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特開2024-147380画像形成装置および補給管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147380
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像形成装置および補給管理システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241008BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241008BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G21/00 388
G03G21/00 386
G03G15/08 340
B41J29/38 204
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060346
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今西 洋介
【テーマコード(参考)】
2C061
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AS02
2C061BB10
2C061BB11
2C061CF05
2C061CG02
2C061CK08
2C061HH03
2C061HJ10
2C061HV14
2H077AA07
2H077AA35
2H077DA12
2H077DA13
2H077DA15
2H077DB10
2H270KA59
2H270KA62
2H270LA87
2H270MA18
2H270NB02
2H270NB04
2H270NB08
2H270NB10
2H270NC02
2H270NC06
2H270NC17
2H270NC26
2H270ND04
2H270ND11
2H270ND12
2H270QA23
2H270QA33
2H270QA35
2H270QB03
2H270QB11
2H270RA10
2H270RA19
2H270RC03
2H270RC05
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】従来よりもトナー切れの可能性を低減する。
【解決手段】画像形成装置(1)のコントローラ(61)は、本体(10)の外側にトナーパウチ(3)が装着された場合に、トナーメモリ(32)から新旧情報を読み出し、新品であることを示す新旧情報が読み出された場合に、新たなトナーパウチ(3)の配送要求をサーバ(8)へ送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと通信可能な画像形成装置であって、
トナーを収容するトナーパウチが外側から装着可能な本体と、
コントローラと、を備え、
前記トナーパウチは、前記トナーパウチが新品であるか旧品であるかを示す新旧情報を記憶するトナーメモリを有し、
前記コントローラは、
前記本体の外側に前記トナーパウチが装着された場合に、前記トナーメモリから前記新旧情報を読み出す第1読出処理と、
前記第1読出処理により新品であることを示す前記新旧情報が読み出された場合に、新たなトナーパウチの配送要求を前記サーバへ送信する配送要求処理と、を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記配送要求処理において、前記トナーメモリに記憶されている前記新旧情報を、旧品であることを示す情報に書き換える、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナーメモリは、
前記トナーパウチを識別するための識別情報を記憶し、
前記画像形成装置は、
本体メモリを更に備え、
前記コントローラは、
前記トナーパウチが前記本体の外側に装着された場合に、前記トナーメモリから前記識別情報を読み出す第2読出処理と、
前記第2読出処理により読み出された前記識別情報が、前記本体メモリに記憶されていない場合に、前記本体メモリに前記識別情報を記憶させる記憶処理を更に実行する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ディスプレイを更に備え、
前記コントローラは、
前記本体メモリに前記識別情報が記憶されており、かつ、前記第2読出処理により読み出された前記識別情報が前記本体メモリに記憶されていない場合に、旧品の前記トナーパウチが存在することを前記ディスプレイに表示する第1表示処理を更に実行する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1表示処理において、新品の前記トナーパウチを使用して前記トナーの補給を行うか否かを示す第1メッセージを前記ディスプレイに表示させる、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ユーザによる入力を受け付ける入力部を更に備え、
前記コントローラは、
前記第1表示処理において、前記第1メッセージを表示した後に、
前記入力部を介して、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチから前記本体への前記トナーの補給を行うか否かに関する入力を受け付ける受付処理と、を実行し、
前記コントローラは、
前記受付処理において、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチから前記本体への前記トナーの補給を行わないことを示す入力を受け付けたときは、
前記記憶処理および前記配送要求処理を実行しない、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記受付処理において、前記本体の外側に装着されている前記トナーパウチから前記本体への前記トナーの補給を行わないことを示す入力を受け付けたときは、
前記本体メモリに記憶されている前記識別情報を示す前記トナーパウチの使用を促す第2メッセージを前記ディスプレイに表示させる第2表示処理を実行する、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記トナーメモリは、
前記トナーパウチに収容されている前記トナーの残量に関する残量情報を記憶し、
前記コントローラは、
前記本体の外側に前記トナーパウチが装着された場合に、前記トナーメモリから前記残量情報を読み出す第3読出処理と、
前記残量情報に基づいて、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチの前記トナーが無くなったか否かを判定する第1判定処理と、
前記第1判定処理において、前記トナーパウチの前記トナーが無くなったと判定した場合に、前記トナーパウチの前記識別情報を前記本体メモリから消去する消去処理と、を実行する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記本体の外側に装着されている前記トナーパウチから前記本体への前記トナーの補給が行われている間の時間を計測する計測処理と、
前記計測処理において計測された時間に基づいて、前記トナーパウチおよび前記本体に収容されている前記トナーの残量を決定する決定処理と、
