(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147370
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像形成装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20241008BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G03G15/20
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060336
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】神谷 将孝
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA20
2H033BA08
2H033BE07
2H033CA30
2H270KA35
2H270LA80
2H270LD14
2H270MA34
2H270MC44
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】従来よりも印刷ジョブの印刷待ち時間を短縮可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、定着液をシートに噴霧する噴霧装置(8)と、前記定着液を噴霧装置(8)に供給する供給装置(9)と、噴霧装置(8)から噴霧された前記定着液であって、シートに付着しなかった前記定着液を回収する回収装置(11)と、コントローラ(12)と、を備え、コントローラ(12)は、印刷ジョブを受信した後、且つ、前記印刷ジョブの実行を完了する前に、回収ポンプ(112)を駆動させて、回収トレイ(111)内の前記定着液を供給装置(9)に送る回収処理を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに転写されたトナー像をシートに定着させるための定着液を、シートに噴霧する噴霧装置と、
前記定着液を前記噴霧装置に供給する供給装置と、
前記噴霧装置から噴霧された前記定着液であって、シートに付着しなかった前記定着液を回収する回収装置と、
コントローラと、を備え、
前記回収装置は、シートに付着しなかった前記定着液を収容する回収トレイと、前記回収トレイに収容された前記定着液を前記供給装置に向けて送る回収ポンプと、を有し、
前記コントローラは、
印刷ジョブを受信した後、且つ、前記印刷ジョブの実行を完了する前に、前記回収ポンプを駆動させて、前記回収トレイ内の前記定着液を前記供給装置に送る回収処理を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記噴霧装置から前記定着液の噴霧を開始した後に、前記回収ポンプを駆動させて前記回収処理を実行する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記噴霧装置から前記定着液の噴霧を開始する前に、前記回収ポンプを駆動させて前記回収処理を実行する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
シートが収容される供給トレイからシートを供給する供給ローラを更に有し、
前記コントローラは、
前記供給ローラを駆動させる前に、前記回収ポンプを駆動させて前記回収処理を実行する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記供給装置に前記定着液を補給する補給装置を更に備え、
前記供給装置は、前記定着液を収容する供給タンクと、前記供給タンクに収容された前記定着液を前記噴霧装置に向けて送る供給ポンプと、を有し、
前記補給装置は、前記定着液を収容する補給タンクと、前記補給タンクに収容された前記定着液を前記供給タンクに向けて送る補給ポンプと、を有し、
前記コントローラは、
前記回収ポンプを駆動させた後、且つ、前記印刷ジョブの実行を完了する前に、前記補給ポンプを駆動させて、前記補給タンクに収容された前記定着液を前記供給タンクに向けて送る第1補給処理を更に実行する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記供給装置は、前記供給タンク内の前記定着液の液量を検知するセンサを更に有し、
前記コントローラは、
前記センサにより前記供給タンク内の前記定着液が所定量未満であると検知された場合、前記補給ポンプを駆動させて前記第1補給処理を実行する、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記補給ポンプの駆動を前回停止した後に印刷されたシートの累積枚数をカウントし、
前記印刷ジョブの実行開始後から、前記カウントされたシートの累積枚数が第1閾値となるまでの間にて、前記供給タンク内の前記定着液が前記所定量以上であると前記センサが継続して検知した場合、前記回収ポンプの駆動を停止させると共に、前記噴霧装置による前記定着液の噴霧及びシートの搬送を停止する、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記補給ポンプが駆動された後、前記センサにより前記供給タンクに収容される前記定着液が前記所定量以上であると検知された場合、前記補給ポンプの駆動を停止させる、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記噴霧装置による前記定着液の噴霧を停止させ、且つ前記補給ポンプの駆動を停止させた後に、前記回収ポンプの駆動を停止させる、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記供給装置は、前記供給タンク内の前記定着液の液量を検知するセンサを更に有し、
前記コントローラは、
前記回収ポンプを停止させた後、前記センサにより前記供給タンク内の前記定着液が所定量未満であると検知された場合、前記回収ポンプの駆動を停止させた状態で、前記補給ポンプを駆動させて、前記補給タンクに収容された前記定着液を前記供給タンクに向けて送る第2補給処理を実行する、
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記コントローラは、
