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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147369
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20241008BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20241008BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G03G21/16 195
G03G21/16 133
B41J29/13 103
G03G15/00 445
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060335
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】入山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】古山 達也
【テーマコード(参考)】
2C061
2H072
2H171
【Fターム(参考)】
2C061AQ06
2C061BB28
2C061CD07
2C061CD15
2H072CA01
2H072EA16
2H072FA01
2H072JA02
2H072JA04
2H171FA01
2H171FA22
2H171FA28
2H171HA06
2H171HA23
2H171HA24
2H171HA29
2H171JA22
2H171JA33
2H171KA05
2H171KA17
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA30
2H171NA09
2H171QA02
2H171QA08
2H171QB02
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC03
2H171SA11
2H171SA12
2H171SA22
2H171SA28
2H171WA12
2H171WA19
2H171WA27
(57)【要約】
【課題】定着部の加熱効率の低下を抑制する。
【解決手段】画像形成装置(1)は、筐体(3)の開口(10A)を開閉可能な第1リアカバー(RC1)と、第1リアカバーに配置され、第1リアカバーの開口(10B)を開閉可能な第2リアカバー(RC2)とを備える。第2リアカバーは、第1リアカバーが閉じた状態且つ第2リアカバーが開いた状態において、定着部(80)から排出されたシート(S)を載置可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に収容され、シートに現像剤を定着させる定着部と、
前記定着部によって前記現像剤が定着された前記シートが排出される排出トレイと、
前記定着部よりも前記シートの搬送方向下流側に配置され、前記筐体の開口を開閉可能な第1カバーであって、前記第1カバーを開いた状態で前記定着部を露出させ、前記第1カバーを閉じた状態で前記定着部から排出されるシートを前記排出トレイに搬送する搬送経路の一部を構成する第1カバーと、
前記第1カバーに対し回動可能に配置され、前記第1カバーの開口を開閉可能な第2カバーと、を備え、
前記第2カバーは、前記第1カバーが閉じた状態且つ前記第2カバーが開いた状態において、前記定着部から排出された前記シートを載置可能である、
画像形成装置。
【請求項2】
前記第1カバーが開いた状態では、前記定着部への給電が停止される、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1カバーの開閉を検知する検知部を更に備える、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記定着部は、前記第1カバーが開いた状態で前記筐体に対し着脱可能である、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記定着部の着脱方向から見て、前記定着部の着脱を操作可能な操作部の位置は、前記定着部が前記筐体に配置された状態では前記第2カバーの端部の外側である、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着部の着脱方向から見て、前記定着部の着脱を操作可能な操作部の位置は、前記定着部が前記筐体に配置された状態では前記第2カバーの端部の外側且つ前記第1カバーの端部の内側である、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1カバーが閉じた状態から開いた状態に遷移する際の回転角度は、前記第2カバーが閉じた状態から開いた状態に遷移する際の回転角度よりも大きい、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記定着部は、前記現像剤が定着された前記シートを搬送する搬送ローラを備え、