前記決定処理において決定された前記トナーの残量に基づいて、前記トナーメモリに記憶されている前記残量情報を書き換える書換処理と、を実行する、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記書換処理で書き換えられた前記残量情報に基づいて、前記トナーパウチから前記本体への前記トナーの補給を終了するか否かを判定する第2判定処理を実行する、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記配送要求処理において、前記本体メモリに所定個数以上の前記識別情報が記憶されているか否かを判定する第3判定処理と、
前記第3判定処理において、前記本体メモリに前記所定個数以上の前記識別情報が記憶されている場合に、前記本体メモリに記憶されている前記識別情報の個数を示す第3メッセージを前記ディスプレイに表示させる第3表示処理を実行する、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記トナーパウチに収容可能な前記トナーの量は、
前記本体に収容可能な前記トナーの量よりも多い、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
請求項1から12の何れか一項に記載の画像形成装置と、
前記サーバと、を備える補給管理システムであって、
前記サーバは、
前記配送要求を受け付け可能である、補給管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置および補給管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが事業者と契約することで、画像形成装置において契約専用の消耗品または交換品を使用することができるサービスが存在する。このようなサービスは「サブスクリプションサービス」と呼ばれる。
【0003】
特許文献1には、識別用のコードを記憶するメモリチップを備える補給パックから貯蔵部内へトナーを補給可能な画像形成装置であって、貯蔵部内のトナー残量の低下等をトリガとして補給パックを発注する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の画像形成装置では、貯蔵部内のトナー残量が所定残量を下回ると、新しいトナーパウチが発注される。この方法では、発注された新しいトナーパウチが届く前にトナーを使い切ってしまい、印刷ができないことがある。
【0006】
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、従来よりもトナー切れの可能性を低減した画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の第1態様の画像形成装置は、サーバと通信可能な画像形成装置であって、トナーを収容するトナーパウチが外側から装着可能な本体と、コントローラと、を備え、前記トナーパウチは、前記トナーパウチが新品であるか旧品であるかを示す新旧情報を記憶するトナーメモリを有し、前記コントローラは、前記本体の外側に前記トナーパウチが装着された場合に、前記トナーメモリから前記新旧情報を読み出す第1読出処理と、前記第1読出処理により新品であることを示す前記新旧情報が読み出された場合に、新たなトナーパウチの配送要求を前記サーバへ送信する配送要求処理と、を実行する。
【0008】
本開示の第2態様の画像形成装置は、第1態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記配送要求処理において、前記トナーメモリに記憶されている前記新旧情報を、旧品であることを示す情報に書き換える。
【0009】
本開示の第3態様の画像形成装置は、第1態様の画像形成装置であって、前記トナーメモリは、前記トナーパウチを識別するための識別情報を記憶し、前記画像形成装置は、本体メモリを更に備え、前記コントローラは、前記トナーパウチが前記本体の外側に装着された場合に、前記トナーメモリから前記識別情報を読み出す第2読出処理と、前記第2読出処理により読み出された前記識別情報が、前記本体メモリに記憶されていない場合に、前記本体メモリに前記識別情報を記憶させる記憶処理を更に実行する。
【0010】
本開示の第4態様の画像形成装置は、第3態様の画像形成装置であって、ディスプレイを更に備え、前記コントローラは、前記本体メモリに前記識別情報が記憶されており、かつ、前記第2読出処理により読み出された前記識別情報が前記本体メモリに記憶されていない場合に、旧品の前記トナーパウチが存在することを前記ディスプレイに表示する第1表示処理を更に実行する。
【0011】
本開示の第5態様の画像形成装置は、第4態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記第1表示処理において、新品の前記トナーパウチを使用して前記トナーの補給を行うか否かを示す第1メッセージを前記ディスプレイに表示させる。
【0012】
本開示の第6態様の画像形成装置は、第5態様の画像形成装置であって、ユーザによる入力を受け付ける入力部を更に備え、前記コントローラは、前記第1表示処理において、前記第1メッセージを表示した後に、前記入力部を介して、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチから前記本体への前記トナーの補給を行うか否かに関する入力を受け付ける受付処理と、を実行し、前記コントローラは、前記受付処理において、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチから前記本体への前記トナーの補給を行わないことを示す入力を受け付けたときは、前記記憶処理および前記配送要求処理を実行しない。
【0013】
本開示の第7態様の画像形成装置は、第6態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記受付処理において、前記本体の外側に装着されている前記トナーパウチから前記本体への前記トナーの補給を行わないことを示す入力を受け付けたときは、前記本体メモリに記憶されている前記識別情報を示す前記トナーパウチの使用を促す第2メッセージを前記ディスプレイに表示させる第2表示処理を実行する。
【0014】
本開示の第8態様の画像形成装置は、第3態様の画像形成装置であって、前記トナーメモリは、前記トナーパウチに収容されている前記トナーの残量に関する残量情報を記憶し、前記コントローラは、前記本体の外側に前記トナーパウチが装着された場合に、前記トナーメモリから前記残量情報を読み出す第3読出処理と、前記残量情報に基づいて、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチの前記トナーが無くなったか否かを判定する第1判定処理と、前記第1判定処理において、前記トナーパウチの前記トナーが無くなったと判定した場合に、前記トナーパウチの前記識別情報を前記本体メモリから消去する消去処理と、を実行する。
【0015】
本開示の第9態様の画像形成装置は、第8態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記本体の外側に装着されている前記トナーパウチから前記本体への前記トナーの補給が行われている間の時間を計測する計測処理と、前記計測処理において計測された時間に基づいて、前記トナーパウチおよび前記本体に収容されている前記トナーの残量を決定する決定処理と、前記決定処理において決定された前記トナーの残量に基づいて、前記トナーメモリに記憶されている前記残量情報を書き換える書換処理と、を実行する。
【0016】
本開示の第10態様の画像形成装置は、第9態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記書換処理で書き換えられた前記残量情報に基づいて、前記トナーパウチから前記本体への前記トナーの補給を終了するか否かを判定する第2判定処理を、実行する。