印刷されたシートの累積枚数をカウントし、
前記カウントされたシートの累積枚数が第2閾値以上となる場合、前記第2閾値となった後に搬送されるシートの搬送を停止した状態にて、前記回収処理及び前記第1補給処理を実行する、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項12】
シートに転写されたトナー像をシートに定着させるための定着液を、シートに噴霧する噴霧装置と、前記定着液を前記噴霧装置に供給する供給装置と、前記噴霧装置から噴霧された前記定着液であって、シートに付着しなかった前記定着液を回収する回収装置と、コントローラと、を備えた画像形成装置の制御方法であって、
前記回収装置は、シートに付着しなかった前記定着液を収容する回収トレイと、前記回収トレイに収容された前記定着液を前記供給装置に向けて送る回収ポンプと、を有し、
印刷ジョブを受信した後、且つ、前記印刷ジョブの実行を完了する前に、前記回収ポンプを駆動させて、前記回収トレイ内の前記定着液を前記供給装置に送るように前記回収装置を制御する、画像形成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーが形成されたシートに対して定着液を噴霧することにより、シートに形成されたトナー像をシートに定着させる画像形成装置が知られている。例えば特許文献1には、シートに付着しなかった定着液を回収する回収装置を備える画像形成装置について記載されている。回収装置により回収された定着液は、印刷ジョブの実行を完了した後、供給装置に送られる。供給装置に送られた定着液は、シートに定着液を噴霧する噴霧装置に送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の画像形成装置では、印刷ジョブの実行を完了した後に定着液の回収が行われる。複数の印刷ジョブを受信した場合は、印刷ジョブ毎に定着液の回収が行われることにより、印刷ジョブの待ち時間が長くなることが考えられる。そのため、定着液を回収するタイミングには改善の余地があった。
【0005】
本開示は、従来よりも印刷ジョブの印刷待ち時間を短縮可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の第1態様に係る画像形成装置は、シートに転写されたトナー像をシートに定着させるための定着液を、シートに噴霧する噴霧装置と、前記定着液を前記噴霧装置に供給する供給装置と、前記噴霧装置から噴霧された前記定着液であって、シートに付着しなかった前記定着液を回収する回収装置と、コントローラと、を備え、前記回収装置は、シートに付着しなかった前記定着液を収容する回収トレイと、前記回収トレイに収容された前記定着液を前記供給装置に向けて送る回収ポンプと、を有し、前記コントローラは、印刷ジョブを受信した後、且つ、前記印刷ジョブの実行を完了する前に、前記回収ポンプを駆動させて、前記回収トレイ内の前記定着液を前記供給装置に送る回収処理を実行する。
【0007】
本開示の第2態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記噴霧装置から前記定着液の噴霧を開始した後に、前記回収ポンプを駆動させて前記回収処理を実行する。
【0008】
本開示の第3態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記噴霧装置から前記定着液の噴霧を開始する前に、前記回収ポンプを駆動させて前記回収処理を実行する。
【0009】
本開示の第4態様に係る画像形成装置は、第3態様の画像形成装置であって、シートが収容される供給トレイからシートを供給する供給ローラを更に有し、前記コントローラは、前記供給ローラを駆動させる前に、前記回収ポンプを駆動させて前記回収処理を実行する。
【0010】
本開示の第5態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置であって、前記供給装置に前記定着液を補給する補給装置を更に備え、前記供給装置は、前記定着液を収容する供給タンクと、前記供給タンクに収容された前記定着液を前記噴霧装置に向けて送る供給ポンプと、を有し、前記補給装置は、前記定着液を収容する補給タンクと、前記補給タンクに収容された前記定着液を前記供給タンクに向けて送る補給ポンプと、を有し、前記コントローラは、前記回収ポンプを駆動させた後、且つ、前記印刷ジョブの実行を完了する前に、前記補給ポンプを駆動させて、前記補給タンクに収容された前記定着液を前記供給タンクに向けて送る第1補給処理を更に実行する。
【0011】
本開示の第6態様に係る画像形成装置は、第5態様の画像形成装置であって、前記供給装置は、前記供給タンク内の前記定着液の液量を検知するセンサを更に有し、前記コントローラは、前記センサにより前記供給タンク内の前記定着液が所定量未満であると検知された場合、前記補給ポンプを駆動させて前記第1補給処理を実行する。
【0012】
本開示の第7態様に係る画像形成装置は、第6態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記補給ポンプの駆動を前回停止した後に印刷されたシートの累積枚数をカウントし、前記印刷ジョブの実行開始後から、前記カウントされたシートの累積枚数が第1閾値となるまでの間にて、前記供給タンク内の前記定着液が前記所定量以上であると前記センサが継続して検知した場合、前記回収ポンプの駆動を停止させると共に、前記噴霧装置による前記定着液の噴霧及びシートの搬送を停止する。
【0013】
本開示の第8態様に係る画像形成装置は、第6態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記補給ポンプが駆動された後、前記センサにより前記供給タンクに収容される前記定着液が前記所定量以上であると検知された場合、前記補給ポンプの駆動を停止させる。
【0014】
本開示の第9態様に係る画像形成装置は、第5態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記噴霧装置による前記定着液の噴霧を停止させ、且つ前記補給ポンプの駆動を停止させた後に、前記回収ポンプの駆動を停止させる。
【0015】
