化防止剤、着色剤、調味料、香辛料、酵素、保存料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
(アイスクリーム様食品の製造方法)
前記アイスクリーム様食品の製造方法は、混合工程を含み、さらにその他の工程を含むことができる。
【0048】
<混合工程>
前記混合工程は、加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉と液体とを混合する工程である。
前記加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉は、上述の(アイスクリーム様食品)に記載のとおりである。
【0049】
<<液体>>
前記液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳、乳製品、豆乳、果汁、水などが挙げられる。
前記乳は、粉乳及び水であってもよい。
前記豆乳は、豆乳粉及び水であってもよい。
前記果汁は、粉末果汁及び水であってもよい。
前記液体に、食品添加剤を加えることができる。
前記乳、乳製品、粉乳、豆乳、豆乳粉、果汁、粉末果汁、水、及び食品添加剤は、上述の(アイスクリーム様食品)の<その他の成分>に記載のとおりである。
【0050】
前記液体の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、簡易に製造することができ、簡易に保存することができる、適度な硬度のアイスクリーム様食品を得る点から、4℃~25℃が好ましく、4℃~20℃がより好ましく、4℃~10℃がさらに好ましい。
【0051】
前記加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉の質量と前記液体の質量との比(前記加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉の質量:前記液体の質量)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、簡易に製造することができ、簡易に保存することができる、適度な硬度のアイスクリーム様食品を得る点から、1:5~1:30が好ましく、1:5~1:20がより好ましく、1:6~1:20がさらに好ましく、1:6~1:16が特に好ましく、1:7~1:16が最も好ましい。
【0052】
前記混合の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、簡易に製造することができ、簡易に保存することができる、適度な硬度のアイスクリーム様食品を得る点から、10秒間~1分間が好ましく、20秒間~40秒間がより好ましい。
【0053】
前記アイスクリーム様食品は、液体と混合するだけで容易に製造することができる。
すなわち、前記アイスクリーム様食品の製造方法は、冷凍する工程を必要としない。したがって、冷凍庫のない環境においても、アイスクリーム様食品を容易に製造することができる。
前記アイスクリーム様食品の製造方法は、簡易に製造することができる点から、冷凍する工程を含まないことが好ましい。
【0054】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、前記アイスクリーム様食品を製造する際に生じる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記混合工程後に、さらに、前記加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉、及び/又は前記液体を添加する工程などが挙げられる。
前記混合工程後に、さらに、前記加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉、及び/又は前記液体を添加することで、例えば、硬さ、又は粘度を再調整することができる。
【実施例0055】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0056】
(製造例1:加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉の製造)
うるち米の白米を用いて、これを加熱した鋼製ステージ上に置き、直ちに上部から鋼製平板により圧力70kg/cm(プレスされて広がった白米の1平方センチメートル当たりの荷重)にて加圧した。このとき、前記ステージの温度を25℃刻みで50℃から250℃まで段階的に昇温し、各温度で0.5秒間ずつ前記鋼製平板を保持することにより、前記加熱及び前記加圧を行った。加熱加圧処理後の白米は、厚みが0.5mm~1.0mmであり、プレスされた形状(薄片状)を有していた。そして、加熱加圧処理後の白米を気流粉砕機により粉砕処理して、加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉を製造した。
加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉の写真を図1Aに示した。
【0057】
(製造例2:焙煎米粉の製造)
180℃に設定したオーブン内で予め熱しておいた鉄板に、うるち米の白米150gを均等に並べ、15分間焙煎した後、粉砕機を用いて60秒間粉砕して、焙煎米粉を製造した。