【0017】
本開示の第11態様の画像形成装置は、第5態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記配送要求処理において、前記本体メモリに所定個数以上の前記識別情報が記憶されているか否かを判定する第3判定処理と、前記第3判定処理において、前記本体メモリに前記所定個数以上の前記識別情報が記憶されている場合に、前記本体メモリに記憶されている前記識別情報の個数を示す第3メッセージを前記ディスプレイに表示させる第3表示処理を実行する。
【0018】
本開示の第12態様の画像形成装置は、第1態様の画像形成装置であって、前記トナーパウチに収容可能な前記トナーの量は、前記本体に収容可能な前記トナーの量よりも多い。
【0019】
本開示の第13態様の補給管理システムは、第1態様から第12態様の何れかの画像形成装置と、前記サーバと、を備える補給管理システムであって、前記サーバは、前記配送要求を受け付け可能である。
【0020】
また、本開示の各態様に係る画像形成装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記画像形成装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記画像形成装置をコンピュータにて実現させる画像形成装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本開示の範疇に入る。
【発明の効果】
【0021】
第1態様の画像形成装置によれば、本体の外側に装着されたトナーパウチのトナーメモリから、新品であることを示す新旧情報が読み出された場合に、新たなトナーパウチの発送要求をサーバへ送信する。新品のトナーパウチからの補給を開始する前に新たなトナーパウチの発送要求を実行するため、従来よりもトナーを使い切るまでの期間を長く確保することができ、トナー切れの可能性を低減することができる。
【0022】
画像形成装置のトナーの補給を行う際、ユーザがトナーパウチの着脱を繰り返すことが考えられる。トナーパウチに収容されるトナーの残量に基づいてトナーが新品か旧品かを判定すると、同一のトナーパウチの着脱が繰り返された場合に、トナーパウチが本体に装着されるたびに新たなトナーパウチの配送要求が行われるおそれがある。第2態様の画像形成装置によれば、画像形成装置のコントローラは、トナーパウチが新品か旧品かを新旧情報に基づいて、配送要求の要否を判定する。そして、画像形成装置のコントローラは、配送要求処理において、本体に装着されたトナーパウチの新旧情報を、旧品であることを示す情報に書き換える。これにより、同一のトナーパウチの着脱が繰り返された場合であっても、新たなトナーパウチが過剰に発注されることを防ぐことができる。
【0023】
第3態様の画像形成装置によれば、画像形成装置のコントローラは、本体に装着されたトナーパウチの識別情報を本体メモリに記憶させる。これにより、コントローラは、本体メモリに識別情報が記憶されているか否かに基づいて、旧品のトナーパウチを容易に識別することができる。
【0024】
第4態様の画像形成装置によれば、画像形成装置のコントローラは、本体メモリに1つ以上の識別情報が記憶されており、かつ、第2読出処理により読み出された識別情報が本体メモリに記憶されていない場合に、旧品のトナーパウチが存在することをユーザに知らせる。これにより、ユーザに旧品のトナーパウチの使用を促すことができ、不必要なトナーパウチの発送要求を防ぐことができる。
【0025】
第5態様の画像形成装置によれば、画像形成装置のコントローラは、新品のトナーパウチを使用して補給を行うか否かを示す第1メッセージをディスプレイに表示させる。これにより、ユーザに対して、新品のトナーパウチの使用の要否を再考させることができる。
【0026】
第6態様の画像形成装置によれば、画像形成装置のコントローラは、本体の外側に装着されたトナーパウチからの補給を行わないことを示す入力を受け付けた場合には、本体の外側に装着されたトナーパウチの識別情報を本体メモリに記憶させず、配送要求処理を実行しない。コントローラは、配送要求処理を実行しないため、本体の外側に装着されたトナーパウチの新旧情報を旧品を示す情報に書き換えない。そのため、ユーザが新品のトナーパウチからの補給を取りやめた場合に、新品のトナーパウチが旧品として取り扱われることを防ぐことができる。
【0027】
第7態様の画像形成装置によれば、画像形成装置のコントローラは、本体に装着されているトナーパウチからの補給を行わないことを示す入力を受け付けた場合には、本体メモリに記憶されているトナーパウチの識別情報を含む案内を表示部に表示させる。これにより、トナーの補給に使用すべきトナーパウチをユーザに知らせることができる。
【0028】
第8態様の画像形成装置によれば、画像形成装置のコントローラは、トナーパウチのトナーメモリに記憶されている残量情報に基づいて、トナーパウチの残量が無くなったことを判定する。そして、コントローラは、トナーの残量が無くなったと判定されたトナーパウチについて識別情報を本体メモリから消去する。これにより、コントローラは、タンクへのトナーの補充に使用可能なトナーパウチの識別情報だけが本体メモリに記憶されている状態を保つことができる。
【0029】
トナーの補給が完了した後の1回だけ残量情報を更新することにすると、トナーの補給中にユーザが処理を中断させたときに、残量情報が現実のトナー残量と乖離するおそれがある。第9態様の画像形成装置によれば、所定時間が経過するごとに、コントローラがトナーメモリに記憶されている残量情報を更新することにより、残量情報と現実のトナー残量との乖離を防ぐことができる。
【0030】
第10態様の画像形成装置によれば、1つのトナーパウチで複数の画像形成装置にトナーを補給する場合であっても、書換処理で書き換えられた残量情報に基づいてトナーの補給を終了するか否かを適切に判定することができる。
【0031】
第11態様の画像形成装置によれば、コントローラは、本体メモリに記憶されている識別情報の個数を示す第3メッセージをディスプレイに表示させることにより、ユーザに旧品のトナーパウチの残数を知らせ、旧品のトナーパウチの使い切りをユーザに促すことができる。
【0032】
第12態様の画像形成装置によれば、トナーパウチに収容可能なトナーの量は、タンクに収容可能なトナーの量よりも多いため、新たなトナーパウチの配送要求後、トナーパウチの到着前に、タンクのトナーを使い切ったとしても、トナーパウチに残されたトナーを補給することにより、印刷できない状況を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本開示の実施形態1における補給管理システムの概要を示す図である。
図2】本開示の実施形態1における補給管理システムに含まれる画像形成装置の概略図である。
図3】本開示の実施形態1における補給管理システムに含まれる、画像形成装置、トナーパウチおよびサーバそれぞれの内部構造を示す図である。
図4】本開示の実施形態1における補給管理システムにおいて、トナーパウチが画像形成装置の本体の外部に装着された場合に画像形成装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図5】(A)画像形成装置のディスプレイに表示される第1メッセージの一例を示す図である。(B)画像形成装置のディスプレイに表示される第2メッセージの一例を示す図である。
図6図4の配送要求処理の流れについて一例を示すフローチャートである。