前記第2カバーの回転軸の位置は、前記第1カバーの回転軸の位置よりも、前記回転軸と直交する方向において前記搬送ローラに近い、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1カバーの回転軸の位置と、前記第2カバーの回転軸の位置は、前記回転軸の延びる方向に並んでいる、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記定着部は、前記現像剤が定着された前記シートを搬送する搬送ローラを備え、
前記第2カバーは、開閉可能なカバー本体と、前記カバー本体に対し可動可能且つ前記カバー本体が開いた状態で前記カバー本体より前記搬送ローラに近い位置に配置され、前記シートを載置可能なシートガイドと、を有する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2カバーは、前記第2カバーが開いた状態において前記第1カバーの開口から前記シートが排出される方向に伸長可能な載置板を有する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記定着部は、加熱回転体と、前記加熱回転体との間でニップ部を形成する加圧回転体と、を有し、
前記第1カバーが閉じた状態且つ前記第2カバーが開いた状態における前記ニップ部のニップ圧は、前記第1カバー及び前記第2カバーが閉じた状態における前記ニップ圧よりも小さい、請求項1~11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ジャム処理を行う際、リアカバーを開き、リアシュートを揺動させて駆動ローラと従動ローラのニップを解除する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-10592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、ジャム処理を行う場合はリアカバーとリアシュートとの両方を開く必要があり、リアシュートを揺動させるスペースを確保するためにリアカバーはより大きく開く構成となる。リアカバーは、ジャム処理時のみでなく画像形成後のシートを排紙する排紙トレイとして使用するストレート排紙時にも開くため、ストレート排紙時にも大きく開くことになる。ストレート排紙時にリアカバーを大きく開けてしまうと、定着部の熱が筐体の外部に逃げやすくなり、加熱効率が低下するおそれがある。
【0005】
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、定着部の加熱効率の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る画像形成装置は、筐体と、前記筐体に収容され、シートに現像剤を定着させる定着部と、前記定着部によって前記現像剤が定着された前記シートが排出される排出トレイと、前記定着部よりも前記シートの搬送方向下流側に配置され、前記筐体の開口を開閉可能な第1カバーであって、前記第1カバーを開いた状態で前記定着部を露出させ、前記第1カバーを閉じた状態で前記定着部から排出されるシートを前記排出トレイに搬送する搬送経路の一部を構成する第1カバーと、前記第1カバーに対し回動可能に配置され、前記第1カバーの開口を開閉可能な第2カバーと、を備え、前記第2カバーは、前記第1カバーが閉じた状態且つ前記第2カバーが開いた状態において、前記定着部から排出された前記シートを載置可能である。
【0007】
上記構成によれば、ストレート排出時において、第1カバーを開けることなく、第1カバーの開口を塞いでいる第2カバーを開けることにより、ストレート排出が可能となる。これにより、ストレート排出時に第1カバーを開ける必要がなくなるため、定着部の熱が筐体の外部に逃げにくくなり、定着部の加熱効率の低下を抑制できる。
【0008】
本開示の画像形成装置では、前記第1カバーが開いた状態では、前記定着部への給電が停止されてもよい。
【0009】
上記構成によれば、定着部に電力が供給されている状況で定着部を交換する場合において、第1カバーを開けると定着部への給電が停止されるため、安全に定着部を交換することが可能となる。
【0010】
本開示の画像形成装置では、前記第1カバーの開閉を検知する検知部を更に備えてもよい。
【0011】
上記構成によれば、検知部によって第1カバーが開けられたことが検知された場合、定着部への給電が停止されるため、安全に定着部を交換することが可能となる。
【0012】