本開示の第10態様に係る画像形成装置は、第9態様の画像形成装置であって、前記供給装置は、前記供給タンク内の前記定着液の液量を検知するセンサを更に有し、前記コントローラは、前記回収ポンプを停止させた後、前記センサにより前記供給タンク内の前記定着液が所定量未満であると検知された場合、前記回収ポンプの駆動を停止させた状態で、前記補給ポンプを駆動させて、前記補給タンクに収容された前記定着液を前記供給タンクに向けて送る第2補給処理を実行する。
【0016】
本開示の第11態様に係る画像形成装置は、第9態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、印刷されたシートの累積枚数をカウントし、前記カウントされたシートの累積枚数が第2閾値以上となる場合、前記第2閾値となった後に搬送されるシートの搬送を停止した状態にて、前記回収処理及び前記第1補給処理を実行する。
【0017】
上記の課題を解決するために、本開示の第12態様に係る画像形成装置の制御方法は、シートに転写されたトナー像をシートに定着させるための定着液を、シートに噴霧する噴霧装置と、前記定着液を前記噴霧装置に供給する供給装置と、前記噴霧装置から噴霧された前記定着液であって、シートに付着しなかった前記定着液を回収する回収装置と、コントローラと、を備えた画像形成装置の制御方法であって、前記回収装置は、シートに付着しなかった前記定着液を収容する回収トレイと、前記回収トレイに収容された前記定着液を前記供給装置に向けて送る回収ポンプと、を有し、印刷ジョブを受信した後、且つ、前記印刷ジョブの実行を完了する前に、前記回収ポンプを駆動させて、前記回収トレイ内の前記定着液を前記供給装置に送るように前記回収装置を制御する。
【発明の効果】
【0018】
第1態様の画像形成装置によれば、定着液の回収を行う回収処理とシートに画像を印刷する画像印刷処理とが並行して実行される。そのため、複数の印刷ジョブを受信した際に、印刷ジョブ毎に回収処理を実行する必要がない。即ち、回収処理の実行による印刷待ち時間が発生する頻度を少なくすることができる。これにより、ユーザの印刷待ち時間を短縮することができる。
【0019】
第2態様の画像形成装置によれば、噴霧装置から定着液の噴霧が開始された後に、回収処理が実行される。そのため、回収ポンプの駆動時間を短くすることができる。
【0020】
第3態様の画像形成装置によれば、回収トレイに残存する定着液を回収した後に、噴霧装置による定着液の噴霧が行われる。これにより、噴霧装置による定着液の噴霧が行われたとしても回収トレイから定着液が溢れ出す虞を軽減することができる。
【0021】
第4態様の画像形成装置によれば、供給ローラによりシートが供給される前に、回収処理が実行される。そのため、回収トレイから溢れ出した定着液がシートに付着することを防止することができる。これにより、シートに形成される画像の品質を保つことができる。
【0022】
第5態様の画像形成装置によれば、回収処理と第1補給処理とが並行して行われる。そのため、回収処理及び第1補給処理がそれぞれ独立して実行されることがない。また、印刷処理において第1補給処理により供給タンクに定着液を補給することができる。そのため、印刷処理を一旦停止して、補給処理を実行する頻度を減らすことができる。これにより、ユーザの印刷待ち時間を短縮することができる。
【0023】
第6態様の画像形成装置によれば、供給タンク内に所定量の定着液が収容されていない場合、補給処理が実行される。これにより、シートに対して噴霧装置から定着液が噴霧されない状態を防止することができる。
【0024】
第7態様の画像形成装置によれば、センサが誤作動している状態にて、シートにトナー像を定着させる処理が行われない。そのため、供給タンク内に定着液が収容されていない状態において、シートにトナー像を定着させる処理を行うことがない。これにより、シートに形成される画像の品質を保つことができる。
【0025】
第8態様の画像形成装置によれば、供給タンクに送られる定着液の液量を制御することができる。そのため、供給タンクに収容される定着液が、供給タンクが収容可能な定着液の液量を超えることがない。これにより、供給タンクから定着液が溢れ出す虞を軽減することができる。
【0026】
第9態様の画像形成装置によれば、回収トレイに残存する定着液を回収した後、回収処理の実行が停止される。これにより、回収トレイに残存する定着液により、回収トレイから回収ポンプに続く液路において詰まりが発生する可能性を軽減することができる。
【0027】
第10態様の画像形成装置によれば、印刷ジョブの実行を完了した後、供給タンク内に十分な液量の定着液を収容させることができる。これにより、次の印刷ジョブを受信後の印刷処理であっても、シートに定着液が噴霧されない虞を軽減することができる。
【0028】
第11態様の画像形成装置によれば、供給タンク内に収容される定着液が無くなる前に、供給タンク内に定着液を補給することができる。これにより、供給タンクに定着液が収容されていないことにより、シートに定着液が噴霧されない虞を軽減することができる。
【0029】
第12態様の画像形成装置の制御方法によれば、第1態様の画像形成装置と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本開示の実施形態1に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図1に示す定着装置の具体的な構成を示す図である。
【
図3】
図1に示す画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】画像形成装置のコントローラによる制御の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図4に示す印刷処理を示すフローチャートである
【
図6】
図5に示すフローチャートにおいて、コントローラによる制御の流れの続きを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。
【0032】
[画像形成装置の構成]
図1を参照して画像形成装置1の概略構成について説明する。
図1は、本開示の実施形態1に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。なお、説明の便宜上、