図7】トナーパウチからトナーを補給する場合における画像形成装置の処理の流れについて一例を示すフローチャートである。
図8】本開示の実施形態2における補給管理システムに含まれる画像形成装置の概略斜視図である。
図9】本開示の実施形態3における補給管理システムにおいて、トナーパウチが画像形成装置の本体の外部に装着された場合に画像形成装置が実行する処理の流れについて一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
〔実施形態1〕
〔補給管理システムの概要〕
図1は、本開示の実施形態1の補給管理システムの概要を示す図である。図1に示すように、補給管理システム100は、画像形成装置1と、サーバ8とを備えている。画像形成装置1は、画像形成装置1に対する契約の締結により提供されるサービスを実現するための装置である。「契約」とは、画像形成装置1のユーザUと事業者SPとの間で締結される契約である。以降の説明では、画像形成装置1のユーザUは、事業者SPと契約を締結しているものとする。
【0035】
画像形成装置1は、レーザプリンタであり、トナーを消費して印刷媒体に画像を形成することができる。印刷媒体とは、例えば、普通紙、厚紙、光沢紙、ラベル紙である。以下では、トナーを消費して印刷媒体に画像を形成することを、印刷と記載する。画像形成装置1は、トナーパウチ3からトナーを補給することができる。
【0036】
サーバ8は、画像形成装置1とネットワークNWを介して通信可能な外部の装置であって、事業者SPが管理している。サーバ8は、ネットワークNWを介して、契約の対象となる画像形成装置1からトナーパウチ3の配送要求を受け付け可能である。事業者SPは、サーバ8がトナーパウチ3の配送要求を受信すると、トナーパウチ3を画像形成装置1のユーザUへ配送する。
【0037】
〔画像形成装置の概要〕
図2は、本開示の実施形態1における補給管理システムに含まれる画像形成装置の概略図である。図2に示すように、実施形態1に関する画像形成装置1Aは、モノクロレーザプリンタである。
【0038】
画像形成装置1Aは、本体10を備えている。本体10は、補給部12、タンク13、給紙トレイ20、ピックアップローラ21、分離ローラ22、搬送ローラ23、現像ローラ41、帯電ローラ42、転写ローラ43、感光体ドラム44、クリーニングユニット45、光源ユニット50、コントローラ61、本体メモリ62、ディスプレイ65、入力部66、定着器70、排出ローラ74、および排出トレイ75を有している。なお、帯電ローラ42に代えて、スコロトロン型の帯電器を有する構成でもよい。
【0039】
給紙トレイ20には、印刷媒体Sが収容されている。ピックアップローラ21は、給紙トレイ20に収容されている印刷媒体Sをピックアップする。分離ローラ22は、1枚の印刷媒体Sを分離する。分離ローラ22および搬送ローラ23は、記録媒体Sを、転写ローラ43および感光体ドラム44の間の転写ニップに向けて搬送する。
【0040】
帯電ローラ42は、感光体ドラム44に圧接されており、感光体ドラム44の表面を均一に帯電させている。光源ユニット50は、感光体ドラム44の表面と向かい合って配置されている。光源ユニット50は、コントローラ61と電気的に接続されている。コントローラ61は、入力された画像データに応じて、感光体ドラム44の外周面に配置された感光材料を露光させる。タンク13には、トナーが収容されている。現像ローラ41は、タンク13に収容されているトナーを感光体ドラム44の外周面に供給する。トナーが供給された感光体ドラム44の外周面には、トナー像が形成される。転写ローラ43は、感光体ドラム44の外周面に形成されたトナー像を、転写ニップに搬送されてきた記録媒体Sへ転写する。クリーニングユニット45は、感光体ドラム44の表面に残存したトナーを除去する。
【0041】
定着器70は、加圧ローラ71および加熱ローラ72を有している。加圧ローラ71は、加熱ローラ72との間でニップを形成する。加圧ローラ71は、加熱ローラ72との間のニップに記録媒体Sを搬送する。加熱ローラ72は、ヒータ73を有しており、記録媒体Sを加熱する。加圧ローラ71と加熱ローラ72との間のニップを通過した記録媒体Sには、トナー像が定着する。トナー像が定着した印刷媒体Sは、排出ローラ74により排出トレイ75に排出される。
【0042】
トナーパウチ3は、ノズル30と、収容部31とを有している。収容部31は、画像形成装置1のタンク13に収容可能なトナーの量よりも多くトナーを収容することができる。収容部31に収容されているトナーは、ノズル30からタンク13へ供給可能である。
【0043】
本体10の補給部12には、本体10の外部からトナーパウチ3を装着することができる。補給部12は、装着されたトナーパウチ3のノズル30から本体10のタンク13へトナーを補給する。補給部12は、例えば、タンク13へのトナーの補給経路、補給経路を開閉するバルブ、トナーをタンク13へ吸引するポンプ等を有している。
【0044】
コントローラ61は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit
:特定用途向け集積回路)を有する。コントローラ61は、種々のプログラムを実行することによって、画像形成装置1Aの各部を制御し、印刷処理およびそれに付随する処理を行わせる。
【0045】
ディスプレイ65は、例えば、本体10の外表面に配置されている。ディスプレイ65には、コントローラ61の制御のもと、画像形成装置1Aの操作画面等が表示される。入力部66は、ユーザUが操作入力を行うための入力部材である。入力部66は、例えば、本体10の外表面に設けられた操作ボタンである。ディスプレイ65は、タッチパネルであってもよい。ディスプレイ65がタッチパネルである場合、入力部66には、ユーザUがタッチパネルに触れた位置を検出するタッチセンサが含まれる。
【0046】
〔画像形成装置の内部構造〕
図3は、画像形成装置1、トナーパウチ3およびサーバ8それぞれの内部構造を示す図である。図3に示すように、画像形成装置1は、本体メモリ62、第1通信部63、および第2通信部64を更に有している。
【0047】
トナーパウチ3は、トナーメモリ32および第3通信部33を更に有している。トナーメモリ32は、例えば、ICタグである。トナーメモリ32は、新旧情報91、識別情報92、および第1残量情報93を記憶している。新旧情報91は、トナーパウチ3が新品であるか旧品であるかを示す情報である。トナーパウチ3が新品であるとは、トナーの補給に一度も使用されていないことを示す。トナーパウチ3が旧品であるとは、トナーの補給に一度でも使用されたことを示す。
【0048】
識別情報92は、トナーパウチ3を識別するための情報である。識別情報92は、例えば、製造番号を示す情報である。第1残量情報93は、残量情報の一例であり、トナーパウチ3の収容部31に収容されているトナーの残量を示す情報である。
【0049】
画像形成装置1の本体メモリ62は、情報の読み出しおよび書き込みが可能な不揮発性のメモリである。本体メモリ62は、例えばフラッシュROMまたはEEPROM(登録商標)である。本体メモリ62には、本体残量情報621と識別情報テーブル622とが記憶されている。
【0050】
本体残量情報621は、タンク13に収容されているトナーの残量を示す情報である。
【0051】
識別情報テーブル622は、トナーの補給に使用されたトナーパウチ3であって、収容部31にトナーが残っているトナーパウチ3について、識別情報92と現残量を示す第2残量情報を記憶する。すなわち、識別情報テーブル622に識別情報92が記憶されているトナーパウチ3は、トナーの補給に使用された旧品であって、かつ、収容部31にトナーが残っている。