本開示の画像形成装置では、前記定着部は、前記第1カバーが開いた状態で前記筐体に対し着脱可能であってもよい。
【0013】
上記構成によれば、第2カバーの開閉状態に関わらず第1カバーを閉じた状態では定着部を着脱できない。第1カバーが閉じた状態且つ第2カバーが開いた状態では定着部の交換はできないため、ストレート排出時に定着部を交換することを防止可能である。
【0014】
本開示の画像形成装置では、前記定着部の着脱方向から見て、前記定着部の着脱を操作可能な操作部の位置は、前記定着部が前記筐体に配置された状態では前記第2カバーの端部の外側であってもよい。
【0015】
上記構成によれば、第1カバーが閉じた状態且つ第2カバーが開いた状態では操作部を把持できないため、ストレート排出時に定着部を交換することを防止可能である。
【0016】
本開示の画像形成装置では、前記定着部の着脱方向から見て、前記定着部の着脱を操作可能な操作部の位置は、前記定着部が前記筐体に配置された状態では前記第2カバーの端部の外側且つ前記第1カバーの端部の内側であってもよい。
【0017】
上記構成によれば、第1カバーを開けない限り操作部を把持できないため、ストレート排出時に定着部を交換することを防止可能である。
【0018】
本開示の画像形成装置では、前記第1カバーが閉じた状態から開いた状態に遷移する際の回転角度は、前記第2カバーが閉じた状態から開いた状態に遷移する際の回転角度よりも大きくてもよい。
【0019】
上記構成によれば、第1カバーを第2カバーより大きく開くことが可能であるため、ジャム処理時又は定着部の交換時の作業スペースを確保することができる。
【0020】
本開示の画像形成装置では、前記定着部は、前記現像剤が定着された前記シートを搬送する搬送ローラを備え、前記第2カバーの回転軸の位置は、前記第1カバーの回転軸の位置よりも、前記回転軸と直交する方向において前記搬送ローラに近くてもよい。
【0021】
上記構成によれば、第2カバーの回転軸が搬送ローラに近いので、ストレート排出時の第2カバーへのシートの載置性を向上させることができる。
【0022】
本開示の画像形成装置では、前記第1カバーの回転軸の位置と、前記第2カバーの回転軸の位置は、前記回転軸の延びる方向に並んでいてもよい。
【0023】
上記構成によれば、第2カバーは、第1カバーより開かないため、シートの後端が排出時の自重により浮いてしまい次のシートによって押し出される、といった事態を防止可能である。
【0024】
本開示の画像形成装置では、前記定着部は、前記現像剤が定着された前記シートを搬送する搬送ローラを備え、前記第2カバーは、開閉可能なカバー本体と、前記カバー本体に対し可動可能且つ前記カバー本体が開いた状態で前記カバー本体より前記搬送ローラに近い位置に配置され、前記シートを載置可能なシートガイドと、を有してもよい。
【0025】
上記構成によれば、シートガイドにより、スムーズなストレート排出が可能となる。
【0026】
本開示の画像形成装置では、前記第2カバーは、前記第2カバーが開いた状態において前記第1カバーの開口から前記シートが排出される方向に伸長可能な載置板を有してもよい。
【0027】
上記構成によれば、シートが排出される方向に伸長可能な載置板を設置することにより、シートの落下を防止できる。
【0028】
本開示の画像形成装置では、前記定着部は、加熱回転体と、前記加熱回転体との間でニップ部を形成する加圧回転体と、を有し、前記第1カバーが閉じた状態且つ前記第2カバーが開いた状態における前記ニップ部のニップ圧は、前記第1カバー及び前記第2カバーが閉じた状態における前記ニップ圧よりも小さくてもよい。
【0029】
上記構成によれば、厚紙に画像を形成する際に、厚紙のカールを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本開示の一態様によれば、定着部の加熱効率の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本開示の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る画像形成装置の斜視図の一例である。
図3】本開示の実施形態に係る画像形成装置の斜視図の他の例である。
図4】ストレート排出時における第1リアカバー及び第2リアカバーの開閉状態を説明する図である。
図5】定着部の着脱時における第1リアカバー及び第2リアカバーの開閉状態を説明する図である。
図6】定着部が筐体に配置されている場合における操作部の位置を説明する図である。
図7】本開示の実施形態に係る画像形成装置の変形例を説明する図である。
図8】本開示の実施形態に係る画像形成装置の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示の実施形態に係る画像形成装置1について、図1から図6を参照しながら詳細に説明する。図1は、本開示の実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。