図1の矢印に示されるように、画像形成装置1の上下方向、左右方向、及び前後方向を定義する。
【0033】
図1に示すように、画像形成装置1は、本体筐体2と、シートPを供給するフィーダ部3と、シートPに画像を形成する画像形成部4と、定着装置7とを備えている。
【0034】
フィーダ部3は、本体筐体2の下部に着脱可能に装着される供給トレイ31と、供給トレイ31内のシートPを画像形成部4に向けて供給する供給機構32とを備えている。供給機構32は、供給ローラ32Aと、レジストローラ32Bとを備えている。供給ローラ32Aは、シートPが収容される供給トレイ31からシートPを供給する。レジストローラ32Bは、供給ローラ32Aにより供給されたシートPの先端位置を揃えるローラであり、後述するコントローラ12によって適宜停止・回転が切り替えられるようになっている。
【0035】
画像形成部4は、本体筐体2内に収容されており、主に、スキャナユニット5と、プロセスカートリッジ6と、転写ローラ69とを備えている。
【0036】
スキャナユニット5は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。このスキャナユニット5では、レーザビームを、後述する感光ドラム61の表面上に高速走査にて照射する。
【0037】
プロセスカートリッジ6は、本体筐体2に着脱可能となっている。プロセスカートリッジ6は、静電潜像が形成される感光ドラム61と、帯電器65(
図3参照)と、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容部62と、トナー収容部62内のトナーを感光ドラム61に供給するローラ63および現像ローラ64を備えている。
【0038】
このプロセスカートリッジ6では、帯電器65が、回転する感光ドラム61の表面を一様に帯電する。スキャナユニット5は、感光ドラム61の表面にレーザビームを出射して、感光ドラム61の表面を露光することで、感光ドラム61の表面に画像データに基づく静電潜像を形成する。
【0039】
次いで、回転駆動される現像ローラ64が、感光ドラム61の静電潜像にトナーを供給して、感光ドラム61の表面上にトナー像を形成する。その後、感光ドラム61の表面上に担持されたトナー像は、シートPが感光ドラム61と転写ローラ69の間で搬送される際に、転写ローラ69に引き寄せられてシートP上に転写される。
【0040】
定着装置7は、トナー像が形成されたシートP上に定着液を噴霧する。具体的には、定着装置7は、帯電された定着液を静電噴霧によりシートP上のトナー像に供給することで、シートP上にトナー像を定着させる装置である。なお、定着装置7の詳細な構成については、後述する。
【0041】
定着装置7の下流側には、定着装置7から排出されたシートPを挟持して下流側に搬送する一対の搬送ローラ33が設けられている。搬送ローラ33によって搬送されたシートPは、排出ローラ34に搬送され、この排出ローラ34から排出トレイ21上に排出される。
【0042】
次に、
図2を参照して、定着装置7の構成について詳細に説明する。
図2は、
図1に示す定着装置7の具体的な構成を示す図である。
図2に示すように、定着装置7は、噴霧装置8と、供給装置9と、補給装置10と、回収装置11と、を備える。
【0043】
噴霧装置8は、シートPに転写されたトナー像をシートPに定着させるための定着液を、シートPに噴霧する装置である。噴霧装置8は、噴霧ヘッド80と、対向電極85とを備える。噴霧ヘッド80は、定着液を収容可能な筐体81と、ノズル83内の定着液を帯電させるノズル電極82と、定着液を噴霧するノズル83と、を有する。対向電極85は、ノズル83に向かって伸びる複数の突起を有する。対向電極85は、ノズル電極82と間隔を隔てて位置する。
【0044】
ノズル電極82は、ノズル電圧生成回路131と電気的に接続されている。ノズル電圧生成回路131は、ノズル電極82に正の電圧を印加する。対向電極85は、対向電圧生成回路132と電気的に接続されている。対向電圧生成回路132は、対向電極85に負の電圧を印加する。噴霧装置8は、ノズル電極82と対向電極85との間の電位差が所定の噴霧電位差(所定値)以上である場合に、ノズル83から定着液を噴霧する。
【0045】
定着液は、良好に静電噴霧を行い、かつ、定着を行うために、トナーを溶解させる溶質を誘電率の高い溶媒に分散させたものを使用することが出来る。誘電率の高い溶媒として、安全な水を用いることができる。つまり、本実施形態では、トナーを溶解させる溶質を水に分散するタイプ、いわゆる、水中油滴型のエマルジョンでトナーの溶解を行っている。つまり、溶媒としての水に対して不溶又は難溶な溶質を水に分散した定着液を用いている。また、エマルジョンを良好に形成するために界面活性剤を加えても良い。
【0046】
供給装置9は、定着液を噴霧装置8に供給する装置である。供給装置9は、供給タンク91と、供給ポンプ92と、供給バルブ93と、供給管94と、センサ95とを有する。供給タンク91は、定着液を収容可能なタンクである。供給タンク91と、噴霧装置8の噴霧ヘッド80とは、供給管94により接続されている。供給管94は、供給タンク91に収容された定着液の通過を許容し、供給タンク91から噴霧ヘッド80へ向かって定着液が流れる液路を構成する。
【0047】
供給管94には、供給ポンプ92および供給バルブ93が設けられている。供給ポンプ92および供給バルブ93により噴霧装置8に供給される定着液の量が制御される。供給ポンプ92は、例えばギヤポンプであり、図示しないモータにより駆動される。供給ポンプ92は、供給タンク91に収容された定着液を噴霧ヘッド80の筐体81に向けて送る機能を有している。供給バルブ93は、例えば電磁バルブであり、コントローラ12により開閉制御される。供給バルブ93は、供給タンク91から筐体81へ供給される定着液の流量を調整する機能を有している。
【0048】
センサ95は、供給タンク91内の定着液の液量を検知するセンサである。センサ95は、供給タンク91に設けられている。センサ95は、供給タンク91内の定着液の液面を検知する液面センサである。センサ95は、供給タンク91内に収容される定着液の液面を検知することにより、供給タンク91内に定着液が所定量以上収容されているかを検知する。ここで、所定量は、供給タンク91が満杯の状態となる量である。