【0052】
第1通信部63は、サーバ8のサーバ通信部83との間で情報の送受信を行う通信インタフェースである。第1通信部63は、図1に示したネットワークNWを介して、サーバ8のサーバ通信部83との間で情報の送受信を行う。
【0053】
画像形成装置1の第2通信部64およびトナーパウチ3の第3通信部33は、例えば、電気接点を有している。第2通信部64は、例えば、補給部12に設けられている。第3通信部33は、例えば、トナーパウチ3のノズル30に設けられている。トナーパウチ3が補給部12に装着されると、第3通信部33が第2通信部64に接触し、電気的に接続される。コントローラ61は、第2通信部64を介して、補給部12に装着されたトナーパウチ3のトナーメモリ32に対して情報の書き込み、および情報の読み出しを実行することができる。
【0054】
サーバ8は、サーバ制御部81と、サーバメモリ82と、サーバ通信部83とを有している。サーバ制御部81は、CPU等のプロセッサを備えている。サーバメモリ82は、サーバ制御部81が実行するプログラムを記憶している。サーバ通信部83は、画像形成装置1の第1通信部63との間で情報の送受信を行う通信インタフェースである。サーバ制御部81は、サーバメモリ82に記憶されたプログラムを実行することにより、サーバ通信部83を介して受信したトナーパウチ3の配送要求を処理する。
【0055】
〔トナーパウチ装着時に行う処理〕
図4は、トナーパウチ3が画像形成装置1の本体の外部に装着された場合における画像形成装置1の処理の流れを示すフローチャートである。図4に示す処理は、コントローラ61の制御のもと実行される。
【0056】
S1において、画像形成装置1のコントローラ61は、本体10の補給部12にトナーパウチ3が装着されたか否かを判定する。コントローラ61は、例えば、第2通信部64が第3通信部33と通信可能となった場合、本体10の補給部12にトナーパウチ3が装着されたと判定する。コントローラ61は、本体10の補給部12にトナーパウチ3が装着されていない場合(S1:NO)、特段の処理を実行せず、再び図4に示す処理が実行されるまで待機する。コントローラ61は、本体10の補給部12にトナーパウチ3が装着された場合に(S1:YES)、第2通信部64を制御してトナーメモリ32から識別情報92を読み出す第2読出処理を行う(S2)。
【0057】
続くS3において、コントローラ61は、本体メモリ62の識別情報テーブル622に1つ以上の識別情報92が記憶されているかを判定する。コントローラ61は、本体メモリ62の識別情報テーブル622に1つ以上の識別情報92が記憶されている場合(S3:YES)、S4の処理に進む。すなわち、コントローラ61は、トナーの補給に使用可能な旧品のトナーパウチ3が存在する場合、S4の処理に進む。コントローラ61は、本体メモリ62の識別情報テーブル622に1つ以上の識別情報92が記憶されていない場合(S3:NO)、S7の処理に進む。すなわち、コントローラ61は、トナーの補給に使用可能な旧品のトナーパウチ3が存在しない場合、S7の処理に進む。トナーの補給に使用可能な旧品のトナーパウチ3が存在しない場合とは、例えば、画像形成装置1の補給部12に初めてトナーパウチ3が装着された場合、前回のトナーの補給においてユーザUが所有するトナーパウチ3のトナーをすべて使い切った場合等である。
【0058】
S4において、コントローラ61は、S2で読み出された識別情報92が本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶されているか否かを判定する。コントローラ61は、S2で読み出された識別情報92が本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶されている場合(S4:YES)、図4に示す処理を終了する。コントローラ61は、後述する補給処理を開始し、補給部12に装着されているトナーパウチ3からタンク13へのトナーの補給を開始する。
【0059】
コントローラ61は、S2で読み出された識別情報92が本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶されていない場合(S4:NO)、S5の処理に進む。すなわち、コントローラ61は、補給部12に装着されたトナーパウチ3が新品である場合、S5の処理に進む。S5において、コントローラ61は、旧品のトナーパウチ3が存在することをディスプレイ65に表示する第1表示処理を行う。
【0060】
図5(A)は、第1表示処理(S5)において、ディスプレイ65に表示される第1画面110の一例である。第1画面110は、旧品のトナーパウチ3が存在することを示し、補給部12に装着されている新品のトナーパウチ3を使用してトナーの補給を行うか否かを示す第1メッセージ111を含んでいる。第1メッセージ111には、識別情報テーブル622に記憶されている旧品のトナーパウチ3の識別情報92を少なくとも一つ含む。
【0061】
第1画面110の第1メッセージ111より下の表示領域には、第1ボタン112と第2ボタン113が表示されている。ユーザUは、入力部66を用いて、第1ボタン112および第2ボタン113のいずれかを選択する入力を行うことができる。第1ボタン112は、補給部12に装着されている新品のトナーパウチ3を使用してトナーの補給を行うことを示す入力を行うためのボタンである。第2ボタン113は、補給部12に装着されている新品のトナーパウチ3を使用してトナーの補給を行わないことを示す入力を行うためのボタンである。
【0062】
コントローラ61は、本体メモリ62の識別情報テーブル622に1つ以上の識別情報92が記憶されており、かつ、S2における第2読出処理により読み出された識別情報が本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶されていない場合に、旧品のトナーパウチ3が存在することをユーザUに知らせる。これにより、ユーザUに旧品のトナーパウチ3の使用を促すことができ、不必要なトナーパウチ3の発送要求を防ぐことができる。
【0063】
コントローラ61は、新品のトナーパウチ3を使用して補給を行うか否かを示す第1メッセージ111をディスプレイ65に表示させる。これにより、ユーザUに対して、新品のトナーパウチ3の使用の要否を再考させることができる。
【0064】
図4のS6において、コントローラ61は、入力部66を介して、補給部12に装着されたトナーパウチ3からタンク13へのトナーの補給を行うか否かに関する入力を受け付ける受付処理を実行する。コントローラ61は、例えば、図5(A)に示した第1画面110の第1ボタン112を選択する入力を受け付けたとき、補給部12に装着されたトナーパウチ3からタンク13へのトナーの補給を行うことに関する入力を受け付けたと判定する(S6:YES)。コントローラ61は、例えば、図5(A)に示した第1画面110の第2ボタン113を選択する入力を受け付けたとき、補給部12に装着されたトナーパウチ3からタンク13へのトナーの補給を行わないことに関する入力を受け付けたと判定する(S6:NO)。
【0065】
コントローラ61は、入力部66を介して、補給部12に装着されたトナーパウチ3からタンク13へのトナーの補給を行うことを示す入力を受け付けた場合は(S6:YES)、補給部12に装着されたトナーパウチ3の識別情報92を本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶させる記憶処理を実行する(S7)。コントローラ61は、記憶処理を行うことにより、本体メモリ62の識別情報テーブル622に基づいて、旧品のトナーパウチ3を容易に管理することができる。