【0033】
[画像形成装置1の構成]
画像形成装置1は、例えばシートSにモノクロ画像の画像形成処理を行うモノクロレーザプリンタであり、筐体3と、給送部20と、レジストレーションローラ24と、搬送ローラ25と、排出ローラ28と、プロセス部40と、シートSに現像剤を定着させる定着部80と、排出トレイ5と、第1リアカバーRC1と、第2リアカバーRC2と、検知部7と、制御部100と、を備える。
【0034】
以下の説明では、図1に示すように、画像形成装置1が使用可能に設置された状態を基準として、画像形成装置1の設置面側を下として上下方向を定義する。また、排出トレイ5から排出されるシートSの排出方向側を前側として前後方向を定義し、前方から画像形成装置1を見て左側を左として左右方向を定義する。
【0035】
[筐体3及び給送部20の構成]
筐体3は、画像形成装置1の外容器を構成しており、画像形成装置1の要部構成を収容している。給送部20はシートSを供給する。給送部20は、給送トレイ21と、押圧板22と、ピックアップローラ23と、を有する。
【0036】
給送トレイ21は、筐体3の下部に位置する。給送トレイ21は、上面が開放した箱状の部材であり、所定量のシートSを収容する。シートSは、例えば、普通紙、厚紙、光沢紙、ラベル紙、封筒等である。
【0037】
ピックアップローラ23は、給送トレイ21に収容されたシートSを送り出す。つまり、シートSが送り出される場合、給送トレイ21に収容されたシートSは、押圧板22によってピックアップローラ23に寄せられ、ピックアップローラ23の回転に伴いレジストレーションローラ24に給送される。レジストレーションローラ24は、シートSの先端の位置を揃えた後、プロセス部40に向けてシートSを搬送する。
【0038】
[プロセス部40の構成]
プロセス部40は、レジストレーションローラ24によって搬送されたシートSにトナー像を形成する。プロセス部40は、露光部41と、転写部42と、帯電器43と、現像器44と、感光ドラム46と、を有する。
【0039】
露光部41は、図1に一点鎖線にて示す所定の光ビームBを感光ドラム46に照射することにより、感光ドラム46を露光する。露光部41は、図示しないレーザ光源と、ポリゴンミラー41Gと、走査レンズ41Lと、ポリゴンモータ41Mと、反射鏡41Rと、を有する。
【0040】
ポリゴンミラー41Gは、正六角柱の側面を6つの反射面とする回転多面鏡である。ポリゴンミラー41Gは、レーザ光源が出射した光ビームBを感光ドラム46に向かう方向へ偏向するためのものである。ポリゴンモータ41Mは、制御部100からの動作指示に基づいてポリゴンミラー41Gを回転駆動する。
【0041】
露光部41は、光ビームBをポリゴンミラー41Gにより偏向して、ポリゴンミラー41Gから走査レンズ41L及び反射鏡41Rを介して感光ドラム46の表面に光ビームBを出射する。露光部41は、光ビームBによって感光ドラム46の表面を走査して感光ドラム46を露光する。これにより静電潜像が感光ドラム46の表面に形成される。ポリゴンモータ41Mは、例えばブラシレスDCモータである。
【0042】
帯電器43は、例えば、図示しない帯電ワイヤ及びグリッド部を有するスコロトロン型の帯電器を含む。帯電器43では、図示しない高電圧生成回路により、帯電ワイヤに帯電電圧が印加され、グリッド部にグリッド電圧が印加されることでコロナ放電が発生し、感光ドラム46の表面が一様に帯電される。なお、帯電器43は、スコロトロン型の帯電器に代えて、例えば帯電ローラを含む構成でもよい。
【0043】
現像器44は、トナー収容部44A及び現像ローラ44Rを有する。トナー収容部44Aは、現像剤としてのトナーを収容する。現像ローラ44Rは、トナー収容部44Aの内部からトナーを静電潜像が形成された感光ドラム46の表面に供給する。これにより、静電潜像が可視像化され、感光ドラム46の表面にトナー像が形成される。
【0044】
転写部42は、感光ドラム46との間でシートSを挟む転写ローラを有する。転写部42は、現像器44によって感光ドラム46の表面に形成されたトナー像をシートSに転写する。なお、転写部42は、転写ローラに代えて、例えば転写ベルトを含む構成でもよい。トナー像が転写されたシートSは、感光ドラム46及び転写部42によって定着部80に搬送される。
【0045】
[定着部80の構成]
定着部80は、筐体3に収容される。定着部80は、プロセス部40によってシートSに形成されたトナー像を加熱して定着させる。具体的には、定着部80は、感光ドラム46及び転写部42から搬送されるシートSに形成されたトナー像を定着させる。定着部80は、加熱ローラ81と、加圧ローラ82と、操作部83と、搬送ローラ84と、フレーム85と、を有する。加熱ローラ81は「加熱回転体」の一例であり、加圧ローラ82は「加圧回転体」の一例である。