【0049】
補給装置10は、供給装置9に定着液を補給する装置である。補給装置10は、補給ポンプ101と、補給バルブ102と、補給管103と、定着カートリッジ105と、を備える。
【0050】
補給管103は、定着カートリッジ105と供給装置9の供給タンク91とを接続し、定着カートリッジ105に収容された定着液の通過を許容する。補給管103は、定着カートリッジ105から供給タンク91へ向かって定着液が流れる液路を構成する。定着カートリッジ105は、定着液を収容するタンクであり、本体筐体2に対して着脱可能に取り付けられている。定着カートリッジ105は、補給タンクの一例である。
【0051】
補給管103には、補給ポンプ101及び補給バルブ102が設けられている。補給ポンプ101及び補給バルブ102により、供給装置9に送られる定着液の量が制御される。補給ポンプ101は、例えばギヤポンプであり、図示しないモータにより駆動される。補給ポンプ101は、定着カートリッジ105に収容された定着液を供給装置9の供給タンク91に向けて送る機能を有する。補給バルブ102は、例えば電磁バルブであり、コントローラ12により開閉制御される。補給バルブ102は、定着カートリッジ105から供給タンク91へ供給される定着液の流量を調整する機能を有している。
【0052】
回収装置11は、噴霧装置8から噴霧された定着液であって、シートPに付着しなかった定着液を回収する装置である。回収装置11は、回収トレイ111と、回収ポンプ112と、回収バルブ113と、回収管114と、フィルタ115と、を備える。
【0053】
回収トレイ111は、シートに付着しなかった定着液を収容するトレイである。シートPに付着しなかった定着液は、回収トレイ111により回収される。回収トレイ111と供給装置9の供給タンク91とは、回収管114により接続されている。回収管114は、回収トレイ111により回収された定着液の通過を許容する。回収トレイ111及び回収管114は、シートPに付着しなかった定着液が供給タンク91に向かって流れる液路を構成する。
【0054】
回収管114には、回収ポンプ112及び回収バルブ113が設けられている。回収ポンプ112及び回収バルブ113により、供給装置9に送られる定着液の量が制御される。回収ポンプ112は、例えばギヤポンプであり、図示しないモータにより駆動される。回収ポンプ112は、回収トレイ111に収容された定着液を供給装置9に向けて送る機能を有する。回収バルブ113は、例えば電磁バルブであり、コントローラ12により開閉制御される。回収バルブ113は、回収トレイ111から供給タンク91へ送られる定着液の流量を調整する機能を有している。
【0055】
フィルタ115は、回収管114に設けられ、回収された定着液に含まれるトナー又は脂粉等の異物を除去する。フィルタ115は、回収トレイ111と回収ポンプ112との間に配置される。また、フィルタ115は、回収トレイ111と回収バルブ113との間に配置される。フィルタ115により異物が除去された定着液は、回収ポンプ112及び回収バルブ113に送られる。
【0056】
[画像形成装置の電気的構成]
図3は、
図1に示す画像形成装置1の電気的構成を示すブロック図である。
図3に示すように、画像形成装置1は、上述した各部に加え、コントローラ12と、高電圧生成回路13と、ディスプレイ14と、を更に備えている。
【0057】
コントローラ12は、CPU(Central Processing Unit)121、ROM(Read Only Memory)122、及びRAM(Random Access Memory)123等を備えている。ROM122には、画像形成装置1を制御するための各種制御プログラムや各種設定等が記憶されている。RAM123は、各種制御プログラムが読み出される作業領域、及び印刷ジョブにより指定される印刷データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPU100は、ROM122から読み出した制御プログラムに基づいて、画像形成装置1の制御を実行する。特に、コントローラ12は、高電圧生成回路13、ディスプレイ14、供給ポンプ92、供給バルブ93、センサ95、補給ポンプ101、補給バルブ102、回収ポンプ112、及び回収バルブ113を制御する。
【0058】
高電圧生成回路13は、現像ローラ64と、帯電器65と、転写ローラ69と、ノズル電極82と、対向電極85と電気的に接続されている。高電圧生成回路13は、コントローラ12の制御によりこれら各部に対して電圧を印加する。高電圧生成回路13は、ノズル電圧生成回路131と、対向電圧生成回路132と、を含む。高電圧生成回路13は、単一の電圧生成回路基板上に構成されている。
【0059】
ノズル電圧生成回路131は、ノズル電極82と、電源15と電気的に接続される。ノズル電圧生成回路131は、電源15から供給される電源電圧を用いて、ノズル電極82に印加する第1電圧を生成する。
【0060】
対向電圧生成回路132は、対向電極85と、電源15と電気的に接続される。対向電圧生成回路132は、電源15から供給される電源電圧を用いて、対向電極85に印加する第2電圧を生成する。
【0061】
コントローラ12は、ノズル電圧生成回路131および対向電圧生成回路132をPWM(Pulse Width Moduration)制御により制御する。具体的には、コントローラ12は、デューティ比を設定し、設定されたデューティ比に基づいてPWM信号を生成する。コントローラ12は、PWM信号をノズル電圧生成回路131及び対向電圧生成回路132のそれぞれにPWM信号を出力して、ノズル電圧生成回路131及び対向電圧生成回路132を制御する。なお、コントローラ12は、PWM制御以外の制御方法によりノズル電圧生成回路131および対向電圧生成回路132を制御してもよい。
【0062】
ディスプレイ14は、コントローラ12の制御により、画像形成装置1に関する各種情報を表示する。なお、ディスプレイ14は、ユーザの操作により、画像形成装置1による印刷等に関する各種処理の実行及び各種設定を行うことが可能な操作パネルに含まれる構成であってもよい。
【0063】