【0066】
コントローラ61は、記憶処理(S7)の後、詳細を後述する配送要求処理を実行し(S8)、図4に示す処理を終了する。コントローラ61は、後述する補給処理を開始し、補給部12に装着されているトナーパウチ3からタンク13へのトナーの補給を開始する。
【0067】
コントローラ61は、入力部66を介して、補給部12に装着されたトナーパウチ3からタンク13へのトナーの補給を行わないことを示す入力を受け付けた場合は(S6:NO)、配送要求処理を実行せず、S9の処理に進む。
【0068】
S9において、コントローラ61は、識別情報テーブル622に記憶されている旧品のトナーパウチ3の使用を促すメッセージをディスプレイ65に表示させる第2表示処理を実行する。図5(B)は、第2表示処理(S9)において、ディスプレイ65に表示される第2画面120の一例である。第2画面120は、トナーパウチ3の交換を促す第2メッセージ121と、本体10のタンク13の空き容量を示す表示122と、確認ボタン123と、識別情報テーブル622に記憶されている旧品のトナーパウチ3について識別情報92および第2残量情報を表示するリスト124とを含んでいる。コントローラ61は、第2表示処理を実行することにより、トナーの補給に使用すべきトナーパウチ3をユーザUに知らせることができる。
【0069】
コントローラ61は、例えば、入力部66を介して確認ボタン123を操作する入力を受け付けた場合、ユーザUが補給部12からトナーパウチ3を取り外した場合、または第2画面120を表示した後、所定時間が経過した場合に、図4の処理を終了する。コントローラ61は、図4の処理終了後、ユーザUが補給部12にトナーパウチ3を装着した場合(S1:YES)、補給部12に装着されたトナーパウチ3のトナーメモリ32から識別情報92を読み出す(S2)。
【0070】
〔配送要求処理〕
図6は、図4のS8で実行される、配送要求処理の流れの一例を示すフローチャートである。配送要求処理において、コントローラ61は、補給部12に装着されているトナーパウチ3のトナーメモリ32から新旧情報91を読み出す第1読出処理を実行する(S20)。続くS21において、コントローラ61は、S20にて読み出した新旧情報に基づいて、補給部12に装着されているトナーパウチ3が新品か否かを判定する。コントローラ61は、S20において読み出した新旧情報91が新品であることを示す情報である場合(S21:YES)、第1通信部63を介して、新たなトナーパウチ3の発送を要求する発送要求をサーバ8へ送信する(S22)。コントローラ61は、S20において読み出した新旧情報91が旧品であることを示す情報である場合(S21:NO)、図6の処理を終了する。
【0071】
コントローラ61は、本体10の補給部12に装着されたトナーパウチ3のトナーメモリ32から、新品であることを示す新旧情報が読み出された場合に、新たなトナーパウチ3の発送要求をサーバ8へ送信する。新品のトナーパウチ3からの補給を開始する前に新たなトナーパウチ3の発送要求を実行するため、従来よりもトナーを使い切るまでの期間を長く確保することができ、トナー切れの可能性を低減することができる。
【0072】
また、トナーパウチ3は、タンク13に収容可能なトナーの量よりも多くのトナーを収容部31に収容している。そのため、新たなトナーパウチ3の配送要求後、新たなトナーパウチ3の到着前に、タンク13のトナーを使い切ったとしても、トナーパウチ3に残されたトナーを補給することにより、印刷できない状況を回避することができる。
【0073】
コントローラ61は、トナーパウチ3の発送要求を行った後に(S22)、補給部12に装着されているトナーパウチ3のトナーメモリ32に記憶されている新旧情報91を、旧品であることを示す情報に書き換え(S23)、図6の処理を終了する。
【0074】
画像形成装置1のトナーの補給を行う際、ユーザUがトナーパウチ3の着脱を繰り返すことが考えられる。トナーパウチ3に収容されるトナーの残量に基づいてトナーが新品か旧品かを判定すると、同一のトナーパウチ3の着脱が繰り返された場合に、トナーパウチ3が本体に装着されるたびに新たなトナーパウチ3の配送要求が行われるおそれがある。
コントローラ61は、トナーパウチ3が新品か旧品かを新旧情報に基づいて配送要求の要否を判定する。そして、コントローラ61は、配送要求処理において、本体10に装着されたトナーパウチ3の新旧情報を、旧品であることを示す情報に書き換える。これにより、同一のトナーパウチ3の着脱が繰り返された場合であっても、新たなトナーパウチ3が過剰に発注されることを防ぐことができる。
【0075】
コントローラ61は、本体10の補給部12に装着されたトナーパウチ3からの補給を行わないことを示す入力を受け付けた場合には(図4のS6:NO)、補給部12に装着されたトナーパウチ3の識別情報92を本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶させず、図6に示す配送要求処理を実行しない。コントローラ61は、図6に示す配送要求処理を実行しないため、補給部12に装着されたトナーパウチ3の新旧情報を旧品を示す情報に書き換えない。ユーザUが新品のトナーパウチ3からの補給を取りやめた場合に、新品のトナーパウチ3が旧品として取り扱われることを防ぐことができる。
【0076】
〔トナーの補給〕
図7は、補給部12に装着されているトナーパウチ3からトナーを補給する場合における画像形成装置1の処理の流れを示すフローチャートである。以降、補給部12に装着されているトナーパウチ3のことを、単にトナーパウチ3と記載する。
【0077】
S40において、コントローラ61は、トナーパウチ3からトナーの補給を開始するか否かを判定する。コントローラ61は、例えば、トナーパウチ3のトナーメモリに記憶されている識別情報92が識別情報テーブル622に記憶されている場合(図4のS4:YES)、または、配送要求処理(図4のS8、図6)が行われた場合に、トナーパウチ3からトナーの補給を開始すると判定し(S40:YES)、S41の処理に進む。コントローラ61は、トナーパウチ3からトナーの補給を開始しないと判定している間(S40:NO)、トナーパウチ3からのトナーの補給を行わずに待機する。
【0078】
S41において、コントローラ61は、第2通信部64を介して、トナーパウチ3のトナーメモリ32から第1残量情報93を読み出す第3読出処理を行う。コントローラ61は、トナーパウチ3のトナーメモリ32から読み出した第1残量情報93に基づいて、識別情報テーブル622に記憶されている第2残量情報を更新する。
【0079】
S42において、コントローラ61は、トナーパウチ3の収容部31に収容されているトナーの残量が0か否かを判定する。コントローラ61は、S41においてトナーパウチ3のトナーメモリ32から読み出した第1残量情報93、または、トナーパウチ3について、識別情報テーブル622に記憶されている第2残量情報に基づいて、トナーの残量が0か否かを判定する第1判定処理を行う。コントローラ61は、トナーパウチ3の収容部31に収容されているトナーの残量が0である場合(S42:YES)、S55の処理に進む。
【0080】
コントローラ61は、トナーパウチ3の収容部31に収容されているトナーの残量が0でない場合(S42:NO)、トナーの補給が行われている補給時間tを計測する計測処理を開始する(S43)。コントローラ61は、補給部12を制御して、トナーパウチ3からタンク13へのトナーの補給を開始する(S44)。S44以降、補給部12は、トナーパウチ3の収容部31から本体10のタンク13へトナーを補給する。コントローラ61は、単位時間あたりのトナー補給量Xが一定になるように、補給部12を制御する。