【0046】
加熱ローラ81は、トナー像が形成されたシートSに接してシートSを加熱する。加圧ローラ82は、図示しない押圧部によって加熱ローラ81側に押圧され、加熱ローラ81との間でニップ部Nを形成する。定着部80では、制御部100の指示に従って押圧部が制御されることにより、加熱ローラ81と加圧ローラ82との間に所定の圧力が加えられた状態で、シートSに対するトナー像の定着処理が行われる。定着処理後、シートSは搬送ローラ84によって定着部80から排出される。
【0047】
フレーム85は、内部に加熱ローラ81と加圧ローラ82とを収容し、加熱ローラ81と加圧ローラ82とを支持する。
【0048】
操作部83は、定着部80を着脱する際に用いられるものであり、例えばユーザが把持可能なハンドルである。操作部83は、フレーム85の後面に配置される。操作部83の数は、特に限定されないが、例えば1つ又は2つである。
【0049】
[制御部100の構成]
制御部100は、例えば、CPU、RAM、ROM及び入出力回路を備えており、ROMに記憶されたプログラムやデータ等に基づいて演算処理を行うことによって、画像形成制御を実行する。また、制御部100は、画像形成装置1の各部から取得した情報に応じて、画像形成制御以外の制御処理も適宜実行する。
【0050】
[搬送経路の構成]
画像形成装置1は、第1搬送経路R1と、第2搬送経路R2と、を備える。第1搬送経路R1は、給送部20からプロセス部40を介して定着部80にシートSを搬送するための搬送経路である。第2搬送経路R2は、定着部80を通過したシートSを、筐体3の上面に設けられる排出トレイ5に搬送するための搬送経路である。排出トレイ5には、定着部80によって現像剤が定着されたシートSが排出される。
【0051】
図1に示すように、第1搬送経路R1及び第2搬送経路R2は、S字形状に形成された搬送経路を構成する。搬送経路がS字形状に形成されることにより、画像形成装置1の設置面積を小さくでき、画像形成装置1を小型化することができる。また、搬送経路がS字形状に形成されることにより、シートSが後ろ側から前側に排出されるため、前側からのフロントアクセスによるユーザの操作性を向上することができる。
【0052】
[第1リアカバーRC1及び第2リアカバーRC2の構成]
画像形成装置1の筐体3の後面には、第1リアカバーRC1が配置される。第1リアカバーRC1は、左右方向に延びる回転軸17を有しており、回転軸17を中心として筐体3に対して回動することにより筐体3の開口10Aを開閉可能に構成されている。
【0053】
第1リアカバーRC1は、定着部80よりもシートSの搬送方向下流側に配置される。ここでいう搬送方向とは、第1搬送経路R1における搬送方向を指す。具体的に、第1リアカバーRC1は、定着部80よりも後側に配置される。第1リアカバーRC1は、第1リアカバーRC1を開いた状態で開口10Aを介して定着部80を露出させる。また、第1リアカバーRC1は、第1リアカバーRC1を閉じた状態で定着部80から排出されるシートSを排出トレイ5に搬送する搬送経路の一部を構成する。
【0054】
第1リアカバーRC1には第2リアカバーRC2が配置される。第2リアカバーRC2は、図1図4に示すように、第1リアカバーRC1に対し回動可能に配置され、第1リアカバーRC1の開口10Bを開閉可能なカバーである。なお、説明の便宜上、図3は、第2リアカバーRC2を取り除いた状態を示す。図1に戻り、第2リアカバーRC2は、左右方向に延びる回転軸18を有しており、回転軸18を中心として第1リアカバーRC1に対して回動することにより第1リアカバーRC1の開口10Bを開閉可能に構成されている。また、第2リアカバーRC2は、第1リアカバーRC1が閉じた状態且つ第2リアカバーRC2が開いた状態において、定着部80から排出されたシートSを載置可能である。
【0055】
第1リアカバーRC1を開けることにより、開口10Aから定着部80を着脱することが可能である。第2リアカバーRC2を開けることにより、開口10Bからストレート排出を行うことが可能である。これらの詳細については後述する。なお、第1リアカバーRC1は、「第1カバー」の一例であり、第2リアカバーRC2は、「第2カバー」の一例である。
【0056】
検知部7は、第1リアカバーRC1の開閉状態を検知するものであり、例えばインターロックスイッチである。インターロックスイッチは、筐体3に配置され、第1リアカバーRC1の開閉に連動するアームを備える。インターロックスイッチは、第1リアカバーRC1が閉じた場合に第1リアカバーRC1によりアームが押圧され、第1リアカバーRC1が開いた場合に第1リアカバーRC1によりアームが押圧されない。第1リアカバーRC1によりインターロックスイッチのアームが押圧されると導通状態となり、アームが押圧されないと非導通状態となる。