センサ95は、検知結果をコントローラ12に送信する。具体的には、センサ95は、供給タンク91内に所定量以上の定着液が収容されていると検知したとき後述するコントローラ12にON信号を送信し、供給タンク内に所定量以上の定着液が収容されていないことを検知したときコントローラ12にOFF信号を送信する。
【0064】
[コントローラによる制御の流れ]
次に、画像形成装置1のコントローラ12による制御の流れについて、
図4~
図6のフローチャートを参照して説明する。
図4は、画像形成装置1のコントローラ12による制御の流れを示すフローチャートである。
図5は、
図4に示す印刷処理S1を示すフローチャートである。
図6は、
図5に示すフローチャートにおいて、コントローラ12による制御の流れの続きを示すフローチャートである。
【0065】
図4に示すように、印刷ジョブを受信すると、コントローラ12は、シートPに画像を印刷する印刷処理S1を実行する。印刷処理S1の詳細については後述する。印刷処理S1の後、コントローラ12は、印刷処理S1の実行中に印刷ジョブの割り込みが有ったか否かを判定する(S2)。
【0066】
印刷ジョブの割り込みが有った場合(S2:YES)、コントローラ12は第3累積印刷枚数が第3閾値よりも少ないか否かを判定する(S3)。ここで、第3累積印刷枚数は、印刷ジョブを終了せずに印刷したシートの累積枚数である。第3閾値は、印刷ジョブを終了せずに印刷できるシートの最大印刷枚数である。第3累積印刷枚数が第3閾値よりも少ない場合(S3:YES)、コントローラ12は、印刷処理S1を実行する。第3累積印刷枚数が第3閾値以上である場合(S3:NO)、コントローラ12は、第3累積印刷枚数をリセットする(S4)。
【0067】
一方、印刷ジョブの割り込みが無かった場合(S2:NO)、コントローラ12は、ステップS4を実行する。ステップS4の後、コントローラ12は、補給ポンプ101を駆動する(S5)。ステップS5により、印刷処理S1にて消費された分の定着液を供給タンク91に補給する。ステップS5の後、コントローラ12は、センサ95がONとなっているか否かを判定する(S6)。
【0068】
センサ95がONとなっている場合(S6:YES)、コントローラ12は、補給ポンプ101の駆動を停止する(S7)。ステップS7の後、コントローラ12は、印刷ジョブの割り込みが有ったか否かを判定する(S8)。印刷ジョブの割り込みが有った場合(S8:YES)、コントローラ12は、印刷処理S1を実行する。印刷ジョブの割り込みが無かった場合(S8:NO)、コントローラ12は、
図4に示すフローを終了する。
【0069】
一方、センサ95がOFFとなっている場合(S6:NO)、コントローラ12は、補給ポンプ101を駆動してから所定時間経過したか否かを判定する(S9)。ステップS9における所定時間は、供給タンク91内の定着液がエンプティ状態から所定量となるまでにかかる補給時間よりも長い時間である。
【0070】
所定時間経過していない場合(S9:NO)、コントローラ12は、ステップS6を実行する。所定時間経過した場合(S9:YES)、コントローラ12は、定着カートリッジ105がエンプティであること示す表示をディスプレイ14に表示する(S10)。ステップS5~S7及びステップS9は、本願の第2補給処理に相当する。第2補給処理が実行されることにより、次の印刷ジョブ実行時には、供給タンク91には定着液が所定量以上に収容された状態とすることができる。
【0071】
印刷処理S1の詳細について、
図5及び
図6を参照して説明する。
【0072】
図5に示すように、先ず、コントローラ12は、供給トレイ31に収容されているシートPの搬送を開始する(S100)。具体的には、コントローラ12は、ステップS100において、供給ローラ32Aを駆動し、供給トレイ31に収容されていたシートPを画像形成部4に搬送する。
【0073】
ステップS100の後、コントローラ12は、定着液の噴霧を開始する(S101)。具体的には、コントローラ12は、ステップS101において、供給装置9の供給ポンプ92を駆動して、噴霧装置8に定着液を供給する。また、コントローラ12は、ステップS101において、ノズル電圧生成回路131及び対向電圧生成回路132を制御して、噴霧ヘッド80のノズル電極82及び対向電極85に電圧を印加する。
【0074】
ステップS101の後、コントローラ12は、回収ポンプ112を駆動する(S102)。回収ポンプ112の駆動により、シートPに付着していない定着液の回収が開始される。即ち、ステップS102により、回収トレイ111内の定着液を供給装置9の供給タンク91に送る回収処理が開始される。
【0075】
ステップS102の後、コントローラ12は、ステップS110~S113の処理と、ステップS120~S123の処理と、を並列的に実行する。
【0076】
先ず、ステップS102の後に実行されるステップS110~S113の処理について説明する。コントローラ12は、画像形成部4に搬送されたシートPに画像を印刷する画像印刷処理を実行する(S110)。具体的には、ステップS110において、コントローラ12は、スキャナユニット5、プロセスカートリッジ6、及び転写ローラ69を制御して、シートPに形成された画像を定着させる。コントローラ12は、排出ローラ34を駆動して、画像が定着されたシートPを排出トレイ21に排出する。
【0077】
ステップS110の後、コントローラ12は、第2累積印刷枚数が第2閾値以上であるか否かを判定する(S111)。第2累積印刷枚数は、印刷されたシートの累積枚数である。第2閾値は、供給タンク91がエンプティになるまでに連続して印刷可能なシートの累積枚数である。第2閾値は、下記(i)~(iii)の和から下記(iv)を引いた値に基づいて算出される。
(i)供給タンク91に収容されている定着液の液量
(ii)印刷ジョブにより指定されたシートの種類及び噴霧装置8による定着液の噴霧量に基づいて算出された回収処理により回収される定着液の液量
(iii)補給ポンプ101の駆動時間に基づいて供給タンク91に補給される定着液の液量
(iv)印刷ジョブにより指定されたシートの種類に基づいて算出された噴霧装置8による定着液の噴霧量
【0078】
第2累積印刷枚数が第2閾値以上である場合(S111:YES)、コントローラ12は、
図6に示すステップS130を実行する。ステップS130以降の処理は、後述する。第2累積印刷枚数が第2閾値よりも少ない場合(S111:NO)、コントローラ12は、印刷ジョブに次の印刷データが有るか否かを判定する(S112)。