【0081】
S45において、コントローラ61は、補給時間tが所定の残量更新時間T1に到達したか否かを判定する。残量更新時間T1は、トナーメモリ32への情報の書き込みに要する時間よりも長い値に予め定められている。コントローラ61は、補給時間tが所定の残量更新時間T1に到達するまでトナーの補給を行い(S45:NO)、補給時間tが所定の残量更新時間T1に到達したと判定した場合(S45:YES)、S46の処理に進む。
【0082】
S46において、コントローラ61は、トナーパウチ3のトナーの現残量を決定する。S46の処理は、決定処理の一例である。例えば、コントローラ61は、識別情報テーブル622に記憶されているトナーパウチ3の第2残量情報が示すトナーパウチ3の現残量が単位時間あたりのトナー補給量Xと補給時間tの積により決定されるトナー補給量より多いか否かを判定する。コントローラ61は、トナーパウチ3の現残量がトナー補給量より多いと判定する場合、トナーパウチ3の第2残量情報が示すトナーパウチ3の現残量からトナー補給量を減ずることにより、トナーパウチ3の現残量を決定する。一方、コントローラ61は、トナーパウチ3の現残量がトナー補給量より少ないと判定する場合、トナーパウチ3の現残量を0に決定する。すなわち、コントローラ61は、トナーパウチ3の第2残量情報からトナー補給量Xと補給時間tの積を減ずると0以下になる場合、トナーパウチ3の現残量を0に決定する。コントローラ61は、トナーパウチ3について、決定した現残量を用いて、識別情報テーブル622の第2残量情報を更新する。
【0083】
続くS47において、コントローラ61は、トナーパウチ3のトナーメモリ32に記憶されている第1残量情報93を、S46で決定したトナーパウチ3のトナーの現残量に書き換える書換処理を実行する。すなわち、コントローラ61は、S46で決定したトナーパウチ3のトナーの現残量を、トナーパウチ3のトナーメモリ32において第1残量情報93を記憶する記憶領域に書き込む。
【0084】
続くS48において、コントローラ61は、本体10のタンク13に収容されているトナーの現残量を決定する。S48の処理は、決定処理の一例である。例えば、コントローラ61は、本体10のタンク13に補給可能なトナーの量である補給可能量が単位時間あたりのトナー補給量Xと補給時間tの積により決定されるトナー補給量より多いか否かを判定する。補給可能量は、本体10のタンク13に収容可能なトナーの最大収容量から本体残量情報621が示す本体10のタンク13の残量を減ずることにより算出することができる。コントローラ61は、補給可能量がトナー補給量以上と判定する場合、トナー補給量Xと補給時間tとの積を本体残量情報621に加算することにより、本体10のタンク13に収容されているトナーの現残量を決定する。一方、コントローラ61は、補給可能量がトナー補給量Xと補給時間tの積以下である、本体10のタンク13に収容されているトナーの現残量を本体10のタンク13に収容可能なトナーの最大収容量に決定する。
【0085】
続くS49において、コントローラ61は、S48で決定した本体10の現残量を本体メモリ62に書き込む。すなわち、コントローラ61は、S48で決定した本体10の現残量に基づいて、本体残量情報621を更新する。
【0086】
トナーの補給が完了した後の1回だけ現残量に関する情報を更新することにすると、トナーの補給中にユーザUが処理を中断させたときに、現残量に関する情報が現実の残量と乖離するおそれがある。所定の補給時間tが経過するごとに、コントローラ61がトナーメモリ32に記憶されている第1残量情報93を更新することにより、第1残量情報93と現実のトナー残量との乖離を防ぐことができる。
【0087】
続く、S50において、コントローラ61は、トナーの補給を終了するか否か判定する第2判定処理を実行する。コントローラ61は、予め決められた複数の補給終了条件のいずれかが達成された場合に、トナーの補給を終了すると判定する。補給終了条件には、トナーパウチ3の現残量が0であること、および、タンク13に収容されているトナーの現残量が最大収容量であることが少なくとも含まれる。コントローラ61は、例えば、S46において決定したトナーパウチ3の現残量が0であること、または、S48において決定した本体10のタンク13に収容されているトナーの現残量が最大収容量であることのいずれかが達成されたとき、補給終了条件が達成されたと判定する。補給終了条件には、例えば、トナーパウチ3が補給部12から外されたこと、ユーザUが所定の終了操作を行ったこと等を含むことにしてもよい。また、コントローラ61は、S47で書き換えた第1残量情報93に基づいて、トナーパウチ3の現残量が0であることを判定してもよい。コントローラ61は、いずれの補給終了条件も達成されていない場合(S50:NO)、補給時間tをリセットし、S45の処理に進み、トナーの補給を継続する。コントローラ61は、いずれかの補給終了条件が達成された場合(S50:YES)、トナーの補給を終了し(S52)、補給時間tの計測を終了する(S53)。
【0088】
続く、S54において、コントローラ61は、トナーパウチ3の収容部31に収容されているトナーの現残量が0か否かを判定する第1判定処理を実行する。コントローラ61は、S46において決定したトナーパウチ3の現残量が0である場合(S54:YES)、S55の処理に進み、S46において決定したトナーパウチ3の現残量が0でない場合(S54:NO)、図7の処理を終了する。S55において、コントローラ61は、識別情報テーブル622から補給部12に装着されているトナーパウチ3に関する情報を消去する消去処理を実行し、図7の処理を終了する。
【0089】
コントローラ61は、トナーパウチ3のトナーメモリに記憶されている残量情報に基づいてトナーの現残量を決定し、決定したトナーの現残量に基づいてトナーパウチ3の収容部31に収容されているトナーが無くなったことを判定する。そして、コントローラ61は、トナーの残量が無くなったと判定されたトナーパウチ3について識別情報92を本体メモリ62の識別情報テーブル622から消去する。これにより、コントローラ61は、タンク13へのトナーの補充に使用可能なトナーパウチ3の識別情報92だけが本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶されている状態を保つことができる。
【0090】
〔実施形態2〕
本開示の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0091】
図8は、本開示の実施形態2に関する画像形成装置1Bの概略斜視図である。画像形成装置1Bは、本体10の上部にカバー11を備えている点が実施形態1の画像形成装置1Aと異なっている。本開示の実施形態2に関する画像形成装置1Bは、本体10の上部にカバー11を備えている。カバー11は、回転軸11Aを中心にして回動可能である。図8(A)に示すように、カバー11が閉位置にあるときには、本体10の外側にトナーパウチ3を装着することができない。一方、図8(B)に示すように、カバー11が開位置にあるときには、本体10の外側に位置する補給部12にトナーパウチ3を装着することができる。本開示の実施形態2に関する画像形成装置1Bは、カバー11を有しているため、補給部12からトナー以外の異物が侵入することを防ぐことができる。
【0092】
〔実施形態3〕
本開示の実施形態3について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1および2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0093】