【0057】
インターロックスイッチのアームが押圧された導通状態では、図示しない回路からハイレベルの信号が制御部100に入力される。一方で、インターロックスイッチのアームが押圧されない非導通状態では、図示しない回路からローレベルの信号が制御部100に入力される。制御部100は、入力された信号に基づいてインターロックスイッチが導通状態であるか非導通状態であるかを検知することができる。また、制御部100は、入力された信号に基づいてインターロックスイッチが導通状態から非導通状態に切り替わったこと、又はインターロックスイッチが非導通状態から導通状態に切り替わったことを検知することができる。なお、制御部100は、入力された信号がハイレベルであるとき、第1リアカバーRC1は閉じていると判断し、入力された信号がローレベルであるとき、第1リアカバーRC1は空いていると判断する。なお、ハイレベルとローレベルは逆でもよい。つまり、導通状態ではローレベルの信号が制御部100に入力され、非導通状態ではハイレベルの信号が制御部100に入力される構成であってもよい。
【0058】
本実施形態において、定着部80に電力が供給されている状況で、第1リアカバーRC1が開けられると、制御部100は定着部80への給電を停止する。換言すれば、定着部80に電力が供給されている状況で、インターロックスイッチが導通状態から非導通状態に切り替わったことを検知した制御部100は定着部80への給電を停止する。この構成によれば、例えば、定着部80に電力が供給されている状況でユーザが定着部80を交換しようとして第1リアカバーRC1を開けたとき、定着部80への給電が停止される。これにより、ユーザは安全に定着部80を交換することが可能となる。
【0059】
[ストレート排出時における開閉状態]
次に、図4を参照して、ストレート排出時における第1リアカバーRC1及び第2リアカバーRC2の開閉状態について説明する。
【0060】
図4に示すように、ストレート排出は、第1リアカバーRC1が閉じた状態且つ第2リアカバーRC2が開いた状態で行われる。ストレート排出とは、シートSにトナー像が転写された際と同じ向きのままで、すなわち画像が形成された面が上方を向いたままで排出口から排出されることを指す。なお、ここでいう「排出口」とは、本実施形態に照らせば、第1リアカバーRC1の開口10Bである。すなわち、本実施形態では第2リアカバーRC2を開けることにより、開口10Bから定着部80にてトナー像が定着されたシートSについてストレート排出を行うことが可能である。
【0061】
第2リアカバーRC2は、第2リアカバーRC2が開いた状態において第1リアカバーRC1の開口10BからシートSが排出される方向Dに伸長可能な載置板16を有する。
【0062】
図4のθ2は、第2リアカバーRC2が閉じた状態から開いた状態に遷移する際の回転角度を示す。第2リアカバーRC2の回転角度θ2は、後述する第1リアカバーRC1の回転角度より小さくなるように設定されている。
【0063】
定着部80が筐体3に配置されている場合において、第2リアカバーRC2の回転軸18の位置は、第1リアカバーRC1の回転軸17の位置よりも、回転軸と直交する方向において搬送ローラ84に近い。ここでいう「回転軸と直交する方向」とは、画像形成装置1の上下方向である。即ち、第1リアカバーRC1の回転軸17の位置は、第2リアカバーRC2の回転軸18の位置と異なる。
【0064】
[定着部80の着脱時における開閉状態]
次に、図5を参照して、定着部80の着脱時における第1リアカバーRC1及び第2リアカバーRC2の開閉状態について説明する。
【0065】
図5に示すように、定着部80の着脱は、第1リアカバーRC1が開いた状態且つ第2リアカバーRC2が閉じた状態で行われる。具体的には、ユーザは定着部80を取り出すとき、第1リアカバーRC1を開ける。ユーザは、第1リアカバーRC1を開けた後、操作部83を把持して、開口10Aから定着部80を取り出す。上述したように、第1リアカバーRC1が開いたとき、定着部80への給電が停止されるため、ユーザは安全に定着部80を交換することが可能となる。
【0066】
図5に示すθ1は、第1リアカバーRC1が閉じた状態から開いた状態に遷移する際の回転角度を示す。第1リアカバーRC1の回転角度θ1は、図4で示した第2リアカバーRC2の回転角度θ2より大きくなるように設定されている。
【0067】
[操作部83の位置]
次に、図6を参照して、定着部80が筐体3に配置されている場合における操作部83の位置について説明する。図6は、定着部80の着脱方向から見た第1リアカバーRC1及び第2リアカバーRC2を示す図である。図6において、第1リアカバーRC1及び第2リアカバーRC2は閉じているものとして説明する。また、図6では定着部80に2つの操作部83A,83Bが形成されているものとして説明する。定着部80の着脱方向とは、画像形成装置1の前後方向である。