【0079】
次の印刷データが有る場合(S112:YES)、コントローラ12はシートの搬送を開始する(S113)。ステップS113は、ステップS100と同様の処理である。次の印刷データが無い場合(S112:NO)、コントローラ12は後述するステップS103を実行する。
【0080】
次に、ステップS102の後に実行されるステップS120~S123の処理について説明する。ステップS102の後、コントローラ12は、センサ95がONとなっているか否かを判定する(S120)。
【0081】
センサ95がONとなっている場合(S120:YES)、コントローラ12は、第1累積印刷枚数が第1閾値よりも多いか否かを判定する(S121)。第1累積印刷枚数は、補給ポンプ101の駆動を前回停止した後に印刷されたシートの累積枚数である。第1閾値は、センサ95がON状態からOFF状態になると想定されるシートの累積印刷枚数である。第1閾値は、供給タンク91に収容可能な定着液の液量に基づいて実験又はシミュレーションによって予め定められた値である。
【0082】
第1累積印刷枚数が第1閾値以下である場合(S121:NO)、コントローラ12はステップS120を実行する。第1累積印刷枚数が第1閾値よりも多い場合(S121:YES)、センサ95が誤作動している可能性があるため、コントローラ12は印刷処理S1を停止する(S122)。より詳細には、コントローラ12は、印刷ジョブの実行開始後から、第1累積印刷枚数が第1閾値となるまでの間にて、供給タンク91内の定着液が所定量以上であるとセンサ95が継続して検知した場合に、印刷処理S1を停止する。具体的には、コントローラ12は、ステップS122において、フィーダ部3の動作、画像形成部4の動作、定着装置7の動作を停止させる。即ち、コントローラ12は、シートPの搬送を停止、画像印刷を停止、及び噴霧装置8による定着液の噴霧を停止する。コントローラ12は、ステップS122の後、
図4に示すフローを終了する。
【0083】
一方、センサ95がOFFとなっている場合(S120:NO)、コントローラ12は、供給タンク91に定着液を補給する補給処理を実行する(S123)。具体的には、補給ポンプ101を駆動し、定着カートリッジ105から供給タンク91に定着液を補給する。コントローラ12は、ステップS123において、センサ95の検知結果に応じて、定着カートリッジ105から供給タンク91に定着液を補給する。
【0084】
より詳細には、ステップS123において、コントローラ12は、補給ポンプ101を駆動した後にセンサ95がONになった場合、補給ポンプ101の駆動を停止させる。また、ステップS123において、コントローラ12は、補給ポンプ101の駆動を停止した後にセンサ95がOFFになった場合、補給ポンプ101を駆動する。ステップS123は、本願の第1補給処理である。
【0085】
ステップS123は、並行して実行されるステップS112において次の印刷データが無いと判定された場合(S112:NO)に、ステップS112の処理の終了と共に終了する。ステップS123の後、コントローラ12はステップS103を実行する。
【0086】
ステップS112及びステップS123を終了した後、コントローラ12は、噴霧装置8及び供給装置9を制御して、定着液の噴霧を停止する(S103)。具体的には、コントローラ12は、ノズル電圧生成回路131及び対向電圧生成回路132を制御して、ノズル電極82及び対向電極85のそれぞれに対して電圧の印可を停止する。また、コントローラ12は、供給ポンプ92の駆動を停止する。
【0087】
ステップS103の後、コントローラ12は、補給ポンプ101の駆動を停止する(S104)。ステップS104の後、コントローラ12は、回収ポンプ112の駆動を停止する(S105)。即ち、ステップS105により、回収処理の実行が終了する。ステップS105の後、コントローラ12は、印刷処理S1を終了する。
【0088】
次に、ステップS130~S139の処理について、
図6を参照して説明する。
【0089】
コントローラ12は、第2累積印刷枚数が第2閾値以上である場合(
図5、S111:YES)、
図6に示すように、画像印刷処理S110を一旦停止する(S130)。具体的には、コントローラ12は、ステップS122において、第2閾値に該当するシートPの次に搬送されるシートPからフィーダ部3の動作、及び画像形成部4の動作を停止する。即ち、コントローラ12は、シートPの搬送を停止及び画像印刷を停止する。
【0090】
ステップS130の後、コントローラ12は、定着液の噴霧を停止する(S131)。ステップS131は、ステップS103と同様の処理である。ステップS130の後、コントローラ12は、センサ95がONとなっているか否かを判定する(S132)。
【0091】
センサ95がONとなっている場合(S132:YES)、コントローラ12は、ディスプレイ14にエラーを表示する(S133)。具体的には、ステップS133において、コントローラ12は、センサ95が誤作動していることを示す表示を行う。コントローラ12は、ステップS133の後、
図4に示すフローを終了する。
【0092】
一方、センサ95がOFFとなっている場合(S132:NO)、コントローラ12は、回収ポンプ112及び補給ポンプ101を駆動する(S134)。即ち、ステップS134により、シートの搬送を停止した状態にて、回収トレイ111内の定着液を供給装置9の供給タンク91に送る回収処理、及び定着カートリッジ105に収容された定着液を供給タンク91に向けて送る補給処理が実行される。
【0093】
ステップS134の後、コントローラ12は、回収ポンプ112及び補給ポンプ101を駆動後、所定時間経過したか否かを判定する(S135)。ステップS135における所定時間は、回収トレイ111内に収容されている定着液を回収する時間であり、第2閾値の値に応じて設定される。ステップS135により、回収トレイ111内には定着液が収容されていない状態とする。
【0094】
所定時間経過していない場合(S135:NO)、コントローラ12はステップS135を再び実行する。所定時間経過した場合(S135:YES)、コントローラ12は回収ポンプ112の駆動を停止する(S136)。
【0095】