本開示の実施形態3に関する画像形成装置1では、本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶可能な識別情報92の個数の上限が定められている点が実施形態1と異なっている。
【0094】
図9は、本開示の実施形態3に関する画像形成装置1の本体の外部にトナーパウチ3が装着された場合における画像形成装置1の処理の流れを示すフローチャートである。本開示の実施形態3では、コントローラ61は、S6において、補給部12に装着されたトナーパウチ3からタンク13へのトナーの補給を行うことに関する入力を受け付けたと判定したとき(S6:YES)、図9に示すS60の処理に進む。
【0095】
S60において、コントローラ61は、本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶されているトナーパウチ3の識別情報92の個数が所定個数以上か否か判定する第3判定処理を実行する。コントローラ61は、本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶されているトナーパウチ3の識別情報92の個数が所定個数以上の場合(S60:YES)、本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶されているトナーパウチ3の識別情報92の個数を示す第3メッセージを表示する第3表示処理を実行し、図9の処理を終了する(S61)。コントローラ61は、本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶されているトナーパウチ3の識別情報92の個数が所定個数未満の場合(S60:NO)、S7の処理に進む。
【0096】
コントローラ61は、S61において、本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶されている識別情報92の個数を示す第3メッセージをディスプレイ65に表示させる。コントローラ61は、第3メッセージをディスプレイ65に表示させることにより、ユーザUに旧品のトナーパウチ3の残数を知らせ、旧品のトナーパウチ3の使い切りをユーザUに促すことができる。
【0097】
(変形例)
上記実施形態では、画像形成装置1がモノクロレーザプリンタであるものとした。しかし、画像形成装置1はモノクロレーザプリンタだけに限定されない。画像形成装置1は、例えば、カラーレーザプリンタであってもよい。
【0098】
上記実施形態では、コントローラ61は、ASICを有するものとした。しかし、コントローラ61は、CPU等のプロセッサを備え、本体メモリ62に記憶されている各種制御プログラムを実行することにしてもよい。
【0099】
上記実施形態では、画像形成装置1の第2通信部64およびトナーパウチ3の第3通信部33は、トナーパウチ3が補給部12に装着された場合に、電気的に接続される電気接点であるものとした。しかし、画像形成装置1の第2通信部64およびトナーパウチ3の第3通信部33は、電気接点を用いた構成だけに限定されない。例えば、画像形成装置1の第2通信部64およびトナーパウチ3の第3通信部33は、RFID(Radio Frequency Identification)技術を用いて情報の送受信を行う構成としてもよい。
【0100】
上記実施形態1および2では、図4のS7において、コントローラ61は、装着されているトナーパウチ3の識別情報を本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶させた後、配送要求処理を実行した(S7)。しかし、S6の処理と、S7の配送要求処理とは、処理順序を入れ換えることにしてもよい。
【0101】
上記実施形態2の画像形成装置1Bでは、光源ユニット50をカバー11に配置することにしてもよい。
【0102】
上記実施形態3では、コントローラ61は、本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶されているトナーパウチ3の識別情報92の個数が所定個数以上の場合に、配送要求処理(S8)を実行しないことにした。しかし、コントローラ61は、第3表示処理後、識別情報テーブル622に記憶されているトナーパウチ3の識別情報92のうちの一つを書き換えた上で、配送要求処理(S8)を実行することにしてもよい。書き換えられるトナーパウチ3は、識別情報テーブル622に記憶された日時が最も古いトナーパウチ3であってもよいし、第2残量情報が最も小さいトナーパウチ3であってもよいし、入力部66を介してユーザUに選択させることにしてもよい。
【0103】
上記実施形態および変形例では、トナーパウチ3は画像形成装置1の本体10の外側に装着されるものとした。しかし、トナーパウチ3の代わりに、トナーカートリッジが、画像形成装置1の本体10の内側に装着されるものであってもよい。トナーカートリッジが画像形成装置1の本体10の内側に装着される場合であっても、トナーパウチ3が画像形成装置1の本体10の外側に装着される場合と同様の効果を得ることができる。画像形成装置1は、本体10の内側に、事業者SPから配送されたトナーカートリッジを収容するカートリッジ収容部を有している。トナーカートリッジが画像形成装置1の本体10の内側に装着されるとは、例えば、トナーカートリッジをカートリッジ収容部に装着することをいう。また、本体メモリ62の識別情報テーブル622には、トナーカートリッジの識別情報92が記憶されてもよい。そして、図9のS60の処理において、コントローラ61は、本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶されているトナーカートリッジの識別情報92の個数が所定個数以上か否かを判定することにしてもよい。
【0104】
〔ソフトウェアによる実現例〕
画像形成装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、画像形成装置1としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、画像形成装置1のコントローラ61としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0105】
この場合、画像形成装置1は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0106】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、画像形成装置1が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して画像形成装置1に供給されてもよい。
【0107】
また、コントローラ61の機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。
【0108】
〔付記事項〕
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
1、1A、1B 画像形成装置
3 トナーパウチ
8 サーバ
10 本体
32 トナーメモリ
62 本体メモリ
61 コントローラ
65 ディスプレイ
66 入力部
91 新旧情報
92 識別情報
93 第1残量情報
100 補給管理システム
111 第1メッセージ
121 第2メッセージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9