【0068】
図6に示すように、定着部80の着脱方向から見た操作部83A,83Bの位置は、第2リアカバーRC2の端部52A,52Bの外側である。ここでいう第2リアカバーRC2の端部52A,52Bは、画像形成装置1の左右方向における第2リアカバーRC2の最も外側の部分である。具体的に、右側の操作部83Aは第2リアカバーRC2の端部52Aよりも右側に位置し、左側の操作部83Bは端部52Bよりも左側に位置する。
【0069】
さらに限定すると、定着部80の着脱方向から見た操作部83A,83Bの位置は、第2リアカバーRC2の端部52A,52Bの外側且つ第1リアカバーRC1の端部51A,51Bの内側である。ここでいう第1リアカバーRC1の端部51A,51Bは、画像形成装置1の左右方向における第1リアカバーRC1の最も外側の部分である。具体的に、右側の操作部83Aは第2リアカバーRC2の端部52Aよりも右側且つ第1リアカバーRC1の端部51Aよりも左側に位置し、左側の操作部83Bは端部52Bよりも左側且つ端部51Bよりも右側に位置する。
【0070】
[作用効果]
以上説明した本実施形態に係る画像形成装置1によれば、以下の作用効果が得られる。
【0071】
画像形成装置1は、第1リアカバーRC1及び第2リアカバーRC2の2つのリアカバーを備える。第1リアカバーRC1は、定着部80よりもシートSの搬送方向下流側に配置され、筐体3の開口10Aを開閉可能である。第2リアカバーRC2は、第1リアカバーRC1に対し回動可能に配置され、第1リアカバーRC1の開口10Bを開閉可能である。第2リアカバーRC2は、第1リアカバーRC1が閉じた状態且つ第2リアカバーRC2が開いた状態において、定着部80から排出されたシートSを載置可能である。
【0072】
上記構成によれば、ストレート排出時において、第1リアカバーRC1を開けることなく、第1リアカバーRC1の開口10Bを塞いでいる第2リアカバーRC2を開けることにより、ストレート排出が可能となる。これにより、ストレート排出時に第1リアカバーRC1を開ける必要がなくなるため、定着部80の熱が筐体3の外部に逃げにくくなり、定着部80の加熱効率の低下を抑制できる。
【0073】
また、第1リアカバーRC1が開いた状態では、定着部80への給電が停止されてもよい。
【0074】
上記構成によれば、例えば定着部80に電力が供給されている状況で定着部80を交換する場合において、第1リアカバーRC1を開けると定着部80への給電が停止されるため、安全に定着部80を交換することが可能となる。
【0075】
また、画像形成装置1は、第1リアカバーRC1の開閉を検知する検知部7を備えてもよい。
【0076】
上記構成によれば、検知部7によって第1リアカバーRC1が開けられたことが検知された場合、定着部80への給電が停止されるため、安全に定着部80を交換することが可能となる。
【0077】
また、定着部80は、第1リアカバーRC1が開いた状態で筐体3に対し着脱可能であってもよい。
【0078】
上記構成によれば、第2リアカバーRC2の開閉状態に関わらず第1リアカバーRC1を閉じた状態では定着部80を着脱できない。第1リアカバーRC1が閉じた状態且つ第2リアカバーRC2が開いた状態では定着部80の交換はできないため、ストレート排出時に定着部80を交換することを防止可能である。
【0079】
また、定着部80の着脱方向から見て、定着部80の着脱を操作可能な操作部83A,83Bの位置は、定着部80が筐体3に配置された状態では第2リアカバーRC2の端部52A,52Bの外側であってもよい。
【0080】
上記構成によれば、第1リアカバーRC1が閉じた状態且つ第2リアカバーRC2が開いた状態では操作部83A,83Bを把持できないため、ストレート排出時に定着部80を交換することを防止可能である。
【0081】
また、定着部80の着脱方向から見て、定着部80の着脱を操作可能な操作部83A,83Bの位置は、定着部80が筐体3に配置された状態では第2リアカバーRC2の端部52A,52Bの外側且つ第1リアカバーRC1の端部51A,51Bの内側であってもよい。
【0082】
上記構成によれば、第1リアカバーRC1を開けない限り操作部83A,83Bを把持できないため、ストレート排出時に定着部80を交換することを防止可能である。
【0083】
また、第1リアカバーRC1が閉じた状態から開いた状態に遷移する際の回転角度θ1は、第2リアカバーRC2が閉じた状態から開いた状態に遷移する際の回転角度θ2よりも大きくてもよい。
【0084】
上記構成によれば、第1リアカバーRC1を第2リアカバーRC2より大きく開くことが可能であるため、ジャム処理時又は定着部80の交換時の作業スペースを確保することができる。