ステップS136の後、コントローラ12は、第3累積印刷枚数をリセットする(S137)。ステップS137の後、コントローラ12は、センサ95がONとなっているか否かを判定する(S138)。
【0096】
センサ95がOFFとなっている場合(S138:NO)、コントローラ12は定着カートリッジ105がエンプティであること示す表示をディスプレイ14に表示する(S139)。コントローラ12は、ステップS139の後、
図4に示すフローを終了する。センサ95がONとなっている場合(S138:YES)、コントローラ12は、ステップS112を実行する。
【0097】
上記構成によれば、定着液の回収を行う回収処理とシートに画像を印刷する画像印刷処理とが並行して実行される。そのため、複数の印刷ジョブを受信した際に、印刷ジョブ毎に回収処理を実行する必要がない。即ち、回収処理の実行による印刷待ち時間が発生する頻度を少なくすることができる。これにより、ユーザの印刷待ち時間を短縮することができる。
【0098】
また、ステップS101の後にステップS102を実行する構成によれば、噴霧装置8から定着液の噴霧が開始された後に、回収処理が実行される。そのため、回収ポンプ112の駆動時間を短くすることができる。更に、回収装置11により消費される電力を軽減することができる。
【0099】
また、ステップS123を実行する構成によれば、回収処理と第1補給処理とが並行して行われる。そのため、回収処理及び第1補給処理がそれぞれ独立して実行されることがない。また、印刷処理において第1補給処理により供給タンク91に定着液を補給することができる。そのため、印刷処理を一旦停止して、補給処理を実行する頻度を減らすことができる。これにより、ユーザの印刷待ち時間を短縮することができる。
【0100】
また、ステップS123において、補給ポンプ101の駆動を停止した後にセンサ95がOFFになった場合、補給ポンプ101を駆動する構成によれば、供給タンク91内に所定量の定着液が収容されていない場合、第1補給処理が実行される。これにより、シートPに対して噴霧装置8から定着液が噴霧されない状態を防止することができる。
【0101】
また、ステップS122を実行する構成によれば、センサ95が誤作動している状態にて、シートPにトナー像を定着させる処理が行われない。そのため、供給タンク91内に定着液が収容されていない状態において、シートPにトナー像を定着させる処理を行うことがない。これにより、シートPに形成される画像の品質を保つことができる。
【0102】
また、ステップS123においてセンサ95がONとなったときに補給ポンプ101の駆動を停止する構成によれば、供給タンク91に送られる定着液の液量を制御することができる。そのため、供給タンク91に収容される定着液が、供給タンク91が収容可能な定着液の液量を超えることがない。これにより、供給タンク91から定着液が溢れ出す虞を軽減することができる。
【0103】
また、ステップS103及びS104の後にステップS105を実行する構成によれば、回収トレイ111に残存する定着液を回収した後、回収処理の実行が停止される。これにより、回収トレイ111に残存する定着液により、回収トレイ111から回収ポンプ112に続く回収管114において詰まりが発生する可能性を軽減することができる。
【0104】
また、ステップS104の後にステップS105が実行されるため、供給タンク91かた定着液が溢れ出すことがない。そのため、供給タンク91から溢れ出した定着液により放電が発生する虞を防止することができる。
【0105】
また、ステップS5~S7及びS9を実行する構成によれば、回収ポンプ112の駆動を停止させた状態で、補給ポンプ101を駆動させて、定着液を供給タンク91に向けて送ることができる。即ち、印刷ジョブの実行を完了した後、供給タンク91内に十分な液量の定着液を収容させることができる。これにより、次の印刷ジョブを受信後の印刷処理であっても、シートPに定着液が噴霧されない虞を軽減することができる。
【0106】
また、ステップS134を実行する構成によれば、供給タンク91内に収容される定着液が無くなる前に、供給タンク91内に定着液を補給することができる。これにより、供給タンク91に定着液が収容されていないことにより、シートPに定着液が噴霧されない虞を軽減することができる。
【0107】
〔第1変形例〕
上述した実施形態において、コントローラ12は、印刷ジョブ受信後であって、噴霧装置8から定着液の噴霧を開始した後に回収ポンプ112の駆動を開始する構成としたが、このような構成に限られるものではない。
【0108】
コントローラ12は、印刷ジョブ受信後であって、噴霧装置8から定着液の噴霧を開始する前に、回収ポンプ112を駆動させて定着液を回収する回収処理を実行する構成としてもよい。即ち、コントローラ12は、ステップS101を実行する前にステップS102を実行する構成としてもよい。
【0109】
第1変形例の構成によれば、回収トレイ111に残存する定着液を回収した後に、噴霧装置8による定着液の噴霧が行われる。これにより、噴霧装置8による定着液の噴霧が行われたとしても回収トレイ111から定着液が溢れ出す虞を軽減することができる。
【0110】
〔第2変形例〕
また、コントローラ12は、供給ローラ32Aを駆動させた後であって、噴霧装置8から定着液の噴霧を開始する前に、回収ポンプ112を駆動させて回収処理を実行する構成としてもよい。即ち、コントローラ12は、ステップS100とステップS101と間にステップS102を実行する構成としてもよい。
【0111】
第2変形例の構成によれば、供給ローラ32Aによりシートが供給される前に、回収処理が実行される。そのため、回収トレイ111から溢れ出した定着液がシートPに付着することを防止することができる。これにより、シートPに形成される画像の品質を保つことができる。
【0112】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
1 画像形成装置
2 本体筐体
4 画像形成部
8 噴霧装置
9 供給装置
10 補給装置
11 回収装置
12 コントローラ
91 供給タンク
92 供給ポンプ
93 供給バルブ
95 センサ
101 補給ポンプ
102 補給バルブ
105 定着カートリッジ
111 回収トレイ
112 回収ポンプ
113 回収バルブ