加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉の写真を図1Cに示した。
【0058】
(製造例3:焦げ焼き米粉の製造)
うるち米の白米を、相互に少し間隔を開けた状態でオーブンシート上に載置し、600Wのオーブンに入れ、6分間加熱し、放冷後にフードプロセッサーを用いて60秒間粉砕して、焦げ焼き米粉を製造した。
加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉の写真を図1Dに示した。
【0059】
(実施例1)
製造例1で製造した米粉7gと、生クリーム(冷蔵保存していた、タカナシ・特選・北海道 純生クリーム35)50mLと、砂糖7gを入れ、泡だて器(手動)で混合して、アイスクリーム様食品を製造した。
混合直後の写真を図2Aに示した。
【0060】
(比較例1)
製造例1で製造した米粉に代えて、市販の米粉(オーサワ)を使用した以外は、実施例1と同様にして食品を製造した。
市販の米粉(オーサワ)の写真を図1Bに示した。
混合直後の写真を図2Bに示した。
【0061】
(比較例2)
製造例1で製造した米粉に代えて、製造例2で製造した焙煎米粉を使用した以外は、実施例1と同様にして食品を製造した。
混合直後の写真を図2Cに示した。
【0062】
(比較例3)
製造例1で製造した米粉に代えて、製造例3で製造した焦げ焼き米粉を使用した以外は、実施例1と同様にして食品を製造した。
混合直後の写真を図2Dに示した。
【0063】
図2Aより、加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉を含むアイスクリーム様食品は、簡易に製造することができ、適度な硬度を有し、形状維持が可能であることが分かった。
一方、図2B図2C、及び図2Dより、加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉に代えて、市販の米粉、焙煎米粉、又は焦げ焼き米粉を使用した場合は、形状をなさず、とろみがつかず(シャパシャパ状態)、アイスクリーム様食品は得られないことが分かった。
【0064】
(実施例2)
実施例1で製造したアイスクリーム様食品を、常温で2時間保存した。
常温保存後の写真を図3に示した。
【0065】
(実施例3)
実施例1で製造したアイスクリーム様食品を、常温で2時間保存した。その後、生クリーム(冷蔵保存していた、タカナシ・特選・北海道 純生クリーム35)55mLを加えて混合し、4℃の冷蔵庫で24時間保存した。
冷蔵保存後の写真を図4に示した。
【0066】
図3及び図4より、加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉を含むアイスクリーム様食品は、冷蔵保存、又は常温保存後に、全く形状を崩さず、離水もしておらず、冷蔵保存、又は常温保存可能であることが分かった。
【0067】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉を含むことを特徴とするアイスクリーム様食品である。
<2> 形状維持が可能である、前記<1>に記載のアイスクリーム様食品である。
<3> 冷蔵保存、又は常温保存が可能である、前記<1>又は<2>に記載のアイスクリーム様食品である。
<4> 前記加熱加圧処理が、米を125℃~300℃に加熱されたステージ上に配して平板を用いて50kg/cm以上の圧力で0.5秒間以上押し潰す処理である、前記<1>から<3>のいずれかに記載のアイスクリーム様食品である。
<5> 前記加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉の質量と前記アイスクリーム様食品の総質量との比が、1:6から1:30である、前記<1>から<4>のいずれかに記載のアイスクリーム様食品である。
<6> 加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉と液体とを混合することを特徴とするアイスクリーム様食品の製造方法である。
<7> 冷凍することを含まない、前記<6>に記載のアイスクリーム様食品の製造方法である。
<8> 前記アイスクリーム様食品は、冷蔵保存、又は常温保存が可能である、前記<6>又は<7>に記載のアイスクリーム様食品の製造方法である。
<9> 前記アイスクリーム様食品は、形状維持が可能である、前記<6>から<8>のいずれかに記載のアイスクリーム様食品の製造方法である。
<10> 前記加熱加圧処理が、米を125℃~300℃に加熱されたステージ上に配して平板を用いて50kg/cm以上の圧力で0.5秒間以上押し潰す処理である、前記<6>から<9>のいずれかに記載のアイスクリーム様食品の製造方法である。
<11> 前記加熱加圧処理後に粉砕処理して得られた米粉の質量と前記アイスクリーム様食品の総質量との比が、1:6から1:30である、前記<6>から<10>のいずれかに記載のアイスクリーム様食品の製造方法である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のアイスクリーム様食品は、簡易に製造することができ、簡易に保存することができ、適度な硬度を有することから、特に、医療現場や介護現場等、又は行楽地などにおける、冷凍菓子代用品、又はアイスクリーム代用品として、好適に利用することができる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4