【0085】
また、定着部80は、現像剤が定着されたシートSを搬送する搬送ローラ84を備える。第2リアカバーRC2の回転軸18の位置は、第1リアカバーRC1の回転軸17の位置よりも、回転軸と直交する方向において搬送ローラ84に近くてもよい。
【0086】
上記構成によれば、第2リアカバーRC2の回転軸18が搬送ローラ84に近いので、ストレート排出時の第2リアカバーRC2へのシートSの載置性を向上させることができる。
【0087】
また、第2リアカバーRC2は、第2リアカバーRC2が開いた状態において第1リアカバーRC1の開口10BからシートSが排出される方向Dに伸長可能な載置板16を有してもよい。
【0088】
上記構成によれば、シートSが排出される方向Dに伸長可能な載置板16を設置することにより、シートSの落下を防止できる。
【0089】
また、第1リアカバーRC1が閉じた状態且つ第2リアカバーRC2が開いた状態におけるニップ部Nのニップ圧は、第1リアカバーRC1及び第2リアカバーRC2が閉じた状態におけるニップ圧よりも小さくてもよい。
【0090】
上記構成によれば、例えば厚紙に画像を形成する際に、厚紙のカールを抑制することが可能となる。
【0091】
[変形例]
次に、図7を参照して本実施形態の変形例について説明する。
【0092】
上述の実施形態では、第1リアカバーRC1の回転軸17の位置は、第2リアカバーRC2の回転軸18の位置と異なると説明した。しかし、これに限定されず、図7に示すように、第1リアカバーRC1の回転軸17の位置と、第2リアカバーRC2の回転軸18の位置は、回転軸の延びる方向に並んでいてもよい。すなわち、第1リアカバーRC1の回転軸17と第2リアカバーRC2の回転軸18は、同一の軸線上に形成されてもよい。なお、図7においても、第1リアカバーRC1の回転角度は、第2リアカバーRC2の回転角度より大きい。
【0093】
上記構成によれば、第2リアカバーRC2は、第1リアカバーRC1より開かないため、シートSの後端が排出時の自重により浮いてしまい次のシートSによって押し出される、といった事態を防止可能である。
【0094】
また、図7に示すように、第2リアカバーRC2は、第1リアカバーRC1の開口10Bを開閉可能なカバー本体61と、シートガイド62と、を有してもよい。シートガイド62は、カバー本体61に対し可動可能且つカバー本体61が開いた状態でカバー本体61より搬送ローラ84に近い位置に配置され、シートSを載置可能なガイドである。
【0095】
シートガイド62は、一端部に左右方向に突出する突起621を有し、突起621が第1リアカバーRC1に回転可能に連結される。シートガイド62は、他端部に左右方向に突出する突起622を有し、突起622がカバー本体61に回転可能に連結される。カバー本体61は、左右両端に突起622が嵌る長穴611を有する。第2リアカバーRC2が第1リアカバーRC1の開口10Bを開閉する時、突起622が長穴611に沿って移動することで、シートガイド62は、カバー本体61に対し可動可能である。
【0096】
シートガイド62を用いることより、スムーズなストレート排出が可能となる。
【0097】
なお、図7に示すリンク機構に対し、第2リアカバーRC2を大きく開けるため、図8に示すようにリンク90を追加してもよい。リンク90は第1リアカバーRC1に設けられる。第2リアカバーRC2が第1リアカバーRC1の開口10Bを開く時、突起622が長穴611に沿って移動し、シートガイド62はカバー本体61の回動に連動して回動する。シートガイド62の回動に連動してリンク90が回動することにより、シートガイド62を大きく開けることができ、第2リアカバーRC2を大きく開けることができる。
【0098】
このようにリンク90を設けることにより、リンク90を設けない場合と比較して、第2リアカバーRC2を大きく開けることが可能となり、ジャム処理が容易になる。
【0099】
[その他の実施形態]
上述した実施形態において、画像形成装置1は、モノクロレーザプリンタであるとしたが、カラーレーザプリンタであってもよい。また、画像形成装置1は、インクを吐出することにより画像を形成するインクジェット方式のプリンタであってもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 画像形成装置
3 筐体
5 排出トレイ
7 検知部
10A、10B 開口
16 載置板
17、18 回転軸
51A,51B、52A,52B 端部
61 カバー本体
62 シートガイド
80 定着部
81 加熱ローラ
82 加圧ローラ
83、83A,83B 操作部
84 搬送ローラ
RC1 第1リアカバー
RC2 第2リアカバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8